決算ハイライト

富永邦昭氏:ヒューマンクリエイションホールディングス、代表取締役社長の富永です。本日は、2025年9月期第2四半期の決算についてご説明します。最後までよろしくお願いします。

まず、2025年9月期第2四半期の決算ハイライトです。売上高は前年同期比で16.3パーセント増の20億5,700万円、営業利益は同22.7パーセント増の1億6,500万円となりました。特に戦略領域の売上高は35.5パーセント増加し7億5,200万円と順調に進捗しています。

なお、第2四半期累計の売上高は40億7,100万円、営業利益は3億7,800万円で、それぞれの進捗率は、のちほどご説明する通期業績予想の修正値に対し、売上高が45.7パーセント、営業利益が59.6パーセントとなっています。

事業ハイライト

2025年9月期第2四半期の事業ハイライトです。

当社が成長エンジンとして注力している戦略領域は、このスライドでお示ししたとおり順調に進捗しており、第2四半期における戦略領域の売上高構成は36.6パーセントでした。加えて、約10億円で株式を取得し完全子会社化したHCフィナンシャル・アドバイザー(以下、HCFA)が4月1日より連結開始となったことで、戦略領域への事業転換がより一層進む予定です。

通期業績予想の修正

4月1日に連結子会社化したHCFAの売上高を加算し、通期業績予想を修正しました。

修正後の売上高は89億600万円(期初計画比プラス3億円)と、買収初期であるため慎重な見通しを織りこみ、HCFAに係るのれん償却費と新規連結貢献は概ねオフセットされるため、営業利益は期初予想値を据え置いています。

また、親会社株主利益については、約7,700万円の投資有価証券評価損を修正予想に反映しています。これは、2023年4月25日に公表した株式会社アドバンスト・メディア(3773)との資本業務提携に関連し、両社が互いの株式約1.5億円分を市場買付し保有していましたが、昨今の株価下落を受け2025年3月末時点の株式評価額が低下したため、第2四半期決算において約7,700万円の投資有価証券評価損を認識したことによるものです。

インベストメント・ハイライト

こちらのスライドでは、当社の魅力を簡潔にまとめています。

まず、事業面では、M&Aや会社新設を通じて上流から下流まで多彩なソリューションを揃え、過去5ヶ年でCAGR20パーセントの営業利益成長を実現してきたこと、またロングテールな顧客基盤を抱え特定顧客・業種の業況やマクロ環境に左右されにくいポートフォリオであることが特筆できると考えています。

財務面では、ROE30パーセント超を継続する高い資本効率や、連続増配・機動的な自己株式取得と株主還元にも前向きな点が特徴です。一過性の評価損を除く調整後PERは足元9.6倍と1桁に留まっていますが、このような事業・財務面の魅力が投資家のみなさまに認知・理解されることで、株価のさらなる再評価も期待できるのではないかと考えています。

株価動向と株主状況

当社の株価動向と株主状況です。

昨年11月に発表した新・財務資本戦略に基づき、同12月に自己株式の取得を発表しました。2025年4月、米国関税ショックが起こりましたが、当社の事業・財務面の魅力が投資家のみなさまに認知・理解されてきたこともあり、影響は限定的であったと認識しています。

2025年3月末時点の株主構成状況は、これまでどおり個人株主さまが過半を占めていますが、一般法人と金融商品取引業者が増加傾向にあります。なお、2025年4月16日付けで提出された光通信株式会社の大量保有報告書において、当社株式の5.09パーセント相当を保有していると記載がありました。

IR活動・スケジュール

2024年11月に中長期経営方針および新・財務資本戦略の発表を行って以降、IR施策についても一層の拡充に努めています。2025年9月期は積極的なIRを実行に移すことで、当社の認知度拡大を図るとともに、既存株主さまへのご説明の機会を増やしていきたいと考えています。第2四半期決算発表以降も引き続きIR施策を継続していきます。

