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前島洋平氏:代表取締役社長の前島でございます。よろしくお願いします。本日はお忙しい中、当社グループの決算説明会をご視聴いただきありがとうございます。本日は、ご覧のスライドのとおりに進めていきます。

商号変更

はじめに、商号変更と企業理念です。当社は創業100年目にあたる2021年1月1日に、商号を「株式会社カワニシホールディングス」から「オルバヘルスケアホールディングス株式会社」へ変更しました。

OLBAとは

新社名の「オルバ」ですが、「オーバル(OVAL)」、すなわち1つにつながった楕円形と、「オービット(ORBIT)」、すなわち軌道からなる造語です。「地域のヘルスケアにおいて人と技術がつながり、ひとつの円になる未来をめざし、グループの成長への軌道を示す」という思いを込めています。

企業理念(パーパス)

当社の企業理念(パーパス)は、「ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」です。新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても、私たちはこの企業理念のもと、「地域の医療インフラとして貢献する」「医療・介護を止めない」というミッションを社員全員で共有し、日々活動しています。

SDGs(持続可能な開発目標)

SDGsは国連が2015年に制定した、2030年までに達成すべき17の「持続可能な開発目標」です。当社では、「3.すべての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「13.気候変動に具体的な対策を」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の6つを目標としています。

CSRの取り組み 地域に根差した社会貢献

当社のCSRの取り組みについてご紹介します。当社は、本社を岡山県岡山市に置いています。地域に根差した社会貢献として、サッカーJリーグのファジアーノ岡山、卓球Tリーグの岡山リベッツ、岡山県倉敷市の大原美術館のスポンサー・パートナーとして協力しています。

今後も地域のみなさまとともに歩み、地域の発展・活性化につながる未来を見据え、持続可能な経営を追求していきます。

ESGへの取り組み (S: Society)

ESGへの取り組みです。Society(社会)の取り組みをご紹介します。まずは健康経営ですが、私も医師としてのバックグラウンドから積極的に推進しており、経済産業省が推進している2022年の「健康経営優良法人」に認定されています。また、残業削減・有給休暇取得の推進や、就業時間内禁煙、禁煙サポートなどにも取り組んでいます。

働き方改革の一環としては、フレックスタイム制や在宅勤務の導入に加え、ジェンダー平等、フラットな組織風土の醸成を目指して「“さんづけ”運動」を開始しています。

さらに、人材教育・専門性習得のため、社内教育制度「OLBA Academy(オルバ・アカデミー)」により、個々の社員のステージに合わせた学びの場を設けており、e-Learning教材も拡充しています。入社2年目の従業員や中堅社員を対象とした社内論文制度や、初級管理職を対象としたマネジメント等の研修も実施しています。

人材教育への取り組みの継続・重視

「OLBA Academy」では、医療や医療機器の専門知識についての研修も豊富に取り入れています。顧客の課題解決に貢献する商品・サービスの提案を行うには、医療・介護に関する深い理解・製品知識が必要となるからです。

私たちは、人材教育への投資が社員エンゲージメントを向上させ、社員の専門性やスキル・マネジメント力の向上による競争優位の源泉になるものと考えており、今後も継続して重視していきます。

2022年6月期 連結業績

2022年6月期業績概要についてご説明します。2022年6月期の連結業績です。売上高は1,079億5,900万円、営業利益は20億7,300万円、経常利益は21億1,900万円、親会社株主に帰属する当期純利益は15億3,500万円となり、売上高ならびに各利益とも過去最高となりました。1株当たり当期純利益は252.80円でした。

収益認識基準の影響について

当期より新たな収益認識基準が適用され、「代理人取引」に該当するものは、売上高と売上原価とを相殺して、純額で売上高に計上することになりました。当社では、医療器材事業およびSPD事業の一部取引が「代理人取引」に該当します。

この新基準では、売上高と売上原価が同額減少するため、利益への影響はありませんが、2022年6月期では従来の基準と比べ、売上高は連結で約129億円減少しました。

2022年6月期 営業利益増減要因

2021年6月期から2022年6月期までの営業利益実績の増減要因をご説明します。主な増益要因は、医療機関内で新型コロナウイルス感染対策が進み、手術件数が増加して消耗品の売上が伸びたことと、想定以上に設備備品を獲得したことです。

新型コロナ感染症の医療器材事業への影響

新型コロナウイルス感染症の医療器材事業への影響です。業績に大きな影響を与える手術件数は、2021年秋頃から増加・回復傾向にありました。医療機関では、ワクチン接種率向上や医療機関内の感染対策が進んだことで、整形・循環器分野などの手術件数が増加し、消耗品の売上高が増加しました。

