2019年3月期第2四半期決算説明会

宮田浩美氏:スズケンの宮田でございます。本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。日頃のご指導、ご誠意に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

はじめに、10月26日に業績予想の修正をしております。5月の決算説明会の時に、売上総利益についてはチャレンジ目標ではないかというご意見をみなさんからいただきました。流通改善ガイドラインの元年として、上期はしっかりとスタートできたのかなと考えているところでございます。

ただ、大事なのは上期ではなく、いま始まっている下期であると認識しておりますし、覚悟を持って一層の粘り強い価格交渉に臨んでいきたいと考えております。

一方、大きく変化する環境の中で、EPSホールディングスとの合弁会社設立、アメリソースバーゲンの子会社であるワールド・クウリアーとの協業、そして東邦ホールディングスとのシステムの共同展開など、さまざまな協業について、この上半期に公表させていただいております。この点につきましては、新しいビジネスモデルの早期構築に向けて取り組んでいるところでございます。

1.連結①

はじめに、第2四半期の決算の状況でございます。ご覧いただいているファイルは連結の状況で、減収増益ということでございます。セグメントごとに説明させていただきたいと思います。

2.医薬品卸売事業①

まずは、医薬品卸売事業でございます。売上高につきましては、この4月の薬価改定、C型肝炎治療剤の売上の減少、長期収載品から後発医薬品のカテゴリーチェンジの影響で、大きく減収となりました。C型肝炎治療剤の上期売上高は119億円、前年同期比では133億円の減少、対予算に対しては60億円の過達ということになっております。

営業利益につきましては、販管費の抑制に加え、流通改善ガイドラインに真摯に対応し、適正な利益の確保に注力したことによって、増益となりました。

市場の伸びと当社の売上高の伸びにつきましては、C型肝炎治療剤の市場の縮小の影響があり、薬価ベースのIQVIAのデータでは市場を1.2ポイント下回り、納入価ベースのクレコンデータでは、市場を2ポイント下回る結果となりました。

ただし、C型肝炎治療剤を除くIQVIAのデータによりますと、薬価ベースでは0.3ポイント上回っています。売上高につきましては、市場並みの伸長をしたのではないかと推測しているところでございます。

次に、妥結の状況でございます。こちらのファイルには妥結率は63.9パーセントとありますが、システム処理上の問題でありまして、あくまでも9月末の状況でございます。実態としましては、9割弱の妥結を得ており、最後の最後まで粘り強く価格交渉した結果であると考えております。

この10月からの妥結状況を見てみますと、月次の状況ではございますけれども、6割弱が決定し、残りの4割強が未妥結という状況ということで、しっかりと取り組んでいくということでございます。

3.医薬品製造事業

次に、三和化学研究所の医薬品製造事業でございます。売上高はご覧のとおり、薬価改定および「セイブル錠」の後発医薬品上市の影響によって減収となっております。なお、事業別のその他の項目を見ていただきますと、OSDrCと、研究開発売上、キョーリン製薬様との契約一時金がここの項目に含まれております。

営業利益はキョーリン製薬様との契約一時期金および販管費の抑制などによって、増益となっています。

4.保険薬局事業①

次に、保険薬局事業でございます。M&Aや新規出店を進めたものの、この4月の薬価改定、調剤報酬改定の影響による処方箋単価の減少、応需枚数の減少によって、減収減益となっております。

売上高の予想差異については、長期処方が処方箋枚数の未達につながっているということと、ドラッグストア等の台頭が、主な減少の要因ではないかと分析しているところでございます。

なお、技術料につきましては、今年度は1万円あたりのダウン額を70円程度と計画しておりましたが、この上半期では1万円あたりマイナス56円というところまで(きており)、技術料の獲得に進んでいるということでございます。

5.医療関連サービス等事業①

次に、医療関連サービス等事業でございます。売上高は、主にメーカー支援サービス事業において受託数および物量が増加したことによって、15.9パーセントの増収となりました。営業利益は増収効果によって増益となっています。

メーカー支援サービス事業でございますが、2018年9月末時点で、メーカー物流を36社、治験薬物流を15社、スペシャリティ医薬品流通を17社受託しております。また再生医療等製品の治験薬の流通でございますが、5法人、6案件を受託している状況でございます。

以上が、上半期の決算の状況でございます。

1.連結②

続きまして、通期業績予想達成に向けた取組みでございます。この業績修正を10月26日に発表させていただきました。その中身でございますが、いま申し上げた上半期の実績に、年初来の下期の計画を合算したかたちで構築しているということでございます。この業績修正目標をどのように達成するかについて、セグメントごとに説明させていただきたいと思います。

2.医薬品卸売事業②

まずは、医薬品卸売事業でございます。売上高のうち、C型肝炎治療剤は年間で180億円に修正しています。年初は120億円で、上半期に約60億円の過達がございまして、180億円に修正しております。また、この下半期はインフルエンザワクチン、アレルギー剤などの季節需要の商品に取り組むということでございます。

