連結業績の概要(累計)

栗原将氏(以下、栗原):株式会社交換できるくん、代表取締役社長の栗原です。本日は貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

本日は直近の業績について、第3四半期決算資料に基づいてご説明します。

まずは第3四半期累計の連結業績です。売上高は前年同期比17.9パーセント増、売上総利益はもう少し伸びて21.8パーセント増、営業利益は26.2パーセント減で着地しています。これは、第2四半期時点の決算資料から改善しています。

売上高と売上総利益率の推移(四半期)

栗原:売上高と売上総利益率の四半期ごとの推移です。第3四半期は当社の繁忙期であり、売上が伸びました。それに伴い、売上総利益率も上がってきています。

営業利益の推移(四半期)

栗原:営業利益の四半期ごとの推移です。第3四半期は1億400万円となっています。第2四半期に続き、テレビCM等のブランディング広告を行いましたが、ある程度の利益を確保できました。

販管費の推移(四半期)

栗原:販売管理費は、テレビCMを中心としたブランディングの広告宣伝費が膨らんでいます。それ以外については、おおむね事業の成長に合わせた範囲の増加でまかなわれています。

工事件数の推移(四半期)

栗原:工事件数は前年同期比11パーセント増となりました。売上の前期比率に比べて上昇率が若干低いのは、繁忙期には高単価な商材の販売が伸びるためです。

当社としては、施工件数はあまり重視していません。売上に合わせて件数が伸びていると捉えていただければと思います。

バランスシート

栗原:バランスシートについても特に大きなトピックスはありません。前回と同じ内容で、引き続きシステムへ投資しています。

トピックス

栗原:株主優待制度を新たに開始しました。以前からお声をいただいており、もう少し早く実施したい気持ちもありましたが、ようやく準備が整ったため開始しています。

200株以上保有していただいている株主さまを対象に、「交換できるくん」のWebサイトで利用可能な1万円分のポイント引換券を提供します。

トピックス

栗原:過去に何度か、当社の事業内容や成長イメージをお伝えしていますが、少し時間が経ったため、あらためて全体の進捗状況をご説明します。

まず、ブランド力の向上については、現在テレビCMをはじめとした展開を加速させている状況です。データを取っていますが、認知度が着実に上がってきているという手応えを感じています。

当社の強みである検索エンジンの上位表示は、堅調な状況が続いています。非常に安定して高順位を維持しており、さまざまな新しいキーワードも取り込んで、オーガニックアクセスを増やすという好循環が続いている状況です。

テクノロジーへの投資については、システム会社をグループに迎え入れるなど、自社の開発環境を強化する動きを加速しています。しかし、これはどちらかというとニ義的な話です。

本質的には、当社が現在行っているテクノロジーの領域は、自社だけではなく、さまざまなニーズに対して水平展開する際に、自社の中にシステム開発の機能があるかどうかが大きな違いとなります。そのため、システム会社にグループへ入っていただき、一緒に成長していくための土台を作っています。

また、法人事業については、非常に順調に進んでいます。大手不動産の管理会社各社さまなどととも、対話しながら順調に取り組みを進めているところです。

例えば、分譲マンションにおける共同キャンペーンや一棟丸ごとの住宅設備交換の案件も、徐々に増えてきています。現在のネットモデルだけではなく、さまざまな方法を取り入れながら、徐々にDX事業を進めているところです。

4Qの見通し

栗原:第4四半期の見通しです。今期の第1四半期から第2四半期までは、巣ごもり需要の反動で受注が伸び悩み、大変でした。前年の商品供給不足の問題が解消され、会計上は売上が上がっていたものの、受注が若干伸びないことに苦労していました。

その後、第3四半期にようやく回復し、順調に推移しています。また、第4四半期も足元は順調に推移しています。

当社の特徴として、四半期単位では多少の浮き沈みがあります。しかし、年単位で見ると、扱っている商材の特性もあり、1年を通じた成長率はある程度計画どおりになります。引き続き、第4四半期に向けて取り組んでいるところです。

質疑応答:コロナ禍で生じた商品の供給不足の解消状況について

坂本慎太郎氏(以下、坂本):コロナ禍の業績についてのご説明がありましたが、コロナ禍の影響で商品の供給不足があったことについてうかがわせてください。

例えば、「給湯器が足りない」というお話がニュースになっていました。ハーネスなどのさまざまな部品が不足して、オーダーが溜まっていたと聞いていますが、これらの問題はほぼ全部解決できたのでしょうか? それともまだ残っている品物があるのでしょうか?

