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佐渡島隆平氏(以下、佐渡島):本日は決算発表にお集まりいただき、誠にありがとうございます。私から会社概要、古田から実績をご説明した後、事業進捗アップデートについてお話していこうと思います。

会社概要

会社概要です。当社は2014年10月に設立し、おかげさまで10年目を迎えました。従業員数は417名です。売上規模は今期、100億円を超えようとしており、ARRは86億円、課金カメラ台数は21.9万台となっています。

スライド図のように、カメラで撮影してクラウド上に集めた映像を、新しいアプリケーションで展開していく「クラウドカメラ」という事業を行っています。

沿革およびマーケットシェア

クラウドカメラ事業はスライドに記載のさまざまなパートナーに支えられ、課金カメラ台数が21.9万台まで成長してきています。クラウドカメラのマーケットシェアは56.4パーセントです。

当社の顧客基盤:大手企業を含む導入 / 活用実績(一部)

当社の顧客基盤についてです。小売、飲食、建設、インフラ、公共など、さまざまな業態のお客さまに使っていただいています。規模感としては、スライドに記載のような大手企業のお客さまから、中小企業のお客さま、1、2店舗の個人事業主まで、幅広い層に使っていただいているサービスです。

映像データを活用し、あらゆる産業の「現場DX」を推進

当社は、カメラを使ってあらゆる産業の現場のDXを推進する取り組みをしています。ただ映像を集めて防犯に使うだけではなく、さまざまな用途で活用されています。

小売店では混雑率やレジ待ちの状況を自動で判断できるソリューションを、建設現場では現場に確認に行かなくても映像で確認できる「遠隔臨場」を実現できるソリューションなどを提供しています。

セーフィープロダクト紹介:かしこくなるカメラ (1/2)

映像を活用するという意味では、簡単に置くだけで使えることも大事です。「Safie One(セーフィー ワン)」は、スライドに記載の「“かしこくなる”カメラ」というコンセプトで、カメラの中にAIをインストールできるエッジAIとして展開しています。

スマートフォンで使われるQualcommさんのチップなどをカメラに導入することで、当社は、カメラの機能をどんどんアップデートしながら映像データの活用を高める努力をしています。

セーフィープロダクト紹介:かしこくなるカメラ (2/2)

映像を使って「特定の場所に人が何秒立ち入ったか」「何人が通過しているか」「何秒間ディスプレイの前にいるか」などをデータで把握できるようなソリューションをAIで展開しています。

出資先と共に店舗マネジメントと省人化を推進

当社は、さまざまなインダストリーのお客さまに使っていただいている実績があります。昨今、無人店舗を始めとして「店舗のマネジメントを効率化したい」「店舗を省人化して運営したい」というお客さまが非常に増えてきています。

そこで、当社は自分たちだけで価値を提供するのではなく、スタートアップに出資するかたちで連携し、新しいお客さまへソリューションを提供する取り組みも進めています。

AIを作っている会社や、映像プラットフォームの価値をより促進する技術を持っている会社に出資し、店舗マネジメントの省人化を推進しています。

様々な業界、ニーズに適合した多様なアプリの実装/展開が進展中

小売店において省人化で店舗を運営する流れがあるように、建設や製造業界では、より少人数で効率的に働ける環境作りが進んでおり、さまざまなオフィスビル等でも新しい取り組みがどんどん増えてきています。当社のDXでは、さまざまな業界に対していろいろなアプリケーションで支援していくことを目指しています。

そのために、自分たちだけでアプリケーションを作るのではなく、さまざまなベンダーやSIer、パートナーとともにいろいろなソリューションを作り、高速で展開しています。

セーフィーは現場DXソリューションを提供するプラットフォーマー

当社は、カメラのハードウェアを売っている企業だと誤解されることがあります。一般的なカメラベンダーは機器を提供しており、目的は防犯・監視で使われることがほとんどです。また、データは活用するわけではなく、現場のレコーダーに保管されています。従来のカメラベンダーのサービスは、導入した時が最高品質で、そこから陳腐化していきます。

当社は「AI × IoTプラットフォーム」というかたちで、データを活用してDXを促進していきます。また、防犯だけでなく、生産性向上につながる分析機能をクラウドでアップデートするなどのリカーリングビジネスで成り立っています。お客さまの価値に対してアップデートしていけるプラットフォーマーであることが、カメラベンダーとの大きな違いです。

