2019年度の総括

本山博史氏:社長の本山です。今回の説明会は、新型コロナウイルス対策として音声のみでお送りします。ご質問は最後に事務局等に賜れれば幸いです。それでは2019年度の総括からご説明したいと思います。

まず3ページにあるとおり、親会社株主に帰属する当期純利益は175億円と、第6次中期経営計画初年度の計画を上回り、7期連続で最高益を更新することができました。

また差引利益、営業利益、経常利益は、この3ページの表にあるように各利益で前年度を上回り、過去最高益を達成できました。

この結果、年間配当金は82円と、前年度比4円のプラスで、創立50周年記念配当2円含んでいますが、おかげさまで18期連続で増配を予定することができました。

決算概要

次に決算の概要を4ページに基づきご説明します。売上高が5,392億円と、かなり前年度に比べて大きく増えているように見えますが、これは不動産ブリッジ案件のEXITによる物件売却等の増加が主因です。差引利益は先ほどお伝えしたとおり、603億円のプラス77億円です。これは第6次中計で取り組んでいった注力分野への取り組み、あるいはみずほフィナンシャルグループとの協業によるリース収益の増加、投資物件の入れ替え等が要因です。

資金原価は97億円と12億円増えています。これは外貨資産の増加に伴う外貨借入の増加で、主にボリューム要因です。その結果、売上総利益は505億円、前年度比プラス64億円です。

信用コストは3億円で戻入を継続しています。この結果、営業利益は263億円の前年比34億円の増加です。営業外収益では前年度の24億円から15億円と9億円減じていますが、前年度は保有するJOLの満期に伴い均等の特殊要因があったため、この剥落によるものです。

この結果、先ほどお伝えしたとおり、親会社株主に帰属する当期純利益は175億円と前年比プラス9億円、計画比プラス5億円の結果となりました。

表の下に差引利益率をお示ししていますが、2.93パーセントと前年度比0.09パーセントの上昇です。収益性の高いビジネスへの取り組みを続けてきたことが結実しています。

バランスシート要因を下にお示ししていますが、営業資産残高で約2兆900億円で自己資金比率が7.9パーセント、純資産は1,958億円です。

事業の状況

次に事業の概況として契約実行高、営業資産残高別にご説明をします。契約実行高はリース・割賦の増加がありましたが、ファイナンス面は、短期の商流ファイナンスの減少が大きく響いた関係で、契約実行高全体ではマイナス2,664億円の1兆2,824億円です。

リース・割賦が1,430億円に伸びていますが、産業・工作機械、情報通信機器、不動産等を中心に伸ばしてきたものです。

リース・割賦の残高の伸びが、営業資産残高にも反映しており、営業資産は2兆903億円でファイナンスの減を、リース・割賦の残高の伸びが補いました。

契約実行高/リース・割賦セグメント

6ページに契約実行高、リース・割賦セグメントの機種別契約実行高をお示ししています。表の合計欄の増減を見ますと、19年度は増減額として1,430億円、リースで26パーセントの伸びとなっており、業界全体の平均である5.1パーセントをかなり上回ることができたと思います。26パーセントの伸びの大きな要因の1つはその他ですが、のちほどご説明します。

まず上段の上から見ますと、産業・工作機械で27パーセントの伸びです。業界平均が2パーセント弱ですので、はるかに上回っていますが、弊社においては大企業の設備投資ニーズを捕捉した大口案件の取り込み等が奏功したものです。

次に情報通信機器に目を移すと、この伸びが64パーセントで、業界平均も23パーセントとかなり、Windows10の入れ替え等々の流れを捉えたわけですが、私どもは通信事業者の基地局等の設備投資ニーズを幅広く捕捉したこともあり、業界平均をはるかに上回る大幅な増加となっています。

その他は41パーセントに対して業界平均22パーセントのマイナスです。その他の伸びの大層を占めるのが不動産リースです。物流施設等を対象としたブリッジ案件の実行が増加したことに伴うものです。物流あるいは倉庫が中心です。その他の、とくに不動産、そして産業・工作機械、情報通信機器が業界をはるかに凌駕する伸び率を示しています。

一方で土木建設機械、医療機器については、土木建設機械がマイナス10パーセント、医療機器が23パーセントのマイナスになっていますが、土木建設機械は中国での取り組みを抑制したこと、医療機器は環境変化を見極め、前年度に増加した海外向けの医療機器のリース、病院向けのリースの取り組みを抑制したことによるものです。

また商業・サービス業用機器がマイナス21パーセントと、こちらもマイナスが大きく出ていますが、前年度の大口案件の反落が主因です。17年度の320億円等を見ると、平年度並の契約実行高で留まりました。

