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谷本淳氏:みなさま、こんにちは。株式会社オーバル代表取締役社長の谷本淳です。本日はお忙しい中ご出席を賜り、誠にありがとうございます。
本日は、当社の事業紹介の後、2025年3月期第2四半期の決算概要および第2四半期トピックスについてご説明します。
会社概要
はじめに、当社についてご説明します。当社は1949年に操業開始し、創立75周年を迎えました。
本社は東京都新宿区にあり、生産拠点は、神奈川県横浜市、山梨県甲府市、宮崎県都城市と中国安徽省合肥市などにあります。
事業については、当社は経営理念の「確かな計測技術で、新たな価値を創造し豊かな社会の実現に貢献します」、中長期経営ビジョンの「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーへ」のもと、「流量計」、および「流量計測に関連するシステムソリューション」、また「メンテナンスサービス」を提供しています。
産業のマザーツールとも言われている流量計および、そのソリューションの提供を通じて、お客さまの課題解決とともに社会貢献を目指しており、持続可能な未来作りへの寄与に取り組んでいます。
流量計とは?
次に、当社の主力製品の流量計についてご説明します。流量計は文字のとおり「流れる」ものを「量る」計測機器です。
当社が提供している流量計は、工場やプラントの生産ラインの配管に取り付けて、配管を流れる流体の量の計測や、石油・ガソリン、水素などのエネルギーや燃料を売買、出荷をする際に、その売買量や出荷量の計測に使われています。
当社の流量計は、液体だけではなく、ガスや蒸気も、その流れる量をはかることができます。
ご覧のとおり、流量計は、私たちの日常生活に欠かせない食品や飲料をはじめ、プラスチック等の工業製品などの生産プロセスにおいて使われています。
各原材料の量を正確にはかり、決められた分量を正しく混ぜ合わせることで、同じ品質の製品が作り続けられています。
例えば、焼肉のたれは、原料の醤油、みりん、酒などを調合する際に、流量計が使われていますし、お菓子は原料のシロップをスプレー状に噴霧する際に流量計が使われています。
その他、我々の身近のあらゆるものは、流量計を使って作られており、それゆえに流量計は産業を支えるマザーツールとも言われています。
オーバルの強み
先ほどのご説明のとおり、いろいろな分野で使われる流量計ですが、さまざまな種類のものがあります。
お客さまの工場やプラントでどのような流体、「例えば、水なのか、ガスなど危険な流体なのか、粘度が高くて流れにくい流体なのか」を、どのように計測したいか、「例えば、配管の中を大量に流れるのか、配管の中の圧力はどの程度か、高い精度で緻密な計測をしたいのか」などのニーズに合わせて、それにマッチした種類の流量計をご提案する必要があります。
オーバルは流量計の百貨店とも言うべく、ご覧のとおり、多彩なラインアップを誇っており、お客さまのあらゆるニーズにお応えできることを強みとしています。
これらの製品はセンサ事業に分類しており、創業当初より石油・化学産業向けを中心に売上を伸ばし、成長してきました。
現在は石油・化学だけでなく、食品・飲料、電力・ガス、半導体、医薬品、化粧品、自動車等、あらゆる産業でご使用いただいています。
オーバルの3つの事業
続いて、当社の3つの事業についてご説明します。先ほどのご説明のとおり、流量計の販売はセンサ事業として、全売上の約7割を占める主力事業となります。
システム事業は流体計測制御に関するシステムソリューションの提供を事業としており、設計・施工を含め一括対応できることを強みとしています。
最後にサービス事業は、流量計のメンテナンスサービスと校正事業で構成されています。
校正事業に関しては、当社は、JCSS(計量法校正事業者登録制度)の登録事業者のうち、唯一「石油(灯油・ガソリン・重油)」「水」「気体」3種類の流量で登録している事業者です。
石油の校正可能流量は国内最大であることも強みとしており、流量に品質という付加価値をつける校正事業に力を入れています。
決算Summary
それではここからは、2025年3月期第2四半期の決算概要をご説明します。
売上高については、システム部門が前年同期比51.6パーセント増と大きく上回り、その結果全体では、前年同期比2.2パーセント増となりました。一方で、営業利益については、前年同期比を下回り、増収減益の結果となりました。
これは、前年同期は、オーストリアAnton Paar社との間でコリオリ流量計および電磁流量計に係るライセンス契約に伴う、知的財産のライセンスの対価である契約一時金の収受があったことによるものです。
しかしながら、営業利益率は9.7パーセントと例年を上回っており、順調に進捗しています。
受注残高についても、前年同期は下回っているものの、売上高同様に、システム部門に大口の受注案件があり、下半期売上計上に向けて、着実に積み上がっています。
