2024年3月期第3四半期決算説明
久世良太氏:みなさま、こんにちは。株式会社サンクゼール代表取締役社長の久世です。日頃より、当社の企業活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
本日は、2024年3月期第3四半期決算の概要、および、先日当社で行った価格改定に関する取り組みと効果についてご説明します。ぜひ最後までご視聴いただけますと幸いです。
ハイライト
第3四半期決算のハイライトについてご説明します。売上高は前年同期比8.5パーセント増の143億400万円となりましたが、営業利益は前年同期比7.7パーセント減の10億8,700万円となりました。
直営やFCの売上高は、いずれも前年同期を上回りました。新規出店数は10店舗となり、計画どおりに進捗しています。
既存店客数は、第3四半期累計期間で前年同期比3.4パーセント減少しました。特に、第3四半期(2023年10月から12月)では前年同期比7.3パーセント減と、秋口以降、減少幅が大きくなりました。
前年同期に多くのテレビ番組に取り上げていただいたことの反動に加え、食品価格の高騰が続く中で、お客さまの節約志向が高まり、商品の購入に関してより慎重になってきていることが要因と考えています。
ECに関しても、直近の2023年10月から12月の売上高は前年同期を下回る結果となりました。会員であるお客さまより「商品価格が高い」というお声をいただくことが増えている現状を踏まえ、2023年12月7日に「久世福商店」「サンクゼール」の定番商品48品目の商品価格を値下げ改定しました。
その後はお客さまの購買意欲が回復し、12月単月の既存店売上高は前年同月比で4.1パーセント増加しました。
ホールセールやグローバルに関しては、堅調な売上となりました。特にグローバルに関しては、第3四半期に入って米国のコストコ社に対する売上が回復したことに加え、2023年6月に買収したPortlandia Foodsブランドの売上計上により、売上が大きく伸びています。
連結業績概要
連結業績概要です。先ほどお伝えしたように、2023年秋口以降、既存店の売上が低調に推移し、売上・利益を押し下げました。12月の価格改定により、12月単月の利益は前年同期に近い水準まで回復しましたが、第3四半期会計期間全体では営業利益が33.1パーセント減少する結果となりました。
販売チャネル別売上高
販売チャネル別の売上高については、冒頭にお伝えしたとおりですので、詳細なご説明は省略します。
既存店売上高・客数・客単価推移
こちらは、直営とFCの売上に含まれる既存店の客数・客単価・売上高の前年同月比です。冒頭にお伝えしたように、前年同期に大型のテレビ番組に取り上げていただいたことの反動減や、食品価格高騰によるお客さまの節約志向の高まりが影響し、2023年秋口以降、既存店客数が減少しました。
一方、12月の価格改定以降、お客さまの購買意欲が回復し、12月の既存店客数は前年同月比で1.6パーセントの増加となりました。
店舗会員数・ロイヤル顧客比率
こちらは、当社の公式アプリに登録しているお客さまのうち、店舗をご利用いただいているお客さまの会員数と、その中で当社の定める分類において「ロイヤル顧客」に分類しているお客さまの割合を示したグラフです。
12月に価格改定を行ってから「ロイヤル顧客」の割合も伸びており、店舗会員全体に占める「ロイヤル顧客」の割合は、12月末時点で14.7パーセントとなっています。
業態別店舗数
店舗の出退店状況はスライドの表のとおりです。新規出店数は、「久世福商店」が9店舗、新業態の「MeKEL」が1店舗の合計10店舗となりました。なお、退店実績はありません。
グローバルの状況:国別売上高
こちらは、グローバルチャネルの売上高を販売先の国別に示したグラフです。引き続き、米国と台湾がグローバルチャネルの主要な市場になっています。
米国は、第3四半期に入って米国のコストコ社に対する売上が回復したことに加え、2023年6月に買収したPortlandia Foodsブランドの売上が計上されたことで、第3四半期会計期間の売上高が前年同期比で1億9,200万円増加するなど、大きく改善しました。