栗原:現在、その問題は完全に解消しました。

坂本:現在、受注が溜まっている分は、特異なものではなく、通常のオーガニックな成長なのでしょうか?

栗原:おっしゃるとおりです。

質疑応答:テレビCMの効果や手応えについて

坂本:昨年は御社のテレビCMを観る機会が多くありました。このテレビCMによる効果や手応えがあれば教えてください。

栗原:今回は手応えを感じています。昨年は、大きく2回のキャンペーンを行いました。知名度はわかりやすく数字に現れており、ある程度は売上にも貢献しています。また、いろいろなところで「CMを見た」と言う声を聞くことも増えました。

BtoCの売上はもちろん、BtoB領域の取引拡大という利益を感じているため、非常に手応えを感じています。

質疑応答:多能工の採用とテレビCMの効果の関連性について

坂本:多能工がいることが、御社の特徴の1つです。例えば、「トイレ交換のみ」といったように1つの仕事に限ってではなく、壁紙や水道工事なども行える職人さんを抱えています。そのような職人さんが御社を受けに来られる際に、他の職人さんなどからお話を聞いて「あのテレビCMの会社だね」と認知されるような効果はあるのでしょうか?

栗原:はい。採用活動についても、CMの効果は大きいと感じています。

坂本:「上場しているし、給料も適切に支払われるだろう」というイメージですね。

栗原:おっしゃるとおりです。

坂本:業界としては、意外とルーズなところも少なくないと思います。そのような意味では、テレビCMを流して良かったと思います。テレビCMを流すと、お客さまも反応するため、新たな受注が入るのでしょうか?

栗原: もちろん、テレビCMや広告により、若干は即座に売上に転換する効果もありますが、あくまで長期的なブランディングのための投資と捉えています。

質疑応答:顧客がリフォームを決めるタイミングとテレビCMとの関連性について

坂本:お客さまがリフォームを決めるのは、どのようなタイミングなのでしょうか? 例えば、長らく調子が悪いものを使っていたところで、テレビCMを見て申し込むパターン、本当に不具合が起きた時に依頼するパターン、「ボーナスを受け取った」などの予算絡みで依頼するパターンがあるかと思います。需要はだいたいこの3つぐらいでしょうか?

栗原:今おっしゃったケースが多いと思います。

坂本:つまり、テレビCMを流したからといって受注が一気に来るわけではなく、刷り込みのようなブランディングということですね。

栗原:はい。CMの内容にもよると思いますが、当社が行っているテレビCMは、どちらかというと刷り込みの要素が大きいです。以前、テレビの番組として取り上げられたことがあり、その際は即座に受注が爆発しました。

坂本:それはすばらしいことですね。

栗原:そのようなものとCMは異なるものだと思っています。

坂本:将来的には、テレビCMがきっかけで受注につながる可能性もありますね。ネットで完結できるという特集が組まれるかもしれません。

質疑応答:テレビCMの放送地域について

坂本:テレビCMは地域を限定して行っているのでしょうか? 前回、御社では人口が少ない地域はカバーしていないというお話をうかがいました。そのあたりを踏まえ、テレビCMを流している地域について教えてください。

栗原:現在は、関東を中心にテレビCMを流しています。それ以外の都市でもテスト放映など、さまざまな動きをとっていますが、当社のビジネスモデルは都市型向けのため、一番効率がよいと判断し、現在は関東中心に行っています。

質疑応答:今後のテレビCMやキャンペーンの投下予定について

坂本:今後のテレビCMやキャンペーンの投下予定を教えてください。昨年は2つの大きなキャンペーンがあったとうかがいました。今年のイメージを教えていただければと思います。

