事業概要

横島連氏:取締役経営戦略本部長の横島連です。はじめに、事業概要等についてご説明します。

当社は建設業・建設現場を主要な顧客として、主力のデジタルデータサービス事業(以下、DDS事業)を全国に展開しています。DDS事業では従来、特に建設現場におけるICTの活用による生産性向上支援を中心に事業を展開してきました。本中期経営計画においては、「サイトアシストパッケージ」の提案を中心に活動していく予定です。こちらの詳細は、中期経営計画のパートでご説明します。

また、測量計測システム事業(以下、SMS事業)は主に建設現場で使う測量計測システム等の提案を、レンタルを中心に行っている事業です。

その他事業では、同じく建設現場向けにユニットハウスサービス「スマートハウス」の提案、あるいは道路標識・標示等の設置を行う専門工事業を扱っていますが、これらはごく限られたエリアでの展開となっています。

CTSの果たす役割と強み

CTSの果たす役割と強みについてご説明します。当社は使命として、全国の建設業・建設現場の支援を掲げています。全国の建設業・建設現場は日本を支える地場産業であり、道路をはじめとした社会インフラ等の維持・発展と一体であると捉えています。

建設業が現在抱えている課題は、スライド中段に記載のとおりです。少子高齢化などにより労働力が不足していることに加え、2024年問題等もあり、非常に深刻な状況です。

また、業界特有の事情として、有期で毎回異なる仕事環境から、生産性を高める業務環境を構築しにくいという背景があります。このような建設現場の課題を、当社はICTをもって解決に貢献していきます。

その中で当社が強みとして掲げているのは、スライドに記載の3点です。建設業・建設現場に特化したICT支援ができること、レンタルの提案が可能であること、全国にネットワークを持っており、安定した品質で全国の現場を個別にサポートできることです。

この強みを活かした建設業の支援等を通じて、当社は社会基盤の構築に貢献していきます。

全国ネットワーク

全国ネットワークの状況です。現状、31拠点を北は北海道から南は沖縄まで展開しています。また、本社近隣には、デジタル機器管理センター・測量機器管理センターを設け、これらの拠点を通じて全国でのレンタル提案を支えている状況です。

通期計画対比

2024年3月期の決算概要です。まず、公表している計画との対比という観点からご説明します。

実績として、売上高は110億9,000万円、計画比で100.8パーセントです。営業利益は28億6,500万円、計画比で102.3パーセント、経常利益は27億8,500万円、計画比で100.6パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は18億5,800万円、計画比で96.3パーセントとなりました。

売上高、営業利益、経常利益については計画達成していますが、親会社株主に帰属する当期純利益については未達成という結果です。

営業利益ベースまでは、しっかり計画を超えていますが、経常利益ベースでは、当社の持分法適用会社であるファイルフォース株式会社の損失計上が想定より大きかったため、営業利益の超過により、経常利益を達成したものの、ほぼトントンとなってしまいました。また、これに伴い、税負担が想定を上回ったことから、結果として親会社株主に帰属する当期純利益は計画未達成となりました。

中期経営計画の進捗

中期経営計画に対する進捗状況です。中期経営計画において目標5項目を挙げています。いずれも最終年度をもって達成する予定のものであり、現時点では進捗途上となっています。スライド中段の営業利益率については実績が25.8パーセントと、すでに目標を達成した状況です。こちらについては引き続き現状の水準の維持向上に努めます。

全社損益概要

今度は2023年3月期との対比という観点から、2024年3月期の実績をご説明します。

売上高は前期比で102.7パーセント、売上総利益は57億400万円、前期比で104.7パーセント、売上総利益率は51.4パーセントで1ポイント上昇しています。主に既存顧客を中心に主力のDDSサービスの受注が増加したことから、売上高及び売上総利益が増加しています。また、特に付加価値の高いDDS事業が拡大したことにより、売上総利益は売上以上の伸びを残すことができました。結果として、売上総利益率が1ポイント上昇しています。

一方で、販管費は28億3,900万円、前期比で103.1パーセントとなっています。こちらは処遇改善等による人件費の増加に加え、マーケティング活動費用を含む営業活動費用が増加したことによるものです。結果として、営業利益は前期比で106.4パーセント、営業利益率は0.9ポイントの改善、経常利益は前期比で102.3パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で105.7パーセントと、いずれにも前期を上回る実績となりました。