PPE(マスク、手袋などの個人用感染防護具)に代表される感染防止関連製品や、PCRキットなどの検査関連製品に関しては、価格の高騰も落ち着き、売上高がピークを越えたと考えています。新型コロナウイルス対策備品については補正予算等もあり、引き続き堅調な需要がありました。

医療器材事業

事業別の業績についてご説明します。医療器材事業では、売上高は前期比5.9パーセント増となる1,022億1,400万円、営業利益は前期比33.8パーセント増となる18億8,800万円と、大幅な増加となりました。

事業会社別の売上高・前期比をスライドの右下に記載しています。手術件数の増加による消耗品の需要増と、設備備品の想定以上の需要が業績を押し上げた結果となりました。

医療器材事業 消耗品

医療器材事業の消耗品の売上高を、3つの商品分類に分けてご説明します。手術関連消耗品では、手術件数の増加に伴い、外科関連は前年同期比11.0パーセント増、内科関連は15.7パーセント増、麻酔関連では3.9パーセント増、PCRキットを含む検査用の理化学関連製品が9.9パーセント増となりました。一方で、眼科領域では一部顧客による失注の影響で11.9パーセント減、マスク等の販売は5.6パーセント減となり、その結果、手術関連消耗品全体では2.9パーセント増となりました。

整形外科消耗品では、手術件数増加の影響もあり、比較的緊急性の高い脊椎関連で11.3パーセント増、人の活動量に左右されやすい外傷・スポーツ・関節鏡関連では3.7パーセント増、人工関節関連は3.7パーセント増となりました。その結果、整形外科消耗品全体では5.0パーセント増となりました。

循環器消耗品では、心房細動等の不整脈治療のカテーテルアブレーション関連が新規顧客開拓の進展により20.6パーセント増、ペースメーカーなどの植え込み型不整脈治療デバイスが6.3パーセント増、虚血性心疾患治療関連が8.8パーセント増となりました。その結果、循環器消耗品全体では9.4パーセント増となりました。

以上の結果、医療器材消耗品全体では、売上高876億円、前期比4.9パーセント増となりました。

医療器材事業 設備備品

医療器材事業の設備備品の売上高です。医療機関の新設・建て替え案件の獲得があったことや、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算などによりコロナ対策備品の販売が引き続き好調であったことなどにより、設備備品全体の売上高は174億円、前期比21.2パーセント増と大幅な増加となりました。

SPD事業

SPD事業です。新型コロナウイルス感染症の影響で新規営業は難航したものの、感染対策製品の継続的な需要などにより、売上高は47億3,200万円、前期比5.4パーセント増となりました。また、サービス・コストに見合う物品管理サービス料金の見直しや、消耗品の仕入改善を継続した一方、給与制度変更に伴い人件費が増加したことで、営業利益は1億7,000万円、前期比27.8パーセント増となりました。

介護用品事業

介護用品事業では、新規出店等により迅速に対応できるエリアを広げ、地域密着の営業活動を展開しています。在宅介護用ベッドを含む主力のレンタル介護用品は、前期比5.0パーセント増と順調に成長しました。

レンタルに付随して新型コロナウイルス対策品の需要が増加し、売上高は23億7,100万円、前期比2.4パーセント増となりました。レンタル品の利益率改善の取り組みも功を奏し、営業利益は1億7,100万円、前期比18.0パーセント増となりました。

2023年6月期 通期連結業績予想

2023年6月期の業績予想および配当の基本方針についてご説明します。2023年6月期の通期連結業績予想ですが、売上高が1,094億7,900万円、営業利益が20億円、経常利益が19億9,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益が13億900万円の見通しです。増収減益を見込んでいますが、その主な要因については次のスライドでご説明します。

2023年6月期 営業利益増減要因

2022年6月期実績から2023年6月期予想まで、営業利益の増減要因をスライドのグラフで示しています。主な要因は、前期は好調だった設備備品販売の反動減と、人的投資・システム投資等による販売管理費の増加を見込んでいることです。成長の軸と考えている消耗品販売については、2023年6月期も堅調に増加すると見込んでいます。

配当の基本方針

配当の基本方針です。安定的な配当を継続し、成長投資に備えた内部留保にも努めます。2021年6月期は、普通配当45円に創業100周年の記念配当5円を加え、合計で1株当たり50円の配当を実施しました。2022年6月期は、好調な業績を受けて普通配当60円と、増配を予定しています。2023年6月期については、引き続き普通配当60円を予定しています。このように、約5年間で配当額を30円から60円まで増加しています。

