2023年3月期第2四半期決算説明会

綾宏將氏(以下、綾):C&Fロジホールディングス社長の綾でございます。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

本日の決算説明会では、11月9日に公表した2022年度第2四半期決算の概要をはじめにご説明し、その後に2022年度の通期業績見通しならびに直近の取り組み事項などの進捗状況についてご説明します。最後にみなさまからご質問をいただく時間を設けています。限られた時間ではありますが、ご質問を頂戴できればと思います。

決算概要(ハイライト)

2022年度第2四半期の業績ハイライトです。2020年から続く新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、引き続き日本経済にも影響はあるものの、従来の行動制限は徐々に緩和され、経済回復の兆しが見えてきました。

しかしながら、ウクライナ情勢などを背景とした原油価格の高騰や、歴史的な円安に伴う原材料価格の高騰など、メーカーにおける調達コストの負担増が限界を超えてきて、一斉に値上げの動きに出ました。その影響により消費者の購買行動に少なからず変化が出ており、物の動きは鈍化しています。

また、原油価格高騰をはじめとするエネルギーコストの上昇、ならびにトラックドライバーの長時間勤務の抑制などを柱とする働き方改革がもたらす、いわゆる物流の「2024年問題」に備える労務コストの上昇は、当社の事業運営にも直接影響を与えるところとなっています。

そのような状況の中で、本年度より開始した第3次中期経営計画において「新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ、持続可能な低温物流の実現」を基本方針に掲げました。社会インフラであるコールドチェーンを途切れることなく提供すること、また取引先との情報交換を通じた新たなニーズを掘り起こすことに注力しました。

先ほどお伝えした消費行動の変化、コストアップ要因は今後も継続するものと見ていますが、当社としては引き続き、中期経営計画に定める取り組みを着実に推進し、社会インフラの担い手として使命を果たしていく所存です。

決算数値についてはご覧のとおりですが、営業収益は前期比プラス1.6パーセントの571億6,100万円、営業利益は前期比マイナス13.2パーセントの26億3,000万円となりました。営業収益に関しては、前期に引き続きコロナ禍の影響を受けていますが、食品の需給ついては人の動き方の変化につれて、その時々で変わっている状況です。

当第2四半期に関してはプラス面とマイナス面の、両方の側面がありました。まずプラス面では、夏以降の第7波の落ち着きで、行動制限が徐々に緩和されたことにより、レストラン等の飲食店での食事の機会が回復し、結果的に業務用冷凍食品の取扱物量が増加しました。

一方で、マイナス面としては、量販店における店舗売上高が、昨年よりもさらに低調に推移していることです。一昨年のいわゆる「コロナ特需」の収束により、昨年の量販店売上はすでにコロナ禍前の水準まで落ち込んでいましたが、今期はそれよりさらに物量が減少しました。

このようにプラス、マイナスの両面がある中で、当社としては新規物流拠点における新規業務の獲得や、業務用食品の復調をはじめとする既存顧客の物量回復に努め、営業収益は前期比で増収となりました。

営業利益についてはお伝えしたとおり、2つの大きなコストアップ要因があります。1つ目は原油価格の高騰をはじめとするエネルギーコストの大幅上昇による動力費、燃料費の増加です。この影響はすべての業務に共通するものですが、冷凍倉庫の運営を主力事業とするヒューテックノオリンでは動力費が、トラック輸配送を主力事業とする名糖運輸では燃料費が、とりわけ大きく増加しました。

2つ目は労務費の増加です。物流業界全体を取り巻く人員不足は、法改正により乗務員の長時間勤務を抑制することで発生する「2024年問題」により、さらに深刻化するとされています。当社としても持続可能な低温物流の実現のために相応の人員確保が必要となっています。

現状および将来への対応のために正社員登用や処遇改善を図り、人員の安定化に取り組むことによって、グループ全体で労務コストが増加しています。燃料サーチャージを含めた料金交渉や、正社員化による準社員、人材派遣等の削減も並行して実施していますが、すべてのコストアップを吸収することはできず、前期比で減益となりました。

決算概要(ハイライト)