全社損益概要

全社損益概要について、売上から営業利益に焦点を当ててご説明します。売上高は15期連続での増収、営業利益は13期連続での増益となっています。いずれも過去最高の実績です。

内容については特に営業利益で付加価値の高いDDS事業のレンタル・サブスクリプションサービスの売上が堅調に推移したことが、大きな要因となっています。

全社損益概要

営業利益の増加要因について、内訳を分解したものがこちらのグラフです。増加の大きな要因として、まず増収が挙げられます。売上が増えたことによって1億4,700万円増加しています。

また、全体においては、DDS事業の収益性が高い中で、こちらのセグメントの構成比が高まったことにより、粗利率が7,000万円から改善、各セグメントの粗利率の改善効果により3,900万円、合計して全体粗利率の改善において、1億円から粗利が増加しているという状況です。

一方で販管費は、人件費が5,200万円、その他の項目が3,200万円、それぞれ負担が増加していますが、売上高、売上総利益の増加により、こちらをカバーすることができました。

取引現場数推移

当社の重要な指標である取引現場数推移を指数化して表しています。2020年3月期第1四半期の実績を100パーセントとした場合、前期末においては160パーセントと、6割増加した結果となっています。

グラフをご覧いただくと増減がありますが、これは業界及び当社の業態を踏まえた季節変動を加味した増減になっています。そのため、同じタイミングでの比較は赤い点で示した第4四半期同士となります。こちらをご覧いただくと、しっかり右肩上がりに増加していることがおわかりいただけると思います。

リピート率の状況

新たにKPIとして掲げているリピート率の状況です。1年を経た結果、2024年3月期は70.7パーセントとなりました。2023年3月期の69.9パーセントから確実に増加していますが、2022年3月期と比べると、まだそこまで及んでいない状況です。

中期経営計画では90パーセントを目標として掲げていますが、まだ20パーセント近く及んでいない状況ですので、この差を中計期間で詰めていきます。

その他経営指標

その他経営指標です。重要指標のROA・ROEについてご説明します。ROAは17.7パーセント、ROEは16.3パーセントという結果となりました。いずれも前期より数字が下がっています。こちらの背景として、後ほどB/Sやキャッシュ・フローについてご説明しますが、主に投資目的有価証券の評価額が増加したことにより、いずれの指数も分母が増加し、数値が下がったことが大きな要因と見ています。

ROE・ROEの上昇に関しては、今後特に収益の向上と、毎期確実に利益を増やしていくことで、数値の達成を図っていきます。

以上が全体の事業概要です。続いてセグメント別の概要についてご説明します。

セグメント別損益概要

スライドには、当社の3セグメントについて、同じ数字軸で比較したグラフを記載しています。事業の大きさは、DDS事業に対して、直近のSMS事業の売上高がおよそ半分、次いで、その他事業がさらにその半分くらいのボリューム感という状況です。

DDS事業は売上高、営業利益を確実に増加している反面、SMS事業、その他事業は、直近売上高が横ばいの傾向になっています。また、SMS事業では、営業利益及び営業利益率が若干減少しています。

デジタルデータサービス事業の損益概要

個別の事業の状況です。DDS事業は、売上高は63億4,800万円、前期比で111.6パーセント、営業利益は19億5,400万円、前期比で112.8パーセント、営業利益率は30.8パーセントで0.4ポイント上昇しています。

売上高は15期連続の増収、営業利益は10期連続の増益となっており、いずれも過去最高です。「サイトアシストパッケージ」に注力すべく取り組んできましたが、足元では開発が遅延する事態が発生してしまいました。しかし、既存顧客を中心に受注が堅調に推移した結果、売上高、営業利益ともに前期比で2桁の増加を遂げることができました。

デジタルデータサービス事業の損益概要

DDS事業における営業利益の増減内訳です。売上による営業利益の増加が3億7,600万円で、こちらが大半を占めている状況です。粗利率には大きな変動がなく、ほぼゼロに近い状況となりました。こちらは、レンタル・サブスクリプションサービスの売上伸長とともに、一部販売関係の増加があったことから、増収はしているものの、利益率はほぼ横ばいの水準となったことによるものです。

