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愛須康之氏(以下愛須):みなさま、こんにちは。セグエグループ代表の愛須康之です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

スライドに記載の順序でお話しします。どうぞよろしくお願いします。

事業概要:ビジネス領域

セグエグループの事業概要です。私どもは、創業当初よりネットワーク上のITインフラの技術、また創業5年目ぐらいからセキュリティの技術にも注力してきています。ともに高度な技術力を持ち、多様なエンジニアを抱えています。こちらの技術を基盤として、ITソリューション事業を展開している事業グループです。

お客さまとしては、まず、通信事業者、データセンター、サービスプロバイダなど、ITのサービスを提供する側が挙げられます。そこには、ネットワーク帯域(通信速度)などさまざまな市場ニーズがあり、最近では生成AI用の高度なサービスを展開しているプロバイダやデータセンターがあります。

次に、官公庁、地方自治体、教育機関や医療機関のような公共性の高い事業会社です。さらに、民間のエンタープライズとして、製造業、金融機関等、多くのお客さまをサポートしています。

事業概要:ビジネス領域

スライドはビジネス領域についての図です。中央がインターネットで、インターネットの出入口対策からオフィスでのいろいろなセキュリティ対策や、ITインフラ機能の提供、それらを統合的に管理するソリューションの提供などを行っています。

最近では、従業員宅でのリモートワークにおけるセキュリティ対策用に「RevoWorks」シリーズが多く使われています。また、工場ではOTシステム(産業用のシステム)のセキュリティ対策用製品「Darktrace」を提供しています。

お客さまには「安定したシステムを安全に使いたい」というニーズがあります。当社はそのようなニーズに技術で応えていく会社です。

事業環境:セキュリティ市場環境

セキュリティ市場の環境については、今まではコンピュータがインターネットにつながっていました。それが、10年ほど前からいろいろな電子デバイスがネットワークにつながるようになってきたのです。

通信形態も、今や人が介在する通信は昔の10分の1くらいに減っており、物と物とがやり取りしています。最近ではAI/ロボティクスも活用されており、この中にはコネクテッドカーも使われています。

このような変化の中で、リスクとして、情報を取られるだけではなく、コネクテッドカーなどを乗っ取られると人命にも関わる事態が生じ得ます。「DarkWeb」は、盗んだ情報を売買できるアンダーグラウンドのサイトです。そのようなデータを窃取するツールも近年売買されています。

アンダーグラウンドのWebで盗んだ情報がお金に換わるようなビジネスが非常に多くなってきており、さらに地政学的リスクもあり、国家間でサイバー攻撃し合うようなことも水面下で起きているといわれています。

事業環境:セキュリティ(製品およびサービス)市場について

このような環境下で、セキュリティ市場は、グローバルでは年平均成長率が10パーセントを超えるような成長性があるといわれています。

日本ではやや成長率が低く、7.1パーセントです。統計を出している会社や情報にもよりますが、日本は1兆円ぐらいの市場規模になっていく、あるいは今なっているともいわれています。

事業環境:日本政府におけるサイバーセキュリティ関連予算

事業環境です。日本政府はサイバーセキュリティの対策をより強化する方針です。2024年度の予算額において、防衛省は「サイバー領域における能力強化」として、もっとも機密情報を漏らしてはいけない省庁として非常に大きな予算がついています。

その他、経済産業省、警察庁、総務省など、各中央省庁が民間に先駆けてガイドラインを作っており、セキュリティガイドラインに沿った対策を進めています。あわせて各中央省庁の取引先や関連機関にも、そのようなガイドラインに沿ったセキュリティ対策が求められています。

私どもも、直接ではないのですが、多額のサイバーセキュリティ対策予算が付いている中央省庁とも取引しており、今後、大きな取引増加が期待できると考えています。

セグエグループの主力ビジネス

私どもの主力ビジネスについてです。当社はセキュリティ技術とITインフラ技術を持ってITソリューションを展開しており、3つのビジネス形態があります。

1点目は、海外製品の代理店(VAD:Value Added Distributor)ビジネスです。ITのインフラ製品やセキュリティのソフトウェアについて、グローバルで高いシェアのあるメーカーと取引し、国内のお客さまに提供しています。

これは単なる卸売商社としてではありません。私どもは、日本語によるヘルプデスクを設け、物理的な対応が求められる場合に現地に赴き、交換修理に対応できる体制が日本全国にあります。

