2024年3月期経営成績 1/8
依藤敏明氏(以下、依藤):日本空調サービス代表取締役社長の依藤です。ただいまより、2024年3月期決算説明および新中期経営計画をご説明します。
まず、業績ハイライトです。2024年3月期の経営成績についてご説明します。スライドの表に前年度比を示しています。
売上高は対前期プラス10.1パーセントの582億円となり、しっかりと伸ばすことができました。売上総利益は対前期プラス17.6パーセントの109億円です。販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルスによる行動制限が解除されたこともあり、数値はやや増加しました。対前期でプラス13.3パーセントとなっています。
営業利益は対前期プラス27.5パーセントの36億3,000万円、経常利益は対前期プラス26.6パーセントの38億6,000万円、税金等調整前の当期純利益は対前期プラス29.8パーセントの38億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は対前期プラス40.4パーセントの27億2,000万円となり、かなりの利益を出すことができたと思っています。
EPSに関しても、当初の予想よりはるかによいスコアである79.4円となり、対前期プラス40.1パーセントという結果になっています。
詳細については当社Webサイトに載せていますので、ご確認ください。
2024中期5ヵ年経営計画
「2024中期5ヵ年経営計画」についてです。前回の2019中期5ヵ年経営計画が2024年3月期で最終年度を迎えたため、新たに策定しました。
いき、続けるために。
当社は1964年に設立され、今年で60周年を迎えました。60周年を迎えるにあたり、当社をアピールできる良いキャッチコピーはないかということで、第61回宣伝会議賞(株式会社宣伝会議が主催)に参加しました。
1万5,400件ほどの応募作品の中から今回選んだのが、「いき、続けるために。」です。「いき」は、吐息の「息(いき)」、生きていく「生(いき)」、生活の「活(いき)」の3つが掛け合わさっており、新中期経営計画を体現するキャッチコピーとして使用しています。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 1/13
「2019中期5ヵ年経営計画」の検証です。新中期経営計画を作るにあたり、当時に立てたKPIが本当に良かったのかどうかをしっかり検証しながら、新中期経営計画のKPIに活かそうということで検証しています。
まず、2024年3月期の目標に対し、売上高は582億3,200万円で着地しました。達成状況としては十分にクリアできました。営業利益も30億円の目標に対して36億3,000万円と、十分に達成できました。
営業利益率は5.5パーセントを維持という目標でした。最終的には6.2パーセントとなりましたが、5ヵ年を通して見ると5.5パーセントを若干割った年もありましたので、「△」という評価にしています。
経常利益は31億円の目標に対して38億6,300万円となり、こちらもしっかり達成できました。
ROEに関しては、最終年度では12.1パーセントという結果でしたが、10パーセントを切った年もありましたので「△」にしています。
特殊な環境を有する施設売上高比率は、競争のない優位性を持った市場をしっかり開拓するということで、75.0パーセントを目標にしました。結果として75.2パーセントで着地しましたので、こちらも達成できました。
海外営業利益比率は、全体の利益の5パーセントという目標を立てていましたが、実際は苦戦したこともあり、マイナス0.2パーセントでした。
当社は人材が資本となっている会社ですので、従業員満足度はしっかりと上げていこうというところで70.0パーセントという目標を掲げていましたが、最終的には67.3パーセントとなり、こちらも課題を残す結果になりました。
また、当社は技術力が売りの会社ですので、技術力指数にはしっかりとした目標を持って取り組みました。結果的には22.8ポイントとなり、こちらもクリアできました。外国籍従業員数もしっかり達成できました。
配当性向に関しては、おおむね50パーセントを維持できたと評価していますが、最終年度が49.1パーセントだったため、「△」としています。
1株当たりの年間配当金は、配当性向の目標が50パーセントということで、27円と考えていましたが、EPSが大きく上がったこともあり、39円と大きくクリアできました。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 2/13
ここからはもう少し深掘りしていきます。当社の最大の財産である従業員の数をしっかりと伸ばしていきたいと考えていましたが、思いのほか伸びず、CAGRは0.9パーセントとなりました。目標としていた数字よりも若干低いところで推移しました。