一方で販管費は、営業活動費用の増加、及びデジタル機器管理センターの体制強化に伴う人件費の増加等により負担が増していますが、最終的にはこちらを吸収し、2桁の増益を達成することができました。

測量計測システム事業の損益概要

SMS事業です。売上高は32億6,600万円、前期比で89.7パーセント、営業利益は5億8,600万円、前期比で86.5パーセント、営業利益率は18パーセントで0.6パーセント低下しています。こちらは測量機器販売エリアの縮小、ICT施工関連のレンタル商材の絞り込み等により減収となっており、その影響から売上総利益も減少した結果、営業利益ベースでの減益となっています。

測量計測システム事業の損益概要

営業利益の増減要因は、今ご説明したとおり、売上の減少が1番大きな要因となっています。

一方、販売を中心とした売上が減少したことで、全体の構成比が高まり、粗利率ベースでは若干改善しています。また、全体では全社のセグメント構成におけるSMS事業の構成比が小さくなったことから、販管費の一部配布金額が減少し、販管費ベースでも利益に対してプラスの効果が出ています。しかし、売上減少の影響が大きく、最終的には減益となりました。

貸借対照表概要

貸借対照表の概要です。総資産額は167億1,000万円となりました。19億6,800万円の増加となっています。しっかり収益を上げたことにより、現金及び預金が増加していること、また先ほど一部触れましたが、投資有価証券の評価額が増加したことが大きな要素となっています。

一方で、負債・純資産額の合計に関しては、主に純資産の増加が大きな割合を占めている状況です。純資産額の増加は16億4,800万円となりました。こちらは当期純利益の計上により18億5,800万円、また、投資有価証券の評価額が増加したことに伴い、その他有価証券評価差額金が7億円増加したことが影響しています。結果として、自己資本比率は1.4ポイント上昇しました。

キャッシュ・フロー計算書概要

キャッシュ・フロー計算書の概要です。現金及び現金同等物等の期末残高は69億5,200万円で、1年を経ておよそ7億円増加した結果となっています。

営業活動、投資活動、財務活動、それぞれによる要因はスライドに記載のとおりですが、営業活動によるキャッシュ・フローでは29億8,200万円と、確実にキャッシュを稼ぐことができています。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、2023年3月期は約2億円増加していますが、2024年3月期は5億5,300万円の支出が発生しています。ポイントは、投資有価証券の取得、及び関係会社株式の取得によるもので、併せて3億円が発生していますが、こちらは主にDDS事業に関して、資本業務提携等の活動を行うにあたっての投資による支出です。

また、財務活動によるキャッシュ・フローでは前年と同程度で17億4,900万円の支払いが生じていますが、全体では、約7億円増加することができました。

以上をもちまして、私からのご説明を終了します。

中期経営計画 ー 中期経営方針 ー

横島泰蔵氏:中期経営計画及び現状について、代表取締役社長の横島泰蔵よりご説明します。

最初に、中期経営計画の中心となる中期経営方針について確認しておきたいと思います。当社は、中期経営方針として、従来の「『ハードを主体としたITインフラのレンタル企業』から、『データ・情報関連サービスを統合的に提供し、建設現場の業務を支援する建設ICTの専門企業』に変身する」を掲げています。こちらの変身後の姿がだいぶ明確になってきましたので、本日はそれを踏まえ、達成に向けての取り組みをご説明します。

中期経営計画では、従来の建設市場に対する取り組みに加え、新市場開拓を掲げています。まずは建設市場開拓についてお話しします。

従来は「どこへ」「何を」「どのように」という考え方でご説明していましたが、今回の中期経営計画では、「何を」「どこへ」「どのように」というかたちにしています。なぜなら、変身後の姿の中核になるビジネスのメインは、「サイトアシストパッケージ」の普及になると考えているからです。「サイトアシストパッケージ」の中身は、中期経営計画の中で1年間いろいろ取り組む中で、やっとかなり明確になってきたと考えていますので、この後個別にご説明します。

まずは「何を」です。中期経営計画期間は残り2年ありますが、建設市場では「サイトアシストパッケージ」の普及を1番に進めていきます。建設市場の「どこへ」進めるのかと言うと、当社支店のあるエリアを含む全国の地場ゼネコンで、ターゲットは約2,600社です。この2,600社は、年間の最低元請施工現場数で10現場以上を見込める企業が対象です。すでに支店ごと、担当者ごとに、ターゲットとなるユーザーは明確になっています。

