目次
堀健一氏(以下、堀):社長の堀です。本日は、お忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございます。
まず私から、上半期経営成績及び通期業績予想をご説明します。その後、経理部長の栗原より、詳細についてご説明します。
25/3期上半期総括と下半期見通し
初めに、当上半期の総括と、下半期の見通しについてお話しします。
上半期の基礎営業キャッシュ・フローは通期事業計画比50パーセント超と順調に進捗しました。大型案件や上場株式の売却により資産入替えも進捗し、事業と資産リサイクルの両輪でキャッシュ・インを拡大しました。
既存事業の強化や効率化・ターンアラウンドの進捗にも手応えを感じており、基礎収益力の拡大が進捗しています。ルワイスLNGなど競争力ある成長投資を通じて長期収益基盤の強化も進めました。
また、キャッシュ・フローや株価水準を踏まえて機動的に追加自己株式取得を決定し、成長投資と機動的な株主還元をバランスよく実行することを意識しました。
これらの上半期進捗と下半期の最新見通しを踏まえ、通期利益予想を上方修正します。引き続き下半期も、基礎収益力の拡大と継続的な成長に向けた取組みを推進します。
具体的には、特にLNG、モビリティ、ヘルスケア、タンパク質といった現中経期間中の成長ドライバーを中心に既存及び新規事業をさらに強化していきます。加えてROIC向上を意識した積極的な資産入替えを継続します。
これらにより、下半期に限らず、来期を含む中期経営計画の達成と、その先のさらなる成長に向けた事業ポートフォリオ良質化と収益基盤強化の取組みを継続します。
地政学的リスクの高まりや主要国の情勢変化などを踏まえたリスク管理体制を強化しながら、グローバルな事業ポートフォリオを活かし、新たな事業機会を獲得していきたいと考えています。
また今後ともROEの維持・向上を念頭に、成長投資と株主還元のバランスを継続的に意識した取組みを進めます。
経営成績サマリー
当上半期の経営成績サマリーについてご説明します。
基礎営業キャッシュ・フローは前年同期比630億円増加の5,381億円、上半期利益は前年同期比445億円減益の4,118億円となりましたが、共に事業計画に対して順調に進捗しています。
上半期の進捗状況や下半期に見込むアップサイドも考慮して、当期利益の通期業績予想を事業計画から200億円上方修正し、9,200億円とします。
また、9月11日に公表しましたとおり、自己株式取得枠を2,000億円増額の4,000億円とし、買付け期間を2025年2月末まで延長しました。
2025年3月期事業計画に対する進捗率と年間予想(基礎営業キャッシュ・フロー)
基礎営業キャッシュ・フローの年間予想をご説明します。
金属資源セグメントでは商品市況の影響を見込みますが、エネルギーセグメントの好調もあり、全社では事業計画どおり1兆円を達成する見込みです。
2025年3月期事業計画に対する進捗率と年間予想(当期/上半期利益)
当期利益の年間予想をご説明します。
こちらも金属資源では商品市況の影響を見込みますが、エネルギー、機械・インフラ、次世代・機能推進の各セグメントにおけるアップサイドにより、通期業績予想を事業計画から200億円上方修正し、9,200億円とします。
キャッシュ・フロー・アロケーション(実績)
キャッシュ・フロー・アロケーションの実績についてご説明します。
上半期は、中期経営計画で定めた3つの攻め筋に沿って成長投資を着実に実行し、また、大型の資産リサイクルも進めました。
キャッシュ・インは、基礎営業キャッシュ・フロー5,380億円と、資産リサイクル3,460億円を合わせて、8,840億円となりました。
一方、キャッシュ・アウトは、投融資3,720億円と、株主還元3,480億円を合わせて、7,200億円となりました。
新規案件の収益貢献開始時期
中期経営計画で定めた攻め筋に沿って、厳選した成長投資を実行しています。こちらのスライドに太字で示した案件は、すでに収益貢献を開始しているものです。
早期収益貢献と長期の収益基盤構築に向け、成長投資をバランスよく実行しており、新規案件による基礎収益力の拡大は順調に進捗しています。
