2024年3月期 決算説明会

岡垣浩志氏:株式会社たけびし代表取締役社長の岡垣と申します。本日は決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。それでは、決算説明会を始めます。

まず、表紙の写真をご覧ください。こちらは当社がネーミングライツを契約している、西京極総合運動公園の陸上競技場兼球技場「たけびしスタジアム京都」の写真です。

目次

本日は、会社概要、2024年3月期の実績、2025年3月期の予想、現在取り組んでいる中期経営計画「T-Link1369」についてご説明します。

会社概要

まず、会社概要です。当社は京都に本社を置く技術商社です。特徴として、お客さまと仕入先が非常に多く、販売先のお客さまは約3,500社、仕入先であるパートナーメーカーも約1,600社となっています。

当社は、単にパートナーメーカーの製品を販売するだけでなく、その製品に当社の付加価値を加え、ソリューションとして提供する企業です。

たけびしの歴史

当社の歴史です。1926年に大阪で九笹商業株式会社として設立しました。その後、京都での三菱電機製品の販売権を取得し、活動を開始しています。

戦後の1960年代においては、立石電機(現オムロン)製品の販売開始や三菱電機製品の販売強化など、事業の拡大を続けてきました。

1970年代には、当社内の家電部門が分離したことをきっかけに技術志向へと向かい、コンピュータービジネスへの参入や、FA分野、さらには自社オリジナルのソフトウェアの開発などに取り組みました。

また、1990年代からはトータルソリューション商社を目指し、海外への進出やM&Aを積極的に行い、昨年度には売上高1,000億円を達成しています。

ネットワーク(拠点・関係会社)

当社のネットワークです。国内に7支店1営業所のほか、グループ会社が5社あります。海外については、当社の直拠点が上海、香港、深圳、タイ、ベトナムにあります。

また、シンガポールには2021年にM&Aを行ったLe Champ社があります。電子部品や実装機を販売する商社で、シンガポール本社のほか、インドやマレーシアなど8ヶ国16拠点を有しています。

当社の存在意義と重要課題

当社の存在意義と重要課題についてご説明します。当社は、商社として製品を右から左に販売するだけではなく、お客さまのニーズに応じてさまざまなパートナーメーカーの製品を組み合わせ、コーディネートしてご提案します。さらにはそれをソリューションとして展開します。

このような取り組みを繰り返しながら、当社の基幹ビジネスであるコンポーネントの販売も増やしていくことで、成長し続けている会社です。

セグメント別売上高と主要取扱製品

セグメント別売上高と主要取扱製品についてご説明します。左下のグラフは昨年度の実績です。産業機器システムが全体の41パーセント、半導体・デバイスが33パーセント、社会・情報通信が26パーセントとなっています。

当社としては、「4:3:3」の規模でバランスよく売上を伸ばしていくことを考えており、一昨年よりもそのバランスに近づいている状況です。

取扱製品としては、産業機器システムでは、当社が基幹としている三菱電機のFA機器のほか、当社のパートナーであるSIer約70社と組み、装置システムなどの販売も行っています。

半導体・デバイスでは、半導体や電子部品、CPUボード、組み込み用のパソコン、液晶の表示デバイスなどを販売しています。

社会・情報通信では、放射線がん治療装置や、三菱電機を中心としたエレベーター・エスカレーター、空調機器、モバイル端末などを販売しています。また、当社独自のオリジナル製品も販売しています。

2024年3月期 実績

2024年3月期の実績についてご説明します。売上高は1,014億円となり1,000億円を突破しましたが、人件費の高騰や諸経費の増加から営業利益は前年比でマイナスとなり、増収減益となっています。しかし、コロナ禍以降、着実に売上を伸ばしています。

2024年3月期 営業利益(前年比)

営業利益の前年比増減要因を示した滝グラフです。2023年3月期に比べ、為替影響により1.4億円の増加となりました。これは主にLe Champ社の売上増加によるものです。

規模変動としては、FA機器、医療機器などの拡大により、2.7億円の増加となりました。

一方で、在庫償却・評価損は例年より多く、1.1億円の増加となっています。販管費についても、人的資本投資やプロモーション関連費等が4.8億円の増加となりました。

結果として、営業利益は前年比1.8億円の減少となりました。

2024年3月期 セグメント別 売上高

セグメント別売上高についてご説明します。主力の産業機器システムでは、FA機器は堅調に推移したものの、産業メカトロニクス製品と装置システムが、電子部品や液晶関連向けの設備投資抑制により減少しています。

半導体・デバイスについては、半導体製造装置向けのデバイス品は堅調に推移しましたが、東南アジアでのEMSメーカーの在庫調整により13億円のマイナスとなっています。

社会インフラは、放射線がん治療装置が堅調に推移し、大幅に数字を伸ばしています。

2025年3月期 予想

2025年3月期の予想についてご説明します。売上高は通期で1,015億円を予想しています。お客さまの在庫調整局面の継続により、上期は厳しい状況が続くと見ています。

売上高は増加しているものの、人件費やプロモーション費用の増加で営業利益は34億円と、全体としては増収減益を予想しています。

2025年3月期 セグメント別 売上高

今年度のセグメント別売上高予想です。産業機器システムについては、FA機器が在庫調整により厳しい状況が継続しますが、年央以降の回復を見込みます。

そして、装置システムは、案件の引き合いがいくつかあり、大幅な伸長が期待できることから、産業機器システム全体としてはやや増加する予想です。

半導体・デバイスは、昨年、一昨年と当社商社機能を活かした海外の市場流通品販売に取り組んでいましたが、この特需の剥落により13億円の減少と予想しています。

社会インフラは、放射線がん治療装置の需要が引き続き堅調に推移すると見込んでいます。

中期経営計画『T-Link1369』

次に、中期経営計画「T-Link1369」についてご説明します。当社の創立100周年となる2027年3月期に向け、売上高1,300億円、NEWビジネス プラス300億円、経常利益60億円、ROE9パーセントを目標に掲げた計画で、昨年度からスタートしています。