そのユーザーに対して「どのように」活動をしていくかをお話しします。今までは現場単位の営業活動がメインでしたが、今後は先ほどの「サイトアシストパッケージ」の普及も踏まえ、営業部長を中心に、顧客キーマンへの定期訪問による営業を行います。これに基づき、お客さまとの関係をより強化していく営業活動の徹底を進めています。これがいわゆるBtoBの活動になると思います。

それに対して、従来の支店営業による現場キーマンへの水平展開を行います。社内ではBtoCと呼んでいますが、現場の主要な代理人から、他の代理人を紹介していただくような、効率的な顧客開拓を行っています。こちらは支店を中心により一層強化していきます。

そして、「サイトアシストパッケージ」という商品にも関わりますが、本社を中心にマーケティング・インサイドセールス・カスタマーサクセス機能の強化を進めていきます。

以上、「何を」「どこへ」「どのように」というかたちで、中期経営計画において変身を成し遂げたいと考えています。

中期経営計画 ー 中期経営方針 ー

新市場開発についてです。この1年を通して、ようやくターゲットとする新市場が明確となりました。それは官公庁市場です。

「どこへ」に該当する官公庁に対して、「何を」提供するのかと言うと、DDS事業の中の重要カテゴリであるクラウド映像サービス一式です。ネットワークカメラ、それに伴う通信・ネットワーク、データ等を保存するクラウド録画も含めたクラウド映像サービス一式になります。

それを「どのように」進めるかについてお話しします。国土交通省が主導する簡易型河川監視カメラ事業があり、今年度より入替需要が出てきますので、入替と増設を行います。なおかつ、前期から、河川管理部署からの紹介で、道路・観光部門等への水平展開も図ることができています。このような取り組みを行いながら、新市場の開拓を進めていきたいと考えています。

中期経営計画 ー中期経営方針(どのように)ー

あらためて、図を用いてご説明します。こちらは昨年、中期経営計画がスタートした時に描いたイメージ図です。従来はDDS事業、SMS事業、その他事業を並行して展開していました。それを今回の中期経営計画では、DDS事業をベースとして、顧客開拓・顧客基盤を構築し、その上にSMS事業、あるいは新たなサービスを乗せていきます。DDS事業から新たな市場開拓を進めていく考え方を示しています。

DDS事業でも、特に「サイトアシストパッケージ」という商品を中心に建設市場を開拓していき、その顧客特性に応じたサービスを上乗せしていきます。それがスライドに記載したSMS事業の担う部分です。また、それに加えて新市場となる官公庁への対応を明確に進めていきます。

中期経営計画 ー 中期経営目標(セグメント別売上目標) ー

以上の中期経営方針、活動の仕方を踏まえた上で、2026年3月期の売上高は、DDS事業は90億円、SMS事業は37億円、その他事業は13億円、合わせて140億円を目標とします。ご覧いただいたとおり、会社の経営資源の大半をDDS事業に注力していきます。

DDS事業では、「サイトアシストパッケージ」を中心に成長を目指していきます。SMS事業は売上が横ばいとなっていますが、業態を従来の販売からレンタルへ移行します。これによって付加価値をつけていきたいと考えています。また、DDS事業でお取引ができたお客さまに対して、SMS事業はレンタルを中心に市場開拓、つまりお取引の拡大を図っていく考えです。その他事業に関しては、現状維持を目標としています。

中期経営計画 ー 中期経営目標 ー

数値目標です。中期経営計画の経営方針に基づいて活動していくことによって、売上高は140億円、2023年3月期比でプラス約30パーセント、営業利益は36億円、2023年3月期比でプラス30パーセントを目指します。営業利益率は25パーセント超を目標としていますが、こちらは前期に達成できています。さらにROE20パーセント超、リピート率90パーセント超を掲げており、この達成を目指していきます。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー サイトアシストパッケージ

変身の中身の中核となる「サイトアシストパッケージ」についてご説明します。「サイトアシストパッケージ」を中核に据える基本として、みなさまもご存じのとおり、建設業における大きな課題があります。少子高齢化、あるいは2024年の法改正による、労働時間の短縮等です。これらに対して、建設業界、特に現場においては、生産性の向上が求められています。

