連結業績概況
松谷浩一氏:松⾕でございます。本⽇はお忙しい中、スカパーJSATホールディングスの決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
第1四半期の業績について、連結業績概況からご説明します。第1四半期の営業収益は288億円、営業利益は56億円、経常利益は59億円となり、四半期純利益を除いて前年同期とほぼ同⽔準で着地しています。
四半期純利益は40億円で、前年同期⽐18.2パーセント減となっていますが、これは前年度の連結⼦会社解散に伴う税⾦費⽤の減少が9億円あったことによるものです。スライドの表の右側に記載のとおり、通期予想に対しては概ね計画どおり進捗しています。
四半期連結業績推移(FY2021/1Q – FY2022/1Q)
四半期ごとの業績トレンドをグラフで⽰しています。先ほどお伝えしたとおり、第1四半期の営業収益・営業利益は前年と同⽔準です。
セグメント別業績概況:宇宙事業
各事業セグメントについてご説明します。まず、宇宙事業についてです。営業収益は138億円で、「JCSAT-1C」のインドネシアでのサービス開始や「Horizons 3e」の増収などの⼀⽅、放送トラポン収⼊の減少などにより前年同期とほぼ同⽔準となりました。
営業利益は減価償却費・のれん償却費の減少により、前年同期⽐19パーセント増の41億円となりました。純利益ベースのセグメント利益は前年同期⽐13パーセント減の29億円ですが、この減少は前年度の税⾦費⽤減少の影響によるものです。
セグメント別業績概況:メディア事業
メディア事業についてです。営業収益は175億円で、接続世帯数の増加などによりFTTH事業収⼊が増加した⼀⽅、「スカパー!」の累計加⼊件数の減少により前年同期⽐約2パーセントの減収となりました。広告宣伝費の増加などにより、営業利益は16億円、セグメント利益は12億円となっています。
2030年に向けて
ここからは、宇宙事業・メディア事業のそれぞれの直近のトピックスと成⻑に向けた取り組みをご紹介します。当社グループでは、2030年に向けて既存事業で⽣産性を⾼めて基礎収益⼒の向上を図るとともに、新領域へ⼤胆に投資を⾏って⻑期的な成⻑を目指します。
宇宙事業では1,500億円規模の投資を予定しており、Universal NTN・光データ中継・インテリジェンス分野に重点的に投資していく計画です。
メディア事業では500億円規模の投資を予定しており、コネクテッドTV・メディアソリューション・ファンコミュニティを醸成する分野に重点的に投資していきます。
宇宙事業ビジョン ~ Society 5.0 の実現に向けて ~
それぞれの事業ごとの詳細です。宇宙事業では、フィジカル空間とサイバー空間を⾼度に融合したシステムにより、経済発展と社会課題の解決を⽬指す「Society 5.0」の実現に貢献することを⽬指し、宇宙事業ビジョンを策定しています。
静⽌衛星にとどまらず、HAPSや低軌道衛星など、ニーズに応じた多様な通信インフラを構築・ネットワーク化することで、地上・海上・空中をシームレスにつなぐUniversal NTNを推進します。
また、衛星画像の解析システムを⾼度化させ、観測データ・IoTデータを利⽤した経済活動、地球環境や安全保障などの社会課題の解決に貢献します。これらを成⻑の機会と捉え、積極的に取り組んでいきます。
株式会社Space Compass発足
宇宙事業ビジョン実現への取り組みの1つとして、4⽉26⽇にNTTと合意していた新会社設⽴について、合弁会社Space Compassを7⽉20⽇に発⾜させ、新たな⼀歩を踏み出しました。
宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想の実現に向け、まずは光データリレーサービスとHAPS事業の立ち上げに全⼒で取り組みます。
既存ビジネスの拡大強化
既存事業領域においても、事業の拡⼤・強化を図っています。グローバル・モバイルビジネス分野では、本年4⽉からインドネシアのTeleglobalとのパートナーシップにより、ハイスループット衛星「JCSAT-1C」を利⽤した⾼速通信サービスを開始しました。
「JCSAT-1C」「Horizons 3e」の2機のハイスループット衛星の導⼊で、増加する通信需要を取り込み、さらなる収益の拡⼤を図ります。
