会社概要
宮本孝一氏:みなさま、こんにちは。株式会社フェリシモ、経営企画室長の宮本です。本日は、当社の会社概要、2025年2月期の決算概要、および今後の取り組み、2026年2月期の業績予想についてご説明します。
最初に、会社概要です。当社は1965年5月に設立し、今年で創立60周年を迎えます。経営理念「しあわせ社会学の確立と実践」のもとで、「ともにしあわせになるしあわせ」をコアバリューとした事業を通じて、永続的なしあわせ社会を創造することを目指しています。誰もがしあわせの創り手となり、贈り手となれる、誰もがしあわせを受け取る人になれる社会が私たちの目指すしあわせな社会の姿です。
当社は、事業性、独創性、社会性の3つが重なり合うところを事業領域と定め、特定の業種・業態に制約を設けず、「しあわせをデザインする会社」として事業を展開していきたいと考えています。
事業の紹介
当社は、中核事業として日本国内および海外の生活者に向けて服飾・服飾雑貨(衣料品、身の回り品)、暮らしに関わる商品(住宅用品、生活用品、美容・健康、手芸・趣味用品、食品など)をカタログやインターネットを通じて販売する事業を行っています。
当社の通信販売は定期的・継続的な購入スタイルを事業コンセプトとしており、販売は主に「フェリシモ定期便」として、商品を毎月1回お届けしていく当社独自の仕組みで行っています。また、フェリシモ定期便によって実現していく暮らしの夢やスタイルを伝える表現と編集に力を入れたカタログを商品と一緒にお届けし、単なる商品の販売にとどまらず、情報価値のあるコンテンツも併せて提供しています。
インターネットでは、商品の販売、お届け状況や購入履歴の確認、決済などのサービスを提供しています。注文の受付や問い合わせ対応、情報処理、商品管理、商品の発送といった業務については、自社の受注・物流センターで一元管理しています。
そのほか、当社の世界観をリアルに体験できる場として、飲食業や店舗、ミュージアムを展開し、2024年4月からは神戸ポートタワーの運営も手がけています。ビジネスパートナー向けには、物流業務・EC業務・顧客対応業務などを支援する「ビジネスプロデュース事業」や、出品・出稿型の販売プラットフォームとして「フェリシモパートナーズ事業」なども展開しています。
2025年2月期 経営成績の概況
2025年2月期決算概要の経営成績についてご説明します。
2025年2月期における当社グループ連結売上高は294億4,900万円となり、前期対比で0.5パーセントの減少となりましたが、営業利益は7,000万円と前期対比で大幅な増益となりました。
物価高による可処分所得の減少といった外部環境の変化が続く中、神戸ポートタワーの運営などの新たな事業領域の開発と育成に取り組むとともに、収益性の強化を進めたことにより、売上高は前期水準に満たなかったものの、単年度で黒字に転換することができました。
2025年2月期 経営成績の概況
当社グループの売上構成(法人別・事業区分別)です。2024年2月期に連結子会社であるcd.社を整理した影響があり、フェリシモ(連結)では減収となりましたが、フェリシモ(単体)においては増収で着地しました。事業区分別では、「定期便事業」は若干減少したものの「神戸ポートタワー事業」で大幅な増収がありました。
2025年2月期 経営成績の概況
各四半期における増減額の推移について、売上高は第3四半期から前期を上回る水準で好調に推移しました。営業利益は第2四半期から収益性が改善し、第3四半期以降も前期を上回る水準を維持した結果、通期では黒字に転じました。
2025年2月期 経営成績の概況
売上総利益(法人別・事業区分別)です。収益性の低かったcd.社の「haco.事業」を2024年2月期に整理し、2025年2月期に立ち上げた利益率の高い「神戸ポートタワー事業」を加えたことにより、連結ベースの売上総利益率は53.9パーセントとなり、前期対比で1.3ポイント改善しました。
2025年2月期 経営成績の概況
定期便事業の売上高は、「ファッション」「生活雑貨」「手づくりキット・レッスン」の3つのカテゴリーが大部分を占めています。2025年2月期については、「ファッション」は前期を上回りましたが、「生活雑貨」「手づくりキット・レッスン」などは減少しました。
2025年2月期 経営成績の概況
販管費です。次世代のWeb基盤の整備、定期便のギフト販売機能の追加、「神戸ポートタワー事業」に関する設備投資など、長期的な視点での戦略的な費用投入を行った結果、設備費が増加しました。一方で、既存顧客の属性に応じたカタログ配布の最適化など広告費の削減を進めたことにより、販売費および一般管理費の総額を圧縮することができました。
2025年2月期 定期便事業の概況
定期便事業のKPIと評価についてご説明します。
定期便事業は「顧客数」「購入単価」「購入頻度」を主要なKPIとして計測・評価しており、KPIの各要素を最大化するために、さまざまな活動や施策を推進しています。2025年2月期については、のべ顧客数は前期対比で減少しましたが、平均購入単価、顧客1人当たり購入頻度(回数)は前期対比でともに増加する結果となりました。