セキュリティのソフトウェアなどは、お客さまの環境に最適なかたちで調整、カスタマイズして初めて機能が発揮できるものであるため、プロフェッショナルなサービスが求められます。これに対し、当社は事前の環境調査から徹底し、最適にセッティングできる技術力をもって、製品をお届けしています。

2点目は、自社開発ビジネスです。「RevoWorks」シリーズというソフトウェアを、300件を超える自治体に納めています。最近では、医療関係向けにも100件を超える勢いで納入実績が増えてきており、金融機関にも納入を進めています。売上の規模は小さいですが、自社開発であるため、高い利益率を計上しています。

3点目はシステムインテグレーション(SI)ビジネスです。当社の技術力でお客さまのITに関する課題を解決しようと、ITインフラとセキュリティを中心に、サーバーやクラウド基盤等のお客さまの環境を構築するソリューションを提供しています。

3つのコアビジネス

これらの3つのビジネスの柱を、当社およびグループ会社を連結した約600人のうち400人近くの技術者たちが、プロフェッショナルサービスとSEサービス、マネージドサービスの分野で支えてくれています。

ビジネス相乗効果

ビジネスシナジーについてです。

まず、私どもしか提供できないオリジナルの製品が作れる自社開発ビジネスがあります。次にVADビジネスでは、世界で非常に高いシェアを誇る製品、多額の開発費をかけた最先端のセキュリティソフトウェアなどを扱っています。そしてシステムインテグレーションビジネスでは、お客さまの要望に応じて課題解決型のIT製品を提案するかたちでソリューションを提供しています。

VADビジネスで提供している製品のうち、日本で私どもにしか提供できないものが2製品あります。また当社で取り扱っているメーカーのほとんどに、日本の代理店が4社から6社ほどあります。そのような中で私どもが選ばれている理由としては、自社開発でのソリューションとのパッケージ化により付加価値が生まれていることがあります。加えて、製品の提供だけでなく、ソフトウェアを含めた環境の構築といったプロフェッショナルサービスや、プリセールスの支援もできるという他社とは違った技術者のアシストサービスが付加価値となっています。

また、システムインテグレーションビジネスにおいては、今までの体制では「自社開発の製品を運用してほしい」「システムを構築してほしい」「コンサルしてほしい」というお客さまからのセキュリティ製品やITインフラに関する要望に応えられていませんでしたが、今では3つのビジネスのシナジーでそのようなニーズに応えられるようになってきています。取引しているパートナーおよびエンドユーザーと、別ビジネスとの間でも取引ができてくるのです。

セグエグループのお客様/SIer

私どもの主要なお客さまについてです。エンドユーザーは非常に少なく、ほとんどがパートナー経由のビジネスとなっています。メーカーおよびSIerでは、10年から15年で富士通、日本電気、日立製作所などの大手企業と取引口座を開設しています。

システムインテグレータではNTTグループのNTTデータ、NECネッツエスアイ、ネットワンシステムズ、日商エレクトロニクスなど、ITインフラ系、あるいはシステム開発系のSIに大変お世話になっています。

Mobile事業者ではスライドに記載の3事業者です。その他、特殊なサービスを提供しているサービスプロバイダーやディストリビューターがあります。ディストリビューターに関しては、私どもが取り扱っている製品で、ダイワボウ情報システムやSBC&Sが持っていない製品について融通しあって取引することもあります。

エンドユーザーとしては、官公庁、地方自治体、教育機関のような大きな企業・団体があります。

セグエグループの強み

私どものグループの強みです。1番目は、セキュリティ技術・ITインフラ技術に加え、オープンソースの開発などに特化した技術を持っていることです。

2番目は、ストック収益基盤を築くことができるビジネスモデルです。例えば、1年目はハードウェア販売と初年度の保守やライセンスの料金が発生します。2年目に同じ数だけハードウェアソフトを販売すると、1年目のものに加えて2年目の保守・ライセンスがプラスになります。ハードウェアはフロー収益ですが、ライセンスやサポートサービスといったストック収益を積み上げていくことで、売上も多くなるというビジネスモデルです。

3番目は、グローバルメーカーとのアライアンスがあることです。グローバルメーカーとは、ほとんどがニューヨーク証券取引所、ナスダック、またはロンドン証券取引所に上場している企業です。そのようなグローバルで高いシェアのあるメーカーとリレーションシップを持っています。

