経営成績ハイライト
水口通夫氏:代表取締役社長執行役員の水口です。当社はゴルフ事業を中心として、トラベル事業、その他の事業のセグメントからなるグループ企業となっています。
2025年1月期の売上高は41億2,700万円、営業利益は9,000万円となり、前期比で増収増益での着地となりました。当社グループの中核事業である「1人予約ランド」、また、トラベル事業のゴルフツアーやインバウンドツアーが好調に推移しました。
2024年2月にはハイクラストラベルサービスを提供する株式会社エスプリ・ゴルフが、2024年5月にはDX支援事業及びAI技術活用を得意とする株式会社ノアが新たにグループへ加わりました。
また、当社グループ初の投資を実施しました。スポーツを通じて子どもたちの教育事業を推進する株式会社STEAM Sports Laboratoryへの出資を行いました。
通期連結売上高
続いて業績の推移となります。
ゴルフ事業においては、「1人予約ランド」を始めとしたASPサービスが堅調に推移しました。一方でレッスンサービスは事業を再構築中のため、売上は一時的に減少しています。ゴルフ用品販売においては円安による影響はあったものの、商品構成の変更などの施策により回復傾向にあります。
トラベル事業においては、M&Aによる新規リソースの獲得やインバウンド需要の向上、主力商品のゴルフツアーの好調を受け、売上高は増加しました。
通期連結原価・販管費
原価・販管費の推移はご覧のとおりとなります。
世界的なインフレ傾向や賃上げ機運の高まり、円安基調の継続等の影響により物価の上昇が際立った1年でしたが、適正な在庫管理により商品原価は前年同期並となりました。
一方でM&Aを実施した影響により、旅行原価とその他の原価はやや増加しました。販売費及び一般管理費においては、継続的なコストの抑制が功を奏し、経営リソースが増加したにもかかわらず横ばいとなっています。
通期連結利益増減分析
利益のウォーターフォール図をご覧ください。
ゴルフ事業においては、「1人予約ランド」の料金改定を実施し、またゴルフ用品販売においては利益率の改善を行った結果、大きく伸長しました。
トラベル事業においては、主力商品のゴルフツアーが堅調に推移しました。また、インバウンドツアーが急増し、利益に貢献しました。結果として前期比46.0パーセント増の9,000万円となりました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表はご覧のとおりとなります。
2025年1月期は、ゴルフ用品販売における商品を適正な在庫へと調整しました。また、トラベル事業においては、旅行需要の増加に伴い、流動資産の旅行前払金、流動負債の旅行前受金は増加しました。結果として、自己資本比率は42.4パーセントとなり健全な状態を保っています。
セグメントごとの状況(ゴルフ事業)
続いて、セグメントごとの状況となります。ご覧のグラフは、ゴルフ事業の売上高推移となります。
ゴルフ事業における主力商品「1人予約ランド」は、登録会員数・総予約者数が堅調に推移しました。他社との差別化のため「つながり機能」などの新機能開発や、スタンプラリーなどの企画を行っています。
また、プレーの予約・チェックイン等の機能を搭載し、運営スリム化とユーザーの利便性向上を図る「リピ増くんDX」をリリースしました。第1号導入コースで稼働を開始しました。
ゴルフ用品販売においては、円安が継続する中、輸入商品の比率を下げ日本製品の仕入れを強化しました。また、販売チャネルごとの売れ筋商品を見極めることで機会損失を削減し、売上は増加しました。
セグメントごとの状況(ゴルフ事業)
次のグラフは、ゴルフ事業のセグメント利益の推移となります。
「1人予約ランド」の会員数は継続して成長しており、それに比例して総予約者数も伸長するなど、ゴルファーの大きな支持を受けています。ゴルフにおける予約サービスとして「1人で予約すること」が定番化することで、より多くのゴルファーに利用されることが推測されます。
また、「1人予約ランド」において、価格改定を行い、収益力は改善しました。ゴルフ用品販売においては、円安の影響度が低い商品構成に変更した結果、利益率は改善しました。また、店舗においては免税販売を行っており、インバウンド需要の取り込み等も成長の要因となりました。
セグメントごとの状況(ゴルフ事業)
次のグラフはゴルフ事業の「1人予約ランド」の状況となります。