契約実行高/ファイナンスセグメント

7ページです。契約実行高のファイナンスセグメントです。先ほど少しお伝えしたような商流ファイナンス・融資等が増減額で3,640億円が1つと、不動産でマイナス392億円。この2つを主因として契約実行高の合計は5,901億円とマイナス4,066億円減となっています。

商流ファイナンス・融資等は上期の説明会でもお伝えしたように、引き続き短期の商流ファイナンスが減少し、不動産は17年度394億円、18年度は970億円、19年度は578億円、18年度は大口ブリッジ案件で非常に高い剥落がありましたが、比較的600億円弱の高水準です。

残高の状況(グローバル/航空機/不動産)

8ページです。残高の状況を中計の注力分野であるグローバル・航空機・不動産をお示ししています。

グローバルの残高は、青と緑で表示しています。青が現地法人の伸び、クロスボーダーが緑で、いずれも大きく伸びていますが、トータルで1,425億円から2,348億円と約900億円伸びています。

この内訳はクロスボーダーの分野で300億円、現地法人の部分で600億円強の伸びです。クロスボーダーの伸びはMGL(現在はみずほ丸紅リースです)の貢献が大きく効いています。

現地法人はPLMというアメリカの冷蔵トレーラー会社を買収した結果が大きく伸びに効いていまして、いずれも丸紅との協業の成果です。

次に真ん中の表の航空機です。主として青い部分のオペレーティングリースが伸びてきています。機体的には7機から11機と4機伸ばしましたが、リースの部分で217億円の伸びがありました。

一番右の不動産は、真ん中部分にある黄色と緑の部分がブリッジで、マイナス195億円です。一方でピンクのファイナンス分野、ブルーの土地・建物リースと、それぞれファイナンスで148億円、土地・建物リースで179億円と伸ばしているため、ブリッジのマイナスを2つで補い、トータルで132億円の伸びで3,631億円です。

ブランドのアセットタイプで見ると、1,000億円強のブリッジの中で物流施設・倉庫が45パーセントを占めています。土地・建物リースのアセットタイプ別の残高を見ますと、1,400億円弱のトータルの中で商業施設が54パーセント、ホテルが24パーセントと占めています。

また1,400億円弱の80パーセントは、東京・大阪・名古屋の大都市に立地しており、今までずっとそのような方針でやっていきました。従来、この部分は強みだと思っていますが、これらの地域が新型コロナウイルスの影響を非常に強く受けているため、我々としては要注意で先行きを見ていきたいと考えています。

資金調達等の状況

9ページ、資金調達等の状況です。営業資産の残高が690億円程度、海外共同事業、先ほどのPLM社等の投資もありましたので、有利子負債はトータル2兆6億円と前年度末に比べて1,658億円の増収です。

このうちブルーの借入金が614億円増えており、それ以外の分野で市場調達のCP、債権の流動化を合わせて1,045億円の増加と、市場調達の活用と機動的な資金調達により、結果として資金原価率は0.47パーセントです。ほぼ前年度の0.46パーセントとほぼ同等の低水準に抑えています。実額での増加は外貨資産の増加に伴う外貨借入増の残高要因を主因とするものです。

2020年度業績予想

2020年度の業績予想です。足元での新型コロナウイルスの蔓延による経済的影響をどう読むかが非常に難しい状況でして、私どももいろいろ議論しましたが、2020年度は新型コロナウイルスによる厳しい経済状況が第1四半期は継続し、その後、緩やかな回復を見込むものの、年内は影響が残る想定でシナリオを作っています。このような状況の中で、営業資産の積み上げは当然のことながら後ずれするか、信用コストが増え、資金調達コストも増加する等の影響を見込んできています。

その結果、下の表にありますが、売上高は5,000億円で、先ほどお伝えしたように2019年度の売上はREITへのEXIT等の増加が主因のため、5,000億円程度とみていますが、400億円弱の減で5,000億円とみています。営業利益、経常利益ともに前年度比減の見方で営業利益は208億円、経常利益236億円です。コロナ影響による先ほどの信用コスト、資金調達コストの上昇をここに反映しています。

営業資産の積み上げの後ずれで見ると、航空機・不動産等々業種別にどの程度の影響期間があるかも、違いを設けて積み上げの後ずれを図っています。

ただ、足元での4月の月次決算だけを見ると、計画を若干上回ってきています。これはリース業界の特性ですが、4月の月次決算はほとんど昨年度の資産の利益を中心にあげているため、今後どういう影響が信用コスト面に出てくるか、あるいは積み上げのスピードがどの程度後ずれするかを注意深く見ていく必要があるだろうと思っています。

