2024年6月期 第2四半期決算サマリー
斎藤泰志氏(以下、斎藤):株式会社unerryの2025年6月期第2四半期決算説明会を開催します。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。本説明会は、代表取締役社長CEOの内山と、取締役執行役員CFOの斎藤がご説明します。
内山英俊氏(以下、内山):冒頭は私からご説明します。まず第2四半期の決算サマリーとして、大きく4点あります。
売上高は9億3,800万円で、昨年の第2四半期対比で43パーセントの成長となり、四半期で過去最高を更新しました。かつ、想定よりも売上を超過することができています。
主な要因としては、リカーリング顧客数が予定どおりに伸びたことに加えて、顧客単価がかなりの高水準を維持できたことが挙げられます。
後ほどご説明しますが、四半期ごとの偏りは解消傾向にあるかと思いますので、今期の見通しも予定どおりとしています。一方で、行動変容サービス、分析・可視化サービス、One to Oneサービスといったサービス別に見た場合には、今後も季節性の動きが一定量あるかと思っています。
営業利益はYoYプラス341パーセント、つまり4.4倍となります。こちらも計画を上回る水準となりました。原価率、販管費率についても改善傾向で、営業利益率は4ポイント向上しています。
今期の見通しとして、利益率については維持する見込みです。販管費の多くを占める人件費および採用費については、採用が非常に堅調に進んでおり、優秀な人材の獲得も進んでいます。もちろん、採用は人件費の増加にも影響しますが、売上にもしっかりと還元できています。利益率を上げながらも十分に対応できているところが、今回非常に良かったと思っています。
事業については、11月、12月の年末の駆け込み需要確保に成功したこともあり、売上高の確保に至っています。特にリテールメディア事業が非常に堅調でした。
課題であるグローバル事業についても進展が見られています。後ほどご説明しますが、年間を通じた今期の見通しとしては、リテールDX事業およびリテールメディア事業の2つが非常に堅調に伸びているかたちです。
売上高100億円達成に向けた具体戦略は4つありますが、その中でも大きなトピックスとして、NTTドコモおよび博報堂がすでに出資しているDearOneという会社に、unerryも資本参加させていただき、資本業務提携に至っています。これにより、データ量の拡大およびサービスラインアップが非常に大きく広がってきました。今回は非常に良い決算となったと思います。
Beacon Bank
今回は個人投資家のみなさまに多く参加していただいているため、unerryはどのような会社なのかをあらためてご説明します。
我々は「Beacon Bank」というサービスを展開しています。リアル空間とデジタル空間の2つをいかに融合して新しい世界を作っていくかに取り組んでいるところです。
4.2億IDの生活者行動のビッグデータを蓄積しています。我々は蓄積したデータの分析・可視化サービス、広告サービスである行動変容サービス、システム開発・ソリューションサービスであるOne to Oneサービスといった、3つのサービスを提供しています。
スライド右側に記載しているとおり、小売・外食・メーカー、あるいは自治体・交通・観光・不動産といった業界に対してサービス提供を行っている会社です。
デジタル・リアルを融合させた生活者行動ビッグデータであらゆる産業のデータ支援を展開
データの中心は、人流ビッグデータになります。みなさまがお使いになるスマートフォンアプリの中で、約120個のアプリに我々の技術を導入いただいています。それをダウンロードしていただくと、プライバシーポリシーにunerryの名前が確実に記載されています。そこに同意いただいた方の位置情報がunerryに蓄積されるというものです。
屋外はGPS、屋内はビーコンにより、かなり網羅的な高精度の位置取得ができるところが特徴になります。
この人流ビッグデータは非常に有用で、テレビの視聴データ、Webのデータ、ソーシャルメディア、アプリ、デジタルサイネージ、屋外広告など、ありとあらゆる情報接触メディアと連携ができるものです。さらに、最近では店頭の購買データの統計的な推計もできるようになっています。誰がどのような情報に接触し、どのお店に行ってどんなものを買ったのかを統計的に計測でき、ビッグデータの基盤となっています。
グローバルTOP10に入るビッグデータカンパニー
4.2億IDというデータ量は、非常に大きなものです。私はもともとデータとAIのエンジニアおよび研究者として活動してきましたが、データのボリューム、またはデータの幅が少ないと、まったく価値が出ません。一定量を超えることで、初めてデータに意味が出てきます。
