東洋シヤッター株式会社 個人投資家向け説明会
岡田敏夫氏(以下、岡田):みなさま、こんにちは。東洋シヤッター株式会社代表取締役社長の岡田です。本日は弊社の個人投資家向け会社説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。最後までご視聴くださいますようよろしくお願いします。
スライドには、過去の中期経営計画を含めた業績推移を示しています。左から、2013年3月期にスタートした中期経営計画「JUMP UP 3」、次に「POWER UP 3」「BRUSH UP 3+1」、そして今期で最終年度を迎える「TOYO REBORN 3」と、その時々に起こる外部環境の変化に対応しながら、13期連続で黒字を継続してきた足跡です。
ただ、閉めて、開けるだけじゃない!?
そのような東洋シヤッターのことを、この機会に少しでも知っていただき、「ただ閉めて開けるだけのシャッターを作っている会社」ではなく、みなさまの生命や財産を守る会社であることもご理解いただければと思っています。
目次
本日ご説明する内容はスライドのとおりです。
事業内容
まずはじめに、事業内容についてご説明します。弊社は国内のあらゆる建物にさまざまなかたちで参画機会を持ち、社会に安全・安心・快適・感動を提供しています。
弊社の製品が活躍する代表的な建物としては、再開発ビル、工場、物流倉庫、商業施設などが主なものとなります。
事業内容|シャッター事業
各事業についてご説明します。まず、主力となるシャッター事業です。シャッターは、大型の建物に設置される重量シャッターと、住宅のガレージや小規模建物に設置される軽量シャッターに分けることができます。
日頃みなさまが目にされる重量シャッターは、建物出入口に設置される防犯用がほとんどだと思います。しかし、実はふだんは隠れて見えない防火設備としての重量シャッターが、建物の天井内部には大量に設置されています。
万が一、建物内で火災が発生した場合にシャッターが自動的に降下し、火や煙の広がりを一定時間遮ることで、人々が安全に避難できる役割を果たしています。この防火防煙シャッターが、弊社が最も得意とする製品です。
事業内容|スチールドア事業
次にスチールドア事業です。室内ドアや玄関ドアではなく、建物の開口部に設置されるスチール製防火扉の製造販売を行っています。
ビルの非常階段の出入口などに設置され、重量シャッターと同じように、火災から人々を守る防火設備として、あらゆる建物に数多く設置されています。
事業内容|錠前金物事業
続いて、錠前金物事業です。錠前金物とは、ドアに使われる鍵やレバーハンドルなどの製品を指します。過去から高品質の高級路線を歩んでいますが、現在は建築よりも船舶に軸足を置き、客船やフェリーなどに製品を納めています。
船独特の絶え間のないエンジン振動や波のローリングなど、過酷な使用環境の中でもびくともしない品質で、船舶業界からは高い信頼をいただいています。
また、そのような経験から、JR九州の特急列車や豪華客船の「飛鳥」、あるいは海上自衛隊のイージス艦などの内装にも納入実績を持っています。
事業内容|その他の活躍
それ以外に活躍している製品を少しご紹介します。1つは、高速道路などのトンネル内に一定間隔で設置されるトンネル避難連絡坑ドアです。トンネル内での火災時に、人々が側道に避難するための人道用と、緊急車両が通る車両用があり、これらを製造する国内メーカーは現在弊社を含めて2社のみです。
また、浸水被害を防ぐ製品として、防水板や防水扉も製造しています。そのほか、お客さまとともに新製品を開発する「MAKE with」という取組みにも現在注力しているところです。
会社概要
会社概要です。スライドにお示しした4つの経営ビジョンを掲げる、業界第3位の会社です。上場しているシャッターメーカーの中では唯一大阪に本社を置き、関西で強い営業基盤を持っています。
会社概要
会社の設立は1955年で、2025年には会社設立70周年を迎えます。製造拠点として、奈良県、茨城県、鹿児島県の3ヶ所に工場を有しています。
最近では、会社認知度の向上策として、京セラドーム大阪に広告看板を出し、メイン工場がある奈良県で毎年開催される飛鳥ハーフマラソンにもスポンサーとして協賛しています。
シャッター業界について①
ここで、みなさまがあまりご存知ないシャッター業界の仕事の流れについてお話しします。ほとんどのシャッターメーカーが、販売から建設現場における施工まで自社一貫体制で対応しています。
まず、ゼネコンや工務店が建設計画を持つ施主から建物全体の工事を請け負います。我々はゼネコンや工務店に対し、対象製品となるシャッターやスチールドアの仕様確認、金額の交渉を行い、業界内の競争を経て契約につなげます。
シャッターやスチールドアはすべてがオーダーメイドであることから、契約後は1品1品を自社で設計することになります。ゼネコンから図面承認を得た後に、自社工場で製作します。
