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山部清明氏(以下、山部):みなさまこんにちは。株式会社Fast Fitness Japan 代表取締役社長の山部です。どうぞよろしくお願いします。本日は2025年3月期決算説明会に多数ご参加いただき、誠にありがとうございます。

スライドの項目に沿ってご説明します。

企業理念(PMVV)

この度、企業の背骨でもある、当社が目指す企業理念について再定義し、明文化しました。「パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(PMVV)」です。今年4月に新しく制定しましたので、PMVVの共有から始めます。

PMVVは当社の存在意義や価値観をより明確にするため、全社員が策定プロセスに参加しています。全国各地で十数回とワークショップを行い、全員の意見を反映させ、完成させたものになります。「ヘルシアプレイスをすべての人々へ」の実現に向け、成長戦略を加速していきます。

25/03期 ハイライト

2025年3月期決算のハイライトと中期経営計画の進捗状況についてご説明します。

まずはハイライトです。2025年3月期は、前年の2024年5月に公表した3ヶ年の中期経営計画の初年度になります。当社には2つの軸があり、1つは既存の中核事業である国内エニタイムフィットネス事業における一層の拡大、強化による成長の維持、加速です。

もう1つは、新たな成長領域である海外事業の展開、さらに新ブランド「The Bar Method(ザ・バーメソッド)」、EC・物販事業といった各事業への投資、育成です。これらの両輪によって持続的な成長を目指しています。

そのため、2025年3月期は新たな成長領域の開拓に向けた投資を戦略的に行ったことから、どうしても費用が先行してしまうため、もともと前期比で減益の計画となっていました。

スライドの図は当社の成長戦略に沿った売上成長のイメージを表しています。2025年3月期は計画に沿った成長投資をすべて実行してきました。海外、新ブランド、EC・物販の各事業を開始しており、後ほど詳しくご説明します。

25/03期 ハイライト:連結業績

連結業績です。売上高は前期比で13.8パーセント増の180億円となりました。営業利益以下の各段階利益は、計画どおりではありますが減益となっています。ただし、予想レンジの中で着地しており、計画にしたがって進んでいるとご理解いただいてけっこうです。

25/03期 ハイライト:エニタイムフィットネス

エニタイムフィットネスについてです。中核の国内エニタイムフィットネスと、今期から展開を開始した海外エニタイムフィットネスの話になります。

国内は引き続き非常に順調に伸びていて、ご覧のように、店舗数、さらに会員数も非常に増えています。店舗数は3月期末で1,194店舗です。会員数については97万4,000人と、この1年で13万3,000人の増加となり、非常に順調に進んでいます。

海外はドイツとシンガポールの2ヶ国がありますが、ドイツでは日本と同様にマスターフランチャイズ権を持っており、今後、ドイツ1ヶ国を丸ごと当社が開拓することができます。

特にドイツでは、出店に向けた下準備として店舗開発やFC開発、さらに体制構築をしっかりと行ってきました。3月末時点で区切ると、ドイツ、シンガポールともに買収した時と数は変わっていませんが、直近ではだいぶ増えてきました。こちらは後ほど詳しくご説明します。

25/03期 ハイライト

エニタイムフィットネス事業の売上高と営業利益です。売上高は、国内エニタイムフィットネス事業の強い成長が牽引しており、各四半期において前四半期を上回り推移し続けています。

営業利益については、成長投資をより多く実行した上半期では前年同期比で減少していますが、第3四半期以降は増益に転じています。

25/03期 ハイライト

今回から新しい図をお見せします。当社のビジネスについてご理解いただきやすくなるように作成しました。

既存事業では中核の国内エニタイムフィットネス事業の一層の拡大、強化による成長の維持と加速、そして新たな成長領域では海外事業、新ブランド(TBM)事業、EC・物販事業の投資・育成という両軸で回しています。