栗原:今年については来期の計画になるため、現時点では確定していません。しかし、先ほどもお伝えしたように、ある程度テレビCMの手応えがありました。

テレビCMに関しては、クリエイティブを何度も作り変え、約3年間テストを行ってきました。その結果、クリエイティブによって、反応が大きく異なることもわかってきました。ようやく手応えを感じているところです。そのため、来期もある程度テレビCMを行っていきたいと考えています。

質疑応答:広告宣伝におけるテレビCMとSNS等の使い分けについて

坂本:御社は見積りや申し込みがインターネットのみで完結できるビジネスモデルです。つまり、テレビCMよりもSNSなどの活用が効果的ではないかと感じます。現状、広告宣伝の施策として、テレビCMを重視している理由を教えてください。

栗原:ターゲット広告とブランディング広告を分けて考えています。ターゲット広告は、純粋に売上を取りに行くものです。要するに、潜在層ではなく顕在層に対してアプローチしていく広告のため、SNSや検索エンジンが中心となります。

一方、ブランディング広告は、マスに向けて打つという観点では、テレビやラジオのような従来型のメディアは権威にもなります。そのような部分もあって、ターゲット広告とブランディング広告については使い分けをしています。

例えば「YouTube」で多額の広告費をかけてブランディング広告を出稿しても、直接的な売上には直結しません。テレビCMを見たことがある会社を覚えていて、数ヶ月後、半年後に何かの調子が実際に悪くなった際に思い出してもらえるかが大切です。

広告には一長一短がありますが、そのような意味で、ゼロイチでどちらか一方に頼るのではなく、ミックスさせている状況です。

質疑応答:今後の職人確保の見込みについて

坂本:先ほど職人さんのお話がありました。業界を問わず、職人や人材の不足が非常に顕著で、よくニュースにもなっています。御社では仕事の件数が増えているにもかかわらず、施工体制を安定されており、なおかつ新たな職人さんも増えていると聞きました。

これは将来にもつながる先行きの良い話ですが、もう1つ先の状況として、今確保されている職人さん以外についても教えてください。

栗原:足元でも採用活動を行っていますが、現状、人員体制にはまったく問題ありません。直近では、150名の職人さんが在籍しております。

今はいろいろな分野で採用が厳しい状況となっており、当社もご多分に漏れず、楽ではありません。しかし一方で、職人さんの採用については好調です。差別化が効いていることもあり、そのような人材は口コミが広がると動いてもらえるため、しばらく問題はないと考えています。

また、より大きな視点で見ると当然ながら、なにかしらのアクションが並行して必要となっていきます。そのため、実はそのような職人さんを育てる学校や塾のようなところを作る準備を、現在行っているところです。今期、来期に向けて、そのようなことが動き出せば、またお知らせしていきたいと思っています。

坂本:確かに、1つのことしかできない方が、学校に行って複数のことができるようになり、さらに御社の仕事ができるようになれば、給料もかなり上がりますよね。

質疑応答:株主優待制度について

坂本:株主優待を創設されたというお話がありました。こちらは、引き換え後3年以内であれば使えるということでした。現状は、1年に1回、3月末に200株以上持っている方が1万円分相当の引換券を受け取れますが、利用期限内であれば、3回分まとめて3万円分として使うことも可能でしょうか?

栗原:問題ございません。

坂本:すぐにリフォームする場所がなければ、「貯めて使おう」という人が意外といるのではないかと思って聞いてみました。引換期間は1年で終了するパターンが多いため、このぐらいの猶予があれば、確かにお客さまは使いやすいと思います。

質疑応答:法人向けの事業内容について

坂本:法人事業のイメージについてです。先に「法人に対してはどのような仕事を行っているのか」を教えていただくほうが、みなさまも理解しやすいと思います。

個人向けは、例えば給湯器、エアコンなどの交換したい部分を、インターネットを通じて申し込んでもらい、写真などを撮って見積りを出した後、職人さんに来てもらって完結するというビジネスモデルです。これに対し、法人向けはどのようになっているのでしょうか?