unerryは4.2億IDのデータを保有しており、現在はグローバルTOP10に入るビッグデータカンパニーに成長しました。ここまで来ると、データからいろいろな意味合いが抽出できるようになります。日本発のグローバルのビッグデータカンパニーに成長しつつあるというのが、我々の現在地になります。
提供サービス
データの分析・可視化サービスとして、主に「ショッパーみえーる」を提供しています。また、このデータに基づいた広告サービス「Beacon Bank AD」を提供しており、こちらは行動変容サービスと呼んでいます。さらに、One to Oneサービスでは、位置情報を活用したシステム開発、システム運営、ソリューション提供を行っています。
unerryが解決する課題
分析・可視化サービス、行動変容サービス、One to Oneサービスの3つを提供している理由についてあらためてお伝えします。
日本は最終消費支出が約300兆円もありますが、インターネット上で物が買われる割合は9.4パーセントしかありません。つまり、消費の約9割はリアルで行われている訳です。
それにもかかわらず、リアルの世界はデータ化が進んでいないがゆえに、どんな人がどこにいて、どのような需要があるか、どこで混雑が起こっているのかもわかっていなかったというのが今までの社会だったと思います。このリアルな社会をデータ化することが、我々のミッションです。
unerryが実現している世界
みなさまの生活は、いろいろなものに支えられています。例えば、お店に行くとクーポンが届いたり、駅に行くとその日のニュースが届いたり、レストランに行くとスタンプが貯まったり、アプリや「LINE」を通じて今日の特売やセールスの情報が届いたりします。これらのサービスは高い割合で、unerryの技術が後ろで支えています。
unerryが実現している世界
他にも、いつも行くお店が何時に混んでいるかを知りたい時、今日は駅の人出が多いのかを検索する時が挙げられます。さらに、特に企業さまのご要望としては、どんな観光客がどこに行っているのかを調べたい時、スーパーなどでは競合店舗にどんなお客さまが来ているのかを調べたい時などに、我々のデータがかなりの割合でサービスを支えています。
unerryが実現している世界
その他にも、以前は自宅に山のように届いていたDMやチラシが、最近減っているのではないかと思います。また、食べたかった商品の情報が届いたり、家の近くに最近バス停ができたり、今までエアコンが強くて寒かったお店が最近適温になったという際にも、実はunerryのAIが後ろで走っていたりします。このようなかたちで、みなさまの生活のいろいろな場面で実はunerryが少しずつ関わっています。
unerryが実現している世界
今の我々のデータ・技術は、小売・外食・商業施設、まちづくり、消費財メーカー、観光などで使われていますが、本当はさらに大きな産業を支えていけるものだと思っています。モビリティ、金融、製造、ヘルスケア、不動産、物流、農業など、ありとあらゆる産業を支えられるのが、我々のデータです。
実際に導入いただいている方々からは、「売上が上がる」「ビジネスが非常に効率的になる」などの声もいただいており、非常に多くの成功例を生み出しています。これはすべて、unerryのヒトとサービスが支えているものになります。このようなかたちで、unerryはみなさまの生活を支えている企業になります。
ビジネスモデル:リカーリング顧客の顧客単価が80倍となる例も
ビジネスモデルについてです。ご契約いただいたお客さまで、例えば最初に月額15万円で分析サービスを導入していただくと、競合についてのデータも見ることができます。そのため、「紙のチラシを配布するのを減らして、競合店に行かれている方へunerryのサービスで広告を配信しよう」と考えます。まずは20店舗に対して月額100万円で実行してみたところ、効果が非常に高かったということで、対象が250店舗まで拡大しました。月額費用もどんどん上がっていきますので、「そこまで拡大するのであれば『LINE』やアプリもunerryを使おう」というかたちでどんどん拡大していき、最初は月額15万円から始まったお客さまが、1千数百万円程度まで引き上がることがあります。このように、桁が違う顧客単価へと成長することが、我々のビジネスモデルの非常にユニークな特徴です。
電気・ガス・水道のように使われるグローバルインフラへ
現状は日本および北米で展開していますが、4.2億IDを保有するこのサービスは、SNSも、携帯キャリアも、プラットフォーマーも、さまざまな方々が共通して連携できるサービスになります。
