概況

黒川清敬氏:株式会社バルカーの黒川でございます。本日はご多用の中、当社の決算説明会に出席いただき、誠にありがとうございます。

まず2019年3月期第2四半期累計期間、すなわち上期の決算について報告させていただき、続いて下期に向けての見通しと計画について説明させていただきます。

最初に当上期の概況でございます。連結業績は、売上高と営業利益が半期ベースで過去最高となり、売上高・各利益ともに前年同期比・前半期比で拡大いたしました。

業績拡大の要因は、先端産業市場・機器市場における販売の伸長、とりわけ高機能シール製品と、機能樹脂加工品の売上拡大によるものでございます。また利益の拡大には、当社がかねてから取り組んでまいりました生産拠点の最適再配置の効果も寄与いたしました。一方で、従業員の状況や対応改善などによる人件費の増加がコスト増の要因となりました。

これらの結果、当上期の連結業績は、売上高が前年同期比で12.1パーセント増の260億8,400万円。営業利益が(前年同期比で)17.1パーセント増の32億700万円。親会社株主に帰属する純利益は(前年同期比で)24.0パーセント増の23億5,400万円と、いずれも2桁の増加となりました。なお、各利益率はいずれも改善基調を維持いたしました。

このように、半期で見ますと順調な業績ではありましたが、ASEANにおける業績の拡大や、機能樹脂特殊タンク製品の収益性の早期向上、ならびにH&S事業の早期業績化等が、今後の戦略課題として残ったと認識しています

連結業績半期推移

続きまして、業績の半期推移についてご説明いたします。ご覧の(スライドの)表に、連結損益の主要科目および売上総利益率・営業利益率について、2017年3月期上期からの実績推移をお示ししております。

当上期は、数値面では2018年7月に発表いたしました修正予想を達成いたしましたが、進捗が遅れている戦略課題もあり、手放しで喜ぶことができる業績ではなかったと捉えております。

連結業績半期推移(売上高)

5ページでは売上高(をお示ししております)。

連結業績半期推移(営業利益)

6ページでは営業利益(をお示ししております)。

連結業績半期推移(売上総利益・営業利益率)

7ページでは、売上総利益率および営業利益率につきまして、ここ9半期分の推移をお示ししております。当上期において9半期連続の売上増となり、営業利益率につきましては、10パーセントを上回る水準を維持しております。

今後は、当期から開始した第8次中期経営計画「NV・S8(New Valqua Stage Eight)」における戦略を、着実かつ速やかに実行し、業容ならびに収益性のさらなる拡大につなげてまいりたいと考えております。

バランスシート・キャッシュフロー推移

財務数値につきましては、ご覧のとおりでございます。資本構成につきましては、引き続き有利子負債の削減を進め、自己資本比率は65.6パーセントとなりました。今後とも、サプライチェーンの整備など、戦略遂行に向けた資金事業を踏まえつつ、財務体力の維持と資本効率の向上を図ってまいります。

なお、フリーキャッシュフローの減少は、「NV・S8」の戦略遂行にともなう設備投資の拡大によるものでございます。

市場別売上高・地域別売上高

9ページには、市場別と地域別の売上高推移をお示ししております。当上期における先端産業市場向けは、メモリーなど半導体の生産調整や、設備投資の延期など、事業環境が変動する中、マイナス影響を最小限にとどめ、売上高は前年同期比で25.4パーセント増加しました。

機器市場向けは、国内設備投資の堅調な推移や、自動車を含む輸送機器向け需要の増加を反映し、(前年同期比で)9.6パーセント増加しました。プラント市場向けは、国内プラントメンテナンスが多い期ではありましたが、海外における売上減少により(前年同期比で)1.3パーセントの拡大に留まりました。

続いて、地域別販売実績でございます。国内においては、全市場で売上が拡大しました。とくに先端産業市場と機器市場に向けた販売の増加が寄与し、売上高は前年同期比で10.8パーセント増加しました。

海外では、アジアが機器市場ならびにプラント市場向けの減少により伸び悩む一方、北米で大きく伸長しました。この北米の伸びは、先端産業市場向けの販売増加に加え、M&Aにともなう事業拡大によるものです。

これらの結果、海外売上高の合計は(前年同期比で)15.5パーセント増加し、海外売上高比率は(前年同期から)0.8ポイント上昇しました。なお、為替レートは、計画の1米ドル107円に対し、実績レートは108.7円でございました。

セグメント別実績 シール製品事業

続いて、各製品セグメントについてご報告いたします。まずシール製品事業です。当上期においては全市場の売上が拡大しました。とくに先端産業市場向け高機能シール製品の販売が海外で伸長し、業績を牽引しました。