中期的には成長戦略の維持、長期的には市場や商圏の拡大を視野に入れ、戦略的な投資を行っていくことになります。

さらに、既存事業と新たな成長領域に分けて計画比、実績比がそれぞれどのようになったのか参考として見ていただける図となっています。各事業とも計画どおりの実行となっているか、あるいは業績への貢献度合いによって評価し、「◎」「○」「×」「△」で示しています。

上段の売上高をご覧ください。国内エニタイムフィットネス事業は非常に高い目標を設定し、チャレンジしてきました。そのため、99.9パーセントと若干足りませんでしたが、アグレッシブな計画にほぼ沿うかたちで終了しており、前期実績比111.9パーセントと、力強い成長が続いていることが読み取れます。

新たな成長領域に関しては各事業を計画どおりに開始することができました。一方、本格的な展開に向けた準備にかなりの時間を要してしまったため、結果は大きく未達になっています。これは準備期間が大きく後ろ倒しになったことが主な要因で、後ほど詳しくご説明します。

下段の営業利益では、国内エニタイムフィットネス事業が牽引するかたちとなっています。2026年3月期における新たな成長領域への取り組みには引き続き十分な投資を行っていきます。事業成長に向けた育成へ、より重きを置いた事業展開にシフトしていきます。

前期は、まずスタートすることが主な目的でした。今後はそれを力強く、これからの成長軌道に持っていく流れになります。

株主還元 / 配当

配当は2025年3月期の余剰金の配当1株あたり25円としました。中間期の20円とあわせて年間通して45円としています。その結果、連結の配当性向が41.6パーセントとなっています。

2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の当社の株価推移

当社の株価推移です。2025年3月期まで、つまり今年の3月末までの推移をお示ししています。当期はプライム市場の上場維持基準への適合も非常に重要な経営課題でした。そのため、中期経営計画に沿った成長戦略の着実な実行と、投資家の方々に当社および当社事業への理解を深めていただくため、IRやPR活動を強化してきた1年でした。

幸いなことに、当社の株価はTOPIXや日経平均と比較して継続的にアウトパフォームすることができ、市場環境が不安定、不透明な中においても相対的に堅調に推移したのではないかと考えています。

プライム市場の上場維持基準への適合状況

すでに公表しているとおり、3月末時点において、プライム市場の上場維持基準のすべての項目に適合することとなりました。

今後もプライム市場上場企業として、中期経営計画を着実に推進し、企業の持続的な成長を図りながら、安定的に上場維持基準に適合するような運営に努めていきます。

25/03期 サマリー

2025年3月期連結業績のサマリーです。冒頭でもご説明したとおり、中期経営計画に沿った成長投資を進めていく中で費用先行となっていますが、国内エニタイムフィットネス事業が引き続き堅調に推移し、全体を引っ張ってくれています。その結果、前年同期比で売上高を大きく伸ばしています。

一方、利益面は計画どおり減益ですが、減益幅が抑制される結果となっています。数字についてスライドに記載のとおりです。

売上高内訳

売上高の内訳についてご説明します。当社の特徴として、ロイヤリティ収入や会費収入から構成されるストック型の安定した収益モデルがあります。売上高の85.9パーセントがストック収益になっており、非常に安定して高収益を続けられるモデルとなっています。

また、FC売上の一部が前年同期比で減収となっていますが、これはエニタイムフィットネス公式アプリのリリースに伴い、従来は商品売上だったものが、「アクセスパス」を選択された方の売上についてはロイヤリティ収入に変更されているためです。

FC売上の全体で見れば前年同期比11.8パーセント増と、こちらも力強く伸びています。

四半期推移:売上高・営業利益/EBITDA

売上高、営業利益/EBITDAの四半期推移です。売上高は右肩上がりの成長です。営業利益とEBITDAは、より強い投資を行った第1四半期と第2四半期、およびそれ以降で、推移の変化がご覧いただけるかと思います。

