2021年3月期第3四半期決算説明会
坂上亮介氏:Zホールディングスの坂上でございます。本日は電話会議にご参加いただきありがとうございます。資料の説明に入る前に、いくつか背景等々を説明させてください。
LINEを含めた戦略的なお話については3月以降に行います。また具体的な日時決まりましたらご案内いたしますので、そちらにぜひご参加いただければと思います。
本日は、第3四半期の実績、あとは下期に戦略投資をすると申し上げたので、その進捗状況、3点目としてあとは第4四半期の着地、年度を含めた着地はどんなふうに見ているかと、主にこの3点を中心にご説明をいたします。
数値の説明に入る前に、大局的に見た時に第3四半期はコロナの影響が一定ちょっと下がって、コロナ前に若干戻ったような、そんな環境下での業績の着地となりました。第4四半期は投資を継続しつつ、2月後半からは前年もコロナの影響が出ておりますので、そことの差分でご説明をいたします。
第3四半期、第4四半期、両方含めてですけれども、下期に関しては将来に向けてリスクになる要素は若干ストレスをかけて、保守的にいろんな見積りをしているところでございます。
そういった将来に向けて、いわゆる減損みたいなところに関しては一定下期ちょっと処理をしながら、最終的にはきっちり1,600億円のところは目指していきたいと思っております。
だいたいこういう背景がある中ということをご理解いただいた上で、具体的な資料の説明に入らせていただきます。
2020年度 第3四半期 決算説明会 トピックス
1ページ目がトピックスでございます。売上収益に関しましては、コマース事業の取扱高が拡大したことなどで、YoYで14.9パーセント伸びました。
営業利益に関しては、投資に加えてクレジットカードの既存システムを刷新しているところで、古い部分に関して除却するという判断をしましたので、マイナスの8.1パーセントとなりました。
通期に関しては、引き続きコマース決済を中心に投資を行っていき、当初ガイダンスである売上収益1兆1,400億円、営業利益で1,600億円、これを実現していきたいと考えております。
2020年度 第3四半期 連結業績
4ページがP/Lでございます。売上収益等はさっきご説明したとおりでございます。営業利益はマイナスなのにEBITDAがプラス、ここの理由に関しては先ほどのクレジットカードの減損などのノンキャッシュの費用処理があるため、ここで差が出ているとご理解ください。
2020年度 第3四半期 営業利益の増減要因
次のページお願いします。5ページが第3四半期の前年とYoYでの増減の要因について解説をしております。金色の棒グラフ3つありますけれども、コマース、メディアおよびZOZO、3つとも順調に成長をいたしました。これによって増益しております。
赤いところでございますけれども、積極的な投資によるマーケティング費の増加、およびさっきのクレカのシステムを含めた除却と、こういったことがございまして、全体としては439億円、YoYでマイナスの8.1パーセントの減益となりました。
2002年度下半期における積極投資の進捗・見通し
続きまして、6ページでございます。下半期における積極投資の進捗・見通しなどをご説明いたします。前回の決算で、上期は比較的利益を出すことを重視して投資を控えておりましたけれども、下半期は中長期的な成長、こちらを見据えて投資をするというお話をさせていただきました。
第3四半期、左側のほうにあります。主には販促活動費、ここが前年から108億円の費用が増加しております。内訳はご覧のとおりで、主にはeコマース物販を中心として、ここに積極的に投資をしました。
結果として得られた成果としては、ショッピングの取扱高が前年から33.7パーセント。「ヤフオク!」などのリユース、こちらが7.4パーセント。こちらに至っては18四半期ぶりの1桁後半の成長でした。
あとでご説明しますが、新規UUなどのKPIに関しても成長を実現することができました。第4四半期に関しては、こちら前年から210億円の増加を予定しています。
クレジットカードに関しては、新しいサービスの開始が第4四半期に予定しておりますので、こちらで販促を強化しようと思っています。したがいまして、第3四半期における投資はそれほど前年から増えていないというところでございます。
また、コマースのところに関しては年度内に大型のキャンペーンを実施しようと思っていますので、そちらもやっていきたいと思っています。
また、LINEとの統合がほぼほぼ3月1日というのが見えてきておりますので、3月にLINE統合に伴ういろんなコーポレート的なブランディングなどを含めたことをやらせていただければと思っております。
2020年度通期 連結業績ガイダンス
続きまして、7ページでございます。通期の連結業績のガイダンス、こちら冒頭申し上げたとおり変更せず、1,600億円という営業利益を目指してまいります。
第3四半期までで、累積の営業利益で1,422億円ということでございます。「第4四半期はどういうふうに会社として見ているんだ?」というご質問もあると思いましたので、右側に2020年の第3四半期と第4四半期のQoQの営業利益の見通しを示しております。
コマース事業の粗利に関しましては、どうしても季節的な要因等々もございまして、第3四半期よりかはマイナスになります。
あとは、先ほどのページで申し上げたマーケティング費がQoQでも増えるということと、一部LINEとの統合が見えてまいりましたので、その部分において一時的に統合関連等々を含めたところの費用処理というのを見込んでおります。
