目次

ヒューマンクリエイションホールディングス代表取締役社⻑の富永でございます。よろしくお願いいたします。

主要なご説明は7点です。はじめに当期第3四半期連結業績ハイライト。2点目に当期・連結業績の通期見通し。3点目は過去の業績推移を踏まえた、当期業績の位置づけについて。4点目は当社グループの成⻑戦略の進捗状況。5点目は足元の主要KPIの進捗状況についてです。最後にネクストアクションと新ビジョンについてご説明します。

1.第3四半期 連結業績ハイライト

当期第3四半期の連結業績実績です。第3四半期を終えた時点で過去最高益を達成しています。こうした実績が計上できた背景についてご説明します。

当社はシステム開発における最上流の部分、いわゆるコンサルティング分野から手がけるグループ企業であるため、昨今の旺盛なDX需要をターゲットとした、積極的な取り込みが可能です。当期第3四半期においても、コンサルティングや受託分野実績が計画どおり急拡大し、特に収益面に関する成果につながっていることが挙げられます。

当社は、市場の中ではIT技術者の派遣事業のみを行っていると、まだまだ誤解されていると思いますが、コンサルティング・受託分野は過去最高益が計上できるほど、2本柱の新たな1つとして順調に拡大できている状況にございます。

以上の状況・背景により、当期第3四半期売上高は37億2,500万円で、当期の通期進捗率は73.3パーセントとなりました。 営業利益は3億6,100万円で、通期進捗率は71.8パーセントです。繰り返しになりますが、第3四半期時点で「過去最高益」を達成しています。EBITDAは4億2,300万円で進捗率が72.3パーセント、四半期純利益は2億1,200万円で、通期進捗率は68.6パーセントという状況です。

2.2021年9月期業績見通し

当期業績の通期の見通しです。営業利益は前年比165.7パーセントと大幅な増益を見込んでいます。第3四半期時点での進捗率が70パーセントを超えている状況を踏まえ、通期見通し達成のハードルは低くなったと認識しています。

売上高は、前年比111.4パーセントの50億8,300万円の計画に対し、進捗率は73.3パーセントです。営業利益は前年比165.7パーセントの5億300万円の計画に対し、進捗率は71.8パーセントとなっています。EBITDAは前年比151.3パーセントの5億8,500万円の計画に対し、進捗率は72.3パーセントです。当期純利益は前年比147.4パーセントの3億900万円の計画に対して、進捗率は68.6パーセントとなっています。

3.通期業績推移

過去の業績推移を踏まえた、当期実績の状況です。スライド左側のグラフが売上高です。順調に右肩上がりを続けており、前期の45億6,500万円に対して、当期第3四半期時点での実績は37億2,500万円と、前年の81.6パーセントまで進捗している状況です。

スライド右側のグラフは営業利益・営業利益率です。第3四半期時点での実績が3億6,100万円と、前期の3億300万円に対して118.9パーセントまで進捗しています。第3四半期の時点で過去最高益を達成していることからも、過去の収益を大きく上回っている実績であることが見て取れると思います。

4.成⻑戦略の進捗状況①

おさらいになりますが、当社グループの成⻑戦略は大きく2点です。1点目は、システム開発における最上流工程であるコンサルティングから、最終工程である保守運用まで、一気通貫で対応できるグループの特徴・強みを活かしての「規模拡大」「収益性の向上」双方を実現するというものです。

2点目は、事業譲受も含めた戦略的M&Aの実行により、インオーガニック成⻑を遂げるというものです。当期第3四半期時点で、成⻑戦略の2点とも、具体的な進捗が図れております。

4.成⻑戦略の進捗状況②

成⻑戦略1点目の具体的な進捗ですが、当期実績の背景のひとつでもあるコンサルティング・受託分野が計画どおり続伸し、収益貢献が果たせています。

コンサルティング・受託分野を主な事業としている子会社のアセットコンサルティングフォース(ACF)は、第3四半期時点においても続伸を続けており、新規のお客さまや案件、および既存のお客さまの二次開発受注と、双方において計画どおり続伸しています。

前期においてはグループ内の売上シェアが4.3パーセント程度でしたが、第3四半期の実績値ではグループ内の売上シェアは11.1パーセントまで高まっており、主として収益性向上に大きく貢献しています。

主たる獲得DX案件の事例として、大手生命保険会社・大手通信会社・政府系金融機関案件等や、新規のお客さま・既存のお客さまの二次開発等が順調に進行中です。また、グループ初の自社製品・パッケージとしてデジタル接客・営業ソリューション「コネクトフォース」の拡販を開始しています。

また、コンサルティング・受託分野を主事業としているACFだけでなく、グループ各子会社のブレーンナレッジシステムズ(BKS)やシー・エル・エス(CLS)においてもDX案件、受託分野の獲得に成功しています。