AGENDA

本日のアジェンダです。まずは、第2四半期の業績とトピックスとして3月に発表した新規M&Aの狙いについて、そして2025年9月期通期計画の進捗状況をご説明します。

25/9期 第2四半期業績サマリー

2025年9月期第2四半期業績サマリーです。売上高は前年同期比で16.3パーセント増の20億5,700万円、営業利益は同22.7パーセント増の1億6,500万円と、第1四半期に続いて増収増益を確保しました。

特に、2024年9月期に計画未達だった戦略領域は、第1四半期の前年同期比32.8パーセント増に続き、第2四半期は前年同期比35.5パーセント増の7億5,200万円と拡大し、再成長に向けて順調に進捗しています。SESの売上高は同7.5パーセント増の13億500万円でした。

親会社株主利益に関しては、株式会社アドバンスト・メディアの株価下落に伴う投資有価証券評価損7,700万円の影響により減益となりましたが、投資有価証券評価損を足し戻した調整値ベースでは順調に推移していることがおわかりいただけるかと思います。

なお、対前四半期比では、HCFA買収に係る一過性費用や採用費増額で費用がかさんだため利益面では二桁減となっていますが、これは、2025年9月期を含む中長期経営方針におけるセカンドステージの「規模の拡大と事業構造転換を強力に推し進めるため、M&Aを含む積極投資を行う」方針に則ったものです。

売上高とEBITDAの四半期推移

このスライドでは、売上高とEBITDAの四半期推移をお示ししています。売上高は前年同期比で16.3パーセント増の20億5,700万円、EBITDAは同19.7パーセント増の2億円と順調でした。

特に、戦略領域は同35.5パーセント増の7億5,200万円と対前四半期でも2桁増収を確保し、全社成長を牽引しています。SES売上高は前年同期比で7.5パーセント増の13億500万円と着実に増収したものの、戦略領域への人員シフトや旧CLSの離職増もあり、対前四半期では減収となっています。

また、2025年9月期第2四半期の全社EBITDAは、前年同期比19.7パーセント増と採用費等の先行費用が嵩む中でも2桁増益を確保しています。これは、売上高の増加に伴い限界利益が拡大したためです。

粗利率と販管費の四半期推移

このスライドでは、粗利率と販管費の四半期推移についてご説明しています。

粗利率は、新規導入した成果報酬制度や定期昇給の影響で、前四半期比1.0ポイント低下の28.4パーセントでした。引き続き、従業員エンゲージメントの維持・向上と、適正な収益性確保の双方を意識した経営を継続し、第3四半期以降の粗利率は、第2四半期同水準を確保できると見込んでいます。

販管費は、前四半期比3,900万円増の4億1,900万円でした。前四半期比の主な増分は、採用関連費で同1,700万円、HCFA買収に係る一過性費用900万円等でした。

採用関連費は「採用とアサインのタイムラグによる利益逸失」を最小化する取り組みを進めた結果として第1四半期は大きく拡大しなかったものの、採用・人員増を推進する方針自体に変更はなく、計画どおり、第2四半期に費用投下を進めた結果、前四半期比で1,700万円増となっています。

主要KPIの四半期推移

主要KPIの四半期推移です。SES人員数は前年同期比4.8パーセント増の711名でした。

前四半期比では、微減となっていますが、これは主に、SESを手掛ける子会社BKSで受託開発案件の獲得が進捗し、SES人員を受託開発へシフトしたこと、また、2024年10月にBKSに吸収合併したCLSで環境変化(アサインルール見直し、売上連動型給与制度の導入)を契機とした離職が一時的に発生したためです。

SES契約単価は、前年同期比で2.3パーセント増、前四半期比で0.3パーセント減の65万7,000円でした。マクロ的な賃上げの潮流やIT人材の人件費上昇に伴う価格転嫁は進んだ一方で、アップセルやクロスセルを含む付加価値の訴求には上昇余地があると考えています。

バランスシートと自己資本比率の四半期推移

このスライドでは、バランスシートと自己資本比率の四半期推移をお示ししています。2025年3月末時点で、Net Cash4億9,800万円、自己資本比率39.5パーセントです。

