kenmo氏の紹介

kenmo(@kenmokenmo
2012年に元手300万円で株式投資を開始し、わずか5年で資産1億円を達成。2018年に個人投資家向け勉強会「湘南投資勉強会」を設立。中小企業診断士の資格取得を目指し、2023年5月に取得。同年8月に会社員を退職し、IR支援や企業コンサルを行う法人を設立。現在は株式投資と並行して、IRセミナーの主催や企業のIR支援に取り組んでいる。


今年の収益率とパフォーマンスの総括をお願いします。

おそらく年初来+10パーセント程度。ほぼ1年を通じて薄氷のプラスが続いた1年でした。年初の造船・半導体相場に乗れず、年初の貯金が無かった分、全体的に厳しい1年となりました。

2024年、最も印象的だった投資の成功体験を教えてください。どのような戦略や判断がその成功につながったのでしょうか?

4月から6月にかけて、SaaSの価格改定が相次ぎました。

・ネオジャパン(3921) 2024/04/16 グループウェアdesknet's NEOクラウド版 価格改定のお知らせ

・サイボウズ(4776) 2024/05/30 クラウドサービスの価格体系改定および全社・大規模導入向けkintone「ワイドコース」開始のお知らせ

・トヨクモ(4058) 2024/06/12 Toyokumo kintoneAppの価格改定のお知らせ

収益への寄与度を計算してリリース後すぐにエントリーできたのはよかったです。一方で、実際に価格改定の影響が業績に乗ってくるタイミングで利益確定売りに押される傾向があり、売るタイミングがかなり難しかったです。

逆に、2024年で最も悔やまれる投資の失敗は何でしたか?どのような教訓を得ましたか?

知識的な面でも、心構え的な面でも、資金管理的な面でも、半導体を始めとする大型株相場にエントリーするための準備が不十分でした。大局観と謙虚な気持ちを持って、他の人の意見を取り入れ、大きく資金をシフトしなければならなかったと思います。

2024年、国内外の経済やマーケットの動きで特に影響を受けた出来事やニュースは何でしたか?それに対してどのように対応しましたか?

8/5の円キャリートレードの巻き戻しによる大暴落です。ただし、これをきっかけに円安メリット銘柄を利食い・損切りした資金が、円高メリット銘柄(内需中心)に流れてくるだろうと踏んでいたので、もともと後者のポジションが大半であった自分としては、むしろポジティブな調整でした。

今年の市場のトレンド(AI関連株、再エネ、インフレ関連など)の中で、注目したセクターや企業は何でしたか?結果はどうでしたか?

年初の半導体・造船相場、年後半の暗号資産関連相場、いずれも満足に乗れませんでした。むしろ造船に至っては、SNSの買い煽りがあまりにも酷く、そういう人たちを片っ端からミュートにしていったらTLが静かになり、心の安定が保たれました。ただ、本当は乗らなければいけなかったと思います。

2024年を通して、ご自身の投資スタイルに何か変化がありましたか?もしあれば、それはなぜですか?

中長期投資への回帰です。コロナから5年が経ち、世の中が平準化していく中で、大きなサプライズを出した銘柄よりも、地道に毎期業績を上げている銘柄に中長期でBETした方が良いと判断しました。

それは、決算後の株価の反応に表れており、決算後に買われた銘柄は徐々に売られて戻っていく、決算後に売られた銘柄は徐々に買われて戻っていく、といったような動きが頻繁に見られ、四半期決算の良し悪しで投資判断をするよりも、企業の本質的価値を見て売られすぎたら買う、買われすぎたら売る、といったような投資判断をするべき局面であると感じた1年でした。

これまでの投資経験で「これだけは守る」と決めているルールやマイルールがあれば教えてください。

レバレッジは1.1倍まで。そのルールさえあれば資金管理上、大丈夫。仮に決算で大きく食らっても退場することは無いので。

投資において、今年特に意識した「心構え」や「姿勢」は何でしたか?それがどのように成果に結びつきましたか?

今年は法人化1年目ということで、IRの仕事を優先した面があります。それによって視野が狭くなったりトレードが雑になってしまった部分があり、反省しかありません。

今年の秋以降、必ず9時の寄付時には事務所に行って、PCの前にスタンバイするルールを決めました。また、来年からは湘南投資勉強会の会場開催ペースを月1ペース遵守することに決めました。来年はIRだけでなく、投資のほうにもしっかりリソースを割く予定です。

2025年に期待する投資先やトレンド予測についてお聞かせください。

・蛍光灯の2027年問題

2027年末までに、一般照明用のすべての蛍光灯の製造終了が決定しています。蛍光灯はいずれ製造が終了するため、買い替えが必要になっても購入できなくなる可能性が高いでしょう。国内の大手メーカーでも、水俣条約の締約国会議の影響を受け、蛍光灯の生産を順次終了しています。オフィスの照明に蛍光灯を使用している場合は、LEDへの切り替えをおこなう必要があります。

・グロースの復活

長らくグロース市場冬の時代が続いていましたが、足元で資金調達需要の低下が底打ちし、少しずつスタートアップの資金調達額が増えてきています。特にこれまでのSaaS中心のスタートアップ企業から、徐々により資金需要の大きなディープテック系への投資が加速していく流れが出てきているという話があります。今年Speeeがステーブルコイン関連として物色されたのがその象徴ではないかとも感じており、宇宙、核融合、量子コンピュータ、小型原子炉、ドローンなど、次の世代を創っていくテック企業への投資が加速する1年になると感じています。

また、グロース市場に上場しているものの成長が見込めない企業が、他の大企業に買収されたり、あるいはMBOなどによって市場からEXITする流れが加速していく1年にもなると思います。結果として、しっかり成長しているグロース企業が市場に残ってくれることを期待しています。

・プライム市場流通時価総額問題

プライム市場を選択しているが流通時価総額が足りていない、いわゆる経過措置中の企業のタイムリミットが残りあと1年ほどに迫ってきています。その中で、「何としてでもプライムに残る」と是が非でもがんばる企業と、市場からのEXIT(TOB・MBO)を検討する企業が出てくると思われます。どちらも株価を押し上げる要因になるため、そういった企業の動向は再度チェックしておく必要があります。

前者のエイチーム(3662)は、高額クオカード優待とIR活動強化、ニーズウェル(3992)は、流通時価総額達成に向けた強気の計画書、グローバル・リンク・マネジメント(3486)は強気の中期経営計画とIR活動の強化など、各社アクションを取り始めています。

2025年に向けて挑戦してみたい投資テーマや、新たに学びたい分野は何ですか?その理由もお聞かせください。

IR説明会は引き続きコンスタントにやりつつ、来年は生成AIの活用と、企業への直接取材を実施していきたいです。カタリストを明確にした投資を行いたいと思います。

これから投資を始める方や2024年に苦い経験をした方に向けて、アドバイスやエールをお願いします。

2024年よりも2025年のほうが「レベルアップした」と言える1年になるように、がんばりましょう!私もがんばります。