KPIハイライト

古田哲晴氏:業績の進捗についてご説明します。まずはKPIです。ARRは86億円、課金カメラ台数は21.9万台で、いずれもエンタープライズ企業を中心とした直販商流が成長を牽引しています。

ARR及び課金カメラ台数の推移

ARR及び課金カメラ台数の推移です。ARRは前年同期比24.3パーセント増の86億円で、課金カメラ台数は前年同期比28.1パーセント増の21.9万台に到達しました。

商流別課金カメラ台数の推移

商流別の課金カメラ台数の内訳です。特に「Safie PRO(セーフィー プロ)」は直販商流が堅調に推移しました。上期に若干停滞していた「Safie GO/Pocket(セーフィー ゴー/ポケット)」も、下期に入り順調な成長を見せています。

ARPC(カメラ1台あたりの単価) の推移

ARPC(カメラ1台あたりの単価)についてです。ARPCの主な変動要因は「Safie PRO」および「Safie GO/Pocket」の製品構成比ですが、「Safie GO/Pocket」が少し増加した影響もあり、全体としては前回から微増となっています。

2023年12月期第3四半期決算 ハイライト

決算数値です。当四半期の売上高は、前年同期比31.4パーセント増、直前期比4.6パーセント増の30.3億円となりました。スポット収益は前年同期比46.8パーセント増の9.3億円です。リカーリング収益は前年同期比25.6パーセント増の21億円となっています。

売上総利益は14億円で、売上総利益率は46.5パーセントとなりました。大型案件にてボリュームディスカウント等を行ったことによりスポット粗利率が低下した結果、直前期比で1.4ポイント減となっています。

営業損失は3.9億円です。先ほど触れた粗利率の低下および業界攻略に向けた販促活動の継続、人材への投資、オフィス移転などがあり、前年同期比で1.1億円増となりました。

売上高の推移

売上高の推移です。大型案件の寄与があり、スポット収益は直前期と同様に9.3億円で着地しています。リカーリング収益は前年同期比25.6パーセント増、直前期比1億2,700万円増の21億円となりました。

売上高構成比およびスポット/リカーリング粗利推移

スポット対リカーリングの比率は、これまでと同様にリカーリングが約7割で推移しています。リカーリングの粗利率は、これまでと大きく変わらず6割弱となっています。一方で、大型案件によるボリュームディスカウント等があったため、スポットの粗利率は低下しています。

売上総利益の推移

結果として、全社の粗利率も直前期比1.4ポイント減の46.5パーセントでの着地となりました。一方で、リカーリングの粗利額は着実な成長を継続しています。

販売費及び一般管理費の推移

販管費および一般管理費の推移です。業界攻略に向けた販促活動の継続および人材への投資などにより、S&Mの費用が直前期比で5,700万円増加しています。R&Dは主に人材投資により直前期比4,300万円増、G&Aは主にオフィスの移転等に伴う家賃の増加等で直前期比6,200万円増となりました。

営業利益の推移

売上総利益の伸び悩みと先行投資の継続などの結果、当四半期は3億9,900万円の営業損失を計上しています。

成長ドライバー

佐渡島:事業進捗のアップデートについてご説明します。振り返りになりますが、ARRは、ある程度の台数を確実に取った上で、しっかりとお客さまに根ざしたソリューションを作っていくかたちで構成していきます。

台数については、いろいろな業界で違うカメラを使うため、ラインナップをひたすら強化していきます。課金カメラの粗利をより増やし、ソリューションを増加していくために、さまざまなAIを活用したアプリケーションやスタートアップとの連携が重要になります。

達成にむけた成長テーマ

当社は「現場DX」というビジネステーマを中心に置いています。

クラウドカメラを使った現場DXの5ステップ

現場DXについて、常にお客さまに提案しているフローを共有しながらご説明します。

最初にカメラを防犯記録として受動的に使ってもらい、次に能動的な活用で遠隔で仕事をしていきます。その際、さまざまな業務ツールと連携すると情報が多く見切れない状態になりますので、AIで効率化していきます。

AIでデータ化を行い効率化できると、さまざまな業界間や社内の別事業体でデータ活用ができ、業界の社会課題の解決につながります。これらが、当社が掲げる「現場DXの5ステップ」です。