当社の掲げる財務資本戦略「自己資本比率≦40パーセント」の方針に則り、2025年3月末時点で1億6,100万円の自己株式の取得を実行し、またHCFA買収に係る借入を実行した結果、目安とする財務レバレッジへの回帰を実現しました。なお、上限2.2億円としていた自己株式の取得は、2025年4月15日までに終了しました。

ここで、改めて当社の財務資本戦略をお伝えします。「持続的成長に向けた再投資原資の確保」を大前提とする一方、仮に十分な投資機会に恵まれない場合は「①資金効率の良化を図る」とともに、「②株主の期待に報いるため、資金を追加的な株主還元に振り向けること」を基本的な考え方としています。

その一環として、「自己資本比率40パーセント以下の維持」を基本方針とし、4四半期連続で基準を超過しないよう、自己株式取得等の手段により、資本構成の適正化を適時に図ることを掲げています。

株主還元の状況

株主還元の状況です。2025年9月期も増配方針は変更せず、1株あたり27.00円の期末配当金を予定しています。

さらに、2.2億円を上限とする自己株式の取得を2025年4月15日までに完了しました。2025年9月期の総還元性向は、一時的に発生した投資有価証券評価損の影響を控除した調整後の親会社株主利益を分母に算出すると、75.04パーセントとなる見込みです。

結果、一時的に「総還元30パーセント超方針」を大きく上回る株主還元となる見込みですが、引き続き、財務レバレッジの適正化を推し進めていきます。

トピックス|HCFA買収を契機とした収益拡大ステップ

第2四半期のトピックスであるHCFA買収の狙いについて、このスライドで整理しました。

今回の買収による収益拡大ステップは3つあると考えています。1つ目はHCFAの単体業績が連結売上に貢献します。2つ目はグループシナジーの発現です。HCFAの営業力・顧客接点を活かしたクロスセルの推進や、HCFA案件でのビジネスデューデリジェンス(BDD)、買収後の経営統合(ポストマージャーインテグレーション=PMI)、バリューアップコンサルティングの部分実施を想定しています。

そして3つ目、グループシナジーを最大化させることで、買収前の価格適正化から、買収後の経営統合(PMI)、バリューアップコンサルティングまでを包括した、一気通貫サービスの提供を本格化する想定です。

HCFAの買収を契機に、新たなM&A価値構想モデルの本格化を進め、当社グループの収益拡大ペースを加速していきます。

トピックス|HCFAと当社グループが生み出すシナジーパターン

このスライドでは、HCFAと当社グループが生み出すシナジーパターンについて整理しています。

買収前のHCFAは、企業の実態やリスクを精緻に分析し情報格差を解消し、適正な価値評価を通じて売却価格を最適化していました。当社グループ加入後は、グループシナジーの発揮により、円滑なPMI支援と、バリューアップコンサルティングにより、企業価値のさらなる向上の実現が可能となります。

トピックス|当社グループのPMIコンサルティングの源泉

先述したバリューアップコンサルティングを可能にするのは、当社グループが培ってきた豊富なノウハウと、経営コンサルティング事業戦略室の存在です。

当社グループには過去5件(2025年3月末時点・HCFA除く)のM&A・経営統合(PMI)の成功実績があり、実績に裏打ちされた豊富なノウハウによって、クライアントの経営統合ロードマップを策定し、スムーズなPMIが実現可能です。

トピックス|経営コンサルティング事業の本格化

2023年10月に創設した経営コンサルティング事業「準備」室を、2025年4月1日付けで経営コンサルティング事業「戦略」室と名称を改め、事業を本格化し拡大させる方針です。

当社グループの経営コンサルティング事業は、この経営コンサルティング事業戦略室を中心に展開し、バリューアップに向けた経営戦略を立案するだけでなく、実行するために各子会社と連携を図り、企業価値協創を実現していく想定です。

損益計算書 / 主要財務指標

このスライドでは、損益計算書、主要財務指標をお示ししています。

貸借対照表 / キャッシュフロー計算書 / 株主還元状況

貸借対照表、キャッシュフロー計算書、株主還元状況の財務数表です。2025年9月期の総還元性向は、一時的に発生した投資有価証券評価損の影響を控除した調整後の親会社株主利益を分母に算出しています。