したがって、生活者行動ビッグデータというレイヤー上ではunerryが圧倒的であり、電気・ガス・水道のように使われるグローバルインフラになるべく進めていきます。「電気・ガス・水道・unerry」をスローガンとして掲げ、日々活動しています。
業績ハイライト
斎藤:2025年6月期第2四半期の実績についてご説明します。冒頭のサマリーでもお伝えしていますが、売上・利益ともに非常に好決算となりました。
unerryでは、売上の上位顧客、または今後大きくなるであろう顧客を重点顧客と定め、営業強化を行ってきました。その結果がしっかりと表れています。第2四半期の売上高は前年同期比1.4倍となる9億3,800万円となりました。売上総利益は前年同期比1.6倍の3億2,900万円、営業利益においては前年同期比4.4倍となる5,600万円となりました。
売上高:サービス別
詳細を見ていきます。まず、サービス別の売上高です。第1四半期から続いている傾向として、One to Oneサービスは前年からやや減少していますが、分析・可視化サービス、行動変容サービスの2つについては大きく増加しています。その結果、前年同期比プラス43パーセントと伸長し、過去最大の四半期売上となりました。
売上高:リカーリング顧客指標
リカーリング顧客の指標になります。unerryでは、4四半期連続など継続的にお取引いただいているお客さまをリカーリング顧客と定義しています。このリカーリング顧客数が、第2四半期で127社となりました。前年同期比でプラス27社、前期末比でプラス18社と、堅調に増えています。
リカーリング顧客の中でも、前年にリカーリング顧客であったお客さまが今年どれだけ増えたかを示すのがスライド左から2番目のNRRという指標になります。100パーセントを超えていると取引高が増えたことを表しているのですが、こちらも第2四半期で138パーセントと大きく伸び、順調に増加しています。
その右隣のリカーリング年間顧客単価については、SaaS企業では一般的に数万円から数百万円で推移していると思いますが、我々は2,500万円という高い水準で継続して推移しています。
このように、継続的にお取引いただけるお客さまであるリカーリング顧客数がどんどん増加しており、さらにそのお客さまの取引額もどんどん増えています。これはひとえに、我々のサービスがお客さまにしっかりと根付いているためです。
売上原価
売上原価です。直接原価は前年同期と同水準で、間接原価は前年同期からマイナス3ポイントと改善しています。直接原価は、主に行動変容サービスの広告費の媒体が約8割を占めています。間接原価は、インフラ費用や人件費にあたります。
先ほどビッグデータについてお話ししましたが、我々のデータ量は日々増えています。データ量が増えれば増えるほど、インフラ費用は増えていくのですが、業務改善等によって適切にコントロールすることで、費用の増加を抑えています。したがって、スライドのグラフはどんどん改善している結果を示しています。
サービス別粗利率(売上-直接原価)
サービス別の粗利率です。粗利は売上から直接原価を引いたものになります。
粗利率を見ていくと、分析・可視化サービスは非常に高い水準になっています。だいたい9割前後で推移しており、第2四半期は一時的な要因でやや下がっていますが、引き続き高水準を維持しています。
One to Oneサービスは、システム開発等のサービスになります。こちらは原価率の低い自社サービスを使う案件が増えたことで、粗利率が大きく改善して52パーセントとなりました。
行動変容サービスについては、売上が大きく伸びたことで社内のリソースで賄いきれないところもあり、外注を活用したことで粗利率はやや下がっています。
結果的に、全体平均は前年同期と同水準の46パーセントとなりました。
サービス別粗利(売上-直接原価)
サービス別の粗利です。分析・可視化サービス、行動変容サービスともに売上が大きく伸びた影響もあり、粗利は大きく伸びています。One to Oneサービスは売上が減少したものの、粗利率が改善したことで粗利額は増加しています。
販売費及び一般管理費
販管費についてです。unerryの販管費は、人件費・採用費が半分以上を占めています。
第2四半期においては、特に人件費・採用費が増え、全体としても昨年より増加しました。ただし、販管費率は売上高の増加によって前年同期比マイナス1ポイントの29パーセントで抑えられています。
人件費・採用費の増加はポジティブに捉えています。採用環境が厳しいと言われている中、unerryは非常に優秀な人材を順調に獲得できています。計画を上回る水準で採用できていますので、将来の成長につながると考えています。
営業利益
営業利益は5,600万円となり、前年同期から4,400万円増えました。営業利益の黒字化が定着してきた結果となっています。
通期業績予想に対する進捗率等
