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荒川正臣氏:みなさま、はじめまして。石光商事株式会社代表取締役社長の荒川です。4月1日より、前任の石脇から社長職を引き継ぎました。今後ともよろしくお願いします。

また、日頃から当社グループをご支援いただき、ありがとうございます。本日も多方面からお越しいただきましたことを感謝申し上げます。

本日は3部構成で、2025年3月期決算の概要、2026年3月期業績の見通し、今期より始まった中期経営計画「SHINE2027」についてご説明します。

2025年3月期 決算(連結)のポイント

2025年3月期の連結決算についてご説明します。売上高は前期比プラス4.7パーセント、29億2,800万円のアップとなりました。こちらは、コーヒー相場の高騰や為替の円安による販売価格の上昇が起因しています。また、新商品の新規開拓が進んだことも影響しました。

売上総利益は、前期比プラス3.3パーセント、2億7,100万円のアップです。しかし、利益率は前期比マイナス0.2ポイントとなりました。営業利益は、前期比マイナス5.9パーセント、9,700万円ダウンとなりました。売上総利益率の低下や、人件費を中心とした販売管理費の増加が影響しています。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比マイナス15.4パーセント、1億6,100万円ダウンとなりました。

2025年3月期実績(連結)概要

2025年3月期の実績です。売上高は649億5,300万円、営業利益は15億5,700万円、経常利益は13億3,600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8億8,800万円、1株当たり当期純利益は114円50銭です。1株当たりの配当金は30円となりました。

ROEは9.5パーセントから7.4パーセントにダウンし、自己資本比率は31.2パーセントという状況で2025年3月期を終えています。

NYコーヒー相場の推移

当社の売上高のアップや売上総利益率のダウンに大きく影響している、コーヒー相場や為替の状態についてご説明します。当社グループはコーヒーの販売割合が非常に多いため、補足したいと思います。

スライドには、NYコーヒー相場の推移を掲載しています。コーヒーには、大きく分けてアラビカ種とカネフォラ種という2つの商業品種がありますが、そのうちアラビカ種のコーヒー市場がNYコーヒー相場となります。

赤い折れ線グラフが2年前のコーヒー相場の推移です。1ポンド当たり150セントから200セントで推移していましたが、前期は200セント弱から高い時には400セントを超える状態となり、2倍以上の価格で推移しています。

2026年3月期は350セントから400セントの間を行き来している状況で、非常に高水準が続いています。

ロンドンコーヒー相場の推移

ロンドンコーヒー相場の推移です。ロンドンコーヒーとは、先ほどお伝えした2大品種のうちカネフォラ種というコーヒーの市場となります。2年前は1トン当たり2,000ドルから3,000ドル、後半には3,500ドルになり、じりじりと上がりました。後ほどご報告する前期は、3,500ドルから一時期は5,500ドルを超える状況になりました。

現在も5,000ドルから5,500ドルの間を行き来しており、歴史的に見ると非常に高い水準を維持している状況です。

為替相場(ドル円相場)の推移

ドル円の為替相場の推移です。2年前は130円くらいからスタートして、150円を少し超えるくらいとなりました。昨年は150円から一時期161円まで円の価値を落とし、その後140円から160円の間を行き来していました。2026年3月期は、140円から150円の間を推移して若干円高傾向に振れています。

このように、コーヒーの相場は大きく急騰して乱高下を繰り返し、為替も140円から160円と乱高下したかたちになりました。

こちらの影響を販売単価に反映させたところ、売上高はある一定の増加をたどりました。しかし、販売原価をしっかりと吸収できるほどの価格転嫁は進められず、2025年3月期の売上総利益率は前期比でやや減少しました。

売上高 商品カテゴリー別

売上高の内訳についてご説明します。当社にはコーヒー・茶類事業部、食品事業部、農産事業部、海外事業部の4つの事業部があります。スライドのグラフでは4事業部が扱う商品をさらに分解し、カテゴリー別の売上内訳を示しています。