四半期推移:販売費及び一般管理費

販売費および一般管理費です。より強い成長投資を行った第1四半期以降も投資は継続していますが、売上の推移を見ながらコストコントロールを確実に行いました。

販管費の最適化は常に進めており、事業規模の拡大により、販管費は前期比24.8ポイント増です。販管費比率は前期比5.9ポイント増で24.8パーセントとなっています。

営業利益 増減分析

営業利益の前期実績との増減分析です。成長投資を強化する中、どうしても費用が先行してしまうため、前期比で減益となっています。人件費、業務委託費、広告宣伝費の減益要因は、主に現在実施している成長投資および育成に関わる部分となっています。

投資計画の進捗

中期経営計画の3年間における投資の進捗状況です。3年間で96億円程度の投資を計画しており、初年度の2025年3月期実績は37億円となりました。

何にいくら投資したかの詳細ですが、国内エニタイムフィットネス事業のさらなる成長へ向けた投資は継続して行っています。それに加えて、新たな成長領域への投資も計画に沿って着実に進めているところです。

BS概況

BSの概況です。自己資本比率は63.4パーセントと、引き続き高い財務健全性を保持しています。

CF概況

CFの概況です。中期経営計画で掲げている成長投資の着実な実行により、費用先行となっています。そのため、フリー・キャッシュフローは前期比22億2,700万円減の3億2,600万円となっています。

国内エニタイムフィットネス事業の売上高・営業利益の推移

中核である国内エニタイムフィットネス事業についてご説明します。新たな成長領域と位置づけて今期から開始した各事業は費用先行となるため、従来のように全事業が混じり合っていると、各事業の状況がわかりづらいと考えました。

そのため、中核である国内エニタイムフィットネス事業の貢献度を可視化できるように、同事業だけを切り取ったグラフを参考資料としてスライドにお示ししています。売上高と営業利益の推移が明確にご覧いただけるかと思います。

結論として、2025年3月期の国内エニタイムフィットネス事業は、増収増益かつ過去最高益で着地しています。今後も引き続き力強い成長を期待できるだろうと思っています。

店舗数 四半期推移

店舗数の四半期推移です。2025年3月期も安定的な出店計画と店舗拡大が図られています。3月末時点で全国1,194店舗と、1,200店舗目前となっています。

新規出店は期首で75店舗程度を見込んでいました。最終的には71店舗と若干の未達になっていますが、期ずれが起こったことなどを合わせると、年間を通してほぼ計画どおりに進捗しており、引き続き安定した新規出店が行われているとご理解いただいてよいかと思います。

24時間ジムのカテゴリにおいて他ブランドでも多数の店舗拡大が続いていますが、その中にあってエニタイムフィットネスは圧倒的、安定的に店舗拡大が図られているとご理解いただけたらと思います。

会員数 四半期推移

会員数の四半期推移です。3月末時点で97万3,572人となり、まもなく100万人に届きます。退会した会員数も含めて底上げすることができ、前年同期比では13万2,771人の増加です。

会員数100万人突破へ「エニタイム YEAR」スペシャルキャンペーン

足元の会員数と増加ペースから計算すると、今年5月下旬には国内エニタイムフィットネス会員が100万人を突破する見込みです。

そこで、100万人突破を記念した特別キャンペーンを実施するほか、今年度を「エニタイム YEAR」と位置づけ、これまでの感謝の気持ちを込めたスペシャルキャンペーンを、年間を通じて開催する予定です。乞うご期待ください。

全国プロモーション展開(CM、web広告、SNSCP)

国内エニタイムフィットネスの全国プロモーションです。1回目は2024年3月期の12月から1月にかけて実施しました。TVCMなどを展開し、大きな反響をいただきました。2回目は2025年3月期の6月から7月と、12月から1月の2回に分けて実施しました。

当社が戦略的に行うマーケティング投資は、3月末で1,200店舗近い店舗数で、47都道府県すべてをカバーしています。その基盤を有していることからも、我々は24時間ジムのパイオニアとして、この市場を牽引しているつもりです。

