2025年3月期第3四半期決算説明

宮﨑洋祐氏(以下、宮﨑):代表取締役専務経営管理本部長の宮﨑です。ただいまから、2025年3月期第3四半期の決算説明会を始めます。また本日は、在宅医療事業の担当取締役の鎌田、地方創生事業の担当取締役の市川も参加していますので、どうぞよろしくお願いします。

本日は、事業環境や当社の取り組みに関して、前回第2四半期の決算説明会からのアップデートについてご説明し、その後に第3四半期決算の概要、今期の業績予想についてご説明します。

在宅医療事業と地方創生事業の連携

こちらは2つの事業の連携によるシナジーに関するスライドです。

左の図に示されているのは、当社の在宅医療事業の訪問看護ステーション「コルディアーレ」の活動です。右の図で示しているのが、地方創生事業(障がい者雇用支援事業)の「コルディアーレ農園」の状況です。

これまで訪問看護ステーションと農園の両事業を展開しているエリアは、大分県、宮崎県、佐賀県の3地域でした。昨年12月に北海道札幌市で農園がオープンし、今年1月に岡山県岡山市において訪問看護ステーションと農園がオープンしたことによって、新たに2つの地域で両事業を連携させる取り組みを開始しています。

両事業の連携について、足元の取り組みを地方創生事業の担当取締役から概要をご紹介します。

市川伸二氏:取締役地方創生事業共同本部長の市川です。よろしくお願いします。私からは、在宅医療事業と地方創生事業の連携についてご説明します。

先ほど宮﨑からお伝えしたとおり、これまで在宅医療事業と地方創生事業を同じ地域で展開していたのは、大分県、宮崎県、佐賀県の3拠点のみでした。そこでは主に両事業の利用者に対する連携を行ってきました。

例えば、農園で働く障がい者の中には、もちろん就労可能なレベルにあるものの、在宅でのケアや支援があれば、より安定した生活や就労が可能になる方がいます。そのような方々に対しては、本人だけではなく、家族とも十分に話し合い、訪問看護の導入を提案することがあります。なお、訪問看護の導入には主治医の指示が必要となりますので、主治医とも連携し、訪問看護の導入につなげています。

また、農園には看護師が常駐しており、ふだんから本人の体調について主治医と連携を行っています。例えば、体調不良時には主治医のもとへお連れすることもあります。そのような連携をスムーズに行うため、定期受診の際には農園の看護師が同行するなど、日頃から関係性を築いています。

訪問看護の導入についても、こうした関係性の中で、当社が在宅医療事業を行っていることを主治医にもしっかりとご説明し、農園の看護師と在宅医療事業の看護師が同じ法人内で連携できる仕組みを活用しています。

一方、在宅医療事業の利用者の中には就労を希望する方もいらっしゃいます。もちろんすべての方が就労可能な状態ではありませんが、就労可能な方には農園を紹介し、実際に就労へつながったケースもあります。

また、一部の農園では、定期的に訪問看護師による相談窓口を設置しています。農園には看護師が常駐していますが、ふだんとは異なる看護師からの助言を求める方もいるため、このような取り組みを行っています。この相談窓口を通じて訪問看護の導入につながった事例もあります。

両事業のサービスを受けている方々に対しては、農園と訪問看護ステーションが連携し、必要な情報を共有しています。主な取り組みとして、本人の体調や就労状況について定期的な情報共有会議を実施しています。また、家族や主治医を含む関係機関と両事業が共同で連携することもあります。このような体制を整えることは、就労を継続する上で非常に重要であると我々は考えています。

以上が、これまで行ってきた在宅医療事業と地方創生事業の主な連携内容です。これに加えて、札幌市と岡山市の事業所では新たな取り組みを実施しています。

両事業の開設時には、利用者や就労希望者の確保が必要不可欠であり、主に関係機関からの紹介が中心となっています。地域の医療機関、行政機関、福祉事業所などからの紹介は、両事業に共通する要素であり、地域の関係機関とのつながりを強化することが非常に重要だと考えています。

札幌市の農園については、すでに訪問看護ステーションが2023年4月に開設されていたため、農園開設時の関係機関への挨拶回りは、すべて在宅医療事業の紹介を通じて行うこととしました。

