会社概要
伊藤秀博氏(以下、伊藤):レカムの伊藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。
会社概要をご説明します。当社は1994年9月に、法人企業向けのIT機器の販売を創業事業として設立されました。2004年に当時のヘラクレス、つまり現在のJASDAQに上場して昨年から国際会計基準に変更しました。昨年の実績で売上収益は約66億円、営業利益は約2億1,000万円となっています。
グループ概要 事業別事業会社
伊藤:現在、レカム株式会社そのものは純粋持株会社となっており、各事業を行う事業会社がそれぞれあります。国内に5社、海外に15社の合計20社あり、グループで事業を展開しています。
海外ソリューション事業 ビジネスモデル
伊藤:現在行っている3つの主な事業の概要についてご説明します。1つ目が海外ソリューション事業です。こちらは主に海外日系企業のお客さまを対象に、脱炭素商材・感染症対策商材などを販売しています。
このような商材を企業が導入する時に、やはり一番のネックになるのが初期投資です。そこで当社の事業の独自性として、現地のリース会社などと提携することで、初期投資がかからず月々の支払いだけで商品やサービスを導入できるビジネスモデルをを作って展開しています。
現在では、日本を含めて9ヶ国に事業展開しています。この海外ソリューション事業の特徴として、日本で行っている事業とまったく同様に、それぞれの国のどこに商品やサービスを導入してもまったく同じものを導入することができる、ワンストップサービスの提供が挙げられます。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):海外では日系製造業が主要な販売先ということですが、現地の企業には販売されていないのでしょうか?
伊藤:まず、我々はもともと国内の事業からスタートをしている会社です。国内で培ってきた営業ノウハウがありますので、それを使ってまず日系企業を開拓しようと進出し展開しています。その後にそれぞれの国の現地企業に対して販売していこうとしていますが、やはり言葉の問題もあるため、現地企業の開拓はそれなりにハードルも高く、今まさに販売に取り組み出している状況です。
海外ソリューション事業 概要
伊藤:2015年に中国で事業化したのが、当社としての海外ソリューション事業のスタートです。その後にベトナム、マレーシアというかたちで、主にASEANの国に対して短期間で展開し、現在は8ヶ国で事業を行っています。
また、先ほど話題に挙がった現地のローカル企業の開拓に関しては、やはり我々日本人が行うのではなく、その国の方々が人間関係を使って展開するほうが、より確実に成長できると思います。そのため、グローバル戦略として昨年10月に第1号のクロスボーダーM&Aを実行し、マレーシアでローカル企業を100パーセント子会社化しました。現在はここからローカル企業への進出を本格的に開始しています。
坂本:販売している商品も「日本の法人だったらこれくらいだよね」と、コストに関して当然言われると思いますが、現地の法人でも普通に導入してもらえるような商材を売っているのでしょうか?
伊藤:おっしゃるとおりです。どちらかというと、やはり日系企業のほうが、ある程度単価が高くても、高品質かどうかなどを重要視しています。特に脱炭素という点では、より省エネであったり環境に対して適合していたりするところを望みます。
日系企業ほどではないですが、ローカル企業も、今までの「とにかく安ければいい」というところから、だんだんと今の世の中の流れであるSDGsなどを意識するように変わりつつあります。そのような意味では、我々が販売する商品も徐々に受け入れられてきていると思います。
八木ひとみ氏(以下、八木):最初にマレーシアからローカルマーケットへの進出を本格的に開始されたとのことですが、マレーシアを選ばれたのはM&A先としてちょうどよかったからでしょうか? それとも、マーケット自体に非常に国としての特徴があり、それにより本格的に進出したというかたちでしょうか?
