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青野友弘氏(以下、青野):みなさま、こんにちは。株式会社テイツーの取締役管理本部長、青野です。本日はよろしくお願いします。
当社のことを初めてお聞きになる方もいらっしゃると思いますので、まず当社グループの概要をお伝えします。その後、4月に公表した成長戦略とその進捗状況、直近のトピックスの順にお話しします。
テイツー会社概要(2023年2月末現在)
青野:当社グループの概要です。当社は1990年に会社を設立し、今は34期目になります。主には、祖業として「古本市場」という実店舗を展開して、ここまで成長してきました。直近の事業展開としては、後ほどご説明します「ふるいち」という小型のパッケージ店舗の出店、EC領域への出店、さらにBtoB領域への進出を行っています。
子会社山徳の概要
青野:2020年にグループ化した子会社の山徳です。所在地は石川県で、当社のEC戦略上重要な位置を占めており、グループの業績にも大きく寄与しています。
テイツー上場以来の成長推移と長期目標
青野:当社の上場は1999年で、リユース業界の中ではおそらく一番早い上場だったと認識しています。上場以来2007年度のピークに向けて成長を続け、その後、売上高で言いますと右肩下がりの時代がありました。2020年のコロナ禍以降は当社にとって追い風となり、それをうまく捉えてトレカブームに乗り、売上を拡大している状況です。
2027年2月期に営業利益で20億円を目指していますが、直近の業績の伸長に伴って、目標を早々に達成しそうな状況です。そのため、2027年2月期に設定している目標をどのように見直していくのか、よりチャレンジングな数字を目指せないのか、現在、社内で検討中です。
直近四半期の連結業績サマリ
青野:2024年2月期第1四半期の決算の概要です。連結売上高は83億6,000万円、連結営業利益は4億6,000万円、連結経常利益は5億2,000万円、四半期純利益は2億7,000万円と非常に順調で、当社の業績としても高水準で推移している状況です。
当社グループの商材別売上高構成比
青野:当社グループの商材別売上高構成比です。当社はリユースということで中古を扱っているのが特徴ですが、新品の取り扱いもあり、こちらが半分弱を占めています。
新品の商品をメーカーや卸問屋から仕入れて店頭で陳列し顧客に販売します。さらにその顧客に再来店いただき、販売した商品を売っていただくことで中古品として商品を流通させるビジネスモデルで事業展開しています。
スライドのグラフをご覧ください。主にゲームの新品と中古、トレカの新品と中古の構成比が大きくなっています。また、祖業の古本については10パーセントを切るくらいの構成比となっています。
今後は、構成比としてはまだ小さいホビーの中古や新品、現在は6パーセントとなっている中古その他の領域でさまざまな商材を取り扱い、拡大させていきたいと考えています。
主要セグメントの売上高の動向
青野:スライドに、商材ごとの状況を詳細に記載しています。前期の決算から今期第1四半期の決算までに、商材別の大きな変動はなく、おしなべて言うと古本が苦戦している状況ですが、その他のゲーム、トレカ、ホビーなどの主力商材は好調に推移していると思います。
直近では、特にトレカが業績を伸長するエンジンとなっています。中古品のトレカはスライドにも太字で記載しているとおり非常に活況で、売上高は前年比155.4パーセントという数字を実現しています。加えて、当社はトレカの新品についても仕入れの部分で強みを持っており、こちらも前年比173.8パーセントと中古品を上回る伸びを示しています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):ホビーも含めトレカが非常に好調というですが、古本についておうかがいしたいと思います。御社の「古本市場」では古本の取り扱いが多いと思いますが、「ふるいち」ではある程度厳選しての取り扱いというかたちになっているために、前年比で下回ったということなのでしょうか? この辺を教えていただければと思います。
