INDEX 目次
山本正喜氏(以下、山本):みなさま、こんにちは。Chatwork株式会社代表取締役CEOの山本でございます。先ほど、2022年12月期第1四半期の決算開示を行いました。本日はその決算開示内容である決算説明資料をベースに、私のほうからご説明します。どうぞよろしくお願いします。
決算説明資料はスライドに記載のとおりの構成になっています。会社概要から始まり、この四半期の主要トピック、昨年2月に発表した中期経営計画の進捗、この四半期の業績、そして2022年12月期の業績予想とお話しします。そこから事業概要、中期経営計画、Appendixと続いています。
本説明会ではなるべく多く質問の時間を設けたいと思っています。そのため、事業概要・中期経営計画のご説明は割愛しようと思いますので、資料をご覧ください。
会社概要
会社概要についてです。Chatwork株式会社は2022年3月末時点で従業員数267名となっています。オフィスは東京・大阪・ベトナム・台湾と4拠点あります。東京が主要なオフィスとなっており、全体の約8割にあたる200名ほどの社員が在籍しています。
コーポレートミッション
コーポレートミッションとして「働くをもっと楽しく、創造的に」を掲げています。人生の大半を過ごすことになる「働く」ということは、ただ生活の糧を得るための時間ではありません。もちろんそれもすごく大事なことですが、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる社会を実現することを目指して事業を推進しています。
ビジネスチャットの「Chatwork」という事業は、このミッションを実現するために効果的な手段だと考えています。「Chatwork」を通じて、このミッションを1人でも多くの人に届けるために事業を推し進めていきます。
事業概要
事業概要としては、社名にもなっている国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中心に、複数の周辺サービスを展開しています。「Chatwork」以外の領域で言いますと、セキュリティセグメントの領域で「ESET Smart Security」というウイルス対策ソフトウエアを展開しています。これは「Chatwork」以前から行っている事業で、パソコンにインストールするタイプのソフトウエアの販売によって収益の安定化に貢献している事業です。
11年前の2011年3月に「Chatwork」をリリースしていますが、当時はビジネスチャットという言葉もないタイミングで、ビジネスチャットのパイオニアとして市場を作ってきた自負があります。現在でも国内利用者数においては、アクティブユーザー数ベースでNo.1の実績があり、導入社数は35.4万社を超えています。電話やメールから効率的なチャットへと移行することでビジネスコミュニケーションの変化を加速させていき、それをプラットフォーム化することを目指しています。
Chatworkが実現したい世界
ビジネスチャットを広げて、プラットフォーム化することを目指す中で、その先に見えている世界を表現したブランドコンセプトとして「シゴトがはずむ」を掲げています。「コミュニケーションが活性化すると会話がはずむように、ビジネスの現場を活性化させていくことで、仕事をもっとワクワク、心がはずむものに変えていきたい」と思っています。
そして、「ユーザーの働き方を誰よりも深く理解し、いつでも、どんな場所でも、やりたいことに集中できる働き方の提供を通して、ビジネスを活性化させる存在」になっていきたいと思っています。この世界観を表現したブランドムービーを作りましたので、もしご興味がある方はスライドに記載のQRコードあるいはYouTubeのリンクからご覧ください。我々が目指す世界観を感じていただけるのではないかと思います。
ビジネスチャットの市場環境
ビジネスチャットの市場環境についてです。ビジネスチャットという市場も一定程度は認知が広がってきましたが、まだまだ普及はしていない状況です。我々の調査になりますが、ビジネスチャットの国内普及率は直近で24.6パーセントと、4分の3ほどの会社には導入されていません。いまだに電話・FAX・メールがビジネスコミュニケーションの主流なのだと思います。
ビジネスチャットはビジネスコミュニケーションのごく一部ではありますが、裏を返すと、成長余地が極めて大きく、ポテンシャルの高いマーケットであると考えています。みなさまも昔は個人の携帯メールを使っていたと思いますが、今やチャットなどのメッセージングツールが主流になっています。
一方、ビジネスの環境ではまだまだメールが主流ですが、間違いなくメールからチャットへと不可逆的に変わっていくだろうと思っています。今さら「個人の携帯メールに戻ってくれ」と言われても、「いや、そんな面倒くさいことは」となるように、ビジネスにおいても「なんでメールなんて面倒くさいものを使っていたんだろうな」となる時代が間違いなく来ると思っており、我々はそれを推進しています。
また、その流れを加速する近年の社会情勢があります。新型コロナウイルス感染症や働き方改革、DXの流れもありますので、テレワーク急増に伴い、普及がどんどん加速しているのがビジネスチャットのマーケット状況です。中小企業市場が我々のメインターゲットですが、そこへの普及が今まさに本格化しているフェーズだと認識しています。
ビジネスチャット「Chatwork」の強み
我々のプロダクトである「Chatwork」の強みをご説明します。「Chatwork」の一番の特徴・強みは、社外との接続しやすさにあると思います。1つのアカウントで、社内も社外もシームレスにやりとりできるところが大きな特徴です。
