2021年3月期決算説明会
加藤照和氏:みなさま、こんにちは。加藤でございます。COVID-19の変異株により、引き続き感染が拡大しておりますが、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の方々に謹んでお悔やみ申し上げます。また、感染されました方々の一刻も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
医療現場で治療にあたられておられます医療従事者のみなさま、行政のみなさま、感染防止にご尽力いただいていますみなさまに、あらためまして深く感謝を申し上げます。
さて、みなさまにおかれましては、日頃より、当社並びに漢方にご支援賜りまして、誠にありがとうございます。
それではさっそく、2020年度決算の説明を始めます。
本日の内容
本日は、ご覧の内容を説明します。
2020年度 決算概況
はじめに、2020年度の決算概況についてです。本決算は、事業活動においてCOVID-19の影響が生じたため、本年2月5日の公表のとおり、業績予想の修正を行いました。その修正計画に対して、ご覧のような実績でした。
前期比では増収増益を確保することができました。また、今期末決算より、地域別の売上高を開示しています。
決算のポイント
決算のポイントのみご説明します。売上高は、前期比6.2パーセントの伸長でした。内訳として、医療用漢方製剤は1.1パーセント伸び、ヘルスケア部門は16.7パーセントの伸長、海外・中国事業売上高が63億円と大きく貢献しました。
売上原価率は42.7パーセントで、前期比プラス1.5ポイントでした。売上原価上昇は、海外・中国事業の影響です。販管費は42.4パーセントで、前期比マイナス1.1ポイントとなり、営業利益率は14.8パーセントで、前期比マイナス0.5ポイントです。
営業利益の増減要因(前期比)
営業利益の増減要因を前期比でお伝えします。今期末営業利益は、前期比プラス5億円の193億円でした。売上増加による影響が44億円で、売上原価増加による影響がマイナス20億円、経費増加による影響がマイナス19億円となります。
このうち、売上原価20億円増加の要因ですが、国内は薬価改定による販売単価の減、並びに販売構成による影響で5億円の増でした。これを生薬関連費用10億円減で吸収したものの、海外・中国事業の外部販売が20億円の増となりました。それに加え、のれんのPPA(Purchase Price Allocation)による、たな卸資産への配分のうち、当期売上原価として5億円の増でした。
経費19億円の増加については、買収した平安津村薬業、旧盛実百草ですが、こちらの販管費12億円と、のれんとPPA後の無形固定資産の償却5億円が主な要因となっています。
のれんに関連する当期費用計上は、計画6億円に対して、合計で11億円となりました。
財務状態およびキャッシュ・フロー
次は、財務状況およびキャッシュ・フローについてです。こちらも、ポイントのみ説明します。流動資産73億円の増のうち、たな卸資産は49億円の増加です。内訳は、製品で30億円の増、仕掛品が9億円の増、原材料および貯蔵品が9億円の増となりました。このうち、仕掛品の増は、2020年6月稼働の茨城・第3SD棟の影響です。
また、appendixに掲載しているとおり、無形固定資産ののれん代は、前期末120億円でした。先ほどPPAについてお話ししましたが、このことにより、のれんが82億円で、たな卸資産が26億円、無形固定資産が20億円、非支配株主持分がマイナス9億円と、それぞれ計上しています。
負債の部は、中国連結子会社の短期借入金返済、ツムラの長期借入金から、1年内返済予定借入金への振替です。
自己資本比率は、2.5ポイント上昇して、68.3パーセントです。キャッシュ・フローはスライド右側の滝グラフのとおりです。
COVID-19の影響
続いて、COVID-19の影響についてご説明します。中国においては、第1四半期から第2四半期にかけて、事業活動の停止がありました。国内では、受診抑制などのマイナス影響と、特定関連処方の増加によるプラス影響がありました。ご覧のとおり、医療用漢方製剤の売上高の影響額を社内で検証したところ、プラス影響が17億円、マイナス影響が43億円で、差し引き26億円のマイナス影響となりました。
マイナス影響43億円の中で、風邪関連処方がマイナス27億円と、最も大きな影響額でした。