損益計算書の主要項目のサマリーをお示ししています。前期比については、先ほどお伝えしたように増収減益で終了しました。営業収益ならびに営業原価の詳細な分析は後ほどご説明しますので、こちらでは割愛します。

決算概要(推移)

3ページ、4ページのスライドには営業収益ならびに段階利益について、統合以降の7ヶ年の推移を記載しています。当社グループが統合した2016年度以降、低温食品物流への需要の高まりもあり、おおむね増収増益基調を維持していました。

決算概要(推移)

しかしながら、2020年度以降については、コロナ禍による影響が大きく、行動制限による人の動きの変化につれて、食品の需給が大きく変化したことや、エネルギーコストや労務費などのコストアップ要因が顕著になっていることなどを踏まえ、これまでと同様の拡大基調というわけにはいきませんでした。

セグメント別営業収益および利益の概要

セグメント別営業収益および利益の概要についてご説明します。5ページでは当社の事業セグメントであるTC事業、DC事業、その他の3つに分けて経営成績をお示ししています。

TC事業は、営業収益が前期比プラス1パーセントの368億800万円、セグメント利益がマイナス5.1パーセントの21億4,900万円と増収減益でした。

チルド温度帯を扱うTC事業においては、前期のコロナ特需が落ち着いて以降、さらに物量が低迷して小売店舗向けの市販用食品の取扱物量が減少したことがあります。さらに、コンビニエンスストア向け食品の取扱物量については、前期からは一部回復が認められるものの、都心やオフィス街店舗の物量は引き続き低調に推移したことが減少要因となっています。

しかしながら、名糖運輸の首都圏物流センターや岡山物流センターなどの新規物流施設の稼働開始に伴い、新規業務を獲得できたことが減収要因を上回り、セグメント全体では増収となりました。

コスト部分については、車両メーカーの供給不足によってトラックの代替が計画どおりには進められない状況となっており、結果として減価償却費が減少しました。しかし、エネルギーコストの上昇による動力費、燃料費の大幅な増加や、正社員登用を計画的に進めたことによる労務費の増加により減益となりました。

DC事業に関しては、営業収益が前期比プラス2.5パーセントの194億4,900万円、セグメント利益がマイナス7.9パーセントの25億3,300万円と増収減益でした。

冷凍食品を取り扱うDC事業の営業収益については、行動制限の緩和により外食機会が復調してきたこともあり、業務用冷凍食品の取扱物量が回復しました。また、ヒューテックノオリンの中部支店の三期増築棟をはじめとした新規物流施設の稼働開始に伴う業務獲得も寄与し、増収となりました。

利益については、業務効率化や業務量減少による外注費、人材派遣費用などの減少があったものの、エネルギーコストの上昇により動力費、燃料費が大幅に上昇したことが利益を押し下げ、減益となりました。

その他セグメントについては、ご覧のとおりです。

業態別営業収益の概要

業態別営業収益の概要についてです。6ページでは、当社グループの事業を顧客の業態別にご説明します。

冷凍食品の保管、配送、ならびにチルド食品の配送を行うメーカー荷主の「共同配送」については、一部取引先の物流再編による物量減少はあったものの、新規物流施設の稼働開始に伴う新規業務の獲得や、外出機会の復調による業務用食品を中心とした既存顧客の物量増加に伴い、営業収益は、前期比プラス3パーセントの340億1,300万円となりました。

コンビニエンスストアの配送センター運営および店舗配送を行う「コンビニエンスストア物流」については、TC事業セグメントでご説明したとおり、引き続き都心、オフィス街店舗向けの物量が低調に推移したことで、営業収益は前期比マイナス0.6パーセントの75億400万円となりました。

スーパーマーケットなどの専用センターの運営および店舗への配送を行う「チェーンストア物流」については、前期にコロナ特需が収束したことにより落ち込んだ店舗売上が、今期に入ってさらに低迷しました。加えて取扱物量が減少していることもあり、営業収益は前期比マイナス1.7パーセントの68億600万円となりました。

卸売業者の商品ならびに給食関連食材の保管、配送を行う「問屋物流」については、給食関連食材の物流業務において一部取引先の物流再編の影響で物量が減少し、営業収益はマイナス3.9パーセントの49億900万円となりました。

