会社概要

中村豊氏:みなさま、こんにちは。株式会社アジュバンホールディングス、代表取締役会長兼社長の中村です。2025年3月期決算についてご説明します。

まず、会社概要を簡単にご説明します。当社は株式会社アジュバンコスメジャパンを中核事業会社におく、美容サロン向けスキンケア商品、ヘアケア商品を販売する化粧品メーカーです。

アジュバンの事業領域(1)市場動向①

足元の美容サロンの市場規模は2兆6,496億円で、前年比5.3パーセント増加しています。

アジュバンの事業領域(1)市場動向②

当社の主な販売先である美容室の市場規模は1兆3,543億円、前年比でマイナス0.1パーセントという状況です。近年は男性のお客さまの利用が増えており、前年比で4.8パーセント増加しています。

アジュバンの事業領域(1)市場動向③

美容室は27万4,070軒と前年比1.5パーセント増加し、理容室は11万297軒と、こちらも前年比1.4パーセント増加しています。

アジュバンの事業領域(1)市場動向④

理美容室で利用される化粧品の市場規模は、2024年度で1,600億円弱です。内訳はヘアケア剤が700億円弱、カラー剤が500億円弱という状況です。

今後は少子化の流れを受け、その規模はやや縮小していくものとみられます。

アジュバンの事業領域(1)市場動向⑤

市場の特徴として、エステやネイルなど、ヘア以外のトータルビューティーメニューの伸長が目立ち、一人ひとりのお客さまの多様性に対応していくことが必要になっています。

アジュバンの事業領域(2)取り組み①

当社は美容サロンさまやスタッフさまに合ったサービスの提供、また、サロンにお越しいただくお客さまに当社のファンになっていただけるよう、安心、安全、高品質な商品の提供を心掛けています。

アジュバンの事業領域(2)取り組み②

当社はディーラーさまや美容サロンさまのカウンセリング力の向上を目的に、研修セミナーもきめ細やかに実施しています。

アジュバンの事業領域(2)取り組み③

当社は創業当初から「人間が本来持っている、自ら健やかになろうとする力を引き出す」ことを商品開発の基本方針とし、商品の主成分は糖とミネラルを独自のバランスで配合し、ノンオイル、ノンアルコール、無着色で、肌や髪のトラブルの原因となる要素を極力取り除いた商品を提供しています。人と環境に配慮した製品づくりを行っています。

アジュバンの事業領域(2)取り組み④

商品については、正しい知識と技術をお客さまにご理解いただけるよう、社内・社外いずれに対しても、サポートを徹底しています。

売上高・経常利益推移

それでは、2025年3月期決算についてご説明します。

決算サマリー

惣田健氏:経営管理部長の惣田です。2025年3月期連結業績についてご説明します。

まず、決算サマリーです。前年同期・期初計画を下回る減収となりましたが、販管費の削減、受取配当金・投資有価証券売却益等により黒字化を達成しました。

オンライン環境や営業管理プラットフォームなど、営業活動の効率化を図る環境改善に加え、社員への浸透促進活動を実施するも売上高は減少しました。

新商品ブランドの上市ならびに営業・教育活動に取り組むも、スキンケア、ヘアケア商品はともに売上が減少しました。

引き続き当社独自のビジネスモデルを展開し、増収増益を目指していきます。

業績ハイライト(1)

業績について詳しくご説明します。連結売上高は40億9,800万円と、前年比マイナス7.7パーセント、3億4,000万円の減少という結果でした。

オンライン環境や営業管理プラットフォームなど、営業活動の効率化を図る環境改善に加え、社員への浸透促進活動を実施するも、売上は減少しました。

連結営業利益は1億2,600万円と、こちらは前年比プラス1億2,700万円となり、黒字回復しました。広告宣伝費や販促費などの費用を削減し、減収による粗利益の減少をカバーしたかたちです。

業績ハイライト(2)

当期業績計画における売上高は46億4,000万円ですので、計画比でマイナス11.7パーセントの大幅未達という結果に終わりました。

営業利益は計画が1億6,300万円で、計画比マイナス22.8パーセントとなり、当期純損益についても、計画の7,900万円に対し達成率49パーセントの大幅未達となりました。

連結営業利益 前年同期比増減要因

連結営業利益の前年比増減要因についてご説明します。

前年比で減少となった売上要因で、粗利益がマイナス2億400万円となりましたが、広告宣伝費の減少が1億8,000万円、販売促進費の減少が5,100万円、物流費の減少が5,200万円、研究開発費の減少が3,300万円、人件費の減少が3,200万円という費用の削減により、当期の営業利益は1億2,600万円を計上しました。

連結営業利益 計画比増減要因

連結営業利益の計画比増減要因についてご説明します。計画に比べ減少となった売上要因で、粗利益がマイナス4億5,600万円となりましたが、広告宣伝費の減少が1億300万円、販売促進費の減少が7,900万円、物流費の減少が7,600万円、研究開発費の減少が1,900万円という費用の削減により、1億2,600万円の営業利益を計上しました。

カテゴリー別売上高成長率

カテゴリー別の売上高についてご説明します。売上全体の34.2パーセントを占めるスキンケア商品については、2024年度累計で前年比マイナス7.3パーセントとなりました。

売上全体の61.6パーセントを占めるヘアケア商品については、前年比マイナス3.1パーセントとなりました。

四半期ごとのカテゴリー別売上高の推移は、スライド右側のグラフに示したとおり、特にスキンケア商品が伸び悩んだという結果でした。

四半期 営業利益推移

スライドのグラフは、四半期ごとの業績推移を示しています。当社が最も売上高を伸ばすのが第3四半期で、前年度は12億8,700万円でしたが、当期は11億7,100万円と苦戦しました。