セグエグループの成長ドライバー

これからの成長ドライバーについてです。自社開発では、「RevoWorks」「WisePoint」等のオリジナル製品をより多く作っていきます。また、自社サービスとしてセキュリティのサービスを開発していき、その販売にも注力していきます。

VADビジネスでは、世界中で数多くのメーカーが新しいセキュリティ製品を次々に出していく中で、いかに日本のお客さまが求めているものを提供するかという目利きが重要です。ニーズに沿ったセキュリティ製品を積極的に取り扱い、ポートフォリオの拡充を図っていきます。

さらに、そのような製品だけではなく、その製品をリモート監視するMSS(マネージドセキュリティサービス)や高度なセキュリティ技術者が対応するSOC(セキュリティオペレーションセンター)などのサービスを付加して売っていきます。そのようにして、新しいメーカーや既存メーカーの新商材を積極的に取り扱っていきます。

そして、ホワイトハッカーの高度なセキュリティ技術を提供していきます。今までの技術部門とは別に、新たにホワイトハッカーの高度な技術者を代表に迎えたセグエセキュリティを準備しています。

また、ホワイトハッカーを目指す情報セキュリティ研究室やサイバーセキュリティ研究室など、セキュリティに関連する大学の研究室は100個弱あるといわれています。セグエセキュリティにはカリスマホワイトハッカーがいるため、そのような研究室出身の方の応募があったり、インターンシップに来ていただいたりして、採用も順調に進んでいます。

当社売上高の推移

当社売上高です。この11年間で15.6パーセントの成長を遂げています。

ハイライト:業績

2023年度決算のハイライトです。売上高が大きく伸び、売上総利益、営業利益も伸びました。経常利益は若干マイナスです。

2022年は半導体の供給不足によって一部で納期が後れたものの、2023年度から納期遅延が改善されて売上に変わっていき、非常に良い成績を収めることができました。

ハイライト:業績推移

業績推移のグラフです。2023年度の売上高は、157億円の期初予想を大きく上回って174億円となり、売上総利益も前期比で20パーセント近く伸びました。

ハイライト:受注の状況

スライド下部の棒グラフをご覧ください。2022年度の第3四半期、第4四半期で、オレンジ色のプロダクトの受注残高が大きく伸びています。納期遅延が発生したことで売上に変わることなく受注残になっており、2022年9月末時点では最大の85億円となりました。

そこから納期遅延が解消し、受注残は少なくなってきています。現在、受注残高は以前の10億円程度の水準に対して27億円ほどあるものの、この2年から3年で取扱高も大きく伸びているため、20億円ぐらいにまで落ちついてくると思います。

また、2023年度は通期で、プロダクトとサービスを合わせて179億円の受注があり、前期からプラス37億円と受注額も大きく伸ばせています。

ハイライト:ビジネス別数値

ビジネス別の数値です。自社開発は、2023年3月から6月頃に自治体への納入が落ち着いたため、数値が若干下がっています。ただし、2023年12月に「Revoworksクラウド」をリリースし、新たな展開として医療機関や民需へ注力して伸ばしていきたいと考えています。

また、セグエセキュリティによるセキュリティコンサルティングやセキュリティサービスは、2023年度は初年度のため大きくは寄与していません。2024年度からはこのようなサービスも自社開発ビジネスの数値に入ってきます。

ハイライト:ビジネストピック – VAD、システムインテグレーションビジネス

各ビジネスのトピックスです。VADビジネスは、DXの需要により、ITインフラ製品に大きな伸びがあります。セキュリティ製品の販売においても、新規取り扱いの製品の売上やお客さまからの要望があるものも含めて、本来は立ち上がりに時間がかかるところが2023年度は順調に推移しました。

また、システムインテグレーションビジネスでは、大きな案件を獲得し、売上の伸長に大きく寄与しています。

今後への投資として、東京と福岡にDX化支援強化を目的としたDXセンターを開設しました。2024年1月には大阪にも開設しています。

さらに、2023年1月から連結に加わったタイのISS Resolutionという、売上が日本円換算で5億円規模の会社については、黒字化を達成しています。

プロダクト・サービスの動向

プロダクトとサービスの動向です。プロダクトの販売が進むとサービスは増えるものの、今後はサービスだけでも増やしていこうと考えています。

プロダクトについては、納期遅延が発生した中、2022年から2023年1月、2023年10月から11月など為替が大きく動いたことで、輸入製品の粗利の確保が難しい場面があり、売上総利益率は若干減っています。ただし、為替が高値でも安定すれば売上を伸ばしやすくなり、一定の利益率を保持できれば売上も利益も増えていくと見込んでいます。