これまで両事業はそれぞれ個別に地域の関係機関との関係性を築いていましたが、札幌においては在宅医療事業が有しているネットワークを通じた紹介をメインとしました。その結果、現在50名近くの登録者をご紹介させていただくに至っています。

岡山市においては、両事業がほぼ同時に開設されたため、関係機関への挨拶回りは在宅医療事業と農園が共同で行っています。この取り組みにより、農園単独ではなかなかつながりにくかった地域の総合病院などとの関係を構築することができました。

今後も在宅医療事業と地域創生事業の連携を積極的に進め、両事業のシナジーを最大限に活かしていきたいと考えています。

宮﨑:当社では、今後も両事業を合わせて展開していくエリアの拡大に取り組んでいこうと考えています。このように精神科の医療と障がい者雇用による地方創生を組み合わせた事業モデルは、競合他社にはない当社の強みだと認識しています。

障がい者の法定雇用率の引き上げが継続

地方創生事業における障がい者雇用支援の事業環境について、こちらのスライドを使って足元の状況をご紹介します。グラフで示したとおり、昨年4月に障がい者の法定雇用率が2.5パーセントへ引き上げられたことによって、法定雇用率を達成している企業の割合が2023年の50.1パーセントから4.1ポイント低下し、46.0パーセントとなりました。グレーの棒グラフです。

ここで過去に法定雇用率が引き上げられた際と昨年の引き上げ時の影響度合いを比べてみます。2021年に法定雇用率が2.2パーセントから2.3パーセントへ引き上げられた際は、法定雇用率を達成している企業の割合が引き上げ前となる2020年の48.6パーセントから1.6ポイント低下して、47.0パーセントになりました。

昨年4月に行われた法定雇用率2.5パーセントへの引き上げによって、法定雇用率を達成している企業の割合は、2023年の50.1パーセントから4.1パーセント減少しております。2021年の引き上げ時の落ち込みの幅が1.6パーセントであったことから、昨年の引き上げの影響が大きかったことがうかがえます。

達成企業の割合が4パーセント減少した状況は2018年に法定雇用率が2.0パーセントから2.2パーセントへ引き上げられた際の状況と類似しています。2017年は法定雇用率を達成している企業の割合が50パーセントでしたが、2018年には4.1ポイント低下し、45.9パーセントになったことがグラフからわかるかと思います。

昨年の法定雇用率引き上げが達成企業割合に与えた影響が、2018年とほぼ同水準だった一方で、昨年と2018年で異なるところもあります。グラフには示されていませんが、雇用率の達成企業割合ではなく、法定雇用率を達成できていない会社数に違いが表れています。

法定雇用率を達成できていない企業数は、2018年の法定雇用率引き上げ時には全国で約5万4,000社であったのに対して、昨年は6万3,000社に増えています。

2013年から比べると、法定雇用率が達成できていない会社が9,000社ほど増えている状況です。

また、2024年の民間企業における障がい者雇用の不足人数は約2万7,000人となっており、前年と比べると3万5,000人ほど不足人数が増えています。例えば、障がい者の雇用義務人数と比較して、4.5名以上不足している企業は全国に2,600社以上あります。これは昨年から1,000社以上増えている状況です。

今後の見通しとしては、これまでも法定雇用率が引き上げられると達成企業の割合が減少し、その後に徐々に回復してきたように、同じ道をたどることが想定されます。今年は達成企業の割合が少し上昇することになると思いますが、来年はさらに法定雇用率が2.7パーセントに引き上げられますので、その後は再度、達成企業の割合が低下していくと考えています。

こうした状況から、法定雇用率を達成できていない企業が増加し、法定雇用率の達成に向けて採用ニーズが高まってくることが想定されます。このような状況において、障がい者雇用を支援するサービスの市場は拡大してきています。

例えば、厚生労働省が設置している労働政策審議会の障害者雇用分科会で提出されている資料を見ていくと、直近の1年9ヶ月間において、障がい者雇用支援サービスを利用している企業は、1,100社程度から1,600社程度へ500社ほど増えています。また、雇用されている障がい者の人数も6,600名以上から9,400名以上へと、この1年9ヶ月で3,000名近く増えており、市場が拡大していることがうかがえる状況です。

