Agenda
眞柄泰利氏:サイバートラスト株式会社、代表取締役社長の眞柄でございます。本日は私どもの2023年3月期第2四半期の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。さっそくですが、昨日開示した決算説明資料を元にご説明いたします。
本日のアジェンダです。2023年3月期第2四半期の業績概要と通期業績見通し、3ヶ年で目指す姿と成長戦略をメインにお話しします。APPENDIXの中で1点お伝えしたいことがありますので、そちらもご説明します。
2023年3月期 第2四半期 連結業績
まず、第2四半期の業績概要です。私どもはこの期の始めに3ヶ年計画として「BizX20/40」についてお伝えしました。最初の上半期は3ヶ年計画の実現に向け、非常に順調に推移したと理解しています。スライドをご覧のとおり、私どもが掲げている財務的なKPIについてはすべて2桁成長となり、第2四半期の業績としては過去最高の結果となりました。
パートナー協業を引き続き深化させ、お付き合いさせていただいています。私どものリカーリングビジネスが非常に広範囲に渡ってスケールしたことと、デジタルマーケティングを積極的に展開したことで、より多くのパートナーさま、お客さまにリーチアウトした結果と評価しています。
通期業績予想に対する進捗率
通期業績に対する進捗率です。売上高は昨年とほぼ同様の進捗率となりました。下期に向けて受注残とパイプラインの積み上げも進んでおり、例えば上半期末におけるIoTサービスのパイプラインは昨年比170パーセントとなっています。昨年と比べてこの数字ということは、間違いない歩みをしていると考えています。
営業利益は、私どもがフォーカスしている「リカーリング売上を伸ばしていきたい」という部分については継続して伸びています。
これにより営業利益が大幅に伸び、進捗率は40パーセントを超えました。例年は30パーセントから35パーセントですので、おそらく初めて40パーセントを超えたのではないかと思います。
リカーリング売上や利益の伸びを牽引したのは、「iTrust」のサービスです。個々の事業については後ほどご説明します。
取引形態別売上高
全社のリカーリング売上について棒グラフで示しています。前回、「iTrust」について十分にお伝えできなかった点がありますので、あらためてご説明します。
「2021年第4四半期と比べると、今期の第1四半期は落ちているのではないか?」というご質問をいろいろな方からいただきました。「iTrust」のサービスは、更新のビジネスというよりもトランザクション、従量課金がベースとなっており、年度末にそのビジネスが集中する傾向があると考えています。
これを十分にお伝えしきれなかったのですが、この第2四半期については昨年比で見ても絶対値で11.3パーセント増と順調に伸びています。2桁成長していますので、私どもが掲げているビジネスのフォーカスポイントであるリカーリング売上の進捗については、非常に順調であるとお伝えしたいと思います。
今後について少しだけお話しします。5月時点でマイナンバーカードの普及率は44パーセントでしたが、いろいろな施策や私どもも含めた民間のサービスがより浸透したこともあり、10月18日時点で50パーセントに届いたことが公表されています。
ですので、「iTrust」のサービスは引き続き私どものプランの中で順調にこなしていける範囲であると理解しています。
サービス別売上高
サービス別の売上高です。従前、私どもには3つの主要分野があるとお伝えしてきました。その3つの主要分野における進捗と上半期の状況についてご説明します。
IoTについては、昨年比28.9パーセントの伸びを示しています。こちらについては国際安全基準を掲げ、その間にいろいろなお客さまにリーチアウトしてもらいましたが、「EMLinux」というOSがさまざまな機器で展開するフェーズに入ってきました。
いろいろなお客さまから「個別にカスタマイズしてほしい」という依頼も受けており、そちらが非常に伸びたことが寄与して、昨年比28パーセントを超える結果となりました。
認証・セキュリティについては、先ほどからお伝えしている「iTrust」はもちろんですが、デジタルトランスフォーメーションがさらに進んでいると考えています。端末の認証や「iTrust」を含め、非常に良い進捗であるという理解です。
Linux/OSSについては、昨年来、私からのご説明で「特需」という言葉を使わせていただいていましたが、こちらをきちんと説明したほうがよいということで、今回は2つに分けています。
1つは、スライドの棒グラフの一番上の「FY21駆け込み需要分」です。これは外的要因で「特需」とお伝えしてきましたが、「CentOS」のサポートが切れるため、私どもがお客さまに延長サポートを提供した部分です。そのうちの昨年度の売上高をこちらに示しています。
もう1つは、棒グラフの上から2つ目の「駆け込み需要分を除いた額」で、私どもの実力で伸ばせた部分です。
外的要因による駆け込み需要分については、一部のお客さまが契約を更新しなかったため金額に差がありますが、お客さまの件数で見ると9割が戻っていると把握しています。実力値の部分である駆け込み需要分を除いた額は、昨年比8パーセントで順調に伸びています。