それに対して我々は、課題解決の対策の1つとして、「サイトアシストパッケージ」の普及を推進していきたいと考えています。「サイトアシストパッケージ」は大きく3つのサービスで構成されています。

1つ目が、スライド中央の「現場情報共有プラットフォーム」です。商品名としては、「SAダッシュボード」と呼ぶことにしました。先ほどお伝えしたように、この部分の開発等がかなり遅れていますが、5月中にはスタートを切れる見込みです。

2つ目は、そのプラットフォーム上で共有される「現場情報関連コンテンツ」です。我々が今まで個別で培ってきたクラウドのいろいろなサービスが含まれており、それらがここに蓄積されます。従来お客さまに販売してきた多様なアプリケーションを含めた内容も入っていきます。

3つ目は、現場を支援していく本社の現場支援室、あるいは支店の現場支援室、もしくはそれを一緒に作業していく現場事務所等に必要ないろいろなハード、あるいはネットワーク等を踏まえたものを提供していく「現場支援室構築サービス」となります。

「サイトアシストパッケージ」という名のとおり、現場支援のパッケージとして、プラットフォームとコンテンツの提供、そしてそれを活用するためのハードと通信ネットワークの提供をパッケージとして提供していくという考え方です。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー ①現場情報共有プラットフォーム

「現場情報共有プラットフォーム」についてです。「SAダッシュボード」は、サイトアシストダッシュボードの略です。

まず、スライド中央に記載しているとおり、さまざまな画面に合うレイアウトがあります。選択したレイアウトに、登録されているデータ・情報・アプリ等の中から、必要なものを選んで貼り付けていきます。

ワンクリックでデータ・情報を統合したダッシュボードを複数の関係者へ提供することができます。これによって複数の関係者と必要なクラウド上のドキュメント情報、映像情報等、諸々の情報が共有できるようになります。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー ①現場情報共有プラットフォーム

実際にコンテンツが「SAダッシュボード」に貼り付けられた状態のイメージです。例えば6分割された画面のうち、左上の画面は設計図書を含めた現場の情報、ドキュメント情報がすべて入っているものです。そしてその隣がライブ映像情報です。我々が国内で唯一の代理店として扱っている「Camstreamer」による高画質のライブ映像です。

右上がコミュニケーションツールです。「direct」という商品を例にしていますが、現場のモバイル端末等で、現場情報、あるいは他のドキュメント情報を共有しながらやり取りができます。

スライド下段はドキュメント情報全般ではなく、左下の設計情報など「Fileforce」上のいくつかの情報について、その時に必要なものに個別で直接アクセスできます。ライブ映像情報の下にあるのがタイムラプス情報です。タイムラプスで簡単に過去情報を振り返ることができます。右下が、福井コンピュータ製のアプリによって作られている点群データを含めた施工管理情報です。

このような情報を「SAダッシュボード」に貼り付けて、いろいろなかたちで複数の方に共有ができるというものです。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー ①現場情報共有プラットフォーム

こちらの図でもう少しご説明します。スライドの左端が現場事務所です。現場固有で必要となる情報を貼り付けていきます。そして、貼り付けたファイルをそのまま簡単に、チャットやメール、あるいは「Fileforce」自体を使って共有します。本社・支店の支援室、もしくは専門工事でかなり技術レベルが高い方の意見を聞く場合等は、他現場事務所の支援が必要となることもあると思います。

今後はOB技術者・社外協力会社が、現場の手伝いはできないものの、テレワークでならいろいろと支援できるため、現場情報、ドキュメント情報、その場のライブ映像、過去映像など必要情報を共有することで、セキュリティを保った状態でOB等からの技術支援を得られるようになります。

これが「SAダッシュボード」の活用イメージです。最近、大手ゼネコンが全現場で統一したダッシュボードを導入するという記事も出ていますが、我々はどちらかと言うと、現場にとって一番必要な情報は現場にあると考えています。現場のために必要なダッシュボードにいろいろなコンテンツを入れていきます。それを、支援してもらいたい方に共有することで、遠隔支援を成し遂げていくことが一番の趣旨です。

