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山下泰樹氏(以下、山下):ドラフトの山下泰樹でございます。さっそくですが、2021年12月期の通期決算説明会をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

今日の流れとしては、ほとんどのみなさまが我々がどのようなことをやっているのかご存知だと思いますが、会社概要と、今年どのような活動をしてきたのか簡単にご紹介し、その後に決算の結果についてご説明します。また、今期の見通しについても併せてご説明したいと思います。

COMPANY INFORMATION①

我々は「ALL HAPPY BY DESIGN」という理念を軸に、デザインの力で世界をよりよくしていくための活動を行っています。デザインと言っても非常に広義ですが、主に空間デザイン、建築のデザインやオフィスのデザインに関する活動に取り組んでいます。

COMPANY INFORMATION②

インテリアだけではなく、建築、プロダクト、そしてブランディングと幅広い領域をカバーしていることが我々の強みでもあると思っています。

今期はコロナ禍の中で、オフィスの立ち位置が大きく変化してきていますが、Withコロナ、アフターコロナ時代を見据えて先行投資をしていこうという企業も非常に多く、大型のプロジェクトもある中で、我々も従来どおりさまざまな活動をしてきました。本日は、一部ではありますが簡単にご紹介します。

EXIA①

まず大型案件として、新しくオフィスのプロジェクトを手がけています。

EXIA②

社員の方々にとって居心地のよい空間をということで、1,000坪ほどの空間を手掛けました。

PayPay Card Corporation①

こちらはPayPayカードさまの案件で、福岡の拠点に大型のオフィスを設置しています。

PayPay Card Corporation②

従来型のリモートワークで対応できるとしても、やはり今後は「せっかくオフィスに人が来るのだから」と、来る価値のあるオフィスというものが求められています。その意味では我々の行っていることは非常に堅調に推移していると思っています。

横浜・臨港パーク①

また、建築のデザインの仕事も膨らんできています。こちらは横浜の臨港パークのプロジェクトで、新しい取り組みとして、環境に優しい木造の建築物を作っていこうと提案していくプロジェクトになっています。

横浜・臨港パーク②

炭素のバランスを適正化していこうとするカーボンニュートラルの時代の中で、木造をうまく使うことにより環境に適応した建築を世の中に発信するという意義を持ったプロジェクトです。

オフィスデザイン、建築デザイン、そして都市のデザインと、さまざまなフィールドで活動した1年間でした。まだ詳しい内容はお話しできないものもありますが、これから未来に向かって動いていく案件が多数あります。大型の案件もあるということで、今年は未来に向けた種まきと言える活動が非常にうまくできた1年だったと思っています。

Harman Miller によるインタビュー動画が公開

こちらは本業とは少し違うのですが、私自身がデザイナーとしてHarman Millerのインタビューを受けました。これからのオフィスの在り方、これからの働き方がどうなるかについて、Harman Millerのイベントで発表しています。

J1リーグ「横浜F・マリノス」のトップパートナーに就任

我々の活動はBtoBの取引が非常に多いため、BtoCのレベルまで知名度をもっと広めていこうということで、横浜F・マリノスのスポンサーにもなっています。この1年はこのようにいろいろな活動を行ってきています。

業績ハイライト

2021年12月期の決算はすでにみなさまご覧になっているかと思いますが、売上高80億3,200万円、営業利益9億5,500万円、経常利益9億4,700万円、そして当期純利益5億7,400万円となっています。

前年の売上高は43億円でしたが9ヶ月決算でイレギュラーなかたちだったため、それと比べてもわかりにくいということで、1年間に戻した数字でご説明しています。すなわち、71億1,700万円という数字は1月から12月で決算した場合の参考値で、どれだけ我々の業績が伸びてきたかを表すための数値となっています。