「顧客数」です。のべ顧客数の拡大に向けて、お買い物を通じて社会活動の応援につながるプロジェクトや、「防災」を切り口とした提案、新社会人向けのライフスタイルをテーマとしたメディアの立ち上げなど、新たな顧客層の獲得や年齢層の拡張に向けた施策を実施しました。新たな顧客層の開拓、継続顧客の定着率が改善するなどの具体的な効果が下半期から発現しましたが、通期におけるのべ顧客数は前期対比4.4パーセントの減少となりました。
「購入単価」です。「ファッション」カテゴリーの主力ブランドの復調に加え、戦略商品の投入が奏功したことにより、平均購入単価は前期対比3.7パーセントの増加となりました。
「購入頻度」です。月1回お届けし、年間12回購入いただくビジネスモデルの定期便事業において、顧客1人当たり購入頻度(回数)は前期対比2.1パーセントの増加となりました。購入頻度(回数)の高い顧客の構成比が前期を上回り、顧客との継続的な関係育成の面で引き続き良いコンディションを保つことができました。
今後の取り組み
今後の取り組みについてご説明します。
2026年2月期については、「顧客基盤の拡大」と「顧客との継続的な関係育成」を進めるとともに「第2の収益の柱の育成」をさらに加速させ、「収益力の向上」を図る取り組みを積極的に実施することにより増収・増益を実現します。各重点項目における方針概要(骨子)はスライドのとおりです。
今後の取り組み
今後の取り組みから、いくつかピックアップしてご説明します。
2026年2月期からの新たな試みとして、小売事業者の顧客に直接案内できるリテールメディア広告が注目されている今、「広告プラットフォーム事業」をスタートします。顧客属性が明確で、生活意識の高い当社の顧客に喜んでいただけそうな企業の情報をお届けする情報産直メディア「CREATOR‘S VOICE」の運営を開始します。
今後の取り組み
2025年4月13日に開幕した「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」にコンセプトショップ「felissimore(フェリシモっと)」を出店し、事業収益の拡大に加え、国内外から来場する方々に対してのコーポレートブランドの認知向上を目指した実験的な取り組みを行います。
今後の取り組み
収益力の強化に向けては、販売価格の適正化や値引き販売の抑制により売上高の拡大を図るとともに、「ファッション」カテゴリーにおいて生産地の見直しやサプライチェーンの効率化などを行い、原価率の低減に注力することにより売上総利益率の向上を図ります。
今後の取り組み
商品送料の値上げ、人件費やエネルギー価格の高騰に加えて、物流施設の環境改善に伴う費用の増加などを見込んでいますが、引き続き商品送料を低減させる取り組みや広告費の効率向上を目指した取り組みを進めることにより、販管費率の上昇を抑制します。
2026年2月期 業績見通し
続いて、業績予想についてご説明します。
2026年2月期の業績見通しです。いずれも2025年2月期対比で、売上高は3.7パーセント増加の305億3,100万円、営業利益は1億3,700万円、経常利益は2億4,300万円、当期純利益は1億7,900万円となります。
定期便事業では、「顧客基盤の拡大」と「顧客との継続的な関係育成」を進めるとともに、「第2の収益の柱の育成」を目指した取り組みでは、新規事業の立ち上げと育成を推進し、増収・増益を実現します。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
最後に、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。
当社は、2007年2月期以降、BPSを上回る株価水準を満たすことができておらず、乖離幅についても拡大傾向で推移している状況にあると認識しています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
また、当社の株主資本コストはCAPM(資本資産価格モデル)で4.1パーセントであり、株主資本コストを上回るROEを達成することができていないと認識しています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
今後につきましては、PBRの改善に向けて、株主資本コストを意識したROE目標を管理指標とします。目標とするROE水準は5.0パーセント以上とし、段階的に向上します。配当については、原則として向こう3年程度は累進的配当もしくは水準を維持した安定配当を行います。2026年2月期の1株当たり配当予想は前年比で5円を増額し、20円を予定しています。
以上、簡単ではありますが、当社の2025年2月期の決算説明を終了します。最後までご覧いただき、ありがとうございました。