これをオープンプラットフォーム型と呼んでいますが、この特徴によって社内だけでなく社外とのプロジェクトに使っていただくことで、紹介経由でユーザー数がどんどん広がっていきます。そして、紹介されたユーザーがさらに知り合いの方に紹介することで、複利的にユーザー数が拡大していく構造です。
スライド左側のグラフに記載のとおり、2011年3月のリリース以降、登録ID数はきれいな二次曲線で伸びています。これは複利的に伸びる構造が実現できているからこそであり、競合環境の変化があったとしても影響を受けることなく、きれいに伸び続けていることが見てとれると思います。
また、弊社のエンジニアによって機能開発を継続的に行っていますので、どんどん機能追加し、プロダクト価値の向上を図っています。そして、プロダクト価値が向上するとともに、それに見合った適正なプライシングを続けており、中長期にわたりARPUが上昇していく構造を持っています。当然、プロダクト価値の向上はこれからも推進していきますので、継続的なARPUの向上は引き続き実現できると思います。
このように、二次曲線的に伸びるユーザー数と継続的なARPUの向上によって高い成長率を実現しています。
そして、ビジネスチャットの特性上、過去の会話のやりとりはずっと残っていきます。加えて、社外のいろいろな取引先と使用することになれば、他のツールに乗り換えようと思った時にスイッチングコストが高くつきます。ログの移行や取引先アカウントの移行は非常に大変ですので、解約率は非常に低い状態を長年キープしており、現在の月次解約率は0.4パーセントです。このような効率的なビジネスモデルを有しているところが「Chatwork」の強みだと思います。
ビジネスチャットに留まらない高いプラットフォーム価値
ビジネスチャットをどんどん広げていきますが、その先にプラットフォーム化を目指しています。我々は、ビジネスチャットには非常に高いプラットフォーム価値があると考えています。なぜかと言うと、どの業界でも使っていただけることはもちろん、全職種の方に使っていただけるからです。
営業、経理、エンジニア、経営者などすべての職種の方々が朝から晩までずっと使い続けるSaaSツールはビジネスチャットの他にないと思っています。他のSaaS企業には上場企業もたくさんありますが、特定の職種の方が特定の業務の時に使うものになっており、業務時間中使い続けるのはビジネスチャットのみだと思っています。そのため、我々は圧倒的なユーザー接点を持つプラットフォームとなっています。
その高いプラットフォーム性を活かし、周辺サービスの販売を展開をしています。いわゆるクロスセルや関連サービスをオプションとして提供することを展開しています。スライド左側のグラフにあるとおり、2021年度は前年比39.9パーセント増と大幅成長しています。2017年から見ても継続的な成長を続けており、昨年度はさらに踏み込んだ大幅な成長を実現できています。
このように高いプラットフォーム性を持ちながら、チャットというコミュニケーション手段でもある点がお客さまとの強力なタッチポイントになっています。開封率が非常に高いチャットというコミュニケーション手段で、多くの提案ができるポテンシャルを我々は持っています。お客さまの課題をお聞きして、効果的なアプローチをすることで、サービス提供していくことができると思います。
「Chatwork」が現在行っている施策の1つをご紹介します。「Chatwork DX相談窓口」を設けており、こちらにお客さまのDXに関連するご相談を何でも持ち込んでいただくようにしています。
裏側にはDXアドバイザーという当社のスタッフ陣が控えており、お客さまの課題をお聞きして、いろいろな提携プロダクトや我々の他のプロダクトを組み合わせて、お客さまの課題へのソリューションを展開することで売上を作っています。プラットフォームの拡大とともに、このようなプラットフォームに乗っていく事業も創出していけると思っています。
Chatworkスーパーアプリファンドの投資戦略
プラットフォーム戦略を加速するために、昨年度から「Chatworkスーパーアプリファンド」というCVCの投資戦略を開始しました。これは、我々のメインターゲットである中小企業層をお客さまとする事業を持った会社に対して、アライアンスというかたちで業務提携をするものですが、一歩踏み込んだかたちで出資することで、より深い提携を目指しています。
我々と提携したパートナー企業には、「Chatwork」が持つ500万IDを超える巨大な顧客基盤からお客さまを紹介することが可能です。その送客に対して成果があれば、連動した送客フィーをいただきます。
出資先においては、このような取り組みを加速させることによりIPOや売却といったキャピタルゲインが発生する以前から投資回収を進めていくことができます。加えて、我々の力も加えて出資先の事業が成長することにより、将来的にはキャピタルゲインとしても取り込むことができます。このように非常に効率のよい投資戦略を取れるのが「Chatworkスーパーアプリファンド」だと思っています。
これまでの実績では、昨年6月に発表したChatworkストレージテクノロジーズという関連子会社があります。こちらはクラウドストレージの事業をマジョリティで買収した案件ですが、「Chatworkスーパーアプリファンド」の考え方に沿った投資になっています。