一方、従業員数が増えていないにもかかわらず、売上高はCAGR4.7パーセントとなりました。1人当たりの売上高はかなり増えたかと思っていますが、従業員数が少ない中でこれだけ売上高が伸び、従業員に負担がかかっていたと考えられるため、この点についてはしっかりと見直していく必要があると考えています。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 3/13
売上高を種類別に分解しています。スライド右側の折れ線グラフをご覧いただくと、メンテナンス売上高は右肩上がりで順調に成長し、CAGR2.8パーセントとなりました。工事に関わる部分も、CAGR8.3パーセントと大きく成長しています。
売上高全体ではCAGR4.7パーセントとなり、工事の部分が当社の売上高を大きく牽引しました。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 4/13
メンテナンス売上高を受託施設別に分解しています。特殊な環境を有する施設に傾注し、病院及び研究施設と製造工場に力を入れてきました。病院及び研究施設はCAGR2.9パーセントとなりましたが、製造工場がCAGR6.3パーセントとなり、かなり伸びたという手応えを感じています。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 5/13
工事売上高を受託施設別に分解すると、病院及び研究施設がCAGR19.8パーセントと想像以上に伸びました。製造工場もCAGR9.8パーセントとしっかり伸び、特殊な環境を有する施設に傾注した結果が出たと思います。
このあたりの指標として策定したKPIとの相関性もしっかりと見られ、指標は間違っていなかったと考えています。今後もしっかり検証していきます。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 6/13
特殊な環境を有する施設の売上高比率についてです。こちらも強く攻めていったことで、期間平均は73.1パーセントとなりました。病院及び研究施設は38.4パーセントと、同比率の伸びを支えた要因になっています。
スライド右側の折れ線グラフをご覧ください。オフィスビル等の売上高が2020年から2021年にかけて落ち込んでいるのは、新型コロナウイルスの影響です。反対に、病院などでは陰圧化対策や換気設備等の仕事が増えました。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 7/13
当初、競争の少ない特殊な環境を有する施設に傾注すれば、利益率をしっかりと上げることができ、利益も残せそうだと考えて注力しました。
しかし、売上総利益率を最終的に検証してみると、特殊な環境を有する施設の期間平均が17.9パーセントに対し、オフィスビル等は19.5パーセントとなりました。オフィスビル等のほうが利益が出ていたという意外な事実が判明しました。
今後、特殊な環境を有する施設売上高比率を75パーセントに上げるという目標を見つめ直し、利益のあるところにしっかり傾注するという方針を打ち出すきっかけとなったと考えています。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 8/13
外国籍従業員数や海外売上高をKPIに掲げていましたが、2020年と2021年のコロナ禍では、海外は日本国内と違い、ロックダウンなどで外にも出られませんでした。もちろんお客さまのところに行くこともできず、お客さまもお休みという状況が2年または2年半ほど続きました。
その中で、「2019中期5ヵ年経営計画」のうち実稼働が半分程度しかなかったことを考えると、海外は苦戦したものの売上高はしっかり伸びたと考えています。外国籍従業員数は微増となり、目標としていた150名を超えました。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 9/13
従業員満足度についてです。当社は従業員が資本の会社ですので、ここを高い目標でしっかりクリアしていかないと、なかなか定着率も上がってこないため、過去だけでなく今後も力を入れていきたい部分です。
目標設定時は63.5パーセントでスタートし、なんとか目標の70パーセントに近づきましたが、最終的には若干下回る数字となり、今後の課題だと思っています。
当社内で従業員にいろいろなアンケートを取りますが、やはり処遇面での不満によるネガティブな回答が多く見られ、前年度からは賃上げにもしっかりと取り組んでいます。今後、そのあたりがポジティブに表れてくることを期待したいです。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 10/13