COVID-19の影響があった主な漢方処方
COVID-19の影響で増減した主な処方ですが、ご覧のとおり、生活環境の変化やマスク着用の習慣化により、精神疾患あるいは皮膚疾患などの処方がプラスに転じています。また、先ほどご説明したとおり、ほとんどの風邪関連処方がマイナスという結果になりました。
COVID-19が営業活動に与えた影響
営業活動に与えた影響を総括すると、ポジティブな影響として、COVID-19関連症状に対する処方機会の増加、漢方への期待の高まりが挙げられます。
逆に、ネガティブな影響としては、感染予防対策の励行による上気道炎などの減少、風邪処方などですが、それに加えて、受診控えや手術件数の減少、医療機関の訪問規制強化等々があります。
国内事業:医療用漢方製剤
国内事業の、主に医療用漢方製剤についてご説明します。表のとおりですが、市場全体と比較して、当社の状況は、病院(HP)市場でマイナスになっています。こちらは、病院(HP)での手術数の減少等による、当社主力処方のマイナスの影響や、訪問規制強化による漢方製剤の情報提供量の減少が、このような状況に表れていると判断をしています。
育薬処方・Growing処方 売上高
育薬処方とGrowing処方の売上高の状況ですが、2020年4月の薬価改定の影響や、COVID-19による受診抑制などの影響を受けましたが、医療用漢方製剤全体では、表の右下にあるように、前期比プラスの1.1パーセントでした。
育薬5処方は、前期比1.1パーセントの伸長で、Growing5処方は前期比マイナス0.7パーセントでした。「麦門冬湯」が27.4パーセントのマイナス、「芍薬甘草湯」が2.3パーセントのマイナスとなりましたが、その2種類以外はプラスの伸長でした。
その他の119処方は、前期比プラスの1.8パーセントでした。
育薬処方の要因分析
育薬処方の要因分析についてです。育薬5処方の前期比プラスの主な要因は、ご覧のとおりです。営業施策により、病院(HP)のマイナスを一般診療所(GP)でカバーしたかたちになっています。
営業活動の重点3領域
営業活動の重点3領域ですが、これまでと同様で、高齢者関連領域、がん領域(支持療法)、女性関連領域において、育薬処方、Growing処方を中心に継続的に活動することに変わりはありません。
高齢者関連領域においては、青く囲った部分をご覧ください。新たな重点領域として、市場ニーズの大きい、循環器疾患における周辺症状とフレイルに伴う諸症状の分野を追加しています。
循環器疾患・フレイルにおける症状
その循環器疾患・フレイルにおける症状に関してですが、循環器疾患における周辺症状においては、スライド左側に書いているように、高齢者の心不全を対象としています。スライド右側の、フレイルに伴う諸症状においては、重症化予防、いわゆる寝たきりにならない対策を対象としています。そして、それぞれの症状に対して代表的な処方を、スライドに記載しています。
新たな時代における情報提供の在り方
続いて、「新たな時代における情報提供の在り方」と題していますが、コロナ禍を含め、情報提供の在り方そのものが変わってきており、社内でも議論をしています。
先ほどの説明のとおりですが、マイナス伸長だった病院(HP)を中心に、e-プロモーションの比率を高めていきます。e-プロモーションに必要こととして、スライドの下のほうに記載している投資を集中的に実施しています。新しいかたちで、情報提供活動の生産性を劇的に向上させていきたいという方針です。
海外事業:中国事業
続いて、海外の事業は、ポイントのみ説明します。まず、中国の事業についてです。開示した地域別の売上高ですが、海外売上高63億6,700万円の売上構成比を、円グラフで示しています。原料生薬が約77パーセント、飲片が16パーセント、その他が7パーセントという内訳です。
海外事業:米国開発
海外事業でもう1点、米国での開発についてです。米国における「TU-100(大建中湯)」の開発は、2018年度に開発ターゲット疾患を術後のイレウスに的を絞り、2020年度後半から、後期第Ⅱ相臨床試験を開始をしています。
全米約50施設で実施する計画ですが、COVID-19の影響により、およそ3ヶ月程度の遅延期間が生じているものの、再開できる施設から段階的に手続きを進めているところです。
会計基準の変更
2021年度の業績予想ですが、最初に、2021年度から適用となる会計基準の変更について、ご説明します。ご覧の会計基準の変更に伴う影響ですが、2021年度から「収益認識基準」の適用を受ける関係で、主に売上高と販管費の計上に影響がありますが、営業利益には影響はありません。