工場からの出荷段階では、製品はまだプラモデルのパーツと同じ状態です。建設現場の工程スケジュールに合わせて搬入を行い、組み立てて建物に取り付けます。これが簡単な流れとなります。
建物の完成後は、製品を長く安全にご利用いただくために、施主に対して定期的な点検をおすすめします。これがメンテナンス事業となります。
現在のシャッター業界は、限定的なプレイヤーによる寡占市場ながら、高度な専門知識とノウハウが必要なプロ集団と言えます。そのため、長年、他の業界や外資からの参入経験がない特殊な業界とも言えます。
シャッター業界について②
需要面でも特長があります。重量シャッターやスチールドアなどの防火製品の需要は、住宅以外の建物がどの程度着工されたのかを示す全国非住宅着工床面積に連動する傾向があります。
併せて、過去の災害や火災の教訓に基づき、建築基準法により防火設備として設置を義務づけられていることから、底堅い需要があると言えます。加えて、近年の防災ニーズの一層の高まりにより、今後も私どもが果たす役割は大きいと考えています。
当社の強み①
ここからは、弊社の強みをいくつかご紹介します。
1つ目のキーワードは「防ぐ」です。防犯、防火、防煙、最近では防水、防音など、「防ぐ」ことが大好きな会社です。近年の自然災害、変化する社会生活や環境に対応するさまざまな「防ぐ」を磨き続けています。
当社の強み②
2つ目は「少数精鋭」です。市場変化に応じた機敏な事業戦略が打ちやすく、徹底しやすい会社です。営業拠点は主要都市への効率的な配置を行い、社員は地域やお客さまに寄り添った柔軟で丁寧な対応を信条としています。そして、経営と現場の一体感が強い会社だと考えています。
当社の強み③
3つ目は「業界初」が多いことです。過去には、シャッターが降りてくる途中でも障害物を自動的に感知してストップする、業界初の無人制御シャッターを開発しました。
さらには、なんらかの理由でシャッターが制御を失い、急速降下した場合に、すぐにストップが働く装置「守護神」を業界に先駆けて標準装備としました。
最近では、非常時でも追加操作することなく、ふだん使いのままでも性能を発揮するフェーズフリー分野に、業界で初めて新規参入しました。幸いにも「第3回フェーズフリーアワード2023」では、弊社製品が事業部門のBRONZE賞を受賞することができました。
当社の強み④
4つ目は「着眼点が特殊」であることです。スライドでご覧いただいているのは、フェーズフリー製品である止水ドアの「TSウォータータイト」です。水害時に、重いハンドル操作や締め付け操作などの追加操作なしで、建物内への浸水を防ぎます。
スライド右側は、万が一、水圧で扉の開閉が困難となり閉じ込められた場合でも、扉上部だけが開いて人々を避難させる避難口付きの新しいタイプです。専門家からも高い関心が寄せられており、ユニークな技術や製品の開発が得意な会社だと考えています。
当社の強み⑤
強みの最後は、建材メーカー世界大手であるドイツのハーマン社と資本業務提携をしていることです。ハーマン社は世界に40の生産拠点を持ち、40ヶ国以上に100以上の自社販売拠点を展開するグローバル企業です。
弊社はそのハーマン社から約20パーセントの資本を受け入れ、ハーマン社の一部製品に対する日本における独占販売権を持っています。現在、斬新で機能性あふれる3つの製品について日本市場向けにカスタマイズを加え、拡販を目指しています。
2025年3月期中間期業績
ここからは、2025年3月期の中間期決算と通期の見通しについてご説明します。
中間期はスライドのとおり、残念ながら利益面で期初計画や前年同期を下回る結果となりました。下回った理由は明らかで、第1四半期の利益の落ち込みによるものです。収益重視の受注活動を実践したことに加え、一時的にマーケットの需要が減速した影響を受け、第1四半期分の工場生産数量を確保できなかったことが原因です。
しかし第2四半期はすでに盛り返しており、2024年7月から9月の第2四半期だけを見れば、前年同期を上回る3億3,100万円の営業利益となっています。かなり挽回できたというのが中間期の実感です。
2025年3月期通期決算見通し
2025年3月期通期の見通しです。スライドは製品別の売上高を含めた通期の売上と利益の計画です。売上高は205億円、営業利益は14億5,000万円、経常利益は13億5,000万円、当期純利益は9億円と、期初に公表した計画を据え置いています。
通期計画の達成見込みについては、先ほど触れたように第1四半期では出遅れたものの、第2四半期での営業利益は前期を上回っています。それに加えて、足元となる中間期末の受注残高も102億8,900万円と前年同期比で11パーセント以上増加していることから、達成できると考えています。
設備投資額・減価償却費の見通し
