ハイライト

中山貴之氏:代表取締役社長CEOの中山です。本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。株式会社トリドリ2024年12月期第3四半期決算説明会を始めます。

まずは、第3四半期のハイライトです。第3四半期は、売上総利益、営業利益ともに過去最高を更新することができました。売上総利益は初の10億円超え、営業利益は初の1億円超えと、成長が加速した四半期となりました。

事業トピックスは、「toridori base」領域において2点あります。1点目は、一部代理店との取引形態の見直しにより、第2四半期からの継続的なユニットエコノミクス改善に加えて、今回4,500万円の追加の費用圧縮効果が生じました。この効果は、約半年間で収斂する予定です。

2点目は、エンタープライズ向け高額案件の計上区分を、その規模や顧客課題の観点を鑑みて「toridori base」から「toridori promotion」に移管することが適当と判断しました。これにより、「toridori base」の平均顧客単価が若干低下したものの、実態としては同水準で推移しています。

マーケティングパートナー領域の「toridori ad」「toridori promotion」については、子会社であるniksおよびOverFlowにて順調に事業を進捗し、いずれもQoQで増収しました。

第4四半期の見通しです。前述の費用圧縮効果を除いても、安定して四半期営業利益1億円を超える構造となってきました。その状況を、第4四半期であらためて確認したいと考えています。また、「toridori base」の長期契約プランの取り扱いを開始しました。足元の販売実績は好調で、中長期での顧客数の増加を期待しています。

「toridori ad」では、マーケティングパートナー領域のさらなる成長を期待し、chipperからECコンサルティング事業を取得しました。第4四半期からグループインする予定です。

全社:業績サマリー

第3四半期の業績についてご説明します。まずは全社の業績サマリーです。先ほどお伝えしたとおり、売上総利益、営業利益ともに過去最高益となりました。第3四半期の売上総利益は10億2,800万円、YoYで30.4パーセント増です。営業利益は1億9,200万円、YoYで324.6パーセント増となりました。

注力している「toridori base」の第3四半期の結果は、売上総利益は6億7,400万円、顧客数は6,696社となっています。高単価案件の移管もある中で、継続して成長しています。

全社:業績推移

四半期ごとの業績推移はスライドのとおりです。売上総利益、営業利益ともに過去最高益を計上しており、上場来掲げている高成長と黒字幅の拡大というコンセプトを実現することができています。

一部代理店との取引形態の見直しに伴う費用圧縮効果4,500万円を除いても、営業利益は1億4,700万円と、これまでより収益性が一段向上している点を見ていただければと思います。

全社:業績予想の進捗

今期の業績予想に対する進捗率は、売上総利益が67.6パーセント、営業利益が68.9パーセントとなり、第3四半期で大きく進捗しました。今期はもともと下期偏重の計画をしていましたが、第3四半期は計画を上回る大きな成長となっています。

全社:売上総利益四半期推移

サービス領域ごとの売上総利益の推移はスライドのとおりです。最も注力しているプロダクト領域の売上総利益は6億7,400万円、YoYで32.2パーセント増となりました。引き続き、全社の成長を牽引しています。

マーケティングパートナー領域の売上総利益は3億5,300万円、YoYでは27.3パーセント増加しました。

全社:売上総利益四半期推移

サービス領域ごとの振り返りです。「toridori base」のエンタープライズ向け高額案件は、その規模や顧客課題の観点から、計上区分を「toridori base」から「toridori promotion」に移管しました。

また、第3四半期は「トリドリIS」のPMIに加え、戦略的に長期契約プランの設計・準備にリソースを充てたことにより、一時的に顧客数の増加が穏やかになりました。これらの理由により、「toridori base」の売上総利益の伸びはQoQでは緩やかになりましたが、YoYではしっかりと成長しています。引き続き、全社の成長を牽引する領域です。

「toridori ad」は、昨年の第4四半期に発生した大型商材の剥離による業績の低下から、一定程度の持ち直しを見せています。これは、SKD promotionとの合弁事業で立ち上げた新設子会社であるniksにおいて、案件の開拓を強化したためです。