これは、上位工程におけるグループとしての経験値が向上し、案件獲得能力や受注力向上のシナジー効果が発揮された結果であり、さらに成長が加速している状況です。新規顧客受注・既存顧客の二次開発、ともに計画通りに続伸しています。

4.成⻑戦略の進捗状況③

成⻑戦略の2点目である戦略的M&Aの執行状況についてです。今期は2件が具体的に進捗しています。

1件目は、本日(8月11日)のプレスリリースでご案内したとおり、当社グループのコンサルティング領域の拡大を目的に、ERP分野(※)のコンサルティング・プロジェクトマネジメント基盤を有する、ヒューマンベース社との株式譲渡契約を締結しました。同社は、翌期期初10月1日付で当社100パーセント子会社となり、グループ入りする予定です。

2件目は、6月1日付でACFがグローステクノロジーズとの事業譲受を完了しました。ACFは、グローステクノロジーズの所有する知見や顧客基盤を活用し、医療系分野におけるネットワーク構築案件を獲得するなどの進捗を果たしている状況です。

※エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)は、企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のこと。

4.成⻑戦略の進捗状況④

成⻑戦略の進捗状況でご説明した事柄を、グループ体制図で表しました。当社グループは、コンサルティング・システム受託分野、ITエンジニア派遣の2本柱で事業を展開していることや、最上流のコンサルティングから最終工程の保守運用まで、一気通貫体制で対応しているといった従来の体制・強みに加え、今期は2件の戦略的M&Aが進捗したことで、コンサルティング・受託分野のさらなる成⻑性の加速、およびコンサルティング領域の拡大が狙える状況です。

今後は新戦力やグループ体制を最大限活用し、シナジー効果の発現をより強化していく所存です。

5.主要KPIの進捗状況

足元、主要KPIの進捗状況です。

1点目の「契約単価」ですが、こちらは技術力向上を計る指標であるため、当社グループにおいて最重要KPIとして位置付けています。第3四半期においても今期末の見通し値を継続超過している状況です。これは技術力の向上、すなわち上流工程の契約比率の上昇が、継続的に寄与した結果と認識しています。

2点目の「稼働率」については、第3四半期においても今期末見通し値を継続超過し、順調に推移しています。

3点目の「保有人数」ですが、コロナ禍の影響による非稼働リスク、いわゆる「採用しても待機に回ってしまうリスク」は上期において極小化しています。しかし、外部環境としてのコロナ禍環境は不透明な部分があることから、即戦力であるSEを中心に採用を積極的に進め、獲得できています。

6.ネクストアクション・新ビジョン①

当社グループの新ビジョン「真の『経営課題コンサルティング企業へ』」についてご説明します。ITコンサルティング企業は数多く存在していますが、我々は「経営課題コンサルティング企業」でありたいと考えています。

スライドをご覧ください。日常の事業活動の中で、「お客さまの要望がどのような形で当社にもたらされているか?」についてお話しします。「お客さまの行動が変化した。ITで何とかしたい」「コロナで対面営業が困難になった」といった、ふわっとした、ややもすると曖昧な依頼の形が最も多くなっています。

一般的なITコンサルティング企業の場合には、「リモート対話が可能なデジタル端末を開発しましょう」などといった形で、おそらくIT的な解き方に留まってしまうのが実情であると認識しています。

「ITで何とかしたい」。言葉ではそのような依頼であったとしても、我々の場合は言葉の裏側にある真のニーズ、あるいは「お客さまの真の経営課題は何か?」といった観点での深耕・分析を行い、「お客さまの真の経営課題・ニーズは、『新規のお客さま、あるいは新規の契約者さまを増やしたい』であるはずだ」といった仮説を立て、ご期待以上のソリューション提案を常に忘れない、ということです。

例に沿ってお話しします。結果として我々のソリューション提案は「あくまで新規契約に結び付けられるような、リモート対話が可能なデジタル端末を開発しましょう」といった内容となり、「目的は経営課題解決」「DX導入・ITはその有益な手段」になるということです。

「お客さまが言葉に出さずとも真のニーズを抽出し、お客さまの経営課題が解決できるような企業になる=真の経営課題コンサルティング企業を目指す」という決意・ビジョンを掲げさせていただきました。

6.ネクストアクション・新ビジョン②

おさらいとなりますが、今後の成⻑戦略の大きな2点である、コンサルティング機能・一気通貫体制の強みを活かした規模拡大・収益性向上と、M&Aによるインオーガニック成⻑のそれぞれについて具体的にご説明します。