他にも、採用支援をしているネットオンさま、企業年金を事業としているベター・プレイスさまへの出資もすでに実施済みです。また、足元の5月では、フリーランスの方とマッチングして、Webサイトの制作やシステム開発などを行うプラットフォームを運営しているGIGさまへの投資を実行予定です。このように、さまざまな出資先とのシナジーをどんどん起こしていきながら、さらに投資機会を拡大し、ファンド自体を大きくしながらプラットフォームを拡大していくことを目指していきます。
中小企業No.1からビジネス版スーパーアプリへ
中長期の方針の全体像についてです。「中小企業No.1からビジネス版スーパーアプリへ」という構想を掲げています。2024年を中期経営計画のゴールとして定義していますが、2024年までにシェアを拡大し、中小企業No.1のビジネスチャットのポジションを確立することを目指します。
中小企業No.1のポジションを確立した後の2025年以降は、その圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化を目指していく方針です。
シェアを拡大しなければプラットフォーム化も絵に描いた餅になってしまいます。そのため、2021年から2024年までのシェア獲得期が最重要フェーズだと捉えており、投資スピードを最大限に加速するという中期経営計画を出しています。
目標値を大幅に上回る売上成長を実現①
中期経営計画については後ほどご説明しますが、主要となるChatworkセグメントにおいては「Chatwork」の周辺領域も含めて、CAGR40パーセント以上で成長していくことを目標としています。この4年間で非常に高い成長率の実現にコミットし、投資を推進して、事業を進めていきます。
中期経営計画の1年目が終わったところですが、結果として目標値を大幅に上回る売上成長を実現することができました。Chatworkセグメントにおいては、目標値であるCAGR40パーセントを大きく超えて、47.9パーセント増と大幅な増加を達成することができました。我々としては、非常によいスタートを切れたと認識しています。この達成ベースを引き続き継続できるように、これからも事業推進を進めていければと思っています。
KPIハイライト
直近の決算のキーとなる重要なKPIについて、スライドにまとめています。無料・有料の両方を合算しています「Chatwork」の登録ID数は509.7万IDと、500万IDを突破しました。私としては、ついにここまで来たかと感慨深いものがあります。
「Chatwork」を有料で使っていただいている方は56.8万IDで、使っていただいている会社は35.4万社です。ARR、つまり年間の継続課金の売上は35.4億円となっています。
NRRは、昨年度のお客さまが次年度以降どのくらいの売上比率に変化するかを表している指標です。通常は解約があるため、少しずつ100パーセントを切っていきます。
しかし、我々の場合は、同じ会社内でユーザー数が増えることによるライセンスの追加や、よりアップグレードしたプランや周辺サービスを使っていただくことがあります。そのため、100パーセントを超えています。
昨年度のお客さまの売上が、同じお客さまだけを切り取っても今年は122パーセントになっています。このように非常に効率のよいビジネスモデルが実現できています。また、先ほどお伝えしたとおり、それを支える解約率は0.4パーセントと非常に低水準となっています。
ARPU、つまり1日あたりの顧客単価は506.6円で、継続的に上昇しています。DAUは休眠ユーザーを含まない1日あたりのユーザー数ですが、こちらは100.9万IDと100万人を超えています。
トピック① ID数の定義変更について
四半期の主要トピックについてです。1つ目のトピックとして、2022年度の第1四半期からID数の定義変更を行っています。これは非常に重要なトピックです。
ID数という大事なKPIにおいて、より正確性が高く、実態に即した定義に変更しました。より正確性を増すための軽微な変更ではありますが、定義変更により過去の数字も変わっています。これからの数字はもちろんですが、過去に開示していたものも今回の資料から変わっているところがありますので、「数字が違うのではないか?」とならないようにここで定義変更についてご説明しました。
財務情報による売上・各段階利益には影響ありません。従来の開示から変更はなく、登録IDなどのいわゆるKPIにかかわるものに変更があるとご認識いただければと思います。
影響のサマリーとしては、無料IDと課金IDをあわせた総IDは増加しています。課金IDは減少していますが、ARPUは上昇しています。
定義変更については、スライド下段の表にまとめています。まず、無料IDにおいては、Chatworkの株式を保有いただいている方には有償のプランを無償でお使いいただける株主優待を提供しています。また、NPO法人に無償で提供しているプランがありましたが、こちらも無料IDの中に入れました。
そのような方々も、アカウントの支払いの上では無料ですが、プラットフォームの周辺サービスをご利用いただく可能性も十分あります。そのため、IDの基盤の中に含めたほうがよいだろうと考え、無料IDに算入したことでID数が増加しました。
課金IDに関しては少し減っています。我々のセールス母体が有料の提案に行った際に、「少し試させてほしい」となり、1ヶ月ほどトライアル期間を設けることがあります。今までは、そのような期間のIDも課金IDとして算入していました。トライアル期間はお金をいただいていませんので課金IDには含めないほうがよいと考え、こちらを除いた数字にしたため、ID数は減っています。
加えて、今までは契約数の算出日時の定義が曖昧でした。とても小さなインパクトなのですが、より正確な定義に軽微な変更を行いました。