伊藤:結果的にマレーシアが第1号になった点は、主に3つの理由があると考えています。まず1つ目は、2019年に当社がアジアを中心にたくさん進出したため、日本と中国以外のASEANを統括管理する本部を作ろうということになり、マレーシアにグローバル管理本部を作りました。ちょうどそこで、営業だけではなく管理部門も含めた本部を構築していたという意味では、マレーシアの企業をM&Aするのが我々としては経営管理も一番行いやすかったという理由があります。
2つ目としては、マレーシアの以前の首相であるマハティールという方が、ルックイースト政策(Look East Policy)を掲げ、ずいぶん古くから日系企業を誘致しながら「日本に学べ」と取り組んできました。M&Aには当然相手が必要ですので、そのような意味では、マレーシアの経営者たちも日本に対する信頼やリスペクトが非常に高く、企業経営者が我々日系企業のグループになることに関して非常に好意的で商談もまとまりやすかったというところがあります。
3つ目に、マレーシアはASEANの中で、ほぼ先進国に近いくらい経済発展をしています。いろいろな意味で企業も発展しているため、先ほども少しお話ししましたが、低価格を求めることよりも、日本のように高品質や環境を意識した商材を受け入れてくれる余地があります。このような理由でマレーシアを選んでいます。
国内ソリューション事業 ビジネスモデル
伊藤:続いて2つ目の事業である、国内ソリューション事業についてご説明します。当社は、もともと法人企業を対象としたIT機器の販売を創業事業としてスタートしているため、IT機器、そしてさまざまな脱炭素商材や感染症対策商材を、主に国内の中小企業のお客さまをメインターゲットとして、ワンストップで販売しています。
国内ソリューション事業 概要
伊藤:スライドに記載しているのは、先ほどもご説明した我々の創業事業です。これまではBtoBの法人営業、すなわち直接雇用した社員での営業部門で展開をしていました。しかし、当社は業界で初めて自社の社員ではなく日本全国の優秀な営業マンを起用するという、「営業のフランチャイズ」というビジネスモデルを作り、これによって全国展開しようとスタートしました。
その後、2014年からLED照明を中心とした省エネ商材の販売をスタートし、2020年からは新型コロナウイルス感染対策として、ウイルス除菌装置という感染症対策商材の販売を開始し、国内のさまざまな商材全般を販売できるように事業領域を拡大してきました。
坂本:初期の商材というのは、スライドにある電話や複合機(MFP)だったのでしょうか?
伊藤:そのとおりです。創業した1994年当時は、IT機器の中でもインターネットはまだまだ未熟でした。
坂本:黎明期みたいなものでしたよね。
伊藤:おっしゃるとおりです。当時で言いますと、電話のシステムやコピー機、パソコンといったような、いわゆる情報通信機器が主力商品でした。
BPR事業 ビジネスモデル
伊藤:BPR事業です。BPRというのは「Business Process Re-engineering」の略で、国内の中堅企業と中小企業のお客さまを対象に、我々がさまざまな社内の間接業務を受託し、代行してサービスを提供しています。
当社のBPR事業の特徴ですが、スライドの図に記載のとおり、現在はオフショアで海外に4つのBPOの業務センターを設けています。大連に2ヶ所と、長春、ミャンマーと、中国とミャンマーといった2つの国で展開しています。
こちらは日本語の能力の高さによってセンターを分けています。日本語の能力が高いと、つまり現地の社員からすれば外国語を話す能力が高いため、当然人件費も高くなります。したがって、お客さまがアウトソーシングする事業が、比較的複雑だったり高度な業務だったりした場合は、高単価で日本語能力が高い大連のセンターが請け負うことになります。逆に、あまり日本語能力を必要とせず、それよりも単価が安く、よりローコストで仕事をしてもらいたい場合はミャンマーのセンターが請け負うかたちになります。
4つのセンターに、お客さまの仕事の内容によって仕事を振り分け、最終的にワンストップでサービスを提供することができ、単純業務から専門性の高い高度な業務まで、すべてを受けられることが当社のBPR事業の特徴です。
坂本:このお仕事について、スライドには「データ入力等の単純作業から専門性の高い高度な業務まで請け負う」と記載していますが、その中でどのような仕事がボリュームとして多いのでしょうか?