当社においても、出店によって農園の区画数を確保して、法定雇用率2.7パーセントへの引き上げに伴う企業の採用ニーズに対応します。

民間企業と身体障がい者

民間企業における障がい者の就労状況の変化についてご説明します。スライド左側の円グラフは、令和6年現在の民間企業における雇用状況を表しています。令和6年では67万人の障がい者が雇用されており、令和5年と比べて3万人増加しています。

障がい者別の構成比で見ていくと、令和5年と比べて、身体障がい者は1パーセント減っています。知的障がい者も1パーセント減っています。

一方で、精神障がい者は令和5年の20パーセントから2ポイント増え、22パーセントとなっています。唯一、精神障がい者のみが増加している状況です。このような動向から、精神障がい者の社会進出が今後も拡大していくことが見込まれますので、当社の精神障がい者に関する知見がますます必要とされるようになっていくのではないかと考えています。

ショウタイム24株式会社について

2025年1月16日に開示したショウタイム24の概要について簡単にご説明します。ショウタイム24は、スマートロック等のIoTを活用した無人内見システムを活用したサービス「無人内見くん」を提供している会社です。ショウタイム24の「無人内見くん」というサービスは、予約の受付から鍵の解錠、物件の内見の完了までを見学者のスマートフォンで完結することができ、不動産物件の内覧対応を24時間無人化できるサービスです。

主な顧客層は、新築の分譲住宅を販売している小規模の会社から大手企業までが対象となります。こちらのスライドに、取引のある会社のロゴを載せていますが、セキスイハイム不動産や京阪電鉄不動産など、大手企業ともすでに取引があります。

サービスの対象となる主な市場は新築の分譲住宅ですが、新築戸建住宅だけでなく、中古住宅やマンションにおける販売実績もあり、今後はこのような市場への拡大を図っていきます。

また、今般、当社の子会社となりましたので、当社の営業網や管理面での支援を通じて企業価値の向上を図ることを目指していきます。

子会社化の目的はプレスリリースに記載したとおり、当社の事業領域の拡大と事業ポートフォリオの強化です。ショウタイム24を新たな事業として加えていくことで、当社の事業領域を拡大して、収益基盤の多様化を図り、成長を加速させることを狙っています。

また、事業ポートフォリオの強化により収益基盤を安定させることも狙っています。当社の在宅医療事業と地方創生事業という2つの既存事業は、ともに規制のリスクがある事業だと認識しています。ショウタイム24のような規制リスクの少ない事業が当社の事業ポートフォリオに加わることによって、収益基盤が安定していくことを狙ったものです。

加えて、今後の事業戦略にも関わってくる部分ですので具体的なご説明は割愛しますが、プレスリリースに記載している「地方創生に役立てることができる新しい付加価値を創出」という点について簡単にご説明します。

一般論ですが、日本は今後人口がどんどん減っていく社会であることから考えると、特に地方においては、これまで有人で対応しているさまざまな業務の継続がだんだんと難しくなっていく状況になることが想定されます。

こうした有人での対応が難しい業務の一部を、ショウタイム24のノウハウを活用することで無人化したり、省力化を図ったりすることができるのではないかと考えています。

さらに、プレスリリースでは「当社とショウタイム24の持つノウハウを融合させ、新たなサービスを提供」と記載しましたが、この点については今後取り組んでいくべく、現在、ショウタイム24と協議を行っているところです。

今後、ショウタイム24との協業に取り組んでいきますが、まずはショウタイム24の既存事業の拡大に取り組みます。ショウタイム24と当社の地方創生事業は、ともに法人向けのBtoB事業です。収益構造においても、ともに継続課金の要素があるという観点では類似しているので、当社からの送客やマーケティングノウハウの提供などに取り組んでいくことを予定しています。

ハイライト

2025年3月期第3四半期の実績についてご説明します。経常利益は1億3,100万円で、通期予想に対する進捗率は51.5パーセント、前年同期比では0.3パーセント増となりました。スライドには記載していませんが、売上高は前年同期比15パーセント増、営業利益は前年同期比7パーセント減となっています。