類似したブランドはありますが、エニタイムフィットネスはブランド力や規模感を最大限活用した効果的なプロモーションを行い、それらを継続しながら認知度の向上と会員獲得の最大化を図っていきます。

店舗数に加え、1店舗あたりの会員数も相変わらず勢いよく伸びています。我々の8割近い店舗はFC展開していますので、つまり、FCのオーナーも出店意欲が強いままであり続けます。

店舗数や会員数が増えることで、FCオーナーの収益はますます上がっていき、さらに新しい店舗を出店しやすくなります。そのような好循環のサイクルを作り出し、それを継続して支えながら回していくことが我々のプロモーションの位置づけです。

全国プロモーション展開 振り返り①

2025年3月期の計2回のキャンペーンでは、新規入会者の増加において非常に高い成果を生み出すことができました。

スライド右側の折れ線グラフは1店舗あたりの会員数を表しています。コロナ禍前の2020年3月期は811名でしたが、新型コロナウイルスの影響で一気に2割くらい減少しました。それが毎年増えていき、2025年3月期はコロナ禍前の811名を超え、818名まで伸ばすことができています。

全国プロモーション展開 振り返り②

2025年3月期に実施した計2回の全国プロモーションでは、メディアミックスに変化を加えていろいろ分析しました。2026年3月期の全国プロモーションでは、蓄積された見地を活かしながら、地域特性をよく見て、最適化したマーケティング施策を展開するつもりです。

地域ごとに認知や成長の格差がありますので、それらを是正するため、どこのボタンをどれだけ何回強く押すと一番成果が上がるのか、そのような視点から効率良くマーケティング投資を行う予定です。

参考までに、スライド右側の円グラフもご覧ください。国内エニタイムフィットネス会員の年齢構成比と男女比をお示ししています。国内エニタイムフィットネスのコアターゲットである20代から40代で全体の84.1パーセントを占めています。若い世代の方々から非常に高い支持率を得ているということです。

もちろん我々は老若男女すべての方に使っていただくための施策を行っていますが、結果的に非常に若い方々に支持をいただいている結果になっています。

AFアプリの利活用促進

ますます進化している2024年8月にリリースしたエニタイムフィットネス公式アプリについてご説明します。

スライド左側の棒グラフはMAU(Monthly active users)、つまり毎月アクティブに使っているユーザー数を示しており、リリース後も安定的に伸び続けています。中でも入館時に鍵を携帯で開ける「アクセスパス」を利用する方が、非常に安定して伸びているところです。

アプリにはいろいろな機能が付いています。今期は、店舗とのコミュニケーションの活性化、予約、会員満足度の向上などを狙っています。

ほかにも、コミュニケーションの中からいろいろなニーズをいち早く汲み取り、アプリのカスタマイズでアプローチできることなどを考え、実行中です。そのような取り組みから、会員を辞める方を少なくする施策を打ち続けており、その効果として1店舗あたりの在籍数が伸びています。

新規獲得するだけではなく、新規獲得した方を辞めさせないように努力し、最終的には1店舗あたりの会員数が伸びるという成果に結びついているため、今後もエニタイムフィットネス公式アプリは活用の幅が広がってくると考えています。我々自身も非常に楽しみにしているところです。

店舗の有料サービスであるパーソナルトレーニングも予約できるため、より付加価値の高い使い方を積極的に推奨していく流れになると思います。

海外事業:ドイツ

当社が位置づける新たな成長領域における各事業の取り組みについてご説明します。まずはドイツです。

ドイツでは、昨年の4月に既存の会社を買収しています。その時点では1店舗しかなく、所属していた2名から3名の従業員も当社が引き継いでいます。新しい人を雇って社長に就任してもらい、組織を構築してきました。