25/9期 通期業績予想の修正

冒頭でもお伝えしましたとおり、2025年9月期通期業績予想を修正しました。HCFAの新規連結効果とアドバンスト・メディアの評価損影響を新たに織り込みました。

売上高については、HCFAの買収初期であるため慎重な見通しとし、また、SES人員の戦略領域へのシフトが進んでいることから、柔軟なアサインによる事業構造転換の機動力を高めるため領域別内訳は非開示とします。

営業利益については、HCFAに係るのれん償却費と新規連結貢献が概ねオフセットされる見込みのため期初予想値を据え置き、EBITDAに関しては、PPA(取得原価配分)が完了しておらず、のれん償却年限が確定していないため非開示とします。

親会社株主利益については、約7,700万円の投資有価証券評価損を修正計画に反映しています。投資有価証券評価損を除く修正ベースでは、営業利益以下の各段階利益は期初予想を据え置きました。アドバンスト・メディアに係る投資有価証券評価損7,700万円の影響を控除した調整後EPSは、自己株式取得効果分を新たに織り込み上方修正しています。

引き続き、中長期的な収益拡大に向けた先行的な費用投下を進め、前期並みの利益水準を確保しつつも、売上高の成長加速を図る方針です。

25/9期 第2四半期の進捗状況 (対業績修正予想)

2025年9月期第2四半期の進捗状況についてご説明します。2025年9月期の通期業績予想の修正値に対する第2四半期累計の進捗率は、上方修正した売上高に対して45.7パーセント、営業利益は59.6パーセントを確保しました。

上方修正した売上高進捗率は50パーセントを下回るものの、例年、組織・人員拡充に連れ前四半期比で成長することと、第3四半期以降はHCFAの新規連結効果が見込めるため、達成可能と考えています。

HCFA買収による財務影響と今後の資本戦略

HCFA買収による財務影響と今後の資本戦略です。

本件取得に伴う借入およびバランスシート連結に伴って、自己資本比率は一時的に低下しますが、16ページでご説明したとおり、グループシナジー創出等による3ステップでの収益拡大が見込まれます。創出キャッシュは、2025年9月期以降も引き続き、M&A等の再投資と株主還元へ充てる方針です。

成長戦略として、今期を含む2027年9月期までのセカンドステージは、M&A等の積極投資で規模拡大と事業構造転換を図り、2030年9月期までのサードステージにおいて、投資回収および、1株あたり利益と資本効率の向上を図り、最終的には2024年9月期実績の約4倍であるEPS1,000円(分割後500円)を目指しています。

基本情報

会社概要です。当社のことを初めて知る方も多数いらっしゃるかと思いますので、基本的な事業内容や特徴について、改めて本章で整理しています。

当社を一言で言えば、ITを基軸にクライアント経営課題解決を図る「ソリューション・インテグレーター」と表現できます。ホールディングスの傘下にそれぞれ得意領域が異なる計7社の事業子会社を抱えています。

コーポレートヒストリー

当社の興りは1974年にまで遡ります。創業当初からエンジニア派遣を生業に事業展開してきましたが、近年は事業子会社の新設やM&Aを駆使して、システム受託開発やコンサルティングといったフィールドに業容を拡大しています。

ユニークアプローチ

当社の一つの特徴は、ボトムアップ型のアプローチで顧客の変革を支援できることにあります。顧客の「現場」に入り込むエンジニア派遣を基盤事業としているからこそ、コンサルティングやSIerなど上流工程だけでは実現が難しい、深みのある一気通貫したソリューションの提案・価値提供が可能なグループを形成しています。

事業ハイライト

また、豊富な事業知見や組織体制も一つのポイントです。さまざまな業種、さまざまなサイズの企業に対し価値提供してきたが故に、豊富な経験と柔軟な対応力を蓄積しています。また、年間人工ベースで1万人工を超えるエンジニアを全国に抱えており、規模を活かした対応力も有します。