伊藤:現在、主に受託している業務は2つに分けられます。1つは単発的な業務で、例えば「10万件の顧客データを入力してくれ」というようなものです。
もう1つはいわゆる継続的に請け負う定型業務で、社員がほぼ常駐のようなかたちで毎月必ず同じような仕事をします。今こうしたお客さまは50社くらいあり、その中でシェアが一番多いのは、いわゆるECビジネスです。ECビジネスを行っているお客さまで、例えば顧客対応や売上の入力を我々が代行するといった業務が一番多くあります。2つ目に多いのは、さまざまなメーカーのお客さまのヘルプデスクで、このような業務を当社の社員が代行しています。以上の2つの業務が多く、当社が請け負う仕事のメインとなっています。
BPR事業 概要
伊藤:2003年にレカムグループの社内業務(BPO)を代行するため、社内のセンターとして大連に作りました。その後、6年間くらい社内業務を行う中でいろいろなノウハウが積み重なり、実際に2009年から日本国内に子会社を作って外部受託をスタートしました。
2019年からはアウトソーシング業務の受託が中心のBPO事業から、お客さまの事業全般の再構築そのものを提案しお手伝いするBPR事業というかたちで事業領域を拡大し、現在に至っています。以上が、3つの事業のご説明となります。
中期経営計画 基本戦略
伊藤:昨年の10月より新たに制定し現在取り組んでいる、当社の中期経営計画についてご説明します。基本戦略としては「グローバル専門商社構想の加速化」です。
当社は現在、このグローバル専門商社構想を掲げ推進していますが、こちらを一言でご説明すると、時代に合った最先端の商材やサービスを、当社の強みであるダイレクトマーケティング力で全世界のお客さまにソリューション提案し、グローバル事業の成長を加速化させようという構想です。
グローバル専門商社構想の加速化
伊藤:具体的にはスライドに記載の4つのステージを1つずつ進めていくことにより、最終的には世界中の企業に対し、さまざまな商材やサービスの提供を推進していく考えです。
坂本:こちらのグローバル専門商社構想について、もう少し詳しく教えてください。スライド右上の「Stage4」にある「新たな脱炭素・DX推進ソリューションの提供」とは、どのようなものを考えていますか?
伊藤:現在手がけている商材ですと、脱炭素ソリューションとしては企業における省エネ商材ということで、当社が独自で販売している自社ブランドのLED照明や業務用のエアコンがあります。このような、製造業を中心とした企業で使われている、さまざまな商品の脱炭素化をお手伝いする商材がメインになっています。
DX推進に関しては、主にBPR事業で行っています。先ほどお伝えしたように、お客さまに業務改善の提案をする中で、例えばRPAというソフトや、OCRという文字や画像を自動的に読み取る機能を当社が提供することにより、お客さまの業務を自動化します。
また、そのような自動化ができない部分に関しては、当社が業務を受託することによってお客さまのコストダウンにつなげます。こうしたBPRの切り口から、DX推進ソリューションをお客さまに対して提供していきます。
では、4つのステージについて具体的にご説明します。まず「Stage1」は新規の顧客開拓です。今まで当社は現地の日系企業のお客さまに対して、先ほどお伝えした自社ブランドのLEDを販売することによって、お客さまのコストダウンと環境対策に貢献してきました。
なぜLEDかと言いますと、取り付け工事も比較的簡単で、入れ替えたことでどのくらいコストが下がったかが見える化しやすく、お客さまとしてもわかりやすい商材です。新規で導入することにあまり抵抗がない商材ということで、まずはこのLED照明の販売をメインに行っています。
また、その他のさまざまな省エネ商材については、自社で開発するとなると設備投資を含めコストも非常にかかりますし、在庫リスクもあります。そうした意味で商品の手離れが早いLEDを自社ブランド化することは、当社としても参入障壁が低かったということです。このように、LED照明を販売することによって顧客を開拓するのが「Stage1」となっています。
次に、開拓したお客さまに対して、当社が扱っているその他のさまざまな商材や、IT、エネルギーソリューション全般の提供を行うのが「Stage2」です。お客さまを囲い込み、顧客満足度をより向上させていきます。