大型商材が剥離する以前の水準まで売上総利益を回復し、YoYでは微減の水準まで持ち直しています。QoQでは大きく伸ばすことができました。

「toridori promotion」は、新規の大手クライアント案件が増加しています。これらは上期に準備していた案件ですが、第3四半期に予定どおり納品をすることができました。また、「toridori base」からの案件の一部移管もあり、結果としてYoY、QoQともに大幅成長となっています。

toridori base:KPI

注力する「toridori base」のKPIについてご説明します。トリドリISのPMIに加え、戦略的に長期契約プランの設計・準備にリソースを充てたことにより、一時的に顧客数の増加は緩やかになり、6,696社で着地しました。足元では長期契約プランの販売実績が好調であり、今後の顧客数の増加に期待しています。

顧客当たり四半期売上総利益は、現状の実力値である10万円台を継続できています。エンタープライズ向け高額案件の計上区分を「toridori base」から「toridori promotion」に移管したことにより、若干の低下が見られたものの、実態としては同水準で推移しています。

toridori base:3Qの重要な取り組み

「toridori base」における第3四半期の重要な取り組みについてご報告します。まず、トリドリISにて、XiMからの事業譲渡を完了し、マーケティング部門を内製化しました。

第3四半期は、PMIに加えて、戦略的に12ヶ月の長期契約プランの設計と準備にリソースを充てることとしました。結果として、7月と8月は一時的に従来よりも新規顧客獲得数が減少することとなりましたが、長期契約プランの取り扱いを開始し、9月には新規顧客獲得数が従来の水準まで回復しています。

その上で、新規顧客の約30パーセントに長期契約プランを選択いただける状況を確認できました。今後のさらなる顧客数の増加を見込んでいますが、業績への反映は2025年から顕在化予定です。

当期の利益進捗が順調であるため、このような将来に向けた打ち手を優先しました。

全社:2024年12月期第3四半期業績

損益計算書はスライドをご確認ください。繰り返しになりますが、第3四半期は売上総利益、営業利益ともに過去最高益を更新することができました。

全社:販管費四半期推移

販管費はスライドのとおり推移しています。QoQで見ると、広告宣伝費と販売促進費が減少し、人件費と業務委託費が増加しましたが、トータルの販管費は下がる構造となりました。

広告宣伝費と販売促進費は、第2四半期から「toridori base」の恒常的なユニットエコノミクスの改善を実現しています。加えて、第3四半期にはXiMからの事業譲渡が完了し、PMI過程において一部の販売代理店との取引形態の見直しを実施した結果、4,500万円の費用圧縮効果がありました。取引形態の見直し効果は、第4四半期にも一定程度影響します。

人件費と業務委託費は、niksおよびトリドリISのグループインにより増加しています。

成長戦略の基本方針

当社の掲げる成長戦略の進捗についてご説明します。まずは基本方針です。昨年の期末決算資料にてお話しした「中長期的な成長戦略」と同様の内容になりますので、前提となる戦略の背景については省略します。

成長戦略については、「toridori base」を中心としたプロダクト領域の拡大、中堅・大手企業をターゲットにしたマーケティングパートナー領域の拡大、インフルエンサーデータベースの価値最大化の3つを、基本方針に掲げています。

スライド右図のように、これらはいずれも相互に補完し合っており、どれかが単独で成功するものではありません。循環をぐるぐると繰り返しながら、事業成長を続けていきたいと考えています。

各サービスのターゲット顧客

成長戦略の基本方針の中でも、顧客と接点を持ち、収益を生み出す2つの領域についてご説明します。トリドリは、SMBから中堅・大手企業まで幅広くカバーしていますが、顧客の規模感によって、それぞれに適切なサービスを提供していきたいと考えています。

中堅・大手企業は、SMBに比べて社数は少ないものの、1社当たりの広告予算は大きいです。そのため、高単価のプランニングやキャスティングを軸にした伴走型支援を提供していきます。

ロングテールにあたるSMB顧客は、社数は多いものの、1社当たりの広告予算は小さいです。そのため、プラットフォーム形式のサービスをはじめとした手軽でリーズナブルなサービスを提供し、よりたくさんのお客さまの支援を目指します。

toridori baseを中心としたプロダクト領域の拡大

プロダクト領域の拡大戦略の詳細をご説明します。当戦略は、SMB向けの「toridori base」を中心とした既存プロダクトの洗練と新規プロダクトの創出により、プロダクト領域の拡大を目指すものです。