通期業績予想に対する進捗率です。第2四半期は、売上・利益ともに40パーセントを超える進捗率となっています。前年同期と比較すると、特に利益については大きく進んでいる状況です。引き続き、通期業績予想の達成およびROE8パーセントを実現すべく、頑張っていきたいと思います。
売上高の四半期進捗率
四半期別の売上高の進捗率です。第2四半期は、年末の駆け込み需要を大きく取り込むことができたため、前年を上回る水準で推移しています。
第3四半期は分析・可視化サービスの売上が増加するなど、依然として、サービス別の季節変動は残っていますが、全体としての偏りは緩やかになる見込みです。
展開する4事業
内山:ここからは、事業進捗について私からご報告します。
unerryが展開している事業は4つあります。小売・外食向けのリテールDX事業、消費財メーカー向けの行動変容サービスを提供するリテールメディア事業、不動産・自治体・官公庁向けのスマートシティ事業の3つを主に展開しています。加えて、その中の成功例をグローバル事業として展開し、4事業としています。
事業別の中期成⻑戦略
中期の成長戦略です。今後は4事業を年平均成長率36パーセントで成長させ、2028年6月期に100億円を目指しています。
各事業の進捗
成長戦略に対する進捗をご報告します。
まず、リテールDX事業については堅調です。今回、DearOne社と資本業務提携を行い、資本参画させていただきます。これにより、アプリへの位置情報技術の標準メニュー化を行うことができました。詳細については後ほどご報告します。
これによる今後の見通しとして、マーケティングやセールス体制の強化を同時に図っていますので、DearOne社を含めた新しいサービスやクロスセルが順調に推移する見込みです。
今回、リテールメディア事業が「◎」となっています。特に注目する点として、DearOne社とリテールメディアサービスを相互に販売できる体制が組めることとなりました。それに加えて、年末の駆け込み需要の獲得にも成功し、リテールメディア事業の売上は非常に良い進捗が見られたと思います。
一方で、先ほどお伝えしたとおり、行動変容サービスで非常に多くの受注を獲得できてしまったがゆえに、社内で体制面を賄うことができず、外部の企業にご協力いただきました。そのため、人の数に依存することを解決するためにシステム投資を行い、品質化および効率性を向上させていきます。
さらに、リテールメディア事業は非常に新しい事業ですので、ハイスキル人材をしっかりと採用し、リカーリング顧客化を推進していきたいと思っています。
スマートシティ事業も堅調に進んでいます。以前発表したブログウォッチャー社との提携も好調で、観光領域が拡大しています。まだまだ実証実験ではありますが、自動運転での利用例も出てきているところです。売上計上の多くは、unerryにおける第3四半期、世の中における3月末になりますが、売上高をしっかりと確保できるよう、納期の遅れがないように推進していく方針です。
グローバル事業は課題となっています。引き続き「△」ではありますが、この中でもかなり進んだものとして、日本を越えて提供されるサービスの拡大が進んでいます。堅調に推移していますが、海外企業向けについては、展示会などから顧客獲得につなげていくところに我々が今後努力すべきところだと思っています。後ほど詳細についてご説明します。
DearOneとの資本業務提携
DearOne社との資本業務提携についてです。DearOne社は、NTTドコモと博報堂が共同で出資している会社になります。今回、そこにunerryも合わせて資本参加するかたちになります。
スマホアプリソリューション事業とリテールメディア事業の2事業があります。スマホアプリソリューション事業はOne to Oneサービス、リテールメディア事業は行動変容サービスに主に影響する事業となります。
DearOneとの資本業務提携 | unerryの位置情報技術が多くのスマホアプリで標準活用
DearOne社は、スマホアプリソリューション事業で「ModuleApps2.0(モジュールアップス)」というサービスを提供しています。家電量販店やいろいろな会社の小売アプリ、マッチングアプリなど、非常に多くのアプリの裏側で開発を支援するサービスです。
今回、さまざまな企業のアプリを開発する際に、unerryの位置情報技術が標準メニュー化されることになりました。したがって、unerryの技術がいろいろなアプリでさらに使われていくことになります。繰り返しになりますが、これはOne to Oneサービスに影響するものとなります。
DearOneとの資本業務提携 | リテールメディアの相互販売と効果測定
さらに、目玉サービスである「ARUTANA(アルタナ)」は、DearOne社独自の非常にユニークなサービスです。