昨年が9ヶ月決算という点では正確な数値ではないのですが、参考までにお示ししますと、前年比では売上高12.9パーセント、営業利益19.4パーセント、経常利益27.5パーセント、そして最終利益は18.5パーセントの増加となっています。新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか活動しにくい時代だったと感じていますが、それでも数字としてはきちんと残すことができたかたちになっています。

当社は途中、業績の修正で83億円という数字を発表しましたが、案件の期ずれによって、2021年12月期でなく2022年12月期に入る案件が少し発生しました。そのため、トップラインとしては83億円から80億3,200万円となっています。ただ、当初の数字よりも30パーセント近い増加となり、非常に強い利益を出すことができたと思っています。

業績ハイライト 月平均売上高と平均受注額

売上高の背景としては、スライドにもお示ししているとおり、大型の案件が非常に増えてきていることが大きなポイントだと思います。左側の棒グラフを見ると、1億円以上の規模を持つプロジェクトが前年の約1.5倍に増えています。したがって全体の平均受注額も1.4倍に増えています。

業績ハイライト 直接利益率の推移

加えて、利益率の高いデザインだけの仕事が増えてきていることも非常に大きなポイントです。そのため、スライド右側に記載の折れ線グラフのとおり、全体の管理会計上の直接利益率も右肩上がりとなっています。

業績ハイライト 領域別売上高の前期比

デザイン事業という単一セグメントではありますが、内訳としてはスライドの棒グラフのとおりです。オフィスの売上についても、なかなか活況ではあるとは言えない状況の中で力強く推移し、全体的にも上がってきています。以上が、2021年に我々が活動してきた結果についてのご案内となります。

2022年12月期 業績見通し①

今期はどうなっていくのかと言いますと、先日の中期経営計画でも発表しましたが、2021年12月期の売上高80億3,200万円に対し、今期は100億円を目指していきます。

当社は設立から右肩上がりの成長を続けていますが、今期はWithコロナの時代が見えてきている中で、我々としてはこの数字は達成可能であると考えています。120パーセント以上の成長を続けてきているため、今後もそれだけの成長をきちんと達成していくことで実現できると思っています。

2022年12月期 業績見通し - STOCK & FORECAST

スライドにお示ししているのが、その根拠となる数字です。我々は数字を追いかけて今年の予測を立てる上で、期初の段階で積み上がっているプロジェクトのストックを非常に大事にしています。プロジェクトのストックというのは、受注残とこれから契約に入っていくだろうという見込み案件を合わせた数字のことです。

本来我々が数字として非常に大きなものをつかんでいく予定であるにも関わらず、それを投資家のみなさまにお伝えできないことになるため、受注残だけで表すのはなかなか難しくなります。受注残と見込み案件の2つを合計したプロジェクトストックで説明するほうが、みなさまにリアルな数字を詳しく伝えられるのではないかと考え、この指標を用いています。

昨年は期初の時点で売上高は45億円積み上がっていたため、期末の時点では80億円となりました。今期は期初の時点で53億円と、非常に大きな数字が積み上がっています。

昨年の期初段階での受注残については、大型プロジェクトで早めに契約できた案件があったため、非常に数字が大きくなっていました。しかし、今期は比較的細かい案件、まだ契約には至っていない見込みの案件が数多くあるため、少し特性が違っています。我々としては、プロジェクトストックが順調に積み上がっていると認識しているため、実態としては非常に堅調に推移しているのではないかと思っています。

さらに、我々に対して「DRAFTに設計デザインをお願いしたい」という週あたりの引き合いを表したものが、スライド下段の「フォーキャストの状況」という部分です。昨年は毎週大体1億円から1億2,000万円くらいのアベレージで積み上げてきたものが、最近ですと10月や12月の案件において積み上がる数字が大きくなっています。

直近もその数字を堅調に維持しており、引き合いが強くなってきていると言えます。また、今期の残りの週を鑑みて、根拠に基づいて計算したところ、ちょうど100億円を達成できると見ています。そのため、我々のトップラインの業績予想としては、売上高100億円、営業利益9億6,000万円、経常利益9億5,000万円、当期純利益6億円を掲げています。

