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髙橋良典氏:みなさま、こんにちは。新コスモス電機株式会社、代表取締役社長の髙橋良典です。本日はお忙しい中、新コスモス電機の2024年3月期決算説明をご視聴いただきありがとうございます。
本日は、初めて当社グループをお知りになる方のために、事業の概要をお話しした上で、2024年3月期の決算概要、中期経営計画などについてお話をさせていただきます。
01−事業内容
私たちは、「世界中のガス事故をなくす」という目標を掲げ、家庭や産業の分野で、みなさまの安全・安心、さらには快適な環境づくりに向けて取り組んでいるガスセンサ・ガス警報器メーカーです。
セグメントは大きく3つに分かれております。1つ目は、ご家庭の台所に設置して、都市ガスやLPガスのガス漏れを検知する、家庭用ガス警報器関連です。ここに住宅用火災警報器や家庭用ガス警報器向けに販売されるガスセンサも分類されます。
2つ目は、各種工場やプラントに設置し、可燃性ガスの爆発防止や、毒性ガスによる中毒防止に使用される、工業用定置式ガス検知警報器関連です。
3つ目は、作業員の安全確保や点検作業などに使用される、業務用携帯型ガス検知器関連です。
2024年3月期における売上構成は、家庭用ガス警報器関連が50.1パーセント、工業用定置式ガス検知警報器関連が29.3パーセント、業務用携帯型ガス検知器関連の分野で16.3パーセントとなっております。
02−2024年3月期決算概要
続いて、2024年3月期の決算概要について、ご説明いたします。
売上高は、海外向けの家庭用ガス警報器や工業用定置式ガス検知警報器が好調に推移したことにより、前期比3.6パーセント増の385億4,600万円となりました。営業利益については、前期比28.2パーセント減の40億8600万円となりました。
売上高に占める海外売上高の比率は45パーセントとなり、前期比で4.5パーセントの増加となっています。
総資産については、現金などの増加に加え、生産設備の増強や新工場の建設が始まったことなどから、前期比21.7パーセント増の668億3,700万円でした。
自己資本比率は、新工場建設に備えて長期借入を行ったこともあり、前期比6.7パーセント減の66.4パーセントとなりました。
02−2024年3月期決算概要
こちらのスライドは、四半期ごとの損益の推移となります。
営業利益が2023年3月期と比較して大きく下がっているのは、生産性の向上やコストダウンに努めたものの、部材やエネルギー価格、物流コストが高騰したためです。
また、営業利益よりも経常利益のほうがかなり大きくなっているのは、円安の影響による為替差益が出ていることによります。
02−2024年3月期決算概要
続いてセグメント別の状況です。
家庭用ガス警報器関連の売上高は、前期比1.5パーセント増の192億8,800万円となりました。要因としては、米国向けの電池式メタン警報器および中国向けの家庭用ガス警報器の販売が堅調に推移しました。
一方で、国内の家庭用ガス警報器については、コロナ禍にお客さま先の在庫が増えたことから、今期は一時的に低迷しました。
工業用定置式ガス検知警報器関連の売上高は、前期比11.2パーセント増の113億500万円となりました。要因としては、海外市場のエレクトロニクス業界向けおよび中国向けの「ガス検知警報器」が好調に推移しました。またメンテナンスサービスも堅調に推移しました。
業務用携帯型ガス検知器関連の売上高は、前期比4.4パーセント増の62億9,300万円となりました。要因としては、国内の「都市ガス業界向けガス漏洩探知器」および「鉄鋼業界向けCO検知器」が好調に推移しました。またメンテナンスサービスも堅調に推移しました。
以上のように、前期は主な3つのセグメントで、売上を伸ばすことができました。
02−2024年3月期決算概要
次に地域別の状況です。当社では、売上高を日本、アジア、北米、その他の4つの地域に区分しています。
日本は、先ほどセグメント別の状況でもお話ししたように、家庭用ガス警報器のお客様先での在庫調整の影響が大きく、微減となりました。
北米では、電池式メタン警報器は堅調に推移しましたが、家庭用ガス警報器向けガスセンサにおいて、採用先での在庫調整の影響で減少となり、結果北米地域としては6.6パーセント減となりました。
アジアについては、台湾におけるエレクトロニクス業界向けの定置式ガス検知警報器、中国向けの定置式ガス検知警報器および家庭用ガス警報器向けガスセンサが好調に推移しました。結果、アジア地域は、前期比35.5パーセントの大幅な売上増となり、全体の売上を牽引しました。
その他地域は、主にヨーロッパにおけるエレクトロニクス業界向け定置式ガス検知警報器やCOセンサモジュールなどが堅調に推移したことで、前期比18パーセント増となりました。
02−2024年3月期決算概要
次にキャッシュフローの状況です。営業活動によるキャッシュフローは、前期比2.7パーセント減の25億4,900万円となりました。これは主に当期純利益の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、前期比56.2パーセント増の23億2,200万円となりました。これは主に生産設備など固定資産の取得によるものです。
財務活動によるキャッシュフローは、42億6,500万円となりました。これは主に新工場建設を見据えた長期借入を行ったことによるものです。
結果、現金及び現金同等物は前期比32.1パーセント増の199億9,700万円となりました。
02−2024年3月期決算概要
こちらが貸借対照表となります。