保税貨物の取り扱い、ならびに自社工場で冷凍食品のリパック加工を行う「保税・加工」については、コロナ禍以降、世界的なコンテナ不足などの影響で停滞していた輸入貨物の物量が最悪期を脱し、回復傾向となったことにより、保税貨物の取扱物量が復調し、営業収益は前期比プラス7.3パーセントの15億8,700万円となりました。

化粧品および雑貨の取り扱い、警備輸送業、病院等関連物流業、人材派遣業、保険代理店業などをまとめた「その他」については、経済活動の回復により化粧品、雑貨の取扱物量が緩やかに回復し始めたこと、ならびに海外事業において円安の進行により、財務諸表の邦貨換算差益でプラス影響が発生したことで、営業収益は前期比プラス6.8パーセントの23億3,900万円となりました。

営業原価の分析

営業原価の分析についてです。勘定科目別の営業原価の増減額についてスライドにチャートを記載しています。営業原価については、前期差でプラス12億1,700万円の524億7,100万円となりました。

増加の要因としてはご覧のように大きく4項目あります。1つ目は動力費です。増加の要因はエネルギー価格の高騰、ならびに電力需給の変化に伴う単価の増加ですが、新規物流施設の稼働開始による使用量の増加の影響も少なからずありました。

2つ目は燃料費です。増加の要因は、一昨年より顕著となった原油価格高騰による燃油単価の上昇です。

3つ目は労務費です。まずは正社員数の増加による1人あたりの単価の上昇が挙げられます。2022年4月の新卒者の定期採用として当社グループで137名を採用しました。また、従前から取り組んでいる、ドライバーを含む作業員の定着化のための正社員登用を含めると、前期末である2022年3月末と単純に比較しても、正社員数を152名増加させています。加えて、2024年問題を踏まえた物流人員確保と定着を実現するため、人事制度など、労務面での見直しを以前から計画的に進めています。その一環として処遇の改善などを行ってきたことも、労務費増加の要因となっています。

4つ目は外注費です。業務量減少に伴う外注委託の減少もありますが、新規物流施設の稼働をはじめ、多くの新規業務を開始したことに伴い、増加したものです。

次に減少の要因ですが、主なものとしては減価償却費となります。半導体の生産不足や、車両メーカーの不正問題により車両の供給が追い付かなくなっており、本来であれば代替として購入していたはずの車両の入れ替えが進まず、結果的に減価償却費が減少しています。

連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書についてご説明します。2022年度第2四半期は、営業活動によるキャッシュ・フローは45億7,400万円、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス36億6,900万円、財務活動によるキャッシュ・フローは18億1,500万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、ヒューテックノオリンの箕面森町における新拠点建設や東北支店の一部増設が該当しています。また、後ほどご説明しますが、メイトウベトナムにおける第三倉庫の開設に伴う冷凍設備等の支出も該当します。

人員と車両台数の比較(前期末比較)

人員数および車両台数の前期末比較を表に記載しています。人員数については、営業原価の分析でもお伝えしましたが、新卒者の定期採用ならびに正社員への登用促進により、ドライバーを含む正社員数を増加させることができました。

また、準社員、パートアルバイトの減少の要因として、正社員登用による減少だけではなく、コロナ特需の収束に伴う一部業務量の減少により、作業員数が減少したことが挙げられます。またアルバイトとして働く外国人留学生の入国者数の減少および在留期限到来に伴う帰国者の増加により減少したことも影響しています。

車両台数については、ご覧のとおりの結果となっています。

2022年度 通期業績見通し

引き続き、2022年度の通期業績見通し、ならびに直近の取り組み事項の進捗状況などについてご説明します。

10ページでは通期業績見通しについてご説明します。今期の通期業績予想の数値としては、営業収益が前期比プラス1.7パーセントの1,128億円、営業利益が前期比マイナス8.5パーセントの41億円、経常利益が前期比マイナス9.9パーセントの46億円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比マイナス9.5パーセントの30億円という見通しを立てています。