例えば、みなさまがよく使っているスーパーマーケット、家電量販店、ドラッグストアのアプリを立ち上げると、ポップアップで商品の広告が出ることがあります。これらは、裏側で「ARUTANA」というサービスが動いている可能性がかなり高いです。このように、DearOne社はあらゆる小売企業のアプリを作っている会社だからこそ、広告を配信できる仕組みも構築しています。
MAU(月間アクティブユーザー数)は約3,300万人で、約4万7,000店舗のアプリでその仕組みが動いています。そこにunerryが参画することで、「ARUTANA」を販売できることに加えて、「ARUTANA」そのものの広告配信でも位置情報を使えて、効果計測もできるような仕組みをともに開発していくという、非常に良い資本業務提携ができました。こちらは行動変容サービスに影響していきます。
主要都道府県でのサービス提供
スマートシティ事業です。21都道府県の自治体に対するサービス提供が、引き続き行われています。
ブログウォッチャーとの提携で観光領域が拡大
今回、主要な話題は2つあります。1つは、第1四半期に発表したブログウォッチャー社との業務提携です。熊本県の観光において、ブログウォッチャー社との観光領域への取り組みを発表したかたちになります。いろいろなお仕事が進んでいますが、世の中に発表するものについては、熊本県のほうから発表させていただいています。
東京都狛江市内でローカル5G等を活用した遠隔型自動運転実証
他にも、著名な企業と一緒に自動運転の取り組みが進んでいます。まだまだ実証実験の段階ではありますが、これから自動運転が当たり前になる世界において、unerryのデータや仕組みが標準的に使われていくことになるだろうということを示唆する、非常に良い取り組みだったのではないかと思います。
こちらは東京都で実施しました。人流量を測り、走行ルートを決め、地域交通需要のシミュレーションを行うといったことに携わりました。
クロスボーダーサービスの拡大
グローバル事業についてです。今まであまり解像度高くご報告していなかったため、ここで詳細にご説明します。
まず、グローバルサービスの定義についてです。お客さまが日本企業か海外企業か、または使うデータが日本地域のデータなのか、越境データなのか、もしくは海外に住んでいる人のデータなのかなどに分けられます。
我々がグローバルサービスと定義しているのは、スライド右側に記載している4つです。
1番目は、日本企業が越境者のデータを使う場合です。グローバルのデータを使っていますので、グローバルサービスの1つとなります。
2番目は、日本企業が海外に進出する場合です。例えば日本のレストランや小売業者が「アメリカに進出したい」「どこに店を作ったらいいんだろう?」という時に、我々のデータを活用して出店戦略を支援します。また、新しい店を出した際には、一緒にプロモーションさせていただくことも1つのグローバルサービスとなっています。
3番目は、外国の企業が日本に参入する場合です。こちらは日本出店支援サービスと呼んでいますが、こちらも1つのグローバルサービスとなります。
4番目は、海外の企業に対して海外の地域のデータを使っていくサービスです。
1番から4番まで、進捗が好調な順に並べています。日本のインバウンドは非常に活況ですので、分析・可視化サービスや行動変容サービスは案件が大変多く、我々としてもこなしきれないほどの案件が来ており、非常に進捗が良いです。
2番目の海外出店支援サービスも、現在は日本のさまざまなチェーン店で、外国で外貨を獲得しなければいけないというニーズが非常に高いため、進捗が良い状況です。「外国のことがよくわからない」という場合にunerryにご依頼いただき、どこの場所に出店するのか、新店のプロモーションを行うのかといったことを支援する案件が増加しています。
3番目の外資企業が日本に参入することを支援するサービスは、もともと得意としているところですが、出店調査や新店プロモーションも動いています。
4番目の海外企業支援サービスは、まだまだ四半期ごとに数件という進捗ではありますが、出資先を中心に営業活動を行っています。現在は事例化およびプロダクトの実績作りを行っているところです。
グローバル事業のうち、1番目のインバウンドサービスが非常に伸びており、2番目の海外出店支援サービス、3番目の日本出店支援サービスも堅調に伸びています。4番目の海外企業支援サービスはステディなかたちで伸びてはいますが、今は1番目、2番目、3番目の順番で勢いがあります。
成⻑に向けた4つの具体戦略
中長期的なお話として、売上高100億円に向けた4つの戦略についてご説明します。100億円の達成に向けては、とにかく中長期的な競争優位を獲得するために、1つ目のData Scaling Law戦略が重要になると思っています。