青野:古本は、全体的に新刊市場自体の縮小という要因がそもそも背景としてあります。それに伴い当社でも買取が前年比で100パーセントを割る状況があります。リユースは基本的に買取があれば売上が立つ構造のため、買取自体が減少していることが一番影響しています。
坂本:電子になっているという部分も少なからず影響がありそうですね。
青野:そうですね。当社は古本の中でもコミックが主力ですので、それがスマートフォンでの閲覧に移行していることは影響があると考えています。
市場拡大が続くトレカ商材
青野:当社が主力として取り扱っているトレカ商材についてです。2023年の市場規模はおよそ2,400億円まで伸びるのではないかと予測しています。
新品のトレカは5枚を1パックとして数百円で販売されており、ユーザーとしては中身は買うまでわかりません。そのため、手元に置いておきたいもの以外は当社のようなリユース店舗で売却するといった消費行動を取ります。
今、新品市場が活況ですので、それに伴って中古市場も非常に拡大している状況です。
トレカ商材での当社の強み
青野:そのように活況な市場の中で、新品商材を安定的に仕入れることができているのが当社の強みになります。こちらは昔から取り扱いをしていたことが影響しています。
加えて、トレカの買い取りにあたっては知識を持った専門スタッフの査定が必要になるのですが、専門スタッフがいなくとも買い取りができるトレーディングカード読取査定機を開発しています。これを「TAYS(テイズ)」と名付けて直営店舗でも運営しています。
また、トレカの取り扱い店舗数としては現在140店舗を超えており、おそらく業界トップクラスではないかと思います。
そのため、新品・中古のトレカについては、当社は業界でも1位、2位を争うくらいの競争力を保持していると認識しています。
グループビジョンと成長戦略
青野:グループビジョンと成長戦略です。当社グループでは現在、「満足を創る」という経営理念のもとに、「リユースで地域と世界をつなぐ」というグループビジョンを掲げています。
そのような中で、スライド下段にお示しした4つの領域で具体的な取り組みをしています。リユースEC領域では「ふるいちオンライン」、リユース店舗領域では「ふるいち」店舗のFC展開、リユースBtoB領域では「TAYS」の拡販、これらに属さないその他領域ではM&A戦略の推進などというように、それぞれの切り口で具体的な施策を定め、推進しています。
成長戦略全体像 ~リユース業界マップと当社の事業展開戦略方向~
青野:成長戦略の進捗状況についてお伝えしていきます。
成長戦略の全体像をスライドに図でお示ししています。横軸は商品展開で、右側に行くほどさまざまなジャンルを取り扱い、左側に行くほど特定の商材に特化して扱うことを示しています。縦軸は店舗展開で、上に行くほど実店舗、下に行くほどEC店舗が多いことを示しています。
この4象限の中では当社は左上の象限に、子会社の山徳はどちらかと言いますと左下の象限に位置していると捉えています。
この図をベースにして成長戦略の全体像をお伝えすると、上に向かう矢印はリユース店舗領域の出店戦略ということで、実店舗を直営、FC問わず出店していくことを考えています。
右に向かう矢印はリユース店舗領域の商材多様化戦略ということで、いろいろな商材を取り扱いしていけるようにしていこうと、社内で取り組みを継続しています。
右下に向かう矢印はリユースEC領域のOMO戦略ということで、単純にEC店舗を立ち上げるだけではなく、リアル店舗との融合によって、共通の顧客基盤を活用しながら戦略を推進していこうという取り組みです。
そのほかにも、点線でお示ししているBtoB戦略や、我々に足りていない部分については、山徳のようなM&A戦略でよりグループの競争力を高めていく方向も追求していきたいと考えています。
成長戦略全体像 ~OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略の展開イメージ~
青野:OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略のイメージを図でお伝えします。左側に販売チャネル拡大と吹き出しがありますが、テイツー単体で言うと昨年までの状況がこちらで、2022年9月にEC店舗「ふるいちオンライン」をリリースして今は中央のフェーズかなと捉えています。