国内衛星通信ビジネス分野では、総務省が運⽤する4ギガヘルツから6ギガヘルツ帯(C帯)の静⽌衛星監視設備の整備事業を受注しました。
これまで総務省が⾃らの拠点で⾏ってきた電波監視業務について、5Gとの電波⼲渉の影響で継続が困難となることを避けるため、5G電波から保護された当社の茨城ネットワーク管制センターに監視設備を構築し、2024年4⽉から運⽤を開始することとなりました。
これまで培ってきた衛星や衛星回線の運⽤ノウハウを活かして電波監視機能を⾼め、より安全で公平な周波数利⽤環境の維持に貢献していきたいと考えています。
メディア事業 成長のストーリー
メディア事業のビジョンです。⼈と⼈・企業・社会をつなぐプラットフォームとして、多様で創造性豊かな社会の実現に貢献するため、ファンの体験を起点として、その先の体験領域を拡張していきます。その実現に向け、積極的な業務提携を含む新領域への投資を集中させていきます。
放送・配信サービスを進化させるコネクテッドTV、「スカパー!」ファンのみなさまに「スカパー!」ならではの世界観をお楽しみいただけるリアル体験、当社が保有する有形・無形のアセットを活⽤して企業の課題解決を図るメディアソリューションを軸に事業を推進していきます。
ブンデスリーガ 22/23シーズンの取り組み
先ほどのファンの体験を拡張させる実例として、ブンデスリーガの取り組みをご紹介します。今月5日に、ブンデスリーガ2022/2023シーズンが開幕します。「スカパー!」では引き続き全試合中継・LIVE配信を行っていきます。
今回はリアルでの特別イベントとして、ブンデスリーガのクラブとJリーグのクラブが対戦する「ブンデスリーガジャパンツアー2022 powered by スカパーJSAT」を11月に開催します。
コロナ禍もあり、今年が初開催となります。長谷部誠選手も所属しているヨーロッパリーグの覇者「アイントラハト・フランクフルト」を招へいし、長谷部誠選手の古巣である「浦和レッズ」、そして「ガンバ大阪」との親善試合を行います。
ブンデスリーガとは日本国内における共同スポーツマーケティング活動を含めたパートナーシップ契約を締結していますが、今後も放送・配信にとどまらず、このようなイベントやグッズの販売も併せて展開し、ファンの体験を拡張させていきたいと考えています。この機会に、あらためてブンデスリーガにご注目いただければと思います。
Web3関連事業の創出に向けた取り組み
Web3関連のプロダクトを開発しているFrame00との資本業務提携により、クリエイターエコノミーの市場開拓を狙っていきます。
Web3の中核技術であるブロックチェーン関連技術や、Frame00のプロダクトを利用することにより、アニメやアイドルをはじめとしたさまざまなジャンルのファンコミュニティに対し、新たな体験の提供を行っていきたいと考えています。
例えばクリエイター独自のトークンを販売するなど、ファン体験の深化が可能です。双方が持つ技術・アセットを結集し、メディア・エンターテインメント業界でのWeb3関連事業を創出していきたいと考えています。
SPOOXの取り組み
最後に「SPOOX(スプークス)」の直近の取り組みをご紹介します。幅広いターゲットに向けたバリュープランに加え、特定ジャンルのファンに向けた商品の展開を強化しています。
2.5次元の舞台やミュージカル作品を月額550円で毎月約30本楽しめる「2.5次元推しチャンネル」を7月14日から新たに販売開始しました。他にも「サッカーLIVE」「クラシックチャンネル」など、スポーツから音楽・趣味の領域まで、ジャンル単位で商品を揃えています。
今後もそれぞれのファンの方に楽しんでもらえるように、ニッチな領域を含めて幅広いジャンルのエンターテインメントを配信し、多様なコンテンツの提供によって生活の豊かさの向上に寄与していきたいと考えています。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。
質疑応答:「JCSAT-1C」の売上への寄与について
質問者:宇宙事業について、グローバル・モバイル分野では前年同期比4億円の増収となっています。第1四半期の売上を衛星ごとに比較すると、「Horizons 3e」に対して「JCSAT-1C」はあまり寄与していなかったのでしょうか?