財務ハイライト

中長期的な財務の推移です。戦略的な費用投下を進めた2024年9月期こそ営業減益となっていますが、基本的に右肩上がりの成長を遂げてきたと言えるかと思います。

また、我々の一つのストロングポイントは、高いROEにあります。株式上場後は一貫してROE30パーセント超を確保しており、株式投資家にとっての一つの魅力であると考えています。

今回、新たに発表した新・財務資本戦略で、適時に資本構成の最適化を図ることとしましたので、高い資本効率の持続性についても、高い解像度をもってご期待いただけるのではないかと考えています。

広義の類似企業との主要財務比較

このスライドでは、広義の類似企業との主要財務比較についてお話させてください。

表記は、代表的なマルチプルであるPERと、バリュエーション上のプレミアム/ディスカウント要因と見なされやすいROEや利益成長率、利益率を一覧化したものです。当社は、ROE30パーセント超と高水準で、営業利益成長率も営業利益率も広義の類似企業に劣らない水準を確保しているものの、PERは1桁台の評価に留まっています。

事業・財務・IRのそれぞれの観点をもって、相対低位に留まる当社バリュエーションの再評価に向け、邁進していく所存です。

中長期経営方針

2024年11月に発表した、中長期経営方針の概略を記載しています。

2027年9月期までの3ヶ年は「規模の拡大と事業構造転換を図る2ndステージ」、2030年9月期までの3ヶ年は「投資回収とシナジー創出を通じて1株あたりの利益水準と資本効率にこだわる3rdステージ」と整理しています。

2ndステージでは、M&Aを含む戦略領域の規模拡大等で売上高120億円を目指します。一方3rdステージでは、株式分割前のベースで前期比4.0倍となるEPS1,000円(分割後500円)と、ROE30パーセント超の実現を目指します。

現状認識|市場構造

成長戦略の前提となる、現状のマーケット認識について整理しています。

上段にあるとおり、国内民間IT市場はCAGR3.2パーセント増と堅調に伸長すると見込まれています。一方、IT/ビジネスコンサル市場はCAGR18.4パーセント増と、より高い成長が期待されており、当社としても、ITを軸としたワンストップのコンサルティングサービスを提供するための体制を盤石にする必要があると考えています。

現状認識|課題(成長”加速”し切れない背景)

当社が成長「加速」し切れない背景としては、「人が増えていない」といった人的課題、「アップセル/クロスセルの動きが少ない」といった組織的課題、「M&Aの動きが限定的」といった領域拡大上の課題の3点を抱えていると考えています。

2ndステージの戦略方向性|サマリー

そのため、規模の拡大と事業構造展開に重きを置く中長期経営方針の2ndフェーズにおいては、人財/組織/領域の3つの内的変革を進めることを通じて、今以上に顧客にも変革をもたらすための業容拡大にこだわる方針です。

人財戦略の変革

人財戦略の変革としては、2024年9月期より徐々に開始していたキャリア採用とビジネスパートナー活用を、より本格化させます。自グループのエンジニア採用/教育プログラムである「ゼロ円スクール」頼りの人財確保や、正社員100パーセントといったこだわり以上に、人員拡充ペースの加速にこだわり、施策を本格化させます。

組織戦略の変革

続いて組織戦略の変革としては、エンジニアマネジャー層の評価制度の変更、および営業意識の醸成を通じて、エンジニアが能動的にアップセル・クロスセル推進を図り収益機会を逃さない組織体制の構築を図ります。トライアル運用を開始した北海道支部では、既に一部で成果が顕在化しており、成功体験の標準化と他支部への横展開で、着実に施策効果の発現を図ります。

領域戦略の変革

最後に、領域戦略の変革です。これまで実践してきたように、領域拡大にあたってはM&Aが有効な手段であると考えています。2ndステージのテーマとして「規模の拡大と事業構造転換」を掲げたことや、創出キャッシュは再投資か株主還元か、どちらかに振り向け続けることをコミットする新・財務資本戦略を掲げたことから、これまで以上に再投資候補の探索に注力します。

