2024年3月期第2四半期決算説明

中村雅行氏:本日は大変お忙しい中、当社の2024年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

それでは、表題を「過去最高の売上高、利益を達成し、中期経営計画は順調な発進」、副題を「需要創出型企業への変革を加速」とした資料に基づいてご説明します。

情報開示の充実を目指して 「オカムラグループ 統合報告書2023」発刊

10月31日に、当社として初めてとなる統合報告書を公開しました。これまでの機関投資家との対話においても、統合報告書発行についてのご意見やご要望をいただいていました。

今回発行した統合報告書では、当社グループに対する理解をより深めていただきたいとの思いで、創業時から受け継いだ経営に対する考え方や現状の課題認識、これから目指す方向などを語っています。

今後もステークホルダーのみなさまとの対話を促進・強化していきますので、ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。

2024年3月期第2四半期 業績ハイライト

2024年3月期第2四半期の総括についてご説明します。スライドのグラフは、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の3年間の推移を示しています。2024年3月期第2四半期は、売上高、利益ともに計画比と前年比を上回り、過去最高となりました。

営業利益が半期で100億円を超えたのは初めてです。当期純利益も過去最高と記載していますが、こちらには有価証券の売却益が税引前で36億9,000万円、税引後に直すと25億8,000万円含まれています。

営業利益増減要因

営業利益の増減要因です。まず、売上高が前年比で97億円増えたことによる増収効果が30億1,000万円ありました。オフィス環境事業、商環境事業、物流システム事業の3つで過去最高の売上高を達成しています。

売上総利益率は、資材価格の高騰をコストダウンや価格改定等で吸収し、前年比で2パーセント改善しています。それにより、営業利益は27億9,000万円増加しました。

マイナス要因としては、売上高の増加に伴い販管費が11億1,000万円増えました。売上高が伸びたことにより、販管費率は1.1パーセント改善しています。

セグメント別の分析 オフィス環境事業

オフィス環境事業です。売上高は741億円、営業利益は69億5,000万円となり、ともに過去最高を達成しました。

このセグメントでは、ハイブリッドワークが定着してきており、最近はオフィスへの回帰も見られます。「オフィスのワークポイント(場所)が手狭になったため一部を改装したい」「分散しているオフィスを統合したい」という需要も出てきています。

一方で、「人材確保に向けてオフィスをリニューアルしたい」という根強い需要も続いています。その結果、売上高は過去最高となりました。

また、昨年、資材価格が上がった影響で定価を上げました。価格転嫁が上期にかなり浸透してきたことで資材価格上昇の影響を吸収し、過去最高の利益となっています。

セグメント別の分析 商環境事業

商環境事業も、売上高は過去最高の525億円となりました。営業利益は21億8,000万円で、過去2番目の数字となっています。

スライド下部に記載しているとおり、依然としてドラッグストアとスーパーマーケットの垣根が低くなっているため、業態間の競争のための店舗改装やリニューアルが続いています。総合力の強みを活かした提案でトータル受注の獲得に成功し、過去最高の売上高となりました。

こちらのセグメントでも資材価格の上昇がありましたが、生産・物流コストの削減と価格転嫁の浸透で増益となっています。

セグメント別の分析 物流システム事業

物流システム事業です。売上高は98億円、営業利益は9億3,000万円と、こちらも過去最高となりました。大型物件の取込みに成功したことに加え、エンジニアリング会社との連携強化や売り込みがうまく進み、売上が増えています。

モーターやセンサーなどの資材は依然として調達が厳しい状況にありますが、物件対応でなんとかうまく進めています。一方で価格転嫁にも取り組んでおり、原価率が約10パーセント改善したことにより赤字から黒字に転換できました。

中期経営計画2025で目指すもの

5月に発表した「中期経営計画2025」についてご説明します。目指すものとしては「時代の流れを捉え、提案力と製品力を磨き、『需要創出型企業』への変革を加速する」と掲げています。

経営基盤の強化としては「人財育成と働きがいの向上」「デジタル技術活用の加速」「多品種変量生産への対応」「市場に根ざした海外事業の展開」の4つを挙げています。

社会課題への取り組みとしては「2050年のカーボンニュートラル実現に向けた地球環境への長期的な取り組みの着実な実行」を掲げています。これらの5項目について、さまざまな改善をスタートしています。

