2024年2月期 第3四半期決算説明資料

浜口稔氏:株式会社JRC代表取締役社長の浜口でございます。2024年2月期第3四半期の決算についてご説明いたします。

決算説明の進行ですが、まずは当社の事業をご理解いただきたく、JRCの会社概要及び事業内容からご説明させていただきます。

続きまして、第3四半期決算概要ならびに2024年2月期連結業績予想、当社の成長戦略についてご説明させていただきます。最後に、当社子会社によるM&Aの実施について、ご説明させていただきます。

I.会社概要 企業スローガン

当社は大阪市に本社を置き、主な事業は、コンベヤ部品事業とロボットSI事業となります。「発見を、発展へ」を企業スローガンに、2023年8月9日に東京証券取引所グロース市場に上場いたしました。

I.会社概要 企業理念

我々のビジョンは「世の中の『不』をなくす。」、すなわち、顧客の不都合・不便を解決することです。これに向け、我々は①自動化技術、②現場力、③モノづくりのノウハウに基づき、製・販・技一体となったソリューションをバリューとして提供いたします。

I.会社概要 沿革

こちらは、当社の創業から現在までの沿革です。1961年の創業以来、「お客さまの課題を解決し、社会に貢献する」という考え方を貫き、顧客課題の発見と、その顧客課題に対するソリューションの提供を通じて事業を拡大してまいりました。

近年においては、積極的なM&Aを実施し、コンベヤ部品事業ではJRC C&Mや大成をグループに加え、ロボットSI事業においても、2021年にパラレルリンクロボットSI事業を譲受し、業容を拡大してまいりました。

I.会社概要 売上高・営業利益・営業利益率(過去5年間の推移と2024/2期計画)

こちらは、過去5年間の売上高と営業利益の推移です。前期2023年2月期は、連結売上高89億6,100万円、営業利益率14パーセントとなりました。

また、直近3期間の営業利益CAGRは30パーセント台で推移しております。

今期2024年2月期の業績予想につきましては、売上高成長率6.5パーセント、営業利益率14.3パーセントを計画し、さらに来期2025年2月期には、売上高成長率を7パーセント超、営業利益率を15パーセント超と見込んでおり、ニッチトップとしての高い優位性のもと、確実な高成長・高収益を実現してまいります。

II.事業内容 企業理念に基づく2つの事業

ここからは、事業内容についてご説明いたします。

当社は、ニッチトップ・リカーリングなコンベヤ部品事業と、高成長なロボットSI事業という、2つの事業を展開しております。

II.事業内容 創業60余年の経験と実績を有するJRCの主力事業

はじめに、コンベヤ部品事業の概要についてご説明いたします。

コンベヤは「モノを運ぶ」という観点で、産業の効率化に必要不可欠な装置です。JRCは特に、屋外用ベルトコンベヤを主戦場とし、プーリやローラ、その架台となるスタンドといった製品などを製造・販売しております。

II.事業内容 屋外用コンベヤ部品という商材特有の「堅実性・安定性」

屋外用ベルトコンベヤ部品には、大きく3つの特長があります。

1つ目は、現場の安定稼働に必要不可欠であるという点です。屋外用ベルトコンベヤは、コンベヤの中でも、運搬距離が長く、運搬物が大量かつ高重量です。人では代替不可能な機能ゆえ、現場に必要不可欠であり、コンベヤ部品も同様です。コンベヤ部品の故障・不具合は、コンベヤ本体だけでなく前後の作業工程にまで影響を及ぼしてしまいます。

2つ目は、交換頻度が高いという点です。必要不可欠な部品であるものの、屋外用ベルトコンベヤは過酷な環境で使用されることが多いため、その部品は損耗が早く、早いものでは、数ヶ月でローラの交換が必要となります。

3つ目は、価格下落しにくいという点です。同じく必要不可欠な部品であるにもかかわらず、ライン全体での必要コストに対し、コンベヤ部品コストの割合は限定的であり、結果としてコストカットの対象にされにくいという特長を有します。

II.事業内容 安定感×リカーリング×ソリューション展開で「骨太の事業」を展開

JRCは強固な事業基盤をベースに、国内のコンベヤ関連製品のシェアは、圧倒的1位である52パーセントを有しており、2位以下の競合を大きく引き離しております。

このことから、JRCの成長がすなわち国内コンベヤ部品市場の成長であり、市場を大きく牽引しているものと自負しております。

加えて、多様なエンドユーザーを1万3,000社以上抱えていることから、各ユーザーが属する業界の景況感に左右されにくく、また、業界の特性として、全部品受注の86パーセントが更新・リプレイスで構成されており、プライスリーダーであることも含め、安定的なリカーリング収益を継続できるものと考えております。