中長期経営方針におけるHCFA買収の位置付け

中長期経営方針におけるHCFA買収の位置付けをイラストで表現しました。HCFAの業績が新規連結されるだけでなく、経営コンサルティング領域への業容拡大とシナジー創出による既存事業の成長加速により、中長期経営方針の早期達成を目指していきます。

(補足)HCフィナンシャル・アドバイザーの概要

このスライドでは、HCFAの概要をまとめています。

計数計画と株主還元

中期経営方針の計数計画と株主還元について、このスライドで改めて整理しました。

2030年9月期にEPS1,000円(分割後500円)、ROE30パーセント超を実現するため、2027年9月期までの2ndステージでは業容拡大にこだわっていきます。また、株主還元では、連続増配/総還元30パーセント以上の他、自己資本比率40パーセント以下の維持を基準に機動的自社株買いを行う方針です。

キャッシュアロケーションと、1株あたりの価値最大化に向けた方針整理

このスライドでは、これまでご説明してきたキャッシュアロケーションの考え方や1株あたりの価値最大化に向けたイメージ図を可視化しています。

(補足)財務資本戦略の考え方

財務資本戦略の背景について補足スライドを用意しました。まず、創出キャッシュの資金使途については、持続的成長に向けたM&A等の再投資原資に充てることが大前提となります。

一方、当社は2024年9月末時点で6億円強のNet Cashを有し、また自己資本比率は44.8パーセントと財務は健全です。また、多額の先行投資を必要とするビジネスモデルではないため、EBITDA7.6億円、フリーキャッシュフロー4.8億円と、現時点で一定のキャッシュ創出力を有しています。

これらのことから、仮に当社にとって中規模から大規模のM&A機会に恵まれたとしても、借入余力をもって一定程度のM&A資金の確保は可能だと考えています。このような財務的余力や資金効率の観点を踏まえ、4四半期連続で自己資本比率が40パーセントを超過しないよう、自己株式取得等により、適時に資本構成の最適化を図る財務資本戦略を決定しています。

中長期経営方針(再掲)

当社の中期経営方針では、2027年9月期までの3ヶ年は「規模の拡大と事業構造転換を図る2ndステージ」、2030年9月期までの3ヶ年は「投資回収とシナジー創出を通じて1株あたりの利益水準と資本効率にこだわる3rdステージ」と整理しています。

3rdステージでは、株式分割前のベースで前期比4.0倍となるEPS1,000円(分割後500円)と、ROE30パーセント超の実現を目指します。

EPS 1,000円の実現に向けた補足説明

新中長期経営方針の発表後、投資家さまより「EPS1,000円の蓋然性がわからない」とのコメントを受け、EPS1,000円(分割後500円)の実現に必要な4大要素を順に反映する4つのシナリオによる補足説明を用意しました。

シナリオAとして、「過度に資金を滞留させないこと」を実行した場合、仮に全く収益拡大せずとも、財務適正化からの自社株買いで、EPSは6ヶ年で564円になります。

シナリオBとして、シナリオAに加え「M&Aなど再投資を強化する」と、売上高5億円、利益率5パーセントから6パーセントの企業を毎期1社M&Aできれば、EPSは6ヶ年で748円になる計算です。

シナリオCとして、シナリオA・Bに加えて「M&Aシナジーを創出する」と、売上高5パーセント増、利益率0.1ポイント増のシナジーが毎期実現できればEPSは6ヶ年で1,016円になる計算です。

シナリオDとして、先述のシナリオAからCに加えて、各子会社で持続成長をすると、2025年9月期の売上高計画を達成し、以降10パーセント増/年売上成長すれば、EPSは6ヶ年で1,850円になります。

なお、本シナリオは一定の条件設定に基づくシミュレーションであり、中長期経営方針としてコミットする値ではない点にご留意ください。

シナリオA|過度に資金を滞留させない

シナリオA「過度に資金を滞留させない」のシミュレーションです。仮に全く収益拡大できないとしても、適時の財務適正化からの株主還元で、EPSは2024年9月期比で2.3倍まで拡大する計算です。