タイガス火力2号機のUnit4が本年10月1日に完工し、商業運転、収益貢献を開始しました。2号機の全4Unitが運転開始したことで、1号機と合わせて合計設備容量は5ギガワットとなりました。
当社は、これまで磨いてきたプロジェクトマネジメント機能を活かし、タイの電力需要の約10パーセントを担うこの大型プロジェクトを、2018年の1号機着工から6年間にわたり粘り強く推進し、予算内、スケジュールどおりの完工を達成しました。
2026年3月期以降のタイガス火力1号機・2号機による収益貢献は、本年5月に売却したパイトン石炭火力発電事業と同規模となる見込みです。
基礎収益力拡大の進捗状況
中期経営計画の3年間で、一過性要因や商品・為替の影響を除外した基礎収益力を1,700億円拡大します。こちらのスライドで、この基礎収益力の拡大の進捗についてご説明します。
中経2年目となる2025年3月期年間予想では、目標とする1,700億円に対して、1,200億円までの進捗を見込みます。
まず既存事業の強化においては、モビリティ、化学品、食料・流通及び次世代・機能推進の国内事業、ヘルスケアなどでミドルゲームの推進に順調な進捗が見られ、前期・今期の累計で450億円の基礎収益力拡大を見込みます。
効率化・ターンアラウンドでは、1案件あたりの金額は大きくありませんが、赤字事業からの撤退や業績改善などの積上げで350億円の基礎収益力拡大を見込みます。
また、新規事業については、前期に投資した案件の通年での業績貢献に加え、今期新たに複数の案件が収益貢献を開始することで、400億円の基礎収益力拡大を見込みます。
キャッシュ・フロー・アロケーション(予想)
資産リサイクルの増加により、中経期間中のキャッシュ・インは4.2兆円から1,700億円拡大し、4.4兆円を見込みます。これにより、マネジメント・アロケーションは本年5月の事業計画発表時の5,600億円から7,300億円に拡大します。
拡大したマネジメント・アロケーションのうち、投資に900億円、株主還元に1,900億円を配分しましたが、この配分後もマネジメント・アロケーションは4,500億円と規模感のあるレベルを維持しています。
また、強固な財務基盤を背景に、追加のマネジメント・アロケーションの設定も可能です。引き続き、バランスシートの厚みも念頭に、成長投資と株主還元の双方にバランスよく資金を配分していきます。
株主還元方針
株主還元方針についてご説明します。
すでにお話ししたとおり、本年9月に自己株式取得枠の2,000億円増額を決定しました。これにより、現中経期間中の基礎営業キャッシュ・フローに対する株主還元の割合は45パーセントを超える見通しです。
今後も、成長投資やミドルゲームの推進を通じた、キャッシュを伴う利益の成長と、それに応じた株主還元の拡充に取り組み、ROEの持続的な向上に繋げていきます。
以上で、私からの説明を終わらせていただきます。
続いて経理部長の栗原より、詳細をご説明します。
基礎営業キャッシュ・フロー セグメント別前年同期比増減要因
栗原雅男氏:経理部長の栗原です。それでは、当上半期業績の詳細についてご説明します。
まず、基礎営業キャッシュ・フローの前年同期比増減について、セグメント別にご説明します。
当上半期の基礎営業キャッシュ・フローは、前年同期比630億円増加の5,381億円の獲得となりました。
金属資源では、税金負担の減少を主因に、143億円増加の1,921億円の獲得となりました。
エネルギーでは、配当や物流などのLNG関連収益の増加を主因に、1,070億円増加の1,845億円の獲得となりました。
機械・インフラでは、連結子会社の関連化、及び資産リサイクルに伴う税金増を主因に、419億円減少の738億円の獲得となりました。
化学品では、連結子会社における業績改善及びトレーディングを主因に、182億円増加の425億円の獲得となりました。
鉄鋼製品では、3億円増加の15億円の獲得となりました。
生活産業では、持分法適用会社からの配当減を主因に、153億円減少の144億円の獲得となりました。
次世代・機能推進では、11億円増加の203億円の獲得となりました。
その他の要因として、各セグメントに賦課しない経費・利息・税金を主因として90億円の獲得となりました。
上半期利益 セグメント別前年同期比増減要因