後ほどご説明しますが、さらにECでの買い取りという機能も付加することで、一番右側の図に示すようにユーザーは実店舗でもEC店舗でも売ったり買ったりできるかたちになります。そのような将来像を掲げて、今、事業戦略を構築している状況です。
リユース店舗領域 ~店舗の出店方針~
青野:リユース店舗領域での店舗の出店方針です。直近の出店方針は、基本的には小型のパッケージ店舗「ふるいち」の出店です。こちらは古本市場の商材を絞って、トレカ、ホビー、ゲーム、古本は一部分、というかたちで展開しているパッケージ店舗です。
リユース店舗領域での出店を進めるにあたっては、今期から店長の育成施策を抜本的に改革しており、今社内で実施しているところです。
出店方針としては、イオンモールを中心にモールへの出店拡大を行っています。出店の初月、あるいは2ヶ月目からすぐに黒字転換するようなかたちで、モールとの相性が非常に良く伸長しています。お客さまも初月から大変多く来店していただいており、今後もモールを中心に推し進めていきたいと考えています。
また、人口集積地への出店ということで、今後は郊外型の店舗についても商店街立地や「古本市場」の路面店があるエリアへの小型店舗の出店などにチャレンジしていきたいと考えています。
FC店舗「ふるいち」の出店については、従来はほぼ直営店舗のみで事業展開をしていたところ、昨年からはトップカルチャー社との合弁会社トップブックス社を通じて出店を加速しています。
他法人からも多くお声がけいただいているため、課題のシステム面の開発等をクリアし、FC展開についても今後加速していきたいと考えています。
リユース店舗領域 ~展開している店舗屋号と店舗数~
青野:リユース店舗領域の屋号と店舗数です。スライドに記載のとおり祖業の「古本市場」店舗が84店舗です。その小型パッケージである「ふるいち」が31店舗あります。それらをすべて合わせて150店舗以上を展開している状況です。
リユースEC領域 ~宅配買取機能実装の検討~
青野:リユースEC領域の宅配買取機能実装の検討についてです。スライドの図でイメージをお示ししています。左側が現在の状況です。先ほどお伝えしたように、ユーザーは実店舗では買取も購入もできますが、ECでは購入しかできません。
そこで、右側のようにECで買取も購入もできる状態へ持っていくために、スケジューリングを行い、この戦略を進めるための議論を社内で行っています。
宅配買取で非常に高い利益率を実現している子会社の山徳がノウハウを持っているため、大いに活用しながら設計準備をしている状況です。
リユースEC領域 ~「ふるいちオンライン」の状況~
青野:黒字化に向けて努力している「ふるいちオンライン」です。昨年9月にリリースしましたが、今の状況についてお伝えしたいと思います。
直近の状況としては、「中古ホビー」と「古本のコミック全巻セット」を4月から商品ラインナップとして追加しました。ひととおりのラインナップの追加が終わりましたので、5月からは本格的に広告出稿を開始して、単月黒字化に向けて鋭意努力している最中です。
各種取り組みの状況をスライド左側に記載しています。効果的な広告媒体へ広告が出稿できるような開発をはじめ、新規ユーザー獲得、既存ユーザーへの販促と、今後いろいろな広告を投下してユーザーを獲得していくことに舵を切りながら、「ふるいちオンライン」を盛り立てていきたいと思っています。
課題としては、品揃え強化のために物流倉庫のキャパを拡大したり、リアル店舗から商品を在庫として移動させたりすることです。ここも今後の取り組みとして進めていきたいと考えています。
リユースBtoB領域 ~TAYSの拡販状況とAIICOⅡの調達状況~
青野:リユースBtoB領域です。「TAYS」の拡販状況と「AIICO(アイコ)Ⅱ」の調達状況をお伝えします。
AI機能を搭載した自社開発のトレーディングカード読取査定機「TAYS」は、第1四半期終了時点で累計の契約件数が125件を突破して、現在も順調に拡販が進行している状況です。
次に、四半期ごとの説明会で長らく調達が遅延しているとお伝えしていた「AIICOⅡ」についてです。
坂本:部品が遅延しているというお話でしたね。中国でしょうか?