2024年3月期の売上高は620億2,000万円でした。2025年3月期は649億5,000万円と、前期比で29億2,000万円のプラスとなっています。

内訳としては、コーヒー飲料製品が伸びました。こちらには、コーヒーの焙煎豆や関連会社のアライドコーヒーロースターズの商品、インスタントコーヒーなどが含まれます。また、コーヒー相場の高騰によって売上単価が伸びたことも、売上増加につながっています。

農産、水産、調理冷食も前年比を上回りました。こちらは為替の影響もありますが、売場の新規開拓によるところもあります。農産はごぼうや玉ねぎのほか、今年前半に葉物野菜が非常に厳しい状態となっている時に中国から輸入し、日本市場を助けたところが起因しています。

水産はエビやイカです。みなさまも行かれたことがあると思いますが、回転寿司のチェーン店へ当社の商品を販売しています。調理冷食では鶏肉、特にスーパーマーケットの唐揚げなどの商品において販路を新しく増やし、売上増にもつながっています。

事業別 売上総利益

事業別の売上総利益の内訳です。4つの事業部のうち、コーヒー・飲料事業、食品事業、海外事業の売上総利益額は前期とあまり変わりません。

一方で、農産事業は、先ほどお伝えした葉物野菜や従来のレンコン、玉ねぎ、ごぼうが新規で取り扱われるようになり、大きく伸びました。コーヒー・飲料事業は、販売単価に対する価格転嫁の遅れがあり、売上総利益率が落ちています。

営業利益の減少要因について

営業利益の減少要因についてです。売上総利益は前期比プラス2億7,100万円となったものの、販売費及び一般管理費の増加が合計で3億6,000万円ありました。内訳は、人件費が1億3,000万円、物流費、減価償却費、その他となっています。

このような背景から、2025年3月期の営業利益は前期比9,700万円減の15億5,700万円となりました。

四半期 売上総利益率・営業利益の推移

四半期ごとの売上総利益率と営業利益の推移です。スライドの棒グラフのうち、左側4本が2024年3月期、右側4本が2025年3月期を示しています。

折れ線グラフは売上総利益率ですが、2024年3月期は13パーセント程度で推移していました。しかし、2025年3月期の前半は12パーセント台になり、今年1月から3月の第4四半期にようやくコーヒー相場や為替の販売単価に対する転嫁が進み、売上総利益率は改善に向かっています。

このような状況は、現在も続いています。

連結貸借対照表(資産の部)

連結貸借対照表の資産の部についてです。流動資産は、前期比18億6,600万円増の299億9,600万円となりました。内訳として、棚卸資産が19億4,900万円増加して116億6,400万円となっています。こちらは、コーヒー相場高騰の影響により在庫単価が上がったことが大きく起因しています。

固定資産は、前期比6億8,300万円増の92億3,200万円となりました。こちらは、コーヒーの焙煎を行う関連会社アライドコーヒーロースターズにおいて、新工場建設の準備に着手したことにより増加しています。

結果として、資産合計は前期比25億4,800万円増の392億3,100万円となりました。

連結貸借対照表(負債・純資産の部)

負債・純資産の部です。流動負債は、前期比24億100万円増の212億8,500万円となりました。借入金・社債が16億7,600万円増の89億4,800万円となっていますが、こちらは先ほどお伝えしたアライドコーヒーロースターズの工場建設の準備金や、棚卸資産の増加による運転資金の増加が効いています。

固定負債は、前期比5億1,400万円減の40億4,500万円で、負債合計は前期比18億8,700万円増の253億3,000万円となりました。

この結果、純資産合計は前期比6億6,100万円の139億円、負債・純資産合計は前期比25億4,800万円増の392億3,100万円となっています。

連結キャッシュ・フロー計算書 概要

連結キャッシュ・フロー計算書についてご説明します。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を13億9,000万円残したものの、棚卸資産の増加によりマイナス10億2,900万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、アライドコーヒーロースターズの工場建設準備に着手したことが大きく起因し、マイナス11億2,200万円になっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金及び社債の収支によるものがあり10億100万円となりました。

以上の結果、現金等期末残高は40億5,900万円となっています。

2026年3月期 連結業績予想

2026年3月期の連結業績予想についてご説明します。売上高は前期比5.9パーセント増の688億1,700万円、売上総利益は5.5パーセント増の89億1,800万円、営業利益は9.3パーセント増の17億200万円、経常利益は10.8パーセント増の14億8,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は9.5パーセント増の9億7,200万円と見込んでいます。