今月14日あるいは21日に緊急事態宣言の解除等が議論になっていますが、私どもはコロナウイルスとの戦いは、やはり長期戦を覚悟する必要があるだろうと思っています。そのような長期戦の中で、やはり企業の資金調達ニーズに正面から向き合うということで、いろいろなニーズをいただいています。

また一方で、不動産や商業・運輸において、企業経営のインパクトがどの程度大きくなるか、それが信用コストにどう跳ね返っていくかを見ていく必要があります。運輸の中には航空機も含みますが、このような業種をどう見ていくかを絶えずウォッチしていきながら、運営を考えていきたいと思っています。

また、このような厳しい経営環境の中ではありますが、テレワーク等就業環境の変化等々が、どのような経済あるいは実態に影響を与えてくるのか、あるいはテレワークを阻害する契約書や見積書といった紙のやりとりをどう削減できるか、いろいろな意味で企業のビジネスニーズや生活パターンが変わっていくことが見込まれています。

そのような意味で、お客さまのフィナンシャルニーズのみならず、事業に関わる多様な課題に対し、リースという柔軟なソリューション提供を行なえる企業として、第6次中期経営計画で掲げる戦略へ全力で取り組んでいくことで、今年度の業績予想達成をなんとしてでも確保したいと思っています。なお経常利益がマイナスで、当期純利益が増える要因は、一部政策保有株式の売却益等も見込んでいるとご理解いただきたいと思います。

配当金

11ページです。このような業績見通しのもと、2020年度の配当金の水準をどのように見たらいいか、さまざまな議論をしましたが、やはり配当性向等株主還元と資本蓄積のバランスを考慮する必要があるということで、2020年度の年間配当金は84円を予定しています。

前年度は記念配当が50周年の記念配当があり、82円から2円増配します。記念配当を除くと4円の増配になりますが、19期連続の増配を予定しています。

以上、2019年度の決算ならびに2020年度の業績予想、配当金の予定をご説明しました。

第6次中期経営計画(2019~2023年度)の概要

次に第6次中期経営計画の進捗状況を簡単にご説明します。13ページは従来掲げていたものですので、説明は省略します。

第6次中期経営計画(2019~2023年度)の最終年度の連結数値目標

14ページに第6次中期経営計画の最終年度の連結数値目標に対する、今の状況をお示ししています。

連結数値目標、親会社株主に帰属する当期純利益が300億円、グローバル分野の残高が19年3月末比1,425億円の3倍で約4,500億円、配当性向25パーセント以上を目指すと掲げています。

19年度の実績は当期純利益300億円に対して175億円です。今後は昨年度取り組んだ提携投資等による持分収益等の増加により、着実に増やしていきたいと考えています。

次にグローバル分野の残高は、先ほどお伝えした2019年度3月末比の3倍4,500億円に対してほぼ初年度で半分の水準の2,348億円までもってくることができています。

次に配当性向は25パーセントに対して19年度配当性向が22.7パーセントで、着実に増加させていきたいと思っています。先ほどの配当金の予想でもお伝えしましたが、2020年度の予想配当性向22.6パーセントで、この水準から、どう25パーセントに向けて上げていくかが私どもの課題です。

第6次中期経営計画における2019年度の総括

15ページです。第6次中期経営計画における2019年度の総括をお話します。期初にお話ししたとおり、各注力分野で掲げる戦略への取り組みを加速し、最終年度の数値目標達成に向けた基礎固めへの注力を挙げています。

基礎固めの点では、みずほフィナンシャルグループとの連携体制を構築し、共同でのビジネス推進に注力してきたことにより、連携実績は大幅に増加してきています。

上期終了時点でもお伝えしましたが、みずほフィナンシャルグループの紹介による新規取引先あるいは既存のお取引先の新規部門と、新規のお取引の開始のベースで、新規のお取引が始まったことを見て、契約額ベース年度で前年比1,100億円の増加です。これは上期で300億円とお伝えしたものが年間で1,100億円になってきているということです。

連携実績全体でみると、上期で900億円弱とお伝えしましたが、2,900億円の水準になっており、着実にみずほフィナンシャルグループとの連携が伸びていることを、ご理解いただけると思います。

2つ目の基礎固めは、丸紅との海外アセットファイナンス事業の共同運営を開始できたことで、1つは2020年3月の冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業のPLM社の共同運営を開始したことですし、航空機リース事業を営む業界大手のAircastle社の共同運営を開始できたことです。

もう1つ発表させていただきましたが、リコーおよびリコーリースとの業務提携に向けた交渉を進めており、この4月にリコーおよびリコーリースとの業務提携を開始できたということで、3つの基礎が19年度に大きく固められました。

