人と人をつなげる

上田祐司氏(以下、上田):株式会社ガイアックス代表執行役社長の上田祐司です。これより、株式会社ガイアックス2024年12月期決算説明会を行います。

当社は「人と人をつなげる」をミッションに、事業を行っています。

当社事業概要

1年間の事業報告に先立ち、事業概要をご説明します。当社の事業概要は、ソーシャルメディアサービス事業とインキュベーション事業の2つに分かれています。

ソーシャルメディアサービス事業では、SNSを中心とした運用サービスや開発提供を行っています。BtoBのビジネスであり、月額でいただきながらお仕事する売上がほとんどです。企業からコンサルティング、開発運用などのお仕事をいただくため、比較的安定しています。

スライド右側が、インキュベーション事業です。こちらは、連結内での新規事業立ち上げや外部への投資などがあります。現在立ち上げ中である「DAO」に関連する売上は、おおむねこちらに入っています。

投資は、株式を売却した際に初めて売上利益が上がる仕組みです。そのため、特にキャピタルゲイン、もしくは投資先が事業を閉鎖した時などにキャピタルロスが発生しますが、比較的、上下動が出やすい事業部となっています。

2024年12月期:ソーシャルメディアサービス事業

まずは、ソーシャルメディアサービス事業についてご説明します。

直近では、統合型マーケティングの需要が高まっています。もともとは「1部門、1サービスとしてSNSを活用しよう」と考える企業が多くありました。しかし、最近では現状認識のため、広告の一部として、口コミマーケティングなどを通じたSNSがマーケティングの中心となっています。

他のマスメディアの広告も活用されていますが、それらも含めた最終的な結果測定として、ユーザーがどのようにブランドを認知し直したのかという確認手段としてもSNSが活用されています。このような時代背景から、統合型マーケティングではSNSが非常に活用されています。

当社はそのようなニーズに応えられるよう、統合的にサービスを提供しています。直近では、エンドユーザーのほうで縦型動画・クリエイティブニーズが増えているため、当社としてもそのような分野が伸びています。

2024年12月期:ソーシャルメディアサービス事業

そのような中、子会社の統合を行いました。株式会社CREAVEとして、縦型動画や写真に強みを持つ子会社となっています。

2024年12月期:ソーシャルメディアサービス事業

プラットフォームである「Snapmart」でクリエイターを募集し、大量の素材を集め、クリエイターを活用してマーケティング支援ができるかたちになっています。

2024年12月期:ソーシャルメディアサービス事業

スライドに掲載した1つの事例として、お客さまである伊藤園では、フォロー転換率が3.2倍となりました。当社サービスが、非常に効果的なマーケティングを提供しています。

2024年12月期:ソーシャルメディアサービス事業

直近では、動画プロモーションが少し発展しました。「ショートドラマをプロモーションに活かそう」という企業もあるため、当社はショートドラマ作成事業も行っています。

こちらのスライドは、パナソニックホールディングス社から受注した案件です。先方が出しているかわいい器具に関して、普通のCMではなく、ショートドラマ仕立てでCMを行っています。

現在、ショートドラマは非常にマーケットが伸びつつあるため、当社としても力を入れていこうと考えています。

2024年12月期第4四半期:ソーシャルメディアサービス事業

プラットフォームである「Snapmart」においては、登録クリエイター数が年々伸びており、2024年10月には35万人となっています。

2024年12月期:インキュベーション事業

インキュベーション事業についてご説明します。いくつかの種類に分けると、連結内で行っている新規事業がシェアサービス、シェアリングエコノミー関連事業、DAO関連事業、スタートアップ支援となり、全国の自治体の起業家輩出支援を行っています。

これらとは別に連結外では投資を行っており、キャピタルゲインが売上利益になるかたちです。

2024年12月期:インキュベーション事業(起業支援)

スタートアップ支援について、もう少し詳しくご説明します。

当社は、東京都よりスタートアップ支援等の事業を複数受託しています。これまでにも複数の事業を行っていますが、東京都は非常に多くのスタートアップ支援事業を試みており、その中のいくつかの取り組みに我々も入っています。

2024年12月期:インキュベーション事業(起業支援)

アントレプレナーシップ教育プログラムの提供も行っています。お客さまとなる学校法人または自治体から受注をいただき、全国の中学生・高校生を中心に、「起業ゼミ」とよばれる授業の提供を行っています。

「もっとこのような取り組みを行っていくべきだ」という声が多いことから、我々の提供者数や学校数が増加しています。

2024年12月期:インキュベーション事業(起業支援)

アントレプレナーシップ教育・起業家教育プログラムは、これまでに多くの学校・自治体から受注しています。

2024年12月期第4四半期:インキュベーション事業(起業支援)

直近では、東京都「ITAMAEプロジェクト(2期)」事業を受託しました。

2024年12月期:インキュベーション事業(web3/DAO)

インキュベーション事業の連結内で行っている事業のうち、DAOに関連していくつかご説明します。

DAOのビジネスとして、DAO組成・運用プラットフォーム「DAOX(ダオエックス)」の提供を開始しました。こちらは、DAOを行いたい企業がワンストップでDAOを提供できるようになるシステムです。