青野:おっしゃるとおりです。コロナ禍で半導体の生産が追いつかなかったこともあり、自動販売機の「AIICOⅡ」が調達できていませんでしたが、ようやく8月下旬に調達開始ができそうだというところまできています。
法人向けにお声がけいただくことが多く、こちらも需要が見込まれています。そのような商品ですので、この「AIICOⅡ」についても調達ができ次第、外部販路へ設置を進めていきたいと思っています。
設置をするだけではなく、中身の商品供給も行うことから利益率が非常に高い商材です。ここは組織面、人員面を含めて強化を行い、下期以降に取り組みを進めていく予定です。
坂本:「AIICOⅡ」を置く法人は、おそらく御社から中身の提供があると思いますが、入れ替えなどは法人が行うのでしょうか? 御社が巡回をするのでしょうか?
青野:それはいろいろなパターンがあります。先方の法人にお願いする場合もあれば、当社が巡回して中身を入れ替えるパターンもあります。
坂本:非常に多方面ですね。「TAYS」もおそらく引き合いが増えてきているのではないかと思いますが、これは機器を販売するのでしょうか? どのような仕組みになっているのかについて、イニシャルなどを含めて教えてください。
青野:「TAYS」の契約形態は基本的に2種類あります。
1つは、スキャナーを通してトレカの銘柄、買取価格、販売価格を表示するという仕組みですので、まずスキャナーを初期費用で買っていただくという契約形態があります。購入していただいた上で、月額のランニングで当社が手数料をいただくという契約形態です。
もう1つは、初期費用は一切かからず、月額制のレンタルで機器を貸し出します。
このように、大きく2種類の契約形態があります。「TAYS」は、引き続き事業育成を進めていき、より多くの銘柄のカードを判別できるようにしていきます。
現在は、日本国内のカードに限定した取り扱いですが、海外カードについても取り扱えないか、研究と調査を行っている状況です。
M&A戦略
青野:M&A戦略については、冒頭でもお伝えしましたが、2020年6月にグループ入りした山徳がその後非常に好調な業績を残しており、グループの成長のけん引役として大いに貢献している状況です。
この山徳のように、当社グループに取り込むことでグループ全体の価値を向上させることができるM&A案件があれば、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。
基本的にはリユース事業の周辺領域ですが、会社の規模感はさまざまな状況がありますので、特に上限を設けるのではなくいろいろなご縁に対して取り組みたいと考えています。
2024年2月期の連結業績予想の修正及び増配の実施
青野:直近のトピックスです。2024年2月期における今期の連結業績予想の修正と期末配当の実施について、1ヶ月前に修正をしています。
今回の連結の業績予想は、売上高は前回発表予想から4.9パーセント増の343億円、営業利益は18億円、経常利益は18億5,000万円、当期純利益は11億円にそれぞれ修正しています。
合わせて期末の配当予想は、従前の前期の3円から4円に増配を行い、こちらも1ヶ月前に期末配当を実施すると公表しています。
以降のスライドに参考資料を載せていますので、ログミーFinanceでご覧いただければと思います。以上です。
質疑応答:足元の好調な業績と今後の予想について
坂本:「足元までの業績の伸びに比べると、今後の業績予想が意外と緩やかだと思っています。トレカブームは今がピークで今後は若干なだらかになることや、ゲームが下火になる可能性などを踏まえても、今後の見通しが若干控えめに感じられます。そのあたりについての考えを教えてください」というご質問です。
青野:業績の進捗に対して業績予想が保守的ではないかというお声は日頃から多々いただいています。
今回、第1四半期時点で修正をしたのは、第1四半期の3月から5月と、修正のタイミングでおおよその数字が判明していた6月までの実績を織り込んで、7月以降は計画を据え置いて算出しました。7月以降も6月までと同じような伸びで推移する場合には、確かにもう少し伸長する可能性があります。
ご指摘のように、直近ではポケモンカードの相場や中古トレカの相場が崩れたり、トレカ市場という面ではこのまま伸びていくのかどうかが不透明な部分もあったりするため、計画としてはいったん据え置いています。
ただし、実際のところは足元の8月に入っても順調に推移しています。また、今後トレカ市場の相場が揺り戻しで下がることも考えられますが、プレーするユーザー層自体は拡大しています。
現在、一部のカードゲームで見られる転売を目的にした購入については、今後の市場の健全な発展という意味で、是正されるべきではないかと会社としても感じています。いずれ市場が正常化する局面が訪れるのではないかと捉えています。
坂本:足元ではカードゲームやカード相場の崩れが若干見られると思いますが、御社の在庫が赤字になるほどの相場の変調はあったのでしょうか?
