2023年11月期第3四半期決算説明
辻庸介氏:みなさま、こんにちは。マネーフォワードの辻です。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。当社の2023年11月期第3四半期の決算についてご説明します。
今回は通常の内容に加えて、インボイス制度への取り組みについてお伝えします。また、注目の生成系AIについての取り組みもご紹介したいと思っていますので、よろしくお願いします。
2023年11月期 第3四半期ハイライト
資料の冒頭部分はいつもお伝えしているものと同じですので、決算ハイライトからご説明します。売上高、SaaS ARR、EBITDAともに第3四半期の見通しを達成しています。また、第2四半期に上方修正を発表しましたが、通期見通しの達成に向けて順調に推移しており、今回あらためて下限を切り上げる発表を行いました。
連結の売上高は前年同期比37パーセント増の75億円となりました。これはオーガニックな成長によるものです。SaaS ARRも前年同期比40パーセント増の211.3億円となっています。特にMoney Forward Businessドメインの法人向けARRが前年同期比44パーセント増の150.3億円となっており、引き続き規模が大きくなってきています。また、成長率も継続しています。
EBITDAは、前四半期のマイナス6.2億円からマイナス3.4億円へ改善しました。EBITDAマージンもマイナス8パーセントからマイナス5パーセントと改善しています。また、広告宣伝費除きのEBITDAは9.1億円です。
インボイス制度への取り組みについては、後ほどご説明します。
3Q連結売上高は前年同期比+37%と高水準の成長を維持
売上高のドメインごとの内訳です。Money Forward Businessドメインは45パーセント増、SaaS Marketingドメインは7パーセント増、Money Forward Homeドメインは20パーセント増、Money Forward Xドメインは56パーセント増、Money Forward Financeドメインは55パーセント増となっています。この結果、全体としては前年同期比37パーセント増となりました。
SaaS ARRは前年同期比+40%の高成長。200億円を突破。
SaaS ARRは全体で40パーセント増となりました。Money Forward Homeドメインの個人向けプレミアム課金については31パーセント増、Money Forward Businessドメインは個人事業主向けが22パーセント増、法人向けが44パーセント増となりました。
Money Forward Xドメインのストック売上は45パーセント増ですが、これは「Mikatano」を中心に成長した結果です。また、Money Forward Financeドメインのストック売上も37パーセント増となっています。
SMB、中堅企業両領域において高成長を実現し、Businessドメインの法人ARRは前年同期比+44%
SMB、中堅企業領域におけるMoney Forward Businessドメインの法人向けARRについてです。全体では前年同期比44パーセント増となっています。
内訳としては、従業員50人以下の会社と定義しているSMB向けで33パーセント増、従業員51名以上の中堅企業向けで65パーセント増となりました。新規獲得とクロスセルを順調に促進しています。
全社売上総利益/バックオフィス向けSaaS事業”Gross Margin”推移
売上総利益率についてです。スライド左側は全社の数値で63パーセント、右側はバックオフィス向けSaaS事業の数値で86パーセントとなっています。売上総利益は順調に右肩上がりに推移しています。
EBITDA(四半期推移)
第3四半期のEBITDAはマイナス3.4億円で、見通しの範囲内で着地しました。第3四半期における広告宣伝費除きEBITDAは9.1億円となっています。
売上原価・販売費及び一般管理費の構造(対売上高比率)
売上原価・販売費の内訳です。広告宣伝費は見通しの下限で13億円とお伝えしていましたが、使い方を精査した上で使っていますので、12.4億円で着地しています。
従業員数の推移
従業員数は前四半期比で70名増加しました。中堅企業向けやバックオフィスのSaaS領域でトップラインが非常に伸びていますので、その開発業務をメインにセールスなども含めて人員を拡大しています。
従業員1人当たり年間売上高・ARR
従業員1人当たりの年間売上高およびARRです。年間売上高については、SaaS Marketingドメインの影響もあり若干下がっていますが、ARRに関しては引き続きしっかり改善してきています。