中期経営計画

中期経営計画の概要についてご説明します。当社は毎年、ローリング方式により中期経営計画の見直しを実施しています。2023年6月期から2025年6月期までの経営計画ですが、企業理念である社員憲章の共有と浸透による一体化・事業への共感を醸成しつつ、次の100年に向けた基盤づくりを行います。

OLBA-DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、現業強化・生産性向上に取り組みます。さらに、SDGs推進・ESG経営も進めていくとともに、新規事業探索についても積極的に行っていきます。

2025年6月期に、連結売上高1,200億円、連結営業利益25億円の達成を目標とします。

OLBA-DX DX推進室による改革

当社のDXの取り組みについてご紹介します。当社は、昨年7月にDX推進室を設置しました。デジタル技術を駆使するヘルスケア業界のリーディングカンパニーとなり、ステークホルダーに新たな価値を提供することを目標として、DX推進室が先導し、グループ各社の業務改革に着手しています。

名刺管理システム等によるCRMの構築や、RPA活用拡大による定型業務の効率化、DX人材の育成、ノーコードツールの活用によるシステムの民主化を進め、Webオーダーアプリの新規開発や物流統合システムの稼働を予定しています。

DXへの取り組み① アプリ/システム開発

具体的なアプリ・システムの開発事例をご紹介します。1つ目は、整形外科領域における「自社Webオーダーアプリの開発」です。アプリ上で症例予定や準備物の確認ができ、顧客の満足度向上、ならびに社員の業務効率化が期待されます。

2つ目は、「オンライン立会システムの開発」です。手術時の立ち会いをオンラインで実施することで、効率よく器械説明を行うことができます。遠隔地でも説明が可能となるため、新たなビジネスチャンスの獲得に貢献することも期待しています。

DXへの取り組み② 独自電子カタログ

その他の取り組み事例として、当社オリジナルの電子カタログについてご紹介します。全医療器材約85万件のうち45万件を掲載し、商品に独自のタグ付けを行っています。多様な検索が可能で、若手社員でも顧客が求める医療機器の情報を、タイムリーかつ確実に提供することが可能となっています。

今後はこの電子カタログを、社内のみならず医療機関でも一部閲覧可能とし、eコマースへの布石とすることも検討しています。

DXへの取り組み③ 物流改革

現在開発している物流統合システム「Li-Flo(リフロ)」について紹介します。「Li-Flo」により、在庫管理の強化、使用期限などの品質管理の強化、整形外科手術機器などの貸出業務の効率化が可能となります。予定よりも遅れていますが、2022年9月から事業会社拠点での順次稼働を予定しています。

また、RFIDタグを活用した整形外科領域における貸出業務の効率化も検討しています。2022年8月に配信開始予定である、業界向け共通プラットフォームを用いた着荷検品の仕組みを準備しています。

医療器材事業 仕入交渉力強化

医療器材事業の仕入れ交渉力強化についてです。医療機器メーカーは従来の販売促進のみならず、物流機能、コンプライアンス、経営基盤などをもとに医療機器販売業を評価するようになってきているため、これらの機能を拡充します。

医療器材販売事業会社3社の連携によるスケールメリットも活用し、広域商圏を獲得します。さらに、BCP対策などロジスティクス戦略の幅を広げることで、当社の存在感を強めていきたいと考えています。

新規事業 〜クリニックビジネス〜

新規事業のご紹介です。カワニシバークメドでは、主にクリニック向けのICTソリューションを提供しています。設立3期目となる今期に初めて通期の営業利益黒字化を達成し、今後さらなる発展を見込んでいます。

自社ブランドの自動精算機「テマサックPro」は、感染対策としての非接触化、クリニックの人手不足解消やキャッシュレス決済対応、精算業務の効率化などのメリットが評価されています。IT補助金が使える医療用自動精算機への認定も追い風となり、この1年間で約90台を販売し、全国各地での導入実績は累計117台となっています。

新規事業 〜クリニックビジネス〜

2022年9月に、業界初となるクリニックの会計ソフトと連携可能なキャッシュレス専用セルフレジ「テマサックLite」の発売を予定しています。多様な顧客ニーズに対応すべく、製品ラインナップの拡充を進めています。

カワニシバークメドは、今年10月に幕張メッセで開催される「メディカルジャパン東京」に出展する予定です。よろしければスライド右下のQRコードから、「YouTube」で「テマサック」の紹介動画をご覧ください。

新規事業 医療ICTソリューション

新規事業である医療ICTソリューションの一環として、NTT東日本と提携したOEM協業モデルにより、2021年より当社ブランド製品として医療機関でのWi-Fiレンタル、ネット保存型クラウドカメラ、クラウド管理型PCレンタルを実施しています。