これらの結果、1株当たり当期純利益は125円41銭、配当については先日発表した「連結配当性向30パーセント」という方針に基づき、1株当たり38円を予定しています。

2030年のありたい姿に向けて

中期経営計画「SHINE2027」についてご説明します。2030年のありたい姿としては、抽象的ですが「日本で認められるいい食品会社になりたい」と掲げています。

こちらの目標を掲げたのは2022年ですが、2022年から中期経営計画を3回実行し、2030年にありたい姿を達成したいと考えています。ミッションには「世界の食の幸せに貢献します」と掲げ、取り組んでいます。

「SHINE2024」「SHINE2027」「SHINE2030」と3回の中期経営計画があり、今期は「SHINE2027」が発動しています。「SHINE」は「Sustainable(サステナブル)」「Happiness(ハピネス)」「Innovative(イノベーティブ)」「Engagement(エンゲージメント)」の頭文字を取っています。

また、社名の石光商事は「石に光」と書きますが、「光る」石光商事でありたい、そして個人個人が「光る」組織でありたいという意味も込めて、「SHINE」と名付けた中期経営計画プログラムを進めています。

ありたい姿に向けては、強固な収益基盤の構築、環境・社会の課題解決に貢献する事業の育成と収益の柱としての展開、高いレベルでのコーポレートガバナンスを実行していきます。そしてなによりも、人的資本である従業員のエンゲージメントを高めていくことを共通テーマとし、2030年に向かって走っています。

SHINE2027 テーマ

「SHINE2024」のテーマは「土台づくり」でした。3回の中期経営計画でホップ・ステップ・ジャンプと成長する中で、過去3年間は「ホップ」にあたります。

SHINE2024 振り返り

「SHINE2024」における重点施策の振り返りです。

ROIC経営を推進については、社内環境として、ROICという指標を使えるデータベースは作り上げられました。しかし、それを活用して経営戦略事業ポートフォリオを具体的に出したり、個人にまで落とし込んで共通目標を作ったりするところまでは進めませんでした。こちらは「SHINE2027」で実行していきます。

GHG排出削減を踏まえた商品力強化については、非常に難しいテーマですが着実に進めています。特に、コーヒーやコーヒー原料は、生産地で排出されるGHGの割合が半分以上と言われています。

こちらをコントロールできるように、パートナーであるサプライヤーの協力を得ながら、緑肥実験やGHG排出がより少ない肥料を使った栽培などを試験的に進めてきました。今年になって、ようやくそのように育てられた商品が入りつつあり、これから展開を進めていきます。

食品事業では、化石燃料が不使用もしくは低減された容器での包装、食品の端材をアップサイクルして商品化するなどの取り組みが進みつつあります。

事業拡大についてです。新焙煎工場建設に関しては、アライドコーヒーロースターズにおいて新工場の建設計画を立てています。肝となるのは「グリーン焙煎」です。当社グループ独自の焙煎技術を使った、自然にも人にもやさしい焙煎システムを進めるべく、目下取り組んでいます。

また、イギリスへの投資としては、JFLAホールディングスとの共同出資によりAtariya-Ishimitsu UK Limitedという合弁会社を展開しています。

社員の働きがい調査についてです。年1回の調査を通じて得られる課題に経営レベルで取り組み、従業員のエンゲージメント向上に注力しています。これは終わりなき戦いだと思いますが、引き続き進めていきます。

SHINE2024 振り返り

そのほかの重点施策として、ITインフラ強化やグループ経営の深掘りにも取り組んでいます。管理機能をグループで集約したり、さまざまな規定を石光コンセプトに準じて作ったりと、統制を強化しています。

また、分析力の向上やデータリテラシーの向上として、生産性の向上やイノベーション推進を図っています。

SHINE2027 テーマ

「SHINE2024」では、ここまでお話しした重点施策により「土台づくり」を進めてきましたが、いよいよ今期からは「SHINE2027」に入ります。「SHINE2027」は、作り上げた土台を使って「変革と実践」を起こしていく中期経営計画となります。