こちらの表は、2020年度の損益計算書を「収益認識基準」で組み替えたもので、売上高、販管費の影響額は、それぞれマイナス144億円となります。
2021年度業績予想
こちらの「収益認識基準」による、2021年度の業績予想についてです。売上高は60億円増の1,225億円、営業利益は195億円、経常利益は200億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、142億円でROEは6.4パーセントです。
2021年度が最終年度となる「第3期中期経営計画」の数値目標を達成できる水準の業績予想となっています。
ただし、2020年度と同様、COVID-19の影響など状況に変化が発生した場合は、適切な開示を実施する方針です。
株主還元
続いて、株主還元についてです。ご覧の株主還元方針を堅持します。中間配当は32円、期末配当は32円で、年間64円の配当予想としています。2021年度の配当性向は、先ほどの業績予想ベースで、34.5パーセントです。
国内事業の持続的安定成長と中国の事業基盤の構築、成長により、企業価値向上に尽力していきたいと考えています。
中国事業の展望
続いて、中国の事業に関する展望をお示しします。スライドの左側の絵のような、崖を登るイメージで、下から上に見てください。中国事業の目的・ビジョンは、スライドの左下にあるように、「原料生薬の安定調達・供給」です。現在、「生薬プラットフォーム」を中心に進めており
今後、スライドの左上にある、「中国国民の健康に貢献する」ことを目指していくために、「製剤プラットフォーム」の中の古典処方中薬複合製剤を中心に、事業の基盤を構築していく考え方です。
中国事業の戦略は、「中国国民から信頼される中薬企業になる」ことを掲げており、そのためには、イメージとして売上は100億元、日本円で約1,700億円の規模感であることと、「平安津村ブランド」の浸透が必要であると考えています。
スライドの下側にある、「生薬プラットフォーム」の事業は、現在「原料生薬」「飲片」「飲片サービス」の3つの事業を中心に行っており、特に飲片事業拡大のため、病院市場の開拓に注力しています。また、オンライン市場では、「平安グッドドクター」向けの飲片サービス事業として、飲片を煎じて液や粉末、顆粒、ゼリー剤などにする、付加価値を付けて提供することも開始しています。
スライドの上のほうにある、「製剤プラットフォーム」の事業は、これから古典処方中薬複合製剤を中心とした事業基盤の構築を行っていきます。そのための1つの手段として、当該中成薬企業のM&Aを模索しています。
スライドの右側にある「中薬研究センター」は、以前は仮称である「分析センター」と呼んでいましたが、もう少し幅広くしようと、このような名称にしました。原料生薬から最終製品までの品質保証は、当然のことながら、医家向けの古典処方のエビデンスの構築や、新製品の開発上市、市販後の調査などが主な機能となっています。
企業グループ関係図と生薬プラットフォーム
企業グループ関係図と生薬プラットフォームの位置付けについてです。緑の枠で囲っている平安津村薬業を中心にした、その他の企業を含めたグループが生薬プラットフォームです。
スライドの左下にあり、赤くなっている平村(深圳)医薬は、深圳津村の100パーセント子会社へ編入しました。これにより、南方地域における飲片事業に本格参入することを強化しています。
編入した理由は、特に病院ルートの拡大をターゲットとしており、深圳津村が製造を担って、平村医薬が販売することで、いわゆるグループ、親子間であるというインパクトを市場に与えることができるからです。
北方地域はこれまでどおり、平安津村薬業が飲片事業、病院ルートを中心にさらに拡大していこうと思っています。先ほど示した原料生薬よりも、飲片の比率を高めていきたいと考えています。
オンライン市場においては、生薬プラットフォーム全体として、「平安グッドドクター」で飲片サービスや、先ほど説明した付加価値を上げたサービスを提供することをさらに拡大していきます。
生薬プラットフォーム事業の将来展望
もう少し中長期的な視点で、こちらのスライドを見てもらいたいのですが、現行、直近で行っているのは、一番上のところです。その下の中期的、中長期的なところも合わせて示しています。