また解約率に関しても、解約数でごく一部のケースにおいて計上されていませんでした。実際解約があったが解約数にカウントされていなかったという、例外ケースを算入していることで、解約数が増えているところがあります。
定義変更について右側の表にまとめています。繰り返しになりますが、売上高各段階利益の財務指標に関しては従来開示数値から変更はありません。登録IDは、従来開示数値から増加しています。課金ID数は従来開示数値から減少しています。ARPUは課金ID数が減ることにより、売上は変わりませんので、従来開示数値から増加しています。1ユーザーあたりの単価は増加しています。
解約率は、解約数の増減で従来開示数値から契約とIDで少しバラつきはありますが、増減しています。例として、第4四半期ではどのような変化が起こったかを開示しています。過去数字も併せて変更していますので、ご認識いただければと思います。
トピック② 経営体制をアップデート
トピック2つ目です。経営体制をアップデートしました。今年度3月に株主総会を実施し、そこでの取締役会決議を経て取締役が代わっています。あらためてこの場でもご案内できればと思います。
3月に決議されて3月に取締役に就任したのですが、4月1日より役職の変更を行っています。2022年4月1日より、執行役員CSOであった福田升二が取締役執行役員COOへ就任しました。
私はもともとCTOという技術のトップを長年担当してからCEOになった、プロダクトバックグラウンドのCEOです。プロダクトに非常に強いところが私の特長だと思っています。そこに加え、昨年度の中期経営計画1年目に大幅成長を牽引した、CSOという戦略のトップであった福田が、COOという実行のトップに変更になります。それによって、私が強みを持つプロダクトと福田が強みを持つビジネスの両輪を、我々Chatworkの成長の原動力としていきたいと思っています。
また、昨年度は、組織面でも本部の人員数をアップデートしています。プロダクト・ビジネスの両輪がChatworkの強みだとご認識いただければうれしいです。
さらに、従来取締役COOを務めていた副社長の山口は、取締役を降り、執行役員CNOという役職に変わっています。山口は、さまざまな領域におけるネットワーク形成、ユーザーのコミュニティなどのいろいろな人脈作りに非常に長けている人間です。そのような新たな役割を担うために、経営の役割への変更を行っています。
スライドでは、非常に重要になってくるCOO福田をあらためてご紹介しています。従来からボードメンバーの一員でしたので、福田のプロフィールは決算説明にも添付していますが、あらためてご紹介します。
もともと伊藤忠商事におり、そこから介護のメガベンチャーで東証プライムのエス・エム・エスに入社して執行役員まで行き、そして我々に参画いただいたというキャリアになっています。非常にビジネスの戦略推進が強いキャリアとなっています。
彼の管掌はビジネス本部です。30人くらいの部門のようなユニット単位があるのですが、主にマーケティング、カスタマーサクセス、セールスといった顧客接点を持つユニット、そして新規事業の開発、顧客コミュニケーション戦略のユニットなど、ビジネスサイドをビジネス本部が一手に管掌しています。
また、福田は事業開発ではユニット長を兼務しており、新規事業は彼が直接グリップして推進している体制になっています。
トピック③ Chatwork Mobile事業をスタート
3つ目のトピックです。通信事業としてChatwork Mobile事業をスタートしました。2022年4月より、企業向けMVNO事業「Chatwork Mobile」というサービスを提供開始しています。
Chatworkがなぜ今から通信事業を始めるのかの背景をお話しします。スマートフォンは普及していますが、いまだ多くの中小企業では主にコスト面を理由として法人端末の導入が進んでおらず、ビジネスでのスマートフォン利用がなかなか進みきれていない実態があります。
Chatworkには500万IDを超える大きな顧客基盤がありますので、このボリュームを活かしてベンダーと交渉して、業界最安値級の端末と回線を提供できるスキームが構築できましたので、新規参入してサービスの提供を開始しています。
我々はSaaSのインターネットサービスで展開してきましたが、中小企業のDX環境の構築を通信インフラの面からもご支援できればと思っています。今後、中小企業のさらなるDX推進に向けて、多様なサービスを展開していきます。
トピック④ フリープランにユーザー管理機能を追加
トピックの4つ目です。2022年3月より、無料で提供しているフリープランにユーザー管理機能を追加しました。今までは法人向けの有料プランのみに提供していたユーザー管理機能が、無料プランでもご利用可能になりました。これにより、管理者が、スタッフのアカウントを発行したり、アカウントを停止したり、退職された方のアカウントを削除したりできるようになりました。
「無料でまず使用したい」「試してみたい」といった法人の方もたくさんおり、フリープランをご利用いただくことが多いのですが、従来フリープランはユーザー管理機能を提供していませんでしたので、ご利用いただく法人のユーザーさまが一人ひとり別のIDを個別に取る必要がありました。
それをつないで法人利用をお試しする形態でしたが、そこから有料化する際は、お一方だけが有料プランになり、他の方々にはその組織に入っていただくことになっていたため、けっこう手間がかかってしまう問題がありました。