ガバナンスの変革と実践

ガバナンスの変革と実践についてです。2025年6月の株主総会で予定していますが、今期は監査役を含めて10人の社内外の役員体制になり、3名の女性役員が誕生する予定です。女性役員比率や多様性を含め、強固なコーポレートガバナンス体制の構築・維持に努めます。

当社のみならず、グループ全体として深掘り・実行していくことで、グループとしての戦略策定やインフラ統一による業務効率の向上、リスクマネジメントの強化を図っていきます。こうしたことを通じて、ビジネスの発展と変革を支える経営基盤作りを進めていきたいと思っています。

エンゲージメントの向上に向けた変革と実践

エンゲージメントの向上に向けた変革と実践についてです。こちらは、私が前社長の石脇からバトンを引き継いで最初に取り掛かっている部分になります。

当社グループには「ともに考え、ともに働き、ともに栄えよう」という経営理念が長らく掲げられていますが、今一度立ち止まって、この意味をみんなで考えています。

本当に「ともに」考えられているのだろうか、働けているのだろうか、「ともに」の相手は仲間だけではなく、お客さまや仕入れ先、株主のみなさま、ステークホルダー全体が含まれているだろうか、ということを振り返っているところです。

これらのみなさまと「ともに」夢中になっていこうと社員全員で考え、マインドを醸成し、中期経営計画をしっかり実行していきたいと考えています。現在は、月に1回の月例ミーティングや中期経営計画を一緒にはさむワークショップなどを通して、社員1人1人が主体的に物事を考えながら経営層と対話する機会を作っています。

みんなで「一緒に、夢中に!」なることで「光り輝く個の結集」が生まれ、組織力アップにつながると考えて実践しています。

「個」が主役になるわけですから、多様性を磨く上でも人財育成体制やDE&I、人事制度の改革を行い、エンゲージメント向上と組織力アップ、中期経営計画の着実な実行につなげていきたいと考えています。

ビジネスモデルの変革と実践

ビジネスモデルの変革と実践についてご説明します。「SHINE2024」で構築したビジネスの土台を活かして、いよいよ変革と実践を行っていこうと考えています。

1つ目の「高利益率商品へのシフト」では、商品ポートフォリオの見直しに取り組みます。先ほどお話ししたROICの指標を使いながら、市場の成長性や当社の強みを再度見つめ直し、経営層と執行陣が一丸となって進めていきます。

2つ目の「DXの推進」では、間接費管理の可視化や省人化を推進します。お客さまとの接点を増やして一緒に商品を作り上げていきたいという考えのもと、デジタルトランスフォーメーションを進めます。今期からビジネストランスフォーメーション推進本部を新設し、進める予定です。

3つ目の「GHG排出削減を踏まえた商品力強化」では、先ほどお伝えしたコーヒーの事例や食品包装容器などの取り組みを通じ、アクセルを踏んでしっかりと進めていきます。グループ全体に視野を広げ、「グリーン焙煎」を使った商品展開も積極的に進めていきます。

4つ目の「社会課題解決型商品の拡大」では、社会課題解決型商品の販売割合の向上に努めていきます。社会課題解決型商品については、後ほど詳しくご説明します。

5つ目は「グローバル展開の加速」です。日本国内のみならず、三国間貿易の拡大や輸出ビジネスの強化、海外グループ会社との協働に注力します。現在は、上海、タイのバンコク、インド、イギリスのロンドンに関連会社がありますが、彼らとの協働を積極的に進めていきたいと考えています。

社会課題解決型商品とは

「社会課題解決型商品」を当社グループで定義しました。2030年の段階で、社会課題解決型商品が全売上に占める割合を40パーセントまで持っていきたいと考えています。これにより、日本で認められる良い食品会社を目指していきます。

1つ目は、GHG削減につながるような商品です。2つ目は、フードロス削減・廃棄物を有効活用できる商品です。3つ目は、プラスチックを削減できる容器や包装製品などです。4つ目は、地域貢献できる商品です。現在は海外事業で取り組んでいますが、地域創生につながる日本の「よいもの」を海外に展開する予定です。