営業収益については、前年の期中に稼働を開始した新規物流施設が通年での稼働となることや、行動制限の緩和により主に業務用食品が回復傾向にあることから、新規、既存ともに物量が回復、増加する見込みです。このため、前期比で増収を想定しています。

一方でコスト面については、現在も進行しているエネルギーコストの上昇による動力費、燃料費の増加は下期以降も継続することが想定されます。燃料サーチャージや電力料金増加に対応する料金交渉により一部は相殺できる見込みですが、すべてのコストアップを吸収するには至らず、各段階利益は前期比で減少するものと想定しています。

第三次中期経営計画 -基本方針・戦略-

続いて、今期より始動した第三次中期経営計画について、あらためてご説明します。まず、概略についてご説明します。基本方針として、「新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ、持続可能な低温物流の実現」を掲げています。

また、この基本方針に基づき、「持続可能な物流事業の構築」「既存事業の強靭化」「成長分野への投資促進」といった実業に関わる3つの基本戦略を定め、ならびにそれらを支える財務戦略を骨子としています。

直近の進捗状況ならびに今後の取り組み

実業に関わる3つの基本戦略に基づき、直近で取り組んだこと、また今後取り組んでいくことについてご紹介します。

1つ目は、スライド上段に記載の「持続可能な物流事業の構築」です。「環境負荷軽減に資する設備投資・事業運営」および「2024年問題への対応」の2つをポイントに挙げています。

これらは物流業者にとって非常に大きな課題であり、当社が今後持続的に事業運営を行い企業価値を向上させるためには、適切な対応が不可欠ですので、着実に進めたいと考えています。

2つ目は、下段左側に記載の「既存事業の強靭化」です。第二次中期経営計画において進めてきた物流インフラの刷新・拡充の中で再度精査してきた、ヒューテックノオリンにおける箕面森町の新拠点稼働を計画しています。

加えて、今後の新たな取り組みとして、北東北にチルド・フローズン双方の物流機能を有する新規施設を設立し、名糖運輸とヒューテックノオリンが共同で運営します。こちらについては後ほど詳細をご説明します。

3つ目は、「成長分野への投資促進」です。成長分野への投資として、「EC関連物流」「医薬品物流」「海外事業」を挙げ、既存事業以外の新たな事業の柱を育てることに取り組みます。

EC関連物流では、首都圏の物流拠点において、ECサイトの販売品やふるさと納税の返礼品などの保管・流通加工業務を開始しています。現状は利用者の多い都市圏向けの在庫保管拠点という意味合いが強いですが、今後は生産者に近い地方における在庫拠点での展開も視野に入れています。

医薬品物流は小規模から始まりましたが、着実に実績を積み重ね、現在は東海・関西エリアで順次、配送エリアを拡大しています。

後ほどご説明しますが、海外事業についてはベトナムにおける新拠点の開設を予定しており、成長著しい海外市場での取り組みを着実に展開しています。

直近の進捗状況ならびに今後の取り組み

より具体的な取り組みについて、スライドでご紹介します。こちらは「環境負荷軽減に資する設備投資・事業運営」として、過去から継続して取り組んできた具体例をいくつかご紹介します。

1つ目は、環境にやさしい自然冷媒を用いた冷凍機の運用についてです。以前より積極的に取り組んでいる案件であり、環境負荷軽減に資する設備の導入は今後も計画的に推進していきます。

今期に関しては、ヒューテックノオリン東北支店を一部増築する際に、炭酸ガスを用いた自然冷媒の冷凍機を導入しており、「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」の認定を受けています。

2つ目は、同じくヒューテックノオリン東北支店における取り組みです。従業員用駐車場にカーポート型の太陽光パネルを設置し、提携する電力会社から太陽光由来のクリーンエネルギーを購入し、設備運営用に充当するよう計画しています。

従前は施設の屋上が主な設置場所でしたが、既存施設においては建物全体の耐荷重の問題から設置できない場合も多く、今回のスキームにより太陽光発電の導入の幅が広がるものと考えています。こちらは2023年度から試行的に実運用を開始する予定であり、その他の拠点での導入可能性を検討しています。