今後は、初めから管理者の方が無料プランの契約内でスタッフの方をアカウント追加できるようになりますので、そのままアップグレードを管理者の方が一度していただくだけで全員が有料プランをご利用いただけることになり、より法人での利用がしやすくなりました。
また、9割近いようなID数でフリープランをご利用いただいていますが、個人で利用されている方もいれば、何十人、何百人と利用されている方も1IDずつの契約になっており、どれくらいの規模の会社が利用しているのかが把握しにくい状態がありました。
そこで、ユーザー管理機能をご提供することによって、管理者さまがスタッフのアカウントを発行して、利便性を享受していただくとともに、「これくらいの規模の会社さまが、こんな使い方をされているのだな」と、我々がデータでも把握できるようになりますので、我々のカスタマーマーケティングの効率も大幅に向上します。
また、どのようなユーザー属性があってどのような課題がありそうか、提案に行きやすくなり、アプローチの効率が大幅に上がるのではないかと思っています。これは、我々が掲げている中期経営計画の戦略のひとつである、プロダクトで効率よくグロースするというPLG(Product-Led Growth)戦略の肝となる変更であるとも思っています。この変更により、PLG戦略をさらに推進していきます。
トピック⑤ 新オフィスへ移転し、新しい働き方を実践
トピックの5つ目は、「新オフィスへ移転し、新しい働き方を実践」です。今までは東京タワーの目の前にオフィスを借りていましたが、2022年3月に日比谷FORT TOWERにあるWeWorkに東京オフィスを移転しました。実は今回から、新しいオフィス内から配信しています。そのコンセプトとして、新しい働き方を実践していることをご紹介できればと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、WeWorkはシェアオフィスで、たくさんの会社が共用で使われるオフィス形態となっています。したがって、多くの共用エリアがあります。カフェのようにいろいろな会社が使う環境や、専用スペースもあります。私が今話しているところは専用スペースです。我々の会社しか使えないようなスペースも借りて、そこを我々のオフィスとしながら、共用のオフィスも利用することができ、かつ、非常に多くの会議室も利用できます。そのようなWeWorkのオフィスを、我々の東京のメインオフィスとして利用しています。
コロナ禍でリモートワークが当たり前になってきて、我々も9割近い社員が在宅になっている状況です。人数は非常に増えていますが、オフィスはガラガラという、オフィスの効率がよくない状況があります。
かつ、新型コロナウイルスによって非常に厳しい状況になると「出社はやめておこう」となりますが、一方で、感染者数が減ってくれば「コラボレーションしたいから出社しよう」となり、出社数の波が出ます。そのようなところが「withコロナ」の時代なのだと思うのですが、オフィスを持っておく場合、最大キャパシティが必要ですので、非常にコスト効率が悪いです。
我々同様、とても悩まれている経営者の方も多いと思いますが、このようなWeWorkのようなシェアオフィスを使うことで、専用スペースは固定で借り、人数に対して非常に狭い領域にしておきつつも、出社して専用スペースが溢れた際は共用部分に染み出していくことができます。したがって、出社人数の柔軟な対応、フレキシブルな働き方ができ、かつ最大キャパシティの固定費を持たなくてよいため、コストカットも実現できます。
我々は日比谷のWeWorkに入っていますが、WeWorkの契約形態では全国にあるWeWorkのオフィスも利用することができます。いろいろなかたちで全国で働いている方がいますので、近くのWeWorkで働いたり、出張やワーケーションで使ったりと、それらを使い分けた新しい働き方が実現できるのではないかと考え、新しい働き方を推進していく会社として自らも実践していければと思っています。
社員一人ひとりが目的に合わせて働く場所を選択できるのが、我々の「ワークプレイス」の考え方です。これがこれからのwithコロナ、afterコロナの時代を見据えた働き方なのではないかと思っています。
中期経営計画
中期経営計画の進捗をご報告します。毎回ご紹介していますが、「ChatworkセグメントにおいてCAGR40パーセント以上の売上成長を実現する」ことを一番大事な指標としてコミットして推進しています。
それに加えて、中期経営計画の中では、2024年度に、Chatworkセグメント以外のセキュリティセグメントも含めた全社売上で100億円を目指しています。中小企業向けビジネスチャット市場でNo.1を掲げていますが、それをシェアの面でも達成しようと、40パーセントのシェアを獲得することを目指しています。シェアの考え方はスライドの図をご参照いただければと思います。
また、2024年度の全社売上目標100億円のうち、4分の1程度を自社サービスの立ち上げや、M&Aによる事業買収を含む新規事業による、とざっくり想定しています。M&Aはいろいろとご縁もあり、なかなか読みにくいところはありますが、そのような見立てで中期経営計画を推進しています。
目標値を大幅に上回る売上成長を実現②
先ほどお話ししたとおり、1年目は大幅に達成しましたが、2年目も引き続き大幅な達成ができるようにがんばっていきます。
中期経営計画における3つの戦略の進捗
中期経営計画の中ではロードマップとして、具体的にどのような戦略を推進しているのかを毎回ご説明しています。詳しくは割愛しますが、我々は中期経営計画で3つの事業戦略を推進しています。