設備投資額と減価償却費の見通しです。2023年3月期から始まった今回の中期経営計画では、メイン工場である奈良工場の塗装ラインの刷新や、重量シャッター用のロール成形機の更新、全社パソコンをモバイル化するなど、3年総額で15億円に上る積極的な設備投資を計画していました。
2025年3月期上半期の投資額も3億1,700万円と順調な投資となり、今期計画の設備投資額6億円を上回る着地になると考えています。
具体的施策
ここからは、今後の企業価値向上に向けた取組みについてご説明します。
1つ目は、さらなる成長戦略の推進です。先ほども触れた、ユーザーとの協働による新製品開発「MAKE with」を推進します。
スライド左側では開閉操作が楽な引き戸でありながら、防火と防音の性能を併せ持つ「TSスライドSAT」、スライド右側では高い防火防音機能を持ちながら、扉を閉じた状態でも換気機能を持つ「TSベンチタイト」を、それぞれ紹介しています。
このように、ユーザーや建物設計者からの困難な要望や、相反する機能を製品として実現しました。今後も特徴ある製品をマーケットに投入していく予定です。
具体的施策
2つ目として、EC市場への進出を図るために、楽天市場に直営店「TSeショップ」を出店しました。現在販売している製品は、風によって発生する軽量シャッターのばたつき音を防ぐ「バタとめ」という1製品のみですが、今後もエンドユーザーに対するダイレクトな販路の拡大に挑戦していきます。
3つ目、4つ目として、ドイツのハーマン社はもとより、国内企業との共同開発への挑戦や、他業界や異業種との交流によるOEM製造も推進中です。高付加価値を持ち特徴のある製品を提供していきたいと計画しています。
具体的施策
また、IR活動も強化します。まず、2024年10月にホームページを全面刷新しました。業界関係者のみならず、学生や一般のみなさまにもわかりやすいものにできたと感じています。また、同年10月には会社認知度向上のために会社早わかり動画を作成し、ホームページにアップしました。
そして本日は個人型投資家のみなさまへの説明会を初めて開催することができました。今後も継続的なIR活動の強化に努めていきます。
ROE維持向上
ROEの維持向上についてご説明します。スライドのとおり、2024年3月期には11.4パーセントをマークできましたが、まだ安定的に10パーセント以上を維持できる実力ではないと認識しています。
2026年3月期から始まる次期中期経営計画では、収益性重視の受注活動、成長戦略による利益拡大などにより、ROE10パーセント以上の維持を目指していきます。
株主還元への一層の取組み
株主還元への一層の取組みについてご説明します。株主のみなさまへの利益還元については、経営の最重要課題の1つに位置づけています。
すでに2024年5月に公表したように、配当性向の目標を従来の20パーセントから30パーセントに引き上げました。これにより、2025年3月期の配当は前期比で11円の増配となる1株あたり42円を予定しています。
人的資本への取り組み
最後に、人的資本への取り組みについてご説明します。
社員の自立と成長を支援するとともに、活躍できる環境の構築を行うために、人材育成とエンゲージメント向上の両面に取り組んでいます。
人材育成では、将来を担う世代の育成として、私自らが講師となり、経験や経営ノウハウを説く塾を開催しています。また、育つ環境作りでは、正社員約550名のうち、約20パーセント以上を占める20代社員を一堂に集める若手交流会を開催し、つながりや連帯感、刺激や情報交換の場を作っています。
また、かねてより積極化しているキャリア採用については、勤務エリアを限定する社員採用を始めるなど、多岐にわたる施策を講じています。
エンゲージメントの向上では、多様性の尊重という面で女性活躍推進研修を3回にわたり実施しました。働きやすい環境整備では、エンゲージメントサーベイの実施を経て、賛同が多かった定年延長の検討に着手しました。
社員のモチベーションに直結するベースアップでは、2024年度の賃上げ率8パーセントを実施するなど、数多くのことに積極的に取り組んでいます。引き続き、いろいろな角度から施策を講じたいと考えています。
以上が弊社の紹介です。「ただ閉めて開けるだけのシャッターを作っている会社」ではないとご理解いただけたでしょうか? 今後もさまざまなところで、みなさまの生命や財産をしっかりと守り続ける製品作りと社員作りを行っていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いします。
本日は弊社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:フェーズフリーについて
司会者:「フェーズフリー分野やフェーズフリー製品に注力されているとのことですが、『フェーズフリー』とはどのようなものなのか教えてください」というご質問です。
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