屋外用ベルトコンベヤの現場では、多くの問題が複合的に関連し、生産性の低下や余剰コストの発生、さらには重大事故やベルトコンベヤの停止といったトラブルへとつながります。

JRCは、幅広い業界でコンベヤ改善をしてきた経験値から、複数の課題を同時に解決する提案や、作業負荷・労災リスクの低減にもつながる提案など、顧客に継続的な利益をもたらすソリューションを提供しております。

II.事業内容 「時代が直面する課題の解決」に向けた、JRCの新規事業

次に、ロボットSI事業の概要について、ご説明いたします。

国内製造業は現在、深刻な人材不足に見舞われております。少子高齢化トレンドの中で、労働力人口は減少し、今後も慢性的な人材不足が継続すると予想されております。

他方、テクノロジーの革新により、ロボット領域ではロボット自体の低価格化、協働ロボット等の省スペース化、ティーチングレス化に伴う多品種少量生産への対応が進み、ロボットの適用可能な範囲が拡大しております。

大量にロボットを使用する自動車業界・電機電子業界や、人では対応できずロボットを使用している塗装・溶接といった特定工程だけではなく、新たに、従来人が作業してきた、かつ多品種少量生産である領域でもロボットの使用が広がっており、ロボット化・自動化の新たな急成長市場として顕在化しております。

JRCは、コンベヤ部品事業の経営基盤、磨いてきたマーケティング能力、自社工場を自動化してきたノウハウを用いて、2018年より「ALFIS(アルフィス)」というブランドを立ち上げ、新規事業としてのロボットSI事業を展開しております。

II.事業内容 ロボットSierとして 〜ロボットに命を吹き込む仕事〜

ロボットは買ってきただけでは、その真価を発揮せず、周辺機器や前後工程との摺合せ、教示・据付等の対応が必要となります。

レイアウト設計やロボットの選定・手配、配置工事や配置後の各種調整などにより、実際に可動可能な状態にすること、これがロボットSIerの業務となります。

II.事業内容 コンベヤ部品事業を後ろ盾に市場内の独自ポジション確立へ

自動化ノウハウ、製造業としての経験値という素地を有し、かつ、当社も中小規模の製造業であるからこその顧客理解の深さから、ユーザー目線での商品提案や開発に強みがあります。

また、ロボットを大量使用するライン生産に強みを持つ大手SIerは、多品種少量生産の新市場においては、強みを発揮できず、案件規模も小さいことから取り組みが困難です。中小SIerにおいても、地場の特定顧客のカスタマイズ化対応に手一杯であり、新市場での標準化対応に人的リソースを割くことはできません。

これらより、ALFISが主戦場とする急成長市場への参入ハードルは高く、競争は限定的であると言えます。

さらに、急成長市場の主体である「食品・医薬品」領域への知見を豊富に有することから、今後、ロボット化・自動化が確実に進展する領域でのアドバンテージをすでに保有しております。

以上が、JRCの2つの事業内容となります。

III.第3四半期決算概要 決算説明のポイント

続きまして、2024年2月期第3四半期決算の概要についてご説明いたします。まずは、決算のポイントをご覧ください。

第3四半期の連結業績につきましては、売上高は第2四半期に記録した過去最高をさらに更新し、各利益においては進捗率が30パーセントを超えるとともに、過去最高を記録いたしました。

コンベヤ部品事業では、ソリューションのさらなる成長に加え、更新案件が堅調に推移するとともに、新設案件が復調いたしました。

ロボットSI事業では第2四半期から移行した大口案件の検収が完了し、進捗率・達成率が改善いたしました。これらより、公表しております連結業績予想に対し、概ね計画どおり進捗いたしました。

III.第3四半期決算概要 連結損益計算書

それでは、2024年2月期第3四半期累計期間の連結業績について、ご説明いたします。

コンベヤ部品事業において、ソリューションのさらなる成長と、機能品を中心に価格改定を進めたことに加え、引き続き、コストダウンと経営資源の効率化を進めた結果、売上高は69億6,500万円、営業利益は9億1,000万円、経常利益は9億1,300万円、当期純利益は5億7,300万円となりました。

