2017年12月期決算説明会

方永義氏:おはようございます、代表の方永義と申します。本日は朝早く当社の説明会にご参加いただき、ありがとうございます。本日は、私が(説明を)担当しますので、よろしくお願いします。それではさっそく、本日のラインナップを見ていきましょう。

まず、会社紹介をして、それから当社の中期経営計画について、ご説明します。そのあと、当社の業績動向についてご説明します。(資料の)最後に、参考データがございます。

会社概要

さっそくですが、当社の会社概要についてご紹介したいと思います。

当社は2010年12月に、東京都品川区大井に(本社を)設立しました。本社工場は、宮城県大崎市にございます。台湾にも工場(艾爾斯半導体股份有限公司)がございまして、こちらは2014年2月に設立しました。また、今年(2018年)の1月に北京において、プライムウェーハの生産メーカーである北京有研RS半導体科技有限公司を設立しました。

今までは、メイン事業であった半導体の再生ウェーハのマーケットでは、我が社は世界シェアの約3割を取るようになり、トップランナーとしてがんばってきました。今回、このようなプライムウェーハの生産拠点を(新たに北京で)設けることにより、当社はプライムウェーハの世界でも、できればトップメーカーになりたいと思います。

沿革

沿革です。先ほど申し上げたとおり、当社は2010年12月に発足して、2015年3月に東京証券取引所マザーズに上場したのち、一昨年の2016年9月に、東京証券取引所市場第一部へ市場変更をしています。

それから、2017年12月において、(当社および)北京有色金属研究総院および福建倉元投資有限公司の3社間の合弁契約を締結しました。(2018年1月に)北京において、先ほど申し上げたとおり、プライムウェーハの製造メーカである有研半導体材料有限公司を、連結子会社としました。

そして、今年(2018年)の5月に、株式会社ユニオンエレクトロニクスの株式を、100パーセント取得する予定です。

中・長期的な経営方針

続きまして、当社の中・長期的な経営方針について、ご説明したいと思います。今までの中・長期的な経営方針と違いまして、新たにバージョンアップしたものを、本日トピックとして2つご紹介します。

まず1つ目は、今までの当社のメイン事業であります、再生ウェーハの話です。まず2番目の、これからのメイン事業とする中国半導体マーケットへの参入についてご説明したあとに、1番目の再生ウェーハ(市場での当社のシェア拡大)のことについて、ご説明します。

2番目の中国半導体マーケットへの参入につきましては、4つのポイントがございます。1つ目は、200ミリメートルプライムウェーハの生産力拡大です。こちらは、後ほど時間を割いて詳しく解説したいと思います。

まず、2つ目からご説明します。300ミリメートルプライムウェーハに関しては、2010年の12月に当社が発足したときから、ずっと意識していた項目です。(参入時期について)今のところ具体的な計画はございませんが、200ミリメートルプライムウェーハの生産状況や品質、お客さまの反応を見ながら、こちら(300ミリメートルプライムウェーハ)の参入期間を、慎重に検討したいと思います。

3つ目は、ターゲット材……いわば、半導体のパーツです。こちらの中国進出につきまして、ご説明します。当社は2016年の3月に、ある日本のターゲット材の製造メーカーと契約しました。彼らの世界販売代理店ということで、今までは日本国内と台湾における販売活動をして、大きな経験をさせていただいています。

今回、200ミリメートルプライムウェーハにおいて、北京に本格的な(製造)拠点を設けることにともない、このターゲット材の中国での販売・生産を視野に入れて、これから活動したいと思います。

4つ目の、半導体生産設備および関連資材の中国販売拡大につきまして、ご説明します。当社は2010年に発足して以来、メーカーの方と一緒に、それなりに活動していました。先ほど申し上げたように、ユニオンエレクトロニクスという会社を買収することによって、このような商社活動をさらに拡充して、中国での販売活動(の拡大)を期待したいと思います。

1つ目の、200ミリメートルプライムウェーハの生産力拡大について、データでご説明します。

中国の半導体政策:国産化率のアップを目指す

こちらは、中国の半導体政策についてのご説明です。左のグラフを見ていただくと、中国の半導体消費が、世界全体に対して約4割(を占めるまでに成長している)ということが、おわかりいただけるかと思います。その一方で、中国の半導体の国産化率は、まだ10パーセント程度でしかございません。

今のところ、中国政府の発表によりますと、2016年の中国の半導体全体の輸入額が、石油を抜いて単独トップになりました。その額は、なんと3,500億ドルになりました。つまり中国国内の半導体は、大半を輸入に頼っているわけです。中国政府にとって輸入に頼ることは国力の低下を招くということもあり、(半導体の)国産化を早く目指したいということです。(国産化率の)目標として、2020年に約4割、2025年に約7割を設けています。