中期経営計画2025における定量目標

「中期経営計画2025」の定量目標です。2025年度までに、営業利益240億円、ROE10パーセントの達成を目指しています。

新たな需要の創出 −事業セグメントの位置づけと主な打ち手

事業セグメントの位置づけと主な打ち手についてです。オフィス環境事業と商環境事業は、収益力を強化する事業と位置づけています。物流システム事業とパワートレーン事業は、事業規模を拡大する事業として経営を推進しています。

創出資金の投資と株主還元への配分方針

株主還元への配分方針についてです。スライド右下に赤文字で記載のとおり、今期以降の配当性向を33パーセントから40パーセント以上に引き上げる方針を出しています。

2024年3月期業績見通し

2024年3月期の見通しについてお話しします。スライドの表の左から2列目が2024年3月期上期の実績です。先ほどお伝えしたとおり、売上高は1,396億円、営業利益は101億円、当期純利益は102億円となりました。

その右側に記載している下期の計画については、前回発表した数字から変更はありません。上期は比較的業績が好調でしたが、下期は前年が大きく伸びていたため、数字を据え置いています。

上期の実績に下期の計画を足した数字が通期の数字です。売上高は2,906億円、営業利益は236億円、当期純利益は201億円に上方修正しています。

2024年3月期業績見通し セグメント別

スライドのグラフは、2024年3月期の業績見通しを含めた過去5年間の事業別売上高と営業利益の推移を示しています。5月10日の発表から8月4日に上方修正をしましたが、11月2日に2回目の上方修正を行いました。スライドにはそちらの数字が記載されています。

投資額・減価償却推移

投資額についてです。今の中期経営計画の投資目標としては、維持更新投資で200億円、戦略投資で500億円を見込んでいます。今期はスライド一番右側のグラフのとおり、約180億円の投資額を計画しています。

戦略投資は500億円と設定しており、ほぼそちらに近い数字での計画をしています。

一株当たり配当金と配当性向推移 方針:税引後利益の40%以上を安定的に維持する

配当についてです。先ほどご説明したとおり、今中期経営計画においては、税引き後利益の40パーセント以上を安定的に維持するという配当方針を定めており、この中間期期末も40パーセント以上となる予想です。

スライド一番右側のグラフのとおり、中間で43円、期末で43円、年間で86円の増配を予想しています。

セグメント別 オフィス環境事業

セグメント別の状況についてご説明します。まずはオフィス環境事業です。

2024年3月期の見通しは、売上高が1,620億円、営業利益が183億円です。先ほどご説明したとおり、ハイブリッドワークが定着し、働き方が相当変わりました。一部ではオフィスが足りずに増床していることもあり、需要は、堅調に推移しています。

一方で、コロナ禍を経験し、コミュニケーションの向上が経営課題として非常に大きく浮かび上がってきました。そのため、分散されたオフィスを統合するかたちでの移転物件も増加しており、オフィスの改装需要に大いにつながっていると思います。

また、最近では「人的資本経営の推進」が盛んに叫ばれています。オフィス改装も、人への投資としての大きなインパクトになっています。

スライド右下に記載している「Team Based Working」は、これからの働き方についての考え方です。今後はこちらをもとに、新たなオフィスの再構築を提案していきたいと思います。

オフィス投資は人的資本経営において重要な役割を果たす

先ほど、コロナ禍によって浮かび上がった経営課題についてお伝えしましたが、スライド左下のオレンジ色で囲んだ「コミュニケーションの活性化」「従業員の生産性向上」「多様な人材、優秀な人材の確保」「人材育成」の4項目が、非常に大きな経営課題となっています。

それらを支えるオフィスとして、スライド左上に記載の「共用・コミュニケーションスペース」「集中作業を行う空間」「共創空間」「従業員の健康に配慮した製品」というオフィス作りが1つの主流になりつつあります。

スライド右側のグラフは当社が行ったアンケートです。この結果のとおり、イノベーションは人が集まっていろいろな議論をすることで起こるということで、オフィスの重要性がここにきて見直されてきています。

そのため、スライド右下に記載のとおり「企業の成長を支え、多様な働き方に応えるソリューションの提供で需要を取り込む」という方針で臨んでいきたいと思っています。

オカムラグランドフェア2024

年に1度開催している「オカムラグランドフェア」は、当社がお客さまをご招待し、新製品やコンセプトを発表する場です。ホテルニューオータニにあるオカムラのショールームで実施します。