III.第3四半期決算概要 第3四半期累計期間の連結業績状況

連結業績予想に対する進捗につきましては、第3四半期の売上高が27パーセント、各利益が30パーセントを超える水準となったことで、第3四半期累計期間において、それぞれ進展いたしました。

第3四半期累計期間における達成状況につきましては、売上高・各利益ともに概ね計画どおり進捗いたしました。

III.第3四半期決算概要 セグメント業績

次に、2024年2月期第3四半期累計期間のセグメント業績について、ご説明いたします。

コンベヤ部品事業は、更新・リプレイス案件及びコンベヤメンテナンスが前年同期比を上回るとともに、新設案件が前期第4四半期の受注減少の影響から復調したことから、売上高64億7,100万円、営業利益9億5,300万円となりました。

ロボットSI事業は、第2四半期から第3四半期に移行した大口案件の検収が完了する一方で、更新案件の納期が第4四半期に変更となったことから、売上高は5億500万円、営業損失は3,600万円となりました。

III.第3四半期決算概要 連結貸借対照表

次に、連結貸借対照表について、ご説明いたします。

総資産は、前期末比4,000万円減少し、99億2,100万円となりました。これは主に、現金及び預金2億600万円の減少、売掛金1億1,800万円の増加等によるものです。

負債は、前期末比5億7,700万円減少し、59億3,400万円となりました。これは主に、未払法人税等3億8,200万円の減少、借入金返済2億1,300万円の減少によるものです。

純資産は、前期末比5億3,700万円増加し、39億8,700万円となりました。これは主に、利益剰余金4億7,300万円の増加によるものです。以上の結果、自己資本比率は5.6ポイント上昇し、40.2パーセントとなりました。

IV.連結業績予想 受注状況

続きまして、2024年2月期連結業績予想についてご説明いたします。はじめに、各事業の受注状況についてご説明いたします。

コンベヤ部品事業につきましては、前期第4四半期の受注減少の反動により、期初から旺盛であった受注が一服するものの、依然として高水準で推移しております。

ロボットSI事業につきましては、積みあがった受注残高を確実に売上計上しつつ、旺盛な需要を背景に、安定的に受注を獲得しております。

IV.連結業績予想 2024年2月期の見通し

2024年2月期の連結業績予想につきましては、売上・利益ともに概ね計画どおり進捗していることと、安定的な受注状況などを踏まえ、2023年8月9日に公表しました予想のとおり、売上高95億4,100万円、営業利益13億6,400万円、経常利益13億5,400万円、当期純利益9億1,000万円で着地する見通しです。

セグメント業績につきましては、コンベヤ部品事業は売上高88億100万円、営業利益13億5,400万円、ロボットSI事業は売上高7億3,900万円、営業利益1,000万円でそれぞれ着地する見通しです。

IV.連結業績予想 株主還元

次に、株主還元について、ご説明いたします。

当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題のひとつとして認識し、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的かつ安定した配当を行うことを基本方針とし、連結配当性向30パーセント程度を目安に配当の実施を目指してまいります。

2024年2月期の配当につきましては、期末配当として1株当たり21円を予定しております。

V.成長戦略 今後の事業展開の全体像

続きまして、JRCの成長戦略について、ご説明いたします。

コンベヤ部品事業においては、「既存のコンベヤ部品事業の安定成長」「ソリューションビジネスの拡大」「海外展開によるさらなるアップサイド」によって、収益のさらなる成長を目指します。

ロボットSI事業では、「新たな高成長市場」へのさらなる市場獲得により、力強い利益成長を実現していきます。

加えて、積極的なM&Aの活用により、各事業領域の拡大とともに、新規事業を創出していきます。

以上により、10年後には、国内コンベヤ部品事業を4割、海外コンベヤ部品事業を2割、ロボットSI事業4割の事業構成とし、高収益・高成長を目指します。

V.成長戦略 ソリューションビジネスの拡大

コンベヤ部品事業におけるソリューションビジネスは、エンドユーザーの現場に直接足を運び、実際の現場の問題を共有・分析するソリューション営業を通じて、標準品から機能品への置換えを推進してきました。

今後は、JRCが培ってきたこれらのソリューションノウハウを、デジタル技術の活用により順次、3,000社からなる代理店に提供し、全国規模での強固な代理店網を構築することにより、まだ直接アプローチできていないエンドユーザーへ拡販していきます。