「1人予約ランド」の会員数は堅調に推移しており、会員数の増加と比例して総予約者数も増加しています。2025年1月期は、プレー代金の高止まりや猛暑・降雪等の影響によりゴルフ場利用者数はやや減少しているのにもかかわらず、「1人予約ランド」の総予約者数は17.3パーセント増と堅調に推移しました。
プレー日、ゴルフ場、交通手段等が自分の都合で決められる利便性がゴルファーに浸透し、利用できるゴルフ場も増加しています。今後も、ゴルファー、ゴルフ場双方にとってより使いやすいサービスになるよう、新機能の開発を随時行っていきます。
セグメントごとの状況(トラベル事業)
次にトラベル事業の売上高推移となります。
2024年2月に株式会社エスプリ・ゴルフがグループに加入したため、既存のトラベル事業の売上に加えて同社の売上が加算されました。今後は同社と各事業とのシナジー効果を発揮し、さらに売上の拡大が加速することが見込まれます。
既存のトラベル事業においては、訪日外客数の急増に伴いインバウンドツアーが好調に推移しました。催行数は188.8パーセント増加しました。
また、マレーシアからの送客ルートの開拓を行い、安定的に売上を確保しました。
セグメントごとの状況(トラベル事業)
次のグラフはトラベル事業のセグメント利益の推移となります。
コロナ禍を経て旅行需要の高まり、円安傾向の継続、訪日外客数の急増などトラベル事業の経営環境は激変しています。そのような外部環境の変化に伴い時節にあった商品を提供することで、業績は回復傾向にあります。
また、国内のみならず、海外の顧客を獲得する営業活動により、割安感のある日本での旅行を多く提供することができ、利益率は向上しました。その他、新規経営リソースである株式会社エスプリ・ゴルフを取得し、提供できる商品ラインナップが大幅に広がりました。このことが多くの新規顧客へとつながり、利益を生み出しました。
セグメントごとの状況(トラベル事業)
新たに取得した株式会社エスプリ・ゴルフは、海外からの評価が高く、「World Golf Awards」の受賞歴を累計14回持っています。同社の加入により、マスターズやドジャース観戦ツアー、豪華客船でのクルーズ、国内外の名門コースでのプレーなど希少性の高い商品を提供することが可能となりました。
また、同社はメンバーズサロン、「(仮称)100 Club(ハンドレッドクラブ)」を展開予定です。名門コースでの会員限定ラウンド、コンペ、ツアー、食事会、プロのゴルフレッスンなど人生を楽しむサロンを発足します。
セグメントごとの状況(その他の事業)
次にその他の事業の売上高推移となります。
その他の事業のうち、既存の広告メディア制作事業は当社グループ各社のリレーションを活用し、広告宣伝に関わる多様な依頼に対応しています。売上は小規模ですが、少人数の人員で効率性の高い事業となっています。
また、2024年5月よりAI技術によるDX推進を得意とする株式会社ノアが当社グループのその他の事業に加わりました。そのため、同社の売上が加算され大きく伸長しました。同社の事業は拡大傾向にあり、将来性の高い事業内容であるため、今後の売上拡大も見込まれます。
セグメントごとの状況(その他の事業)
次のグラフはその他の事業のセグメント利益の推移となります。
既存の広告メディア制作事業においては、制作を請け負う主要媒体のWeb媒体へのリニューアルに伴い利益が減少しました。現在は売上構成比率の再構築と、経営リソースの効果的な活用を実施しています。
また、2025年5月に株式会社ノアが当社グループに加わりました。そのため、その他の事業のセグメント利益に同社の利益が上乗せされました。同社の取り扱うAI関連の技術は、当社の各事業との親和性も高く将来的に各事業の利益創出に貢献することが予想されます。
セグメントごとの状況(その他の事業)
新たに取得した株式会社ノアは、ゴルフ場の課題解決のために、データ分析や機械学習技術を活用した研究所を設立しました。当社グループの保有するデータと天気予報や周辺情報などをAIにより分析することで、新たな顧客獲得を目指すツールを開発します。
また、ゴルフ用品の購買データ、旅行参加者のデータ等の当社グループの活動によって得られる情報を分析し、ITシステム運用自動化・業務効率化を推進します。また、当社グループのSNSマーケティング活動も同社が実施します。
2026年1月期の取り組み①
続いて、2026年1月期の取り組みとなります。
ゴルフ事業においては、「1人予約ランド」の会員数増加のための施策を継続して行います。そのために、新機能の追加や販促企画を行い、ユーザーの利便性、定着率のアップを図ります。また、2025年1月期に行った料金改定の効果により、増収が見込まれます。