栗原:法人事業については、いろいろな法人のお客さまがいます。例えば、BtoCで販売されている法人と提携するなど、一緒に取り組んでいるものもあります。ただ、今一番大きいのはやはり不動産の管理会社さまです。

例えば、マンションにお住まいの方であればわかるかと思いますが、分譲マンションの管理会社からは、いろいろな住宅設備の案内が届きます。当社ではそのような共同キャンペーンを行っています。

これは「従来型のビジネスモデルではないか」というお話になりますが、このようなかたちであっても当社では実際に営業担当が現場に行き、見積りを行うというプロセスなしで完結しています。意外とお客さまからも「それで対応できるなんて」といった反響があり、まずはそこからスタートしている状況です。

一方、賃貸については、管理会社、オーナーとのお話になるため、非常にスムーズに話が進みます。

坂本:「直して」と言われたら、そこに住まれている方に写真を撮ってもらって、御社につなぐイメージでしょうか?

栗原:流れにつきましては、写真を撮ってもらうご案内から当社が対応しますので、従来よりスピーディーかつ確実に、品質よく施工することが可能になっています。それを全国規模で施工力を確保して取り組む会社というのは、それほど多くありません。そのため、当社としては非常に進めやすい環境で行わせていただいていると感じています。

坂本:分譲の場合を除くと、管理組合に紹介してもらうパターンが多いのでしょうか?

栗原:管理組合からの紹介の場合も中にはあります。

坂本:私は分譲物件に住んでいますが、やはり住宅は壊れていきます。「管理組合であれば不当な料金を請求しないだろう」と思って、「これはどこに頼んだらいいの?」と聞くと、管理組合が進めてくれます。御社が取り組んでいる部分は、そのあたりとは少し違うのでしょうか?

栗原:実際は管理組合よりも管理会社のほうが多くなっています。

坂本:管理会社というのは、例えば管理費を支払う代わりに、管理してくれているところですね。

栗原:管理組合と管理会社では、大体のところでは歩調を合わされていると思います。

坂本:確かに、管理組合にお話をすると「管理会社に聞きます」というパターンもあります。

栗原:そうですね。逆に、その関係が今いろいろと取りざたされていて、管理組合が直接動いている建物もあります。そのようなケースでは、直接依頼をいただくことがけっこうあります。

坂本:管理会社に近い管理組合もあるのですね。

質疑応答:一棟丸ごとの住宅設備交換案件の売上への寄与について

坂本:一棟丸ごとの住宅設備交換案件はかなり大きな売上になるかと思います。こちらの事例があれば教えてください。

栗原:例えば、賃貸を前提としたマンションであれば、全世帯で一定の商品で順次取り替えていきます。ただ、「一棟丸ごと」と言うと、けっこう大きな売上に見えますが、それが30世帯だとすると、ものすごく大きくなるわけではありません。当社では、月間3,000件、4,000件を施工しているため、その中の1つとして行っています。

坂本:全体の3パーセントぐらいでしょうか。

栗原:はい。一棟のマンションで売上が急激に上がるわけではなく、いろいろと積み上がっていくことで大きくなっていくイメージになります。

坂本:それならば良いですね。

質疑応答:法人事業の競合環境について

坂本:法人向けのビジネスについては、同じような事業を行う会社が出てくれば、価格の叩き合いになるのではないでしょうか? 個人向けでは、かなり突出したシステムがすでに組まれているため、競合がいても問題ないと思いますが、法人向けでは今後、価格競争となるのかどうかを教えてください。