青野:単月で見ていくと、確かに単価の下落の影響はあると捉えています。4月、5月あたりの単価に比べると、直近の7月、8月の単価は少し下がっています。
ただし、それが故に赤字になったり、過去に買ったカードの価値がなくなって赤字になったりするかというと、そこまでの影響はまったくありません。
逆に、相場変動に合わせて中古の価格をコントロールするという面で、当社の強みが発揮されているのではないかと捉えています。
坂本:乗り切れているということですね。
質疑応答:「ふるいちかわら版」の発表日時について
坂本:「『ふるいちかわら版』を毎月発表されていますが、こちらの簡単なご説明と、発表する日時を固定するのは難しいのかどうか教えてください」というご質問です。
青野:「ふるいちかわら版」は2021年4月から発行しています。それ以前は1年ほど何も行っていない期間がありましたが、月次の概況を既存店と全社で、対前年で何パーセントかを示すという一般的にあるかたちで行っていました。
そのように発表していたのですが、前年比での数字の記載も行いつつ、さらにその他の定性的な会社の状況を記事として載せて、A4判1枚にまとめて毎月の月初に発表していくことを始めました。今、2年と少し経過した段階です。
以前は発表のタイミングがバラバラでしたが、2023年7月からは基本的に5営業日目の16時の開示と統一しました。よって、今後は統一の日時に発表する運用にしていきたいと考えています。
質疑応答:「ふるいちかわら版」に対する機関投資家からの反応について
坂本:「『ふるいちかわら版』について『機関投資家にも買われるようになりたい』というコメントがあったと記憶していますが、手応えはいかがでしょうか?」というご質問です。
機関投資家が買ったかどうかは四季報を見ればある程度イメージが湧くと思いますので、おそらくミーティングの回数や質問の中でどのような質問が多いのか、どのようなところに興味を持っているのか、といったことに興味を持たれていると思いますので、そのあたりをうかがいたいです。
青野:ミーティングの回数は、直近株価の上昇局面に伴って徐々に増えてきています。当社でも四半期ごとに約10件以上の取材を受ける状況になってきました。
よく受ける質問はトレカに関することが非常に多く「今後、この市場はどのようになっていくのか?」「下落局面は来ないのか?」とよく聞かれます。
短期的に見ると、大きく下げる要素は今のところあまりないとお答えしています。中期的には、先ほどお伝えしたように少し揺り戻しのタイミングがもちろん来るだろうと思っています。そのような質問が非常に多いです。
質疑応答:「TAYS」のストック収入について
坂本:「『TAYS』については、月額のランニングコストはあるのでしょうか?」というご質問です。
こちらについては先ほど、いろいろな販売形態があり大きくは2種類とお話しいただきました。おそらく個人投資家もストック収入について興味があると思いますので、そのような部分が存在するのか教えてください。
青野:「TAYS」はいわゆるストック型のビジネスと言えます。売り切って終わりという契約ではなくて、販売をして月額で毎月手数料をいただくビジネスです。
坂本:ストック型ビジネスということですね。御社が細かくデータ提供する分の対価はきちんともらうかたちなのですね。
青野:そうですね。売買価格が日々変動しますし、新作が発売されたら商品情報も追加していくため、「商品としてこれで完成です」ということではなく継続的にアップデートし続ける必要があります。その情報提供の対価として手数料をいただいています。