営業利益が前年同期比で減少した主な要因は、地方創生事業において、法定雇用率の引き上げに合わせて積極的に宣伝広告を行ってきたことや、農園出店に関連した先行投資によって各種の費用が増えてきたことにあります。

決算短信で開示した数値を使ってあらためてご説明すると、全社ベースの売上高が前年同期比で115パーセント、売上原価が前年同期比で112パーセント、販売管理費が前年同期比で125パーセントとなり、営業利益は前年同期比で93パーセントとなりました。

先程ご説明したとおり、費用が増加した背景には投資の増加があります。地方創生事業における投資としては、昨年8月に「福岡農園」の144区画、9月に「熊本南農園」の90区画、12月に「札幌農園」の63区画、今年1月に「岡山農園」の42区画、3月には「岡山南農園」の42区画の出店を決めました。また、法定雇用率2.7パーセントへの引き上げに対応した先行投資として、熊本での農園建設も決定しています。

在宅医療事業における投資としては、昨年10月に東京都江戸川区に江戸川営業所を出店し、今年1月には岡山営業所を出店することを決定しました。

ショウタイム24の子会社化は第4四半期の投資となりますが、これらの投資により投資活動によるキャッシュ・フローの金額は、前期の7,000万円から、今期は第3四半期までで4億5,000万円となっており、前期比で3億8,000万円の増加となっています。

また、バランスシートの数字としては、固定資産が前期末比で4億3,000万円増加し、残高は約12億円となっています。なお、これらの投資を行った結果として、第3四半期末時点の現預金残高は前期末比で3億3,000万円減の8億6,000万円となっています。

これらの投資により資産が増えた結果、今期は減価償却費が前年同期比38パーセント増と大きく増えたことなどから、営業利益は前年同期比7パーセント減となりましたが、営業利益に減価償却費を加えた指標であるEBITDAを見ると、前年同期比で9.4パーセント増と、10パーセント近く増えている状況です。

このように、今期は今後の成長に向けた投資を加速させ、両事業ともに事業展開エリアの拡大に取り組んでいますが、今後も将来の大きな成果を獲得できるように、成長に向けた取り組みを加速させていきます。

今期の経常利益は前期比31.5パーセント増となる2億5,600万円を計画しています。なお、2月12日に公表したように、連結の経常利益はショウタイム24の子会社化に伴うアドバイザリー費用1,000万円を差し引き、2億4,600万円を予定しています。

四半期売上高/セグメント利益

四半期別の売上高、セグメント利益の状況についてご説明します。

第3四半期の売上高は前年同期比11.1パーセント増、営業利益は前年同期比51.2パーセント減となりました。営業利益が減少した要因としては、先行投資による費用が売上高の増加を上回って増加してきていることが主な背景だと認識しています。

セグメント別で見ていくと、地方創生事業における費用が増えた影響が大きくなってきています。全社ベースの数字で見ていくと、四半期別では、第3四半期の売上高が前年同期比で111パーセント、売上原価が115パーセント、販売管理費が前年同期比で125パーセントとなり、営業利益が前年同期比で49パーセントとなりました。

次に、四半期別に見たセグメント別の状況についてご説明します。

地方創生セグメントは、前年同期比で売上高が117パーセント、スライド左図のグリーンの棒グラフで示したリカーリング売上は、前年同期比で128パーセントです。売上原価は124パーセント、販売管理費は136パーセント、セグメント利益では前年同期が1億4,200万円だったところが1億2,800万円となり、前年同期比で89パーセントという水準で終わっています。

地方創生セグメントで、売上原価が増えた主な要因は、地代家賃と減価償却費の増加になります。いずれも農園の出店に伴う増加です。販売管理費も136パーセントと大きく増えていますが、増加要因としては宣伝広告費が主な要因です。

続いて、在宅医療セグメントの状況です。売上高は前年同期比102パーセント、売上原価が103パーセント、販売管理費が114パーセントとなり、セグメント利益は前年同期の5,600万円から4,800万円に減少しました。前年同期比で88パーセントという水準です。

第1四半期から第3四半期までの3四半期累計では、地方創生セグメントは売上が128パーセント、売上原価が131パーセント、販管費が149パーセント、結果として、セグメント利益は前年同期の3億1,800万円から、今期3億6,000万円となり、比率では106パーセントで着地しています。

