サッポロホールディングス2017年12月 期末決算説明会
征矢真一氏:みなさん、おはようございます。サッポロホールディングス征矢です。朝早い時間から、お集まりいただきまして、ありがとうございます。早速ですけれども、2017年度の決算概況ならびに本年度(2018年12月期)の経営計画について、ご説明いたします。
2017年ハイライト①
まず、6ページです。売上高は5,515億円ということで、(対前期比)約100億円の増となりました。
営業利益は170億円ということで、32億円の減。経常利益は164億円で27億円の減。最終利益(当期純利益)が109億円ということで、こちらは一転しまして、15億円の増となります。
配当につきましては、(1株あたり)40円ということで、昨年(2016年)35億円から37億円に、2円増配しましたが、続きまして3円(の増配)ということに決めました。
こちらにつきましては、特別利益によって、当期利益が形成されているというところがあります。今回の特別利益につきましては、後ほど述べますが、私どもが財務目標で掲げています、資産の見直しの一環で出た利益ですので、それも含めまして、資産売却の部分も株主還元に回すということで考えました。
また従来、平成22年(2010年)が過去最高益、107億円ということがありましたので、この109億円というのは、私どもとしては過去最高(更新)ということになっています。
今年(2018年)の目標は、(当期純利益)111億円ということで、特別利益によらない、真の最高益を目指すということが本年の目標です。あくまでも、最終利益にこだわるということで、進めてまいりたいと思います。
金融負債残高につきましては2,208億円、こちらも中期の目標でありますD/Eレシオ1.0を向けて、(今期は)1.2ということですので、財務の方も順調に改善が進んでいると自負しています。
2017年ハイライト②
こちら(売上高)については、「トップラインの成長が続く」と書いてありますけれども、中でも、凸凹があった年であったと思います。「(サッポロ生ビール)黒ラベル」「ヱビス」等、主力製品はしっかり(売上を)伸ばせましたが、国際事業等で足踏みをしたというところがありました。
セグメント別売上高
それではセグメント別にご説明申し上げます。8ページです。
私どもとしては、全事業増収を目指しておりましたけれども、残念ながら、国内酒類事業のところが、わずかながら(売上高が)足りなかったという結果になっています。
こちらについては次のページでご説明しますが、昨年、サッポロエンジニアリングという、国内酒類事業の派生事業として行っていた事業をやめまして、こちらの(マイナス)影響が13億円ほどあったということです。
本業と言いますか、ビール本体の売上は増収ですので、全体ではなんとか増収基調を保てたのかなと思っております。
売上高増益の主な要因
9ページで、(売上高の)内訳を事業ごとに、左から記載しています。
国内酒類事業は7億円の減益ということですけれども、ビールの増収に対して、課題が残っている新ジャンル・発泡酒の減収が、それ以上に落ち込んだということです。
「多層化」と私どもが言っている、ワイン・洋酒・RTD等を含めた、こちらが29億円ほど増収ということがありましたので、なんとかウイングを広げているということでは、勢いは取れているかと思っていますが、まず、新ジャンルへのテコ入れが今年(2018年12月期)の課題になります。
2つ目が国際事業です。こちらは44億円の増収ということで、この中で為替要因が、北米酒類・北米飲料で27億円ほどあります。加えて、第4四半期から連結に入りましたアンカー社(アメリカ)の売上が8億円ですので、合わせてだいたい35億円くらいが非経常的なもので上がってきたということです。
中身だけで言えば、10億円の増収ということになります。これを引っ張ったのは従来からのSleeman Breweries、SAPPORO USAの北米酒類ならびに韓国をはじめとする輸出の売上増が大きく貢献しています。
3つ目のセグメント、食品・飲料事業ですけれども、こちらは国内食品・飲食が売上を落としております。私どもが注力しているレモン・スープ・茶系飲料が大きく増収になっていますが、一方、自販機、とくに缶コーヒーの売上が非常に悪いと。こちらが(対前期比売上で)90パーセントを割っていますので、この影響があって、トータルでは100というのをカバーしきれなかった(対前期比で増収にならなかった)ということになっています。
海外飲料につきましては、4億円の増収になっていますが、このうち為替要因6億円が押し上げ要因になっていますので、実質としては減収ということです。
外食事業ですけれども、10億円の増収ということで、こちらも一昨年、連結に加わりましたマルシンカワムラ社、こちらのよるところが8億円ということで、既存店は2億円の増収です。外食については非常に厳しい環境下にあるわけですけれども、その中でも既存店はなんとか踏ん張ったかなというところです。