3Q見通し比較(売上高 / SaaS ARR)
スライドには第3四半期の見通し比較を記載しています。売上高もSaaS ARRも、全ドメインで見通しの下限よりプラスで出ています。
バランスシートの状況
バランスシートの状況です。8月に120億円の転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行し、財務基盤を強化しました。
転換社債型新株予約権付社債(CB)によりSaaS×Fintechの成長資金を確保
CBに関して、すでにご存じの方も多くいらっしゃると思いますが、SaaS×Fintechのさらなる成長のための資金を確保するために、クレジットサポートや国内銀行からコミットしていただき、より良い発行条件を達成することができました。ご協力のほど、誠にありがとうございました。
今回CBを選んだ理由は、エクイティだけではない調達資本の多様化と、潜在的な希薄化率への影響を鑑みたためです。SaaS×Fintechの戦略推進に必要なバランスシート、および今後のキャッシュフローの黒字化に向けた必要資金が十分に確保できていますので、しっかりと事業を進めていきたいと思っています。
また、商品設計とアップ率に関しては、転換制限条項と現金決済条項を付与することで、将来の希薄化率を抑制することができます。負債性の高い設計となっており、結果としてアップ率32.49パーセントと、マーケティングレンジの中値以上の条件決定を実現することができました。
「SaaS×Fintech」戦略におけるバランスシート活用の方針
バランスシートの活用の方針についてご説明します。事業開発フェーズにおいては、どうしても自社のバランスシートを使う他ありませんが、保険でリスクヘッジを行いながら事業展開してきました。
中長期的に金融機関とのパートナーシップを基にした展開を通じて、自社のバランスシートの拡大を抑制しながら、しっかりビジネスを伸ばしていこうと考えています。我々はテクノロジーとデータ活用がメインであり、それらはコアな付加価値、営業価値だと思っているため、もの作りやサービス作りに特化していくことを目指しています。
バランスシート活用の方針と事例について、スライドに2つの例を掲載しています。1つ目はBiz Forwardです。三菱UFJ銀行さまと合弁会社を設立し、順調に進んでいます。我々がテクノロジーやもの作り、モデル構築をリードし、三菱UFJ銀行さまが金融のノウハウや必要資金の提供、既存のお客さまの紹介をするという役割分担です。
2つ目は、2020年にサービスをクローズしました、「マネーフォワード クラウド資金調達」です。こちらは、パートナーの金融機関のバランスシートを活用したレンディング事業にチャレンジしました。残念ながらユーザー規模が多くない時だったため、利用者は比較的多くいましたが、成長スピードを考慮しクローズしました。
現預金残高推移分析
現預金残高推移分析です。120億円の転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行により、現在は442億円のキャッシュになっています。引き続きEBITDAおよびキャッシュフローの改善に強く取り組んでいきます。
Businessドメイン 2023年11月期 第3四半期 ハイライト
Money Forward Businessドメインについてご説明します。課金顧客数が全体で27.7パーセント増、法人で30.2パーセント増となり、ARPAも全体で11.1パーセント増、法人で10.9パーセント増となっています。
特に中堅企業のARRが65パーセント伸びています。解約率も引き続き1パーセント以下となっており、1度使っていただくと利用を継続いただける状況だと思っています。
Businessドメイン 四半期 売上高推移
Money Forward Businessドメインの四半期の売上高推移です。個人事業主が22パーセント増、法人が45パーセント増、フローの売上が61パーセント増の伸びになっています。
法人の課金顧客数とARPAの成長が継続
法人のお客さまは28万5,349社で、全体で27.7パーセント増となっています。内訳はスライドに記載のとおりです。ARPAも10.9パーセント増と、着実な上昇を示しています。
導入事例(1/2 )
導入事例です。「マネーフォワード クラウド会計Plus」のユーザーが非常に順調に増加しており、引き続き機能開発・改善に取り組んでいます。
導入事例(2/2 )