6.ネクストアクション・新ビジョン③

1点目の、コンサルティング・一気通貫体制のグループの差別性・強みを活かし、規模拡大・収益性向上の双方を実現するという点です。スライド左の赤枠部分で示したように、経営課題を解決していく経営コンサルティング、あるいは IT企画提案といった最上流工程の売上を積極的に拡大します。

当期第3四半期においても、この戦略が計画どおりに続伸し、グループ内でのACF売上シェアが11.1パーセントを超える状態まで高まっています。こうした実績を最大限活用することで、中⻑期的には20パーセント超まで高めていきたいと思っています。

この上流工程の売上シェアが高まっていくと、売上規模拡大と同時にその粗利率の高さから、収益性の向上も狙えると考えています。また、最上流工程を獲得すると開発工程、いわゆるSI(システムインテグレート)、実装につながり、さらに開発・納品した後に必須となる保守運用まで、全工程の一気通貫での獲得確率が高まっていきます。

この保守運用は継続的な収益になるばかりでなく、保守運用業務中に、次の経営課題に対応するための新しい開発、二次開発・2周目の開発が生まれます。生まれてくるものを確実に獲得し、さらに経営課題解決に結びつける提案を行うという好循環サイクルを高速回転させることで、規模も収益性も高まっていくというメカニズムが出し切れると考えています。

6.ネクストアクション・新ビジョン④

今後の成⻑戦略の2点目です。成⻑戦略の1点目は、コンサルティング・一気通貫体制のグループの差別性・強みを活かして規模拡大・収益性向上の双方を実現するというものですが、いわば既存ブランドを成⻑させていくための大きな戦略であると言えます。

2点目の成⻑戦略は、コンサルティング・一気通貫体制の強みを飛躍的に加速させるための手段としてM&Aを駆使することです。

今期2件のM&Aが進捗していることは、6月1日付でのACF社の事業譲受により既存ブランドの成⻑加速と、8月11日付での当社の株式譲渡契約締結により新たなコンサルティング領域の獲得という成果につなげていけると認識しています。

今期は2件に留まることなく、戦略的なM&Aについては今後も継続的に実施していく予定です。

7-1.市場環境①

日本国内におけるIT投資市場規模は堅調に推移しており、かつIT人材不足は加速度的に進行すると見られ、稀に見る抜群の市場環境にあります。市場規模は12兆円を超え、IT人材不足は2030年には2020年比で1.5倍、約79万人もの不足が生じると見られています。

7-1.市場環境②

経産省がレポートしているとおり、今後さらに旺盛なDX需要が見込まれています。日本市場は、⻑年に渡り使用してきた従来のソフトウェア・レガシーシステムのサポート終了時期が迫っていること、このままレガシーシステムを放置した場合、最大で年間12兆円の経済損失が発生すること、そして約8割の日本企業は、レガシーシステムからのシステム刷新に迫られているといった点から、DX推進は待ったなしの状況と言えると思います。

7-1.市場環境③

また、日本市場は他の海外市場と異なり、DX推進を担える人材はユーザーサイドではなく、当社グループのようなIT企業に偏在しています。優秀なIT人材を抱えるIT企業のマーケットオポチュニティは、今後ますます増加していきます。

7-2.グループの特徴・強み①

スライドのとおり、経営コンサルティング分野の拡充により、グループの差別性・強みがますます強化、加速している状況です。

今後も、平時においては「ITエンジニア派遣による高稼働率を確保」「コンサルティング・受託分野案件の獲得に合わせて受託チームを生成」という2本柱での事業展開を行うことで、高稼働率・高粗利の双方を狙っていく所存です。

7-2.グループの特徴・強み②

当社グループの強みは大きく3点あります。1点目は売上首位でも数パーセントの売上シェアでリスク分散が図れており、かつ常に旬の企業と取引して 成⻑機会とリスク耐性を兼ね備えていること、2点目は企画だけ・開発だけではない一気通貫体制だから、ユーザー目線での安心感があり、発注につながりやすいこと、そして3点目は他社人材を使わず、充分な教育・指導を行った正社員のみを活用することで、責任を全うしていることの3点となります。今後も、これらの強みを最大限に活かしていきます。

7-2.グループの特徴・強み③

当社グループの強みの1点目を詳しくご説明します。スライド上段の円のとおり、特定業界に依存せず、リスク分散が図れていることが定量的にご覧いただけると思います。

かつ、スライド下段の2ヶ所の数値がそれぞれ示すとおり、新規取引先の拡大を活発に行っており、かつ主要なお客さまとは10年以上の⻑きに渡り⻑期リレーションを構築できています。