「恵比寿ガーデンプレイス」をはじめとした不動産事業につきましては12億円の増収ということで、こちらは一昨年、開業いたしました「銀座プレイス」が本稼働いたしまして、ほぼこれによるものが増収要因になります。
その他のセグメントでは、宮坂醸造から名前を変えました神州一味噌株式会社、こちらの新規連結によるものが(増収要因として)大きいというところです。
セグメント別営業利益
次に営業利益になります。
(連結)営業利益は170億円、32億円の減益ということで、我々としては不本意な結果に終わっています。
この中でも、国際事業、あとは食品・飲料事業に入るアジアの飲料事業、こちらのマイナスが大きかったということです。
全社の費用も大きく増えていますけれども、これは私どもとして経営基盤構築と、R&Dを含めたことを当初から予定していましたので、10億円の減益要因というのは覚悟はあったのですが、国際事業、食品・飲料事業のところが想定どおり進まなかった結果、32億円の減益となりました。
営業利益増減の主な要因
次の11ページに、また事業別に(増減要因を)書いてあります。
先ほどの売上の状況と似ているのですが、ビールで押し上げた分を、発泡酒・新ジャンルが吐き出してしまっているというところです。ただ、「品種構成/ノンアル/RTD/製造原価他」と書いてありますが、この17億円の増益要因の中で、ノンアルとRTDで約10億円、製造原価等のコスト削減が効きまして、これが11億円。その他運搬費等の高騰がありまして、マイナス5億円ということで、ネットで17億円ということになっています。
販売費、その他の固定費につきまして、販促費は昨年(2017年)年初に「ヱビス」の新しい顧客獲得を狙って、「ヱビス 華みやび」というものを出しています。ビールとしては販促費を対前年で約10億円ほど多く見ていましたが、条件の見直し等も含めまして、販促費は前年並みに抑えたということになっています。 マイナス要因としては人件費等が、この6億円(の減益)の内訳となります。
ワイン・スピリッツ、(商品の)多層化としては、数量増によって、7億円の増益が図れました。
一方、国際事業は、売上数量等で12億円の減益と書いてありますが、この大部分、これを上回る額が、SSC(シルバースプリングシトラス)社による減益要因となります。こちらがだいたい17億円の減益ということで、大きくマイナス要因となっています。ですので、他のもの、Sleeman Breweries、SAPPORO USAの北米酒類、輸出等、お酒の部分につきましては約5億円の増益にもってこれたということです。
ただ、アンカー社の買収がありまして、取得費用ならびに初年度ののれん焼却等が、(北米他 固定費他)11億円の減益のうち、約7億円ほど費用として掛かっています。
ベトナムにつきましては、今構造改革中ですけれども、売上はマイナスですが、マーケティング等の固定費の改善ということで、2億円の増益です。ようやく(売上高が)マイナスの中ですけれども、マイナス幅を減らすステージに入れたと思っております。
次に食品・飲料事業です。こちらは国内の売上は、缶コーヒー(の減収)もあって、厳しかったと申し上げましたけれども、私どもの利益商材であるレモン・茶系飲料、この辺りが非常に貢献をして、品種構成ならびに一昨年(2016年)、群馬工場に遅ればせながらアセプラインを入れまして、製造コストの減が7億円ほどあったということで、利益的には、ここは非常に貢献度が高かったということになります。
一方で、販促費が5億円ほど増えていますけれども、この内訳は、自販機のコラム(補充棚)、ならびに宣伝費の追加ということになります。
次の8億円の減、これが今、環境的に非常に苦しいところに立たされているところですが、運搬費がこの8億円のだいたい半分、それと業績が上がっていますので、人件費等の増が4億円ということで(合わせて)8億円の減益要因(となっています)。
ここまでは私どもの意図するところとかなり近く動いたのですが、「海外/外食」と書いてあるところ、こちらがアジアの飲料ですが、10億円のうち約8億円が、売上数量の減ならびに販促費の高騰等で採算が悪化したということになります。残りの2億円強は昨年(2017年)春にスタートしましたインドネシアの事業の立ち上げ費用を掛けていますので、これが約3億円くらいです。これにはついては今年、果実を採っていくということで進めています。
最後に不動産事業のところになりますが、「恵比寿ガーデンプレイス」は堅調に賃料の改定等、進めているんですけれども、大きくは「銀座プレイス」の増益要因が大きいということです。「恵比寿ガーデンプレイス」につきましては、賃料改定によって進んでいる増益部分はあるのですが、一方、環境下で働き方改革というものがありまして、オフィスの派生収入と言いますか、水道・高熱費などがけっこう絞られています。
要するに、みなさんがオフィスに居る時間が少ない。これは不動産業として、共通した課題になってきていると思いますが、この辺りの影響が多少あって、これは1億円ぐらいですけれども、そのような影響で「恵比寿ガーデンプレイス」事業としては(営業利益)ゼロということになっています。