プラットフォームとしての「SAダッシュボード」のご説明は以上です。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー ②現場情報関連コンテンツ

中身のコンテンツについてご説明します。2つの大きな「現場情報関連コンテンツ」があり、こちらが我々のビジネスの中心となります。

「PBコンテンツ」はプライベートブランドコンテンツの略です。今までは個別のサービスとして、お客さまにクラウドストレージやネットワークカメラを提供する活動を行ってきましたが、今回はそうではなく、「サイトアシストパッケージ」のプラットフォーム上で多く使われるコンテンツとして位置付けています。

一番重要になるクラウドストレージに、すべてのドキュメントが収まるかたちになると思います。こちらは、かねてより「Fileforce」で営業活動を行っています。前期は、直接登録されているID数が4万数千を超えてきていると報告を受けています。このような部分は、先ほど財務状況でもご報告しましたが、ファイルフォースと資本業務提携を結んだ上での開発及び運営となっています。

続いて、クラウド映像サービスです。こちらも約10年前から力を入れており、現在、大きく3つの映像系サービスがあります。「Camstreamer」はハイビジョンのフルHD対応の高画質・高機能のライブ映像配信・クラウドサービスで、当然録画も可能です。Camstreamer社の国内唯一の代理店として、今年度からサービスを開始しました。

また「PictureMaker」は、オートタイムラプス動画サービスで、過去映像から高画質のパラパラ動画を作るものです。こちらも資本業務提携先に開発を依頼して、我々の商品として作ったものになります。またこちらは、2023年7月に国土交通省のNETISを取得しています。

また、顔認証による入退場管理に関しても資本業務提携先の企業による開発を終え、2024年2月にNETISを取得し、CCUS(建設キャリアアップシステム)との連携も行われました。

人の知覚情報というのは、9割近くまで視覚から入ってくるもの、要は映像情報によるものだと言われています。それゆえ我々は、現場の状況を遠隔地で共有していくために、この映像情報が非常に重要だと考えてきました。そのような中、足かけ10年で、いくつかの商品・サービスを構築してきました。

これが、ようやく「現場情報共有プラットフォーム」の中のクラウド映像というコンテンツとして、ある意味、有機的につながったかたちで、お客さまに価値を提供できる状況になってきたのだと考えています。

そして、IoT連携です。最近はIoTスマートハブ、IoTハブという名前で使われると思いますが、いろいろな機器をつないでいきます。このあたりも、資本業務提携先に開発を依頼し、2024年1月にサービス提供を始めています。

今いくつかお話ししましたが、「PBコンテンツ」においてはクラウドストレージとドキュメント、映像、あるいはそれらとの連携に関して、資本も含め、今後も提携先を一層増やしていきたいと考えています。

それ以外に、「協業コンテンツ」として、現状はコミュニケーションのツールや施工系アプリをご用意しています。特に施工系アプリは、PDCAでいう設計図書があった時に、完成予想等が最近はBIM/CIM等によって3次元で提供される、あるいは共有されるようになってきています。我々が提供する福井コンピュータ製のアプリケーションは、販売店として長らく全国でトップの取扱高を維持しています。

そのような分野においても、今後はより協業し、あるいはセミナー等を共同で開きながら、お客さまに統合的なコンテンツとして活用していただける状況を作っていきたいと考えています。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー ②現場情報関連コンテンツ

スライドは先ほどと同じものですが、プラットフォームとしての「SAダッシュボード」に「現場情報関連コンテンツ」が掲載されたイメージを示しています。こちらを、メールもしくはチャットを使って簡単に共有できるようなサービスを提供することになるとご理解ください。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー ③現場支援室構築サービス

「現場支援室構築サービス」です。「SAダッシュボード」「現場情報関連コンテンツ」とともに、モニタ等のハードウェア及び通信・ネットワークを提供することで、パッケージとしての提案が可能になります。

いくらプラットフォームやコンテンツがあっても、それを見たり活用したりするためのいろいろなハード、もしくはそれを実現するためのネットワークがなければ利用できません。本社や支店にはだいたい固定のネットワークがありますが、現場事務所にはないことがあります。あるいは、外部の協力会社やOBの方にお願いする場合も、機器や設備が整っていないことがあります。