入院患者向けのWi-Fi整備が国の補助金対象となったことから、2021年11月に「メディファイ」およびタブレット、オリジナルビデオ通話ソフト「メディFace」をセットにした入院患者向けオンライン面会サービスを開始しました。

「メディ」シリーズの商品は、2022年6月末時点で合計100台以上が稼働しています。さらに現在、社内で実施したアイデアコンテストで提案があった「オンライン立会い」というリモートで医療現場に適正使用支援を行うシステムの開発にも着手しています。

新規事業 サブスクリプションビジネス

新規事業であるサブスクリプションビジネスのご紹介です。定額で利用するサブスクリプション方式により、医療機関は初期投資のコストを低減し、より早く機器やサービスを導入することが可能となります。当社は医療機関に対する導入支援を引き受け、サービスの利用期間や利用単位ごとに継続的に手数料を得ていきます。

現在は外科、整形外科、循環器領域の各種手術器械の貸し出しや、入院に必要な物品を取りまとめたアメニティサポートシステム、Philips社の人工呼吸器レンタルにも対象を拡大しており、年間1億2,000万円の粗利益を獲得しています。今後、アイテム数や規模のさらなる拡大を図ります。

医工連携 ~医療機器販売業参加型 医工連携モデル~

当社は医療機器販売業として医工連携に参画しています。当社社員が臨床現場で医師などから医療機器開発ニーズをうかがい、医療機器製造販売業やものづくり企業、地域産業支援機関と連携してさまざまなコンサルティング機能を果たすとともに、公的資金も活用しながら新規医療機器の開発に貢献します。

市場調査、開発ニーズ収集とブラッシュアップ、販路開拓支援などについては、地域産業支援機関などから有償で案件を受託しています。医療機関への販路としても機能し、最適な医療の実現に貢献していきます。

医工連携DX

現在、全国33都道府県の企業や大学、地域産業支援機関などと連携しており、オンライン会議を活用することで地理的な制約にとらわれることなく活動しています。その中で埼玉県内の企業との連携事例として、不整脈に対するカテーテルアブレーション治療用補助デバイスの共同特許を取得しました。

海外の先端医療機器

当社で刊行している海外医療情報誌『Medical Globe』のご紹介です。本誌は世界的な学術関連情報サービス企業であるクラリベイト・アナリティクス社などと提携し、海外の最先端の医療機器や医療現場の情報を和訳編集して、日本に向けていち早く紹介している月刊誌です。

大手医療機器メーカーや医療機関、公的機関、製薬会社、シンクタンクにも購読され、高い評価を受けています。また、当社の社員教育にも活用しています。

日本医工ものづくりコモンズ MINCの会「海外医療機器の最新動向勉強会」

『Medical Globe』に掲載された海外医療機器情報を題材として、日本医工ものづくりコモンズおよび国立国際医療研究センター主催の海外医療機器の最新動向勉強会(MINCの会)が3ヶ月ごとに行われています。

私を含めた当社の『Medical Globe』編集部をはじめ、経済産業省、厚生労働省、特許庁、AMED(日本医療研究開発機構)、PMDA(医薬品医療機器総合機構)といった行政サイドや、医師、医療機器メーカー、ものづくり企業、アカデミアの工学研究者などが参加し、意見交換や情報共有を行っています。

当社としては、国産医療機器開発への貢献という位置づけです。最近は新型コロナウイルス感染防止のため、オンラインで実施されています。

SPD事業

SPD事業では、既存エリアでのシェアアップと、グループ会社であるカワニシと連携し、新たなSPDセンターの出店を計画しています。

また、自社開発した簡単かつ正確な在庫管理ができる中小病院向け自主運営型SPDシステム「メディリア」の販売にも注力し、中四国エリアの深掘りおよび九州・近畿エリアへの拡販を進めていきます。「YouTube」に紹介動画がありますので、ぜひご覧ください。

介護用品事業

介護用品事業では、顧客のフォロー体制を充実させるとともに、デジタルを活用したリモート営業の拡大を図り、既存エリアでのさらなるシェアアップを目指します。

医療機関との連携も強化し、病院から在宅へ円滑に介護器材を供給し、新規顧客の開拓と関連商材の拡販を行います。

さらに、介護用住宅リフォームを担う自社施工部門を強化し、さらなる新規利用者の開拓を行います。今年4月に広島県尾道市に営業所を開設しましたが、しまなみ海道から四国、瀬戸内圏への新規出店も計画しています。

決算レポートの説明は以上です。ご視聴いただきありがとうございました。