非常に重要な部分である今後展開する施策については、先日パートナー制度を発表させていただきましたので、後ほどご報告します。
認証・セキュリティサービス
部門別の数字をご説明します。まず、認証・セキュリティサービスです。こちらについては先ほどお伝えした「iTrust」が、需要もパートナーさまからの引き合いも引き続き旺盛です。
デバイスIDについてはDXの進捗とともに、リモートアクセスという部分でさらに協業が進んでいます。後ほどお話ししますが、お客さまにオプション提供されていたものが、パートナーさまのサービスにデフォルトで組み込まれての提供が始まりました。さらに成長が見込まれることも含め、前半戦は非常によい結果であったと思います。
「SureServer」については、顧客が非常に見えている市場です。こちらのビジネスについては非常に厳しいと思っていましたが、既存のお客さまの中で買い増ししていただいた方も多く、予定どおりの結果となりました。これらにより、リカーリング売上は昨年比15.8パーセント伸びました。
Linux/OSSサービス
Linux/OSSです。こちらのスライドの棒グラフにも「CentOS」の駆け込み需要分を分けて表記しています。新規案件を追う実力値では、昨年比21.5パーセント伸びました。
この後のご説明にも関係してきますが、このビジネスは大手・首都圏中心から中小・地方に展開されていますので、パートナー制度によって今後は地場のローカル企業のみなさまと底上げしていきたいと考えています。
IoTサービス
IoTサービスについてご説明します。「EMLinux」は、非常に鍵を握った組込みOSです。こちらが搭載された機器・製品が出てきますと、将来的にはリカーリングサービスで長期サポート契約の上、安定したビジネスモデルを作ることができます。
「BizX20/40」では「3年以内にIoT事業のリカーリング比率を30パーセントにする」とお伝えしています。「EMLinux」の開発案件が順調に伸びていることがスライドのグラフから見てとれるかと思います。
また、製造業については復調の兆しについてこれまでもお伝えしてきました。私どもの子会社であるリネオソリューションズは、30年以上にわたって組込み機器の案件で事業を行っています。この回復は昨年末頃から見てとれましたが、社内においても受託部門の復調を大きく感じています。
先ほどお伝えしましたが、パイプラインは昨年比170パーセントに積み上がっています。私どもとしてもグループとしても、全体的に製造業のみなさまが戻っていると感じています。
2023年3月期 通期業績見通し
通期の業績予想です。例えば社内で掲げているKPIのパイプラインの積み上げも非常に順調に推移していますが、一方でマクロ経済を見ると、急速な為替の変動、インフレ、ヨーロッパにおける政情不安など、外部にさまざまな不透明さが残っていることも事実です。
3割ほどの伸びを示しているIoTの受託事業ですが、製造業のみなさまが外部環境にどのような影響を受けるのかについて現時点では計りかねています。そのため、確実に底上げできるリカーリングが上がりましたので、営業利益については5,000万円増、営業利益以下についても上方修正しています。
この第3四半期においても、引き続きさまざまなインデックスを評価して、修正すべきところは修正していきたいと思っています。
BizX20/40 - 3カ年で目指す姿
「BizX20/40」で目指す姿についてです。従前お伝えしている大きな目標については変化はありません。冒頭でお伝えしたとおり、こちらを達成すべく、非常に良い出だしができた上半期であったと思います。
DXで重要な役割を担う“ 新しい領域のトラストサービス” へ事業を拡大
認証・セキュリティサービスについても、大きな戦略の変更はありません。従量課金についての説明が不十分でしたので、「iTrust」はトランザクションベースの従量課金であることを書き添えました。
デバイスIDのパートナー企業との連携強化
デバイスIDのパートナー協業についてです。この第2四半期で起きたことは、スライド左側の「Updated」に記載しています。
スライド中央の「オプションから標準添付へ」については、私どもの重要パートナーさまにおいて、これまでお客さまの選択肢だったものから標準的に私どもの端末の認証を添付していただくことがスタートしました。こちらが非常に大きな出来事だったと考えています。
iTrustのパートナー企業との連携強化
「iTrust」についてです。ニュースリリースでも出しましたが、株主総会の資料が電子化となります。これが原本か否かについては証左が必要です。デジタル的に署名を付与するところを私どもが提供するということですが、こちらについては今年度末の株主総会から法が適用されます。
もう1つは、先ほどお伝えしたとおり、マイナンバーカードは今後さらなる普及が見込まれるということがいろいろなところで書かれています。こちらについては、「iTrust」のサービスの本人確認がさらに広範囲の業種・業態に提供される機会が増えるだろうと考えています。
Linux/OSSが社会情報基盤として浸透
「Linux/OSS」についてです。私どもは、昨年9月末に「MIRACLE LINUX」のバージョン8の無償ダウンロードを開始し、4万5,000件のダウンロードがありました。サービス開始直後は、多くが大手や首都圏の方からのダウンロードでした。その後、内訳を評価したところ、現在は地方や中小企業、あるいは公共団体にもこの流れが広がっていることがわかりました。