そのような場合、また、大きな意味で本社・支店の支援室を作っていく場合、あるいは逆に現場の受ける側でそのやり取りを行う場合に利用できる、ハードウェアや通信・ネットワークを含めた部分が、この「現場支援室構築サービス」です。このサービスの提供を通じ、現場事務所の環境構築を支援することで、より連携がスムーズに進んでいくと考えています。

直近では、映像・クラウドサービス等の活用が行われています。防犯目的だとカメラ1台というケースもありますが、統合的に複数の現場を見ていくなど、いろいろな使われ方をしています。

複数台の映像を1つにまとめて見る動きは、現場事務所だけではなく、本社・支店でも増えてきています。そのような中で、大型ディスプレイの納入やレンタル需要もかなり増えてきています。

今までは、映像の部分だけをまとめて見たい、打ち合わせ用に大型ディスプレイを使いたいという状況での活用が主でした。今後、我々はこの「サイトアシストパッケージ」を提供することで、異なる使い方を提案していきたいと考えています。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー サイトアシストパッケージ

「サイトアシストパッケージ」に関するイメージのおさらいです。スライドに記載の3つを合わせた「サイトアシストパッケージ」という商品を、我々はこれから普及させていきたいと考えています。1つ目がプラットフォーム、2つ目がプラットフォーム上で動くコンテンツ、3つ目がそれを活用するためのハード、通信・ネットワーク等を合わせたものです。

工事は現場で行われています。上記3つが合わさると、現場事務所や現場とのやり取り、本社・支店の現場支援室からの一部支援や、他現場事務所からの専門性の高い技術的な支援なども、状況によっては可能になります。また今後、OBによるテレワーク、もしくは専門の部外者によるテレワーク的な要素の支援が普及していくのではないかと想像しています。

中期経営計画 ー中期経営方針(何を)ー サイトアシストパッケージ事例

実際に我々がお手伝いしたお客さまの導入事例をスライドに示しています。もともと数年前から全社で「Fileforce」をお使いいただいていた会社です。直近はネットワークカメラのBtoB契約を結んでいただき、当社が提供するカメラ映像とクラウドサービスにより、全現場を本社で統合して見ていただきました。今後は、我々と同じような考え方で活用したいということで、大型のマルチディスプレイを導入しながら、支援室を構築しています。そのような企業がすでに出てきています。

我々は中期経営計画において、「サイトアシストパッケージ」を中心にしたビジネスモデルを展開していくためのベースを作っていこうと考えています。これは、例えば一度プラットフォームを作って終わるものではありませんので、技術革新によって新しいものが出てくるはずです。

コンテンツはいろいろな技術が出てくる度に、ハードもアプリも通信環境も変わってくると思います。生産性を上げるために必要なものを順次取り入れながら、お客さまの現場のニーズに合わせたコンテンツを常に提供していきます。したがって、これは永久的に続いていくものと考えています。

建設業の場合は、工場が年中動いている(移動している)状況です。そこに関する環境については、また外部の方の協力も必要になってくると思います。そのような、みなさまへの環境提供も含めた現場支援環境の構築も、継続的に行われていくことになると認識しています。これらを合わせた「サイトアシストパッケージ」を、我々は業界の現場情報共有の標準に持っていきたいと考えています。

⾃治体向け簡易型監視カメラの実績

新市場開発についてです。新市場として官公庁市場を開発していくことがようやく明確になりました。スタートしたのはだいぶ前で、2017年くらいから国土交通省の簡易型河川監視カメラのコンペのようなものに参加しています。2年程度をかけて、紹介により、2019年度から国土交通省主導のもと、各都道府県での簡易型河川監視カメラの導入が始まりました。

2019年度から2023年度前期までの累計の納品台数は758台です。そのうち2023年度の納品台数は248台であり、約3分の1を占めています。エリアとしては、北関東、甲信、東海エリアをメインに活動しています。前期の状況を見て、官公庁市場を明確に新市場として捉えていこうと、社内で合意に至った状況です。

当初は河川課を中心に導入していきましたが、そこから道路管理課や交通政策課、観光課など、水平展開で広がっていっているのが現状です。すでに2024年度の新規に入っていますが、新たに北関東の茨城県からの受注もいただいています。2024年度の実績としては、現状78台納入ができています。