1つ目は、プロダクトが事業をグロースする「Product-Led Growth戦略」です。セールスががんばって売っていくモデルではなく、プロダクトが成長して「ユーザーがユーザーを呼ぶ」、またユーザーのプロダクトの使い方によって提案できるといった、効率のよい戦略です。
2つ目が「Horizontal × Vertical戦略」です。我々のSaaSは全業種問わずお使いいただけるHorizontal SaaSといわれているものですが、それだけではなく各業界理解を深めることで、「介護の方々ならこのように使っていただきたい」「建設の方々ならこのように使ったほうがパフォーマンスが出る」といった提案ができます。競合他社はみなさま外資の会社さまが多いのですが、国産ならではの圧倒的な顧客理解を深めることによって、よりマジョリティ層といわれている一般のITに詳しくない方々にも、Chatworkの価値を届けていきたいという戦略です。
3つ目が「DXソリューション戦略」です。ビジネスチャットをプラットフォームにし、DXを推進するたくさんのアライアンスパートナーやM&Aした事業、我々の新規事業を含めてDXソリューションを行っていく戦略です。
それらを4ヶ年計画でどのように進めていくかがロードマップです。この四半期の進捗としては、Product-Led Growth戦略では、先ほどもトピックに挙げましたが、フリープランの内容を改定するのはもちろん、裏側のカスタマーサクセスプロセスをどんどんブラッシュアップしていくところを強化しており、順調に進んでいます。
DXソリューション戦略では、先ほどご紹介した「Chatworkスーパーアプリファンド」の展開が大きな進捗だと思います。資本提携などを含めた外部とのパートナーシップを強化し、実績もどんどん出てきている状況です。
業績ハイライト
ここからは、2022年12月期の第1四半期の業績をCFOの井上よりお話しします。
井上直樹氏:それでは、第1四半期の業績について、私からご報告します。まず、業績のハイライトです。最重要経営指標であるChatworkセグメントの売上高は前年同期比プラス57.9パーセントと、目標であるプラス40パーセントを大きく超えて伸長しています。
昨年度に展開したテレビCMでは大幅な認知向上を獲得できましたが、今後より獲得効率を向上させるために予算配分を調整した結果、営業利益が大幅な改善となっています。
課金ID数は56.8万ID、前年同期比プラス21パーセントと大幅に伸長しており、ARPUもプラス15パーセントと増加している状況です。
業績サマリー
業績サマリーです。先ほどお話しした数字ですが、ご覧のとおり、全社売上、Chatworkセグメント売上高ともに前年同期比でプラス50パーセントを大きく超えています。
利益については、前四半期では3億5,000万円ほどの赤字でした。しかし、先ほどお話ししたとおり予算配分を調整した結果、営業利益で約1億3,000万円、純利益で約1億2,000万円弱の赤字と、大幅に改善している状況です。
売上高推移
売上高の推移です。先ほどお話ししたとおり、Chatworkセグメント、全社ともに前年同期比でプラス50パーセントを超える大幅な成長を達成しています。ただ、前四半期は、「KDDI Chatwork」の価格変更に伴う一時金の影響がありましたので、売上高については、いずれも前四半期で減少となっていますが、継続的な売上のトレンドは引き続き順調に推移しています。
売上高に関する補足資料
売上高に関してもう少し詳細にご説明します。青い部分が「KDDI Chatwork」の売上高、赤い部分がそれ以外のChatworkセグメントの売上高となっています。「KDDI Chatwork」の価格改定においては、先ほどもお話ししたとおり、一時金の影響で前期の第4四半期の売上が上振れしています。
その反動もあり、今期の第1四半期の「KDDI Chatwork」の売上は、前四半期と比較して減少していますが、ご覧のとおり、価格改定前と比べるとベース売上は大幅に向上しています。また、赤い部分の「KDDI Chatwork」を除いたChatworkセグメントの売上は、前四半期比を上回っており、トレンドは上昇基調を継続していますのでご安心ください。
登録ID数・DAU数推移
KPIとして、登録ID数・DAU数の推移についてお話しします。先ほど山本からご説明したとおり、今期から定義を一部変更していますが、遡及的に過去もすべて定義を変更しています。トレンドをご覧のとおり、登録ID数は18.5パーセントと増加ペースが再加速している状況ですし、DAU数は大きな節目である100万IDを突破して100.9万ID、前年同期比プラス13.2パーセントと順調に増加している状況です。
課金ID数・ARPU推移
課金ID数・ARPUの推移です。課金ID数は前年同期比でプラス21パーセントと大幅に上昇しているのですが、昨年の第3四半期以降で再加速し、角度をぐっと変えるかたちで課金IDの獲得が順調に推移しています。
ARPUについては、先ほどお伝えした「KDDI Chatwork」の売上高の減少により若干減少しています。
売上総利益・売上総利益率推移
売上総利益は前年同期比で48.2パーセントの大幅な増加となっています。売上総利益率についても前年同期比72パーセント弱で安定的に推移しています。
営業利益推移
こちらは営業利益の推移です。先ほどもお伝えしたとおり、昨年度展開したテレビCMによって大幅な認知率向上を達成できました。ただ、今後よりIDの獲得効率を向上させるために予算配分を調整した結果、営業損失が大幅に縮小している状況です。
引き続き、中期経営計画におけるシェア拡大の最重要フェーズにあることは変わりないため、機動的な投資は継続する方針です。
費用構成推移