2020年度のビジネス推進体制 ~事業領域の更なる拡大に向けて~

16ページは2020年度のビジネス推進体制ということで、みずほ、丸紅、リコー、リコーリースとの提携・協業の在り方をお示ししています。左に連携した契約実績は約3,000億円増加と、先ほど私が2,900億円強といった数字をリファーしたものですので、よろしくご理解賜りたいと思います。

また、みずほ丸紅リースが右側にありますが、5月18日にMGリースという会社をみずほ丸紅リースに社名変更しています。

PLM社の持分譲受による 共同事業運営

㈱リコー及びリコーリース㈱との業務提携

17ページと18ページは、すでに発表させていただきましたが、PLM社の共同事業運営、リコーおよびリコーリースとの業務提携です。のちほど、お時間のあるときにご参照いただきたいと思います。

新ビジネス戦略

19ページは新ビジネス戦略で、サービスビジネスの推進、共同事業運営の推進、商流サポートの3本柱を掲げています。従来はどちらかというと、第5次中計では商流サポートを中心に、いろいろな事例があるとご説明しましたが、第6次中計になり、このサービスビジネス、共同事業運営の獲得に注力した結果、右側にあるようなサービスビジネスでは自社運用の建設機械で、初の従量課金レンタルスキームに取り組むことができました。

あるいは保育・介護施設、医療モール、食品スーパー等からなる複合施設の共同開発に着手することもできたということで、着実に進化しています。いろいろな新しい実行事例が上がってきているため、非常に頼もしいと思っています。

環境・エネルギー:戦略と取組事例

20ページの環境・エネルギー分野です。こちらについては、従来から、第5次中計でも得意としていた再エネ事業、あるいは省エネソリューションでのビジネスを深耕するとともに、エネルギー事業者との連携や、新しい事業領域へ取り組んできており、図表にあるように、サービスビジネスや再エネ事業等々新しい事業領域例をお示ししています。また、この再エネ事業等ではみずほ銀行との連携も寄与していることはお分かりいただけると思います。

医療・ヘルスケア:戦略と取組事例

21ページは、医療・ヘルスケアです。これについては、第5次中計でいろいろな種まきを中心に行なってきまして、事業はあまり大きくないように見えていました。しかし、だんだんその種が実になる花になるということで、有力パートナーと連携したサービスビジネスの拡大、国内医療のみならず、高い成長が見込まれる介護、ヘルスケア、海外での取り組みが前進してきており、この2つは、今年度大きく前進したものだと私は理解しています。

グローバル:戦略と取組事例

22ページのグローバルですが、日系・非日系ともにお客さまの基盤を拡大でき、かつ設備投資や事業展開ニーズを捕捉することを、みずほ連携が寄与している面もあります。また、丸紅さまとの海外リース・ファイナンス事業の共同展開も寄与しています。

航空機:戦略と取組事例

23ページは航空機です。中長期的な拡大を見込んだ航空機オペレーティングリース事業の拡充ということで、Aircastle社への共同事業運営や当社4機の機体取得を進めています。今後については新型コロナウイルスの影響を注視し、注意深く運営していきたいと考えています。

不動産:戦略と取組事例

24ページは不動産です。物流、保育、介護等の社会的ニーズの高い分野に加え、企業の不動産戦略を捉えた取り組みを強化してきています。右下の図表のCREはまさに企業の不動産戦略を捉えています。また、ブリッジ案件の継続獲得、海外投資ファンドへの出資、優良物件への共同投資を推進していきました。やはり今年度は経済の動向を見極めながら、厳選対応を行なっていくことだと思っています。一方で、新型コロナウイルスの影響のもとでの資金ニーズにリースでお答えしていくことで、リースバックの手法がいろいろ使えるため、このようなところでもお客さまにニーズを真摯に見極めながら、ご提案している最中です。

以上が、中計戦略の個別戦略の取り組みです。

私は2016年6月に就任して、ちょうど丸4年社長を務めました。6月からは津原副社長に社長を譲り、津原社長新体制のもとでこの難曲に取り組んでいただきます。

おかげさまで7期連続の最高益更新、18期連続での増配の流れを途切れさせることなく事業を行なってこれました。投資家あるいはアナリストのみなさまには温かく見守っていただき、本当にありがとうございました。心より感謝したいと思います。

津原新社長以下の、当社の発展をぜひ温かく見守っていただければ大変ありがたく存じます。引き続きどうぞよろしくお願いします。これで、私の2019年度の決算に関するご説明を終わらせていただきます。本日もどうもありがとうございました。