同じく、在宅医療セグメントの3四半期累計は、売上高が98パーセント、売上原価が94パーセント、販売管理費が92パーセント、結果として、セグメント利益は前年同期の1億2,700万円から1億4,800万円に増加し、比率では138パーセントとなっています。

補足となりますが、在宅医療セグメントの売上高は、2四半期連続で少し減ってきています。この要因については、第2四半期の説明会でもお伝えしたことと重複しますが、第2四半期は、猛暑によって自転車での訪問が少し影響を受けたこと、そして8月の台風の影響があります。

また、退職者が増加したことにより、訪問回数を調整したり、新規の利用者受け入れの抑制を図ったりしたことなどが、売上減少の背景となっています。

売上が減少した一方で、看護師の常勤換算数が減少した結果、人件費が抑制され、3四半期累計でのセグメント利益は、前期比で138パーセントと増加している状況です。

事業別KPIハイライト

事業別のKPIについてご説明します。地方創生事業では、ARRが障がい者の受け入れ数増加に伴い、昨年12月末から26.6パーセント増加し、23億7,500万円となりました。

利用企業数は、昨年12月末から20.2パーセント増加し、196社となりました。ARPAは、既存利用企業から追加雇用の契約を獲得できたことなどにより、昨年12月末から5.3パーセント増加し、101万円となりました。12ヶ月平均の解約率は、昨年12月末から0.08パーセント悪化し、0.31パーセントとなっています。

在宅医療事業では、利用者数が、前期の昨年12月末から8.3パーセント増加し、2,099人となりました。

常勤換算看護師数は、前期の昨年12月末からプラス2.7パーセント、九州含め127名です。

全社ベースで見ると、投資による費用の増加が先行していますが、売上の状況や、売上のベースとなる数値を表すこれらのKPIは、おおむね順調に推移しています。

農園所在地

農園の運営状況です。先ほどもお伝えしましたが、新設の農園は、昨年8月に「福岡農園」144区画、9月に「熊本南農園」90区画、12月に「札幌農園」63区画がオープンし、昨年の12月末時点で、20農園が開園済みとなりました。

今期開園したこれら3農園は、12月末時点で235名分の空き区画があります。また、今年1月には「岡山農園」が42区画でオープンし、3月には「岡山南農園」が42区画でオープンするため、今期トータルの供給区画数は5農園合計で381区画となります。

さらに、1月28日に公表した、福岡県中間市に今年7月に開設予定の「コルディアーレ中間農園」が102区画あるため、第3四半期末までに開園した3農園の空き区画に、1月以降に開園する農園の区画数を合わせると、421名分の空き区画がある状況となっています。

常勤換算看護師数・訪問件数・1常勤換算看護師あたり訪問件数

それぞれの事業のKPIです。まず初めに在宅医療事業についてご説明します。一番左のグラフの常勤換算看護師数は、第2四半期末時点と同じ127名です。

中央のグラフの訪問件数は、通期の計画17万3,009件に対し、第3四半期末時点の訪問件数が12万250件、進捗率は69.5パーセントという状況となっています。内訳は、九州以外の地域で11万1,291件、九州が8,959件です。第2四半期との比較では、1,122件減少しています。

訪問件数が減った要因は、一番右のグラフの1常勤換算看護師あたりの訪問件数と関わってきます。常勤換算の看護師数は、第2四半期末と第3四半期末時点では127名と同じ人数ですが、1常勤換算看護師あたりの訪問件数が、第2四半期では104件だったところ、第3四半期では101件に減少したということがその要因です。

なお、現在、在宅医療セグメントは、AIを活用した業務の効率化に取り組んでおり、今後生産性の向上を図っていくところです。

利用者数・1利用者あたり訪問件数(月間)

利用者数と、1利用者あたりの訪問件数です。まず左側のグラフについて、第3四半期末時点の利用者数は、第2四半期末と比べ、九州では2名減り149名、九州以外では15名増え1,950名となりました。