栗原:法人向けだから価格競争が厳しいということは、まったくありません。マーケティングコストが非常におさえられるため、むしろ相性は良いと思います。

これは、当社の提供価格がもともと安いことが理由です。他社とはそもそもの構造が違うため、中間コストがかからないかたちで提供することができます。

坂本:価格の安さに加えて、スピードも速いと感じます。

栗原:おっしゃるとおりです。ですので、特別競争が激しくなることはありません。

坂本:個人向けで培ったものを、そのまま法人向けに持ち込んだとしても、まったく問題はないということですね。

栗原:個人向けのほうが、はるかに厳しいです。

坂本:絶対に1つが選ばれるからですね。「見積りを、他からもらうよ」ということもあると思います。

栗原:そうですね。シビアに見られるのは、個人向けのほうが多いです。

質疑応答:M&Aにて取得したアイピーエス社について

坂本:御社がM&Aを実施されたアイピーエス社について、どのような会社なのかを教えてください。

栗原:アイピーエス社は業務系のシステムを中心に、40年ぐらいの歴史がある会社です。エンジニアが大半ですが、100人弱の方がいます。

坂本:すごい会社ですね。

栗原:取引先はいわゆる大手企業で、そのようなところとプロパーで継続的に取引を行ってきたこともあって、開発能力も安定しています。また、AIソリューションなど、いろいろな開発に取り組まれています。

当社もITの部分をサービスの強みとしているため、そのようなところで、よりシナジーを出せるのではないかという狙いがあります。

坂本:アイピーエス社はシステム会社だというご説明がありましたが、このM&Aを通してDX強化を進めていくにあたり、おそらく御社には今後取り組みたいシステムがあるかと思います。

単に「自社よりも利益率が高いからM&Aを実行しました。M&Aの効果で増益しました」というだけではおもしろくありません。お話ができる範囲で、描いている将来像についても教えていただければと思います。

栗原:当社の場合は、施工の部分のみを切り取ると、施工会社としての強みがいろいろとありますが、実際はかなりシステムに力を入れています。

坂本:御社にはすでに、システム会社という顔もありますよね。

栗原:おっしゃるとおりです。当社はシステムに強みを持つ会社でもあり、BtoCのサービスとして、実際にシステムを提供している実績もあります。特に、住宅設備という特異な業界でそれを行っていることは、当社の強みの1つです。

今は新築を大量に建てる時代ではないため、既存の賃貸や分譲の住宅に対し、各社がいろいろとアプローチして動いています。当社のビジネスモデルを少し変えたモデルで取り組んでいきたいと、ほとんどのみなさまが思っています。

ですので、当社はシステム開発会社と、あるいはもう1つの企業との3社で新しい開発を行っていくことによって、実務や実業に非常に合う製品を今後も展開できる、あるいはそのようなことが可能になってくると考えており、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

坂本:御社の未来のイメージが、非常によく理解できました。

質疑応答:受注状況について

坂本:受注の状況についての質問です。この第3四半期は住設メーカーの業績があまり芳しくないとうかがいました。私はほぼ全部の会社を見てそのように思っています。全体感として下期が好調ということですが、御社ではそのあたりをどのように分析されているのかを教えてください。

栗原:実際、1年前までの需要の問題により、各社では在庫として計上したところが、上期はかなり影響しています。

坂本:コロナ禍の反動でしょうか?

栗原:おっしゃるとおり、コロナ禍の反動がありました。今年は、第2四半期前半に、人々が巣ごもりから外へと向かいました。これについては、例えばネット検索のボリュームや、いろいろな市場の動向を見ていると明らかです。そのような意味では、どうしても全体では一時的に下がります。

ただ、ご説明のとおり、住宅設備は新築ではなく、特に買い替えの方の需要が多いものです。機器が経年劣化していくため、一定の需要は変わりません。そのため、年間では、当社の業績を回復してくれたメーカーでも、これから回復してくるのではないかと思っています。

質疑応答:新規事業への取り組みについて

坂本:御社が提供しているサービスは「交換できる」という社名のとおりですが、そこに付加価値をつけることで、成長が期待される周辺領域の事業が意外とあるのではないかと思います。システム会社を中に入れたこともあって、新規事業についての取り組みを今後加速できると思いますが、そのあたりについて教えてください。