その結果、売上高は前年同期比で8.2パーセント増の171億3,300万円となりました。セグメント利益は、(前年同期比で)8.6パーセント増の26億2,200万円となり、セグメント利益率は15.3パーセントと、前年同期と同水準を維持しました。

セグメント別実績 機能樹脂製品事業

次に、機能樹脂製品事業についてご説明いたします。当上期においては、先端産業市場の売上が、国内の半導体製造装置メーカー、ならびに海外のデバイスメーカー向けでともに拡大しました。これにより、売上高は前年同期比で20.2パーセント増の72億7,900万円となりました。セグメント利益は(前年同期比で)123.2パーセント増の4億1,400万円となり、セグメント利益率も5.7パーセントに回復しました。

機能樹脂製品事業においては、ふっ素樹脂特殊タンク製品の生産機能の整備と拡充を、鋭意推進いたしております。当上期は米国と中国において、供給能力拡大と効率向上に向けた設備投資を実行しました。

セグメント別実績 その他事業

最後に、その他事業でございます。当上期におきましては、シリコンウエハーリサイクル事業で旺盛な需要が続く中、営業力の強化により売上を回復しました。これにより、売上高が前年同期比で19.8パーセント増の16億7,000万円となりました。セグメント利益は(前年同期比で)22.9パーセント増の1億7,000万円となり、セグメント利益率は10.2パーセントと、2016年度上期並みの水準に回復しました。

なお、中期経営計画「NV・S8」において最重要戦略として掲げているH&S事業につきましては、当社グループの事業コンセプトを具現化する事業として位置づけ、先行投資を継続いたしております。

設備投資・研究開発・原材料価格影響

設備投資、研究開発投資、および原材料価格変動要因につきましてご説明いたします。当上期における設備投資は、前期に引き続き、主に先端産業市場向け製品の供給能力拡大を図った結果、前年同期比で60.2パーセント増の11億3,900万円となりました。なお、着工基準による設備投資額は、着工がピークを超えたことから、(前年同期比で)24.7パーセント減の17億5,600万円となりました。

研究開発費は、外部機関との共同研究を進めたことや、人員の増強を行ったことにより、(前年同期比で)24.1パーセント増の5億2,200万円となりました。なお、原材料価格変動の影響につきましては、主にふっ素樹脂材料の価格が上昇した影響により、ネットで2億1,700万円の原価増加になったものと認識いたしております。

株主還元

以上を踏まえました株主還元についてご説明いたします。株主還元につきましては、自己株式取得と配当を合わせた連結株主還元性向50パーセントを目標に実施する方針を維持しつつ、将来の企業価値の最大化に向けた設備投資・研究開発投資・戦略的投資の必要性、そしてリスク管理体制の強化や人材開発の拡充などの企業基盤整備、ならびに事業環境の変動に対する備えの重要性等を勘案し、実施することといたしております。

2019年3月期の配当につきましては、中間配当45円と期末配当予想の50円を合わせた年間95円を予定しております。これは2018年3月期対比で10円の増配であり、5期連続の増配となる予定です。

以上で当上期の報告を終了し、2019年3月期下期に向けての予想および見通しの説明をさせていただきます。

事業環境認識(上期からの変動)

下期の事業環境認識につきましては、上期からの変動という視点でご説明いたします。下期は、近年日本経済の緩やかな拡大を支えてきた国内外における設備投資の動向に不透明な要素が多く、各市場とも予断を許さない状況になると認識いたしております。

まず先端産業市場でございます。半導体デバイス生産は、需要の減速を反映して、減少する懸念があると認識いたしております。一方、半導体製造装置の出荷は、国内外デバイスメーカーの設備投資先送りの影響を受けて減速が予想されるものの、その幅は個社により濃淡があるだろうと考えております。

続いて機器市場です。一般産業機器の生産については、これまで高水準の実績が続いていた反動と、米中通商摩擦等への警戒を反映し、調整が強まり、停滞が続くものと予想いたしております。また、自動車生産台数は堅調な推移が見込まれますが、不透明な要素も多いと認識いたしております。

プラント市場は国内のメンテナンス件数の季節要因による減少を見込んでおります。一方で、半導体用などの一部の化学品の生産は、若干の減速はあるものの、おおむね高水準で推移するものと想定いたしております。これらに加え、通商問題や原材料価格上昇がリスク要因となるものと認識いたしております。

実行施策

以上の事業環境認識のもと、下期において実行する施策をご説明いたします。まず「NV・S8」で掲げた戦略推進に向けた施策です。シール製品事業においては、先端産業市場向け製品の顧客別対応力の強化や、生産最適化によるシェア拡大を推進し、業績の確保を図ります。また、機器市場やプラント市場向け製品については、外部生産リソースの活用と、アライアンスの強化による収益性の改善を目指します。