高まる防犯・記録へのニーズ

昨今、以前よりも防犯や記録のニーズが増えてきています。中古車販売の「ガリバー」では、板金・塗装、中古車販売・修繕において、トレーサビリティを高めるためにクラウドカメラを活用しています。お客さまもその映像を見られるため、企業活動の透明性が確保でき、従業員もそちらを見て記録ができます。

また、最近は従業員同士の不正報道も出てきていますが、従業員を守ることも非常に大事です。このような活用事例が世の中で広がってきています。

高まる遠隔◯◯へのニーズ

ステップ2の遠隔業務についてです。建設会社が2024年問題に直面している中、清水建設さんの全現場でクラウドカメラを使っていただき、利用が拡大しています。

また、こちらは非常に苦労しましたが、ハウスメーカーでも横展開が進んでおり確実に台数が増えてきています。下期はこれらに注力し、引き続きARRを伸ばしていきます。

関西支店を開設、商圏拡大へ

関西エリアに商圏を拡大すると発表しました。現場DXは、ものを見て初めて理解できる部分もあります。東京ではオフィスを住友不動産大崎ガーデンタワーに移転してショールームを作ったことにより、エンタープライズのお客さまの商機が確実に増えてきています。

関西でも商機になるようなショールームをしっかりと展開し、みなさまにも現場DXを理解していただきながら導入していく流れを作っています。今後は、万博やIRといった大型投資が見込まれます。

また、「うめきた開発プロジェクト」では、梅田の中央に大規模な公園を作って新しいまちづくりをしており、この中でもカメラをたくさん活用いただいています。「まち全体が当社のショールームになる」という新しい取り組みを進めながら、関西のショーケースをしっかりと作り、全国にも展開していこうと考えています。

物流業が抱える3つの課題

前回は建設現場のDXについてお話ししましたが、今回は物流業界の現場DXにフォーカスしてご説明します。

2024年問題は、建設業、物流業、医療・福祉分野において、従来の働き方改革をしっかりと統制していくことによって労働者の権利を守ろうという流れです。その中で物流業界は、深刻な人手不足に陥っています。

コロナ禍でeコマースが非常に増えたことにより、ラストワンマイルを含めた需要が増加しています。ラストワンマイルでは再配達を含めた課題があり、さらには2024年問題でトラックドライバーの時間外労働が上限規制されます。

当社は、このような三重苦に直面する物流業界に対し、DXを提供する取り組みを進めています。

生産性改善と品質向上を実現する現場DX

実績をご紹介します。スライドの図のように、倉庫における作業は大きく分けて「倉庫内」「バース業務周り」「外部倉庫」の3つがあります。

倉庫内では、出荷の最後に必ず検品作業を行います。今までの検品は文字データで記録されていましたが、動画または写真でしっかり記録したいというニーズが出てきているため、ほとんどの倉庫に入っている業務システムのWMS(ウェアハウスマネジメントシステム)と映像を連携した、どこでも使えるソリューションを提供し始めています。

また、モノタロウさんやAmazonさんのように、マテハンライン改善のためにすべてが自動化されている物流倉庫も増えています。製造物流の現場にはオートメーションを止めたくないというニーズがあり、チョコっと停止を意味する「チョコ停」をしないように、または停止したとしてもリアルタイムに改善できるように、映像を活用しています。

倉庫内のリアルタイムでの作業把握という観点では、人手不足の中で適切かつリアルタイムな指示出しが必要になってきています。加えて、遠隔で他の倉庫の作業をしなければならない場合もあります。そこで、生産性向上を目的に映像で倉庫内を可視化します。

さらに、バースというトラックの駐停所または荷物の荷下ろし場をリアルタイムに監督し、トラックの待機時間を削減しています。また、荷下ろしの際にどうしても発生してしまう貨物の損傷などの管理や、ドライバーが現在どこで何時に働いているのかを把握する「点呼」という業務を、遠隔地からカメラで管理するという利用方法の検討もされています。

映像データ×倉庫管理システム連携による業務生産性向上

SGホールディングスのグループ会社、佐川グローバルロジスティクスさんの事例をご紹介します。

カメラ映像とWMSを連携することで、ハンディターミナルを活用し最終出荷のスキャン時に文字と時系列と映像が自動連携される機能を当社がソリューションとして展開しました。それにより、作業効率を把握できるようになっています。また、問題が起きた時には、荷物を開けずに状態をすべて把握し、トレーサビリティが取れるようになってきています。