栗原:当社のお客さまには関東の方が多く、それも比較的年収が高い方が多くなっています。例えば、1,000万円以上の年収がある方が、大体6割います。

坂本:それはかなり多いですね。

栗原:住宅設備を交換する方に多い年代は50代半ばです。

坂本:30代、40代で家を作って、15年ぐらいで住宅設備を交換するサイクルになるのですね。

栗原:はい。ちょうど子育ても一段落し、生活環境も変わるタイミングの方も多いはずです。

そのようなことも考えると、例えば不動産買取再販などの分野は相性は良さそうです。あるいは、もう少し近い領域で、メンテナンス、家事に関すること、買い取りを行うビジネスなど、無数のことが可能です。まずはデータの整理をしっかりと行わなくてはなりません。そのあたりについては投資段階で、今準備しているところです。

坂本:確かにいろいろなことができそうですね。すぐには浮かびませんが、今ある事業となんらかのシナジーがあるもの、あるいは御社のイメージに合うもののほうがよいのではないかと、本当にいろいろと考えてしまいます。

質疑応答:リフォーム事業・住宅設備交換事業への他社の参入について

坂本:さまざまな住まいの関連企業が、リフォームや住宅設備交換の事業に参入しているというお話は以前からありましたが、この動きをどのように見られていますか?

御社はパイオニアとして、長らく取り組み、写真で見積りが出せるところまで突き詰めてきています。おそらく他社が「これは良いサービスだな」と思っているからこそ、参入してくるのだと思います。このあたりの現状と、御社の今後のスタンスを聞かせてください。

栗原:以前からですが、特にこの3年くらいは当社のサイトやビジネスを真似た会社も増えました。

坂本:「御社ではないのか」と思う会社もたまにあります。

栗原:そうですね。これには2つのパターンがあるようです。1つは本業がしっかりとしている会社が、水平展開の一環で自社で行うモデルです。もう1つは、当社のビジネスモデルを見て「同じことをしたい」と考える会社です。

後者は当然、当社がスケールしていくことによって一定数増えてくると思います。一方、前者の優良な顧客基盤を持っている大手企業が、事業のさらなる掘り起こしで取り組むパターンでは、自前で行うことの難しさをもともと良くご存じであったり、または一度、自前でチャレンジしたけどやはり上手くいかずということで、当社に声をかけていただくことが比較的多くあります。

坂本:OEMのようなものもあるのでしょうか?

栗原:そのようなものもあります。例えば、先ほどお話ししたシステムを作っていく場合が挙げられます。ただし、それなりのシステムになるため、ある程度の時間とコストがかかります。

例えば、スライド12ページのグラフをご覧いただくとわかるように、受注状況は前年同期比で伸びています。なお、昨年の2月は供給不足で、広告を打っていませんでした。

坂本:何もしなくても、どんどんと依頼が来ていたからですね。

栗原:おっしゃるとおりです。テレビCM以外のインターネット上のターゲット広告は出していませんでしたが、当社はオーガニックの売上が約4億円あります。これはリピーターのほか、SEOで上位表示していることによって、広告なしでも安定した受注があるためです。

しかし、他の会社が新しく始める時にはこのベースがありません。小手先のSEO対策や、広告宣伝のみで受注できる売上だけでは、当然ながら採算がまったく合いません。

坂本:しばらく赤字を出し続けなければなりませんね。

栗原:そのとおりです。それを踏まえると、約4億円のオーガニックの売上は、今までの血と汗と涙といえます。膨大なユニークページによるSEOの積み上げから、受注対応、施行、そしてアフターサービスまで一貫して取り組み続けてきたことによって、お客さまについていただけた部分です。

そのような意味で「自社で行われてもうまくいきませんよ」と回答させていただくと、「それならば、一緒になにかやりませんか?」と声をかけていただくことが非常に多いです。それを、当社としてはチャンスだと思っています。

坂本:例えばシステムを提供して、「職人さんもシェアしましょう」ということも、将来的には行われるのでしょうか?

栗原: はい。そのような提携はしていきたいと考えています。

坂本:地域を含めて、「まだ取り組んでいないところで行いたい」という提案は、本当に歓迎しているということですね。

栗原:そのような良い会社があれば、一緒に進めていきたいと思います。

質疑応答:今後の配当の見通しについて

坂本:「配当について、今後の見通しを教えてください」というご質問です。配当政策はありますか?