3つ目は、リトレッドタイヤの導入推進です。リトレッドタイヤは、走行により摩耗したタイヤを再使用したものです。新品の導入と比較して、タイヤ製造時に排出するCO2が少なく、さらにコストも低いとされています。リトレッドタイヤ自体は従前からありましたが、品質の問題もあり積極的な導入が難しいものでした。しかし、近年は品質が向上しており、無理なく活用できる範囲で順次、導入を考えています。

その他に、操縦が容易で運転に集中しやすいオートマチックトランスミッションのトラックの導入推進や、トラックに搭載する冷凍機のエンジンについて、より燃料を消費するサブエンジン式から、CO2排出が少ない直結式への搭載を基本とするなど、サステナビリティに資する活動を広げています。

また、今期4月よりサステナビリティ推進部を新設し、専任の担当役員を配置しています。当社がこれまで行ってきた取り組みやサステナビリティに関する情報を積極的に発信していきます。

直近の進捗状況ならびに今後の取り組み

「物流の2024年問題への対応」という切り口で、当社の取り組みをまとめました。これらのリスクを回避するために当社としてもさまざまな手を打っています。大きく分けると、人を集めて定着させるアプローチと、業務負荷を軽減させるアプローチでスライドにお示ししています。

特に人員確保については、C&Fとしての経営統合以降、物流業界にありがちな長時間労働を前提とした給与体系からの脱却を図り、計画的な処遇改善を実行しました。

また、これらの直接的な回避策とは別に、ページ下部に記載のとおり、自社の各物流拠点のリスク計測および評価も行っており、今後の継続的なリスク評価の実施を心掛けていきます。

直近の進捗状況ならびに今後の取り組み

スライドには「既存事業の強靭化」についての取り組みをお示ししています。1つ目は、「中継配送ネットワークの強化」です。物流の2024年問題を踏まえた事業継続性のリスクを洗い出した上で、在庫拠点ならびに配送拠点の最適な配置を検討し、自社物流ネットワークの空白地帯を極小化します。

取り組みとしては、「チルド・フローズンの両主力温度帯を取り扱う共同運営施設の設立」や、第二次中期経営計画から取り組んでいる「幹線便自社化のさらなる推進」などを挙げています。これらを着実に進め、当社の強みである車両、施設といった自社インフラを拡充し、競争力強化と付加価値向上を実現していきます。

2つ目は、「物流効率向上の取り組み」です。労務コンプライアンス問題やコストアップ要因がある中で、さまざまな物流効率化に日々取り組んでいます。ここでは、2つの例を紹介します。

まず、「冷凍食品のパレット輸送推進」です。通例、冷凍食品は商品の入出庫の際、トラックへの手積み、手降ろしで対応していますが、現在は食品メーカーの工場物流を中心にパレット輸送への切替を推進しています。これによってパレットごとの積み下ろしが可能になり、従業員の業務負荷が低くなる効果があります。すでに、一部の取引先の協力のもとで試行しています。

加えて、「入庫予約システムの導入」です。ヒューテックノオリンにおいて、入庫トラックの待機時間の解消ならびに荷受け等業務の効率化が期待できる、入庫予約システムを導入しました。相応の効果検証を終え、2023年度には同社の全店所に導入予定です。

直近の進捗状況ならびに今後の取り組み

北東北のチルド・フローズン共同運営施設、ならびにベトナムの新拠点についてご説明します。

まず、北東北エリアのチルド・フローズンの共同運営施設の確保です。すでに用地は取得済みであり、現在、建設の段取りを進めている最中です。2024年問題を踏まえ、物流網の維持・確保を目的とした中継物流拠点の1つと捉えています。

北東北における3県は、当社グループの複数の事業会社がそれぞれ別の協力会社に業務を委託しているエリアであり、これらの業務を集約した保管・配送拠点を配置することにより、グループ内の全体最適化を図るとともに、共同運営施設ならではのシナジー効果を追求、実現できるものと考えています。

直近の進捗状況ならびに今後の取り組み

当社が進出しているベトナムに、新拠点を開設します。すでにベトナム南部に2つの冷凍冷蔵倉庫を設けていますが、経済の中心地であるベトナム南部のコールドチェーンの基盤強化を目的とし、ホーチミン市西部に隣接するロンアン省にて新たな冷凍冷蔵倉庫を開設すべく、土地と建物に関する賃貸借の合意書を締結しました。