技術力指数は、20ポイント以上を目指して取り組んできました。2019年は19.9ポイントでスタートしており、ポイント数は当社独自の方法で算出しています。
当然ながら、ベテラン社員は多くの資格を保有しています。したがって、ベテラン社員が定年退職等で辞めて新入社員が入ってくると、ポイントが下がる傾向にあります。それを鑑みても、技術の会社として技術力指数にしっかりと力を入れて取り組んでいくということで、この目標を立てています。
スライド右側の折れ線グラフをご覧ください。技術力指数が上がっていくと、売上高も着実に伸びていく結果が見えましたので、相関性は十分にあります。今後の新中期経営計画でも、このあたりにしっかりと着手していきたいです。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 11/13
「2019中期5ヵ年経営計画」の総括です。スライド左側の折れ線グラフは、当社の時価総額成長率の推移を表しています。TOPIXと比較すると、若干下回っています。
2024年3月期は、日経平均が4万円台まで上がり、非常に勢いのある会社がたくさんありました。その中で、当社は地道に右肩上がりを続けています。しかし、急激に売上・利益が大きく伸びる会社ではありませんので、このあたりはTOPIXと比べて見劣りするところだと思います。
スライド右側の株主総利回り成長率も、TOPIXを若干下回っています。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 12/13
昨今、「PBRが1倍以下の会社は、会社とはみなさない」くらいの厳しいことを言われます。当社のPBRは1.37倍で、直近では1.42倍まで改善しています。スライド左側の折れ線グラフのとおり1倍を切ったことはなく、1倍以上を保てています。
スライド右側のグラフのROEと株主資本コストの推移については、投資家との対話等で「株主資本コストは8パーセント程度」という話をよく聞きますので、当社もその程度を想定しています。
その中で、最終的にはROEが12.1パーセントとなりました。2023年3月期は9.4パーセント程度まで下がっていますが、5年間の平均を見ると10パーセント程度をキープできています。
I.2019中期5ヵ年経営計画の検証 13/13
「2019中期5ヵ年経営計画」のまとめとして、今後につなげていくための4つの項目を挙げています。
1つ目に、当社とTOPIXのパフォーマンスを比較した場合、当社の企業価値創造はTOPIXを上回ることができず、若干下回りました。今後はしっかりと改善する必要があると思っています。
2つ目に、先ほどお話ししたとおり、意外にもオフィスビルの利益があり、適正な利益水準を追求できていなかった可能性があります。
現在、特にオフィスビルは設備投資需要が大きく、施工会社が少ない状況が続いているため、競合他社が少なくなっています。当社が注力している特殊な環境を有する施設に近いくらい施工会社が少ないため、高い水準の利益率が確保できると思っています。今後は注力の割合を再度検討していきます。
3つ目に、先ほどお話ししたとおり、従業員がそこまで増えていない中で売上高が増加しており、中長期的なエンゲージメントの低下につながる可能性があります。満足度調査やエンゲージメント調査は行っていますが、今後はそのあたりに力を入れていく必要があると考えています。
4つ目は海外展開です。こちらは想定外のコロナ禍があり、かなり苦戦を強いられました。新たな収益基盤とするには、まだ時間を要します。しかし、市場としてはかなりの手応えがあります。客先も着実に増え、売上高も右肩上がりですので、今後も注力していきたいと思っています。
この1から4の項目をしっかりと振り返ることにより、次の新中期経営計画につなげていきたいと考えています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 1/14
ここまでの検証結果を踏まえ、「2024中期5ヵ年経営計画」を作成しましたのでご説明します。基本方針はブレることなく、今後もこれまでと同じ考え方で進めていきたいと思います。
PURPOSE(存在意義)は「お客様の事業活動のサステナビリティに寄与し、社会全体の価値向上を図る」です。
MISSIONは「お客様に安心感を与える最適な環境を維持するために、技術力と人的資源を結集させ、高品質サービスを提供する」です。これを果たすべき使命と位置づけています。
VISIONは「サステナブルな全てのステークホルダーの幸せ向上」です。こちらを我々のありたい姿として掲げています。
VALUEは「人的資本の価値向上によるサステナブルな付加価値創出と還元」です。行動指針を従業員に浸透させることにより、新中期経営計画の達成を目指したいと思っています。