費用構成です。何度もお伝えしているとおり、第1四半期は広告宣伝費が大幅に縮小しており、全体の数字としても第4四半期から第1四半期にかけて大幅に縮小しています。
従業員数推移
従業員数の推移です。スライド左側の図のとおり、従業員数については順調に増加しています。また、スライド右側の離職率の推移を見ると、第1四半期は少し上がっています。組織フェーズの変化に伴って一定の離職は出ているのですが、組織成長に伴う適正な範囲内であると見ており、今後落ち着いてくるのではないかと考えています。
山本:私から補足すると、ポイントとして売上は順調であるということです。第4四半期から売上高が下がってはいますが、営業利益は大幅に改善しており、テレビCMで大きく認知を得られたことを背景に、さらなる顧客獲得に向けてリソーシングを行っています。そして、さらに認知のためにコストをかけて、というようにバランスを取りながら取り組んでいきたいと思います。
従業員数に関しては、採用ペースが非常に増えています。1年から2年経つことが区切りとなって離職される方もいますが、これは分母が増えたことによる一時的な上昇であり、適正な範囲内であると思っています。組織が崩壊していたりコンディションが悪化しているわけではなく、適切なマネジメントで健全に取り組めていると認識しています。
2022年12月期 業績予想
業績予想は再掲で変更はありませんが、あらためてご説明します。2022年12月期の業績予想については、中期経営計画の2年目ということで、引き続きChatworkセグメントの売上高を最重要の経営目標とし、中期経営計画のCAGR40パーセントに向け、前期比プラス40パーセント以上の売上高成長を目指していきます。また、全社の売上高に関しては前期比プラス35パーセント以上を目指しています。
利益及び投資に関する考え方
利益および投資に関する考え方について、今回もお話をします。中期経営計画で示した売上成長に向けて投資をどんどん加速しているため赤字幅が大きくなり、ご心配をかけているところでもありますが、どのような成長と利益のイメージがあるかを図でご説明できればと思います。
スライドのグラフにあるようにCAGR40パーセントの売上成長に向けて投資をかけていくのですが、我々はSaaSの月額課金のビジネスモデルであるため、顧客獲得にかけた広告宣伝費や営業の人件費は単年度にかかってきます。そこで獲得したお客さまは来年度も再来年度も継続してくださり、売上は翌期以降にも発生します。
したがって、お客さまから将来に渡って得られる売上をライフタイムバリューとして捉え、それを下回るコストで顧客獲得ができれば、どんどん元が取れていく構造となっています。それを見据えて広告宣伝やセールスマーケティング、カスタマーサクセスに投資していくという考え方です。
成長を加速する時には短期的に費用が大きく出てしまうのですが、それが積み上がっていくことによって成長とともに利益がどんどん改善し、図の青い部分のいわゆるJカーブを描いていきます。
ITのサービスということで基本的に利益率は高いモデルであり、継続的に利益が出る状態を達成できると思いますが、短期的な見た目として赤字幅は出てくることを理解してもらえれば幸いです。このような投資を当社の規律として適切な範囲内で続けることを推進しています。
質疑応答:売上成長の鈍化と「Chatwork Mobile」の収益について
司会者:「KDDIのOEMの影響を除いても、前四半期比で売上高の伸びが弱いのはなぜでしょうか? Chatwork Mobile事業の収益性はいかがでしょうか?」というご質問です。
山本:こちらは季節によるところも少しありますが、昨年度の第4四半期はカンファレンスの売上高が一時的な収益として計上されており、昨年度の第4四半期の収益がぐっと上がっておりますが、その影響を除くとアカウント事業のリカーリングレベニューはきれいに伸びている状況になっています。
また、「Chatwork Mobile」に関してはまだスタート直後であり、いろいろマーケティングしながら進めていますが、初速はわりと想定どおりです。また、この動きを見て開示できるところがあれば開示していければと思っています。
質疑応答:一時収益について
司会者:あわせて、KDDI向けOEMについて「一時収益という言葉がありましたが、こちらは具体的に何を指すものでしょうか?」というご質問です。 山本:詳細なところは言えないのですが、いつ価格改定するかを我々とキャリアですり合わせる際に発生するものであり、我々がKDDIの価格改定におけるサポートのような対応もするため、そうした部分も含めた調整金となっています。
質疑応答:営業利益が加速的に増える時期について
司会者:「38ページのイメージですが、何年後くらいから営業利益が加速的に増えるという戦略でしょうか?」というご質問です。
山本:こちらのイメージはあくまでイメージであり、マーケットの進み方によって大きく変わってくることはありますが、基本的には中期経営計画の範囲でしっかりJカーブを描いていくイメージでいます。まだそこまでの蓋然性が出ていないため、あまりミスリードしてもよくないと思っています。
その背景としては、ビジネスチャットの普及率がどんどん加速しています。我々は四半期に1回、3万サンプルくらいのアンケートを取っており、正しいデータだと思いますが、前回の開示では15.6パーセントのところ、直近では24.6パーセントと普及率が大きく加速しています。
この16パーセントというところにキャズムがあり、そこを超えると大きく普及が加速するというような、ビジネスチャット市場の変化の波をしっかり捉えるべきだと思っています。