下半期に向けては、システム部門の大口案件が売上計上となり、売上高は好調を維持する見通しです。
さらに、期末配当を1円増配とし、年間配当は14円だった前年度からさらに2円増配の16円を予定しています。
業績ハイライト
第2四半期の業績ハイライトをご説明します。
売上高は好調なシステム部門がけん引し、前年同期比2.2パーセント増となりました。一方で、利益面では、先ほどもご説明したとおり、前年同期はAnton Paar社との間のライセンス契約に伴う、契約一時金の収受があり、前年同期との比較では、減益となりました。
しかしながら、各利益ともに2023年3月期第2四半期は上回っており、営業利益は第2四半期の段階で約7億円を確保と、順調に進捗しています。
事業部門別受注高・受注残高
次に事業部門別の各種業績についてご説明します。
受注高について、センサ部門は、国内は半導体関連業界向けの落ち込み、海外は中国・韓国の電気自動車用など電池関連業界向けの一服が影響し、前年同期を下回りました。
システム部門は、海外は低迷していますが、国内の大口案件が好調で、前年同期比64.7パーセント増と大きく上回りました。
サービス部門については、保全サポートサービスおよび他社製品校正業務受託などの強化により、順調に進捗しています。
受注残高については、センサ部門とサービス部門は前年同期比を下回りましたが、システム部門は大きく上回りました。
事業部門別売上高(センサ部門)
ここからは、各事業部門別の売上高についてご説明します。
センサ部門の売上高については、国内の化学関連業界向けは堅調に推移しています。
一方で、受注同様に、国内の半導体関連業界向けや中国、韓国の電気自動車用の電池関連業界向けが足元で一服している影響で、前年同期比4.9パーセント減となりました。
その他センサ部門においては、当社は現在、水素・アンモニア計測用の流量計の販売に注力しています。
水素・アンモニア関連市場については、2024年3月期における売上高は前年度比74.4パーセント増と大きく伸びており、売上高の絶対値は小さいものの、今後の成長を大いに期待している市場となります。
センサ部門では、水素・アンモニア計測用の現ラインアップ製品の拡販に力を入れているほか、新製品の開発や改良にも取り組んでいます。
また、後ほどご説明しますが、水素計測用流量計の校正をするため、横浜事業所内に新たな設備の建設も予定しています。
事業部門別売上高(システム部門)
次にシステム部門の売上高については、海外は東南アジア地域を中心に低迷しています。一方で、国内は、国立研究開発法人産業技術総合研究所、食品関連業界向けの大口案件の売上計上があり、大幅な増収となり、全体の売上増をけん引しました。
事業部門別売上高(サービス部門)
最後にサービス部門の売上高については、国内の石油関連の業界再編や脱炭素社会に向けた市場の動きにより、厳しい市場環境が継続しています。
一方で、メンテナンスという事業の内容より、景気の動向などの影響を受けにくい堅実な側面もあり、保全サポートサービスや他社製品のメンテナンス事業、校正事業を強化した結果、前年同期比6.5パーセント増の結果となりました。
出荷元の国別売上高
出荷元の国別の売上高については、国内は2.3パーセント、海外は1.7パーセントと、ともに2パーセント前後の増加となりました。
中国に関しては、前年同期比3.2パーセント増となりましたが、電気自動車用などの電池関連業界向けが足元で一服している影響で、前年度までの勢いがピークアウトしています。
連結貸借対照表
財政状況については、純資産が利益剰余金の増加などにより、前期末比5億3,300万円の増加となりました。その他は、ご覧のスライドのとおりです。
2025年3月期 通期連結業績予想
次に、当期の連結業績予想についてご説明します。
売上高については、前期好調だった国内半導体業界向けや中国・韓国の電気自動車用の電池関連業界向けが一服すること等により、前年度より微減を見込んでいます。
利益については、利益率が高い国内半導体業界向けの受注減や材料比率の上昇による利益率の低下は見込まれますが、通期予想は据え置きとしています。
ただし、2023年8月に上方修正した、中期経営計画の最終年度の計画値については、いずれの項目も予定どおり達成する見込みです。
株主還元
続いて、株主還元についてご説明します。
当社は配当を最も重視すべき株主のみなさまへの利益還元であると認識し、会社の経営基盤の確保と将来の事業展開に備えた財務体質の充実を総合的に勘案し決定することを配当の基本方針としています。
ご覧のとおり、2021年3月期は400パーセントを超える配当性向など、業績にかかわらず、一定の配当を株主に還元してきました。
当期については、期末配当を当初予想から1円増配とし、年間配当は14円だった前年度からさらに2円増配の16円を予定しています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
第2四半期決算説明の最後となりますが、当社は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を2024年8月9日に公表しました。