これまでも注力してきた領域ですが、さらなるパワーアップを目指します。「toridori base」の対象となるSMB顧客の市場規模は、より多くのお客さまにご利用いただけるように新規顧客の獲得を強化し、顧客数のさらなる増加を図ります。

機能面では、キャスティングやSNS運用代行のみならず、UGCと呼ばれる口コミ生成や、各マーケティングファネルに対応できる新サービスを展開していきたいと思います。

このような既存プロダクトの洗練と新規プロダクトの創出により、さらなる顧客満足度の向上とともに、顧客単価やLTVを引き上げていきたいと考えています。

中堅・大手企業をターゲットとするマーケティングパートナー領域の拡大

マーケティングパートナー領域の拡大戦略の詳細をご説明します。当戦略は、中堅・大手企業をターゲットとするマーケティングパートナー領域を強化するものです。中堅・大手企業は、高度化や複雑化によってマーケティングの専門性と工数不足が課題となっているため、そこを当社社員がハンズオンでサポートしていきます。

お客さまの商品やサービスのペルソナをしっかりと理解した上で、正しいブランディング、最適なインフルエンサー活用、最適な各種マーケティング施策を企画・提案しながら、伴走支援します。新しいトレンドを作り出し、お客さまの売上拡大に貢献していきます。

ハンズオンでサポートする中でも、プロダクトを最大限自社活用していくことにより、効率的な支援をしていきます。採用、教育、M&Aを通じて、自社のマーケティング組織を強化していきます。

トリドリが目指すマーケティングパートナー像のイメージ

トリドリが目指すマーケティングパートナー像のイメージについてご説明します。当社は、インフルエンサーマーケティングに圧倒的な強みを持ち、顧客の抱える課題に対して、上流から下流までワンストップで伴走支援することができる組織を目指しています。

これまでは、インフルエンサーマーケティング領域に特化し、顧客企業の支援を行ってきました。インフルエンサーマーケティング市場は引き続き高成長を続けており、多くの企業からニーズのあるマーケティング手法として存在感を強めていると認識しています。

しかしながら、インフルエンサーマーケティングを起点に顧客支援をしていく中で、より広い領域での顧客課題解決の機会が存在しながらも、これまでのトリドリが抱えるソリューションでは対応範囲が限定的となっていました。

昨年、OverFlowを取得したことで、インフルエンサーマーケティングに限定されていた当社の提供価値は、マーケティング戦略全体の設計という上流の工程から支援できるように拡大しました。また、直近ではblendsを取得したことで、ECモール運用にも領域を広げています。

現在は、スライド下部の「After」に記載された機能を強化するべく取り組んでいます。赤く囲った機能はこれまでのM&A等で一定程度強化できましたが、グレーで囲った機能は未対応の領域のため、今後強化していきたいと考えています。

マーケティングパートナー領域の拡大戦略に対する進捗

マーケティングパートナー領域の拡大戦略について、第3四半期の進捗をご報告します。10月に、chipperからECコンサルティング事業の分割によって設立されたblendsを子会社化しました。第4四半期から連結開始します。

この取り組みの背景をご説明します。消費者はさまざまなメディアや情報をもとに、認知・興味・検索・購買までのカスタマージャーニーをたどっています。若年層を中心に、SNSやインフルエンサーを起点とした認知・興味・検索が数多く行われていますが、購買シーンにおいては、多くの消費者がECモールを利用する傾向にあります。

従来のトリドリグループには、ECモールでの購買シーンにおいて顧客を支援する手段が乏しかったため、補強を検討していました。そこで、EC顧客の集客支援に関するノウハウとコンサルティング組織を抱えるchipperより、ECコンサルティング事業を譲り受けることで合意しました。

これにより、インフルエンサーを起点に顧客のECサイトへの集客最大化を支援するとともに、トリドリグループ各社と連携したワンストップ型の顧客支援体制をさらに拡充していきます。

コーポレートアクションの振り返り

2024年は、プロダクト領域とマーケティングパートナー領域において、成長戦略に沿った3つのコーポレートアクションを実行することができました。今後も成長戦略を実現する手段として、M&Aをはじめとしたさまざまなアクションを効果的に活用していく方針です。

ご説明は以上です。今後も、四半期の決算を通じて進捗をご報告させていただければと思います。引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。