外部環境の変化としては、労働人口の減少、環境投資ニーズの高まりなどが挙げられます。当社の強みを活かしながら、当社の課題であるグローバル展開や成長市場でのソリューション提案などに取り組み、さらなる成長を目指していきたいと考えています。

重点施策として、4つの成長戦略をさらに進化させる「成長」、イノベーションの創出に取り組む「変革」、資本効率を重視した「財務」、サステナビリティ経営の高度化を目指す「非財務」に取り組んでいきます。

中期経営計画進捗

中期経営計画の進捗状況です。本来であれば、2025年3月期の売上高はもう少し伸長させたいところでしたが、昨今の在庫調整により、基幹ビジネスの売上高は減少する予想となりました。ただし、重点施策である「成長」の分野は着実に増えているため、引き続きしっかり伸ばしていきます。

また、売上高と共に売上総利益の確保にも取り組み、当社が得意としているソリューション提案による利益の拡大も図っていきます。

4つの成長戦略の進化(グローバル・メディカル)

4つの成長戦略の内容です。まず、「グローバル」については、特にLe Champ社のあるインドでのデバイス需要が非常に増えているため、これらを確実に刈り取っていきます。

また、東南アジアを中心にM&Aも含めた業容・エリア拡大を引き続き検討し、2027年3月期の売上高320億円を目標に取り組んでいます。

「メディカル」については、放射線がん治療装置周辺のさまざまな診断装置への取り組みを強化していきます。放射線がん治療装置の商権エリアについても、中四国地区をさらに拡大し、規模拡大を図る計画です。

4つの成長戦略の進化(オートメーション・オリジナル)

「オートメーション」については、今後、日本は労働人口が減っていくため、自動化に対する需要は高まっていくと考えています。スマートファクトリー化を目指すお客さまへの提案として、装置ビジネスを着実に進めていきます。

「オリジナル」については、当社のユニークな点としてITとFAをつなぐソフトウェア「デバイスエクスプローラ OPCサーバー」という自社オリジナル商品があります。こちらは62ヶ国で累計4万ライセンス以上の販売実績があり、現在も年間3,000ライセンスから4,000ライセンスを販売しています。

OPCサーバーは、従来、製造業を中心に使われていましたが、水道や鉄道といったインフラ分野での需要も増えてきています。また、海外でも販売チャネルを強化することで、北米やASEAN諸国におけるシェア拡大を目指します。

総合商社を目指したイノベーションの創出

新しく取り組んでいる「変革」についてです。総合商社を目指したイノベーションの創出ということで「モビリティ」「マテリアル」「エネルギーソリューション」「DX推進」の4つのテーマに取り組んでいます。

モビリティについては、工場の自動搬送システムだけではなく、建設現場で使えるAGVをパートナーメーカーと共同で提案し、拡大していこうと考えています。

マテリアルについては、電機とは関係のないメカ部品や建材など、取り扱い商材を拡大していきます。

エネルギーについては、従来から太陽光発電は手がけていましたが、風力発電や創・蓄エネルギーなどで事業の拡大を図ります。

DX推進については、独自で開発している、ネットワーク機器の状態を監視するソフトウェアを中心に拡大していきます。

資本コストと株価を意識した経営の実現に向けて

財務についてです。当社は今年の1月末に「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」を開示しました。当社のPBRは1倍未満となっており、資本コストを超えるさらなる収益性の拡大が必要と考えています。

成長投資としてM&Aや事業投資にも注力し、利益をさらに拡大していきます。また、株主還元の強化に加え、積極的なIR活動の推進として、ホームページやIR資料等の充実も図ります。

株主還元

株主還元については、配当性向は目標40パーセント以上で、累進配当を基本方針としています。今年度は昨年度と同様に62円の配当を予想していますが、今後の業績次第では、引き続き株主還元の強化を検討していきたいと考えています。

人材戦略

非財務における人材戦略についてです。採用面に関しては、離職率が低いことが当社の特徴です。これは、当社にマッチした人材かどうかを十分に見極めた上で採用しているためです。直近では、社員の紹介によるリファラル採用も推進しています。

育成については、階層別の教育や、海外人材育成を目的とした研修制度の導入などを進めていきます。

働きがいについては、健康経営の推進に加え、コミュニケーションの活性化として、毎年12月に社員と家族を招いてクリスマスパーティを実施しています。クラブ活動も積極的に行われており、業務以外でもエンゲージメントの向上に努めています。

ダイバーシティの推進として、今年4月から地域限定の総合職制度を新設しました。今後、女性がより活躍できる組織を目指していこうと考えています。

展示会情報

最後に、展示会の情報です。当社は中期経営計画達成のため、現在、プロモーション活動に積極的に投資しています。

まずは、毎年7月に開催される「たけびしフェア」です。今年はソリューションを中心に出展するため「たけびしソリューションフェア」という名称で、7月11日・12日の2日間にわたって開催します。今年は入場に制限を設けずに実施するため、2日間で2,000名弱の来場者数を見込んでいます。

その他にも、本日から東京ビッグサイトで開催されている「FOOMA JAPAN 2024」への出展や、タイをはじめとした海外の展示会にも出展し、当社の商談活動の活性化と、認知度の向上に努めていきます。

ご説明は以上です。ありがとうございました。