また、最終第4四半期についても、前年度に比べ減少する傾向は変わりませんでした。営業利益は増益、黒字化を達成しました。粗利率の改善と固定費効率化により、収益体質を強化したことが奏功しました。

バランスシートの状況

バランスシートについてご説明します。2025年3月期末時点の現預金は22億2,300万円と、前年比プラス1億600万円となりました。総資産は52億9,200万円と、前年から大きな変動はありません。

純資産は41億7,800万円で、前年比マイナス3,700万円と若干減少しましたが、自己資本比率は79.0パーセントと堅固な財務体質を維持しています。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況です。営業活動によるキャッシュ・フロー3億700万円を捻出し、その範囲内で投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローを管理し、資金を1億600万円増加させ、安定した財務基盤を維持しました。

また、株主還元の一環として、安定配当を9,600万円実施しています。

2025年度3月期の成果

当期の成果ですが、取引先の美容サロン向けの教育動画システム「Mite Mite」の環境を整備しつつ、AI肌診断の「Mite Photo」の提供を開始し、ECサービス「ADJUVANT LINK」を導入しました。

また、新たな商品として2ラインの上市などを実施しました。

新規事業育成については、ヘアカラー事業において、新色販売を営業戦略上、次年度に繰り越しました。育毛剤EC事業についても、CRM施策などを行いましたが、結果にはつながりませんでした。

2026年3月期業績予想

2026年3月期の業績計画についてご説明します。

2026年3月期の売上は43億6,500万円で、前年比プラス2億6,700万円の計画です。ヘアケアの新ラインとヘアカラーの新色を発売し、デジタルコンテンツを充実させることで売上成長を図ります。

営業利益は前年と同額の1億2,600万円の計画です。当期純利益は前年比プラス3,300万円の7,300万円の計画です。新商品のプロモーション費用や人件費、荷造運搬費など販管費の増加を見込んでおり、増収による増益効果を吸収するため、営業利益は横ばいになる予定です。

2026年3月期の取り組み(1)

営業戦略について詳しくご説明します。

生産性を図るための戦略として、次の4点を実行していきます。1点目は、新規顧客獲得プロモーションの拡大です。2点目は、店販活動の活性化施策です。3点目は、リピート機会損失の軽減とクロスセルの向上です。4点目は、情報一元化による効率化です。

2026年3月期の取り組み(1)-①

新規獲得プロモーションの拡大についてですが、これまでアジュバンサロン(AS)契約の条件であった登録時10万円以上の仕入れを撤廃し、当社商品を取り扱う美容サロンを抜本的に増加させていきます。

2026年3月期の取り組み(2)-①

新規獲得プロモーションの拡大については、スタッフキャンペーンを開放することで、より取引しやすい環境を作ります。

2026年3月期の取り組み(2)-①

店販活動の活性化施策として、7月から実践的な店販特化型セミナーを開始します。

「スキンケア」「離脱客」「年代別」へのアプローチ力、カウンセリング力を向上させるべく、従来の知識型よりも実践的なセミナーを展開していきます。

2026年3月期の取り組み(2)-②

セミナーの詳細については、スライドに記載のとおりです。

2026年3月期の取り組み(3)-①

「ADJUVANT LINK」による商品購入リピート機会損失の軽減を図るべく、サイト回遊によるクロスセルの向上や、オフィシャルキャンペーンによる購入促進、AI肌診断「Mite Photo」によるスキンケアアプローチの強化を図っていきます。

2026年3月期の取り組み(4)-①

サロン用アジュバンアプリの提供を開始し、商品情報からキャンペーン企画など、アプリから直接、サロンに情報提供できる仕組みを準備します。

セミナー情報もこちらで一元管理できます。

2026年3月期の取り組み(5)-①

すでに発表していますが、3月21日付で株式会社シアー・プロフェッショナルを株式会社アジュバンコスメジャパンに統合しました。今期からはカラー剤事業において、アジュバンコスメジャパン商品とのシナジー効果を発揮する戦略を展開していきます。

2026年3月期新製品

今期の新商品については3ラインです。

まず、「LOOP SHEERD. COLOR」のファッションカラーとグレイカラー追加色を、いずれも6月に上市します。

また、アウトバス・システムトリートメント剤の「nyu by adjuvant」、さらにはアウトバス・スタイリング剤の「muts totte」を販売します。

2026年3月期SNS情報発信

SNSでの情報発信についても強化していきます。今年度より、一般ユーザー向けとサロン向けの2つの「Instagram」で情報発信を行います。

一般ユーザー向けには、「ADJUVANT」というマスターブランドの認知度向上を主な目的として発信を行います。そして、サロン向けには、サロンワーク内で商品アプローチ情報やオフィシャルセミナー情報を提供していきます。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。直近のROEは改善していますが、当社が認識する株主資本コストには到達していない状況にあります。また、当期純利益の低下に伴い、ROEの水準も低下傾向です。

売上成長の加速と経営体質強化により、企業価値向上に努めることで、ROE8パーセントの早期達成とPBR1倍以上の維持を図っていきます。

サステナビリティ経営に向けて

サステナビリティ方針についてご説明します。

今期からサステナビリティ方針を明確に設定し、「ADJUVANTサステナビリティ」として実践していきます。

基本方針として、「ADJUVANTは、『美と健康を通じてすべての人に夢と感動をお届けする』という経営理念のもと、事業を通じてサロン市場の持続的成長に貢献し、人にとって、社会にとって、地球にとって、やさしい環境の実現に貢献していくことを目指します」を掲げています。

マテリアリティとして、地球環境への配慮、社会貢献、持続的な事業成長、安心・安全・公平な労働環境の4つのカテゴリで、それぞれ具体的なテーマと目標を設定し、実践していきます。

ご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。