機能樹脂製品事業においては、先端産業市場・プラント市場に向けた特殊タンク製品の安定供給のための生産体制整備の仕上げを行います。加えて、旺盛な需要が見込まれる先端産業市場向け切削加工品の生産能力を増強いたします。

次に、来期以降の収益拡大に向けた施策です。業容拡大と収益性向上の両立に向け、サプライチェーンの整備を推進いたします。とくに、戦略製品としている高機能シール製品の営業力を一段と強化するとともに、生産拠点新設の着実な進捗を図ります。

加えて、グループ各生産拠点の自動化投資を積極的に行い、収益性の向上を目指します。またH&S事業の実績化に向けて、引き続き注力してまいります。

売上高・利益予想

これらを踏まえました下期と通期の予想、ならびに計画数値についてご説明いたします。上期は期首予想、ならびに(2018年)7月25日発表の修正予想を上回る実績を達成することができました。

しかしながら、先行きを見通しづらい事業環境などを踏まえ、通期につきましては、ここ(スライドの表)に示したとおり、予想値を据え置きました。その結果、下期につきましては、事業環境の変動とリスクを勘案し、前回予想値を引き下げております。

厳しさの増す状況下ではありますが、「NV・S8」で掲げた戦略の推進を加速することに加え、「製・販・技」における業務実行力のレベルアップにより、下期の業績予想を達成し、通期最高業績の更新を目指してまいります。

連結の通期予想は据え置くことといたしましたが、内訳の計画値につきましては、上期実績と足元の事業環境、ならびに施策の効果等を勘案し、見直しを行いました。なお、本ページ以降の各表の右欄に「前計画比」としてお示ししております数値は、(2018年)7月25日に公表した業績修正予想の内訳数字との比較でございます。

市場別販売修正計画

まず、市場別販売計画についてご説明いたします。先端産業市場は、上期において計画を上回る実績のあったことに加え、受注見通しを反映して、下期計画を5億円、通期計画を9億円、それぞれ引き上げました。なお、下期は需要の減速を反映し、上期比で5億円減少する見通しです。

機器市場は、上期実績を踏まえ、通期計画を1億円引き上げましたが、下期は設備投資の調整を織り込み、上期比で4億円減少する見通しとしております。

プラント市場は、通期計画を10億円引き下げました。これは、上期実績が第2四半期の減速により、計画を4億円下回ったことを踏まえ、事業環境の変化を織り込んだことによるものです。なお、下期は上期比で7億円の減少を見込んでおりますが、これには季節要因の影響も反映しております。

地域別販売修正計画

市場別の修正にともない、地域別販売計画につきましても見直しをいたしました。国内売上高は上期が計画を2億円上回ったことを反映し、通期計画を3億円引き上げました。なお、下期は季節要因の影響と事業環境の変動等を織り込み、売上は上期比で17億円減少する見通しといたしております。

海外売上高は、上期はほぼ計画に沿った実績となりましたが、通期計画を3億円引き下げました。これは、アジア地域の業績拡大に遅れがみられることなどから、下期の見込みを4億円引き下げたことによるものです。なお、為替につきましては、下期の予想レートは1米ドル107円としております。

セグメント別修正計画

続きまして、セグメント別売上計画についてご説明いたします。シール製品事業は、上期にプラント市場で計画を下回ったことに加え、下期における季節要因の影響、ならびに不透明な事業環境を考慮し、通期計画を4億円減額しました。なお、下期は上期比で14億円の減少となります。

機能樹脂製品事業は、上期が計画を上回ったことを踏まえ、通期計画を4億円引き上げました。下期は上期比で2億円の減少を見込んでおりますが、これは先端市場向けの減速を織り込んだものです。その他事業は下期においても、上期並みの業績となる見込みです。

以上で2019年3月期上期決算の報告と、下期に向けての予想と見通しについての説明を終了いたします。

THE VALQUA WAY

下期、そして来期に向けては、事業環境に大きな変化が現れることが想定されます。その中で当社は、「NV・S8」で掲げた戦略の着実な推進を図りつつも、状況の変化を踏まえた機動的な施策を併用することにより、当2019年3月期予想数値の達成に加え、来期以降のさらなる拡大に向けた基盤を整備してまいります。

(2018年)10月、当社は株式会社バルカーとして生まれ変わりました。これからはこの新たな社名のもとで、創業100周年を見据えた新たな価値の創造と、健全で持続的な成長を実現してまいる所存です。

みなさまにおかれましては、さらに一層のご指導とご鞭撻をいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。本日は、ご清聴、誠にありがとうございました。