次ページから、各項目についてご説明します。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 2/14
まずはPURPOSEです。こちらは昔から変わっていません。当社の中核事業である建設設備メンテナンスについて、当社の取り組みをご説明します。
スライド左側の図をご覧ください。新築の建物を建てても、当然ながら設備は経年劣化により能力が低下していきます。それに対して当社は、スライド右側の図に記載のとおり、メンテナンスによって能力低下の幅を低減させます。無駄な電力を使うことなく、初期性能に近いところを維持すべく、しっかりと手をかけていくということです。
ある程度メンテナンスしても回復しきれない部分は、設備更新工事を行います。年月が経つと、より高効率な機械が出てきますので、高効率化の提案を行うことによって、当初より能力がある最適な機械を導入します。
そのようなところをしっかりと対応することで、お客さまのサステナビリティに寄与し、社会全体の価値向上を図りたいと考えています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 3/14
MISSIONです。「お客様に安心感を与える最適な環境を維持するために、技術力と人的資源を結集させ、高品質サービスを提供する」という言葉の一つひとつを達成するために必要なことをスライドに記載しています。MISSIONに対し、これらの取り組みで達成していこうということです。
「お客様」については、「当社のPURPOSEに共感・協創していただけるパートナー」と記載しています。設備をしっかりと維持し、社会全体の価値向上に共感していただけるパートナーを見つけて一緒に仕事をしていきます。
「安心感」については、「お客様の事業活動のサステナビリティ向上」を掲げています。
「最適な環境」については、「お客様の施設の安定稼働と省エネの両立による施設運営最適化」を挙げています。安定稼働していなければ、例えば製造業では製造ラインに支障が出ることで、思うように出荷できないことにもつながりますので、安定稼働しているかしっかり見ようということです。省エネも両立しながら施設運営の最適化を図っていこうと考えています。
「維持」については、「施設運用サイクルに適した永続的トータルサポート」を挙げています。
「技術力」については、「お客様の潜在ニーズを掘り起こし、課題解決を実現できるスキル」とあります。優秀な技術者が、現場の問題を解決できるような、スキルを持ち合わせられるようにしたいと思っています。
「人的資源」としては、「当社のPURPOSE・MISSION・VISION・VALUEを理解・納得し、遂行できる人財」を育てていく必要があると考えています。
「結集」としては「スキルとマインドを掛け合わせたシナジーの創出」、「高品質サービス」では「全てのステークホルダーに対するサステナブルな価値提供の実施」を掲げ、使命を果たしていこうと考えています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 4/14
VISIONについてです。スライドに「お客様」「従業員」「株主」「パートナー企業」「地域コミュニティ」「環境や将来の世代」という6つの項目を記載しています。
もちろん、お客様の事業活動のサステナビリティ向上は必要です。また、従業員が当社のことを愛し、着実に仕事をしてくれることも大事だと思っています。
当然ながら、株主のみなさまには安定した株主還元などを行っていきたいと思っています。パートナー企業については、協力会社や資材調達する商社も含めて、取引関係を維持していきたいと考えています。
地域コミュニティと環境や将来の世代については、サステナビリティや環境に配慮した経営をきちんと行っていきたいと思っています。このあたりの達成状況を計測する指標として、VALUEを設定します。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 5/14
当社は、KPIとして8つの指標を用いたいと考えています。
1つ目に、「最大の財産である従業員のパフォーマンスを最大化させるエンゲージメントの向上」です。社員エンゲージメントスコア70ポイント以上の維持を目指していきます。
2つ目に、「高品質サービスの中核となる従業員の技術力を向上させるためのコア技術力指数」を今回は用いたいと考えています。
従来の技術力指数を運用する中で、より本業の成長と相関が高いと考えられる公的資格がはっきりとわかりました。より現場で必要な資格の取得者数が増えてくると、売上が伸びるという相関性が見えましたので、まずはコア技術力指数を上げていきたいと思います。