売上総利益につきましては、売買差益における上半期の決定価格の維持に努めるということが大前提になってきます。また、仕入割戻と販売計画収入の獲得、季節需要商品への取組みなどによって、売上総利益の確保に邁進してまいりたいと考えております。

あわせて、流通改善ガイドラインにつきましても、年間契約が求められているわけですが、先ほど申し上げたとおり、6割弱が妥結の状況でございます。しかし、4割強が未結の状況になっており、10月から再交渉という取引先も多く存在しているということでございます。

こちらについても、この上半期の交渉を継続して、価格維持に努めてまいりたいと考えています。

3.医薬品製造事業(1)

製造事業につきましては、「セイブル錠」「スイニー錠」「ウリアデック錠」といった既存の製品はもとより、未製剤、新製品を上市させていただく予定でございます。

ここに最注力していくということと、業務コスト構造改革を進め、三和化学の厳しい状況を乗り越えていきたいと考えております。

3.医薬品製造事業(2)

三和化学研究所のパイプラインの状況について、説明させていただきます。この(2018年)9月に、慢性便秘症治療薬「ラグノスNF経口ゼリー分包12g」の製造販売承認を取得しました。そして、2型糖尿病治療薬「メトアナ配合錠」の製造販売承認を取得しました。この2製剤については、今年度(2019年度)中に発売していきます。

「ネスプ」のバイオシミラー(バイオ後続品)であります腎性貧血治療薬「SK-1401」は、製造販売承認申請を行ったところでございます。

そして、二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬「SK-1403」については順調に進んでおりまして、第3相試験を開始し、計画どおりに進めているところでございます。

夜間頻尿の治療薬「SK-1404」は、キョーリン製薬様と共同開発しており、キョーリン製薬様の開発ナンバーが「KRP-N118」でございます。現在、用法・用量を設定する後期の2相試験を開始したところです。

宇部興産と共同開発しておりました「SK-1405」でございますが、残念ながら期待する有効な治験結果が2相試験で得られなかったということで、開発を中止いたしました。

4.保険薬局事業②

次に、保険薬局事業でございます。収益性の改善に向けて、グループガバナンス体制を強化して効率化を図るとともに、引き続き技術料の獲得に取り組んでまいりたいと考えております。

5.医療関連サービス等事業②

医療関連サービス等事業でございますが、メーカー支援サービスの受託件数の増加、介護事業における稼働率の向上などによって増益を目指してまいります。

以上が、この下半期の各セグメントの取組みでございます。

6.配当

配当でございますが、中間配当金が27円、期末配当金が27円で、年間で54円とさせていただいております。今年(2018年)5月にリリースさせていただきましたが、新たな株主還元方針の策定ということで、連結配当性向30パーセント、2年間の平均総還元性向80パーセント以上を目処として、株主様に還元していくということを発表しております。具体的な取組みについては、みなさま方に開示してまいりたいと考えております。

以上が、2019年3月期通期業績予想達成に向けた取組みでございます。よろしくお願いいたします。

「取引」から「取組」へ

そして、3点目でございます。中期成長戦略でみなさま方に発表させていただいている部分でございますが、この取組みについて説明させていただきます。

当社グループでは、この中期成長戦略において、激変する環境変化の中で対応するため、「取引」から「取組」へと……これ(スライド)は全体像となるわけですが、いわゆるトップラインが上がらない、マージンビジネスからフィービジネスに変革していくのだということで、収益モデルの変革を目指して、いままさに新たなビジネスモデルの構築に挑戦しているところでございます。

中期成長戦略を実践して収益モデルを変革するために、「新たな流通モデルの構築」と、「MSの新たな収益モデルの構築」という2つのテーマに取り組んでいるところでございます。

1つ目は、スペシャリティ医薬品や再生医療等製品などの「新たな流通モデルの構築」のために、協業による流通モデル構築と、医療流通プラットフォームの強化を進めているところでございます。

アメリソースバーゲンとの協業によって、スペシャリティ医薬品の薬剤管理システムであるキュービックスシステムの導入展開を進めるとともに、新たなアメリソースバーゲンのグループ会社であるワールド・クウリアーと協業し、ノウハウやシステムなどを活用した再生医療等製品に対する取組みを検討しております。

さらに、当社グループにおいては、メーカー物流の東西ターミナル拠点の強化、再生医療製品に対応するためのインフラへの投資を行い、医療流通プラットフォームの強化を進めているところでございます。

2つ目が、「MSの新たな収益モデルの構築」でございます。ここにつきましてはEPSホールディングスとの協業の取組みで、MSの活動、あるいは機能を評価していただく新たなフィー獲得を目指して、(2018年)10月1日に合弁会社ESリンクを設立しています。

また、EPファーマラインへの出資を行い、メディカルコンタクトセンターを活用した新たな収益モデルの構築を検討しているところでございます。

これら2つのテーマを拡充し、スピードを上げること、そして顧客支援システムの共同利用や流通モデルの共同展開のために、東邦ホールディングスとの協業を進めているところでございます。