ハイライト:ビジネストピック – 自社開発ビジネス

自社開発ビジネスです。「RevoWorks」の導入実績は523件で、その中でも自治体が非常に多くなっています。ライセンス換算すると55万ライセンスが販売されています。

ハイライト:ビジネストピック – 自社開発ビジネス

最新の導入実績は、自治体が301件、医療機関が94件、金融機関が43件です。東京23区のうち4区でも採用いただいています。医療機関については1件あたりの規模は若干小さいものの、多く導入されています。

ハイライト:ビジネストピック – 自社開発ビジネス

また、2023年12月にゼロトラストセキュリティに対応した新製品「RevoWorksクラウド」をリリースしています。ゼロトラストは、これから注目される技術であり、企業のエンタープライズブラウザにも入っていきます。ゼロトラスト関連市場はこれから伸びていくとみられ、そのような中でトップシェアを目指していきたいと考えています。

ハイライト:ビジネストピック – 自社開発ビジネス

加えて、セグエセキュリティが、高度なセキュリティサービスを24時間365日、本格的に提供するために、東京都中央区にセキュリティオペレーションセンターを開設しています。

ハイライト:ビジネストピック – その他

その他のトピックスとしては、2024年度以降の成長のために、人員強化やオフィスの増床、物流センターや海外展開に投資を行っています。海外展開においては、基本合意を経てこれからグループ会社に入ってもらうタイ企業のFirst One Systemsについて、現在デューデリジェンス中です。

ハイライト:営業利益増減内訳

営業利益の内訳です。営業利益は1億円強で、前期比で少し増えています。人件費や、仲間に入ったISS Resolutionの販管費、新しく立ち上げたセグエセキュリティなどの販管費は大きく増えているものの、売上総利益増によって順調に伸びてきている状況です。

また、先ほどご説明したタイのFirst One Systemsのデューデリジェンス費用なども2023年度に含んでいます。

ハイライト:連結損益計算書

連結損益計算書はスライドのとおりです。

株式会社SBI証券と締結した「差金決済型自社株価先渡取引契約」による営業外損益(デリバティブ評価損益)の発生状況について

11月に大株主さまから株式を市場に放出してもらう中で、SBI証券と先渡取引契約を締結し、将来当社が買い取る約束をしてSBI証券に一時期持ってもらいます。手数料の7パーセントを加えた992円未満の時価評価では評価損が出るという契約です。

ハイライト:連結貸借対照表

貸借対照表はスライドのとおりです。前受金が将来売上につながるストックで、こちらが40億円に増加しています。

株主還元

私どもはプライム市場を選択しています。時価総額を上げ、流通比率も上げていくために、2023年度より株主還元の施策を大きく取っています。あまり反応はなかったものの、配当性向を50パーセント程度に配当方針を変更しています。

更なる株主還元策

それに加えて自己株式を3.2パーセントほど消却し、より流動性を高めるため、2024年3月1日付で1株を3株に株式分割すると発表しています。

また、個人投資家のみなさまにご注目いただくため、3月末と9月末の年2回、1,000株以上保有している株主さまへ1万5,000円のクオカードを贈呈するという大きな優待を実施することを決定しました。

中期目標達成に向けた取組み

中期経営計画です。技術者の増員・教育、既存ビジネスの成長、新規事業変革・改革と、それによる企業価値向上という4つのテーマに目標を定め、2022年から推進してきました。

中期目標達成に向けた取組み

今の中期経営計画は2024年度が最終年度です。プライム市場の上場維持基準の達成も意識しながら、2024年度は売上高170億円、営業利益12億円を目指していこうという内容でした。

中期経営計画

これに対し、2年目の2023年度で売上目標を超えました。利益に関しては、投資を先行的に行ったために2024年度の目標の12億円には及んでいませんが、実際はこれを達成できただろうと考えています。

結果として、2023年度の売上高は174億円、営業利益は10億8,000万円でした。これは、私どもが保守的に考えすぎたところや、納期遅延等の特殊要因があったというのもありますが、今後より大きく伸ばしていくための投資を行ったこともあり、2024年度からの新たな中期経営計画を発表する予定です。