それと、「経営基盤構築費」と書いてありますが、R&Dの資源研究費と言いますか、研究開発費を増やしました。また、全国に散らばっている拠点をグループとしてすべて統一するということで、すべて同じ事務所に統合をかけています。その再編費用と、グローバルな基盤整備ということで、IT関係の構築費を昨年は積極的に投下して、これがプラスの10億円ということですので、コスト増の減益となっています。
国内酒類事業①
事業別の明細になります。国内酒類事業は、何をもっても、お客様に一番見えているブランドの「缶」のところ、これが「サッポロ生ビール 黒ラベル」は二桁(パーセント)増を続けてきています。
「ヱビス」(ブランド)につきましては、昨年、プレミアムゾーンが業界として厳しい結果、伸びが大きくないという状況の中で、新たな顧客層を獲って、缶としての伸びをしっかり達成できたということです。
一方、その右側にありますRTD、これは2011年から書いてありますけれども、私どもが構成比を大きく上げてきているところです。これが(対2011年比で)倍近く、450億円規模になってきたということで、我々としても、ビールを伸ばしつつ、RTDのところをいかに(売上を)上げて、収益性の高い商品で戦っていくかということが、今後の課題になっています。(RTD)の構成比は(多層化合計売上金額の)約16パーセントとなります。
国内酒類事業②
こちらに、大きく3つ掲げているテーマの進捗を示しています。
(スライド)真ん中に「進捗は順調」とOKマークが付いていますけれども、ビールとしては厳しい環境にありながらも、私どものやれることができていると思っています。この一番下で「麦とホップ」のブランド、こちらの底上げ、(売上を)下げないということが課題です。
ファインワイン等を含めた売上高の拡大と多層化の推進につきましても、それぞれ進んでいると思います。ただ、ワインにつきましては低価格のところと、価格帯の高いところの二層化がだんだん激しくなってきていますので、我々としても、ファインワインの強化とともに、ボリュームゾーンであるカジュアルなところも、しっかり数量としては獲っていくということが課題になってきます。
成長に向けた取り組みとしては、ECチャネルを意識していますし、(単に)クラフト(ビール)をやろうということよりも、我々としては新しい価値を提供するビールを次々と出していきたいということで、クラフトビールの新ブランドや「フォトビー」など小さなジャンルではありますが、このような個性的な取り組みを進めているところです。
国際事業①
国際事業ですけれども、「SLEEMAN」「SAPPORO」ブランドは順調に(売上を)伸ばしているところですが、「SSC(Silver Spring Citrus)」は(スライド)右側に書いてあるとおり、2015年は変則決算をしたので一見増収に見えていますが、ここは15ヶ月決算でしたので、2013年以来マイナストレンドに入ってしまっています。
国際事業②
ここはとくにオレンジジュース、ストレート果汁の消費がアメリカの中で非常にマイナスに動いてきていると。その一方、原料(価格)がハリケーンの影響などで高騰している、商売環境としては、今よくないところで戦っているというところです。我々のキャッチアップがしっかりとできていなかったことが反省点です。
ですから、売上数量を落とした以上に、製造原価の悪化を招いて、利益の減が大きくなったということで、今般、ここにつきましては2社ある飲料会社を統合して、管理コストを下げ、マネジメントの体制を一本化して、変えていくということで今、取り組みを開始しているところです。
ベトナムは引き続き構造改革中ということで、昨年にはじめましたアメリカ向け製品の製造移管があります。これが昨年度で、まだスタートですので、(売上が)だいたい2億円ぐらいですけれども、今年のベースでいきますと、だいたい12億円ぐらいまで規模を拡大できるかなということで、これはグループ全体のSCMの見直しによる効果を、しっかりベトナムで取っていきたいと。
そこで体力をつけて、やはり、国内事業ならびに周辺の輸出事業をしっかりやっていくという方向性で構造改革をしているところです。
その他アジアは簡単に付記していますが、韓国の売上が(前期比)196パーセントと、日本の品質の高いビールが非常に好まれているということで、日本からの輸出(が増えている)、これは日本側の製造のコストにも貢献していますので、我々としては引き続き積極的な活動を続けていきたいと考えております。
食品・飲料事業①
「国内の主力ブランド」と書いてあります、食品・飲料です。こちらは何度も説明しているとおりです。
課題感のある(スライド)右側です。売上高がずっと上昇局面で来ていた、シンガポールを中心としたアジア事業はここ10年くらい伸ばしてきたのですが、初めて減収ゾーンに入ってきたということです。
これについては、シンガポール国内の非常にコモディティな商品の消費が減退しているという影響も受けたり、周辺諸国の砂糖税の導入、それと我々が基盤としている中東の売上の中で、UAEの物品税の増税等で、非常に環境がよろしくない状況で戦っていまして、これらが原因で10億円の減益をつくったということになっています。