したがって、私どもは「パートナーエコシステム」によって地域のパートナーさまを通じて地方の方々にもリーチアウトしていくプログラムを立ち上げるべく、アナウンスしました。これにより、今まで私どもが案件や売上として見込めなかった部分の多くが取り込めるようになるのではないかと考えています。
また、今回の4万5,000件のダウンロードがどのような意味を持っているかについてです。世の中のすべてがクラウドサービスに移っているかのような情報が多いですが、お客さまは長期に渡って専用システムや、クラウドとオンプレミスのハイブリッドなどを使っていることもわかりました。
私どもはこの点で長期サポートを提供できる技術力がありますので、こちらを積極的に展開していこうと考えています。
MIRACLE PARTNER NETWORKの新設
私どもが新たに提供する「パートナーエコシステム」についてです。年度内にパートナー企業数100社を目処にリクルートし、有機的につながり、来年度以降に向けたリカーリングビジネスを一緒に進めていきたいと考えています。
国際安全基準+OSSコミュニティとの連携でIoT機器のセキュリティに取り組む
IoTサービスも、この第2四半期で非常に大きな動きがありました。OSSセキュリティがそれにあたりますので、詳しくご説明します。
IoTサービスのOSSセキュリティ強化
今年5月にアメリカにおいて、OSSの団体がホワイトハウスに呼ばれ、「OSSで開発されるソフトウェアのセキュリティを担保してほしい」という話がありました。そこで、10個の動員プラン(アクションプラン)を掲げ、OSSのコミュニティを挙げてここにコミットすることになりました。
私どももOSSのコミュニティの一員として、それと同等のことに積極的に関与していこうということで昨日アナウンスしましたが、10個のうち7個を私どもが中核として関与して進捗させていこうと動いています。
これによって何が起こるかをお話しします。私どもは従前、半導体をベースにして認証のことをお伝えしてきました。これがリカーリングサービスで、ブランド名は「セキュアIoTプラットフォーム」です。
その前にそのようなデバイスを開発するのが「EMLinux」です。繰り返しになりますが、「EMLinux」の案件も伸びてきているため、この流れは間違いないと認識しています。
今回はそれに加え、ハードウェアの上で動くOSとミドルウェアについて、国際的に安全を担保していくことが言われています。私どもはこのうち7個をピックアップし、私どものOSSのエンジニアを関与させて積極的に取り組んで、その標準的なものをサービス上で展開するというシナリオがいよいよ完成しました。
私どもは、おそらく認証とOSSを融合させてこのような取り組みができる唯一の会社ではないかと思います。私の知る限りでは、他にこのようなことができる企業はないと考えています。
当社の取り組む7つの重点分野
10個の取り組みのうち、私どもが具体的に取り組む7個の内容です。デジタル署名やコード監査、SBOMの普及、サプライチェーンの改善は、私どもの「セキュアIoTプラットフォーム」のリカーリングサービスにとって非常に重要な事項と捉えており、力を入れて取り組んでいこうと考えています。
セキュリティ特化とリカーリングへの移行
こちらのスライドは従前お伝えしている内容ですが、アップデートとしては今般「EMLinux」のセキュリティ強化も含めて行っており、非常に順調に推移しています。
BizX20/40実現に向けた重要5テーマ
「BizX20/40」で掲げた5つのテーマの進捗を記載しています。新規市場立ち上げとしては、先ほどお伝えした「パートナーエコシステム」を立ち上げ、年度末から来年度に向けて大きく売上を伸ばしていくベース、プラットフォームとして位置づけています。
将来に向けた研究開発では、耐量子計算機暗号(Post Quantum Cryptography)について、具体的にグローバルのパートナーさまと組んで取り組んでいます。年内には研究成果の発表もお届けできるペースで進捗しています。
グローバル展開については、組込みのファイルシステムで非常に大きなシェアを持つ有力企業である、フィンランドのTuxeraさまのみなさま方と非常に密なお話をしているところです。
システムの安定稼働については、首都直下型地震もそうですが、近隣諸国による飛翔体の発射などで我が国のインフラ周りや交通網が止まることも先般起きました。このようなことも想定し、当初のプランよりも前倒しで対策に取り組んでいきたい考えです。
流通株式比率(グロース市場の上場維持基準)について
補足になりますが、1点お話しします。私どもの流通株式比率が低いということで、これまでいろいろな方々からご質問・ご指摘を受けてきました。私どもは「計画期間の2025年3月末までに改善します」とお伝えしてきましたが、この間で市場の株主のみなさま方とのお話も進み、それを前倒しできることになりました。
個別の案件もあるため今回は時期についてはお伝えできませんが、前倒しで達成するということと、経営の重要な課題の1つであると認識していることをお伝えしておきます。