来週以降にホームページにてコンテンツをご覧いただけますので、是非ご確認ください。

イノベーションを誘発するオフィスを実現する製品群

先ほど、これからの働き方として「Team Based Working」という考え方をご説明しましたが、そちらを支える製品群をスライドに示しています。従来の製品とは相当変わってきていますので、これらの製品を採用いただくことで、新たな需要ができると思っています。

ウェルビーイングを経営の主役に

スライドには「ウェルビーイングを経営の主役に」と記載していますが、これからの時代は、「ウェル」つまり「体も心も健康に」ということが非常に重要なテーマになります。「“WELL at Work”の空間提案」とあるとおり、例えば、カフェテリアや運動ミーティングの場、ラウンジ、仮眠や瞑想の空間も、オフィスに導入され始めています。

また、スライド左側には電動昇降デスクの写真を掲載していますが、長時間座っていると血流が悪くなり健康によくないため、時々立って仕事をすることが健康につながります。数年前に一時的に流行りましたが、最近はやや下火になっています。

ただし、世界的に見ますと、アメリカあたりでは9割以上の普及率がありますし、北欧でも100パーセント近い普及率になっています。そのため、もう一度「WELL at Work」という観点で、電動昇降デスクの普及を目指していきたいと考えています。

当社のワークデザイン研究所では、来年以降のテーマに「WELL」「LIFE」「COMMUNICATION」の3つのキーワードを掲げ、新たなオフィス市場を作っていきたいと考えています。

環境へ配慮製品の充実

環境への配慮製品の充実についてです。以前からお伝えしているとおり、世界的な潮流として、リサイクル・再使用の積極的な推進の必要性が叫ばれています。

スライド右側にあるように、当社もいろいろなリサイクル素材を使った製品の開発を進めており、徐々に製品群が膨らんできています。これらも展示会で展示していますので、ぜひご覧いただければと思います。

セグメント別 商環境事業

商環境事業です。売上高が1,050億円、営業利益が41億円の見通しとなっています。冒頭に、半期での傾向として、スーパーやドラッグストアの垣根が低くなっているとお伝えしましたが、これら2つの業態は依然として堅調です。加えて、最近ではインバウンド需要が回復してきたため、そちらに対する投資が増えつつあります。

また、このセグメントにおいては店舗の人手不足が非常に深刻な経営問題となっており、そちらに向けた省人・省力化の投資がかなり膨らんできています。地方スーパーでも省人・省力化投資を行いたいと思っていたものの、利益率が低く資金がないため、ついこの間までは投資が抑えられていました。

しかし、最近になって地方スーパーでもやらざるを得ないということで、積極投資に転換し始めました。そのため、そちらにかかわる需要が膨らんでいます。

電気料金の高騰は依然として進んでおり、省エネに優れた冷凍冷蔵ショーケースの需要が増加しています。原材料価格の上昇も依然として続いています。そちらを補うべく、この上期以降は価格転嫁にも力を入れているところです。

改装需要は先期に引続き堅調 幅広い業態の需要取込を狙う

スライド左上のグラフは、需要動向を示しています。ドラッグストアは横ばいですが、店舗によって上期に投資を絞ったところや積極的に需要が出たところがあり、ほぼプラスマイナスゼロで高止まりしている状況です。

一方で、スーパーは若干増加しています。その他も比較的伸びており、例えばコンビニエンスストアなどには、かなり投資が戻ってきました。したがって、スライド左下に記載のとおり、スーパーマーケットとドラッグストア間の食品の売上競争により、店舗投資の需要は堅調に推移しています。

また、インバウンド需要の回復を見込み、ノンフーズ業界の店舗投資が活性化しています。ドラッグストアでは、化粧品に強いマツモトキヨシなどが積極的に投資を行っています。

加えて、電気料金の高騰によって省エネ需要が旺盛になり、10月以降は冷ケースの受注が好調です。10月と11月は、冷凍ショーケースの受注が比較的増加しています。

さらに、先ほどお伝えした人手不足への対応として、省人・省力化需要が旺盛です。スライド右側に記載のとおり、企画・店舗設計から保守まで店舗づくりをトータルサポートするという当社の強みを活かし、これらの需要を取り込んでいきたいと思っています。