成⻑機会とリスク耐性を兼ね備えた、昨今の経済環境下に適合したビジネスモデルである、と言えると思います。

7-2.グループの特徴・強み④

当社グループの強みの2点目を詳しくご説明します。特定企業に依存していない一方で、大手SIerからは不可欠なパートナーとして選ばれています。

理由としては、市場は慢性的なIT人材不足のため、「開発することをゴールとしていないコンサルティング・マーケティング能力」を有し、かつ「機動力とエンジニアスキルを兼ね備えている」といった当社独自のビジネスモデルが、大手SIerにとって大変貴重であり不可欠な存在になっているためです。

事例をスライド右側に1つ示します。クライアントは大手生命保険会社で、競合は23社にも及んでいましたが「作ること」をゴールとせず、「エンドユーザーの真のニーズ、使いやすさ」を徹底的にリサーチ・追求できたマーケティング能力と、その提案に説得力を持たせるために1週間という短納期でデモ機を作成できる機動力、さらにワンストップ・一気通貫で企画・開発・納品後の保守運用まで高品質を担保できる当社だったからこそ、獲得できた案件事例です。

こうした事例が当社グループにおいて数多く存在しているため、大手SIerが案件を獲得していく上で大変貴重な、不可欠なパートナーとして認識され選ばれています。

7-2.グループの特徴・強み⑤

強みの3点目を詳しくご説明します。当社グループが技術力を提供するITエンジニアは、取引先への品質保証や信頼獲得のために、教育、指導を充分に行った正社員のみで構成されています。市場の中で日常的に行われているビジネスパートナー所属の人材提供は、当社においては行っていません。

また、当社正社員ITエンジニアの技術力向上のために、未経験の上流工程へのチャレンジ配置や、チャレンジした結果、現場課題に沿った活きた座学を実践できるといった、全工程に対応している当社ならではのオリジナルな育成制度があります。

こうした制度による成⻑実感の高さから、当社社員の定着率は94パーセントから95パーセントで推移しています。

7-2.グループの特徴・強み⑥

おさらいとなりますが、「今後のビジネス展開・成⻑戦略」として大きく2点お話しします。

1点目は、コンサルティング機能を有し、システム開発における最上流工程から、開発、実装、納品、納品したシステムの保守運用業務までを一気通貫体制で行えるグループの差別性、特徴、強みを活かして売上規模・収益性の双方を拡大させる、いわば既存ブランドの成⻑です。

2点目は、これまでCLSやセイリング等の買収実績に基づくノウハウを活かし、戦略的なM&Aによって飛躍的な成⻑を遂げることです。

直近では、2021年6月1日のグルローステクノロジーズ社からの事業譲受や、2021年8月11日(10月1日付で子会社化予定)のヒューマンベース社との株式譲渡契約など、2件の進捗を果たしています。

今後とも、こうした形でインオーガニック成⻑を目指していきます。

7-2.グループの特徴・強み⑦

こちらもおさらいになります。すでに具体的な進捗を見せている成⻑戦略ですが、今後の成⻑戦略の1点目として、グループの特徴・強みを活かし、規模拡大・収益性向上の双方を実現します。具体的には、さきほどの生命保険会社のような案件です。

上流工程案件そのものを拡大させ、大手SIerとのパートナーシップを活用することで、前期はグループ内の4パーセント程度だった売上シェアが、今期には10パーセントを超える水準まで高まることが見通せています。上位工程の受託比率を、中⻑期的には20パーセント超過まで高めていく予定です。また、こうして上流工程の受託比率を高めることで、収益性の向上も同時に実現できるものと見通しています。

この実現をより確かなものとするために、上流だけでなく最終工程の保守運用までつなげ、さらに新たな二次開発につなげるといった好循環サイクルの活用も成果が出ているため、今後も継続して確実な成⻑に結びつけていきます。

7-2.グループの特徴・強み⑧

今後の成⻑戦略の2点目です。成⻑戦略の1点目は、コンサルティング・一気通貫体制のグループの差別性・強みを活かしての規模拡大・収益性向上ですが、これはいわば既存ブランドを成⻑させていくための大きな戦略です。

2点目は、コンサルティング・一気通貫体制の強みを飛躍的に加速させるための有効な手段として戦略的なM&Aを継続的に駆使することです。戦略的なM&Aを継続実施するために、主に2つのアプローチを行っています。

1つは、ACFのように、最上流工程に位置し、特定技術を持った企業の買収で、グローステクノロジーズ社との事業譲受、ヒューマンベース社との株式譲渡契約は、1つめのターゲットが実現したものです。

2つ目は、CLS・BKSのように、上流・中流の開発工程に位置し、工程に厚みを持たせるための買収といった形です。

これまでのCLS・セイリング等の実績に加え、すでに今期2件(グローステクノロジーズ社からの事業譲受・ヒューマンベース社との株式譲渡契約締結)の進捗を見せています。

今後もこのような形で、インオーガニック成長による飛躍的な成⻑を目指してまいります。