ドイツではマスターフランチャイズ権を持っているため、当社がドイツ1ヶ国を全部開拓できますが、本当にたくさんの準備が必要で、いろいろなものがない状態からのスタートだったため、店舗開発やFC開発の体制構築に思った以上の時間がかかりました。

特に、ドイツは国民のフィットネス参加率が14パーセント程度と日本より断然高く、競合もその分激しいため、しっかりと準備をしてきました。

そのため、2店舗目、3店舗目の展開が遅くなってしまったのですが、ここに来て、今年の4月にはデュッセルドルフの南に直営2号店目のGUMMERSBACH店を開店することができました。8月には直営3号店目のBorken店、そして10月には直営4号店目のHamm店を出店する契約を済ませています。

あとは建築にかかって、いろいろなマーケティングにプリセールと、オープンに向けてどんどん盛り上げていこうと進んでいます。

また、新規でフランチャイズ加盟店の契約を1件済ませており、候補としては6社、7社に待っていただいているような状況です。そのため、これからの本当の成長に向けた足場が整いつつあるとご理解いただけたらと思います。

今後は、国内の代理店に加えて、ドイツでの成長について定期的にアップデートできるような日が、まもなく来るのではないかと我々は期待を膨らませています。

海外事業:ドイツ直営第2号店

4月にオープンしたドイツ直営第2号店のGUMMERSBACH店について、スライドに写真を掲載しています。前テナントのフィットネスジムの閉店に伴って我々が引き継いでいます。

前フィットネスジムからは資産の一部を取得しています。こちらは非常に広いジムなので2,000名くらいの会員がいたのですが、それをほとんど取りこぼすことなく、オープン時の会員数は2,100名からスタートすることができました。

1店舗でこの数字は日本では考えられないのですが、非常に大型店のため、それくらいの会員がいてもしっかり賄うことができ、幸先の良いスタートを切ることができました。

店舗は建物の2階にあり、1階には理学療法クリニックが入っています。ドイツにはおもしろい仕組みがあり、理学療法クリニックに行って何か問題があったら、そのままフィットネスジムに行って弱ったところを鍛え、筋肉を強化するというプログラムが一般化しています。そのため、「理学療法クリニック+フィットネスジム」というのは組み合わせとしてよくあるパターンです。

この場所の特徴は、超大型スーパーマーケットに隣接しており、駐車場も百何十台分くらいあるため、人の出入りも多く視認性が高く、今後も非常に良い運営ができるのではないかと思っています。

海外事業:シンガポール

シンガポールでは、2店舗のFC展開をしていたSAYA社を昨年の4月に買収しました。こちらは、海外人材や海外におけるエニタイムビジネスのノウハウを習得する、あるいは将来に向けて海外人材を育成する場を取得することを目的とした買収です。

定期的に日本から何名か送り出して、そこで1年から2年がんばってもらい、またどこか違う外国に行ってもらうような流れも想定しています。アジアの一番のハブであるシンガポールにはいろいろな情報が入ってくるため、しっかりキャッチアップできる体制を整えていきます。

ただ、2店舗だけだとやはり規模が小さすぎるため、さらに1店舗オープンすることにしました。シンガポールでも非常に巨大なレベルの高いナンヤン工科大学のキャンパス内に新しくエニタイムフィットネスのFC店舗を出店します。

出店は7月の予定ですが、キャンパス内だけで何万人の学生さんや教授、家族がたくさん住んでいる大きな町になっているため、期待できるのではないかと思っています。

新ブランド:The Bar Methodの展開

新ブランドの「The Bar Method」についてです。直営第1号店を自由が丘にオープンしました。国内のマスターフランチャイズ権を我々が持っているため、今後のFC展開を見据えて育成を図っていきます。

「The Bar Method」はピラティスやヨガの要素に加えて、理学療法的なサポート、解剖学、そして運動学までと、人間のボディについて深掘りして考え尽くした筋力トレーニングを開拓しているため、非常に評判が良いと思います。

