上期決算概要:連結損益計算書
本間英明氏:上期の決算概要です。資料を見ていただければと思いますが、予算対比では(売上高の進捗率が)49.8パーセント、(経常利益の進捗率が)56.7パーセントということで、順調に推移をしています。借り換えが非常に強かったので、これが落ち込むのではないかと想定していました。
この想定で、相続の不動産オークションを1年間かけてやってきました。我々としては、借り換えが落ちてくるスピード感・不動産オークションが伸び上がってくるスピード感が、計画どおりだったなという上期の見方をしています。下期にも、順調に数字を積み上げていけると考えています。
上期決算概要:セグメント別 売上高/売上総利益
セグメントについては、いつも申し上げるように、売上は(エスクロー対BPOで)6対4ぐらいの割合です。新しい金融機関さんが増えますと、やはりBPOの売上が上がります。でも、実は売上が上がっても、粗利に対する寄与は反対なんです。BPO(の売上総利益)は4割ぐらいです。「だったらエスクローサービスだけやればいいじゃないか」と言われるかもしれませんが、我々の取引は1セットになっていますので、切り離せません。
ですので、BPOは、目標としては4割ぐらいまでに下げていこうと。新しい金融機関からBPOが入りますと、2年間で合理化が進みます。要するに、人が減ってくるという意味です。つまり、案件が減ると余剰人員が減る。ですから、BPOについては、比較的変動します。
ただ、我々の仕事は、このビジネスプロセスのアウトソーシングではありません。そういう意味では、ここで言う(セグメント別売上高構成)比率の、BPOが57.4パーセントで、60パーセント以内に入っている。また、エスクローサービスが37.1パーセントになっている。
そして粗利が、BPOが34.9パーセント、エスクローが60パーセント。これは、一応計画どおりということです。そして、不動産オークションが寄与してきたところであります。
上期決算概要:営業利益増減分析
続きまして、営業利益の増減についてご説明します。売上総利益が上がり、人件費も上がりました。このあたり(の要因)は、積極的な子会社化、またはM&Aを含めて事業拡大を進めてきたこと。そのために、人件費が増えています。
また、会社の移転をしましたので、一般経費(が減少しています)。このあたりは、とにかく損益分岐額がどこまで可能であるかという挑戦をしていこうということで、削減しています。そういう意味では一般経費も下げたということで、きちんと進めてやってきたところであります。
上期決算概要:市場シェア
(上期決算概要の)最後になりますけれども、これが上期決算の(市場)シェアということです。(登記の)抹消と抵当権の設定が、約110万件ございます。
取引は、だいたい1,000万件あります。私どもは(そのうちの)1パーセントほどしかやっていない。この1パーセントから、どうやってシェアを広げていくかということを、これから考えていきます。
とりあえず今は、この小さな抵当権の設定と(登記の)抹消。銀行が持っている設定・借り換え等といったものの中では、着実にシェアを広げてきた半期だったかなと思っています。
通期業績見通し:連結損益計算書
通期の業績については、売上高が前年比で122.3パーセント、経常利益が前年比で133.4パーセント。当初予算を据え置いています。
通期業績見通し:下期業績見通し
下期の見通しについては、売上高が120.2パーセント、経常利益が114.6パーセントの前年伸長です。手堅く見ていこうということで、ここの計画については変えておりません。
下期は、具体的な新規取引先のサービスがどんどん始まってきます。これは期ズレというわけではないのですけれども、ようやく、大手からいろいろな相談・連携が入ってきています。
Fintechを使った、人を介さない決済をしたいと。これは、機械だけでは絶対にできませんので、我々と連携しようということでお話をいただいています。このあたりの新規取引先の伸びが、予定どおり売上・売上総利益に貢献するという見通しであります。
通期業績見通し:現中期経営計画の基本方針
これは、いつも出している我々の中期の目標の話ですので、割愛します。
通期業績見通し:下期重点施策
下期重点施策について、ご説明します。
(戦略①の)BPOとしては、これから少し新規のお客さまが増えるという意味では、その要素はあります。増える要素はあるのですけれども、やはり各金融機関は、なかなか収益性が悪いものです。
例えば、消費税や派遣法の改正があるもので、内製化をしようと(いう動きがあります)。もしくは、自行の高齢者の方の再雇用をしようという動きもあります。
BPOについては、我々も粗利率があまり高くありません。比較的競合が多い、もしくはロボットとかAIで置き換わるような業務。または提携型で、普通の派遣会社が十分できる業務。こういうものから撤退して、あくまでも取引をきちんとやっていこうと考えています。