その結果、第4四半期としては178億円の営業利益と思っており、それを通算すると1,600億円の営業利益となります。
トップラインについては、上振れ、下振れともにあると思っております。最後のほうでトップラインについてもどうやって見ているかと、第4四半期どう見ているかというのをご説明をさせていただければと思っております。
2020年度 第3四半期 コマース事業取扱高 実績
それでは、事業別の業績/トピックスでございます。ページをお捲りいただいて、コマース事業、10ページになります。こちらいつものコマースの取扱高をお示ししております。
何度かもう説明しているところございますので、最後のクレジットカードの部分ですけれども、こちらは販促費を抑制したことと、年末外出がそれほど多くなかったということで、オフラインでの利用が減っております。
そういったことで、成長はこれまでと比較するとやや減速しているという状況です。第4四半期以降、新たなサービスを投入することによって、そこに対して販促等々もかけながら、再び成長を戻していきたいと考えております。
「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の状況①
続きまして、コマース事業のヤフーの取り組みでございます。ページをお捲りいただいて、12ページでございます。「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」のKPIの観点から投資の成果等をご説明いたします。
左側が、新規の購入者が約40パーセント伸びております。第1四半期、第2四半期も新規の購入者の方、伸びておりましたけれども、引き続いて通常のモメンタム以上の成長を実現できております。また、右側の客単価についても、微増ではありますけれども伸ばすことができております。
一般的に、新規のお客さまはどうしても既存顧客に比較すると客単価が低い傾向がございますけれども、新規顧客の増加と既存顧客の購入頻度、コンバージョンが上がったということもあって、客単価としても増加することができました。
「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の状況②
次のページ、お願いします。収益性の観点からご説明いたします。左側が、取扱高に占めるショッピングの広告売上のテイクレートと販促活動の比率を示した折れ線グラフでございます。積極的な投資をやりながらも、売上と費用のバランスをきちっと規律を持った投資をしてまいりました。
右側がインハウスの決済比率でございます。「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」で「PayPay」を導入し、さらに「超PayPay祭」というのを重ねることによって、インハウスの決済比率が60パーセントまで上昇しております。
EC、いわゆる物販ECと決済、こういったものの両方のサービスを私たちの顧客基盤に対してしっかりとクロスユースを促すことができてきているという指標だと思っています。
(株)ZOZOの取り組み
続きまして、コマースにおけるZOZOの取り組みでございます。先週金曜日にZOZOからすばらしい決算が発表されておりますので、ご覧の方も多いかとは思います。Zホールディングスにとってみると、ちょうどグループインして1年が経過した節目ということで、振り返りの数字も示しております。
主にヤフーが持つメディアのトラフィック、こういったものをZOZOに送客したりですとか、「PayPayモール」におけるZOZO支店と、こういったものを出店してもらうなど、さまざまな領域で連携を深めてまいりました。
当然、ZOZOスタンドアローンでの取り組み、そういった努力もあったこともございますけれども、それらを加味して取扱高も右肩上がりで伸びておりますし、利益に関しても順調に成長して、成長が加速しているという状況でございます。
加えて、右側にありますこれまでの洋服や靴からコスメの領域に、ZOZOとして進出してまいります。単なるECサイトでコスメを販売するというわけではなくて、「ZOZOGLASS」を使って、テクノロジーも使ったかたちでの新しいコスメのECサイトというのを開設してまいります。
みなさんご存じのとおりで、ZOZOはZ世代、ミレニアル世代、こういった人が非常に多いですので、そういった方にクロスセルということによって「ZOZOCOSME」をより成長させていきたいと思っております。
Zホールディングス全体としても、グループ一丸となってこのコスメの取り組みに対して支援をしていきたいと考えております。
PayPay | KPI
続きまして、フィンテック事業の部分になります。17ページでございます。こちらは、いつもの「PayPay」の3つのKPIでございます。ご覧のとおり、利用回数など含めて堅調に成長を持続しております。
PayPay証券(旧 One Tap BUY ※2月1日に商号変更)の取り組み
次のページ、18ページでございます。「PayPay」に関しては、今年度はじめのほうに、「『PayPay』でのマネタイズというのをいろいろ始めていきます」というお話をしておりました。
今回、「PayPay」のところのミニアプリ上で「ボーナス運用」というのを開始しており、累計の利用者が190万人を突破しております。「PayPay」のこのミニアプリで気軽に「PayPayボーナス」を運用するというお客さんを取り込めているかなと感じております。