「マネーフォワード クラウド会計Plus」以外にも、さまざまな中堅企業向けのサービスを提供しています。スライドに記載しているような、すばらしいユーザーにご利用いただいています。
全国の会計事務所との強固なパートナーシップ
我々が力を入れている、会計事務所との強固なパートナーシップについてご説明します。全国で上位100の会計事務所のうち80パーセントに「マネーフォワード クラウド」を導入いただいています。大きな規模の事例も次々に出てきていますので、引き続きしっかりと強いパートナーシップを構築していきたいと思っています。
全国の伝統的な事務所での利用も増加
全国の伝統的な事務所での利用も増加しています。例えば、税理士法人エナリさまは神奈川県小田原市で創業70年の歴史がある税理士法人です。所内の業務効率化と顧問先のDXを目的に「マネーフォワード クラウド」へ大型切り替えしていただきました。クラウド専門オフィスを併設され、350件以上の顧問先に導入いただいています。
また、税理士法人中央会計社さまは、愛知県豊橋市を拠点として県内に4拠点を構える大きな事務所です。こちらも350件以上を切り替えていただきました。
税理士法人YMG林会計事務所さまは、神奈川県横浜市が拠点の創業50年を超える伝統ある税理士法人です。こちらも300件以上導入いただきました。もともと自社で開発されたソフトを使っていましたが、「マネーフォワード クラウド」に切り替えていただきました。
インボイス制度に完全に対応できている事業者は依然として5割未満
インボイス制度についてご説明します。いろいろ報道もされていますが、我々が把握している数字をスライドに掲載しています。適格請求書発行事業者の登録申請は9割以上の方々が完了しており、番号をお持ちの方がほとんどになってきていると思います。
インボイスは発行と受領の両方の対応が必要です。しかし、両方対応できているのは49パーセントと、5割未満となっています。まだ半数以上の方々がきちんと対応できていない状況です。対応できていてもオペレーションが大変になるため、今月末や来月上旬の現場は大変だと思います。対応には時間がかかると見ています。
インボイス制度の開始・電子帳簿保存法の改正により、請求書の発行・保存における、クラウド対応が不可欠
インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正によって、請求書の発行・保存によるクラウド対応が不可欠になっています。1つ目はインボイス発行の電子化です。発行側もインボイスの控えを7年間保存しなければいけないため、紙で保存するとかなり大変ですが、電子で発行すると手間が省けます。
2つ目は、インボイス保管のデジタル化です。受け取ったインボイスは、紙もスキャンを行い、デジタル化して保存することが必要になります。紙よりデジタルのほうが保管も簡単なため、デジタル化が進んでくると考えています。
3点目は、クラウド会計・消費税申告の活用局面の増加です。上流の請求書情報がデジタル化されると、API処理のため、クラウド会計へのデータが非常に流れこみやすくなります。さらに、自動仕訳連携機能で効果的にできるため、インボイス制度からデジタル化やクラウド会計が進み、ますますバックオフィスがデジタル化していきます。より便利になっていくかたちを作っていきたいと思います。
課税事業者さまが増加すると思われるため、会計や消費税申告の機能の利用加速が見込まれると考えています。我々も着実にお役に立てるよう努めたいと思っています。
インボイス制度の施行を控え、9月より「インボイス」キーワードでの当社サービスへの流入が急増
インボイス制度の施行を控えて、今回、我々のホームページへの月間平均流入数が、スライドのグラフのように一気に伸びました。現在は若干落ちましたが、平均で1.4倍になっています。やはり今から対応する会社も多いのではないかと思います。
また、インボイス制度のセミナーへの申込も昨年比で約2倍増加しています。この情報発信も着実に行っていきたいと思っています。
実は我々もかなり苦労して対応を行っています。我々自身が良い事例になれるようにしたり、当社の執行役員で経理本部本部長の松岡がいろいろな場所に登壇したりなどを通して、発信を強めていきたいと思っています。
システム未導入の場合、インボイス制度への対応のため業務負担が増加
「システムを未導入の場合はどのようになりますか?」というご質問をいただくことが多いため、こちらのスライドにまとめました。請求書発行時の対応と受領時の対応にそれぞれ分かれています。
発行側の場合は、まず適格請求書発行事業者の登録をしてから、インボイス制度の要件を満たした適格請求書を発行し、それを保存するという3つの業務が必要です。