次に、当上半期利益の前年同期比増減について、セグメント別にご説明します。当上半期利益は、前年同期比445億円減益の4,118億円となりました。
金属資源では、原料炭・鉄鉱石価格の下落がありましたが、前年同期のチリ銅事業減損の反動などを主因に、269億円増益の1,615億円の利益となりました。
エネルギーでは、配当に関する為替や物流などのLNG関連を主因に、393億円増益の653億円の利益となりました。
機械・インフラでは、資産リサイクル益の増加があった一方、IPP事業や自動車事業の減益を主因に、162億円減益の1,482億円の利益となりました。
化学品では、複数の関係会社における業績改善及びトレーディングを主因に、78億円増益の221億円の利益となりました。
鉄鋼製品では、前年同期のGestamp減損の反動などを主因に、43億円増益の73億円の利益となりました。
生活産業では、前年同期のエームサービス公正価値評価益の反動、及びコーヒートレーディングの減益を主因に、494億円減益の200億円の利益となりました。
次世代・機能推進では前年同期のアルティウスリンク公正価値評価益の反動を主因に、81億円減益の180億円の利益となりました。
その他は、退職給付制度の改定に伴う負担を主因として306億円の損失となりました。
上半期利益(実績)要素別増減分析
ここでは、当上半期利益を前年同期と比較し、その増減を要素別にまとめています。
「基礎収益力」は、LNG関連、化学品の増益に加え、新規事業の業績貢献などがあった一方で、IPP、PTLの減益、今期のパイトン売却に伴う減益などにより、160億円の減益となりました。
「資源コスト・数量」は、鉄鉱石や原油・ガスの販売数量増を主因に、40億円の増益となりました。
「資産リサイクル」は、パイトン、VLIの売却益を主因に20億円の増益となりました。
「市況・為替」は、商品価格の下落により、鉄鉱石で110億円、原料炭で50億円、原油・ガスで50億円など、200億円の減益となりました。為替は、円安を主因として300億円の増益となりました。
「評価性/一過性要因」は、退職給付制度改定などを主因に450億円の減益となりました。
通期業績予想(事業計画比)要素別増減分析
ここでは、通期業績予想を事業計画と比較し、その増減を要素別にまとめています。
「基礎収益力」は、LNG関連、船舶、産機・建機、化学品など、幅広い事業で上振れを見込む一方、主にFVTPL益の減少や、水産事業、コーヒートレーディング、鉄鋼製品事業の減益などにより、130億円の減益を見込みます。
「資源コスト・数量」は、エネルギー上流事業における探鉱費のコスト改善などを主因に、70億円の増益を見込みます。
「資産リサイクル」は、上期のパイトン、VLIの売却益の上振れに加え、下期に見込む複数案件のリサイクルもあり、550億円の増益を見込みます。
「市況・為替」は、鉄鉱石・原料炭の価格下落を円安の影響が一部相殺し、190億円の減益を見込みます。
「評価性・一過性要因」は、退職給付制度改定の負担増加などを主因に100億円の減益を見込みます。
2024年9月末バランスシート
当上半期末のバランスシートについてご説明します。2024年3月末と比較して、ネット有利子負債は0.3兆円減少し、3兆1,000億円となりました。
一方、株主資本は7兆5,000億円から変化はありませんでした。この結果、ネットDERは0.42倍になりました。
以上をもちまして、私の説明を終わります。
質疑応答:来期業績に影響を与えうる外部要因と内部要因
質問者:業績全体の考え方について、今期の資産リサイクル益が1,000億円超と大きいので、マーケットはどうしても来期にかけての持続性の懸念や一過性利益の剥落を見がちです。来期に向けての考え方を外的要因と内的要因から教えてください。
外部経営環境について、例えば現場の声や、堀さんのネットワーク、海外の経営者との日頃の対話を通じ、今後の景気を肌感覚としてどのように感じているのか。また、内的な経営の自助努力では、例えば来期に向けて資産リサイクルの一定程度の手応えやミドルゲームの推進があるのか、つまり外部要因以外で確信をもった増益のメッセージがあるのか、これらの点について解説をお願いします。
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