この「PayPay」の「ボーナス運用」を提供している会社、ソフトバンクの子会社であるOne Tap BUY、2月からPayPay証券と名前を新たにしております。
今後も「PayPay」のユーザー基盤を使いながら、こういったシナジーを最大化して、投資信託などの新しい金融サービスの拡充に努めていく、こういった所存でございます。
2020年度 第3四半期 広告関連売上収益 実績
続いて、メディアでございます。20ページが、広告売上でございます。全体の広告売上収益は934億円、前年比で6.7パーセントの成長となりました。こちら、当初3ヶ月前にガイダンスというか、申し上げていたよりもプラスで堅調な成長となることができました。
個別にちょっとプロダクト別にご説明をいたします。検索広告に関しては、第2四半期とマイナス幅はそれほど大きくは変わらないということの結果になりました。
一番検索の中で非常に割合の多い旅行業種、第3四半期の前半は需要が復調傾向であったんですけれども、後半また落ち込んだといったこともございまして、検索広告はマイナス2.8パーセントとなりました。
一方で運用型広告、こちらについてはメディア面においてはトラフィックが増加したり、複数のプロダクト施策を行ったこと、あとはさっき説明しましたとおり、ショッピング事業の取扱高、伸びておりますので、そういったことも含めて21.1パーセントという相当非常に高い成長を実現することができました。
予約型広告、マイナスではございますけれども、大手クライアントからは徐々に需要が復調していることと、あとはふるさと納税ですね。季節的に年末非常にプロモーションを取り込むことができたので、マイナス幅としてはマイナス5パーセントまで縮小できたという感じでございます。
2020年度 第4四半期 事業別見通し
それでは、第4四半期のトップラインの見通しを今どう見ているかということをご説明申し上げます。22ページでございます。ショッピングに関しましてはZOZOの連結化が一巡することや、前年も「PayPayモール」で「100億円還元キャンペーン」と、こういったこともあったので、それ相応にハードルは前年から上がっていると感じてはおります。
一方で、追加的な販促をさせていただこうというお話もしていますので、20パーセント台半ばと、ここの成長はきちっと目指して実現していきたいと考えております。
広告売上の部分に関しましては、現状、緊急事態宣言も出ているという状況で、非常に厳しい環境にまた第4四半期はいるかなと思っております。
さらに前年、多少予算の駆け込みということで、前年の第4四半期はそれなりに広告の需要が盛り上がっていったということで、ハードルが高かったりということもありますし、まだ時期は決まっておりませんけれども、「iOS14」、IDFAですね。これによるリターゲティングの影響が一定程度、第4四半期に関しては影響が出ると見込んでおります。
ショッピング広告のほうでなんとか踏ん張りながら、広告関連売上収益全体としてはほぼ横ばい、なんとかプラスの成長にもっていきたいと考えているというのが今の状況でございます。
LINEとの経営統合:進捗
最後に、LINEとの経営統合についてでございます。24ページをご覧ください。2021年、今年の3月、もう来月ですね。来月の経営統合に向けて順調に進捗をしております。
3ヶ月前からのアップデートといたしましては、前年の年末にLINEが非公開というかたちになりました。そして現在、LINEによるZホールディングスのTOBが2月18日まで今実行をしているところでございます。
そのTOBが終わりましたらLINE自体を事業分割し、Zホールディングスの下に移管すると、こういったことをすることで、全体としてのプロセスがようやく終わるかたちになります。現状、順調に進んでおりまして、3月1日にはすべてのプロセスを今完了することができると見込んでおります。
LINEとの経営統合:ストラクチャー
1年数ヶ月前に発表したお話ですので、あらためておさらいも含めてご説明でございますが、取引スキームやストラクチャー、株式の交換比率および株数の増える部分、これに関しては発表したものから一切の変更はございません。
LINEとの経営統合:のれん、PPAの認識
最後、統合も近づいてまいったということで、一部投資家から「のれんとかPPAはどれぐらいの規模額が出るんだ?」というご質問をいただいております。現状ちょっとまだ監査法人とも協議中で、現在未定ですけれども、メカニズムを一応解説しておきます。
いわゆる通常のTOBによる買収というかたちではなく、今回株式交換というかたちをとります。したがいまして、Zホールディングスから見た時のLINEの取得価額は、当社の2月26日ですかね、3月1日の前営業日の終値に交換比率、こういったものを掛けたものが会計上の取得価額になります。
そこにLINEの純資産、これをマイナスしたものがのれんや無形固定資産に割り振られるというふうになります。現時点でまだ取得価額が非常に流動的な部分がございますので、特にその部分はのれんに多く振られるわけですけれども、そういった意味でまだちょっと変動するという状態でございます。
PPAに関しては、一部の部分に関してはIFRSですので、こちらの部分は償却をしていくというかたちになることを見込んでおります。こちらにつきましても、来年度中にある程度の金額決まってまいると思いますので、また決まりましたらご説明のほどをさせていただければと思っております。以上、Zホールディングスの第3四半期の決算についてご説明申し上げました。ご清聴、大変ありがとうございました。