一方で受領側は、受け取った請求書がインボイス制度の要件を満たしているかの確認が欠かせません。また、税率別・課税区分別の仕訳を行う必要があり、さらに受け取った請求書を保存することも求められます。そのため、実際にはクラウド化しなければかなり厳しいマニュアルなオペレーションが発生するのではないかと思っています。
インボイス領域のプロダクトラインアップ:請求書発行側
インボイス領域における請求書発行側の業務フローについてです。バックオフィスのオペレーション別に、我々にどのようなサービスがあるのかと、どのようなソリューションに対応しているのかをそれぞれの図で整理しています。
スライドの上部が個人事業主・中小企業、スライド中央が中堅企業、スライド下部がエンタープライズ企業です。業務フローは、債権計上から請求書発行、請求書送付、入金処理、会計処理、保管としています。
ご覧のとおり、個人事業主・中小企業の場合は、請求書発行から入金処理まで「マネーフォワード クラウド請求書」を使い、会計処理では「マネーフォワード クラウド会計」、保管では「マネーフォワード クラウドBox」を使っていただければスムーズだと思います。
中堅企業向けには、債権計上や請求書発行で「マネーフォワード クラウド請求書Plus」、請求書送付で「マネーフォワード クラウドインボイス」があります。これらのサービスを使えば、データを複数の会社に送付できます。また、入金処理・入金消込・督促管理では「マネーフォワード クラウド債権管理」があります。さらに「マネーフォワード クラウド会計Plus」で会計処理、「マネーフォワード クラウドBox」で保管が可能です。
実は「Money Forward Kessai」に、この一連の作業のすべてを受けるサービスがあります。早期入金や与信管理、回収保証機能もあるため、一連の業務を丸投げして依頼するにはかなり便利なサービスです。
また、エンタープライズの方々は基幹システムが大きいため、それを使いながら「マネーフォワード クラウドインボイス」の送付プランで請求書送付を行い、サイトのシェアを持っている「V-ONEクラウド」のサービスを使って入金消込を行うことができます。そして、そのデータがまた基幹システムに行くかたちです。
インボイス領域のプロダクトラインアップ:請求書受領・支払側
請求書受領・支払側の業務フローについてです。個人事業主・中小企業で事前申請が不要な場合は、メールや郵送などで受領して、データ化の部分だけ「マネーフォワード クラウドBox」にアップロードを行い、会計に使っていただくかたちになります。
もし事前申請が必要な場合は「マネーフォワード クラウド債務支払」を使うと、事前申請から請求書受領、システム取込、データ化、支払依頼/承認、振込処理までの業務に対応できます。このサービスだけで一連の業務に対応可能であり、以降は「マネーフォワード クラウド会計」の会計処理につながります。
また、エンタープライズ企業の場合は基幹システムがあるため、「マネーフォワード クラウドインボイス」の受領機能だけを使い、基幹システムにつなげるかたちになると思います。
インボイスの仕組みは非常に難しく、我々もかなり対応に苦慮していますが、このようなかたちで使っていただければ便利になると思います。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応に合わせて、マーケティング投資を強化(1/2)
インボイス制度や電子帳簿保存法が大変話題になっています。そこで今四半期は、スライドのような動画コンテンツやキャンペーンなどのマーケティングの投資強化を行っています。
インボイス制度施行や電子帳簿保存法への対応に合わせて、マーケティング投資を強化(2/2)
オフラインのイベントであるEXPOにも積極的に出展し、リードの獲得に貢献しています。我々にはバックオフィスのソリューションが本当にたくさんあるため、人事・労務や会計・財務など、さまざまなニーズに一気通貫で対応できるところが強みだと思っています。
「士業サミット2023」をオンラインと全国5拠点で同時開催予定
士業向けのマーケティング活動や情報共有なども強化しています。「士業サミット2023」は、オンラインと全国5拠点で同時開催予定です。現在話題の法改正やDX、生成AIなどをテーマに、ご覧のすばらしい方々にご登壇いただき、ノウハウをシェアしていきたいと思っています。
スタートアップ経営者やコーポレート担当者に向けたイベント「コーポレートの0.5歩先の未来を考える一週間」を開催