2022年12月期 業績見通し②

業績の見通しについての補足です。昨年の売上高80億3,200万円に対して、今期の予想は100億円となっています。トップラインが大幅に伸びている一方で、利益の伸びについてご説明します。

我々はもともと、経常利益率、営業利益率は約8パーセントから9パーセントを目標にしており、こちらの数字の方が適正といえます。つまり、スライドに記載している2021年12月期の実績が、少し異常値であるというところが1つのポイントだと思っています。

先行きが不透明なこの新型コロナウイルスの影響が拡大した時代の中で、我々も活動を抑制していた部分が非常に大きく、今期は「未来に向けた積極的な投資をしていこう、トップラインを伸ばしていくためのいろいろな種まきをしていこう」と考えています。昨年とは戦略が大きく異なるため、利益の着地も前年とは異なると予想します。ただし、我々の活動が非効率的になったという話ではなく、積極的に未来に対して投資していこうという違いだと捉えていただけるとよいかと思います。

今後は中期経営計画でもお示ししたとおり、最終的には300億円を目指して取り組んでいきます。そのために、今の段階で積極的にトップラインを伸ばすための施策を打っていきたいと思い、動いているとご理解いただければと思います。

株主還元

最後は、株主還元策についてです。先日、我々は0.5円の増配をさせていただきました。2021年12月期は純利益が5億7,400万円、1株あたりの当期純利益が61円、配当金が5円、その配当性向が8.1パーセントとなりました。

今期の予測としては、当期純利益が6億円で、配当金は同じく5円で、配当性向は8.4パーセントを見込んでいます。さらに、株主優待として当社デザインのQUOカードを、持ち株が100株以上の方に1,000円分、1,000株以上の方に2,000円分ご用意しています。

簡単ではございますが、今期の決算説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:投資予定時期の変化について

質問者1:先ほどの業績見通しのご説明では、営業利益と経常利益の割合が少し下がるというお話がありました。前回、前々回あたりに「前期は、第3四半期・第4四半期あたりに投資を行おうとしているものがあるため、従来どおりの着地になる予想です」というようなお話があった気がします。

やはり新型コロナウイルスの影響があって、その部分の投資をそのまま使っておらず、今期以降はその部分がまた元に戻るという理解でよろしいでしょうか?

山下:おっしゃるとおりです。今期に使う予定だったものを、当初はたくさん見込んでいました。先の業績を徐々に伸ばしていくための積極的な活動を、我々はいつの時代も変わらず、常にベースとして考えています。しかしながら、時期的な問題によって、昨年の売上高80億円の時に実施しようとしていたことを、次の期に送っています。

1番わかりやすい事例としては、スライド21ページに記載しているフラッグシップショップのオープンなどがあります。我々の家具ブランドを世の中に発信していこうという動きも、当初は今期末に取り組んでいこうと考えていました。その中で、「今がベストな時期ではないのではないか」ということになり、今期以降にスライドさせています。

質疑応答:オフィス領域の需要の増減とデザインについて

質問者2:コロナ禍以前とそれ以後で、御社の事業領域の中で、需要が増えていく部分と減っていく部分があると思います。現状では、どのように分かれていくと見ていますか? また、増えていく部分に関して、私はデザイン性で取っていく戦略だとお見受けしていますが、増減していく部分の違いを御社ではどのように見ているのかも教えてください。

さらに、デザインの部分でも競争が強まってくるだろうと予想しています。どのように御社がポジションを取って勝っていくのかについても、もう少し詳しくうかがいたいです。

山下:減っていく部分、増えていく部分からご説明します。減っていく部分としては、従来型のいわゆる詰め込み型オフィスというものは、おそらくリモートに取って代わっていき、減っていくのではないかと思っています。