(その手段として)いちばん大きいところは、横浜に作ったオペレーションセンターです。我々は事務の塊ですので、(差別化できるような)特別なことがないんです。ですから、誰がやっても同じようにできるんです。
でも、大量の案件をやるとなると、時間のかかること。これがやはり、大きな差別化(ができる部分)です。
また、先ほど申し上げた、「投資と回収の輪を大きくする」という意味では、自己資本を蓄えなければいけません。
ただ、自己資本を蓄えているだけでは意味がありませんので、自己資本を使ったオペレーションセンターや、ワンパッケージの商品開発をする。当然これには、M&Aや合弁も入ってまいります。
そしてやはり、我々にとって、「働きがいのある職場」という意味では、働く職員が非常に重要なファクターです。働きやすい職場環境を作っていこうというところが、BPOで今考えていることです。
(BPOサービス分野の拡張について)全体でいろいろ申し上げましたけれど、まず横浜のオペレーションセンターをきっちり作っていこうというのが、(戦略の)1点目です。
(戦略の)2点目としては、「H’OURS」という(非対面決済サービス)。今年PRさせていただきました。このH’OURSの機能拡充に向けた開発が、今最終ラウンドに入っています。(上昇トレンドにある分野の)金融機関または不動産業界といったところに、H’OURSを販売していこうと考えています。
そして、専門家によるワンパッケージ(サービスの開発)。今までは司法書士の(抵当権の)設定と(登記の)抹消だけだったのですけれども、これからは、例えば移転や相続等の取引に関わる、専門家の範囲を広げていこうと考えています。そして、広げた専門家からシステムを利用していただこうという意味で、この商品の拡充をしています。これが、中央グループでやっている流れの一環です。
そして、今月(2017年10月)の初めにPRをさせていただいた、不動産登記情報を基軸とした、不動産データサービス事業を始めます。これはアメリカのリマイン社(との合意に基づいたものです)。我々が見本にしているアメリカのエスクロー・タイトル社の子会社である、データサービス会社です。
そこでやっているモデルを、帰納法ではないのですけれど、それをきちんと日本に持ってこようということです。米国でやっている、そのレコーディングシステムのデータ解析。このようなものを、日本版に置き換えていこうというような開発をやっています。
(戦略としては)最後の3点目がいちばん大きいです。3つの柱で考えています。
まず、「業務効率化、相続分野(にて大手金融機関、大手不動産会社への営業推進を加速)」ということ。金融機関においては、ネット取引等の非対面取引が非常に重要な課題です。または、相続です。こういったものに対して、大手金融機関からいろいろな相談がきています。この大手金融機関さまとの連携をしっかり作っていこうというのが、この下半期の第一の目標です。
同じように不動産会社も、中古住宅の流通の中で、非常に決済が大変になっています。労働コンプライアンスもあり、社員の方が遅くまで残って取引決済事務をすることができないという事情もあります。
「これを、H’OURSを使って合理化できないか?」というような相談がきています。そういう意味では(取引先は)どちらかと言うと、今まではネット系・ベンチャー系が多かったんです。しかし下半期は、大手金融機関・大手不動産事業者との商品構成の作り込みというところを、やっていこうと考えています。
(柱の)2つ目が、税理士/会計事務所向け支援サービス(の拡大・普及)。先生方から、非常にご支援をいただいています。税理士向けのサービスを強化していこうということで、1つのユニットモデルができました。これを、関東もしくは大都市圏に向けて展開していこうと考えています。
そして最後(専門家支援メニューの拡充によるユニットモデルの展開)。中央グループ(を子会社化した)と申し上げましたが、司法書士の設定・抹消だけではなくて、移転・相続・測量・鑑定といった、取引に関わる専門家のメニューを今開発しています。間もなくできあがってまいりますし、実証実験も始まるところなんですけれども。
新しいサービスの中で、開発をしていきます。それを利用する方々が、今までは司法書士の方々だけだったのですが、今度は他の専門家の方々にもご利用いただこうと考えています。そのようにこの(新規取引先の)拡大を3点絞っているというのが、下期の流れでございます。
通期業績見通し:配当方針
配当方針です。基本的には、継続的に配当していくことについては、変わりはありません。会社もだんだん成長しています。配当について、できるだけ株主の方々に期待に添えるようなかたちで実施していこうという考え方は、従来と変わっていません。