スタートアップの経営者やコーポレート担当者に向けて開催したイベントについてです。「コーポレートの0.5歩先の未来を考える一週間」ということで、我々の経理のオペレーションやコーポレートIT、人事などのバックオフィスの事例を紹介しました。
Homeドメイン 四半期 売上高推移
個人事業向けのMoney Forward Homeドメインについてです。プレミアム課金収入は順調に成長しており、前年同期比30パーセント増となりました。Money Forward Homeドメイン単体の四半期売上は10億円を突破しています。
『マネーフォワード ME』利用者数 / プレミアム課金ユーザー数推移
「マネーフォワード ME」の利用者は1,500万を突破し、プレミアム課金ユーザー数も51.4万人と順調に成長しています。
『マネーフォワード ME』、投資資産管理に特化した 「資産形成アドバンスコース」で新機能を順次アップデート
現在、特に力を入れているのが、投資資産管理に特化した「資産形成アドバンスコース」です。順次アップデートしており、資産を自由にタグ付けして管理したり、自分だけのポートフォリオができたりする機能があります。また、配当がいつ入るか見えるようなサービスやポートフォリオ機能、ETF表示への対応などもあります。
インフレになってきているため、NISAなどの投資に興味がある方が増えています。そのような方々に使っていただけるサービス開発に力を入れているところです。
「お金のEXPO2023」、4年ぶりのリアル開催が決定
4年ぶりに「お金のEXPO2023」のリアル開催が決定しました。家計管理からiDeCo、NISA、金融教育等のコンテンツを提供する予定です。11月25日にグランドプリンスホテル新高輪で実施しますので、ぜひお越しください。
Xドメイン 四半期 売上高推移
Money Forward Xドメインについてご説明します。こちらは主に金融機関向けのビジネスです。「Mikatano」シリーズが堅調に成長しており、ストック売上は前年同期比42パーセント増と、徐々に軌道に乗りつつあります。また、Money Forward Xドメイン全体でも前年同期比56パーセント増と、非常に伸びてきています。
金融機関等への提供サービス数は引き続き増加
「Mikatano」シリーズの提供サービス数は81ですが、全体では175もあります。
金融機関の法人顧客向けのDXソリューションを強化
「Mikatano」シリーズの資産管理やインボイス管理、ワークスの導入は、36金融機関まで増加しています。また、融資ポータルは、八十二銀行さまに採用いただいています。
八十二銀行が、インボイス制度や電子帳簿保存法の需要に向けて『Mikatano』シリーズのCMを放映
八十二銀行さまは、インターネットバンキングのお客さま向けに利用を推進しており、「Mikatano」シリーズとしてCMも放映しています。引き続き、地域のDXにしっかり貢献していきたいと思っています。
Financeドメイン 四半期 売上高推移
Money Forward Financeドメインについてご説明します。売上高は前年同期比55パーセント増と、しっかり伸びています。内訳は、ストック売上が36パーセント増、フロー売上が66パーセント増となっています。HIRAC FUNDにおける投資有価証券売却が売上計上になっているため、フローの部分が大きく影響し、66パーセント増となりました。
『マネーフォワード ケッサイ』『SEIKYU+』において、物販・EC事業者向けのインボイス制度対応機能の拡充
「マネーフォワード ケッサイ」と「SEIKYU+」において、物販やEC事業者向けのインボイス制度対応機能を拡充しています。インボイス制度に対応するための開発は大変ですが、しっかり実行できたと思っています。
Biz Forwardの累計取扱高が100億円を突破
Biz Forwardは累計取扱高が2年弱で100億円を突破し、「マネーフォワード ケッサイ」よりも速いスピードで順調に成長しています。
BtoB ECサイト『Bカート』において、『マネーフォワード ケッサイ』のOEM提供である『Bカート掛け払い』を提供開始
BtoBのECサイト「Bカート」で、OEM提供である「Bカート掛け払い」を提供しています。このように決済の裏側に入っていく提携は、今後も進めていきたいと思っています。
SaaS Marketingドメイン 四半期 売上高推移
SaaS Marketingドメインについてご説明します。「BOXIL EXPO」の開催がなかったため、全体では売上が下がりました。前年同期比7パーセント増ですが、前四半期からは下がっています。
「ChatGPT」のAPI連携でコンシェルジュ機能「チャットでSaaS提案(β版)」の提供を開始