カメラ映像とWMSを連携するソリューションは、非常に簡単に実現できるシステムで、どのような業種や業態にも応用できますので、今後はこの領域を拡販していこうと考えています。

バースの稼働をリアルタイム把握、トラックの待機時間削減にも寄与

澁澤倉庫さんの事例です。適切なバース管理によって、営業所のスタッフや作業員とドライバーの連携が円滑にできるようになってきています。トラックの積み下ろしなど、事務所にいながらバースを管理または指示できるという目的で、ご活用いただいています。

設備の遠隔管理システム構築で「チョコ停」発生時も素早い安定稼働へ

先ほどご説明した「チョコ停」の領域について、設備ソリューションを展開しているトーヨーカネツさんの事例をご紹介します。

当社のカメラを用いて設備が止まらないようにさまざまな場所を撮影し、停止した場合はベテランの作業員が映像を用いてすぐに作業指示を出すなど、全員でラインが止まらない努力をされています。このような中で、当社のカメラが重要な役割を担っています。

倉庫内を見える化、現場確認の工数削減やトラブルの原因解決へ

大型倉庫では、モノタロウさんと創業以来のお付き合いがあります。クラウドカメラが全拠点のあらゆる箇所に800台以上入っており、ラインの自動化が着々と進んでいます。

このように倉庫内が着実にアップデートされているため、状況把握にも多く活用いただいており、現場に行かずとも、現場の工数削減やトラブルの原因究明にも即時対応できるようになっています。

このように、当社のソリューションは物流業界でも多く使われ始めています。

セーフィーは、多様な業界の現場DXを推進

当社としては、小売や飲食、サービス、建設の業界だけではなく、直近で案件が増えている物流やインフラ、公共、ビルマネジメントなどへ確実にスケールさせ、横展開していくことが求められていると感じています。

加えて、当社のサービスは見るだけで活用できるため、海外展開も考えられます。一歩ずつ狙いを定めながら、確実な成長と横展開をビジネスロードマップとして取り組んでいくことで、当社が掲げる「映像から未来をつくる」というビジョンに対し進捗していくと考えています。

サマリー

最後にサマリーです。当社が提唱している「現場DXの5ステップ」のうち、防犯・記録や遠隔業務には引き続き強いニーズがあることを確認しているため、成長基盤としてしっかり取り組んでいきます。また、認知拡大を含めて当社をお客さまに知っていただくことも大事なポイントです。

そして、「使ってみたら便利だね」というところで業務の連携で使われていくことを狙って、AIやスタートアップとの連携を含めた探索を継続し、お客さまと一緒に着実に成長していくソリューション作りに取り組んでいきます。

また、もうすぐ今期通期決算の開示があります。そこで経営戦略をアップデートしようと考えているため、みなさまとしっかりと対話をしたいと思っています。以上でご説明を終わります。

質疑応答:課金カメラ台数の足元の状況と今後期待したい領域について

質問者:課金カメラ台数の推移について質問です。直販と卸商流は特に堅調に推移していると思いますが、エンドユーザーの業種や業態としては、どういったところが特に好調で、どういったところが今後さらに加速していくのか、足元の好調な領域の状況と今後期待したい領域について教えてください。

佐渡島:特に、直販で取り戻してきていると考えています。中でも、例えばSME、スモールビジネス向けのカメラの受注率が非常に好調に上がっており、お客さまから注文いただくと、かなり高い確率で受注できる状態になっています。

さらに受注を伸ばすことを目的に、屋外での工事案件も着実に獲得するためのミドルバックの強化を行っており、多様で複雑な工事を含めた案件の獲得も増えているため、1番伸びているのはSME領域です。

特筆すべき事項として、先ほどもご説明したとおり、ハウスメーカーへの横展開には少し苦労していました。しかし、実は下期あたりからハウスメーカーへの展開に少し広がりが出てきており、このような要因からも台数が伸びてきていると思います。

エンタープライズ業界は、引き続きサービス業が中心です。先ほど「ガリバー」の事例を紹介しましたが、このような中古車販売のほか、最近は学習塾でのハラスメントなどさまざまな事件・問題も増えてきているため、このような業種も入ってきています。

また、最近はベルクさんをはじめとするスーパーマーケットのさまざまな事例が出てきており、服飾などの小売が全般的に増えてきていると考えています。

質問者:SMEについては、例えば継続利用率のような点で言えば、それなりに底堅い需要が期待できるという理解でよろしいですか?