食品・飲料事業②
こちら(海外飲料)については、一番右側に「抜本的な見直しに取り組む」と書いてありますが、各国の税制、規制への対応ということで、商品ならびに価格戦略をもう一度組み直しているところです。
もう1つは、やはり健康ニーズです。こちらも商品において、従来の砂糖入りの甘いものではなく、日本の技術を含めて、そのような甘さを出した、糖類のない商品の開発・投入を急いているところです。
レモン・スープにつきましては、引き続き、我々が行なってきたことをやっていきます。
大豆につきましては、今、豆乳ヨーグルトを扱っています。これはまだ21億円規模ということですけれども、非常に健康志向にも乗って、市場としては拡大基調にあるということです。我々としては今、3SKUしか持っていないのですけれども、 製造の改革等も含めて、もう少しSKUをしっかり増やして、こちらを基盤事業として育成したいと考えているところです。
外食事業①
外食事業につきましては、大きく、課題としては人件費の高騰です。採用難、だんだん人が採れないという状況もある中での高騰ということですので、ここは全体で0.6パーセント人件費(比率)が悪化したということで、収益で言いますと、だいたい2億円くらいの影響度があります。
ですので、ここをなんとか抑えていくということと、今までのように店舗を増やして飲食業を拡大していくという外食ビジネスのモデルが大きく変わっている中で、我々としては自社物件を含めた、基盤のある店舗に集中化をして、このようなところのコスト削減に取り組んでいくということを考えています。
外食事業②
シンガポールでは同じく外食事業を行なっているのですが、こちらも厳しいということで、昨年も不採算店舗を2店舗ほど閉鎖をしています。もう一度、海外での外食事業の見直しに取り組みたいと思っています。
不動産事業①
不動産事業につきましては、我々としては、「酒」「食」「飲」に集中し、ブランドをしっかり支える事業として、キャッシュの創出に期待するという事業です。これは恵比寿、札幌、銀座といった旗艦の物件がしっかり成長していると、EBITDAをベンチマークとしておりまして、これを達成できた一年でした。
不動産事業②
こちらのページにも書いてありますが、(不動産事業は)順調だと思っております。
ただ今後、首都圏における(飲食店)供給過剰の問題、北海道は逆にインバウンドを含めて、不動産価値が上がってきている局面ですけれども、必ずしもそのような晴れの環境が続かないという前提で、ポートフォリオの組み換え等も含めて、我々は探っていきたいと思っています。
決算特殊要因
決算に関する特殊要因の説明が22ページにございます。
為替については全体で33億円(国際事業27億円、食品・飲食偉業6億円)、円安で売上高に影響を及ぼしています。
また、新規連結により、合計(国際偉業・外食事業・その他で)56億円の増収がありました。
特別損益等の概要
特別損益のご説明になりますが、こちらは固定資産売却益のところで、大阪の物件の売却。これは恵比寿、札幌、銀座に集中するということで、その他のエリアは、その集中化に向かうということの一環になります。
政策保有株式につきましては、キャッシュベースで82億円、利益ベースで48億円という成果が上げられています。これはCGコードの背景はありつつも、我々としては金融負債の圧縮という大目標の中で、かなり大胆に関係先さまにお願いをして、踏み込ませていただいたところの成果になります。
あと、減損損失の27億円の増というのは、ベトナムのロンアン工場の建物・機械装置等の減損を行いました。これについては、従来から課題があり、今回特別利益によってカバーできるというタイミングで、構造改革でもっと弾みをつけたいということで減損に踏み切っております。
法人税等・非支配株主損益のところですけれども、これについては税金で81億円、被支配株主持分でプラス13億円ということになっています。これは北米の飲料メーカー、SSCが豊田通商さんとの合弁になっていますので、営業利益では100%マイナスの方の計上に対して、持分比率の戻りが、最終利益の前に13億円ほど計上されているということになります。
従いまして、当期純利益が109億円ということになりました。
貸借対照表の状況
B/S等は、時間の関係で省略いたします。
財務の状況
投資のところです。
中期(計画)で営業キャッシュ・フローが1,800億円、それと1,300億円の投資をしっかりやっていくという中で、昨年度(2017年12月期)の投資は365億円ということで、「酒」「食」「飲」の基盤強化、「恵比寿ガーデンプレイス」のバリューアップ、グループのインフラの最適化、大型(投資)ではアメリカのアンカー社の買収と、投資の内訳が成り立っています。
グループ経営基盤の変革
27ページは基盤強化についてですが、こちらは第3四半期の説明会で申し上げたとおりの施策で進めているという段階です。
(28ページ)以下、諸々の施策について掲げております。