2024年12月期 通期業績予想

2024年度の数字は、大きく伸びたその次になるため、売上高は前期比7.8パーセント成長と手堅く考えています。

業績推移と予想

2024年度の第1四半期の決算発表時期以降に、新中期経営計画を発表予定です。

このまま順調にいけば、1社が新たに仲間に入ってくれるため、そのような数値も含めて新中期経営計画を出していきたいと思っています。

私どもは主にパートナー向けに展開しているビジネス(BtoB)であったため、個人投資家や一般の消費者に直接アピールする機会がなく、人気がやや低迷していた銘柄でした。そのような中で、2016年12月の上場以来、7年連続で増収できています。

利益に関しては、2020年のコロナ禍におけるリモートセキュリティ需要で大きく伸びたため、その翌年は若干落ちたものの、ほぼ成長してきています。

プライム市場を選択して基準を意識してきて、先週ようやくその基準を超えることができました。これからはさらに事業成長に注力していきたいです。また、事業成長に注力できる環境になってきたとも思っています。

高度情報化社会ではデータ量が年々倍増していく、あるいは2乗で増えていくといわれています。当然、リスクも上がっていくため、その対策費用というセキュリティ市場は伸びていくと思っています。

ただし、セキュリティソフトは生産性を高めるものではなくリスクをヘッジするためのものです。日本の企業は、生産・製造をアップするための投資には前向きですが、利益を生まないセキュリティへの対策には後ろ向きです。そのため、世界標準に比べてなかなか導入が進みませんでした。

最近では、国が設けたセキュリティガイドラインに沿って対策をしないと取引できないといった方針を出している中央省庁もあり、日本国内でのセキュリティの需要はこれからますます伸びてくると考えています。

質疑応答:自社開発ビジネスと今後のセキュリティニーズについて

司会者:「自社開発ビジネスは自治体の更新需要のピークが過ぎたため成長が鈍化したとのことですが、今後もこの下落基調が続いていくのでしょうか? 今後の自治体およびその他の業種のセキュリティニーズについても教えてください」というご質問です。

愛須:自社開発製品「RevoWorks」は自治体の求める仕様に合致していたため、多くの自治体に納入できました。ただし、自治体の特需が落ち着いた2023年度は若干下がっています。これからは民間企業でも導入しやすいようにクラウド版にして、初期コストを抑え、少ないライセンス数でも導入してもらえる仕組みにして、民需にも力を入れていきます。

同時に、納入実績が多い医療機関や金融機関にも積極的に展開していきます。自治体がない分やや伸びにくくなりますが、連続して下がることはないと考えています。

「RevoWorksクラウド」は初期投資が不要なサブスクリプションになります。例えば5年間の利用なら、既存の「RevoWorks」ですと初年度にはライセンス販売と保守サービスで60万円が入り、2年目からは保守サービスで毎年10万円ずつ売上げ、5年で100万円の売上になっていましたが、「RevoWorksクラウド」は毎年20万円ずつ売上が入る、といったビジネスモデルになります。そのため、「RevoWorksクラウド」を立ち上げる最初の1年から2年は産みの苦しみがありますが、契約数が増えていけば、徐々にストックとして積み上がっていくビジネスモデルです。

質疑応答:新中期経営計画の利益面について

司会者:「今期の営業利益の予想値は、現中期経営計画の目標値を下回る数値です。売上高が伸びても利益率が低下していくように思える中で、新中期経営計画では利益面も更新されるのでしょうか? それとも、大きな先行投資を行う方針ですか?」というご質問です。

愛須:2023年度に、現中期経営計画の最終年度である2024年度の売上目標を超えたこともあり、現在、新中期経営計画を策定中です。こちらは5月の中旬に、新たにグループに加わる会社を合わせた連結で発表する予定です。

私どもは当然、毎年利益を伸ばしていくことを心がけています。ただし、新中期経営計画においては今までの成長をより大きくするような計画も検討しており、そのためには投資が必要です。2023年度に投資を行ったように、2024年度も引き続き投資をしていきます。

2026年度を最終年度とする新中期経営計画の数値を実現するために、できるものは先行してどんどん投資をしていくという経営判断の下、今年は利益を少し保守的に考えているのです。そのため、2024年度の利益については、2023年度よりは伸びるものの伸び率は低くなり、最終年度の営業利益目標である12億円に対してあえて落としています。