佐渡島:それは間違いありません。当社は解約が非常に少なく、解約理由まできちんと確認を行い、特筆する解約もないと考えています。また、お客さまの傾向としても、長期で扱っていただいている方が多いです。

単価に関しても、大型案件の商談では、例えばローカルとクラウドのどちらがいいかといったような点でどうしても値引き交渉が起こってしまうため、値引き分が主にスポット粗利率に影響します。しかし、SMEのような少ない台数の場合は値引きの概念がなく、非常に安定して収益化しやすいため、当社がハンドリングできる領域であることは間違いないと思っています。

質疑応答:ハウスメーカーへの「Safie GO/Pocket」導入状況と下期以降の商流について

質問者:課金台数について、これまで課題感が示されてきたハウスメーカーへの展開は比較的進みそうであると先ほどコメントをいただきましたが、「Safie GO/Pocket」もハウスメーカーへの導入が進んでいるのでしょうか? また、下期の「Safie GO/Pocket」の商流の見通しについてもうかがいたいです。

建設向けには2024年問題があり、前回の決算発表でもご解説があったような需要への取り込みに関していえば、「Safie GO/Pocket」の商流も第4四半期から来期以降には台数の積み上げの加速が期待できるのではないかと思います。この点について、コメントをいただきたいです。

佐渡島:「Safie GO/Pocket」はコロナ禍で急激に伸び、この3年から4年の間でビジネスが出来上がってきている世界です。多くはレンタルであるため、返却のハンドリングが非常に課題でしたが、返却の傾向値がだいたい見えてきたため、より長く使っていただけるお客さまに対するセールスの方法を少し工夫しました。

例えば、ゼネコンのように行ったり来たりする短期契約よりも、長くLTVを取らせていただく長期契約の場合は、長期契約を前提に単価を多少下げています。

さらに、カメラのラインナップを少し増やしましたが、今後も増やしていく予定です。特に、ハウスメーカーで「Safie GO」を活用いただいているお客さまにおいては、最初は問題ないものの、建築が進むうちに敷地が狭く中が見えなくなります。そのため、内装を360度映像で可視化するニーズが確実にあります。このような方々に向けたラインナップを揃えるなど、売り方を工夫していこうとしています。

また、商流については、まずは直販でお客さまの課題を着実に解決していくことが非常に大事なポイントです。したがって、最初に直販を強化した上で、卸商流でパートナーに横展開を手伝っていただく流れができてくるだろうと考えています。

建設においても、鹿島建設さんや竹中工務店さんについては自社で直販を行い、その後は西尾レントオールさんや日建リース工業さん、オリックスさんなどと一緒に横展開を進めてきた実績があります。まずは自分たちで縦方向に深く掘り、パートナーと一緒に横方向に掘り進めるビジネスモデルが確立されることで安定的な業種や業態となり、より安定的な収益基盤化ができると考えています。

質疑応答:通期決算開示時にアップデート予定の経営戦略の方針について

質問者:次の説明会では中期計画の見通しのアップデートをいただくとのことでしたが、こちらも説明を受ける準備をしたいため、現時点でどのような内容を想定されているのかを、事前に共有いただけますか?

佐渡島:当然ながら、今期と同じ解像度で来期の予想値を明確に開示していくべきだと思っています。しかし、中期計画は比較的ボラティリティが高く「DX領域のうち、どこにどのような努力をすれば、どのようなレバーを引くことができ、どのくらい伸びるのか」は、すべてが開示したとおりになるかはわかりません。

そのため、中長期計画については開示の有無も含めて弊社内で議論している段階です。

質問者:経営戦略と中期計画を混合してしまっており、失礼しました。まずは、2024年通期の見通しと経営戦略についてアップデートをいただくということでしょうか?