台湾は、第3四半期のみを比較すると売上が減少しています。前期は第3四半期に台湾のコストコ社の販促イベントに参加し、売上が増加しましたが、当期は第4四半期での開催を見込んでいるため、売上計上時期がずれていることによるものです。
グローバル全体では、今後も米国・台湾を中心に高い成長率が維持されると見込んでいます。
販管費の状況
販管費の状況です。人件費に関しては、ベースアップや新規採用により、前年同期比で1億400万円増加しました。「その他」に含まれる販管費は、主にスライドに記載の費用が増加しています。
販管費全体では、前年同期比で7.3パーセントの増加となりました。売上高販管費率は30.4パーセントと、前期に比べて0.1ポイント低下しています。
連結営業利益 前年同期比
営業利益の増減を要因別に示しています。第3四半期における営業利益の増減要因は、主に売上高の増加とチャネル別売上構成の変化によるものです。その他の要因については、スライドに記載のとおりです。
連結業績予想に対する進捗率
第3四半期経過時点の通期業績予想に対する進捗率です。連結業績予想に対する進捗率は、第3四半期の売上高・利益が低調となったことから低い進捗率となっています。
販売チャネル別売上高予想に対する進捗率は、ECやグローバルの進捗率が低くなっています。グローバルに関しては、上半期は低調に推移しましたが、第3四半期だけを切り取ると、通期予想に対して25.6パーセントという割合になっており、通期予想並みの水準に回復しています。
ROIC・ROE
直近12ヶ月間のROICとROEはスライドに記載のとおりです。引き続き、高いROICとROEを保持することができていますが、第3四半期の利益水準が低くなったことで、前期や第2四半期までと比較すると指標がやや悪化しています。
以上で、2024年3月期第3四半期決算に関するご説明を終わります。
お客様のお声に基づく商品開発
価格改定とさらなる価値向上への取り組みをご説明します。当社は「食のSPA」として、企画開発から製造・販売までを一気通貫で手がける事業を行っています。私たちのもの作りの起点は、お客さまのお声にあります。
日本各地の優れた逸品を扱う仕入先のみなさまとともに、お客さまにお喜びいただけるよう、もの作りに励んできました。その中で、2023年12月に「久世福商店」は10周年を迎えました。この10年間、成長に伸び悩む時期を幾度も経験しましたが、そのたびにお客さまのお声に立ち返り、お客さまにご満足いただける商品やサービスを作り上げてきました。
この積み重ねが、現在の成長につながっていることを実感しています。私たちはファンコミュニティを通じてお客さまのお声を直接取得し、販売施策の決定に活かしています。
お客様のお声に基づく商品開発
昨年の秋口以降、「価格が高い」というお声が増えると同時に、客数が伸び悩むようになりました。スライドに実際のお声を載せています。
「もう少しお値打ちですと常に常備できるのですが、どうしても余裕のある時にのみ購入しています」「価格と品質は見合っているのでしょうが、毎日食べて買い置きするには高いと思います」。ご飯のお供については、「おかずが少ない時でも主食を美味しく食べられ、満足できる」といったお声もありました。
インフレ、食品価格の高騰、それに伴う実質賃金の低下など、お客さまの生活が厳しくなる中で、生活防衛の意識が高まっていることを実感しました。お客さまの傾向として、日常の生活では節約し、特別な日には思い切った支出を行うという傾向も見られました。
そこで、日常の食卓でご好評いただいている定番商品の価格を下げるとともに、特別な日の需要に応える商品やサービスの充実化に取り組もうと決断しました。
お客様のお声に応えるための値下げを実施
これまでに行った価格改定の詳細です。12月と1月には、「久世福商店」「サンクゼール」の2ブランドの定番商品を値下げしました。「久世福商店」ではご飯のお供やドレッシング、「サンクゼール」ではパスタソースやテーブルソースなど、日常の食卓にご好評いただいている商品が対象です。
当社は2022年9月以降、原材料価格の高騰を受け、商品価格の値上げを実施してきましたが、今回の価格改定によって値上げ前と同水準まで価格を戻しました。
当社の商品は、自社製造商品と仕入商品の大きく2つがありますが、自社製造商品を中心に値下げを実施しています。一部、仕入商品が含まれていますが、仕入先さまからの仕入原価は変わっていません。