先ほど申し上げた北京において、プライムウェーハの生産活動も国産化の一環として広げていき、当社が中国の中央政府ないし地方政府と緊密に連携しながら、その国産化の波に乗って、中国での当社の事業活動をダイナミックに成長させたいと思います。

本件のスキーム

北京でのプライムウェーハ事業のスキームについて、ご説明したいと思います。

(スライドの左側は)本件を取引する前の姿です。こちらの「GRINM」とは、北京有色金属研究総院の合弁会社です。こちらは、非常に歴史が長い会社です。中華人民共和国が誕生する前の、中華民国の政権の時代から、すでに存在していた会社です。中国の共産党政権で、1949年に誕生した数多くの会社をそのまま継続して、1952年に国営化した歴史があります。

この会社には、約34社の子会社がございます。そのうち、いちばん事業のボリュームが大きいものは、GRITEKという会社です。中国語で言うと、北京有研半導体材料有限公司です。こちらは中国の中で、半導体の材料メーカーとして、唯一上場していた会社です。今回のスキームを成立するために、もともと上場していたところを2年前に廃止し、100パーセント、GRINMの子会社になりました。

そして(スライドの右側が)、本件の取引後の姿です。当社と福建倉元投資有限公司、そしてGRINMの3社間の契約をもちまして、北京においてBGRS(北京有研RS半導体材料有限公司)と言う子会社を作りました。

出資の比率は、当社は45パーセントですが、GRINMは49パーセントです。中国政府から見ますと、GRINMは(出資比率が)49パーセントということで、筆頭株主になるわけですから、彼らからすれば、まだこの会社は「中央企業」(中央政府が監督・管理する、国有企業)であるという属性です。

しかしながら、当社は(出資比率が)45パーセントでありながら、この会社の取締役会、言わば(中国における)董事会を支配しています。

なぜかと言いますと、この福建倉元という会社は、私の身内が100パーセント株式を所有しています。この(福建倉元と当社の)2社を合わせますと(出資比率が)51パーセントとなります。この会社の取締役会のメンバーは全部で5人ですが、当社からは3人を派遣しており、当然、私がこの会社の代表も兼務しています。

このことから、(BGRSは)当社の連結子会社になるということです。その下に、GRITEKという会社をぶら下げて、(BGRSおよびGRTTEK)ともに子会社化しております。

ここで、特筆してご説明したいことがございます。中国には約1,300万社の会社がございますが、そのうちの約2パーセントである約30万社が、中国の国有企業です。しかし、中国政府直轄の中央政府直属企業と言える会社は、88社しかございません。このGRINMは、中国企業の88社のうちの、77番目に位置しています。

そのような意味では、非常に貴重な存在というか、(GRINMは)特別扱いのような会社ですので、いろいろな意味で、さまざまな政府の優遇政策を受けることになります。

過去に日系企業として、このような中国企業の重要な事業で、マジョリティーを取った歴史はございません。1949年に中国共産党政権が誕生して以来、私の調べでは、このようなスキームはまずなかったのです。私は、これからも当社でなければ、このようなスキームが成立することはないだろうと思います。

プライムウェーハビジネスに進出

こちらのページで、今回の取引によって、どのようなメリットあるのかについて、ご説明したいと思います。私は、4つのメリットがあるのではないかと思います。

1つ目のメリットは、今回の取引により、中国からすると当社の属性は内資企業(中国の国内企業)となるので、中国での販売活動が、他の会社よりも有利になるということです。今のところ、中国政府は、内資企業からプライムウェーハを調達するときに、調達した会社に対して補助金を出しています。そのような意味では、我々は非常に有利になるということです。

2つ目のメリットは、中国半導体施策の恩恵を享受できることです。先ほど申し上げたように、GRINMという会社が「中国企業である」という属性からすれば、我々はその合弁事業であるプライムウェーハの、例えば工場の建設・土地の取得につきましても、政府から特別な扱いをしていただけますので、補助金を出していただけます。

3つ目のメリットです。当社はグローバルな会社ですので、世界のほぼすべてと言っていいほどのデバイスメーカーと、良い関係にございます。そのような意味で、今回の子会社のプライムウェーハを当社の販売網に載せることで、全世界のデバイスメーカーに販売することができます。

そして、4つ目のメリットです。(スライドの)左の工程を見ていただくとおわかりのとおり、(最初は)こちらのインゴット引上とスライシングです。これは、プライムウェーハを生産するときの流れです。ここを前工程と言っていますが、当社にはこの前工程の部分がございません。

この後工程の技術については、当社には約30年以上わたる見識があります。(この後工程で)当社の技術をもちまして、この合弁事業のプライムウェーハにも貢献できるのではないかと思います。