新規顧客獲得のためには重点パートナー戦略、リカーリング顧客獲得のためにはフライホイールプロダクト戦略、組織の急成長のためには人的資本戦略といったかたちで、4つの戦略をしっかりと推進していきたいと思います。
具体戦略の推進状況
それぞれの状況を簡単にご説明します。Data Scaling Law戦略はDearOne社、重点パートナー戦略は第1四半期で発表したCMI社、Braze社、CRITEO社との連携が進捗しています。フライホイールプロダクト戦略については、今回DearOne社のサービスがラインアップに追加されました。人的資本戦略については、今期は人員がかなり増えているので通常は生産性(1人あたりの売上)が落ちますが、反対に生産性は改善している良い状況です。
1. Data Scaling Law戦略
Data Scaling Law戦略についてです。「事業計画及び成⻑可能性に関する説明資料」においても発表しているため繰り返しになりますが、一定のデータよりもデータ量が多くないと価値が出ないため、データを増やすことがビッグデータの世界で非常に重要な戦略であり、基本原則になります。
unerryは現在4.2億IDものデータを保有していますので、データ量が一定量を超えているプレイヤーである、というところが非常に重要です。一方で、競争優位性を担保するには、今後も継続的にID数を増やしつつ、さまざまなデータと連携できるようにしていく必要があり、これが我々の基本戦略になります。
1. Data Scaling Law戦略:DearOne社との連携によるアプリデータ拡充
DearOne社は人流ビッグデータに対して、アプリは1.2億ダウンロード、月間アクティブユーザー数が3,300万と非常に大きなデータを保有していることから、Data Scaling Law戦略に非常にマッチした会社となります。
2. 重点パートナー戦略
新規顧客獲得のための重点パートナーとして、CMI社、Braze社、CRITEO社を第1四半期に発表しました。DearOne社においても、データの拡充だけではなく、共同で拡販体制を構築するかたちを取っており、新しいパートナーでもあるという位置づけになります。
3. フライホイールプロダクト戦略
フライホイールプロダクト戦略についてです。分析・可視化サービス、行動変容サービス、One to Oneサービスの3つがしっかりと売れるからこそ売上が上がり、リカーリング顧客が増えたという点が、我々の非常に重要な特徴となります。
3. フライホイールプロダクト戦略:DearOne提供サービスをラインアップに追加
さまざまなサービスをクロスセルできる体制を構築しています。今回、DearOne社との提携により、行動変容サービスとOne to Oneサービスにプロダクトが追加されています。つまりクロスセルできるプロダクトが増えたかたちになりますので、行動変容サービス、One to Oneサービスのセグメント売上の形成に寄与するものと見ています。
4. 人的資本戦略
最後に、人的資本戦略です。我々が年率36パーセントで中長期的に急成長していく企業として、優秀な人材の確保、1人あたりの生産性向上は非常に重要な課題だと認識しています。
4. 人的資本戦略:1人あたりの生産性の継続的向上
第2四半期の1人あたりの生産性、つまり1人あたりの売上は、月間376万8,000円となりました。前年同期と比べて15パーセント増えています。
人手の介在を減らしたり、プロダクト間のシナジーを強化して自動的にいろいろなプロダクトが売れるようにしたり、年間契約を推進するなど、いろいろな取り組みを行うことにより、1人あたりが獲得できる売上を増やしています。
社員が増えているのに1人あたりの売上が増えているということは、生産性がかなり高まってきていることを示しているのではないかと思っています。
4. 人的資本戦略:アワード受賞
これにより、「人的資本開示アワード」で「スタンダード・グロース部門 準優秀賞」を受賞しました。unerryは人的資本についてもIR全般についても、良いことも課題も全部開示するといった方針で、それを評価していただき、このような賞を頂戴したということです。
私からのご説明は以上です。
質疑応答:広告配信における生成AIの活用およびDeepSeek社について
内山:「最近流行の生成AIを使用していると理解していますが、広告配信の自動生成でも生成AIを使っているのでしょうか? また、昨今話題のDeepSeek社に対する見解や影響についても教えてください」というご質問です。
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