一方で、我々の「来るための、来る価値のある場を作っていく」というところに関しては、先ほどご説明したとおり、ウィズコロナ、アフターコロナ時代を見据えた多くの企業の方々は、次のオフィスのあり方へと積極的に着々と動き始めています。

ですので、非常に手前味噌なお話となりますが、我々のような「人と人とが豊かな空間の中で過ごしていく」という、従来型のオフィスとは少し違うかたちのオフィスの実現を目指していた会社、つまり我々には強みがあると感じています。

我々の中にも「デザインをひたすら突き詰めていって面白いオフィスを作っていこう」という案件と、「コモディティ化された一般的なオフィス」を作ろうという案件があります。我々は昔から両方を持っていますが、どちらかというと「コモディティ化された一般的なオフィス」は減っていき、我々の主戦場である「デザインをしていこう」という案件は増えていくだろうという肌感覚を持っています。

質疑応答:デザインの特徴について

質問者2:デザインにはいろいろと流派のような、カテゴリー、領域の中での分かれ方があると思います。どのように分かれていて、その中で御社はどのような特徴やファッションになっていくのでしょうか?

山下:感覚的なお話になってしまうかもしれませんが、デザインやブランドなどというのは、おっしゃるとおり、曖昧な定義だと思います。そこが投資家の方々には非常にわかりにくいポイントになっています。

簡単にいうと、ハイブランドの服といわゆる一般的な服は金額が違いますが、服であることは同じで、その服のデザイン性の違いを人間は感じ取って、「こっちは素晴らしく価値のあるもの」「こっちはわりと一般的な服である」ということが、いろいろな世界で起こっています。

ホテルの空間もその1つです。例えば、いわゆるビジネスホテルとリゾート型の有名な5つ星ホテルの場合、宿泊できるホテルであることは同じです。しかし、仮に平米が一緒だとしても金額が違ったり、デザイン性が違ったりします。その差というのが、デザインの差なのです。

我々ドラフトは、ハイブランドのホテルや高級車などと同じような、どちらかというとハイターゲットゾーンを主要顧客として狙っているところがあります。ゾーンの違いが少し分かりづらいかもしれませんが、オフィスに対しても積極的に「今までの従来のオフィスのかたちを超えて、デザインを作り込んで面白いものを作りたい」と思う方々が、我々のターゲットとなっています。

質疑応答:今後のサービスイメージについて

質問者2:300億円や500億円といった規模の案件を見据えていると思うのですが、その際にはサービスのメニューなども変わっていくイメージでしょうか? もしくは、現状の御社のステータスが上がっていくと、より大型化して単価が上がると思います。自然と単価が上がっていき、結果的に3倍くらいになるイメージでしょうか?

山下:もともと我々が当社を立ち上げた時は、オフィスをデザインしている会社というのは、まったくありませんでした。今から20年前、30年前のオフィスのかたちは、いわゆる一般的なオフィスを想像されると思います。しかし最近は、いろいろなオフィスのかたちが増えてきており、FacebookやGoogleのオフィスなどが例に挙げられます。

社員の方々が気持ちよく働ける場を作っていこうという、その場に対する意識が近年高まっています。日本においてその場に対する意識、デザインの価値を伝えていく役割を我々が担っていると思っています。

つまり市場がないところに市場を生み出し、デザインの価値が理解されていくことによってデザインの必要性が増すというところに我々の強みがあると思っています。限られたマーケットの中からどんどんシェアを伸ばしていこうと思っているわけではありませんが、世の中にはオフィスだけでなくデザインがもっと必要な場所があると思います。

そして、例えばホテルやレストランなどいろいろなところで必要になってくるため、我々はそこをデザインの力によってどんどん拡大していきたいと思います。もともとニーズがなかったところにニーズを創出していく、そんなイメージで広げていこうと考えています。