そして、日系企業に展開してきたこのソリューションを、日系企業に比べ莫大な資本である現地のローカル企業に提供し、攻略するのが「Stage3」です。
最終段階の「Stage4」においては、開拓したローカル企業を中心とするその国の顧客に対してさまざまな新しい商材を提供することにより、本当の意味でのトータルソリューションを提供します。それによって我々も売上と利益を拡大し、さらにその国における雇用を拡大してその国の経済に貢献しようというのが、このグローバル専門商社構想の内容です。
達成目標
伊藤:今回の中期経営計画の達成目標です。定量の目標として3つ、そして定性の目標として2つの、合計5つの目標を掲げています。
定量目標の1つ目は売上収益の年平均成長率で、3年間で30パーセント以上を達成しようというものです。2つ目は主力事業である海外ソリューション事業で、グループ全体の利益の50パーセント以上を稼ぎ出すことです。3つ目は、最終年度に今回の中期経営計画を達成することにより、時価総額を向上させ300億円を達成することです。
次に定性目標です。当社は現在JASDAQに上場していますが、この3年間の中期経営計画の取り組みの中でプライム市場に移行しようと思えばできるよう、移行基準を全般的にクリアすることが1つです。
そしてもう1つの目標ですが、当社の中国の子会社である大連レカム社が2018年に中国の新興市場である新三板市場に上場しています。その大連レカム社をより成長させ、昨年新たにできた北京証券取引所の昇格基準を達成することです。以上の5つが今回の中期経営計画の達成目標となります。
中期経営計画 年度別事業計画
伊藤:こちらのスライドが各事業の年度別事業計画です。全体としては最終年度に売上収益で150億円、そして営業利益で15億円を達成する計画となっています。
グローバル専門商社構想の成長戦略キーワード
伊藤:今回の中期経営計画における成長戦略キーワードとして3つを掲げています。その具体的な取り組みについてご説明します。
成長戦略 – キーワード ①海外ソリューション事業の拡大(1)
伊藤:最初のキーワードは海外ソリューション事業の拡大です。こちらは具体的に3つのことに取り組んでいきます。
1つ目はグローバル戦略商品の開発です。当社は2020年に「ReSPR(レスパー)」というウイルス除菌装置の独占販売権を国内と海外8ヶ国で取得し、その販売を進めてきました。昨年は販売開始から1年弱で、年間10億円以上の売上収益を「ReSPR」で達成しています。
今後、当社の海外ソリューション事業の拡大と目標達成のためには、ある意味で我々がこのように独占的に販売でき、かつ世界で同時に発売できるグローバル戦略商品の開発が大変重要であると考えており、第2、第3の「ReSPR」を開発することが1つ目の取り組みになります。
成長戦略 – キーワード ①海外ソリューション事業の拡大(2)
伊藤:2つ目は、各国におけるグローバル専門商社構想ステージのさらなる深耕と、次のステージに上がっていくための取り組みを同時並行で行うことです。現在は国ごとにステージが異なり、基本的には「Stage2」にいる国と「Stage3」がスタートしている国に分かれています。各国における現状をさらに深掘りし、次のステージに向けた取り組みを確実に行っていきます。
成長戦略 – キーワード ①海外ソリューション事業の拡大(3)
伊藤:3つ目は戦略的パートナーシップの拡大です。冒頭でもお伝えしたとおり、特に海外ローカル企業の開拓に関しては、我々の独力だけではそう簡単にいかないことを今までの事業活動で痛感しています。
今回のマレーシアのM&Aを第1弾として、それぞれの国で地元の有力企業とさまざまなかたちで提携することにより、今後ますますの戦略的パートナーシップの拡大に取り組んでいきます。
坂本:現地有力企業とのアライアンスについて、マレーシアのローカル企業を子会社化したとのことですが、どのような会社なのでしょうか? また、どのようなシナジーが生まれているのか教えてください。
伊藤:こちらはSLWという会社で、フィリップスという世界的な電気製品のブランドがありますが、このフィリップスのマレーシアにおける販売代理店としてナンバーワンのシェアを獲得しています。このSLW社が当社のグループに入ることにより、我々の主力商品の1つであるLEDの販売をより一層加速化できます。