全体では、第2四半期末時点と比べ13名増の2,099名です。九州以外の地域の利用者数は、前期末と比べ8名増となりました。

右側のグラフの1利用者あたりの訪問件数(月間)は、第3四半期末時点で、第2四半期より0.16件減り、6.18件となっています。

ここで、直近の在宅医療事業セグメントの動向について、担当取締役の鎌田よりご説明します。

鎌田聖一氏:取締役在宅医療事業本部長の鎌田です。よろしくお願いします。

在宅医療事業本部では、昨年10月に東京都江戸川区に営業所を出店しました。もともと江戸川営業所は、東京都江東区にある事業所から、スタッフおよびご利用者さまの登録を江戸川営業所に分け、出店しています。

江東区にある事業所では、江戸川区を含む6区の地域に訪問看護のサービスを提供していました。今回の出店は、1事業所がカバーする範囲を狭め、移動効率の向上に取り組むことと、ご利用者さまが一定数を超えたため、より地域に密着し地域に根ざしたサービスを行う必要があると考え、出店を行いました。

今後、他の事業所に関しても、複数の区を受け持ち、広範囲になっている事業所や、一定数のご利用者さまがいる事業所も、江戸川区同様に出店を検討していきたいと考えています。

1月には、中国・四国では初めての出店となる岡山事業所を出店し、事業エリア拡大に取り組んでいます。この取り組みにより、両事業での連携先として共通する、精神科医療機関との関係性強化にもつながっていると考えています。

また、障がい者の就労定着支援においても、就労後の不安やストレスに対し、アドバイスを提供することで、定着率の向上につながるものと考えています。今後も、関係機関への情報提供を丁寧に行い、地方創生事業とのシナジーを最大限に活かし、事業を進めていきます。

障がい者受入純増数・障がい者受入合計数

宮﨑:次に、地方創生事業の状況です。第3四半期の障がい者の受入純増数は64人となりました。また、右のグラフの12月末時点での受入数は、前期末比で157人増の1,314人、期末時点の受入計画数1,456人に対し、12月末時点の進捗率は53パーセントです。

左のグラフに示している第3四半期の受入純増数の64人は、前年度の第3四半期が97人だったため、そこと比較すると33人の減少です。

この純増数についてもう少しご説明すると、純増数は増えた人数と減少した人数をネットした受入人数です。増えた人数と減った人数はスライドに記載されていないのですが、増えた分だけ見ると、今期の第3四半期の紹介人数は、昨年の第3四半期の紹介人数を若干下回った状況ですが、解約があったことから、純増数では33人の差が出てきています。一方で、次のページでご紹介するとおり、人材紹介売上は前年同期を上回る水準で着地しています。

リカーリング売上について

このスライドでは、まず左の棒グラフのオレンジ色の部分に示されている、人材紹介売上についてご説明します。

第3四半期の人材紹介売上は6,700万円となり、前年同期の6,300万円を400万円上回る結果となりました。前のスライドで純増数についてご説明しましたが、紹介人数では若干下回りながらも、結果として手数料が上回った要因は、3つあります。

1つ目は、先ほどご説明した、紹介人数が若干の減少で着地したことです。

2つ目は、人材紹介手数料率が前年同期を上回ったことです。

3つ目は、最低賃金の引き上げ等を背景として、障がい者の賃金が増え、人材紹介手数料を計算するベースとなる障がい者の想定年収が増えたことが、その背景となっています。

続いて、スライド左図の棒グラフでグリーンで示されている、リカーリング売上についてご説明します。こちらは前期と比べ、1億2,100万円増え、5億5,500万円となっています。

全社売上に占めるリカーリング売上の比率を見ていくと、前期の第3四半期時点では約48パーセントと、50パーセントを下回っていましたが、今第3四半期末時点で、全体の売上に対し約55パーセントまで拡大してきており、全社売上の半分を超す水準まで増加している状況です。

ARR・利用企業数・ARPA・12ヵ月平均解約率(安定性を示すKPI)

続いて、安定性を示すKPIです。ARRは先ほどもご説明しましたが、前期末から3億円強増え、23億7,500万円です。この内訳となる利用企業数とARPAは、それぞれグラフのとおり増加している状況です。

ARPAが増加している背景として、1社あたりの平均雇用障がい者数の増加がありますが、こちらを見ていくと、2022年度が1社当たり平均6.1人、これが2023年度、2024年度はともに6.7人と0.6人増えているため、このようなところがARPA増加の背景となっています。