シナリオの条件として、損益計算書は、収益ともに2024年9月期実績横ばいに留まるとのリスクシナリオを想定しています。一方、毎期一定のキャッシュを創出するため、自己資本比率40.0パーセント以下の財務資本戦略に則り、超過相当分を自社株買い実施額に充当するものと設定しています。

なお、シナリオの簡素化のため、配当金総額は横ばいとし、上振れ分は全額自社株買いに充てている点にご留意ください。

シナリオB|M&Aなど再投資を強化する

シナリオB「M&Aなど再投資を強化する」のシミュレーションです。売上高5億円、利益率5パーセントから6パーセントの企業を毎期1社買収できれば、EPSは2024年9月期比で3.0倍まで拡大する想定です。

シナリオAに加え、2025年9月期下期以降、仮想上のM&A対象会社を毎期1社買収しPL、BSに取り込むことを条件として設定しています。また、シナリオAと比較して、稼いだ利益剰余金の一定額をM&Aのための再投資に回すことで、シナリオA以上の価値創造を実現するシミュレーションです。

シナリオC|M&Aシナジーを創出する

シナリオC「M&Aシナジーを創出する」のシミュレーションです。売上高5パーセント増、利益率0.1ポイント増のシナジー創出が毎期実現できれば、2030年9月期にEPS1,000円を達成できる想定です。

シナリオBに加え、更にM&A先とのシナジー効果を付加し、戦略領域売上高がシナリオB比で5パーセント増、親会社株主利益率が毎期0.1ポイント増、改善する想定としました。また、マージン改善を織り込んだため、連れてROE水準も徐々に上昇しています。なお、デュポン分解のその他要素である資産回転率と財務レバレッジは不変としています。

シナリオD|各子会社で持続成長する

シナリオD「各子会社で持続成長する」のシミュレーションです。ここまで全く織り込んでいない自然成長をプラス10パーセントほど反映すると、相応のリスクバッファーが持てる試算結果となります。

シナリオCに加え、説明の簡略化のために敢えて織り込んでいなかった各子会社の持続成長を追加反映し、2025年9月期の売上高を実際の計画値に置き換えた上で、戦略領域・SESともにシナリオC比で10パーセント増のトップライン成長を想定しています。

なお、キャッシュアロケーションを再投資に振り向けているため、2ndフェーズまでの自社株買い規模はシナリオA比で低水準ですが、その後は収益拡大に従い、株主還元規模も拡大する想定です。

各シナリオの重点項目の再整理

これまでご説明した各シナリオの重点項目をまとめて整理しました。再投資からの回収のサイクルを実現すればするほど、長期的な株主還元額は拡大することとなります。

創出キャッシュをより再投資に回すシナリオほど、2ndフェーズ(2025年9月期から2027年9月期)の総還元額が少額となりますが、投資回収が本格化する3rdフェーズ(2028年9月期から2030年9月期)で、利益増に伴い総還元額も拡大するため、2030年9月期までの6ヶ年総額では、シナリオDが最も大きくなります。

また、自己資本比率を抑制するための自己ルール(=自己資本比率40パーセント以下)があるため、シナリオAのような再投資が実施できない、又は限定的な場合は、100パーセントに近い株主還元を継続実施することとなる計算です。

HCFA買収によるシナリオの上方シフト

HCFA買収は、これまでご説明したEPS1,000円(分割後500円)の達成確度向上に寄与するものと考えています。本件取得により、HCFAの顧客接点を活かしたビジネス機会が増加し、経営コンサルティングによる成長と実行支援による各子会社の持続成長が見込めるため、シナリオC・Dがメインシナリオとなります。

以上、EPS1,000円の実現に向けた補足説明でした。なお、本補足説明は、一定の条件設定に基づくシミュレーションであり、中長期経営方針としてコミットしている目標値ではありません。

シナリオDの6ヶ年累計総還元性向は63.1パーセントであり、「総還元性向30パーセント超」とする株主還元方針を超過していますが、これは、シナリオDでもM&A等の再投資が限定的であるためです。

実際には、より再投資からの回収を強化し、企業価値向上に邁進します。

私からのご説明は以上となります。