これは我々としても新たなチャレンジで、スタジオでのプログラムや店舗のオペレーション、あるいはインストラクターの養成などを構築するために、将来のFC展開を見据えて、まもなく6月に、二子玉川の駅の近くに2号店をオープンします。

自由が丘と二子玉川の両店舗で相互利用ができるようなオペレーションを確立し、これで確かなノウハウが積み重なったら、FC展開を開始したいと思っています。

EC・物販事業:公式オンラインストア「A PROP」オープン

EC・物販事業です。公式オンラインストア「A PROP(ア プロップ)」は当初、昨年の10月にオープン予定でしたが、海外とのいろいろな調整や交渉があったため、結局12月までスタートがずれ込みました。商品が一番売れる時期を逃したことで、最初は売上が芳しくありませんでした。

一方、現在は商品カテゴリを増やしたり、今年度の上半期にはプロテインやサプリなどを続々と投入したりして、成長軌道に乗せていくことを考えています。

また、FC店舗との協力や、たくさんリピートいただけるようにサブスク製品も強化していきますので、乞うご期待いただけたらと思います。

EC・物販事業:公式オンラインストア「A PROP」オープン

「A PROP」商品を直営店舗でポップアップ展開したり、店頭自動販売機を設置したりするなど、いろいろな施策を行っています。「このようなやり方がうまくいきそうだ」という感覚もかなりつかめてきました。

また、BtoBで法人向けの卸売りも開始しており、引き合いもたくさん来ています。今後、どのように展開していくのか、いろいろなオプションを検討し、少しずつトライアルを重ねている状況です。

26/03期 通期業績計画

2026年3月期の通期業績計画です。今期は2024年5月に公表した中期経営計画の3ヶ年計画の第2期目になります。戦略および数値目標は基本的に維持する方針です。

2025年3月期は、国内エニタイムフィットネス事業、さらに新たな成長領域での投資・育成においては、特に海外事業のドイツで店舗拡大に向けた本当に強い手応えを感じています。

新たな成長領域に対しては、今後も十分な投資を継続しながら、各事業を育成して大きくする方向にシフトしていきたいと思っています。

そのため、引き続き外的要因や短期的な業績の変動も考慮し、2026年3月期はレンジでの予想としました。レンジの上限が中期経営計画の第2期目の数値目標となっています。

なお、配当に関してはこれまでと変わることなく45円としています。業績予想から計算した配当性向は、41.7パーセントから42.9パーセントの水準になるかと思います。

サマリーとしては、足元の国内エニタイムフィットネス事業は、店舗数も会員数も過去最高を更新しながら、非常に盤石な基盤を築いています。これからもさらに伸ばしていきます。

その確かな収益力を土台に、海外事業、新ブランド事業、EC・物販事業などの新たな成長領域へも積極的に投資し、それらが着実に立ち上がっていくように運営していきます。

これからも、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ」という我々のパーパスのもと、持続的な成長を実現していきますので、引き続き当社の挑戦にご期待いただき、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:海外事業の出店が遅れた要因について

司会者:「海外事業の出店が遅れた要因について教えてください。また、その要因は今期において解消される見込みでしょうか?」というご質問です。

山部:先ほども少しお話ししましたが、ドイツにおいて買収は1年前の4月に完了できたのですが、人員のやりくりや体制の構築、あるいはビジネスパートナー探しにかなりの時間を要しました。

現在はメンバーも揃って、新しいリーダーシップの社長のもと、本当に良い結果が出てきています。具体的なお話として、2店舗目で2,000人以上の会員数からスタートすることができました。3店舗目と4店舗目は契約も完了して、今年の8月と10月の出店に向けて準備に取りかかっています。

そのような中で、「着実に売上が上がっていく」「店舗もどんどん拡大していく」と予感しています。また、予感だけではなく、毎週のミーティングで新規物件の紹介であったり、新しいFCの候補者の名前について説明を受けたりと、現在どんどん進んでいます。したがって、ドイツにおいては今後も非常に期待できるのではないかと思っています。