(技術を持たない)「前工程の部分に関しては、どうするの?」というお話があるかと思います。当社では日本国内において、すでに6名の技術者を確保して、登用も済んでいます。この6名の方を、すでに北京へ派遣しています。すでに200ミリメートルプライムウェーハの前工程の技術は確立しており、今後世界の競合ウェーハメーカーに追いつくよう、技術を確立してまいります。

BGRS及びGRITEKの事業計画の概要

今回の、BGRSおよびGRITEKの事業計画の概要について、ご説明したいと思います。数字はこの(スライドに記載の)とおりです。北京の生産拠点集約により、一時的な費用が発生するということで、2019年は一時的な減少により減収減益です。

しかし、その後このような(右肩上がりの)成長路線となっています。2021年までは当社の中期計画として、去年(2017年)の12月1日に公表しています。2022年・2023年に関しては見込みとして、こちら(のスライド)のような数字を開示します。

(中・長期的な経営方針のご説明で)先ほど順番を逆にしましたので、1番にお戻しします。当社の中・長期的な経営方針の1番目の、再生ウェーハ市場での当社のシェア拡大について、ご説明したいと思います。3つの項目があります。

1つ目は、生産キャパシティの拡大です。こちらは、後ほどデータをもってご説明します。

2つ目は、伸長する需要の取り込みです。半導体業界そのものが毎年数パーセントずつ成長していますので、当社も比例して、常にこのような需要を取り込んでいます。

そして3つ目は、潜在的な再生市場の開拓です。こちらも、データをもって説明します。

再生ウェーハビジネス(1.)

こちらのページですが、先ほど申し上げたトピックスの1番目(再生ウェーハ市場での当社のシェア拡大)です。

再生ウェーハのビジネスに関して、ご説明します。台湾と三本木の工場を合わせた、現在の12インチ(300ミリメートル)のウェーハの当社グループの生産能力は、毎月約30万枚です。これは、約3割の世界シェアを占めています。

当社は、この生産能力の世界シェアを約4割(に拡大する)という目標を、ずっと前から掲げてがんばっています。2018年度には、この4割という目標を、なんとしても実現したいと思います。

(目標達成のために)どのような方法あるかと言いますと、ボトルネックの解消や新規投資、あるいは業務提携・M&A等の手法がございます。なんとしても、今年中にこの4割(という目標)を実現したいと思って、今もがんばっています。

再生ウェーハビジネス(2.)

こちらは、潜在的なマーケットについてのご説明です。当社の技術的な優位性は2つございますが、今日はこちら(1つ目の「すべての膜を剥離可能」)に関して、時間の問題もありますので、割愛します。

2つ目を解説します。「金属不純物を除去」です。今までは、再生のマーケットでは、銅(金属不純物)の付いたシリコンウェーハは、なかなか再生に回ってきませんでした。どういうことかというと、(ウェーハは)銅汚染を嫌うということで、この業界では銅をなかなか除去できないという定説がございました。(そのため、従来は)銅の付いたシリコンウェーハは再生させず、廃棄していました。

しかし当社が、銅の付いた膜(ウェーハ表面)でもきれいに洗浄できる、特別な技術を開発しました。現在ではまだ少量ではございますが、あるお客さまに認定をしていただき、実績も積ませていただいています。プライムウェーハの出荷量は、毎月520万枚でございます。

この銅(の除去)の工程におきましては、約5パーセントの量があるという統計がございますので、全体的で言うと、約30万枚の銅(の除去)がございます。この約30万枚の銅が付着したシリコンウェーハは現在、再生には回されず廃棄されてしまっております。この銅の再生が認められれば、当社は独占的に、この約30万枚のマーケットを取りにいけるのではないかと思います。

RS Technologiesの目指す世界

こちらのページは、当社が目指す世界に向けて、これから力を入れたいことのご説明です。番号を振り、色で分けています。縦の軸は商品別です。上は商社機能の商品ですが、下はメーカーとして製造商品です。横の軸は地域別です。日本・アジア(中国以外)・中国・欧米に分けています。

①は、既存事業です。

②は、これから確実にやれる、我々のターゲットになる(地域拡大予定の)事業です。力を入れて(事業領域と販売地域を)取りにいきたいと思います。例えば、この8インチ(200ミリメートル)のプライムウェーハに関しては、中国ではすでに生産・販売ができています。中国以外のアジア・日本・欧米におきましても、これから力を入れて、販売できるようにしたいと思います。

そして、この12インチ(300ミリメートル)のプライムウェーハに関しても、我々の将来的なビジョンとして、早くやりたいなと思っています。半導体製造そのものに関しても、当社のビジョンとしてこれから力を入れて、できたら早い段階でやりたいなと思います。