ROEは改善しているものの、PBRが1倍以下で推移している現状を認識し、その改善には、ROE10パーセント、PBR1倍以上の早期達成が必要との方向性を決定しました。
より具体的な取り組みについては2026年3月期を初年度とする次期中期経営計画にて公表する予定としています。
トピックス① 新製品 液体用電池駆動式クランプオン形超音波流量計「UC-1」
ここからは、2025年3月期第2四半期のトピックスを4つご紹介します。
1つ目に、東京計器株式会社と共同開発した、新製品、液体用電池駆動式クランプオン形超音波流量計「UC-1」のリリースです。
この流量計は、お客さまの声を反映した4つの「不要」をコンセプトに開発しました。具体的には、配管工事不要、配線工事不要、外部電源不要、取付工具不要の4つの不要により、すぐに使える流量計であることです。さらに、1機種で複数の配管口径への対応が可能な画期的製品です。
また、無線通信機能を備えている無線出力タイプは、計測した流量情報を無線で送信することが可能です。
なお、お客さまの声に向き合い、さまざまな現場の課題を乗り越えるべく丁寧にデザインされている点などが評価され、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
「UC-1」は、リリースして間もないにもかかわらず、お客さまから多数の問い合わせをいただいており、出荷開始は2025年2月以降を予定していますが、これまでなかった分野でのご利用も期待でき、新たな市場を開拓し、売上の純増が期待できる新商品です。
トピックス② 水素実ガス校正設備 開設決定
2つ目に、水素実ガス流量計校正設備「OVAL H2 Lab」についてご説明します。当社は、製品の製造のみならず、検査、試験をして品質や精度を担保し、さらにその後の運用やメンテナンスにまで携わっていくことが、メーカーとしての責務と考えています。
流量計の精度を左右するのが、「校正」と呼ばれる工程です。校正とは、実際に計測する流体を流量計に流し、基準器との計測値のズレやバラつきをチェックする作業のこととなります。この校正が徹底されていないと、正確な計測値を得られなくなってしまうおそれがあります。
当社はこのような背景の中、「脱炭素社会に本気で取り組むためには、水素計測用流量計のクオリティを今以上に向上させなければならない」の考えのもと、水素計測用流量計専用の校正設備「OVAL H2 Lab」の開設を決定しました。
「OVAL H2 Lab」は、2025年度中に運用を開始する予定です。完成後は自社製品の校正に加え、他社製品の校正も実施することで、2026年3月期以降の業績貢献を見込んでいます。
トピックス③ 海外子会社工場建設
3つ目のトピックスは海外の子会社における設備投資となります。アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指すための設備投資として中国子会社の合肥オーバル有限公司では、第3工場の建設に着手し、韓国子会社のOval Engineering Inc.でも工場と校正設備を建設・移転しました。
中国での新工場建設は、現工場の老朽化対策とともに、近代設備による生産性の向上および増産を目的としています。
中国経済の先行き不透明感は懸念されますが、中国の流量計市場は大きく、市場シェアがまだまだ小さい弊社にとっては拡大余地が大きい市場と考え、今回設備投資を決定しました。
トピックス④ 健康優良企業(金の認定)を取得
4つ目のトピックスは、健康企業宣言東京推進協議会から「健康優良企業(金の認定)」を取得したことです。
当社では、従業員の心と身体がともに健康であり続けることで、従業員が働きがいを実感できるため、健康経営は企業の成長には不可欠と考え、従業員の健康管理をサステナビリティにおける経営課題と捉えています。
この課題への取り組みとして、「健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備する」の指針のもと、定期健康診断の受診率100パーセントを目指すことや、心身の健康への気づきを目的とした研修の紹介・実施、日々の積み重ねとしての毎朝の体操実施、運動不足の解消のためのウォーキング大会の開催などを行い、徹底した過重労働の防止や働き方改革にも取り組んでいます。
従来の「銀の認定」から評価が上がったのは、これらさまざまな取り組みの積み重ねが評価されたものと考えています。
以上、株式会社オーバルの2025年3月期第2四半期の決算説明を終わります。今後も、アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指し、これまで培ってきた技術と経験により、お客さまに最適な商品やソリューションを提供し、事業を通して社会貢献に取り組んでいきます。
私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。