「ChatGPT」のAPI連携で、「チャットでSaaS提案(β版)」といったサービスの開発をしています。
4つの成長戦略の進捗
成長戦略の進捗についてです。スライドに記載している4つの成長戦略をしっかり進めています。
①中堅企業のバックオフィス業務を網羅するプロダクトラインナップを提供
中堅企業のプロダクトラインナップを強化するため、スライドに記載しているような、かなり広いプロダクトラインナップを誇っています。
①中堅企業向け市場のポテンシャルについて(1/2)
今回は、投資家さまやアナリストのみなさまからかなりご要望があった部分の開示を行います。具体的には、中堅企業向けのARR及び顧客数を開示します。顧客数は現在6,788社ですが、2021年11月期第4四半期は3,792社だったため、9ヶ月で2倍弱伸びています。また、ARRは59億3,700万円です。
スライドの右側には、1中堅企業ユーザーあたりの平均課金プロダクト数及びARPAを掲載しています。2021年11月期第4四半期は平均1.6プロダクトでしたが、現在は2.7プロダクトと、複数のプロダクトを使っていただいています。ARPAも87万円と上がってきています。
今後も複数のプロダクトを使って利便性を向上していただき、我々もARPAを上げていきたいと思っています。
①中堅企業向け市場のポテンシャルについて(2/2)
「中堅企業向けの市場のポテンシャルはどのくらいあるのか?」というご質問もいただきますので、一度整理したところ、グラフの左下のとおり、2021年末で売上高20億700万円でした。そこから1年と3四半期で、ARRはおよそ3倍になっています。内訳としては、顧客数が1.8倍、ARPAが1.6倍です。
中堅企業の数が約32万社ですので、これらの企業に我々の18プロダクトを導入いただき、平均700万円のARPAをお支払いいただくとすると、これは以前からお出ししている数字になりますが、将来的なTAMは2.23兆円になります。このように非常に大きなTAMがありますので、ここでしっかり成長していく必要がありますし、オポチュニティも多いと思っています。
プロダクトラインナップの拡充と既存プロダクトのアップデートによるユーザー体験の向上
そのためにも、やはりプロダクトの拡充とアップデートが何よりも大事です。そこで、「マネーフォワード クラウド債権管理」というサービスを、ラインナップの1つとして提供を開始しました。請求書領域においてDXが非常に進んでいますが、ここに債権管理機能と消込機能まで盛り込み、システムによる自動化を実現しています。
また、スライド右側に記載のとおり、宝印刷さまの開示支援サービス「WizLabo」と連携することができました。これにより、連結決算業務や開示書類の作成業務の負担がかなり軽減できます。手入力ではなくAPIで連携できるため、ミスも減り、内部統制の強化にも寄与することから今回の連携が実現しました。
グループ会社展開事例
ユーザー企業の事例をご紹介します。セイノーグループの株式会社地区宅便さまは1980年創業で、従業員数は669名、配達員などの契約社員も含めると3,690名という大きな会社です。
グループ会社9社において、「マネーフォワード クラウド」の経費、債務支払、給与、勤怠、年末調整、社会保険、人事管理、マイナンバー、契約の9つと、我々のプロダクトをたくさん使っていただいています。サービス導入前はバックオフィスのオペレーションがアナログでしたが、効率が良くなったとよろこんでいただいています。
中堅企業におけるクロスセル・グループ会社展開事例
こちらはポニーキャニオンさま、橋本総業さまの事例です。どちらも「マネーフォワード クラウド経費」から使っていただき、徐々に複数プロダクトを使っていただいています。
上場企業や上場準備企業におけるクロスセル事例
上場企業や上場準備企業の事例です。このような会社では、「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド経費」から入るパターンが多く、徐々に複数のプロダクトを使っていただいています。
ユーザーに応じて、効率的なセールス&マーケティングを展開
こちらはいつもお見せしている図ですが、我々には4種類のユーザーがいます。士業事務所とその顧問先、中小企業、中堅企業、個人事業主と、それぞれで主要なプロダクトと販売方法が異なっています。
ドメイン間での相互送客、プロダクト開発の横展開により、シナジーを創出
Money Forward Homeドメイン、Money Forward Businessドメイン、Money Forward Xドメイン、Money Forward Financeドメインの間では、送客やサービス連携を中心にシナジーを創出しています。