質疑応答:人材の確保と育成施策について
坂本:「今後の成長に出店は欠かせない部分だと思います。最近は小型店舗も多いとは言え社員は最低でも1人は必要だと思いますが、人材の確保状況はいかがでしょうか?」というご質問です。
青野:人材確保は新卒採用と中途採用、加えてアルバイトからの内部登用が大きな手段になっています。その際に多いのは、いったん契約社員へ登用してそこから社員へ登用していくかたちです。出店にあたっては、やはり店長の育成が重要になってきています。
坂本:スライドにも育成施策について記載がありますが、このあたりについても教えてください。
青野:今期からは、店長として必要なスキル、マインドを整理した上で、およそ8ヶ月にわたる断続的な教育研修メニューを提供していきます。従来はどちらかと言うと自発的な挙手を待つスタンスだったのですが、入社年次で区切って自動的に教育研修を受けてもらう体制に変えています。
来期以降も教育施策の拡充については取り組みを進めていきたいと思っています。
質疑応答:ホビー商材の販売戦略について
増井麻里子氏(以下、増井):「ホビー商材のこれからの販売戦略について聞きたいのですが、次に注力していきたい商材は何でしょうか?」というご質問です。
青野:中古ホビーは今まさに足元で注力している商材の1つになります。その他に、成長戦略の説明の中でも触れましたが、いろいろな商材を取り扱えるようにという取り組みも行っています。
業務提携先の買取王国からもノウハウの提供を受け当社店舗に導入しています。どのようにすれば、古着、ブランド品、キャンプ用品などを扱う総合リユースの店舗を当社でも実現できるのか、さまざまな取り組みを進めています。
質疑応答:想定している出退店数について
坂本:「想定している店舗の出退店数の数字があれば教えてください」というご質問です。
青野:直営店については今期は10店舗、来期も同じように10店舗程度の出店を予定しています。これは先ほどの育成の話とも関連しますが、店長の育成が追い付かないと直営店舗展開のアクセルを踏み込めないため、育成と同期させながら出店していこうと考えています。
また、FC展開についてですが、もともと当社の販売システムはFC展開を前提に構築されたものではありませんでした。そのため、投資をして、FC展開に耐えられるように改変した上で実際にお声がけいただいている法人との契約交渉を進め、来期以降はトップブックス社だけでなく他の法人でのFC展開も進めていきたいと思っています。
坂本:トップブックス社のようにやはり隣接業界からのお声がけが多いのでしょうか? あるいはまったく関係ない小売業者もあるのでしょうか? まだ発表できる段階ではないかもしれませんが、イメージとしてあれば教えてください。
青野:まったく関係ない業界というよりは、やはり扱う商材が似通っている会社からお声がけをいただくことが多いです。
坂本:シナジーを狙って、ということですね。
質疑応答:トレカのインバウンド需要について
増井:「トレカの購入者は外国人比率が高いのでしょうか?」というご質問です。
青野:当社でも秋葉原の店舗などでは、インバウンド需要を顕著に感じることができます。ただ、基本的に「古本市場」の店舗は郊外型で、またイオンモールに立地する「ふるいち」ではあまりインバウンド需要がありません。したがって当社の場合、購入客は圧倒的に日本人です。秋葉原の店舗には外国人もたくさん来ますが、当社の中では一部になります。
増井:今後インバウンド需要の取り込みを拡大する予定はありますか?