当社は数百の代理店とそれ以上の顧客を保有していますので、それらの取引先や顧客に対して「ReSPR」を販売してもらい、レカムマレーシアとともにマレーシア市場で「ReSPR」の販売拡大を行っていきます。
成長戦略 – キーワード ②DX推進
伊藤:キーワード②のDX推進についてご説明します。こちらは現在のBPR事業が中心になりますが、お客さまの業務を分析し改善の提案をすることで、今後より一層、DX推進の支援を強化していく取り組みです。
先ほどBPR事業でお伝えしたとおり、当社はお客さまのさまざまな業務を一括で受託できる体制を持っており、この体制でお客さまのDX推進を支援することで、お客さまの企業価値向上をお手伝いしていきます。
成長戦略 – キーワード ②脱炭素推進
伊藤:キーワード②の2つ目は、脱炭素商材の推進についてです。こちらは当社の自社ブランドLED照明をさらに高機能化することで、お客さまはより省電力化を図ることができ、脱炭素にも貢献していくことが可能になります。
我々がLED照明で過去にどれだけ脱炭素化へ貢献してきたかと言いますと、販売開始から昨年までの累計で、約25万トンのCO2削減に貢献しています。こちらはスギの木約2万本分のCO2吸収量に匹敵します。今後もこのような商材をさらに投入し販売を拡大することで、お客さまの省電力化により一層貢献していきます。
坂本:「ReSPR」に関するお話がありましたが、LED照明において、性能など他社製品と違った競争優位性などがあれば、教えてください。
伊藤:他社との競争優位性については、1つ目は商品としてより長寿命だということです。特に、主に海外で販売されている、中国製などのような現地のローカルメーカーの商品寿命と比べると、おおよそ3倍から5倍ほど長寿命です。
また、当社が日本における高品質な商材を販売している点から、お客さまに対して長期保証を提供しています。従来のメーカー保証は1年間ほどですが、お客さまの契約形態にもよるものの、当社の場合はその3倍から5倍ほどの長期間の保証をすることで、お客さまがより安心して使えるよう差別化しています。
坂本:これはよいですね。よく家庭用のLEDが壊れる場合に、LED照明は点くものの、回路が溶けることがあります。業務用に関しても、保証する時は中国製のものも含めて同じようなパターンが多いのでしょうか?
伊藤:はい、まさにおっしゃるとおりです。当社の場合はBtoBの、いわゆる対面のソリューション営業という点を活かし、基本的には当社のほうでただ納品をするのみではなく、交換工事まで行います。
そのため、ただ取り替えるだけでなく、回路も含めて交換します。したがって、長期保証をしてもまったく問題なくお客さまが使えるよう、一括して当社が請け負うという点も、もう1つの差別化要因であると考えています。
成長戦略 – キーワード ②感染症対策商材推進
伊藤:キーワード②における取り組みの3つ目です。感染症対策商材の推進として、一昨年よりウイルス除菌装置「ReSPR」の独占販売を展開しています。今までは独占販売しているといっても、実際は商品の手離れと在庫の関係から、スライド左側の写真のような置き型タイプとポータブルタイプの2つの商品を販売していました。
今後は、ダクトの中にそのまま埋め込むようなかたちや、車に搭載するようなかたちを取り扱います。ReSPR社ではさまざまなバリエーションを持っているため、このような商品全般を販売すること、さらにその他の感染症対策商材も積極的に販売することで、お客さまの感染症対策により貢献していくため取り組んでいきます。
成長戦略 – キーワード ③ストック収益の拡大
伊藤:キーワード③は、ストック収益の拡大です。今までも当社の3つの事業の中で、ストック収益になるような保守サービス、サポートサービスといったものを提供してきました。今後、より当社の経営や利益の安定化につなげるために、3年間でストック収益を2倍にするということで、新たなストックサービスや、いろいろなかたちでのサブスクモデルなどを検討しつつ、サービスを提供していこうと取り組んでいます。以上が成長戦略の具体的な取り組みです。