したがって、成長していくための足元のKPIはもちろん、先ほどのライフタイムバリューや顧客獲得コストを見ながら、勝負時があれば踏み込む可能性もありますが、基本的にはトレンドを見て機動的な投資をしていくと思っています。
質疑応答:今後の費用構成と、今期の利益の見通しについて
司会者:「今回、営業損失について予算配分の変更を行ったとのことで、前四半期と比較して大幅に改善していますが、第2四半期以降のこのような傾向は続くのでしょうか? また、今期の利益の見通しはいつ頃明らかになる予定でしょうか?」というご質問です。
山本:営業利益が大幅に改善しているのは、テレビCMによるところが大きいです。費用構成のグラフの緑の部分で、広告宣伝費がぐっと縮まったことが見てとれるかと思います。
関東、近畿、中京といった大きなエリアではやはりCMの配信コストも高いのですが、昨年末にそちらで配信して認知度が大きく上がり、コストも大きく上がったということがありました。そちらで一定の認知が得られたため、顧客獲得のためのマーケティングにコストをリソーシングしていくつもりです。
テレビCMに関しては、首都圏はいったん置いておいてその他の地方で配信し、クリエイティブ検証を行いながら、またそれが見えてきたら首都圏で出すというサイクルで認知と獲得のバランスを考え、無料ユーザーの獲得からアクティブ化、有料化までうまく回せるように配分しています。
今回はぐっとコストが下がっていますが、この傾向はしばらく続くと思います。また獲得効率に課題が出てきたら認知度を上げていくというように、タイミングを調整していくと思います。
売上の成長は昨年度以前も期初より開示していますが、利益については中期経営計画にあるような機動的な投資、そしてテレビCMによる大きな波があります。したがって、利益は昨年度と同じように、四半期が進んで蓋然性の見えてきたタイミングで開示しようと考えています。
質疑応答:今期の採用計画について
司会者:「採用が順調に進んでいるとのことですが、今期の採用計画について聞かせてください。このペースが続く見通しでしょうか?」というご質問です。
山本:採用は引き続きハイペースで行っており、順調に採用できています。特にエンジニアの採用は、我々のようなスタートアップであったりSaaSのビジネスであると非常に難易度が高いのですが、我々はプロダクトに強い会社でもあるため非常にうまくいっています。
ビジネスサイドを見ても、福田の管掌のビジネス本部がどんどん大きくなってきていますが、非常に優秀な方々がどんどん入ってくれています。また、DXの浸透やコロナ禍を受け、ビジネスチャットはこれから転換点を超えて普及していくため、感度の高い方が反応しており、好調に優秀な方々に参画してもらえています。
その方々に我々の組織機能をしっかりと担ってもらえるよう体制を強化していくことが、中長期の事業成長に資するものだと思っており、採用は引き続きこのペースで進めていければと思っています。
質疑応答:課金ID数の増加ペースについて
司会者:「課金ID数の増加ペースが前四半期比で約2万増加しています。これくらいが実力値という理解でよろしいでしょうか? あるいは下期以降、先行投資の成果が顕在化し、さらなる加速が期待されるのでしょうか?」というご質問です。
山本:実力値に近いものではありますが、こうしたサブスクリプションのビジネスは積み上がっていくものであり、今後も加速させていくつもりです。Product-Led Growthのための戦略は準備しており、先ほどのトピックで出したプランの改定でユーザー管理機能が入るといったような、構造を変えていくための施策を進めています。
セールスマーケティングによる課金IDの獲得は採用人数に比例してきますが、Product-Led Growth戦略でしっかり成果を出せば、ぐっと角度が変わるかたちでペースが変化していくと思います。そのような変化を起こすという前提で、課金ID数だけでなく登録ID数も角度を変えていくことに注力しています。
質疑応答:離職率の上昇について
司会者:「離職率の上昇について詳細に教えてください。組織の成長過程で、採用の増加に比例して絶対数としての退職者も多くなっているということでしょうか?」というご質問です。
山本:おっしゃるとおりかと思います。採用された方々には3ヶ月間の試用期間があり、オンボーディングプロセスでセルフパフォーマンスを高めてもらうのですが、そこでうまくフィットするかどうかが1年、2年で出てくるため、そのタイミングでいろいろと退職も出てくると思います。
また、会社のフェーズが変わったということもあります。我々としては、組織を大きくしていくことで社会にインパクトを与えることを重視しており、100人から200人、300人というところまで採用を加速させています。100人の会社と300人の会社では雰囲気も変わってきますので、そこで自分のキャリアとフィットするか判断し、次のキャリアを歩む方も出てくるのだと認識しています。
むしろ、そうしたことが起こらないと不健全かと思っており、現在はすでに適正な範囲内にあると思っていますが、当然退職に関しては非常に注意して見ています。
山本氏よりご挨拶
本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。中期経営計画2年目ということで、1年目に大きな成果を残せたことで自信が付いた1年目かと思っています。2年目以降もその成長をさらに加速できるように力強く推進していきますので、マーケット環境が不安定なところはありますが、引き続きご支援のほどをお願いできればと思っています。本日はありがとうございました。