ホーチミン市中心部や大型の商業港とのアクセスも良好であり、かつ既存の2つの倉庫を合わせた収容能力を有することから、より強固で効率的な物流ネットワークの構築が可能となります。また、ベトナムの一大生産地であり、近年は消費市場としての展望もあるメコンデルタ地方とホーチミン市の中間地点に位置しており、今後の物流の要衝としても期待できます。

以上が具体的な取り組みの2つのご説明ですが、第三次中期経営計画はまだ始動したばかりです。この3年間で基本戦略に基づく取り組みを加速していきます。

以上をもちまして、2022年度第2四半期決算ならびに2022年度通期業績見通し、第三次中期経営計画に関連する直近の取り組み事項の進捗についてのご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:チルド・フローズン共同運営施設の展開と燃料費・電気代の価格転嫁について

質問者:1点目が、チルド・フローズン共同運営施設に関してです。今回の北東北に続き、例えば九州などで同様の施設の複数開設は考えられるのでしょうか? また、その場合のスケジュール感を教えてください。

2点目が、燃料費、電気代の価格転嫁にかかるところです。例えば、現在は電気代を実費で請求している、ないしは保管料に含まれているなど、請求の仕方がどのようなかたちになっているのか教えてください。また、燃料費、電気代、それぞれどのように価格転嫁を進めるのか、お考えを教えてください。

:1点目の共同運営施設については、将来的にできるだけそのようなかたちにしていきたいと思っています。ただし、既存の大都市圏のフローズンあるいはチルドの施設は相当規模のものがあります。当面、共同運営のメリットが出るのは今回の北東北、あるいはご指摘の南九州などだと思います。ただし、南九州については現在、ヒューテックノオリンが先行して中継施設を作っています。

今は、北東北に共同運営施設を作ることによってどのようなメリットがあるのか、あるいは市場に対してどのようにアプローチしていくのかといったところを考えているところです。できるだけ効率的に展開していけるように、まずはうまく成功させたいと思っています。

その上で、今後の施設の統廃合や集約を考える中で、適する場所に置いていきたいということです。それほど大きな空白地帯がたくさんあるわけではありませんので、当面は、「次はどこへいつ頃」という計画はありませんが、施設ごとのリスクや評価を見直していく中で、適切なものについてはこのような施設も入れ込んでいきます。

2つ目の、請求の仕方についてです。以前から、燃料費は一般的にサーチャージという考え方があり、お客さまにはそのような受け止め方をしていただくケースが多いです。

電力費については、お客さまとの交渉の中で、結果としていろいろなかたちになります。基本的にはサーチャージ的なアプローチをしますが、単価に跳ね返すかたちが受け入れやすいといったお客さまに対しては、単価の見直しというかたちをとっています。ただし、今後もエネルギーコスト等については先行き不透明ですので、1度の見直しで終わるのではなく、毎年しっかりと見直していきたいとご相談しています。

やはり、電力についてはお客さまの中で、従来から原価コストの中にあったため、その中に入れたほうがわかりやすいという感覚もあります。今はまだ交渉している最中ですので必ずしもそうということではありませんが、サーチャージに近いかたちでご提案するものの、結果的に単価に織り込んでいくことが多いのが現状です。

質疑応答:食品の値上げの影響と下期の見方について

質問者:2点質問があります。1点目は食品の値上げ影響についてです。10月からけっこう値上げがあったと思いますが、9月に駆け込み需要のようなものはありましたか? また、10月以降、値上げによる消費の減退傾向が出ているのかどうか教えてください。

2点目は下期の見方についてです。今の計画では、利益は横ばい程度で見られていると思います。第2四半期は第1四半期に比べると利益率も改善してきているため、このままその流れが続くのであれば、もう少し強く出てもよいと思われます。下期に関して何か懸念材料として捉えていることがあれば教えてください。