質疑応答:マリノスのスポンサーおよびセルビア拠点の理由について

質問者3:2つお聞きします。1つ目はマリノスに関してです。潜在顧客の担当者が「あっ、ドラフトさんね」とパッと思いついてくれるような、知名度向上を目的とする考え方があったかと思いますが、そのあたりについて、今後マリノスのスポンサーについてどのようにお考えかを含めてアップデートをお願いします。

2つ目が、直近でセブに加えてセルビアにも拠点を置くお話を聞いています。どこかでご説明があったかもしれませんが、このセルビアという場所を選んだ地理的な優位性などについてご説明をお願いします。

山下:まずマリノスからご説明しますと、手前味噌ですが、我々はデザインの業界の中では知名度が高い会社ではあります。

ただ、デザイナーは黒子に回ることも多い仕事ですので、そのような意味では一緒に働く人たちの中では知名度が高いものの、一般的な投資家のみなさまや、一般の人たちに落とし込んでいった時に、そこでの知名度が業界での知名度と比較して少し低く、そのことに我々はやきもきしています。

今後の話をしますと、マリノスさんの地域貢献などのような活動を支えていきたいという思いは当然ありますし、それには積極的に取り組んでいきたいと思っています。何に還元していくかと言えば、今後フラグシップのショールームを出し、BtoCのところにもデザインの価値を伝え、その領域を広げていこうと考えています。

その時に市場にいるドラフトという存在が知名度を高めていく必要性があるのではないか? ということで、そこは積極的に取り組んでいきたいと判断し、実行しています。また、サポーターの方々も温かい方々が多く、我々としても貢献も含めて積極的に地域活動を行い、好感度が高い状態になっており、今のところ順調だと思っています。

次にセルビアの話です。我々が業績を伸ばしていくためには、どんどんプロジェクトも入ってくるわけです。そのプロジェクトに対して円滑に対応していかなければいけないため、ITやいろいろなものを駆使して効率化を進めている部分もあり、効率がよいゆえにこの利益を維持していると思っています。

それでも人に頼る部分はまだまだあり、そこをオフショアの拠点として、日本よりも人件費を抑制したかたちで積極的に行っていきたいというのが狙いとしてあります。その中で東南アジアで最初のセブ島において人件費を抑えたということもありますが、とはいえ我々はデザイン、クリエイティブを行っている企業です。人件費は抑えたいものの、クリエイティブの意識が同じレベルでというところで、適正なのはヨーロッパのセルビア、ベオグラードなどで、建築やデザインに対する見識を持ち合わせながら、かつ人件費も抑えられ、そして親日の区切りのあるというところが非常によいポイントだと思いました。

人件費をどれくらい抑えられるかと言えば、だいたい日本の3分の1くらいのコストで採用できます。つまり3人雇用してはじめて日本で雇用する1人分というところでは非常に効率がよいと考えています。日本企業もいろいろ来ています。先日決まったベオグラードの場所も、隣は日産です。

質疑応答:デザイナーの確保状況について

質問者4:デザイナーの確保状況について教えていただけますでしょうか?

山下:我々はデザイナーとして私を中心に取り組んでいまして、その中で大型の案件や力強い案件を手がけており、この業界では知名度が高いとお伝えしましたが、採用についても非常に強いです。新卒の人員はだいたい10名から15名採用するのですが、募集をかけると400名から500名くらい応募が来ますので、なかなか高い倍率だと思います。この倍率をずっと維持しており、力強さを感じています。

少し話が逸れますが、手書きでポートフォリオを書かせています。非常に面倒なかたちの中でもそのニーズがあります。今年からより積極的に募集を拡大し、日本の人員ももっと増やしていこうという流れがありますが、手書きを止めたことで、今年はもっと応募が増えていくと予測していますので、デザイナーの採用状況は非常によい環境の中で進んでいると思っています。

質疑応答:ストック収益に関する戦略について

質問者4:もう1点ご質問です。今メインの収益の上がり方がフロー収益かと思いますが、今後ストック収益などのような戦略をお持ちなのか、お話しできる範囲でお願いします。