他方、シンガポールに関しては、2店舗では足りないので3店舗目を出店し、その中でいろいろなトレーニングや将来に向けた準備を進め、しっかり収益も上げられるように考えている状況です。

質疑応答:当期純利益の減少予想について

司会者:「今期の当期純利益が減少する計画となっているのは、何が要因でしょうか?」というご質問です。

山部:店舗の減損などの要因もありますし、数字として非常に保守的に見ているところがあります。

楽観的な数字を見て発表するというよりも、非常に堅実に読んでいるとご理解いただければと思います。

質疑応答:今期の出店計画について

司会者:「今期の計画において、国内の店舗数と会員数の前提はあるでしょうか? また、今期の出店計画全体について、可能でしたら店舗数も具体的に教えてください」というご質問です。

山部:2025年3月期の新規出店は71店舗でした。実際に、今後も70店舗くらいは毎年出店していく計画を持っています。そのうち15パーセントくらいが直営店、それ以外の85パーセントがFC店になるかと思います。

幸いなことに、会員数は本当に順調に伸びており、割合として毎年2桁ずつくらいは伸びています。今期も同様のペースが続くだろうと見ています。

非常に力強い指標としては、1,100店舗くらいの店舗数があったところに70店舗が加わったということです。加えて、それにもかかわらず1店舗あたりの会員数がぐっと伸びており、売上は、前期比でおよそ13パーセント増の伸び方をしているのです。

店舗数では前期比で6パーセントくらいしか伸びていない中、売上がその倍くらい伸びているということは、やはり1店舗あたりの会員数が押し上げてくれています。

そこに新事業も加わってきているということで、店舗数に限って言うと、今後も同様のペースで伸びていくように考えています。

また、先ほどご説明したように、今期もキャンペーンなどを積極的に行っていきます。それによってエニタイムフィットネスの名前がより広く知れわたり、「フィットネスに行くなら、やはり近くにあるエニタイムフィットネスだよね」というかたちで選んでいただけるように、オペレーションもしっかり磨きながら、業績を伸ばしていきたいと思っています。

質疑応答:物価高の状況下での新規顧客の獲得について

司会者:「物価高の中で、節約のためにジム費用の削減が上位候補に挙がる可能性があり、また競合も値下げ競争に走る中、今後の新規顧客の獲得をどのように強化していく予定でしょうか? 外から見ていても競合との違いはあまり見受けられないように思います。私の通っている外資系ジムも開設1年で早くも大幅値下げを行いましたが、会員が増えている印象はありません」というご質問です。

山部:まず、我々のこれまでのオペレーション、エニタイムフィットネスがここにあるとします。その近くに、似たようなフィットネスジムができたとします。そこの値段が我々より何千円も安いというような状況は多々あります。

そのような時に起こることは、一瞬だけ何十人から何百人のお客さまが我々から離れて、向こうに行ってしまいます。ただ、3ヶ月から4ヶ月すると、ほとんどの方が戻ってこられます。その時、実は最初よりも会員数が増えているという状況があり、それで各店舗が運営できています。

それでは、その状況はなぜ起こるのかということです。我々はそのような存在ではないのですが、スターバックスを例に取ると、やはりエニタイムフィットネスに通う方が競合と比較して、ジムで運動していてどのような「体験」をしているのか、それがおそらくオペレーション、店舗設計、あるいはトレーニングマシンの差、そして顧客対応の差として表れるのではないかと思います。

そのようなことの積み重ねで、「価格がちょっと高くても、やはりエニタイムフィットネスのほうが良いな」「何か居心地が良いな」「ここが好きだな」「良いマシーンが揃っていて、いつもピカピカに磨いてあって、たくさんの人が楽しんで運動している中で、自分もその仲間でいたいな」という思いが強くなるのではないかと思います。