青野:インバウンド需要は取り込みたいとは思っていますが、当社の店舗はインバウンド客が来るような駅前などの立地ではないため、その部分は以前から苦心惨憺しています。
質疑応答:「AIICOⅡ」について
坂本:「トレカ自販機『AIICOⅡ』の外販は本体購入より完全委託導入のほうが多いのでしょうか? また、委託料などについて、可能な範囲で教えてください」というご質問です。
青野:「AIICOⅡ」は機器自体を売り切るというビジネスではなく、基本的にはスペース賃料をお支払いして、機器に設置した中身を供給してその売上を当社が確保するというビジネスです。したがって、「TAYS(テイズ)」と同じように、基本的には毎月ランニングで売上が上がってくるビジネスとしての展開しています。
坂本:誰が補充をするのかといった点は違うと思いますが、イメージとしてはジュースの自販機みたいなビジネスになるのでしょうか?
青野:イメージとしては近いです。
質疑応答:電子化が中古ビジネスに与える影響について
坂本:「電子化が中古ビジネスに与える影響について見通しを教えてください」というご質問です。
おそらく質問した方は、カードやトレカが電子化した場合、中古の物流が滞ってしまうことを危惧しているのだと思います。御社はどちらかと言うとアナログの販売という業態だと思いますが、最近の電子化の流れについてご意見があれば教えてください。
青野:電子化が進んだことによって、一部の銘柄では中古トレカの相場が少し下落しているものもあります。その銘柄は当社では取り扱っていないため直接の影響はないのですが、当然将来的なリスクは捉えています。
一方で、メーカー側も実対戦に比重を置いて商品を販売しているため、見通せる将来の中でリアルな紙のカードが廃れていくことは考えにくいと思っています。メーカーの施策展開にもよりますが、中身のコンテンツで遊ぶゲーム商材などと違って、紙を使って遊び、紙に印字されたカードをコレクションするという需要もあるため、デジタルコンテンツには置き換わりにくいと捉えています。
坂本:私も同じように考えています。なぜなら、カード販売している会社は作ろうと思えば端末なども作れますし、販売すればかなり高額になると思うのですが、作っていないからです。したがって、紙の良さをわかった上で続けているのだろうと思います。
青野:当社としても同じような認識をしています。
質疑応答:台風7号の被害について
坂本:「今回の台風7号で被害影響はありましたか?」というご質問です。
青野:京阪神の店舗や岡山の店舗については終日休業したり、時短措置で早めに閉店したりしました。幸い大きな影響はありませんでした。
質疑応答:機関投資家向け説明会の質疑応答の公開について
坂本:「機関投資家向け説明会の質疑応答を公開していただけないでしょうか?」というご質問です。
青野:機関投資家向け説明会は、決算発表の同日から数日後に実施しています。当社ではログミーを通じた文字起こしサービスを活用しており、質疑応答についても文字起こしをして、当社のホームページやログミーFinanceに掲載しています。
質疑応答:山徳の今後の展開について
坂本:「今後の山徳の展開について教えてください。山徳の『トレトク』は好調とのことですが、着物やブランド品の売上はいかがでしょうか?」というご質問です。
青野:山徳の事業拠点は、業容拡大にしたがって石川県内に点在しており、当社のグループ入りする以前から、拠点統合によるコスト削減やコミュニケーションロスの削減が悲願になっていました。
そのため、良い物件があればぜひ取得して拠点を統合し、業務効率の向上と業容拡大を進めていきたいと考えています。
着物やブランド品はトレカの陰に隠れていますが、着実に利益貢献しています。
質疑応答:M&Aで想定している規模と業態について
坂本:「M&Aは良い案件があれば進めていきたいというお話でしたが、想定している規模と関心のある業態について教えてください」というご質問です。
青野:規模については、当社の今の会社体力では何十億円とは言いづらいのですが、デットあるいはエクイティなどの手段を重ねてできる上限は、数億円ではなく何十億円レベルになると捉えています。業態については、当社が扱っていない商材に長けていればありがたいと考えており、総合リユースあるいはECで専門商材を扱っている会社などには興味があります。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:消費者は他店の販売在庫も把握できるのでしょうか?