店舗の省人・省力化・省エネの提案

スライドには、省人・省力化に関する事例を載せています。まず、品出しの作業時間を8割強削減できる棚板を作りました。数年前の発売当初はそれほど需要が盛り上がりませんでしたが、最近は非常に盛り上がっており、受注が増加しています。スライド左上の画像は、店舗中央にある、さまざまな缶詰やお菓子が置かれている棚です。

スライド右側に記載の冷凍ショーケースにもスライド棚が付いていますが、当社のスライド棚は他社のショーケースにも付けられる設計になっています。12月から1月の閑散期にこのスライド棚を増産し、不需要期の売上を確保したいと考えています。

また、スライド左下に記載のとおり、従来のスーパーマーケットでは人手を介して行われていた温度データ管理を、クラウド上でできるシステムを開発しました。冷凍ショーケースの温度管理も自動でできる仕組みになっています。

省エネについては、店舗の消費電力の60パーセントを占める冷凍・冷蔵設備の省エネ提案を行っています。スライド右下の冷凍ショーケースは扉を後付けできる設計になっており、扉なしと比較すると冷凍負荷を最大30パーセント削減できます。

閉店後のショーケースにナイトカバーをすることも、大きな省エネにつながります。後付けの扉やナイトカバーにもかなり受注が入ってきているため、このセグメントもしばらくは需要の拡大が望めると思います。

セグメント別 物流システム事業

物流システム事業です。売上高は176億円、営業利益は10億円となりました。このセグメントでは、ご承知のとおり、2024年問題によって物流分野の人手不足が非常に深刻になることを背景に、かなり大きく投資が出始めています。

今期の売上高は176億円と、かなり伸びています。以前からご説明しているとおり、このセグメントは2年後、3年後の物件を追いかけています。今期の売上高が比較的順調であるため来期以降の物件獲得に注力できており、良いサイクルに入ってきたと思います。

また、2024年問題の中でも、特に倉庫内および荷受け作業のスペース不足によってかなり効率が落ちるということで、倉庫内の効率化を上げるため、多様な自動倉庫の引き合いが順調に推移しています。

物流負荷の削減に向けてスペース不足、荷役作業の効率化に需要

スライド左側のグラフのとおり、EC市場規模は毎年順調に伸びています。それに伴って倉庫内のピッキング作業も相当増加するため、こちらに対する投資が必要です。

さらに、スライド右側に記載のとおり、倉庫にトラックが入ってきてもなかなか荷が積めないというドライバーの荷待ち発生問題も発生しています。加えて、トラックバースや倉庫のスペース不足、人手不足による荷役作業の遅れなどの課題があり、これらの効率化を目指す提案および投資が出始めています。

物流システム機器によるソリューション

スペース不足の解消に対し、当社は「AutoStore(オートストア)」と「CYBISTOR(サイビスター)」の2点を用いて、スペース不足の解消を図る提案をしています。「CYBISTOR」は、1トンタイプのパレットラックを高密度に収納できる自動倉庫です。

スライド右側には、物産ロジスティクスソリューションズ株式会社の事例を載せています。コンビニエンスストア向け全国配送の基幹センターである埼玉第2センターに、「CYBISTOR(サイビスター)」を納入しました。パレット品の先入れ先出しは非常に困難ですが、この自動倉庫を使えば自動的に先入れ先出しができるため、ご好評いただいています。

その他には、スライド左下にあるロボットソリューションを使った提案も行っています。ピッキング作業を含めた庫内の運搬には、「ORV」というロボットや「PEER」という人間を追随して動くロボットなどを使い、工数削減のための投資に関する提案が受け入れられています。

「PROGRESS ONE」は遠隔操作でピッキングするシステムで、比較的順調に開発が進んでいます。実用化には後2年ほどかかると思いますが、そろそろ実証実験ができる段階に入ってきました。

本日のまとめ

最後に、本日のまとめです。3つのセグメントすべてにおいて、労働人口減少に伴う経営課題を解決する製品・サービスの提案により、需要の拡大を狙っていきたいと思います。

2024年3月期の業績見通しとしては、売上高が2,906億円、営業利益が236億円、当期純利益が201億円を目指します。以上で、私からのご説明を終わります。ありがとうございました。