山下:収益構造を変えていきたい、クリエイティブ・デザインをある意味ストック型にしていきたいという思いはあり、仕組みを作って収益を得ていくというところをイメージしています。例えば、先ほどの臨港パークも「建築のデザインとしておもしろいものを作ろう」だけではなく、さらにエリアマネジメントとして街を活性化していくという活動の中でフィーをいただく取り組みをしていきたいと思っています。

昔の箱物みたいなかたちで言うと、おもしろいものをポンと作って「後は知らない」となっていくのではなく、作った後にそのデザインや施設をずっと賑やかに保っていくため、エリアをマネジメントしていくという発想が近年大事になっています。今、ニューヨークやロンドンなどでもそのような流れが非常に増えています。

我々はそこでも収益を得て、またデザインでも収益を得るという二重構造を持つことで、はじめに請け負って得る部分とストックで得ていく部分をハイブリッドさせていきたいというイメージでの取り組みを考えていきます。

質疑応答:受注残について

質問者5:今期、より売上が伸びるという予測で、実際に受注残も好調というお話しがありましたが、前期はより大型案件、1億円以上の案件のウェイトが高くなっているということでした。受注残について3つほどお伺いしますが、1つは1億円以上の大型案件の比率が今期の現時点での受注残を見たところでも、同じくらいのウェイトなのか、より高まっているのかなど、1案件あたりの規模感を教えてください。

山下:今のところ同じくらいの割合で推移しているという感覚ではあります。そこも高まっていて、フォーキャストも同じように週あたりの引合額は数だけではなく、案件の規模も同じく見ていきますから、同じような割合で増加しているか、もしくはウェイトが少し高く出ているという肌感覚があります。

質問者5:2つ目に内訳として、オフィスデザインと都市開発の両方が伸びていらっしゃいますが、この比率も前期とだいたい同じくらいでしょうか?

山下:オフィスも堅調に上がっていくと思いますが、建築のデザインや都市のデザインという領域でも、大型の案件がどんどん増えてきていますので、そちらの比率が大きくなってくるのではないかと思います。今お話したところがイメージしているかたちです。

質問者5:都市開発のほうですね。

山下:少しイレギュラーなことが起こるとすると、今回はわりと保守的にいろいろな案件に取り組んでいますが、デザイン性の高い案件を獲得すると利益率が違うため、そのような案件の比率が上がっていくと利益構造も当然変わってきて、利益は少しプラスになっていくのではないかと思っています。

質問者5:3つ目の質問です。福岡に事務所を作られましたが、福岡エリアの御社の受注の割合は全体の何割くらいを占めているのでしょうか? 前期の実績でも足元の受注でも構いません。

山下:福岡はまだ始まったばかりですので、今年はそこはあまり期待せず数字を作っています。そのため、先ほどご覧いただいたPayPayカードさまの案件も福岡の案件になっており、九州エリアが天神ビッグバンの中で床面積も非常に増えてきていますし、建築・都市開発も非常に増えていますので、盛り上がりは見せているのですが、我々も今年作ったばかりですので、今期というよりは来期以降に期待するというイメージを持っています。

質問者5:今後の期待を含めて作られたということですね。

山下:そのとおりです。今後拡大していく中で期待しています。どうしても我々のプロジェクトは発生してから明日売上になるということがなく、種まきにだいたい1年くらいかかるイメージですので、そのような意味では今回の100億円の中に福岡は多少は入ってきますが、我々全体の中で頼りにしているかというとそうではないです。

質疑応答:他者競合について

質問者6:アップデートをお願いしたいのですが、確か競合がそんなにいないというお話を聞いたことがあります。最近それが変わっているかどうか教えてください。

山下:うちの会社が何の会社だとご説明するのが相変わらず難しい状況ですので、どんどん競合から離れていっているという感じのほうが正しいため、引き続きオンゴーイングだとお考えください。