目次
辻本敏氏:みなさま、こんにちは。本日はフジオーゼックス株式会社の2022年3月期決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。社長の辻本敏でございます。これより、資料を使いながら決算説明をさせていただきます。本日の内容は、大きく5つあります。スライドの目次に従って順番に説明します。
会社概要
会社概要です。当社は、あらゆる業界の内燃機関メーカーに、エンジンバルブおよびその関連部品を納めている独立系の部品メーカーです。本社は静岡県菊川市です。2022年3月期決算は、売上高223億円、営業利益15億7,000万円となりました。
創業は1952年、本年で創立70周年を迎えます。大株主は大同特殊鋼、大同興業で、保有比率は合計で51パーセントです。
事業概要
事業概要です。当社はエンジンバルブのトップメーカーとして、自動車はもとより、二輪、産機、建機、農機、船舶と、幅広いお客さまとの取引があります。親会社である大同特殊鋼との共同開発による材料や、自社開発の設備、高い技術力による提案力が当社の強みです。近年では、エンジンの熱効率改善に貢献する中空バルブの開発・増産に注力した結果、お客さまによる採用が増加しています。
長期事業環境
長期的な事業環境認識です。世界の新車販売台数は、今後も堅調な伸びが予測されていますが、併せて、CO2削減を目的として電動車の比率も急速に拡大すると見られています。内燃機関のない電気自動車の割合の増加が、当社にとって最大のリスクです。
内燃機関は、一桁上のエネルギー密度を持つ燃料を活用できることから、将来はカーボンニュートラルである代替燃料により、ある一定程度の領域では使われていくものと思われますが、そのようなエンジンには、より高いエネルギー効率と、さまざまな代替燃料への対応が要求されると思われます。既存のエンジンバルブ事業においては、これらに対応する製品開発が必要です。併せて、エンジン減少時代に備えた新事業開発により、持続的な成長を担保したいと考えています。
業績ハイライト
決算概要についてご説明します。2022年3月期は決算期統一のため、在外連結子会社は15ヶ月決算となっており、その影響を除いた場合の各項目を参考として載せていますので、ご参照ください。当社は、売上高・営業利益・営業利益率を重要な経営指標と捉えています。
売上高は222億6,900万円と、コロナ禍からの受注回復により、前期比でプラス16パーセントの増収となりました。営業利益は15億7,100万円と、売上高増や決算期統一の影響が大きく寄与し、前期比プラス120パーセントの増益となりました。これらの結果、売上高営業利益率は前期比プラス3.3パーセントの7.1パーセントとなりました。
推移で見ると、コロナ禍の影響を大きく受けた前期との比較では経済の回復を受けて増収増益となりましたが、コロナ禍から波及した半導体や部品の不足が継続しており、回復はまだ道半ばです。
営業利益の変化要因(前期比)
前期の7億1,400万円から増益した要因としては、決算期変更によるものが3億7,300万円、売上高増によるものが3億4,600万円、想定以上の為替変動により1億3,800万円があります。それらを合わせて8億5,700万円の増益により、営業利益は15億7,100万円となりました。
バランスシートの状況
短期・長期の借入金を返済したことにより、負債合計が29億2,200万円減少しています。また、自己資本比率は前年から7.3パーセント上昇し、77.6パーセントとなっています。
キャッシュフロー
2020年3月期まで継続していた中空弁と海外の増強投資が一巡し、その効果として営業キャッシュ・フローが拡大しています。余剰資金を借入金返済に充てましたが、期末現金・現金同等物は1億7,600万円増加しました。
業績見通し ハイライト
2023年3月期の業績予想について説明します。売上高は、半導体不足の影響が続くことや、新型コロナウイルスによる中国のロックダウンの影響が見込まれており、前期比1パーセント減収の220億円を計画しています。営業利益は、原材料・電力・資材価格のさらなる高騰を見込んでおり、前期比17パーセント減益の13億円を計画しています。