また、モノを通じたソリューションだけではなく、顧客の安定稼働や効率化を実現する工事や予知保全といったサービスの提供などを行うことで、モノ売りからコト売りに展開していき、顧客ロイヤルティの一層の向上を実現いたします。

V.成長戦略 海外展開(ASEAN地域/米国)による更なるアップサイド

次に、海外展開です。今後、JRCは、ASEAN・米国での事業展開を加速していきます。両地域は、長距離の屋外用コンベヤを用いる業界の規模が日本よりも遥かに大きい地域であり、この大きなマーケットで大きなシェアを獲得することが重要となります。

すでに大型受注の実績があるASEAN地域では、インドネシアでの現地生産化から、周辺国への輸出によるシェア拡大を目指します。

米国市場は、ASGCO社とのパートナーシップを足掛かりに、現地組立化によるコスト削減を図り、米国シェア獲得を目指します。

V.成長戦略 ロボットパッケージの横展開・拡販で更なる市場獲得へ

次に、ロボットSI事業についてです。国内製造業において、深刻な人材不足が発生しているなかで、新たな急成長市場は、産業用ロボット、人協働型ロボットともに市場が拡大していく見通しです。

なかでも、人協働型ロボットは新たな急成長市場の領域で、最も活用が期待されており、高いCAGRが想定されております。

JRCでは、設計段階からの標準化によりカスタマイズ要素を最小化し、技能の蓄積を図り、標準化されたロボットパッケージを横展開・拡販していくことで、コストと高品質の両立を可能とします。

今後もさまざまな標準パッケージを追加開発・横展開し、急成長市場のさらなる獲得を目指します。

V.成長戦略 既存事業の周辺領域への展開、製販体制の強化

次に、M&A戦略について、ご説明いたします。当社は、M&Aを持続的な成長を実現するための重要な戦略のひとつとして位置付けております。

今後のM&A展開としましては、コンベヤ部品事業では、周辺領域の拡大により、成長著しいメンテナンス事業、ソリューション活動の強化に加え、同業企業の買収による、さらなるシェア拡大を狙います。

ロボットSI事業では、中小規模のSIerとの資本提携による販売・製造体制の強化、新技術や尖った技術の獲得によるロボットパッケージの拡販・高付加価値化を推進いたします。

また、既存事業の周辺領域に留まらず、成長分野であるAI・DX領域の取り組み強化や、新領域への進出にも挑戦し、中長期的な企業価値の向上に努めます。

これらM&Aを通じて、事業継承問題などの時代が直面する課題を解決し、社会発展の基盤づくりに貢献いたします。

VI.子会社によるM&Aの実施について

最後に、当社の連結子会社であるJRC C&M株式会社において、東陽工業株式会社の全株式を取得し、子会社化いたしましたので、その内容についてご説明いたします。

M&Aの概要ですが、2023年12月28日開催の取締役会決議後、同日に株式譲渡契約を締結のうえ、株式譲渡を実行いたしました。取得価格につきましては、約6,600万円となりました。株式取得の相手先は、東陽工業株式会社の大株主3名です。

VI.子会社によるM&Aの実施について

JRC C&Mは1976年の創業以来、ごみ焼却施設、リサイクル施設などの環境プラント向けコンベヤの設計・製造・据付・メンテナンスを事業としており、北海道から九州まで全国200箇所以上の施設に1000基以上の製品を納入してまいりました。近年では、バイオマス発電所向けの搬送設備にも注力し、事業の多角化を進めています。

一方、東陽工業は1920年創業(1945年設立)の歴史ある企業で、火力発電プラントやごみ焼却施設内のボイラー関連の煙道ダクトやケーシング等の製造を手掛け、豊富な経験と実績を有しています。

JRC C&Mにおいては、東陽工業のグループ参画による連携を通じて、コンベヤ搬送設備以外のボイラー関連製品、灰ホッパー、架台・貯留槽などの付帯設備まで製造領域が拡大・補完されます。

また、両社の経験・技術・ノウハウが融合され、双方の顧客基盤を活用したクロスセルを行うことで、シナジー創出による両社事業の成長加速を実現できるものと考えています。

当社グループは、本株式取得により、従来のコンベヤ搬送領域に留まらない、より広範な製品とサービスをワンストップで提供し、市場シェアを拡大するとともに、グループのシナジーを活かして、より一層の付加価値の提供、業界・社会の課題解決に貢献してまいります。

ご説明は以上となります。ありがとうございました。