R&Dにおけるシナジーの創出
R&Dにおいてテクノロジーが非常に大事なのはもちろんのこと、メールのアグリゲーションや証憑の自動取得、アグリゲーション頻度のコントロール、与信のコントロール、データ入力の自動化、ファクタリング手数料の算出技術も重要です。このようなR&Dもしっかり進めています。
SaaS × Fintech領域における事業展開
こちらのスライドも前回の説明会からお出ししていますが、現在、SaaS×Fintechで3つの事業領域を展開しています。
決済では「マネーフォワード Pay for Business」というプリペイドカードがあります。請求・債権回収では「マネーフォワード ケッサイ」「SEIKYU+」、資金ニーズ・キャッシュフロー改善では「マネーフォワード アーリーペイメント」「SHIKIN+」「マネーフォワード 請求書カード払い for Startups」というサービスを展開しています。
SaaS x Fintech戦略の推進
SaaSのお客さまの顧客基盤を活かしながら、Fintechサービスの顧客基盤を拡大していきます。Fintechサービスをより拡充していき、データ連携によってお客さまがより便利に使っていただける世界を作っていこうと進めているところです。
顧客基盤と会計事務所とのパートナーシップにより、限定的な販促費でカード発行枚数は40万枚を突破
プリペイドカードの「マネーフォワード ビジネスカード」は、発行枚数40万枚を突破し、累計導入事業者数No.1を達成しています。
『マネーフォワード ビジネスカード』上の証憑を、『マネーフォワード クラウド会計』に連携する機能を追加
また、「マネーフォワード ビジネスカード」と「マネーフォワード クラウド会計」を一緒に使っていただくと、「マネーフォワード クラウド会計」上でもカードの証憑資料が簡単に確認できる機能を追加しました。会計処理に必要な証憑がシームレスに連携したことで非常に便利になっています。
SaaS(『マネーフォワード クラウド会計』)×Fintechユーザー体験事例(1/2)
「マネーフォワード ビジネスカード」と「マネーフォワード クラウド会計」を連携して使っているユーザーの事例をご紹介します。
39ダイニングさまは「マネーフォワード ビジネスカード」を活用することで、それぞれの店舗での購買がデジタル化されているため、カードを使うと、そのまま「マネーフォワード クラウド会計」とのAPI連携により、ボタン1つで仕訳が可能になっています。今までは、いろいろな備品購入などの時に月200枚以上の領収書を処理していたそうですが、それが一切不要になったため、便利に使っていただいています。
両方使っていただくことで、より便利になってミスも減り、データも見える化される世界が徐々にできてきています。
SaaS(『マネーフォワード クラウド会計』)×Fintechユーザー体験事例(2/2)
埼玉ダイハツ販売さまをはじめ、各県のダイハツ販売さまにおける「マネーフォワード クラウド経費」と「マネーフォワード ビジネスカード」の事例です。
今までは紙で管理していたため、どうしても書類の紛失や入力ミス、承認の遅れなどのリスクがありました。しかし「マネーフォワード クラウド経費」に連携して「マネーフォワード ビジネスカード」も使っていただければ、「マネーフォワード クラウド経費」にデータが入ってくるため、自動連携することで経理の方々が非常に楽になります。ペーパーレス化が実現している、とよろこんでいただいています。
当社のM&A戦略及びグループジョイン / 出資の実績
M&Aに関しては3つの戦略で行っていますが、今回アップデートがあるのがTAMの拡大です。MESHさまは、アメリカの非常に有望なフィンテックのベンチャー企業です。マイノリティ出資ではありますが、一部出資を行いました。
Businessドメイン(バックオフィスSaaS)におけるGenerative AI活用のための組織体制
その他の戦略的な取り組みです。今、非常に話題の生成系AI(Generative AI)の活用を社内で粛々と進めています。いろいろまだ見えないところも多いのですが、前に進めている状況です。
全社共通組織として、Money Forward LabとAI推進部があります。また、ハブ組織でプロダクトAIソリューション部が具体的なプロダクトにどう落としていくかを考え、事業部門で各プロダクトマネージャーが実行するという役割分担で進めています。
Money Forward Lab、理化学研究所と大規模言語モデルに関する共同研究を開始