第3の業態「MeKEL」については、2023年9月に第1号店をオープンし、お客さまのお声を聞きながら適切な商品価格帯の検証を続けています。
お客さまより、和の惣菜やお弁当については「もう少し価格が安ければ、時短でおいしくて便利」とのお声をいただいています。そのようなお声にお応えするために、今回、和の惣菜やお弁当など、日常でお使いいただける商品約160品目を値下げしました。
価格改定第1弾の振り返り
ここからは、12月に行った価格改定第1弾による効果についてご説明します。こちらが12月に価格改定を行った主な商品です。各ブランドの定番商品を、お客さま目線でお求めやすい価格に見直しを行いました。
価格改定第1弾の振り返り
ギフトの価格も大幅に下がり、お客さまにご好評いただいています。売れ行きも好調です。
価格改定第1弾の振り返り お客様のお声(年代別)
お客さまのお声から、価格改定の効果を振り返りたいと思います。「毎日食べるものなので、少しでも安くなればなるほど嬉しいです」「普段愛用しているオニオンマスタードマヨネーズソースも値下げされて嬉しいです」といったお声から、私たちの判断が間違っていなかったことを実感しています。
価格改定後、対象商品の販売数量は大きく伸びており、12月の売上・客数・利益は、いずれも大幅に改善しました。また、30代以下のお客さまからは「比較的高価で、ご褒美として買うにも躊躇があったが、値下げプライスを見るとこの機会に試してみたいと思った」といったお声もいただいています。
お客さまのデータを見ますと、私たちが「ロイヤル顧客」に分類する購入金額の大きなお客さまだけでなく、3回目購入のお客さま、2回目購入のお客さまなど、幅広い層のお客さまのご購入が増えてきています。
お客様のお声に基づく商品開発
「食のSPA」の強化によるさらなる価値向上についてご説明します。まず、自社製造商品については、製造プロセスの効率化に取り組んでいます。
商品の原材料や製造プロセスを細かく分解し、おいしさや味わいを損なうことなく、原材料の見直しや購買プロセスの見直しにより、原価の低減に取り組んでいます。定番商品を中心に、製造プロセスの見直しによる原価低減分をお客さまに還元しています。
あわせて、お客さまにより付加価値の高い商品やサービスを提供するために、ブランド力の強化に取り組んでいます。接客力の向上、季節に応じた新商品の販売など、いつ足を運んでも楽しいお店を作れるように、付加価値の向上に努めています。
また、当社の重要な成長ドライバーであるお客さまのお声をより近くでうかがい、商品やサービスの改善につなげることができるよう、ファンであるお客さまで構成されたファンコミュニティの強化に取り組みます。
お客様のお声に基づく商品開発
これらの取り組みを、スライドに記載のスケジュールで段階的に進めています。今後もお客さまによりご満足いただけるよう、さらなる価値の向上に取り組んでいきます。来期からは、現在設置を進めている商品開発ラボの本格稼働を予定しています。
商品開発ラボの新設
こちらが商品開発ラボの全体写真です。2024年2月中の完成を予定しています。このような充実した開発設備を自社で備えることで、スピード感を持って、品質の高い商品開発を実現することが可能になります。
売上総利益率の改善
価格改定による売上総利益率の悪化に対する改善施策についてご説明します。製造原価の低減については、2024年2月以降、原価低減の効果が徐々に発現していく見通しです。
現時点で、年間約5,000万円程度の低減を見込んでいます。今後、対象品目数を拡大し、さらなる製造原価の低減に努めていきます。
FC卸価格の適正化についてです。値下げによるFC店舗の影響を緩和するため、値下げ対象商品は、卸販売価格を通常の水準よりも低く設定しています。FC店舗の客数及び売上の改善状況を踏まえて、対象商品の卸価格の適正化についても検討していきます。
最後になりますが、私たちが掲げる「食のSPA」は、仕入先さま、お客さま、そして私たちが適正な利益を享受し合うことで、持続可能な成長を実現できると考えています。これにより、株主のみなさまにも持続的な還元ができると考えていますので、今後も当社の事業に関わるすべてのステークホルダーのみなさまにご満足いただけるよう努めていきます。
発表は以上となります。ご清聴いただき、ありがとうございました。