森合裕氏(以下、森合):「JCSAT-1C」については、インドネシアのTeleglobalへ高速通信サービスの提供を開始しています。
計画では長期契約になっており、契約期間の中で徐々に提供のキャパシティを拡大していくことになっています。サービス提供を開始してまだ間もないため、売上への寄与はあまり大きくありません。
質問者:昨年度の第4四半期にIntelsatと航空機内のWi-Fiサービスを契約しているほか、船舶へのブロードバンドサービスも提供を開始していると思います。第2四半期、第3四半期、第4四半期になると、売上への寄与がある程度表れてくるのでしょうか?
森合:Teleglobalへのサービス提供と同じく、Intelsatとの契約も徐々に帯域を拡大していく計画になっています。
マリタイムサービスについては、これから船舶の契約を獲得していくため、今後の契約数に依存します。いずれにしても、これから拡大していく計画です。
質疑応答:航空機内Wi-Fiサービスによる売上について
質問者:国内航空会社へのWi-Fiサービスについてです。新型コロナウイルスの影響がいろいろとありますが、出航便数は概ね順調に回復してきていると思っています。第1四半期の売上は前年同期比で増えているのか、減っているのか、または同等なのか教えてください。
森合:売上高は前年同期比で増えていますが、増収幅は新型コロナウイルスが拡大する以前の水準にはまだ追いついていない状況です。
質疑応答:宇宙事業の営業収益の増減について
質問者:宇宙事業で放送トラポンの減収がありますが、第2四半期、第3四半期も第1四半期と同じくらい減少するのでしょうか? それとも第1四半期のみでしょうか?
また、営業収益はグローバル・モバイル分野で前年同期比4億円の増収と、放送トラポンの2億円の減収があります。トータルで前年同期比プラスマイナスゼロになっているため、他にも2億円の減収要因があるということですが、どのようなものでしょうか?
森合:放送トラポンについては、第2四半期以降も前年同期と比較して若干の減収を見込んでいます。営業収益の残りの2億円については、国内の既存ビジネスで売上が減少している部分です。
質問者:放送トラポンと国内既存ビジネスは四半期で2億円の減収ですので、4倍して年8億円くらいの減収になるのでしょうか?
森合:放送トラポンのマイナス2億円は数字がやや落ち着いてきていますので、年間8億円までは減らないと思います。
第2四半期以降のトレンドについては、第1四半期で一部減少した部分があるとお伝えしましたが、特に下期において新たな収益の追加を見込んでいます。そのため単純な4倍の数字になるのではなく、後半で伸びて現在の年間見通しに追いつくと見ています。
質問者:国内既存ビジネスについても、年8億円くらいの影響になるのでしょうか? また、後半の新しい収益というのは、「Horizons 3e」「JCSAT-1C」の売上が増えるということでしょうか?
森合:グローバルや移動体については先ほどお伝えしたトレンドが継続します。第1四半期の国内の減収幅は第2四半期以降も変わりませんが、他の国内案件で後半で見込んでいる収益があるため、減少分は後半にカバーしていくことを想定しています。
質疑応答:メディア事業のコストコントロールについて
質問者:メディア事業についてです。今回、営業費用が広告宣伝費で前年同期比2億円増えましたが、このあたりは契約増に合わせてコントロールするということでした。
また、下期に「BSスカパー!」が終了するということで、下期は無料番組などの費用は減少していくのでしょうか? 上期と下期のコントロールの考え方についてお願いします。
美谷衛氏(以下、美谷):コストコントロールは計画的に実施しています。第1四半期は基本プランの広告を強めに出したため、その分でプラス2億円になっていますが、キャンペーンを行い、基本プランの加入件数は計画どおり増加しました。
「BSスカパー!」は予定どおりチャンネルが終局しますが、放送を契約しているお客さまが無料で配信を見られるサービス「スカパー!番組配信」を前面に出したプロモーションを行います。
そちらを集客のメインに位置付けて秋口に広告宣伝費などを使い、また年度末にも使う計画を現時点では立てています。
質問者:第4四半期の販促費が非常に大きいですが、そのあたりも含めてコントロールしていくということでしょうか?
美谷:そのとおりです。第4四半期の販促費は大きいため、そこはコントロールして実施していきます。