5つ目は人権に配慮した商品、6つ目は、生物多様性を保全できる商品です。これからの企業リスクを考えた時に、当社の柱となるコーヒーは発展途上国から仕入れているものや、気候変動の影響を受けるようなものが多いです。しっかりと社会課題・問題に向き合いながら解決しつつ、ビジネスに乗せる取り組みを着実に進めていきたいと思っています。

7つ目は、その他環境対策となります。

社会課題解決型商品とは

スライドの写真は、社会課題解決型商品に関する取り組み実例の一部です。

左上の写真は紅茶農園です。紅茶は30年から40年が経過すると生産量が落ちてきます。生産量が落ちると、当然GHGの排出も分が悪くなります。生産量自体も悪くなるため、順次幼木へ植え替え、生産性を上げていきます。こちらは主にインドのダージリン地方で取り組みを進めています。

右上の写真は玉ねぎ畑ですが、当社が取り扱う玉ねぎをお客さまに販売し、そのお客さまの加工工場で出る玉ねぎの残渣を肥料化し、再度玉ねぎのほ場で肥料として使う循環を狙ったビジネスになります。

左下の写真も玉ねぎ畑ですが、障がい者の雇用機会を作るために玉ねぎのビジネスを活用しています。

右下の写真は、ブラックタイガーというエビです。エビ養殖は人工池を作ったり人工飼料を与えたりすることで、環境問題として取り上げられることが多くなってきています。当社は粗放養殖に取り組み、自然の池や餌、プランクトンなどの自然栽培を通じてエビを養殖し、ビジネスに乗せようと取り組んでいます。

ビジネスモデルの変革と実践

ビジネスモデルの変革と実践における、石光商事グループのリソース最大活用についてご説明します。私は社長になるまでずっと営業畑におり、もともとはコーヒー生豆のビジネスでこの会社にお世話になりました。

コーヒー生豆の従来のお客さまは、焙煎業者です。コーヒー生豆を焙煎し、いろいろな喫茶店に卸したり、飲料メーカーに卸したりするお仕事ですが、この焙煎業者にもしっかりと販売します。

同時に、当社はアライドコーヒーロースターズという焙煎業者を関連会社として持っています。こちらで焙煎したコーヒー商品は海外輸出ができます。

また、従来の食品関連のお客さまである量販店・中食・外食・給食・食品問屋などにも役立てていただけます。スライドにオレンジ色の矢印で示した販路を、当社グループのリソースを活用することで強化していきたいと考えています。

食品事業においては、鶏肉・エビ・トマト・たけのこ・れんこんなどが、グループとしてのコアなビジネスの商品群になります。これらを従来の販路はもちろんのこと、原料に近い商品として食品メーカーなどに販売し、従来のお客さまには製品として販売します。また、海外輸出も一緒に手がけていきたいと考えています。

当社は社会的価値と経済的価値と両立させるとお話ししましたが、現状は非常に難しいビジネスです。社会的価値を乗せるだけで対価を払ってくれるような甘い市場でもありません。

しかし当社は、川上から川下までのサプライチェーンを有しています。これを強みとして考えた場合に、川上から川下まで知っているからこそ、価値創造ができるのではないか、社会的価値を伝えて啓蒙し、販売できるのではないかと考えています。

リソースの最大活用に関しては、再度当社グループで見直しながら実行していきたいと考えています。

ビジネスモデルの変革と実践

海外展開についてです。2028年3月期までに、海外売上高を連結売上高全体の25パーセントとすることを目指しています。現在は17パーセントですので、25パーセントまで上げることは非常に難しくチャレンジングな目標になりますが、達成に向けて努めていきます。

具体的な取り組みとして、1つ目はコアとなる商品の海外拠点を通じた販売展開に注力します。上海やタイ、インドに向けて、コーヒーや抹茶などの茶系原料のほか、水産および畜産加工品などを積極的に展開していきます。

2つ目は、コアとなる商品の海外問屋やメーカーなどへの輸出です。当社のサプライチェーンやリソースを使って三国間輸出を行い、ビジネスを強化していきたいと考えています。