質疑応答:人員強化や投資の詳細について

司会者:「今期の営業利益の伸びの鈍化に関連して、人員強化や投資についてもう少し詳しく教えてください」というご質問です。

愛須:主に人材への投資です。技術者を中心に、新卒・中途で100名ぐらいの採用を計画しています。事業の成長に必要な技術者を中心に多くの採用を行うとともに、従来の人材とは違う分野に携わった経験や大きな組織の役員経験がある人など、幹部人材の採用も積極的に行っていきます。

本来、技術者の人件費は原価に相当しますが、入社してから経験者で1ヶ月から2ヶ月、未経験者で3ヶ月から半年という研修期間にかかる人件費については、販売管理費に相当します。

また、サービス提供に必要な開発にも力を入れています。中には資産として計上するソフトウェアもありますが、いろいろな小さなシステムや社内のシステムなどを開発していく中で、販売管理費が大きくなります。

このような人に対しての投資や新サービスをするための仕組み作り、一部の開発は、将来大きな売上を作るために必要な投資だと考えています。従来は、短期の利益も大切にしながらそのようなところを少しずつ行う考えでしたが、それでは大きな成長率もないと考え直し、大きく投資して成長を加速していく方針です。

質疑応答:新サービスの手応えについて

司会者:「新サービスとして取り組んでいた『RevoWorks』のクラウド版、セグエセキュリティについて、進捗や手応えを教えてください」というご質問です。

愛須:「RevoWorksクラウド」を昨年12月に発表しています。まだ明らかにできませんが、金融機関などいくつかの企業や政府機関などで試用してもらっている状況です。

POCというこの試用期間の評価が良ければ、購入したり導入したりしてもらえるお客さまに変わっていくこともあり、4月頃にはみなさまがご存知の企業や機関で導入するというリリースが出るのではないかと思っています。

「RevoWorksクラウド」を個々のお客さまに販売していくという方向に加え、いろいろなクラウドサービスを提供してきたサービサーのみなさまに認証やセキュリティの機能としてOEM的に利用してもらうという話も進めています。

こちらもまだ発表できる段階ではありませんが、現在、標準採用してもらえるサービサーや導入を検討中のエンドユーザーへの営業活動が順調に進んでいます。間もなくクロージングとなって売上に計上されてくるという段階です。

質疑応答:M&Aの方針について

司会者:「今後のM&Aの方針について、可能な範囲で教えてください」というご質問です。

愛須:既存の各事業を伸長し、プラスアルファで事業成長率を上げていくためには、M&Aや資本業務提携などが欠かせないと考えています。

現在デューデリジェンス中のタイのFirst One Systemsに加えて、技術者を多く抱える国内のソリューション会社あるいは開発会社、ITインフラのエンジニアリング会社などを積極的に仲間として増やしていきたいと思っています。今、いくつかの案件が走っている状況です。

質疑応答:株主優待導入の趣旨について

司会者:「今回の株主優待導入の趣旨について詳細を教えてください」というご質問です。

愛須:私どもは、個人投資家や個人のお客さまに対するコンシューマー向けのビジネスを展開していないことから、一般的には知名度がなく、ビジネスモデルがわかりにくいことがあります。これでは人気銘柄にはならないため、対策として配当性向を50パーセントにしましたが、株価にほとんど影響しませんでした。

東証プライム市場の重厚長大な企業が企業価値を上げることにどんどん注力してきており、その成果として日経平均株価がバブル期超えの3万9,000円台となり、4万円を目指すところまできている状況です。

そのような中で私どものような不人気株を買ってもらうためには、大きく目立つ優待の特典額と、株式消却や分割との組み合わせでの発表が必要でした。これにより、まずは個人投資家に人気のある銘柄になり、新NISAに伴って10単元ぐらいは所有してもらえる銘柄になることを目指します。

何よりもセグエグループがプライム市場を維持するために、本気で株主還元施策を行っているという点で認知を上げる上で、思い切った優待としました。既存の大株主さまには不公平感があるようで誠に申し訳ないです。時価総額100億円余りの私どもが1.5倍や2倍の株価を目指すとなると、このような大きな施策が必要だったとご理解ください。

愛須氏からのご挨拶

本日は、最後までご視聴いただきありがとうございました。私どもはセグエグループ設立以来、派手さはないものの安定した事業をコツコツと成長させてきています。

これからは成長率をより大きくするために、先行投資や海外への進出、幹部人材の登用や技術者の増員を行い、積極的な事業拡大に注力していきたいと思っています。同時に、IRや株主さまへの還元策もより拡充していきたい考えです。

今後ともセグエグループをどうぞよろしくお願いします。