スペシャリティ医薬品への対応

はじめに、スペシャリティ医薬品への対応についてですが、医薬品の廃棄などの社会的コストの低減や、病院内での効率化を図る薬剤管理システムでありますキュービックスシステムの導入でございます。

2018年度から病院向けのモデルは、全国の病院様へ順次展開、導入しているところでございます。2018年6月からは、薬局向けのモデルについても導入を開始いたしました。そして、希少疾病薬については、メーカー物流を含む1社流通です。

一気通貫流通でのワンストップ受託モデルと呼んでいるわけでございますが、当社はこのモデルの構築を推進しています。具体的にはムンディファーマさんやアミカス・セラピューティクスさんといった製薬メーカー様の受託をすでに発表もさせていただいておりますが、これを進めております。。今後は、製薬企業に対して総合的な機能の提供について、提案してまいるということでございます。

医療流通プラットフォームの強化

当社グループは、今後のスペシャリティ医薬品および再生医療等製品の市場拡大に対応するため、(また)PIC/S GDPの日本導入に伴って、一層厳格化された品質基準への対応ということで、医療流通プラットフォームの強化として、3つほど実践していることがあります。

1つ目が、コールドチェーンにおける東西ターミナル拠点の強化でございます。すでに発表させていただいておりますけれども、西日本の輸配送拠点として昨年(2017年)に稼働しました併設型物流センター内の輸配送ターミナルに、保冷庫を整備するなどの投資をしています。

加えて、先般発表させていただきましたが、2018年11月に東日本の輸配送拠点として岩槻メディカルターミナルが稼働しています。

2つ目が、再生医療等製品の流通プラットフォームの構築でございます。メーカー物流拠点、そして全国の物流センターにおいて厳格な温度管理、BCP(事業継続計画)に対応できるようなインフラの整備をしているところでございます。

ワールド・クウリアーとの協業

3つ目が、再生医療等製品のグローバル基準に対応するため、先ほどからお話ししているアメリソースバーゲンのグループ会社であるワールド・クウリアーとの協業をしていきます。

当社グループの国内におけるコールドチェーンインフラと、ワールド・クウリアーが提供するグローバルでの国際輸送を含めたコールドチェーンを組み合わせることで、日本国内での再生医療等製品分野におけるロジスティクスの共同提案を行い、国内外の一気通貫流通での受託を目指してまいります。

新たな流通モデルの構築

このような取組みを行うことで、医療流通プラットフォームを強化し、国内外の製薬企業に、安心・安全で高品質であることをご評価いただけるような流通プラットフォームへと進化してまいりたいと考えております。

EPSホールディングスとの協業

続きまして、MSの新たな収益モデルの構築でございます。1つ目は、EPSホールディングスとの協業でございます。合弁会社のESリンクは、全国ネットワークのMSを活用した新たなプロモーションモデルであります。リモート・ディテールサービスのESナビゲーションと、PMS(市販後調査)支援を中心に展開を図ってまいります。

当社グループが保有するMS機能をはじめとしたさまざまな機能と、EPSホールディングスが保有するCSO事業におけるBPO機能や、メディカルコンタクトセンター機能などを融合することで、製薬メーカー様のさまざまなニーズにお答えし、効果効率化に向けた総合提案ができる企業を目指してまいりたいと考えております。

東邦ホールディングスとの協業

そして、いま説明させていただいた2つのテーマにおける取り組みについて、さらなる拡大・スピードアップを図るとともに、顧客支援システムにおける共同利用と、新たな流通モデルでの共同展開を推進するため、東邦ホールディングス様との協業を進めているところでございます。

まずは、東邦ホールディングス様のシステムをベースとした顧客支援システムの共同開発・共同展開です。音声認識薬歴作成支援システム「PSボイス」は、音声による薬歴作成機能の仕組みで、自社薬局を中心に展開を始めております。

また、薬局さん向けの在庫管理システムでありますが、「PS+マネジメント」のサービス提供を、まずは自社薬局から順次展開しております。この他、お得意様の業務効率化や利便性の向上の観点から、お得意様のお問い合わせ窓口の共同化、あるいは最適なソリューションの提供を両者で目指していくところでございます。

今後も、システム投資を抑えることや、構築期間の短縮を図るとともに、新たなサービスを提供することで、顧客支援システムにおけるユーザーの拡大、そして情報フィーの獲得を目指してまいりたいと考えております。

「健康創造」における価値創造

最後のファイルになります。私どもは、「健康創造」という事業領域において、今後もオープンイノベーションの発想で当社グループとパートナー企業が協業することで、患者とその家族、それを支える医療従事者、そして地域の人々のお役に立つ価値を広げてまいりたいと考えております。

社会への価値提供を続け、「医療と健康になくてはならない存在」を実現してまいります。今後とも、当社グループの持続的成長とさらなる企業価値向上を目指してまいりますので、みなさま方の一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上で、第2四半期決算、通期の取組み、中期成長戦略の取組みについて説明させていただきました。ありがとうございました。