生産設備の増強や新工場の建設が始まったことにより、固定資産が増加いたしました。また、新工場建設に備え、長期借入を行ったことで負債も増加し、結果、総資産は前期比21.7パーセント増の668億3,700万円となりました。それに伴い、自己資本比率は6.7パーセント減の66.4パーセントとなりました。
借入を行ってはおりますが、インタレスト・カバレッジ・レシオは190倍と経営に問題がない水準となっておりますので、ご安心いただければと思います。
02−2024年3月期決算概要
続いて、2025年3月期の業績予想についてです。
売上高は、8.1パーセント増の416億6,100万円を予想しております。内容としましては、家庭用ガス警報器関連では、海外向けが引き続き堅調で、国内でも在庫調整が一段落する見込みです。また業務用携帯型ガス検知器についても堅調に推移する見込みです。
一方で利益については、引き続き部材やエネルギー価格の高騰、物流コストの高騰が予想されることから、営業利益はほぼ横ばいの41億円、経常利益は13.7パーセント減の41億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は19.6パーセント減の23億8,000万円としており、経常利益と当期純利益については減益を予想しております。
03−「中期経営計画2022-2024」について
続いて、「中期経営計画2022-2024」についてです。
先ほどご説明した2025年3月期の業績予想と2022年に公表した中期経営計画の最終年度の業績予想に差異が出ております。それについて、ご説明させていただきます。
売上高につきましては、法改正に伴い販売増を見込んでいた携帯型ガス検知器の販売予測が厳しいことなどから、中期経営計画の計画値を達成することが難しい見通しとなりました。
利益については、新工場の建設や海外拠点の整備、新製品開発などの投資については計画どおり進捗しており、さらに人的資本への投資、部材やエネルギー価格、物流コストの高騰など物価上昇によるコスト高を中期経営計画策定時には見込んでいなかったことから、計画値を達成することが難しい見通しとなりました。
その結果、2025年3月期については、売上高は過去最高となる予想ではあるものの、売上高、営業利益ともに計画を下回る予想となりました。それに伴い、営業利益率とROEについてもスライドのとおりとなります。
03−「中期経営計画2022-2024」について
ここまでの説明の中で、たびたびお話をしております新工場建設について、ご紹介をさせていただきます。
「中期経営計画2022-2024」では、経営基盤強化のための戦略的な投資を行っており、新工場の建設はその一環となります。
目的は、アメリカでのガス警報器の需要が増えたことなどに伴うガスセンサの生産増への対応で、当社の主力センサの1つであるMEMSガスセンサをはじめ、各種センサを生産する予定です。
また、現在工場がある兵庫県三木市から離れた大阪市淀川区に建設することで、パンデミックなどが発生した際のBCP対応も目的としています。
2023年7月に着工しており、竣工は今年の9月の予定です。完成後には大阪市が確保を進めている「津波避難ビル」への申請を行う計画です。
04−配当について
次に配当金の推移についてです。当社の株主のみなさまに対する利益還元の基本方針は、業績および配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を行うことです。
2024年3月期の期末配当金につきましては、当期の業績や財政状態等を総合的に勘案した結果、株主のみなさまからのご支援にお応えするため、直近の配当予想より1円増配し、48円といたしました。
2025年3月期につきましても、48円の配当を予想しております。
05−トピックス
最後に、最近のトピックスをご紹介します。現在当社が拡販に力を入れている商品の1つに一酸化炭素検知機能付き火災警報器「PLUSCO(プラシオ)」があります。
05−トピックス
「プラシオ」は煙式の住宅用火災警報器に、一酸化炭素センサをプラスした新しい火災警報器です。
建物火災の死因で最も多いのは、実は一酸化炭素中毒・窒息で、亡くなる方の多くが65歳以上の高齢者です。一酸化炭素はわずか1パーセントでも1分から2分吸引すると死に至る非常に毒性が強いガスであり、火災の種類によっては煙や炎よりも一酸化炭素が早く発生することがわかっています。
「プラシオ」は、一酸化炭素を検知するセンサを搭載しており、火災をより早くお知らせして、逃げ遅れを防ぎます。
05−トピックス
当社では、この「プラシオ」を多くの方にお使いいただき、「火災から1人でも多くの命を救いたい」と考えています。そのためにさまざまな取り組みを実施しています。
昨年7月には株式会社山善さまと「もっと早く、⽕災を⾒つける。」プロジェクトを発足し、⼭善さまと協力し合い、小売店での拡販に努めています。
昨年の年末から今年の年始にかけてと、3月の上旬には、関西エリアでテレビ・「YouTube」のCMを放映しました。
また、昨年5月兵庫県三木市に開所した火災実験室「プラシオラボ」は、火災を見て、火災について学べる実験室です。当社の取引先のほか、一般の見学も受け入れており、火災時の一酸化炭素の危険性や「プラシオ」の有効性をお伝えしています。
その他、関係団体等を通じて子ども食堂などへ「プラシオ」を寄贈しております。今後も、火災の啓蒙活動を含めた「プラシオ」の普及活動を積極的に行ってまいります。
最後に…
最後に、当社は「世界中のガス事故をなくしたい」という設立当初からの変わらない思いを基に、日本から世界へ、保安・防災だけでなく快適な環境づくりへ事業の範囲を広げております。さらに、SDGsへの取り組みを推進し、持続可能な企業価値の向上を目指しています。
今後とも、当社を応援いただければと思います。本日はご清聴ありがとうございました。