中国の伝統医薬である中薬飲片は、非常に事業として拡大していくことができると考えています。1つ目の理由は、市場規模が約3兆円で、多くの中医が現在処方されているからです。
2つ目は、飲片の規格標準化、並びに品質に対する課題などを解決していかなければならないため、我々グループとしてできることがたくさんあるのではないかという思いがあります。そこで、当社グループの強みである、「生薬GACP」による原料生薬の活用もできると考えているからです。
そのようなことから、中薬飲片事業の拡大を1つの柱としています。
同じく飲片サービス事業ですが、こちらは付加価値を付けることにより、そのサービスの内容としての対価も大きくなります。患者さまの視点に立ち、「平安グッドドクター」やオンラインを中心に、便益を考えた付加価値サービス提供を実施しているところです。
そしてスライドの中央に書かれている、中期的なところにおいては、やはり病院市場が大きいため、そこを拡大していきます。しかし、公立病院ルートの開拓は難しい面がありますので、飲片企業のM&Aも1つ視野に入ってくるのではないかと考えています。
それから、中長期的なところでは、先ほどお話ししたブランド構築がありますので、一般消費者向けの「平安津村ブランド」が認知されることを目指しながら、製造・販売を行うことを1つ方針として掲げています。
現在は、深圳津村の中にあるOTCの事業部で、「薬食同源」の生人参、あるいはティーバッグのようなものを販売しており、もう少し規模を大きくしていきたいと考えています。
製剤プラットフォーム事業の将来展望
続いて、製剤プラットフォームの将来展望についてです。スライドの一番上に掲げているように、「中国国民から信頼される中薬企業」としてしっかりと平安津村ブランド製品を販売提供していきたいと考えています。
その売上規模のイメージは、先ほどお伝えした100億元もしくはそれ以上ではないかと、平安保険グループの馬董事長と合意して、これが事業提携の基盤となっているわけです。
現在、一般消費者向けの製品の比率が高い状態をイメージしています。平安保険グループの販路は「グッドドクター」以外にもあるため、そのようなところを活用していこうと考えています。
それから、スライドの中央あたりにロゴが出ており、平安津村のロゴとして、オレンジ色で書かれています。キャッチフレーズは、「百年津村 平安一生」です。中国において、市場がほとんどないこの古典処方複合製剤を中心に、「100年企業」であるツムラの強みと、一生のお付き合いとなる平安グループの認知度の相乗効果によって、販売拡大をしていきたいと考えています。
そして、スライドの左側にある円で示した図について説明します。中成薬事業の基盤構築を目指しており、基盤の基幹となる拠点の中成薬企業のM&Aを模索をしています。
まず、古典処方の複合製剤があまり大きな市場ではありません。当然すでに上市している処方を持っている企業さまがあり、主力品目になっているため、品質向上、エビデンスの構築などで拡大の力を発揮し、企業価値を上げていきたいと考えています。
それから、すでに上市しているのですが、販売されていない処方がたくさんあります。こちらは、品質設計・製造設計からブランド構築・販売を手掛けていきたいと思っており、M&Aの対象になってきます。
現在、未上市で臨床試験免除の申請処方が、国から100処方上がっています。先行して7処方が開示されており、この中で1、2処方に絞って申請していこうと考えています。以上が中国事業の展望です。
TSUMURA-DNA
最後は、ESGとサステナビリティについてです。2021年度は「長期経営ビジョン2021」と、第3期の中期経営計画の最終年度です。
現在、2022年度以降に向けた「長期経営ビジョン2031」(仮称)、並びにその「新第1期中期経営計画」を策定をしている最中です。「カーボンニュートラル2050」の国・政府方針を受け、「サステナビリティ・ビジョン2050」の策定も同時に進めています。
本日は、これらのビジョン策定の前提となる基本的な考え方や、当社グループの本質的な価値、社会との共通価値、持続的社会の実現へ貢献するための利益源泉でである7つの資本についてお話しします。
まず、当社グループの資本の中でも組織資本と言うべき「TSUMURA-DNAピラミッド」についてです。基本理念・ビジョンはグループで共有し、漢方を求心力として、基本理念・ビジョンが組織に深く浸透・活動できている状態を常に目指しています。