:ご質問の1点目については、値上げの影響としてはっきり受け止められることは特になく、荷主さまからも「値上げをしたことにより、このようになりました」という動きは聞いていません。一方で、先ほどお話がありましたが、駆け込み需要的なものが見受けられたかというと、フローズン・チルドを含め特に目立ったものはあまりなかった印象です。

9月、10月というのは、全体的に物の動きが非常に低調でした。そのような意味では、心理的な先行き不透明感、例えば小売店におけるモノの動きの鈍さなどは、各チェーンストアで共通しており、常温から低温の食品まで含め、トータルで動きが悪かったです。

同業の方と話をしても、全体的に商品の回転が落ちているということは聞くところです。そのような意味で、世の中全般の消費に少し力が感じられないという感触があります。

先日、丸善へ行ったところ、「スタグフレーション」という本が平積みになっており、「このような世の中になっているのか?」という気持ちになりました。そのような意味からも、センチメントは悪いと感じますが、それがはっきり現れているかというと、そういったことではありません。その点、低温の食品を扱うことのありがたい部分ですが、人の動きが出てくれば業務用が伸びます。

一方で、値上げの影響により特売が減っていることは感触としてあります。我々からするとチェーンストアでの物の流れは特売があると増えますが、値上げをした直後ということもあり、特売によって物が出ていくことが減っているとは感じています。

また、下期に対してのリスク要因ということでは、先ほどご説明したように燃料費・動力費についての交渉を比較的早く始めていたものの、荷主さまとの決着に時間を要していました。

ある程度燃料サーチャージの交渉は進んでいますが、その一方で、電力費については、決して交渉が進んでいないわけではないのですが、今の時点では予算の中に盛り込んでいる部分がそれほどたくさんあるわけではありません。これからよくなっていけばよいと思いますが、どのくらい進むのかという点はあります。

また、非常に庫腹が逼迫した状況の中で、物の動きがまた鈍くなりコストが上がるなど、12月年末固有の忙しさの中における一時的なコストの増加はあります。

このようなものをうまくコントロールできるように気を付けなければいけないと意識していますが、これが特段大きなリスクファクターだとは思っていません。非常に感触的な回答で申し訳ございませんが、以上となります。

質疑応答:北東北エリアの物流施設とベトナム第三倉庫の進捗状況について

質問者:まず確認したいのですが、北東北の共同運営施設の着工と稼働はいつになりますか? メイトウベトナムにおける第三倉庫の開設と稼働はいつになりますか? また、ベトナムの市場は現状どのような状況になっているのか、情報を教えていただけるとありがたいです。

:それぞれの建築の着工と竣工時期は今計画を進めている段階です。土地を手当した、あるいは建物に関する賃貸借について、基本契約が成立したところです。ここからいろいろと建築や内部の造作に関わる細かなことを進めていき、いつ頃稼働できるかを詰めていかなければいけません。

大まかな時期はイメージしていますが、はっきりした日にちまではお伝えできません。詳細については、専務の武藤からベトナムの市場の状況と合わせてお話しします。

武藤彰宏氏:北東北の共同運営施設についてですが、すでに土地は取得しており、今大きく2つのカテゴリで検討しています。まずは事業運営の仕方です。

スライドで示したとおり当社グループの3つの会社が違う荷物を同じところにお届けしています。これをどのようにシナジーを出していくのかという事業運営面の検討を今行っています。

一方で、その事業運営により、例えばセンター内の仕事ぶりが決まっていきます。そのような意味で、まだ施設の詳細設計まで詰めきれていないのが実態です。建築に冷凍施設が入っているため、1年から1年半は必要だと思っています。まだ明確には着工と竣工時期が決まっていません。

ベトナムについては、すでに基礎工事が終わり、建築に入っています。2023年3月に竣工、事業開始予定です。

ベトナムでも我々の仕事はどちらかというと現地の冷凍加工食品の加工メーカーが国内外から調達した冷凍の原材料、いわゆる畜肉や魚、エビなどを保管することがメインになっています。

実は、ベトナムもコロナ禍でかなりの期間ロックダウンされました。もともとどちらかというと外食文化ではあったのですが、その外出制限を機会に家庭で食事を作る行動パターンが増えてきました。それに伴い、国内での冷凍食品の消費がだんだん増えてきているのが実態です。