3つ目に、「特殊な環境を有する施設を中心とした、事業活動のサステナビリティ向上を目指すお客様への傾注」です。こちらは以前も傾注していましたが、オフィスビルの利益が意外にも良かったため、そのあたりを多少考慮します。売上高比率の目安は、特殊な環境を有する施設が7割、その他が3割で、柔軟に調整していくことも大事かと考えています。
4つ目に、「お客様の事業活動のサステナビリティを向上させるための省エネ提案の強化」です。商品提案はこれまでも行ってきましたが、今後はお客さまの事業活動における温室効果ガス排出量削減として年間1万トンCO2以上を目指していきます。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 6/14
5つ目に、「事業活動のサステナビリティを向上させるための海外事業の拡大と強化」です。先ほど海外は苦戦しているとお話ししました。海外売上高は35億円、海外営業利益は1億7,500万円、海外営業利益率は5パーセントを目標としていきます。
6つ目に、「サステナブルな全てのステークホルダーの幸せ向上を達成するための利益水準の維持」です。営業利益率は、「2019中期5ヵ年経営計画」の目標値5.5パーセントに対し、6パーセント程度の維持を目標にしたいと考えています。
7つ目に、「企業価値創造に必要となる資本コストを上回る資本生産性の維持」です。前中期経営計画でも設定していましたが、株主資本コストの8パーセントを着実に上回るROE10パーセント以上の維持を目指していきます。
8つ目に、「サステナブルな株主還元の実施」を掲げています。新中期経営計画では1株当たりの年間配当金の下限を設定しています。まずは1株当たり年間配当金の下限を40円とし、配当性向50パーセント、純資産配当率5パーセントを目安とした持続的な利益還元を目指します。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 7/14
人的資本についてです。人的資本の価値向上は、付加価値創造につながる重要な部分だと考えています。以前からプロジェクトチームを作ってしっかりと取り組んできましたが、喫緊の課題として、深化が求められる部分に集中的に対応していきたいです。
スライド右側に記載の技術力や教育についても、従来どおり着実に注力していきます。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 8/14
具体的な取り組みとして、現在、技術研修センターを建設中です。竣工予定は11月ですが、なんとか年内での竣工を目指しています。2026年3月期より本格稼働させる予定で、来年度の新入社員からはこちらで研修がスタートできると思います。
クリーンルームやお客さまの施設に近い設備を整備する予定です。今までは新入社員が仕事ができるようになるまで5年ほどかかっていましたが、これにより3年程度に短縮することが可能と考えています。生産性の向上に大きく寄与すると考えていますので、この取り組みに注力していきます。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 9/14
企業価値の拡大として、「良質なサービスを適正な価格で提供する」ことを掲げています。「良質なサービス」には、当然ながら高度な技術力が不可欠です。
また、「何事にも誠実であることを基本姿勢とし、よりよい結果を目指す努力を惜しまず、あらゆるステークホルダーと納得いくまで対話を行い、最後まで成し遂げる信念をもって実現させる」と記載しています。当社の社是は、「誠実」「努力」「対話」「根性」です。
ここでは「成し遂げる信念」と優しめに記載していますが、本来は「根性」が入ります。昨今は若者に対して「根性」と言うと、少し委縮されることがあるため「成し遂げる信念」としています。やり遂げる力を持ち、当社の社是をしっかりと達成していきます。
スライドの図に記載のとおり、価値創造体質、ガバナンス、人的資本、資本構成などが企業価値の向上につながると考えています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 10/14
企業価値の向上のための具体的な中身についてご説明します。
スライド左側の「価値創造体質」に「ケイパビリティ(自社の強み)の深化」と記載しています。当社はPM・FM・RACという3つの中核事業があります。
それぞれにはたくさんの競合企業がありますが、この3つの事業をすべて行っている会社は意外と少なく、3つの事業に対応できるトータルサポートにより、優位性が明確にあるということです。
今後の成長戦略は、「本業へのシナジーが期待できる事業の探索」です。こちらも以前から挙げていますが、太陽光発電事業やバリデーションサポート、当社が世界初の特許を取った新たな空間除染手法は、今後着実に新規開拓を行い伸びていく分野だと考えています。