栗原:現在、ブランディング投資としてテレビCMを打っている段階で、利益もそれによって変わってくるところがあります。そのため、今の段階では投資に向けていくことが投資家の方々からの期待としても大きいかと思っています。

ですので、配当については現状は無配の方針です。もちろん将来的な観点では配当も考えていくため、常に議論しています。

坂本:私も、グロース企業は絶対に成長投資に使ったほうがよいと思っています。

質疑応答:キンライサー社について

坂本:「給湯器のWeb販売を行っているキンライサー社は、同じビジネスモデルの競合に当たりますか? 給湯器に限ると脅威になるのでしょうか?」というご質問です。

栗原:最近、いろいろな方々からよく言われますね。テレビCMを大量に出している会社さんですね。

坂本:やはり給湯器が壊れやすいこともあるのではないでしょうか? 私もかなり苦しみました。

栗原:そうですね。そういったいくつかの給湯器事業者がテレビCMを大量に流して反響の獲得を目指すビジネスモデルは、緊急の水道修理業者のようなモデルに近いと考えています。給湯器の場合、壊れるとおっしゃるように緊急での対応が必要となりますので。

一方、当社はECですので、そういった緊急のニーズより、じっくりとご検討をいただくお客さまが多いため、実際にはそれほど競合しているわけではありません。また、全体の市場規模が非常に大きく、今後さらに規模が大きくなっていく観点では、特にマイナスでもないと考えています。

質疑応答:11月以降の受注好調の要因について

坂本:「11月以降、受注がかなり伸びているというお話がありました。その要因について教えてください。これは業界全体の動きなのか、それとも御社固有のものなのでしょうか?」というご質問です。おそらく御社固有のお話だと思いますが、いかがでしょうか?

栗原:スライドのグラフをご覧ください。毎年、第3四半期以降は繁忙期になります。コロナ禍の影響で売上高の推移が従来から少しずれていますが、基本的には第3四半期が一番伸びる四半期です。その中で、巣ごもりから外に向かった需要が、8月のお盆を過ぎてから落ち着き、平常に戻ったことが大きく影響しています。

そして、ようやく本来のかたちに戻ったのが第3四半期です。逆に、第2四半期は少し厳しい状況でした。

質疑応答:海外への事業展開について

坂本:「現段階で海外への事業展開を考えていますか?」というご質問です。

栗原:同じモデルで海外に展開することについては、現在封印しています。

今はやはり国内の市場が非常に大きく、コロナ禍を経て、いろいろな社会の仕組みが変わろうとしている中で、当社のビジネスがちょうど時代にかみ合ってきたところです。そのため、まずは国内の市場を徹底して獲得していくことに集中して進めていきます。その発展の上で、海外への展開を考えていきたいと思っています。

坂本:日本にもシステムを使って商売している方や、SaaSでいろいろな業務システムを作っている方がたくさんいますが、意外と海外には出せない日本固有のサービスである会社が多いです。

しかし、御社のビジネスは、職人さんの育成は必要かもしれませんが、海外でも通用すると思います。同じようなサービスがすでに展開されている国はあるのでしょうか?

栗原:ありません。海外に行くと、やはり「やってほしい」と言われます。

坂本:やはり職人さんがネックとなるのでしょうか? それともシステム面でしょうか?

栗原:習慣や法律、国民性の問題などがあります。日本で日本人が行うビジネスでも非常に大変です。まずは日本での事業をしっかりと確立し、余裕を持って海外へ展開していかなければ、手が回らないと思っています。

坂本:海外に展開するとなると、やはり先進国でしょうか? 数年後にはおそらく状況が変わっている可能性があるため、まだ国までは決まっていないのでしょうか?

栗原:はい。まだ決めていません。

質疑応答:テレビCMによる受注への影響について

坂本:「『テレビCMは受注にはすぐつながらない』というお話がありました。足元の伸びはいかがでしょうか?」というご質問については、先ほどご回答をいただきました。テレビCMの効果はゼロではないと思っていますが、何割くらいの影響があるのでしょうか?