決算期統一の影響を除いた2022年3月期12ヶ月決算と比較すると、実質的には増収増益の見通しとなっています。
設備投資/減価償却費
設備投資と減価償却費の推移です。2020年3月期までの増強投資が一巡した後、2021年3月期と2022年3月期は、新型コロナウイルスや半導体不足の影響による受注減少の中、設備投資を抑制していましたが、2023年3月期は設備投資を増額し、22.9億円を計画しています。主な投資内容は、太陽光発電システム設置とエンジンバルブ事業の生産性向上です。
株主還元
株主還元は配当性向30パーセント以上を目標に、収益力の向上および財務体質の改善を図りながら、安定的かつ適正な利益還元を実施していきます。来期の配当予想は、中間配当65円、期末配当65円、通期で130円としています。配当性向は29.7パーセントです。
2023年中期経営計画の進捗
昨年6月に公表した、2023年中期経営計画の進捗を説明します。2022年3月期は、想定外の半導体不足の長期化や新型コロナウイルスの影響による部品供給不足、原材料やエネルギーコストの高騰により、売上高や営業利益などの収益性指標は未達となりました。
2023年3月期も、半導体不足の年度内継続と、さらなる原材料や電力費の高騰を想定しています。計画以上に拡販できたことや為替の換算差、および売価転嫁等により売上が膨らみ、目標値を確保する計画ですが、数量的には厳しく、営業利益は未達の見込みです。本年は売価転嫁の推進と、来たるべき挽回生産に備えた生産性向上が課題です。
新規事業について
新規事業は、3つのアプローチから新分野の探索を行っています。1つ目は、業界を問わず有望な企業のM&Aを実行するものです。初年度の2021年度においては、数十件の案件を精査し、有力な案件の絞り込みを行っています。より具体的な報告が本中期経営計画期間中にできることを目標としています。
2つ目は、成長分野・シナジーが活かせそうな事業を立ち上げるというもので、医療、EV、カーボンニュートラル等に関連した事業の探索を継続して行っています。
3つ目は、当社グループ企業と協業で事業探索を行うというものです。すでに移動コンビニ事業を立ち上げ、2022年4月から地元の静岡県菊川市内の企業十数社を対象に、活動を開始しています。対象を住宅地や過疎地、ほかの地域に順次拡大する予定です。
新製品開発(鏡面バルブの開発)
最後に当社のSDGsへの取り組みを紹介します。新製品として生産技術開発を進めていた「鏡面バルブ」は工法確立が完了し、特許取得に至っています。鏡面バルブはエンジンの熱効率向上効果が期待されています。量産車での採用例は現在少なく、多くの自動車メーカーにおいてはエンジン適用の検討段階の製品です。しかし当社は将来のヒット商品に育つ可能性を秘めていると考え、生産技術をさらに磨いていきます。
カーボンニュートラルへの取り組み①
カーボンニュートラルへの取り組みについてです。当社グループではCO2排出量の削減目標を2023年までに20パーセント、2030年までに50パーセントと定め、再生可能エネルギーへの転換や省エネなどの活動を行っています。
カーボンニュートラルへの取り組み②
本社・静岡工場において、太陽光発電システム設置工事のステップワンとして900キロワットの設置が完工し、2022年2月より発電を開始しています。2021年度の合計としてはグループ全体で1,400キロワットが稼働しました。さらに、2022年度に4,700キロワット、2023年度には4,000キロワット以上を追加し、最終的に合計1万キロワット以上とする計画を推進していきます。
CO2排出量
CO2排出量の推移です。2021年度はコロナ禍からの回復により、前年度より排出量が増加し 25,800トンとなりました。しかし、同程度の生産を行った年度と比較すると、排出量は減少しています。目標達成に向け、今後は太陽光発電と各種省エネによりCO2排出量を削減していきます。
以上をもちまして、2022年3月期決算説明会を終了させていただきます。ご質問、お問い合わせなどがございましたら、経営企画部までお気軽にご連絡をお願いいたします。ご視聴いただき誠にありがとうございました。