我々の最大の売りは、何もロケーションやブランド、トレーニングマシンの品質などではなく、やはりその空間を作るために、すべての人が全力で支えているところではないかと思います。

もちろん価格は安いほうが良いのですが、高いならその分だけ付加価値を提供できる、あるいはユーザーの方に感じ取ってもらえるオペレーションをしていこうということです。我々は競合の値下げに追随して値下げをするようなことはしません。

その代わり、払っていただいたお金に見合うだけの価値を提供するために、今後も努力を続けていきたいと思っています。そのようなことを話すためのサポートになる数字が、今、業績として表れていると思います。

質疑応答:他業態の展開について

司会者:「今後は『The Bar Method』のような他業態の展開も積極的に増やしていく方針なのでしょうか?」というご質問です。

山部:一言で言うと、今は計画していません。特に前期は、いろいろな新しいことを一挙に始めました。海外事業やEC・物販事業、そして新ブランドの「The Bar Method」を始めました。

それぞれ違う分野で、全員がすべての事業に取り組んでいるというよりも、新事業に専属で雇った人、あるいは配置替えをしてそこにフォーカスしてもらっている人がいるからこそ、そのようなことができています。

ただ、先ほどもお話ししたように、始めたのが前期であって、今期はそれを大きく成長させる一年にしていかなければならないと思います。

そのためには、あれもこれも一度に、中途半端にするのではなく、「これはここまで行こう」としっかり決めながら、今年は一歩一歩ゴールに近づいていくような運営をしていきたいと思います。

質疑応答:新年度の広告費について

司会者:「新年度の広告費の予想を教えてください」というご質問です。

山部:広告費に関しては前期並みを考えています。「どのボタンをどれだけ、どの頻度で、どれだけ強く押すと一番上がりが良いか」というような感覚をつかめてきているため、より効率の良い使い方ができるのではないかと思っています。

質疑応答:海外事業の利益について

司会者:「前期と新年度の海外事業の営業利益と損失額、利益予想についても教えてください」というご質問です。

山部:海外事業については具体的な数字は公表はしていません。ただ、前期は費用先行でしたが、新店舗やいろいろな数の広がり方がくっきりと目に見えて確認できるような流れになってきているため、今後はなるべく早く改善して、収益に貢献できる体制にしていくのが今年の目標になります。

質疑応答:今後の出店余地の考え方について

司会者:「今後の出店余地の考え方について教えてください」というご質問です。

山部:出店については、我々が探して新たに店舗開発する方法に加え、M&Aという方法も考えていきたいと思っています。お話自体は実際にたくさんあるのですが、すでに我々の店舗がある場所と重なっていることがほとんどです。そのような点も考慮しながら、積極的に考えていきたいと思っています。

我々は、まだ店舗が出店していないエリアを「ホワイトスペース」と呼んでおり、全国地図で俯瞰するとそのようなエリアがまだまだたくさんあります。東京においてもホワイトスペースはあるのですが、東京を出たところにもやはり数多く存在しています。

我々が目指すところは、会社の近くにも、自宅の近くにも、旅行や出張で行っても、どこにでもエニタイムフィットネスがあり、いつでも会員であることのメリットを最大限享受できる、そのような体制を全国に網目のように張り巡らすことです。

山部氏からのご挨拶

山部:本日は、お忙しい中お時間を取っていただき本当にありがとうございます。先ほどの繰り返しにもなりますが、我々の国内における一番大きなビジネスであるエニタイムフィットネス事業は、非常に頑強な基盤を作っており、それがまだまだ膨らんでいく成長途上にあります。

その間に、新しいところをどんどん開拓して、新しい事業の柱を建てていきます。近いうちに、大きな柱がエニタイムフィットネスで、それをサイドで補完する新しい柱がどんどん建っていき、それがまた大きくなり、全部合わせると本当に頑強なしっかりした安定感ある成長が望めるような企業体を目指していきます。

引き続き、ぜひ応援のほどよろしくお願いします。本日はありがとうございました。