栗原:戦略的なことをお伝えすることはできませんが、テレビCM等を投下したコストに比べると、微々たるものだとご理解ください。

当社は一度使っていただくと、リピートされることが多いです。例えば、給湯器を購入された方に気に入っていただくと、トイレや蛇口、ガスコンロなどをリピートしていただけます。

オーガニックで毎年115パーセントほどの伸びがずっと続いているというベースがあります。ですので、受注が増えていることは当社にとっては通常の状態です。

坂本:お話を聞くと、リピーターの存在はやはり大きいですね。

栗原:はい。全体の注文の中で20パーセント以上は以前にご利用いただいたお客さまです。

坂本:そうなのですね。かなり繰り返し利用されていますね。

栗原:広告をかけると新規のお客さまが入るため、当然ですがこの比率は下がっていきます。ただし、リピーターからの注文数は右肩上がりで伸び続けており、これが当社の土台を支えています。もちろん新規のお客さまも取り込みながら、両方を伸ばしていきます。

坂本:「年収1,000万円以上のお客さまが6割」というお話でしたが、やはりネットリテラシーが高い方が利用されるため、時短にもつながっているのでしょうか?

栗原:そのように思います。ただ、そのような方々はシビアで、情報が正確であることや誠実であることを非常に重視されます。

坂本:確かにそのとおりですね。

栗原:当社が緊張感のある中でずっと取り組んできた結果として、そのような方々にも支持されているのではないかと思います。

質疑応答:売上高100億円を達成するための施策について

坂本:「そろそろ来期についても気になるところです。1つの目標として、売上高100億円という数字がありますが、この数字を達成する上では、どのような対応が必要になってくると考えていますか?」というご質問です。

栗原:無意識ではありませんが、確かに100億円という数字に近くなってきました。

坂本:すでにかなり近づいていますね。

栗原:先ほどお伝えしたようにオーガニックで成長しているため、この数字は無理なく突破できると考えています。

坂本:いずれは突破できますよね。

栗原:いつ突破するかは、ある程度コントロールできます。わかりやすく言うと、検索結果に表示させるターゲット広告をたくさん打てば、売上は伸びます。

逆に、ブランディング広告を増やすと瞬間的には変わりませんが、後で売上がさらに大きくなる可能性を得ます。100億円が目標ではないため、その先を見据えた時に、どのタイミングで100億円を通過点にするかによります。

もちろん早く突破したいと思っていますが、闇雲に進めることはありません。

坂本:職人さんのバランスもあると思います。

栗原:品質を担保しつつ進めていきますが、来期か再来期に突破していくと思います。

坂本:買収した会社の売上効果は、だいたいどのくらいを見込んでいますか?

栗原:売上は10億円弱です。

坂本:それによって1割カバーできれば、また100億円に近づきますね。

栗原:そうなります。

質疑応答:M&Aを実施する可能性について

坂本:今後、M&Aを行う可能性はありますか?

栗原:M&Aは非常に有効な手段だと思っています。ただし、水平展開のためのシナジーを明確にすることなどが前提となります。利益が上がるからM&Aすれば良いという時代でもないと思うため、慎重に考えながらも積極的に進めていきたいと思います。

質疑応答:生成AIのビジネスでの活用について

坂本:「今後『ChatGPT』などの生成AIに置き換わるだろうという考えも出ていますが、生成AIはどのように捉えていますか?」というご質問です。すでに使っているかどうかを含めて教えてください。

栗原:どのくらいのレベルで使っているかをまずお伝えすると、現状、当社のビジネスにおいては直接置き換わるところまでは進んでいません。

ただし、アイデアベースではすでにいくつかの活用方法が思いつくため、注視しています。

栗原氏からのご挨拶

栗原:本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。当社のビジネスは基本的にお客さまへ商品を提供し、気に入っていただくところから始まります。住宅設備機器は「1回購入するともうリピートされないのではないか」と思われがちですが、実はたくさんの機器があるため、数珠つなぎでずっと使っていただけるビジネスです。その底堅さとDXによる成長性をよりミックスさせ、事業を発展させていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。