官公庁(⾃治体)様向けサービス提供実績

新市場となる官公庁に向けて、我々が提供しているのはクラウド映像サービスです。決してカメラを売っているわけではありません。当初、国土交通省で行っていたのは簡易型河川監視カメラの納入で、ハード中心でした。通信は国土交通省から支給されたSIMで、5分に1枚の映像も国土交通省のクラウドへ上げるものとなっています。

ただし、直近の先ほど挙げたお客さまに関しては、新たに取り組んでいるものの大半が、我々の提供するSIMとクラウドサービス、「PictureMaker」や「Camstreamer」で映像データを預かるものとなっており、一式で提供することが増えています。

それらを踏まえ、今後も河川監視だけではなく、道路監視、冠水監視、不法投棄監視、火山監視、あるいは直接的に住民に向けたライブ配信、交通量調査、人数計測等で、官公庁における市場拡大を図っていきたいと考えています。

河川課の事例①

長野県河川課の事例です。

河川課の事例①

スライドに記載の写真のとおり、夜間でもこれだけ見ることができます。

河川課の事例②

三重県河川課の事例です。SIMもデータも、オートタイムラプス「PictureMaker」へすべて保存するかたちで活用していただいています。

河川課の事例③

群馬県河川課の事例です。「tsulunos」という独自のホームページで情報公開やライブ配信が行われており、運用が非常に進んでいます。

道路管理課の事例①

長野県軽井沢町交通政策課の事例です。軽井沢町は全国でも有数の観光地であるため、季節によっては交通渋滞が頻繁に起きます。その対策として導入されました。スライド下段にあるとおり、映像にテロップ等をオーバーレイすることも可能になっており、それらを踏まえながらの提供となっていっています。

道路管理課の事例②

スライド左側の画像は群馬県高崎市交通政策課、右側の画像は埼玉県越谷市道路管理課の事例です。同じような事例なのですが、道路のアンダーパスで大雨が降った場合に水没してしまう恐れがあり、それをカメラが自動で検知して、IoTと連携することで、事故を防ぐサービスとなっています。

観光課の事例①

観光情報の提供事例です。

観光課の事例②

スライドには、ライブ映像等を含めた事例を示しています。

以上が、新市場としての官公庁に対し、我々が何をどのように提供し、市場開拓していくのかをご紹介しました。新しいことを始めるというよりは、先ほどからお伝えしているとおり、十年来扱ってきたカメラ関係の映像処理を中心に、官公庁のニーズに応えた市場開拓を進めたいと考えています。

全社業績予想 2025年3⽉期予想

ここまでご説明した内容を踏まえた、2025年3月期の業績予想についてご説明します。売上高は120億円、営業利益は30億円、営業利益率は25パーセントを想定しています。これにより、売上高は16期連続での増収、営業利益は14期連続での増益となります。売上高、営業利益ともに過去最高を目指しています。

セグメント別売上⾼予想 2025年3⽉期予想

セグメント別売上高予想です。こちらも中期経営計画と同じ考え方です。DDS事業は今後、「サイトアシストパッケージ」を中心とした展開となります。売上高は、DDS事業が73億円、SMS事業が33億円、その他事業が14億円、合計120億円を想定しています。

下段のグラフを見ておわかりいただけるとおり、基本的にはDDS事業を中心とした成長を目指します。なおかつ、今後は「サイトアシストパッケージ」の普及がその中心になると考えています。

配当予想 2025年3⽉期予想

配当予想です。我々は従来、業績に連動した配当性向の計算式を採用していましたが、中期経営計画においては外部環境も踏まえ、前期より累進配当方針を採っていくとみなさまに宣言しています。それを踏まえ、2025年3月期の配当は、上期配当12.50円、下期配当12.50円、年間配当25円を予定しています。以上で、2025年3月期予想の発表を終わります。

横島泰蔵氏からのご挨拶

中期経営計画では、事業内容を含め、我々が会社自体を大きく変身させる方針を掲げています。変身の先にある姿がどのようなものなのかは、今日お話しさせていただきましたが、だいぶ明確になってきたと感じています。

したがって、今期と来期はこれを確実に実行に移していく段階です。来期で終わるわけではなく、それによってようやく新しいかたちのスタートラインに立てると考えています。以上で私からのご説明を終了します。みなさま、今後ともよろしくお願いします。