佐渡島:そのとおりです。しっかりとアップデートした上でみなさまと共有し、対話しながら事業を進めていきたいと考えています。

質疑応答:GPMの減少について

司会者:「大規模プロジェクトへのボリュームディスカウントによるGPMの減少について、詳しく教えてください。こちらはすでに報告されていたことですか? なぜその必要があったのでしょうか?」というご質問です。

佐渡島:小売などのエンタープライズ業界では、大型案件の商談を加速させていますが、この業界では、どうしてもクラウドだけではなくローカルと比較したいというニーズがあります。非常に安価なローカルカメラも、1,000台規模での商談となると、価格の値引きが全体のボリュームディスカウントというかたちで出てきてしまいます。

クラウドの付加価値を提供していく方針は変わらず、今後もボリュームディスカウントは引き続きあると考えていますが、やはりコントロールしていく必要もあると思います。今は大幅に粗利率が低下していますが、今後は、どれだけの値引きでどれだけのお客さまを獲得できるか、どのようなキャンペーンがどのようなお客さまの購買行動につながるかを検証しながら進めていければと考えています。

質疑応答:マネジメントストラテジーのアップデートについて

司会者:「マネジメントストラテジーのアップデートとは、今期の業績アナウンスメントを変えるという意味でしょうか? もしくは、達成についてチャレンジングになるという意味でしょうか?」というご質問です。

佐渡島:こちらは今期の業績をアップデートするのではなく、来期の営業戦略をアップデートするという意味です。今期みなさまにコミットメントしているところは、引き続きしっかりと最後まで数字を達成できるように、やりきっていこうと考えています。

質疑応答:現場DXのステップ1とステップ2の強化施策について

司会者:「『現場DXの5ステップのうち、ステップ1とステップ2に対する市場の需要は引き続き大きいため、こちらをさらに強化していく』という発言がありましたが、強化のために行っていることを教えてください」というご質問です。

佐渡島:特にステップ1では、どこでも防犯カメラが導入できるということが非常に大事になります。その現地調査や工事、保守の部分では、どうしてもリアルな世界へ、何かしらをインストールする必要がありますので、この1年間はミドルバックの強化に非常に力を入れて取り組んできました。

例えば、従来は2ヶ月ほどかかっていた工事1件のリードタイムは、短縮傾向にあります。また、現地調査からお客さまに提案するまでの期間も、2週間かかっていたところを3日から4日に縮めることに成功した事例もあります。どのような現場にもカメラを導入できるように、まずはミドルバックを強化してサプライチェーンをしっかりと整えることが、一番大事なポイントです。

屋外にもカメラの需要があります。屋内カメラのコンバージョン率はかなり上がってきていますが、屋外カメラのコンバージョン率はそれほど高くありません。そのため、伸び代をしっかりと屋外カメラのラインアップに振り向けて整えることと、屋外カメラの商談を確実にコンバージョンできるための営業努力をし、ステップ1では注力しています。

ステップ2については、お客さまごとにさまざまな遠隔業務のやり方があります。先ほどの「ガリバー」のように、お客さまと映像をシェアするケースもあれば、国交省では仕事の指示や点検を遠隔地から行う「遠隔臨場」もできるようになってきています。そのため、こちらもカメラのラインアップを強化しています。

また、小売店では省人化の一環として、遠隔地から無人店舗の運営を行うニーズもあります。そちらに対しては、スタートアップと連携した新しいソリューションを展開し始めています。

今まではカメラだけを提供していましたが、お客さまのニーズは「どれだけ少ない人数で業務展開できるか」というところまで発展してきています。このような遠隔業務を推進できるように、お客さま起点でのソリューションを揃えるニーズにお応えし、付加価値によって単価を上げられる取り組みを、ステップ2では積極的に行いました。

質疑応答:ARPCが上昇する時期について

司会者:「パートナー企業とのコラボレーションによって提供するソリューションをさらに模索し続けているとのことですが、いつお客さまに適合するのでしょうか? ARPCが上昇するのはいつですか?」というご質問です。

佐渡島:パートナー企業とともにARPCを伸ばすことは本当に大事なポイントですが、まだ実現には至っていません。社会がAIを実装・活用し、業務につなげていけるのは、まさにこれからだと考えています。

例えば、店舗業務を可視化・データ化する「Store People Detection Pack(ストア ピープル ディテクション パック)」は、現在、小売業のお客さまにしか使っていただけないソリューションです。

こちらへの解決策として、シンプルながらも非常に有効だと考えているのは、カメラを1回取り付けていただいたお客さまを一生涯サポートするというご提案です。カメラの工事や交換のように、いつかは壊れてしまうハードウェアを即時交換するようなサポートサービスの展開を用意しているところです。