加えて、実現は1年ほど先になると思いますが、アライドコーヒーロースターズで商業ベースに乗る予定の「グリーン焙煎」で作り上げた商品を、「自然にも人にもやさしいコーヒー」として海外で販売展開します。可能であれば「グリーン焙煎」というノウハウも海外の焙煎屋やメーカーに輸出します。

これらの取り組みを通じて、目標を達成していきたいと考えています。

SHINE2027 想定されるリスクへの対応

コーヒー事業に関するリスクについてです。気候変動が取り沙汰されている中で、気温上昇により、2050年までにコーヒー栽培地の栽培面積が半分になるかもしれないという問題があります。これは「2050年問題」と呼ばれています。

冒頭でもお話したとおり、当社グループにとってコーヒーは非常に重要な商品でありコアコンピタンスです。だからこそ、我々ができることを行っていかなければならないと考え、「グリーン焙煎」という取り組みをゼロから起こしました。

SHINE2027 想定されるリスクへの対応

脱炭素に向けた取り組みについてです。コーヒーの抽出残渣を「コーヒーグラウンズ」と呼びますが、こちらを乾燥して固めて燃料化し、ペレット化することで多くの熱源を生み、商業ベースに乗せる取り組みを行っています。

非常にチャレンジングな取り組みではありますが、いよいよ大型の焙煎機を開発できる状況になりつつあります。こちらは兵庫県小野市に新設する焙煎工場で導入し、展開しようと考えています。

化石燃料の使用を削減することでGHGが削減できることはもちろん、コーヒーグラウンズの燃料化は大きな理想の実現につながります。

現在は水素焙煎などのいろいろな方法がありますが、それらの方法はインフラが重要になってきます。しかし、コーヒーペレットの場合はコーヒーペレットの燃料と、それを用いて焙煎する焙煎機の2つが揃えば場所は選びません。

今後のコーヒー業界に、このスキームを広げていけたらと考えています。

SHINE2027 連結業績

ご説明してきたガバナンスやエンゲージメント、ビジネスモデルの変革と実践を通じて、2028年3月期の売上高は740億円、2025年3月期比で14.0パーセントアップを目指します。売上総利益は20.2パーセントアップの101億円を目指していきたいと考えています。

SHINE2027 目標とする指標

2028年3月期に目標とする指標についてです。売上高は740億円、営業利益は22億5,000万円、営業利益率は3.04パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は12億7,000万円を目指します。

ROEは8パーセントから9パーセント、ROICは4パーセントから5パーセントを目指し、なによりもPBRを1.0倍以上に持っていくことが目標です。

SHINE2027 財務戦略~成長投資~

成長投資として、新工場の建設についてご説明します。場所は兵庫県小野市になります。関西アライドコーヒーロースターズと東京アライドコーヒーロースターズが合併し、現在はアライドコーヒーロースターズという名前となっている関連会社において、新しい工場の建設を予定しています。

この工場は脱炭素に向けた「グリーン焙煎」への取り組みを強化した工場で、当社グループ全体で安定した、地球環境にやさしい商品の供給を実現します。当社の取り組みとして、よりシンボリックな商品提供が可能になると考えています。

投資額について

工場への投資予定額は48億円です。ただし、2024年に経済産業省の「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金事業」に応募し、採択されました。対象経費は、建物、設備、機械装置等ですが、それらの総額の3分の1が補助されます。

こちらは推定ですが、15億円ほどが補助金の対象となる予定と見ています。

工場建屋について

スライドのイメージは、2026年12月末に兵庫県小野市にできるアライドコーヒーロースターズの工場完成予想図になります。操業開始は、2027年3月を予定しています。

SHINE2027 財務戦略~株主還元~

株主還元についてご説明します。先日発表したように、2026年3月期は連結配当性向30パーセントを目安としており、1株当たりの配当金は38円を予定しています。今後は連結配当性向30パーセント以上を目標にして、グループ一丸となって中期経営計画を実現していきたいと考えていますので、引き続き力強いご支援をいただけましたら幸いです。

長くなりましたが、以上で決算概要と業績見通し、「SHINE2027」のご説明を終わります。本日はどうもありがとうございました。