「人的資本」については、従業員の数を増やして教育を行い、さらにエンゲージメントを着実に上げる取り組みもしっかり行っていきたいと思います。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 11/14
「ガバナンス」については、2022年度より経営会議を設置し、上席執行役員制度を導入しました。会社経営の円滑な遂行を図ることを目的としています。これにより、監督機能やガバナンス機能がさらに強化されてきたと考えていますので、着実にモニタリングを行いながら企業価値拡大に注力していきます。
「資本構成」については、「フリーキャッシュフロー拡大を前提とした適正な資本構成」を掲げています。スライド中段に「フリーキャッシュフローの拡大を前提としつつ、状況に応じて適正な資本構成の維持を目指す」と示しています。
当社の投資有価証券の純資産に対する割合は20パーセントを越えています。議決権行使により社長に否決票が投じられる状況になっています。上席執行役員や役職者と一緒に検証して、どのように方針を見直すべきかを考えていきますが、まずは成長投資を行っていきたいと思っています。
短期的に利益を出してそれを急速に還元するのではなく、本業の売上高・利益の伸長を目指し、成長投資への最適な使い道を考えながら資本構成を見直していきます。
スライド右下にも示しているとおり、「利益を追求した結果としてROEが改善される」と考え、着実に本業を伸ばしていきます。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 12/14
「本業の優位性を高めることに最大限注力する」という方針は変わりません。また、スライド下部に「結果として、資本生産性は改善し、株主還元も強化できる」と記載しています。短期的な利益を追求するのではなく、しっかりと中長期な視点を持ちながら経営を行っていきます。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 13/14
「目的と手段を間違えることなく企業価値拡大に資する成長戦略(競争優位性の強化)に注力し、中長期的な視点の経営を行う」ことに加えて、「法令遵守を前提としつつ、フェアにやるという企業風土の醸成を一層推進する」ことが一番大事だと思っています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画 14/14
「2024中期5ヵ年経営計画」の数字のまとめです。2029年3月期に、売上高は740億円、営業利益は43億円、期間平均営業利益率は6パーセント、経常利益は45億円、親会社株主に帰属する当期純利益は32億円を目指します。EPSは93円、期間平均ROEは10パーセント程度を維持したい考えです。
特殊な環境を有する施設売上高比率は70パーセント、海外単体での営業利益は1億7,500万円を目標にしていきます。さらに、社員エンゲージメントスコアは70ポイント以上を維持し、コア技術力指数(CAGR)は3パーセント以上を掲げています。
配当性向は50パーセント程度、1株当たりの年間配当金はEPSの値を踏まえて46円程度と考えています。純資産配当率は5パーセント程度です。
このような新しいKPIでスタートしていきます。
Ⅲ.株主還元 1/2
株主還元についてご説明します。スライドのグラフは、過去の株主還元における配当を示しています。17期連続で累進的な配当を実施しました。
ただし、2022年3月期のオレンジ色の部分では、政策保有株の売却による特別利益を特別配当として還元しています。翌年は減配と言われましたが、元の水準に戻ったという表現が適切かと思います。
Ⅲ.株主還元 2/2
「安定的で持続可能な利益還元」として、今までお伝えした計画について、株主還元の部分を抜粋しています。
1株当たり年間配当金の下限を40円に設定し、連結配当性向を50パーセント程度に維持することを目標としています。さらに、ROEの水準は10パーセント程度、純資産配当率の水準は5パーセント程度を目安に維持していきます。これらを安定的に実行していく考えです。
やるべきことをやる。
冒頭で「いき、続けるために。」というキャッチコピーがありました。「いき、続けるために。」「やるべきことをやる。」というところをしっかりと従業員に浸透させ、新中期経営計画を達成したいと考えています。
以上で、2024年3月期の決算説明および新中期経営計画の説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:2024年3月期の売上高が伸びた要因について
司会者:「2024年3月期の売上高が伸びた要因を教えてください」というご質問です。
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