解約について、こちらも先ほどお伝えしましたが、1年前と比べ若干増加していますが、依然として低い水準を維持できていると思っています。

顧客獲得時期別ARR・開始時期別 区画追加企業数(成長性を示す主要KPI)

成長性を示すKPIです。利用企業の区画の追加割合は、1パーセント下がり、37パーセントとなっています。

追加割合には、初めて追加をした企業の数だけがカウントされ、複数回にわたって追加のオーダーを受注した企業の場合は、2回目以降の追加があってもすでに追加があった企業として追加割合にカウントされます。第3四半期においても4社から初めての追加オーダーをいただいていますが、追加割合を計算する際の分母に追加された新規の利用企業数と比較して、追加の受注を初めて受けた企業数が少なかったことが追加割合低下の要因となっています。

ネットリテンションレート(NRR)は、既存の農園利用企業による区画追加により、既存の企業の売上が前期末から5パーセント増え、118パーセントになっています。

スライド中央の図の顧客獲得時期別のARRは、下から3つ目の2020年度のコホート(cohort)の数字が初めて前期を下回りましたが、それ以外のコホートは、すべて数字が拡大している状況です。

スライド右の図の開始時期別の区画追加企業数も、2021年度に農園の利用を開始した企業の中からは1社追加オーダーがあり、2022年度の利用開始企業からは2社、2023年度の利用開始企業からは1社追加オーダーをいただいたことによって、2021年度利用開始企業の追加企業割合は42パーセントから43パーセントへ1パーセント増加、2022年度利用開始企業の追加企業割合は25パーセントから31パーセントへ6パーセント増加、2023年度利用開始企業の追加企業割合は17パーセントから20パーセントへ3パーセント増加しています。

通期業績予想

最後に、今期の実績予想をご紹介します。売上高は、前期比18.1パーセント増の41億1,100万円を計画しており、第3四半期の進捗は約71パーセントです。

営業利益は前期比24.2パーセント増の2億5,800万円を計画しており、第3四半期時点の進捗は48パーセントです。

質疑応答:共通経費が増えてきている要因について

「共通経費が増えてきている要因について教えてほしい」というご質問です。

こちらは、第2四半期の説明会でも少し説明しましたが、管理部門の人員増による人件費の増加や、上場に伴う費用増加があります。

上場に伴う費用としては、本日の決算説明会の開催に関連するようなIR関連費用や株主総会の費用、証券代行の手数料、各種報告書の作成に伴う信託銀行や印刷会社への支払いなどが含まれ、共通経費が増えてきています。

質疑応答:ショウタイム24を競合と比較した際の強みについて

「ショウタイム24を競合と比較した際の強みについて」というご質問です。

ショウタイム24の事業は、そもそも競合があまり多くない事業だと認識していますが、サービス自体が非常にシンプルな業態のため、サービスの競争力を図る上で、価格が大きなポイントになり、低価格でサービスを提供できるというところに強みがあると考えています。

質疑応答:売上をどう伸ばしていくのかについて

「ショウタイム24の売上をどう伸ばしていくのか?」というご質問です。

ショウタイム24はまだ小規模な会社で、認知度も低い会社です。これから、増資で調達した資金をベースに、営業担当者などを採用することと、これまで基本的に一切マーケティングを行わず売上を伸ばしてきましたが、今後はマーケティングにも資金を振り向けて、売上を伸ばしていくというところに取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:営業利益減と経常利益増について

「営業利益が減る中で、営業利益が7パーセント減というときに経常利益が0.3パーセント増となった要因について」というご質問です。

こちらは、営業外の収益で700万円の補助金収入があったことが要因となります。在宅医療セグメントで使っているシステム導入に関する補助金の収入です。

質疑応答:各農園の稼働状況について

「各農園の稼働状況について説明してほしい」というご質問です。

12月末時点の各農園の稼働状況は、「福岡農園」が約3割、「熊本南農園」が約2割、「札幌農園」は約5パーセントという状況で、第4四半期以降の受注に対し、まだ十分な枠が残っている状況です。

加えて、今年の9月以降に開園する「熊本農園」も、工事が順調に進んでいるため、今後の受け入れ体制としては順調に進展していると考えています。