成長戦略 – まとめ
伊藤:最後に成長戦略のまとめをご説明します。今までの当社の3つの事業のメインターゲットは、海外ソリューション事業においては大手企業になります。それに対して、国内ソリューション事業では中小企業のお客さまがメインターゲットでした。また、BPR事業に関しては中小企業や中堅企業がメインターゲットで、事業ごとにお客さまのターゲットが異なっています。
今回の中期経営計画の中では、さまざまな連携効果を発揮することにより、それぞれの事業のお客さまに対して、別の事業のさまざまなソリューションを提案していくことを考えています。すべてのお客さまに対し、すべての事業のサービスを提供することを目指します。それにより、顧客あたりの売上最大化を実現しようというのが、成長戦略のまとめになります。
当社の強み
伊藤:今回の中期経営計画や成長戦略を実行可能にするのは、今まで培ってきた直接営業の「ダイレクトマーケティング力」、さまざまな商材を自分たちで新たに開発する「ソリューション開発力」、そして今まで取り組んできた「M&A、アライアンス」を行うノウハウで、これらが当社の強みです。
中期経営計画 ESG経営推進
伊藤:当社の中期経営計画における、ESG経営の推進についてご説明します。まず「E(Environment)環境」に関しては、当社商材の販売を通じて、お客さまの脱炭素に貢献します。
また「S(Society)社会」という点では、当社のさまざまなかたちでの海外進出を通じ、社会へ貢献します。
そして「G(Governance)ガバナンス」に関しては、ご覧のような当社独自の経営管理のルールにより、きちんと取り組んでいこうと考えています。
連結業績サマリー
伊藤:当社の今期の通期の業績について、ご説明します。2月に第1四半期の決算を発表しました。第1四半期の決算を総括すると、売上は前年同期比で123パーセントです。営業利益、経常利益、当期利益は、実質上場来の最高益で、大変順調なスタートを切っています。
それを牽引したのが海外事業です。およそ2年間、コロナ禍で非常に苦しんだものの、今回のクロスボーダーM&Aの成果も含めて、この第1四半期では海外ソリューション事業が最も利益を稼ぐ事業へと復活を遂げました。このことが業績回復の大きな要因になっています。
連結業績および通期予想
伊藤:具体的には売上は20億3,200万円、そして営業利益は4,100万円、税引前利益は9,100万円、当期純利益は8,100万円という結果になりました。通期では売上収益が96億円、営業利益が4億8,000万円、税引前利益で4億5,000万円、当期純利益では2億6,000万円と業績予想しています。
事業セグメント別業績および通期予想
伊藤:事業セグメント別の業績についてご説明します。先ほどもお伝えしたとおり、海外ソリューション事業が売上、収益ともに大幅に改善し、ご覧のような数字となっています。
グループ経営ビジョン
伊藤:当社のグループ経営ビジョンについてご説明します。これは上場以来掲げている経営ビジョン「A&A111+」です。3つの「1」そしてプラスアルファを実現しようというものです。
株主にとっては投資リターン「No.1」を実現し、お客さまにとっては「オンリー 1」の存在に、そしてそれぞれの事業ごとに業界で質量ともに「No.1」のグループになろうと考えています。加えて、当社のグループの社員にとって最も魅力的な「Best1」企業になることが当社の経営ビジョンです。
NEXT四半世紀の新たな経営目標
伊藤:2019年に、当社は25周年を迎えました。それを機に掲げた新たな四半世紀の経営目標についてご説明します。
これからの25年で「BtoBソリューションプロバイダーとして世界を代表する企業グループ」になるという目標を実現することで、当社の企業価値を最大化し、さまざまなステークホルダーのみなさまに貢献しようというのが、これからの新たな経営目標です。
以上をもちまして、私からのご説明を終わります。
質疑応答:監視カメラの市場での優位性について
坂本:事前にいただいたご質問で、「監視カメラは市場が大きいが、競合も多いイメージです。優位性についてご説明をお願いします」といただいています。