代表取締役 方永義の強み

こちらのページは、私の自己紹介です。あらためてちょっとお時間をいただいて、紹介します。

私は(日本の)隣の国、中国の福建省という街で生まれました。おばあちゃんが福井県の出身ということもあって、日系3世です。そのような関係もございまして、小さいときからずっと、日本に対して強いあこがれがありました。高校を卒業した後にすぐ来日して、日本の大学、そして大学院で勉強しました。

平成10年(1998年)に日本の大学院を卒業して、同時に永輝商事という商社を立ち上げました。(それ以来)約20年にわたって、私はこの大好きな日本で、社長業をやってきました。過去20年間、日本国内外におきまして、約20社以上の投資を経験しています。とくにこの7年間で、日本の製造業に関して、約10社のM&Aをしました。

私は、日本のものづくりは世界一だという認識があります。我々の独自の発信文化によって、日本のすばらしいものづくりを、どんどん世界に発信していきたいと思います。そのような思いで、私は今、日々がんばっています。

私自身の統計ではございますが、日本のマーケットにおいて、東京証券取引所に上場している中国の出身の経営者は、約5人です。そのうちの3社は、一部上場しています。おかげさまで当社も、日本の一部上場の会社です。

そのような意味で、私の存在は、中国の中では非常に大きな存在になっているということです。中国の財界あるいは政治界が、けっこう熱い目線で見てくれています。いい意味では、私は日本と中国のいいインターフェイスになったのかなと思います。そのようなこともあって、先ほどお話ししたスキームが、成立できたのではないかなと思います。

2018年度見通し

ここからは、中期経営計画に関してのご説明です。こちらのページは、2018年度の見通しです。数字はこの(スライドに記載の)とおりです。

ここでとくに説明したいことは、利益率です。経常利益率・営業利益率で、前期よりもちょっと落ち込むところがあります。これは、再生事業よりもプライムウェーハ事業が、相対的に利益率が低いということがありますので、前期比と比べるとマイナスとなる見込みです。

中計(4か年)計画の概要

こちらは、4年間の中計です。数字はこの(スライドに記載の)とおりです。半導体そのものは、事業環境が非常に良いということもあり、当社の再生ウェーハのマーケットも非常に好調です。そのような意味で、当社の事業計画もそれなりになるかと思います。

設備投資計画、事業計画

設備投資計画に関してのご説明です。まず、北京につきまして、総額で約94億円の投資を予定しています。主な投資の目的は、200ミリメートルのプライムウェーハの生産・拡大です。現在(2018年時点)GRITEKという子会社では、200ミリメートルのプライムウェーハの生産は、月産約5万枚のみでございます。これを2021年には月産15万枚増やして、月産20万枚にするということです。

また、台湾につきましても、約7億円を投資する予定です。こちら(の投資の目的)は、300ミリメートルの再生ウェーハの生産(能力拡充)のみです。月産約3万枚の拡大です。

そして、日本の本社工場です。こちらは4億円をかけて、300ミリメートルの再生ウェーハ(生産能力拡充を行い)、月産約2万枚拡充したいと思います。

現在のRS Technologies

次は、業績動向についてです。(スライドの右側は)現在の当社のセグメント別の業績です。このように、再生ウェーハ事業が圧倒的に多く、全体に対して約8割を示しています。それ以外は商社機能で、半導体生産設備の買取・販売です。

2017年度決算概要

2017年度決算概要ということで、前期の実績はこのような数字となっています。先ほど申し上げたとおりで、今は半導体事業そのものが、非常に好調なわけです。業界におきましても、当社の事業環境が非常にいいということもあって、当社の事業は総じて、堅調に推移しています。

セグメント及び会社別動向

セグメントおよび会社別の動向に関しては、スライドのとおりですので、割愛します。

営業利益増減要因分析

こちらのページは、営業利益の増減要因の分析です。

こちら(スライド左端の棒グラフ)は2017年度の計画で、業績修正した後の数字です。こちら(スライド右端の棒グラフ)は2017年度の実績です。どうしてこのようになっているかと言いますと、(増減要因として)5つの項目があります。

1つ目は、在庫評価で約4,000万円の改善がありました。

2つ目は、売上増によるマージン率改善が、約2億円ありました。

3つ目は、製造原価の圧縮が、約1億3,000万円でした。

4つ目は、消耗材販売で、5,000万円の差がありました。

5つ目は、為替差益で約1億円の費用がありました。

(これら5つの要因により)このような結果になりました。

財務諸表

最後は財務諸表ですが、時間の関係もありますので、こちらも割愛します。

これをもちまして、当社の説明会を終了とさせていただきます。ありがとうございました。