そのような中で、まだ冷凍倉庫のニーズがあります。今回倉庫を建築するロンアン省での大きな工業団地の中には、他の会社も冷凍倉庫を建築しています。冷凍食品、冷凍原材料の保管ニーズはまだ十分に見込まれると思います。それも国内消費向けと加工貿易による輸出向けにおいて、ニーズは大きいと認識しています。

質疑応答:労務費の転嫁交渉と低温倉庫の供給の状況について

質問者:2点質問があります。1点目に、先ほども動力費と燃料費の転嫁交渉について質問があったのですが、労務費と外注費も今回まだ増えています。新規業務の受託などもあったと思うのですが、こちらも引き続き2024年問題に向けての料金改定による転嫁交渉が必要になってくると思います。

動力費以外の、労務費の転嫁交渉の状況は今どのようになっているのでしょうか? あまり進んでいないのか、あるいは水面下で着々と進めているのか、状況について教えてください。

2点目は、直近の決算からは少し離れてしまうかもしれませんが、ここ数年間のフロン排出抑制法の関係で、国内の冷蔵・冷凍倉庫が今後少なくなるという話があったと思います。国内の低温倉庫の競争環境、供給状況はどのようになっているのでしょうか? 直近数年間であまり変化はないのか、今の状況についても確認させてください。

:労務費の転嫁交渉については、2、3年前から一昨年にかけても毎期交渉している状況であり、お客さまとの交渉は継続しています。

今回のお話の中では燃料サーチャージあるいは動力費などは緊急性が高く、また、これまであまり交渉をしてこなかったために大きな変化になりますので、ご理解を得るために集中的な交渉をしているところです。

労務費の関係については、おっしゃるとおり本当に国を挙げての方針の中で、社会全体で対応していかなければならないと思います。そのような意味では、来年4月あたりに向けたベア交渉などですとか、そういうものも、先ほどお伝えしたように、働いてくれているみなさんの報酬の水準については適正なものにしていけるように、また、その分お客さまとの交渉もしていかなければならないという意識を持っています。

お客さまとお話をする際に「今お願いしているのはこの部分」「対応していただいたものはこの部分」「今後課題になるのはこの部分」と、お客さまごとにお話をしています。

最終売買への転嫁が難しい食品を主力に扱ってきたため、場所によっては非常に交渉が難航するところもあります。そのあたりはしっかりと状況を理解していただいているため、継続していくことを考えています。

その結果として、事業の構成なども見直していくこともいずれは必要になるかもしれませんが、まずは正々と交渉を続けます。来期以降に、またそのようなことを踏まえながら交渉する先は当然出てくると思います。

また、倉庫の状況については、いくつか新しい倉庫が立つ動きもありますが、トータルで見ると、逼迫している状況に対して建築が進むかというと非常に難しいです。建築コストも相当に上がってきている中で、償却がきちんと叶うかといったことを考えると、どんどん供給が出てくる状況にはないという感じです。

一部には、そのような中でチルドの倉をフローズンに改修して対応する話も聞いていますが、庫腹の逼迫状況は、今年の春先ぐらいには、コロナ禍の影響で少し緩み、余裕が出てくると思っていたところがありましたが、それ以降は先ほどお伝えしたように、出庫より入庫が勝っていくことが全国的な傾向となっています。そのような意味で庫腹の逼迫状況は続いています。

また原料系のところも、今は畜肉などの在庫の動きが非常に悪いです。これがはけていけば環境が変わるかもしれませんが、そのような状況が続いています。それに対して、我々として当然計画的に実行できることは行っていきますがなかなか難しいのが現状です。

特にドライ関係は、マルチテナント型の倉庫などが供給として出てきます。低温関係でチルド系のセンターを作るのには、そのようなところを使って行うことでなんとかなりますが、フローズンの倉庫として活用していくには課題も大きいです。

そのような部分で、私どもも建築するにあたって、より効率的で、また資産としての資本効率の回転のよいものとして何か作れないかということで情報交換や検討を行っています。しかしながら、なかなかうまく帯の結べるようなものにはなりません。供給環境がよくなっているとまでは言えない状況が続いています。