スライドの右側にある、3本の茶色で囲われた部分の、一番上を見てください。2022年度をスタートとして、基本理念の次の重要な位置付けである、「ツムラグループ・サステナビリティ・ビジョン2050」を策定したいと考えています。
これを前提とした「長期経営ビジョン2031」も策定する方針です。さらに、この長期経営ビジョンのマイルストーンを設定し、「新第1期 中期経営計画」を策定する手順になっています。
引き続き、上記の理念・ビジョンに基づく経営、並びに独立社外取締役過半数の体制において、ESGを重視した経営を実践していきます。
ツムラグループの“本質的価値”
ツムラグループの「本質的価値」は、経営理念の「自然と健康を科学する」に集約されていると考えています。
順天の精神
1893年、明治26年の創業時の社名「津村順天堂」に込められた「順天」の精神によって、理念に基づく経営を実践していきます。天の理法に従い、人々の願いに応える事業を行うことが、創業以来のDNAです。
自然×健康×科学①
「自然と健康を科学する」の「自然」ですが、事業の根幹を成すと言ってもよく、自然にしっかり向き合い、自然環境の変化や危機に最も敏感であるべき企業であり続けたいという考えです。生薬はもとより、水・空気に至るまですべてを自然に戻すという循環を目指し、追求していくものです。
具体的に言うと、水を抱きかかえた森を守る水源の森の活動や生薬栽培などです。この他に、自然環境を守る活動として、省資源化や脱プラスチック化などの取り組み、水・エネルギーの循環利用、生薬残渣の利活用への取り組みなどがあり、継続的に実施し、さらに加速していきます。
「カーボンニュートラル2050」の実現に向けては、さらなる省エネ化、あるいは循環効率向上などの技術開発によって、消費エネルギー量と原価の低減を同時に行っていくことを目指します。また、オフピーク電力の活用や再生可能エネルギーへの転換を図っていこうと考えています。
自然×健康×科学②
続いて、「自然と健康を科学する」の「健康」についてです。創業者の信念である、「良薬は必ず売れる」ことから、本当によい薬を作り「人々の心と身体の健康に貢献する」ことこそ、「社会公益の一端となりて、意義ある事業なり」という当社の使命であると考えています。
自然の恵みを最大限に活かした植物性医薬品である漢方は、世界的にもまれですが、国民健康保険制度に組み込まれました。長年の歴史に裏打ちされた伝統医薬の価値をさらに高めることによって、一人ひとりに向き合った治療ができるように貢献していきたいと思っています。
また、企業使命である「漢方医学と西洋医学の融合により世界に類のない最高の医療提供に貢献します」についての取り組みを加速させていきます。
自然×健康×科学③
続いて、「自然と健康を科学する」の「科学」についてです。植物を中心とした生薬を原料とする漢方製剤は、多成分の系統で、複合製剤であるため、1剤で複数の症状に対応できる場合が少なくありません。
同時に、多成分であるが故に、作用機序の解明と治療効果の証明などのエビデンスを求められるため、追求し続けていこうと考えています。
これまでは、スライドの右側に示している「治療」の領域を中心に科学的解明を進めてきましたが、これからは貢献すべき対象を「未病」のところ、さらには「予防・養生」といった領域へ広げて、この分野で科学的な解明にも注力していく方針です。
サステナビリティのための“7つの資本”
最後に、「サステナビリティのための“7つの資本”」についてお話しします。社会との共通価値を創造し、サステナビリティ社会の実現へ貢献するための利益の源泉となる、当社グループの「7つの資本」について、あらためてグループ全社で共有認識とした上で、先ほどお伝えした「サステナビリティ・ビジョン2050」や「長期経営ビジョン2031」を策定する方針です。
ご覧のように、資金・事業提携といった「財務資本」、生産設備・生産技術といった「製造資本」、知的財産・ノウハウといった「知的資本」、特に注力している人財・能力開発といった「人的資本」、社会との共通価値の創造・ブランド構築といった「社会・関係資本」、自然資源保護や循環モデルといった「自然資本」、創業128年にわたるDNA・暗黙知といった「組織資本」
の7つの資本が、革新の連続によって伝統を築く礎であり、利益の源泉であることをあらためて共有し、新しいビジョンの策定に反映していきます。
以上で、私のお話は終了します。ご清聴ありがとうございました。