新型コロナウイルス感染症の影響

植松孝之氏:資料に沿って、2020年度第1四半期の決算についてご説明します。まず、新型コロナウイルス感染症の影響ということで、当社の対応ですが、現時点で製油所の操業などの事業への影響は発生していない状況です。

マーケットへの影響については3点記載しています。原油マーケットはご承知のとおり、4月、5月、6月で20ドル、30ドル、40ドルと原油価格は上昇してきました。

石油製品マーケットについてですが、折れ線グラフの青い線がガソリンの需要です。4月、5月を底に、6月に回復基調となり、7月、8月でその流れが継続している状況です。赤い線はジェットの需要ですが、4月、5月、6月では底ばっている状況です。若干上を向いていますが、まだ本格的な回復には程遠い状況です。

石油化学マーケットについてはPX・ナフサのスプレッドを記載しています。需要は徐々に回復していますが、供給過剰が解消しないということで、大幅に悪化という状況です。

業績予想について

続いて、業績予想です。最初にお伝えすると、今回の業績予想は据え置きとしています。通期の計画比では、石油事業における四品の数量増、石油開発事業における原油価格上昇といったポジティブ要因がありましたが、とりわけ石油化学の市況悪化が大きく影響し、ネガティブ要因とポジティブ要因の両面が存在している状況です。

また、新型コロナウイルスの影響も収束していないということで、先行きの需要等の見通しについては不透明です。第1四半期が終わった段階での業績予想の修正は行なわず、据え置きとしています。

スライドの左側に掲載した表は、前回公表したときの連結の経常利益の公表です。あらためてお伝えすると、連結経常利益は300億円、親会社株主に帰属する当期純利益は145億円で公表しています。スライドの右側には前提条件を記載しています。ドバイ原油価格が平均29ドル、為替が105円という前提のもとで公表しています。

2020年度第1四半期決算レビュー

続いて、2020年度の第1四半期の決算の概要に移ります。この第1四半期に関しては、千葉精油所における定期整備の影響により、72パーセント弱という稼働の状況を前提としています。在庫評価の具体的な数字については次ページ以降でご説明するため、ここでは要点だけお伝えしますが、在庫評価の影響は342億円です。

需要減少の環境下で、四品の数量は全国需要89パーセントに対して前年比111パーセントであり、キグナス石油への供給拡大による増販しました。JET燃料については、全国需要34パーセントでしたが、前年比50パーセントとなりました。旅客便は非常に厳しい状況でしたが、貨物の便の需要が非常にあったということで、全国需要に対しては50パーセントと、減販を抑制することができました。

稼働率については冒頭にお伝えしたとおり、SDベースで92パーセントで高稼働となっています。

次にセグメントごとにご説明します。まず石油事業です。在庫評価を除いた経常利益は25億円であり、新型コロナウイルス感染症に伴い、JET燃料需要が減少しましたが、キグナス石油への供給拡大による四品数量増販や自家燃コストの改善によって増益となりました。

石油化学事業は、パラキシ市況の悪化と丸善石油化学の定修に伴う数量減といった影響により、経常利益はマイナス67億円となり、マイナス幅としては大きくなっています。また、石油開発事業は、原油価格下落影響による減益で経常利益は67億円です。その他事業については、連結処理等により経常利益は34億円となりました。

【2020年度 第1四半期実績】 連結損益の概要 前年同期比

次にP/Lの確認です。2020年度の第1四半期の営業利益はマイナス280億円、前年同期比マイナス450億となりました。経常利益はマイナス283億円、前年同期比マイナス491億円、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス260億円、前年同期比マイナス408億円です。

在庫影響はマイナス342億円、在庫影響を除いた経常利益は59億円、前年同期比マイナス127億円となっています。原油価格について、1-3月のドバイ原油は51ドルでしたが、4-6月の実績は31ドルです。

【2020年度 第1四半期実績】 連結経常利益(在庫影響除き)前年同期比

ステップチャートに移ります。セグメントごとの分析です。まず石油事業は、マージン・数量で需給周りも含めてプラス11億円、経費他でプラス2億円です。分解しますと、マージンでマイナス21億円であり、内訳は四品でマイナス15億円、四品以外でマイナス6億円です。

4月に原油価格が大きく下落した影響で、マージンが押し下がった影響を6月までにカバーできず、四品のマージンに関しては、タイムラグの影響を中心にマイナス15億円となりました。四品以外については、JETの数量減や価格減・マージン減がありましたが、トータルとしては、四品以外ではマイナス6億円です。

販売数量はプラス51億円となりました。四品の前年比111パーセントの影響です。また、千葉精油所の定修があったため、油購入が増加した影響でマイナス7億円です。加えて、千葉の定修の影響により、輸出実績がなかったということでマイナス12億円となりました。合わせて、マージン・数量でプラス11億円です。

経費他ではプラス2億円であり、少なめの数字が出ていますが、自家燃コストはプラスの34億円であり、油価下落および定修による処理数量減となっています。経費他は償却費の増加やキャッシュレスポイント等といった経費の増加により、マイナス32億円です。

石油化学事業についてはマイナス67億円で、前年と比べるとマイナス123億円という減益です。内訳は、価格でマイナス95億円であり、石油市況の悪化でHCP・丸善石油化学を中心としてマイナスとなっています。数量はマイナスの39億円で、主に丸化の定修影響による数量減です。経費他を含め、マイナス123億円です。

石油開発事業はマイナス25億円で、92億円から67億円に減益となりました。販売価格がマイナス68億円ですが、原油価格が前年と比べて64ドルから51ドルへ13ドル下落した影響です。販売数量に関しては、前四半期からの販売の期ズレという特殊要因があり、プラス52億円です。経費他を含め、石油開発事業はマイナス25億円です。

その他はプラス8億円で、主としてコスモエコパワーが含まれています。

【2020年度 第1四半期実績】 連結貸借対照表の概要

連結貸借対照表の概要をご説明します。自己資本比率は13.3パーセント、マイナス1.3パーセントです。、ネットD/Eレシオは3.09倍で、3月末と比べると0.68倍の悪化です。

【2020年度 第1四半期実績】 連結設備投資の概要

続いて、連結設備投資の概要です。スライド右側の表にセグメント別の実績が掲載されていますが、石油事業、石油化学事業で増加となっています。こちらは定修による影響です。また、その他事業で出ているのはエコパワーを中心とした投資です。

【2020年度 通期計画】 連結設備投資の概要

続いて、連結の設備投資の概要です。こちらは本来、最初の公表のときに掲載できなかったところを、今回あらためて年度の通期計画をお示ししています。セグメント別でご説明すると、1番目から5番目までを足した合計額としては985億円です。増減要因については、先ほどのご説明と同じ傾向です。

本年度に関しては、投資の計画に関して、投資の抑制・先送りを可能な限り実施しました。とくに大型の投資であるヘイルに関しては、先送りという位置づけをしています。また、ERP関連の更新の投資も先送りということで、投資を圧縮するかたちで取り組んでいます。今年度は過年度分が大きく影響しますので、キャッシュ・フローで見ますと、投資の抑制部分は今年度の中ではキャッシュ・フローには効いてこないかたちになっています。グループ全体として、可能な限り合理化も織り込んだ上で、計画を策定している状況です。簡単ではありますが、説明は以上です。