ゴルフ場自社予約集客支援サービスの「リピ増くん」については、予約を管理するゴルフ場運営側からの要望をもとに、利便性を高める機能改修を実施予定です。集客の仕組み化を推進し、ゴルフ場の運営省力化、及びゴルフ業界の活性化を行います。また、ゴルファーにとっては、よりわかりやすく簡潔に予約が完了できるようにサービスのブラッシュアップを行います。
2026年1月期の取り組み②
また、ゴルフ場経営をDX化し、オペレーションの負荷軽減及びゴルフ場運営をスリム化するソリューションサービス「リピ増くんDX」の販売を強化します。チェックアウトや事前決済、年会費の徴収などのゴルフ場の運営を補助する追加機能を開発しており、ユーザーには利便性の向上を、ゴルフ場には省力化につながるサービスを提供します。
印刷媒体である「月刊バリューゴルフ」については、「1人予約ランド」を始めとしたWeb媒体と「月刊バリューゴルフ」を始めとした印刷媒体を持つ強みを活かし、「『月刊バリューゴルフ』で興味を持ち、『1人予約ランド』で予約する」という当社ならではの集客導線を引く仕組みづくりを行います。これによりゴルフ業界全体の活性化促進を図ります。
2026年1月期の取り組み③
ゴルフ用品販売においては、Webから流入した顧客・店舗に訪れる顧客・海外からの顧客などさまざまな顧客の購買データを活用し、AIテクノロジーにより最適なプロモーションや商品構成を構築するシステム開発に着手します。それにより、売上の拡大、仕入れの効率化、Webサイト・店舗運営の最適化を行います。
また、ゴルフ場へ直接出店を行うプロショップ運営の店舗数拡大を計画しています。2024年12月には千葉県のゴルフ場に出店し、合計で6コースのゴルフ用品販売店「JYPER’S」の店舗を運営中です。今後も出店数を増やすことで、売上の増加及び「JYPER’S」の認知拡大、顧客の獲得を目指します。
2026年1月期の取り組み④
トラベル事業の取り組みとなります。商品バリエーション拡充のため、オーダーメイドツアーを強化します。募集型企画旅行では対応できない個人個人の要望に応えるため、オーダーメイド専用Webページを新設します。また、AIにて収集した顧客情報の分析を行い、顧客ごとにきめ細かな商品の提案を行える仕組みを構築します。
インバウンドツアーについては、マレーシア・タイ・インドネシアを中心に海外の旅行会社との連携を強化します。外国人スタッフが常駐するインバウンド専任部署にてスムーズな対応を行える体制構築をさらに推進します。旅行商品の中で最も大きく伸びており、さらに伸びる余地があるため、リソースの投下を行います。
2026年1月期の取り組み⑤
当社はゴルフ場への送客のみならず、ゴルフ場の人材確保や資源の調達等の課題に取り組むことで信頼関係を構築してきました。今後、人口減少に伴う余剰ゴルフ場が増加することを想定し、土地活用の課題を解決するために不動産事業へ参入します。
現在までに多くのゴルフ場より相談を受けており、不動産会社への紹介を行ってきました。その実績をもとに構築した大手不動産会社とのリレーションを活用して課題解決へと導きます。環境に配慮した持続可能な社会の実現や地域住民のニーズに応える新たな価値を創造します。
2026年1月期の取り組み⑥
当社グループの各種サービスの認知度・注目度向上を目的として、広告宣伝活動の強化を行います。
当社グループはゴルフ場向けサービス、ゴルファー向けサービス、旅行者向けサービス、AI技術やシステム・エンジニアリングサービスなど事業内容が多岐にわたっていることから、認知度が不十分なサービスが存在します。そのため、ブランディング強化を目的に、影響力の高い媒体への広告展開を行います。
また、ブランド戦略の実施による副次的な効果として、株価への影響や採用力の強化を見込んでいます。
通期連結業績予想 〜2026年1月期〜
2026年1月期の業績予想となります。
売上高45億円、営業利益1億8,000万円、経常利益1億6,000万円、当期純利益1億2,000万円を見込んでいます。
ゴルフ事業・トラベル事業ともに堅調に推移し、今後も一定の成長を見込んでいること、DX支援サービス等の新規事業が一定の収益を生み出すことを想定していること、AIの活用により既存サービスの省力化・加速化・品質の向上による利益の増加を見込んでいること、M&Aによる業績の拡大を推進していくことにより、さらなる収益の拡大と持続的な企業価値の向上に取り組んでいきます。