回答:店頭にてお問い合わせいただければご案内しております。ただし、抽選販売品など一部の人気商品については対応していないケースもございます。
<質問2>
質問:ゲームのヒット商品が発売されることを織り込んでいるのでしょうか?
回答:当事業年度にかかわらず、不確定要素は織り込んでおりません。
<質問3>
質問:御社の「ふるいちオンライン」の成長性にかなり期待しているのですが、「ふるいちかわら版」等で商材ごとの売上の前月比(または前年比)の伸び率を発表していただくことは難しいでしょうか?
回答:基本的には四半期ごとにお示しすることとしております。貴重なご意見として承り、以降の「ふるいちかわら版」などの月次概況作成の際の検討事項といたします。
<質問4>
質問:「ふるいち」のFC店舗のロイヤリティの徴収方法は何ですか? さらに、答えるのが難しいかもしれないですが、ロイヤリティ率はどれくらいでしょうか?
回答:売上高、あるいは売上総利益に対する一定の割合をロイヤリティとしてお支払いいただいております。ロイヤリティ率については、非公開情報ですので回答はご容赦ください。
<質問5>
質問:トレカが投資対象として扱われることが増えてきましたが、このような動きは御社にとってプラス・マイナスどちらに働くと思いますか? 理由も併せて教えてください。
回答:投資目的でのトレーディングカード購入は主に鑑定付商品が対象になると認識しております。当社では鑑定付商品の類は取り扱っておりませんが、「鑑定に出すための状態の良いレアカード」をお求めのお客様のニーズには応えられます。よって、プレーヤーだけでなく、投資目的でのお客様が増加することは、短期的な売上面ではプラスに働くと考えております。
<質問6>
質問:「ふるいち」の店舗で①イオン等のモールの店舗、②名古屋大須店等のモール以外の店舗、③トップブックス店等のFC店舗のそれぞれの売上はどれくらいの比率でしょうか?
回答:①のイオン等のショッピングモール店舗の売上を1とした場合、②のモール以外の立地店舗は①と同等、FC店舗が0.5といった比率です。ただし、この数値は各店舗カテゴリの平均値での概算ですので、個店別で大きく状況が異なるケースがありますので、目安としてご認識いただければ幸いです。
<質問7>
質問:御社のリユースBtoBはどれも素晴らしいですが、トレカ市場の動向に左右されやすい気がします。トレカ以外のリユースBtoBの構想はありますでしょうか?
回答:現時点でお話しできるような具体的構想はございませんが、現在のトレカ関連BtoB事業のように、当社の事業に関連するもので、BtoB展開が見込めるモノやサービスがあれば随時検討してまいります。
<質問8>
質問:従業員への決算賞与は素晴らしいと思うので今期以降も継続していっていただきたいですが、2023年度の第4四半期の営業利益(連結)が前年同期比で減益しているとミスリードを与える可能性があるため、決算賞与等の一時的な人件費の影響を除いた数値(営業利益約4.70億円、営業利益率約4.92パーセント)を決算説明書等で参考数値として記載することは難しいでしょうか?
回答:貴重なご意見として承り、以降の決算説明資料の作成の際の検討事項といたします。
<質問9>
質問:トレカで一番高い商品の値段はおいくらでしょうか?
回答:ご参考までに、現在の相場で在庫がある商品で言えば、販売価格が150万円前後の商品がございます。
<質問10>
質問:EC店舗における配送料コストはどのくらいでしょうか?
回答:詳細なコストについては非公開としておりますので、回答はご容赦ください。