「Large Language Model」とは、日本語の大規模言語モデルを開発することです。今回、理化学研究所さまと一緒に共同研究を開始できました。カスタマーサポート(CS)の回答を自動生成していくことや経営状態の分析、アドバイスなどが実施できるのではないかと非常に期待しています。
バックオフィスSaaSにおけるGenerative AIの活用方向性
バックオフィス向けSaaSの活用法の方向性は4点あります。1点目は「情報の整理と収集・加工」であり、正確な情報を効率的に収集し、入力することです。2点目は「現状の可視化」であり、現在の資金状態や取引状況を把握することです。3つ目は「未来の予測」、4つ目は「予測情報をもとにした提案」です。この4ステップに関して、Generative AIが活用できるのではないかと思っています。
当社におけるGenerative AIの活用事例
現状、当社におけるGenerative AIの活用事例は2点あります。1点目は「情報の整理と収集・加工」です。「マネーフォワード クラウド連結会計」では、連結科目への変換を自動で提案してくれます。また、「マネーフォワード クラウド給与」は、カスタム給与計算式により、難しいアルゴリズムを書かなくても、言葉や文章で書くと裏で計算式を作ってくれる自動生成のサービス機能です。
また、「マネーフォワード Admina」はSaaS管理のサービスです。こちらもテキストを入力すると裏側で式を自動生成するため、操作が簡単にできるという可視化の部分を使っています。
以上が、生成系AIの取り組みです。今後さらに力を入れていかなければいけないと思っているため、着実にさまざまな情報をキャッチアップしながら進めていきたいと思っています。
Great Place to Work Instituteがアジア各地域で実施した「働きがいのある会社」の ベストカンパニー59位にランクイン。日本企業としては7位。
少し話が変わるのですが、「Great Place to Work」という「働きがいのある会社」ランキングにおいて、アジア各地域で59位にランクインしました。日本企業としては7位という評価をいただいています。
中期的な成長投資に関する方針及び2023年11月期の見通し
最後に今後の業績見通しです。売上高CAGRは30から40パーセントを着実に達成することを目指していきます。そのために、高成長と収益力の強化の両立を目指すことは変わりません。第4四半期の売上高は80.5億円から87億円です。また、SaaS ARRは224.1億円から231.4億円を見込んでいます。加えて、通期の売上高は296.4億円から302.8億円を見込んでいます。
第4四半期の広告宣伝費は、インボイス制度や電子帳簿保存法に関する需要を踏まえてマーケティングを強化していくため、第3四半期よりも増やし、18.5億円から20.5億円を投下するかたちを見込んでいます。慎重に費用対効果を意識しながら行っていきたいと思います。
そのようなこともあり、第4四半期のEBITDAは、マイナス10億円からマイナス5億円を見込んでいます。しかし、広告宣伝費除きのEBITDAは9.5億円から14.5億円と、第3四半期からの改善を見込んでいます。
また、2024年の通期見通しについては、売上、SaaS ARRともに、2022年から2023年の増加額と同水準以上の成長を着実に実現していきます。トップラインを伸ばしながら、EBITDAに関しても2022年から2023年と同様に、引き続き改善傾向となるよう継続して通期黒字化を目指し、着実に行っていきたいと思っています。
ドメイン別2023年11月期通期売上高見通し推移
ドメイン別の通期売上高の見通しの推移です。今回の修正見通しは下限を切り上げただけであり、それほど大きな変更はありません。
ドメイン別第4四半期売上高/SaaS ARR見通し
売上高とSaaS ARRの見通しです。Money Forward Homeドメインの下限を切り上げていることが変更点です。
事業領域及びサービス拡充によりTAMは継続的に拡大
事業領域に関しては、引き続き非常に大きなマーケットでプレーしているため、着実に価値提供の幅を広げながら、事業を推進していきたいと思っています。
今後の成長イメージ:SaaSのストック収益最大化に加え、SaaS顧客基盤を活かしたトランザクション収益の創出に注力
また、SaaSのストック収益最大化に加え、トランザクション収益の創出にも注力していきたいと思っています。
私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございます。