目次

中島太氏(以下、中島):はじめまして。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。限られた時間ではありますが、当社の事業内容や事業戦略などをご説明しますので、よろしくお願い申し上げます。

本日の目次です。こちらの内容に沿ってご説明します。

ハイマックスについて〔代表者紹介〕

中島:あらためまして、株式会社ハイマックス代表取締役社長の中島です。簡単に自己紹介させていただきます。

もう40年ほど前のことになりますが、「今後、世の中ではコンピューターを活用して、社会が便利になっていくんだ」と思い、学生時代から情報処理を勉強していました。当時、ハイマックスは創業10年で、まだ売上高7億円という規模でしたが、当社と業界の将来性を感じ、入社しました。

入社後は、SEとして多くのシステム開発に従事しました。また、2007年に当社が開発している全プロジェクトを対象に、品質などを横串で管理・支援するプロジェクト管理室立ち上げの責任者となり、年間で100プロジェクト以上を見てきました。その後、現場の本部長・執行役員を経て、50歳の時に社長に就任しました。

ハイマックスについて〔会社概要〕

中島:会社概要をご説明します。設立は1976年で、今年度で47期目を迎えています。本社は設立以来、横浜にあります。事業内容は、ソフトウェアの企画、設計・開発およびそのメンテナンスサービスの提供です。事業規模は2022年3月期の実績で売上高166億円、営業利益17億円、従業員数912名です。

ハイマックスについて〔経営指標〕

中島:直近の主な経営指標の推移です。中でも、収益性の指標である売上高営業利益率とROEが、ともに2桁となりました。また、安全性を示す自己資本比率は、約8割の水準となっています。

ハイマックスについて〔沿革・業界動向〕

中島:当社が属する情報サービス産業の歩みと社会情勢を図に示しました。スライド中央に記載の水色の棒グラフは、当社グループの売上高の推移を表しています。

まだ売上高が10億円にも満たなかった1986年から、先端技術の研究開発を行う専門部署を新設し、1988年には人材開発の専門部署を新設するなど、技術力の向上と人材の育成に、継続して注力してきました。

2001年にJASDAQに上場し、2015年には東証1部銘柄に指定され、同時に売上高が100億円を超えました。現在は、さらなる飛躍を目指した中長期経営計画の実現に取り組んでいます。

当社の強み・特長〔人材育成〕

中島:ここからは、当社の強み・特長についてご説明します。昨今の技術者不足への対応として、新卒の採用者数を従前の30名程度から、直近では60名程度まで増やしており、今年4月入社予定の採用者数は、連結で97名を予定しています。

新入社員の導入教育は、3ヶ月間しっかりと行います。そのほか、技術面や階層別に社内外の教育カリキュラムを整備しており、技術を確実に身に付けて着実に成長できるよう、スキルと経験を軸としたキャリアパス制度も整備しています。

当社の強み・特長〔技術力向上〕

中島:スライドの左側に記載の表は、情報処理技術者試験制度など資格の一覧です。資格取得者は社内で表彰するなど、積極的にチャレンジしてもらう仕組みを設け、推奨しています。この実績は、当社のホームページでも継続して掲載しており、業界でも誇れる水準であると自負しています。

また、データ分析などのDX系技術者の育成と、プロジェクトの現場責任者であるプロジェクトリーダーの育成を重点教育として位置付け、特に注力しています。また、全社員にeラーニングの必須講座を導入し、さらなるスキルの向上に取り組んでいます。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を混ぜながら進めていきたいと思います。今、人材についてお話しいただいているところですが、非常に多数の方が資格を取得されています。会社として、資格取得のバックアップはどのように行っているのか教えていただきたいです。人材あっての会社だと感じましたので、ぜひお聞きしたいです。

中島:資格はそれぞれ難易度が異なっていますので、その難易度によって事前に模擬試験などを準備しています。また、実際に教育のセクションがありますので、そちらから模擬試験を社員のみなさまにお渡しして、なるべく本番当日に想定外の試験問題が無いように取り組んでいます。

さらに、めでたく合格された社員のみなさまには、心ばかりですが、お祝い金もお渡ししています。

坂本:うれしい取り組みですね。

松浦千佳氏:そうですね。やる気につながりますね。

坂本:それはキャリアによって、やはり「これくらいの年次ではこれくらいの資格を取ってください」という目標などがあるのでしょうか?

中島:ご指摘のとおりです。先ほど少しお話ししたキャリアパス制度の中に、「どの年次でどの資格を取りましょう」という目安を準備しています。

当社の強み・特長〔サービス分野〕

中島:当社の強みとして、システムのライフサイクルの全領域にサービスを提供できることがあります。

システムを構築するには、まず「どのような業務を処理するのか」という企画から始まります。次に、システムを設計し、開発を行います。開発が終わり、システムが稼働してお客さまが利用を開始して以降も、保守・メンテナンスが必要となります。そして、一定期間システムが利用されると、次のシステム再構築の計画が検討されるというライフサイクルになっています。

特にメンテナンスサービスでは、長期間の安定した取引が確保できるとともに、お客さまの業務ノウハウを蓄積することができます。その業務ノウハウを活かすことで、次期システムへの参入が優位になります。企画、設計・開発の工程で領域を拡大し、稼働後のメンテナンスで継続受注することにより、安定した売上高の拡大につなげています。

坂本:スライドの中に、システムメンテナンスサービスの割合が伸びているという記載があります。確かにこれが安定収益の1つであると認識していますが、この傾向は、今後も続いていくのでしょうか?

中島:従来のシステムであれば、今後も続いていくと言いたいのですが、やはり昨今はDXの世の中になっていますので、ただ単にメンテナンスをしているだけでは、おそらく先細りしていくのではないかと考えています。

メンテナンスサービスの中でも、それほど大きくないような改修を随時入れていくように、我々からご提案していくようなスタイルが必要だと思います。

坂本:もう少し詳しくおうかがいしたいのですが、クラウドを使ってDXがどんどん推進されている状況で、従来のサーバー構築があってのシステムから、クラウドを伴ったシステムに変わることによって、メンテナンスの高度化も当然あり得ると思います。メンテナンスの必要性や、御社の活躍する場所は増えるのでしょうか?

中島:ご質問のとおり、システムは徐々にクラウド環境に移行しており、以前のようにサーバーを構築し、そのサーバーがEOSL(End Of Service Life)を迎え、次の新しいサーバーに入れ替えるという流れは、おそらく少なくなるだろうと思います。

しかしながら、クラウド上に構築したシステムなど、ソフトウェアの面ではサポートの期限が切れてくることもありますので、これまでのようなボリューム感はないかもしれませんが、このようなライフサイクルはつながっていくのではないかと見ています。

当社の強み・特長〔ユーザー業種〕

中島:次に、当社が開発したシステムをご利用いただいているユーザーの業種についてご説明します。銀行、証券、保険、クレジットといった金融業界向けが約7割、公共、流通、その他のサービスや製造業などの非金融業界向けが約3割の構成となっています。

各業種のシステムは重要な社会インフラとなっており、いったんシステム障害が発生すると社会に大きな影響を与えます。そのため、開発する側の我々も高い技術力と業務ノウハウが求められます。当社は創業以来、特に高い信頼性が求められる金融業界向けを主軸に売上を拡大してきました。

坂本:前回のセミナーでも御社が金融業界に強い理由をおうかがいしたのですが、今回初めての方もいらっしゃるので、簡単に教えていただきたいと思います。また、今後もこの割合はあまり変わらないイメージなのでしょうか?

中島:1つ目のご質問については、私が社長に就任したちょうど7年前の時点では、実は金融業界向けの割合が8割を超えており、いわゆる非金融と呼ばれるような業種のお客さまは2割ほどでした。

中長期経営計画の中で、この割合をどうにか7対3まで持っていきたいと考えて取り組み、おかげさまで昨年実現することができました。

2つ目のご質問の、今後の割合については、やはり今後も金融以外のお客さまの割合を多くする方針で進めていくことになると思います。

その理由として、DXの世界では、どちらかといいますと非金融業界のお客さまのほうがスピード感がありますので、我々としてはそちらの技術にシフトしていこうと考えています。したがって、もう少し非金融業界向けの割合が増えていくのではないかと考えています。

坂本:とはいえ、金融業界向けではシステムも比較的複雑ですし、この前もお話ししましたが、背景となる債券や金利のことを理解している技術者を必要とする部分があるため、おそらく開発が非常に難しいといいますか、技術者の中でも知識が必要な分野だと思います。それも維持しつつ、新しい業界のDXも増やしていくというイメージでしょうか?

中島:ご指摘のとおりです。やはり、金融を主軸にすることは変わらないと思います。先ほどのご説明でも触れましたが、当社の社員には、信頼性の高いシステムを確実に作り上げる技術を身に付けていただきたいと考えています。語弊のある言い方かもしれませんが、そちらから非金融に行ったほうが楽だということです。

坂本:もともとのクオリティが高いため、スピードが上がればそちらでも戦えるということですね。

中島:おっしゃるとおりです。後ほどお話ししますが、非金融の案件も採算性が上がってきた状態です。

当社の強み・特長〔主要顧客〕

中島:主要顧客ついてご説明します。大手システムインテグレーターとの代表的な取引先は、当社にとって最大の取引先である野村総合研究所などです。また、システムをご利用いただく企業から直接受注しているエンドユーザー企業は、JCBやALSOKなどです。30年以上にわたって継続取引しているお客さまが売上高の約5割、20年以上継続取引しているお客さまが約7割を占めています。

坂本:取引が長いことも信頼の証だ思います。エンドユーザーからの直接受注は、技術者にとって非常にやりがいがあり収益性も高いと思いますが、割合はどのくらいでしょうか? 最近増えているかどうかも教えてください。

中島:私が社長に就任した当時は、エンドユーザーからの直接受注は2割を切る状態でした。「システム開発に携わる以上は、エンドユーザーから仕事を直接受けたい」というSEも多いため、Sier7割、エンドユーザー3割を目標としたところ、昨年達成することができました。極端に舵を切ることはありませんが、今後の成長の中で、バランスが取れたかたちでエンドユーザーの割合を増やしていくことになると思います。

開発事例

中島:ここからは、一般消費者の生活の中で、当社が開発に携わったシステムが活用されている事例をいくつかご紹介します。

開発事例〔保険業界向け〕

中島:生命保険業界向けでは、営業職員がタブレット端末を活用し、お客さまと対面しているその場で保険商品をご提案できる「保険加入審査システム」の開発に携わっています。スピーディにオーダーメイドの提案ができることで、保険会社の業務効率化および競争力向上を支援しています。

開発事例〔クレジット業界向け〕

中島:クレジットカードの偽造などによる不正利用は年間300億円以上も発生しており、クレジットカード会社にとってその対策は重要な経営課題となっています。

クレジット業界向けでは、クレジットカードの「不正利用検知システム」の開発に携わっています。こちらは数十億件の膨大な利用履歴から不正利用パターンを解析し、不正利用の可能性を検知するシステムで、安全で安心なキャッシュレス社会に貢献しています。

開発事例〔流通業界向け〕

中島:流通業界のコンビニ向けでは、近隣のイベント開催情報や天気予報などをもとに、今後の売れ筋商品を分析し、その品揃えの充実を図る「店舗システム」の開発に携わり、暮らしに便利なコンビニの店舗運営を支援しています。

開発事例

中島:このように、当社が提供するサービスはユーザー企業の経営戦略を実現するとともに、便利で快適な生活を望む消費者の社会的インフラとなっていると考えています。

開発事例〔DX案件〕

中島:昨今、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉をよく耳にすると思いますが、当社もこのDX案件を積極的に受注することに取り組んでいます。

あらためてご説明すると、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、蓄積したデータとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

開発事例〔DX案件〕

中島:当社が受注しているDX案件の事例として、現在構築中ではありますが、生命保険会社向けのデータ分析および機械学習モデル構築案件をご紹介します。こちらは効率的に保険の契約を獲得することを目的としたシステム開発です。

具体的には、例えば過去の営業記録などから契約に至ったプロセスを抜き出し、この膨大なビッグデータから、機械学習モデルというAIを活用して契約に至った法則性を導き出し、営業職員に契約獲得につながるようアドバイスするシステムです。

このように、当社はビッグデータとAIなどのデジタル技術を活用したシステムの開発を通じて、お客さまの業務を変革し、かつ競争上の優位性を確立する支援を行っています。

開発事例〔DX案件〕

中島:他にも、スライドに記載したとおり、デジタル技術を活用した多くの案件を受注しています。

坂本:開発事例をいくつかご紹介いただきましたが、営業活動についてお聞きしたいと思います。一次請けで仕事を受ける場合、どのようなかたちで営業しているのか、接点や手法などを教えてください。

中島:一次請けの案件については、お客さまのシステム部門ではない、いわゆる業務を行っている部門に当社のSEが入っています。そこからDXを駆使し、「このようなシステムを構築してはどうか」というアプローチを行っています。

坂本:地道な信頼と積み上げが必要な営業ですね。非常によくわかりました。

開発事例〔DX系の事業〕

中島:その他のDX系の事業としては、RPAの導入による「働き方改革」の支援があります。RPAとはロボットによる業務の自動化のことで、人工知能技術を用いてオフィスの業務代行をすることです。これにより、例えばこれまで5人必要だった業務を2人で行うことが可能になります。

当社は国内大手企業の大規模な作業時間削減プロジェクトに参画し、RPAを活用して年間数万時間の作業時間削減に寄与しました。

開発事例〔DX系の事業〕

中島:また、業務の生産性をさらに向上させるため、AI-OCRを活用したソリューションを提供しています。OCRは、書類をスキャンした画像データなどから文字を読み取り、コンピュータで扱える文字コードに変換する技術のことです。

このAI-OCRと複数の業務システムを連携させるEAIツールを連動させることにより、例えば紙の請求書をスキャンで読み取るだけで、会計システムへのデータ登録を自動で行うことも可能となります。このソリューションを導入いただいた企業では、請求書の会計処理業務が1ヶ月あたり約60パーセント削減できた実績があります。

坂本:金融機関は紙の利用が多いと思いますので、企業とさまざまな取り組みをしていると思いますが、御社のツールの製品特徴、強みなどがあれば教えてください。

中島:実は、当社独自で製品を保有しているわけではありません。世の中に出ている製品を組み合わせ、必要な時には他社とアライアンスを組みながら、お客さまにマッチした製品を扱うようにしています。

業績動向〔売上高・営業利益の推移〕

中島:業績動向についてご説明します。スライドのグラフはリーマンショック以降の業績推移を記載しています。2010年3月期は売上高・営業利益ともに影響を受けましたが、それ以降は回復基調をたどり、2015年3月期に売上高は100億円を超えました。直近の実績では、12期連続の増収、営業利益は9期連続の増益となっています。

坂本:冒頭にもご説明があったように、売上高営業利益率、ROEが非常に伸びているということですが、その背景を教えてください。

中島:当社は、長い間7パーセントから8パーセント程度の利益率で推移していたのですが、中期経営計画において生産性を上げる工夫をしたり無駄を排除したりしたことや、増収の影響により、2桁が維持できたと考えています。

業績動向〔2022年3月期実績〕

中島:2022年3月期の業績実績です。流通および運輸業界向け新規案件への参入、またカードの不正利用検知システムやDX案件の拡大により、売上高は前期比8.1パーセント増収の166億8,100万円となりました。

利益面ではプロジェクト管理の向上に伴い、特に非金融向けの案件を中心に採算性が向上したことにより、営業利益17億1,600万円、経常利益17億1,900万円と、それぞれ前期比25.5パーセント、同25.6パーセントの増益となりました。

業績動向〔2022年3月期第3四半期決算概要〕

中島:足元の動向として、2023年3月期第3四半期の業績です。公共の中央官庁や空運およびDX系の案件が拡大し、売上高は前期比6.8パーセントの増収の130億2,500万円となりました。利益面では技術者不足に伴い外注単価がアップし、利益を圧迫しましたが、生産性の向上と増収の効果で、営業利益は前期比3.2パーセント増益の13億5,600万円となりました。

業績動向〔2023年3月期通期予想〕

中島:第3四半期までの業績の進捗状況を踏まえた、通期の業績見通しです。売上高は次期受注案件の期ズレが発生したため、当初計画より5億円減額の172億5,000万円としました。

一方、営業利益は生産性の向上やコスト削減などにより、当初計画を若干上回ることが見込まれるため、18億円としました。引き続き、増収増益の計画です。

株主還元・株式〔配当推移〕

中島:当社の株主還元策についてご説明します。安定的かつ適正な利益還元を継続実施することを配当政策の基本方針としており、連結配当性向は40パーセントを目安としています。これにより、今期の配当計画は通期で3円増配し、43円とする計画です。配当性向は39.6パーセントとなる見込みです。

坂本:株主還元についてご質問です。40パーセントの配当性向は日本株において、他社に比べても非常に高い水準だと思っていますが、自社株買いを考えているのでしょうか? また、自社株買いを行った際の配当目安も、この配当性向40パーセントが維持されるのでしょうか? 

未来のお話ですので、今すぐこうするという話ではないと思うのですが、お話しできる範囲でかまいませんので、イメージがあれば教えてください。

中島:そうですね。仮に自社株買いを実行したという想定でお話しすると、今のところ40パーセントの配当性向の目安を変更するといった考えは持っていません。先ほどもお伝えしたとおり、安定的かつ適正なということで、「安定的な」というほうをしっかり継続していきたいという思いです。

株主還元・株式〔株主優待制度〕

中島:当社の株主優待制度は、毎年3月末に100株以上を保有する株主さまに対して、記載の保有株式数に応じた社会貢献型のQUOカードを贈呈しています。投資魅力を高め、より多くのみなさまに当社株式を保有していただきたいと考えています。

坂本:個人投資家から、株主優待に関してよくある質問というよりは要望のようなものがあります。長期保有の株主に対して優待をさらに増やすという企業もありますが、御社はそのようなお考えはあるのかどうか、イメージでかまわないので教えていただきたいです。

中島:こちらも将来のことですので、仮定ということでお話しします。当社の株主さまの保有年数の分布を見ると、実は長期に渡ってお持ちいただいている方が大半です。ですので、このようなお声はどんどん増してくると予想しています。私どもとしては、貴重なご意見として、会社の中でしっかり検討していきたいと思います。

株主還元・株式〔株価推移〕

中島:当社の株価の動向です。スライドのグラフはどちらも直近3年間の推移で、上段が当社の株価、下段が「情報通信」および「TOPIX」とパフォーマンス比較したものです。

本日2月14日の当社株価の終値は1,422円、配当利回りは3.02パーセントです。PERは13.1倍、PBRは1.66倍、時価総額は約177億円となっています。

サステナビリティへの取り組み

中島:当社のサステナビリティへの取り組みについてです。持続可能で真に豊かな社会の実現に向けて、ご覧のようにSDGsで特に重要な課題を定め、微力ではありますが、本業を通じて貢献していきたいと考えています。

サステナビリティへの取り組み

中島:社会への貢献活動としては、創業の地、横浜への貢献をテーマに活動しています。具体的には、水源林を保全する活動を支援したり、また横浜市内の小学生が描いた、環境をテーマにした絵日記の優秀作品に対して「ハイマックス賞」を授与したりしています。

当社ホームページのご紹介

中島:当社のホームページをご紹介します。企業情報や財務情報を積極的に開示しています。その他にもサステナビリティへの取り組みを掲載しているため、当社をよりご理解いただくためにも、ぜひアクセスしていただければと考えています。

カンパニー・ステートメント

中島:最後になりますが、当社のカンパニー・ステートメントは「Your best partner.」です。「お客様から信頼され、選ばれる存在であり続ける」ということが、当社の存在意義であると考えています。お客さまに加え、大切な株主さまや投資家のみなさまからも、信頼され選ばれる企業であり続けたいと考えています。

以上で、私からのご説明を終了します。本日はお忙しい中、当社の説明会をご視聴いただきまして、誠にありがとうございました。

質疑応答:業種別販売先の拡大見込みについて

坂本:事前にいただいたご質問からうかがいます。「業種別の販売先について、今後拡大していく見込み先はどのあたりでしょうか?」というご質問です。

スライド9ページでご説明いただいたように、非金融を増やしていくということですが、公共と流通というセクターは見えているため、その他の業種も含め、方針や業界環境について教えていただければと思います。

中島:この数年で非金融分野の販売先を伸ばしてきているものの、実は開拓したお客さまの幅広い部署にはまだ貢献できていません。そのため、むやみやたらにお客さまの数を増やすよりも、今入らせていただいているお客さまの隣の部署などにしっかり展開していきたいという思いがあります。

質疑応答:決算説明会における機関投資家の発言の書き起こしについて

坂本:「『ログミーファイナンス』など決算説明会の書き起こしメディアがありますが、この中には機関投資家とやりとりした部分の文字起こしがありません。機関投資家と個人投資家の情報格差是正のために、所属などは記載しないかたちでかまいませんので、その部分の文字起こしを載せていただきたいです」というご要望をいただいています。

こちらは機関投資家から「載せないでほしい」という依頼があるのかどうかも含めて教えてください。

中島:実はコロナ禍前までは、決算のたびに機関投資家さま向けの説明会を開催していたのですが、この数年は動画を提供するかたちにしています。その中でご質問を受ければ、そちらを文字に起こすことを考えていたのですが、実はこの丸3年、不思議なことに1つもご質問がありません。

坂本:書き起こしを載せるつもりではいるということですね。

中島:そのとおりです。ご質問があれば記載し、広めていければと考えています。

坂本:確かに機関投資家にしか聞けない質問もあります。彼らとしては手の内を明かすことになりますが、匿名であればいいのではないかと思います。機関投資家の質問があればさらに理解は深まりますし、プロはこのように見ているというポイントがわかると、非常にいいと思います。

中島:貴重なご意見として承ります。ありがとうございます。

質疑応答:人材獲得に関する工夫について

坂本:人材教育については先ほどご質問しましたが、次は人材獲得についてです。御社は今回60名ほどの新卒を採用するというお話でしたが、人材獲得に関する工夫について、翌期4月の人材採用は足りているのかということも併せて教えていただければと思います。

中島:まず、人材の獲得が足りているかどうかについてご回答すると、おかげさまで予定よりも多く採用することができています。実はそこの仕掛けとして、日本全国の大学の先生と何十年もパイプを作っており、その大学の学生にインターンシップに来てもらっています。大学の先生が推薦するような学生ですので、安心して採用させていただいている状況が長い間続いています。

加えて一般公募ですが、おかげさまで世の中のこの状況においても順調に進めさせていただいています。

質疑応答:非金融セグメント取引先との取り組みについて

坂本:非金融セグメントについての質問です。「流通運輸に関して、設備投資や人件費への問題、残業の規制などがあると思います。その関係もあってDX化を進めていくというかたちだと思うのですが、ここに対する御社のお取引先とのご提案や取り組みなどについて教えてください。また、業界が好調であるために意外と伸びるということもあるのでしょうか?」というご質問です。一つひとつでかまいませんので、お答えいただけると助かります。

中島:非金融のセグメントに関して、流通というお話も出ました。やはりコロナ禍も後押しして、例えばスーパーマーケットのようなお店に買いに行くというこれまでのスタイルから、Web上で商品を注文するといったスタイルに変わってきているため、そこはいち早く察知してECサイトの構築という提案などを進めています。

さらに、業界として後押しされた点もありました。あまり良い経験ではないものの、コロナ禍を経験する中で、これまでの常識が100パーセント良かったのか、もう少し違う提案ができるのではないかというところに立ち返っています。社会課題を意識したようなご提案にもつながっているのではないかと思います。

質疑応答:今後のM&Aの予定について

坂本:「今後、業容拡大のためのM&Aなどは考えていますか?」というご質問です。こちらも未来のお話であるため、なかなか難しいところですが、お話しできる範囲で教えていただければと思います。また、中計などに「このように行っていきたい」ということがもし盛り込まれていれば、そのあたりも含めてお応えください。

中島:実は、当社はM&Aの経験が一切ありません。純粋培養でここまできています。しかしながら、これから先、業容を拡大していくことを考えると、やはりM&Aという選択肢は必要だろうと感じています。そのため、すぐに行うわけではないものの、この先の中計の中では、どこかのタイミングでしっかり実現していくことになろうかと思います。

坂本:確かにいろいろなパターンが考えられますね。御社の場合は非金融分野で強いところを買ってしまうというのも1つの手かもしれません。または、もう少し外の部分や、一次請けを増やすために上流のところということもあるかもしれません。意外といろいろな可能性があるとお見受けしています。

質疑応答:長期保有株主が多い理由について

坂本:「長期保有の株主が多い理由は何でしょうか?」というご質問です。質問者の方は、株価の上昇を期待しているためだとお考えなのですが、回答は非常に難しいと思われますので、僕の意見を少しお話しします。

この2年間はどんどん株価が上がっているため、「このあたりの株価でよい」と思う人は手放しているはずなのですが、株主構成がほぼ変わってないということは、株主はおそらくもっと高い株価を望んでおり、もっと成長すると考えているのだと思います。そのあたりを含めて、今後の取り組みや意気込みのようなものを教えていただければと思います。

中島:私どもの株主さまは長期保有している方が多いとお話ししましたが、この業界の将来性をしっかりとご理解いただいている株主さまなのだろうと感じています。そのような中で、私どもの業績がもう少しスピード感を持って上がっていけば、少しは違うのかもしれません。

株主さまにとっては少々ジレンマを感じられるかもしれませんが、当社は1つずつ着実に成長してきていますので、もう少しお付き合いいただければうれしく思います。

この先は、先ほどもお話ししたとおり、業容拡大のためのM&Aなど、これまでの方策とは違ったところにも取り組んでいきたいと思いますので、本日ご視聴いただいているみなさまもぜひ、当社株の保有をよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:非金融の中でも今後、特に流通運輸業界が注目されます。「2024年問題」として運輸業の労働規制強化による混乱が予想されていますが、この問題に御社はどのように貢献していくのでしょうか?

回答:直近では、大手宅配業者さま向けのシステム開発案件に携わっています。

<質問2>

質問:2023年3月期では、空運向けの好調を予想されていますが、旅客需要より貨物輸送が好調な航空業界の現状に呼応したのでしょうか?

回答:おっしゃるとおり、コロナ禍でシステム投資を絞っていた空運業界は、今年度より回復傾向にあります。また、貨物系につきましては、運ぶ荷物の多様性や預ける荷物をスピーディーに行えるよう、スマートフォンに対応した案件がありました。

今後も、社会課題解決に寄与し、社会インフラとなるシステム開発に注力してまいります。

<質問3>

質問:今後の業容拡大に向け、M&Aなどはお考えでしょうか?

回答:以前より検討しています。優秀なエンジニアが多く在籍している企業さまがあれば、是非、当社グループに加わっていただきたいと考えており、そのようなM&A情報を随時、収集しています。

<質問4>

質問:長期保有の株主が多いのは、さらなる株価上昇を期待されているからでしょうか?

回答:当社としてはそのように認識しており、ご期待にお応えしたいと考えています。

<質問5>

質問:IT業界は、技術トレンドも目まぐるしく変わり、SEなどの教育にも力を入れる必要があると思います。御社の社員教育はどのように行っているのでしょうか? なにか教育方針に特徴などがあれば教えてください。

回答:当社では、DX系技術の習得を重点教育の1つに指定し取り組んでいます。特にスクラムマスター、テックリード、アーキテクト、アジャイルコーチ、クラウド技術(プロフェッショナル、アソシエイト)の育成を実施しています。

また、技術部門が主催し社内へ展開する「HM-Tech-Day」は、全社員が参加可能なオンライン形式で開催しており、DX系技術で注意すべき事項や、深掘りした詳細な技術を広め、事業部門での導入ができるところまでサポートしています。

<質問6>

質問:御社社員の離職率、平均在籍期間、ダイバーシティの取り組み(外国人雇用、女性比率、女性管理職比率など)を教えてください。

回答:離職率は6パーセント程度、平均在籍期間は12年です。

外国人雇用に関しては、現在の事業戦略では、海外市場を直接ターゲットとした計画はないため、特に外国人の方を優先的に採用する事はしていません。しかしながら、優秀な方であれば、外国籍の方も採用しています。

女性社員比率は、21パーセントです。新卒採用においては、3割程度は女性の方を採用したいと考えています。女性管理職比率は6パーセントで、2025年度末までに7パーセントに高める計画です。

<質問7>

質問:近年、アジャイルやスクラム、ソフトの自製化、自社制作が求められています。このような傾向に御社はどのように関わっているのでしょうか?

回答:アジャイルやスクラムを用いた案件は、数年前より受注し取り組んでおり、DX系の案件受注を積極的に進めています。今後も、DX系案件の受注を積極的に推進してまいります。

また、ソフトの自製化は現段階では弊社の自社製品はなく、お客さま先で取り組まれている自製化を、アジャイル(スクラム手法等)を用いて支援しています。

<質問8>

質問:金融の顧客の中で、特に保険業の比率が高いのはなぜでしょうか?

回答:業務用のシステム開発においては、ITの知識に加え、業界の業務知識が必要です。保険業界向けのシステム開発には、設立間もない1979年より参入しています。

金融業界の中でも、保険業界は保険料率の計算など、業界特有の複雑な業務がありますが、当社は保険業界向けの業務知識を持ったエンジニアを多く育成してきました。その結果、業種別ポートフォリオで1番多くの売上高となっています。

<質問9>

質問:最近、公平な利益還元を理由に株主優待を廃止する企業が増えています。御社は過去に優待制度を廃止したことがあるため、また廃止するのではないかと不安です。株主優待制度の継続について、どのように考えているでしょうか?

回答:当社株式への投資魅力をさらに高めたいと考えており、優待制度は継続したいと考えています。