スライド右下に記載のとおり、現在、NFTの発行・販売、ウォレットの自動生成、NFTを使った投票機能、そしてもちろん、事前のディスカッションやトークン付与システムまで、オールインワンで搭載されています。こちらはTIS株式会社と提携し、販売を強化しています。

2024年12月期第4四半期:インキュベーション事業(web3/DAO)

マネックスグループのマネックスクリプトバンク社と「DAOX」販売パートナー契約を締結しました。

また、群馬県より「Web3コミュニティ(DAO)による地域課題解決実証事業」を受託しています。我々としては、DAOを使って地域課題が解決できる決定版になるよう、力を入れて群馬県にサービスを提供しています。

2024年12月期 出資先動向

出資先の動向についてです。2024年1月から12月までの内容のため、少し古い情報もありますが、この1年間で株式会社タイミー、株式会社Unito、株式会社TRUSTDOCKにおいて、スライドに記載しているような事象がありました。

2024年12月期 出資先動向

投資先である株式会社ADDress、ピクスタ株式会社、PlanetDAO社においても、いくつかの事業進捗があります。

2024年12月期 振り返り

流拓巳氏:管理本部長の流拓巳です。私より、2024年12月期の振り返りからご説明します。

連結業績に関して、売上高は前年同期比24.0パーセント増の33億7,000万円、営業損益は172.5パーセント増の3億7,000万円となっています。

ソーシャルメディアサービス事業に関して、売上高は前年同期比12.0パーセント増の21億5,800万円、営業損益は25.9パーセント減の2億6,700万円となっています。売上が増えている中、利益は減少していますが、このあたりの要因に関しては後ほど触れたいと思います。

インキュベーション事業に関して、売上高は前年同期比53.1パーセント増の12億1,700万円、営業損益は327.5パーセント増の5億1,900万円となっています。

連結売上高の推移

連結売上高の推移についてです。スライドに記載のとおり、投資先である株式会社タイミーの上場に伴う売出しがあったため、第3四半期の売上高が大幅に増加しています。

スライド右側のグラフの2024年をご覧いただくと、第3四半期に11億7,800万円の売上がありますが、こちらが株式会社タイミーの上場に伴う売出しの影響による上振れた売上です。

また、ソーシャルメディアサービス事業では縦型動画を中心とした統合型マーケティング支援の需要が高まり、安定した受注が継続しています。

連結営業損益の推移

連結営業損益の推移です。こちらも、投資先である株式会社タイミーの上場に伴う保有株式の売却が大きく貢献しています。一方で、今後の収益基盤の強化に向けた積極的な投資を進めたことにより、販管費が増加しました。

2024年12月期 連結PL(前年同期 累計比較)

2024年12月期の連結P/Lは、スライドに記載のとおりです。スライド左側が前年同期、右側が2024年12月期の数字となっています。

2024年12月期 第4四半期 連結PL(四半期会計期間比較)

2024年12月期第4四半期の連結P/Lです。スライド左側が2023年12月期第4四半期との比較、つまり前年同期比です。スライド右側が、2024年12月期第3四半期と同年第4四半期の比較です。

先行投資の継続による販管費の増加や子会社ののれんの減損(特損)により、赤字着地となっています。

2024年12月期 連結B/S

2024年12月期連結B/Sは、スライドに記載のとおりです。営業投資有価証券の売却および長期借入の実行によって現預金が大きく変化し、前年同期比2億2,400万円の増加となっています。

ソーシャルメディアサービス事業 連結売上高の推移

事業グループ別の業績です。まずは、ソーシャルメディアサービス事業連結売上高の推移です。

数字はグラフに記載のとおりですが、複数SNS等を横断する統合型マーケティング支援へのサービス拡張、および縦型動画ニーズ伸長に伴う大型案件の受注が続いており、引き続き売上高の増加に貢献しています。

ソーシャルメディアサービス事業 連結営業損益の推移

ソーシャルメディアサービス事業の連結営業損益の推移です。

先ほど触れましたが、売上増加の一方で、今後の収益基盤の強化も同時に行っています。今期はその強化に向けた投資に積極的に注力した結果、販管費が増加しました。それに伴って利益率が一時的に下がりましたが、現在は改善中です。

スライド一番右の下から3つ目が第3四半期、一番上が第4四半期です。第3四半期よりも第4四半期のほうが改善しており、これからも改善に努めていきたいと思っています。

インキュベーション事業 連結売上高の推移

インキュベーション事業の連結売上高の推移です。投資先である株式会社タイミーの上場に伴う保有株式の売却により、売上高が大幅に増加しました。

また、先ほど上田からお伝えしたように、自治体からの起業支援業務の受託も売上の増加に貢献しています。

インキュベーション事業 連結営業損益の推移

インキュベーション事業の連結営業損益の推移です。起業支援業務の受託案件の増加が収益を押し上げる一方で、web3/DAO領域等の新規事業への先行投資を継続して行っています。

今回、投資先である株式会社タイミーの上場に伴う保有株式の売却が大きく貢献し、グラフ上ではスライドに記載のとおりとなっています。

2025年12月期 業績見通し

2025年12月期の業績見通しです。ソーシャルメディアサービス事業について特に触れたい重要なポイントは、SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティング市場の成長が引き続き見込まれていることです。

当社グループが提供するSNSを中心とした統合型マーケティングに加え、動画を中心としたクリエイティブ領域にも注力し、事業領域の拡大と売上高増加を図っていきます。

もう一方のインキュベーション事業においては、政府の「スタートアップ育成5か年計画」を追い風に、先ほどお伝えした東京都のような自治体や教育機関等からの起業支援プログラムを引き続き受託しています。

また、当社グループの新たな収益の柱とすべく、現在、web3(DAO・自立分散型組織)に注力していますが、現状はDAOの社会実装に向けた環境整備を推進し、より多くの組織・コミュニティがDAOを活用できる基盤を築くための投資フェーズであり、開発コストおよび人件費等が先行する想定です。

スライド下の表は、左側が2024年12月期実績、右側が2025年12月期予想です。数字上は、2024年度は、売上高、営業利益とも計画を上振れたため、2024年度より減収する予想になっています。

中期経営方針の進捗状況

弊社は、インキュベーション領域およびソーシャルメディア領域でさまざまな事業を行っています。

先ほどから度々触れているとおり、昨年はインキュベーション領域において、投資先であるタイミー社の上場があったように、安定的かつ確実に積み上がっていくというよりは、その時々で発生する一時的な数字もあります。

昨年は投資先の上場に伴う売出しがあったため、今回の業績予想は前年比では下がっていますが、売上高・営業利益ともに、2027年に向けた中期経営計画に対する遅れを意味するものではありません。

スライドには、2025年、2026年、2027年の売上高や営業利益の実績・計画数字を記載しています。この目標を達成すべく、インキュベーション領域にもソーシャルメディア領域にも注力して事業を伸ばそうとしているところです。

このグラフのとおり、2025年以降も事業を伸ばしていけるよう努力していきます。私からのご説明は以上です。

注力している3領域

上田:事業方針です。注力している分野は、スライドに記載した3領域です。

1つ目は創業以来行っているSNSを軸にしたマーケティング支援、2つ目は「スタートアップスタジオ」等の起業支援、そして3つ目として、直近はweb3の中でもフラットな組織を表すDAOに非常に力を入れています。

GAIAX BUSINESS MODEL

当社は自社で社内事業を行いつつ投資も行うという、両方の要素があります。また、当社が行っていた事業もカーブアウトして上場を目指し、その後は当社株を売却するかたちもあります。

事業会社・投資会社

事業会社では当然ながら事業収益(インカムゲイン)を目指し、投資会社では投資収益(キャピタルゲイン)を目指します。当社は、これら両方の売上と利益を計上するというビジネスモデルです。

カーブアウト機能を活用した事業の成長加速

どの事業をカーブアウトし、どの事業をカーブアウトしないかの判断はありますが、特に外部を含めたリソースを活用することで事業の成長が加速するケースにおいて、カーブアウトは非常に有効だと思っています。

そのため、当社の中で20億円や30億円の投資をするよりも、株主となって同規模の投資を行っていただき、かつその事業を支援する企業に株式を持っていただくほうが結果的に当社の持分価値が高まるのではないかと判断した場合に、カーブアウトを行います。

カーブアウトオプション制度活用事例

カーブアウトオプション制度活用事例です。TRUSTDOCK社やアディッシュ社がカーブアウトオプションを使用しており、他にも数社あります。

事業会社と投資会社の「ハイブリッドモデル」

ここまでのご説明のとおり、自社で運営しているケースからガイアックスグループ外の投資先まで、幅広いグラデーションで一番効率的なものを随時選択し、資本を有効活用するかたちで取り組んでいます。

中期経営方針

中期経営方針です。ソーシャルメディアサービス事業は比較的安定的なビジネスのため、年成長率10パーセント以上、営業利益率20パーセントを目指し、着々と伸ばしていきたいと思っています。

インキュベーション事業は、売却時には非常に利益が出て、減損時には費用が出ます。コストコントロールしながら、投資を多数行うのではなく一定の投資規律を徹底しつつ、相対的かつ安定的に利益を出していきたいと思っています。

結果として、連結売上・利益・配当は安定成長を行い、黒字を確保し、継続的な配当を行っていきます。

2023-2027年度 中期経営方針 業績目標

先ほども表を用いてご説明したため、中期経営方針の業績目標については割愛しますが、2027年度に向けて鋭意取り組んでいきます。

株主還元方針

株主還元方針です。安定的で継続的な配当を目指し、2025年は5円の期末配当額を予定しています。

2024年は1株あたり50円の特別配当を実施しましたが、2025年度以降も安定的かつケースバイケースで特別配当を発行していきたいと考えています。説明は以上です。

質疑応答:DAOの収益化モデルと進捗について

司会者:「DAOはどのように収益化するのでしょうか? また、進捗を教えてください」というご質問です。

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