伊藤:当社が今回、販売開始したネットワークカメラ「RENTIA」の一番の優位性についてご説明します。このカメラはSIMカードとルーターを内蔵し、いわゆる通信機能を一体化している点が一番の特徴です。
従来、このようなカメラは、屋外に設置することが多いため、遠隔でいろいろなものを見たり、データを管理する必要があります。したがって、配線などの通信工事が必要になってきます。そのようなものが一切不要で使えるため、工事費の節約になります。また、1台の親機で5台まで管理できるため、さまざまな通信コストも削減できることが、優位性になっています。
坂本:配線がいらないことは、確かによいですね。
質疑応答:人材の育成について
八木:私からも1つ質問があるのですが、世界的にいろいろな所に支社があり、とても手広く展開している印象です。人材の育成に関して伺いたいと思います。
このような状況で、各社が優秀な人材を獲得するのが厳しいという話も聞きます。例えば語学が堪能な方など、優秀な人材を採用する時の秘訣や、人材を集めるための御社の魅力には、どのようなものがありますか? また、入社後の育成で力を入れている部分について教えてください。
伊藤:まず国内の社員の採用に関してご説明します。当社の場合、例えば新卒入社して数年後には海外に出向し、海外ソリューション事業の営業でバンバン活動できるという出向制度を持っています。他の会社では10年から15年経たないと海外に行けないというケースが多いと思いますので、海外で働きたいという人たちが、すぐにでも海外に行って仕事ができるという点が、当社が優秀でやる気を持った人材をより採用しやすいアドバンテージになっていると思います。
また、BPR事業で言いますと、それぞれのオフショアに社員がいますが、基本的には、日本でも中国でも、マレーシアであっても、働く仕事の中身が一緒であれば給料はすべて同じ、というグローバルな人事報酬制度をとっています。
仕事が同じであっても、ローカル採用は本社採用と比べて給料が安いということはよくある話です。当社においてはそうでなく、同じ1つの仕事であればどこに行っても同じ報酬です。より優秀でバイリンガルな人材に、当社で働こうと思って貰えるような仕組みを作っています。
質疑応答:海外でのコロナ禍の営業活動について
八木:会場にいる方から、直近の営業活動についてのご質問です。「海外での営業活動は現在どうされていますか? 新型コロナウイルスの影響もあると思うのですが、コロナ禍で何か変わったことや、工夫していることはありますか?」とのことです。
伊藤:約2年間、当社の営業活動も非常に制約を受け、業績的には苦しかった時期がありました。しかしその間のいろいろな経験により、今はお客さまの所に訪問せずとも、Zoomで商談するようなノウハウが、当社でもかなり溜まりました。
また、ウイルス除菌装置は感染予防のためのものですので、お客さまにおいても、訪問せずに話を聞くということが自然に受け入れられました。そのような商材を持っているという点で、リモートでの商談はお客さまにとっても抵抗がなく、よりリモート営業が行いやすくなったということもありました。
今はかなりリモートでの営業ノウハウが溜まり、お客さまの所に行けないということが、それほど大きな制約ではないという状況です。
質疑応答:海外での訪問を伴う営業活動について
坂本:先ほどの質問にも関連しますが、海外営業はどのようにされていますか? おそらく先ほどの質問は「新型コロナウイルスの絡みで制約があったのか?」という質問だと思います。やはり先ほどの質問への回答と同じで、Zoomなどで上手く商談を進められたのでしょうか?
伊藤:Zoomを活用する一方で、LEDやエアコンというソリューション商材は、どうしてもお客さまの所に訪問し現地調査しないと見積もりができません。
坂本:なるほど、もし「配線が何本か」と尋ねても、きちんと数えられるわけではないですね。特にエアコンなどは、この部屋には何台あれば効率がよいか、という問題もあると思います。
伊藤:おっしゃるとおりです。配管がどのような状態かも調べなければ、きちんとした見積もりが出せませんので、訪問しなければならないという制約があることは、当然変わりません。しかし、各国の状況も変わり、今後はお客さまの所により訪問できる、いわゆるウィズコロナの状態になっています。そのため、当社にとっては、より一層営業上の追い風になると思っています。