このソリューションは非常にわかりやすく、来期からはいろいろな方に使っていただけるようになりますので、例示したオプションをしっかりと付け、LTVの長期化や単価の上昇に寄与させたいと考えています。

ほかにも、防犯のニーズは引き続き強いと考えていますので、防犯でのAIソリューションを検討しています。映像からの検索やアラート機能、警備会社との連携など、どこにでも必要とされるソリューションをまだやりきれていないと考えています。そのため、引き続きカメラの付加価値を上げるための、シンプルでわかりやすいソリューションを展開し、そちらをパートナーと一緒に売っていきます。

ようやくそろってきたAIカメラやAI開発環境を、どのようにお客さまに合わせて、マーケットフィットさせて伸ばすかが、中長期的には当社の一番大事なポイントになると考えています。まだできてないところは明確にありますが、今後はそれらにしっかりと注力し、カメラ1台あたりの単価も上げられるように努力したいと考えています。

質疑応答:直販チャネルの売上高の見通しについて

司会者:「直販チャネルの第3四半期の売上高が46パーセントと、第2四半期から2パーセントポイント増加しましたが、こちらは継続もしくは加速しますか?」というご質問です。

佐渡島:直販の中でも、常に短期間で商談が完成してお届けできるスモールビジネス向けの案件は、もう少し伸ばす余地がありそうです。セールスのやり方や、まだコンバージョン率の低い屋外カメラを改善しながら、わかりやすく努力しています。

一方で、エンタープライズのお客さまについては、引き続き、当社の直販としてしっかりと入り込んで提案できています。今まではパートナー企業による販売と直販の比率が6対4程度でしたが、今後は直販を伸ばし、パートナー企業にも成功オペレーションを体験してもらいたいと思います。

それにより、自社開発した新しいソリューションを、パートナーのみなさまと一緒に販売する取り組みが増えてくると、パートナーとのビジネスも非常に良くなっていくと考えています。まずは直販の部分を見ていただきながら、直販の伸びとパートナーの伸びを、どう合わせていくかがテーマになってくると思います。

パートナー企業は大企業が多いため、スタートアップのように30パーセントや50パーセントという成長曲線では進捗できない事情があります。したがって、当社としては直販でコントロールしながら、パートナーとのビジネスでしっかりと役に立ち、お客さまの付加価値になるビジネスを展開しようと考えています。

このように、パートナービジネスはステージが変わり、次の段階に突入したと思っています。

質疑応答:スモールビジネスのエンドユーザーについて

質問者:スモールビジネスのエンドユーザーについて、具体的な姿を教えてください。雑貨店のようなところでしょうか?

佐渡島:当然ながら、商店街のさまざまな洋服店や食品店なども多いです。特筆して伸ばせそうな分野の一例としては、歯科医や内科医など開業医のクリニックです。クリニックはコンビニよりも多いため、伸ばせる余地がまだしっかりとありそうです。

意外なところとしては、屋外での防犯カメラを求めるアパート経営者のみなさん等のエンドユーザーも増えています。今後はこのあたりのミドルバックを強化し、管理会社とさらに連携していきます。

また、小規模なビルでは建設時点でカメラをプリインストールするニーズもあります。これらの工事を行う電気販売卸会社とのアライアンスをより強化し、プリインストールを加速していく取り組みも行っています。

質疑応答:第1四半期から第3四半期までの業績について

司会者:「第1四半期から第3四半期までの業績は、営業およびカメラ設置台数の計画と比べてどうですか?」というご質問です。

佐渡島:開示でコミットメントしている数字に向けて最後までしっかりと走り切ろうとしており、概ね達成に近いところまで来ていると思っています。ただし、最後まで追い込んで努力をしていかなければ達成できないと思いますので、最後の最後までしっかりと努力していこうと考えています。

佐渡島氏からのご挨拶

佐渡島:今後も、Q&Aを通して株主のみなさまと対話しながら成長していきたいと考えています。最近では、IPO後に少し横ばいだった成長率が、売上ベースで成長率が戻って来つつありますので、このモメンタムをしっかりと強化していきたいと考えています。

株主のみなさまのご支援あってのセーフィーです。引き続き、ご指導のほどよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございました。