2017年度中間決算説明会
馬場信輔氏:本日はお忙しい中、あおぞら銀行の2017年度中間決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。
本日はまず私から2017年度中間期の当行の取組みと成果についてご説明し、CFOの関澤より2017年度中間決算についてご説明いたします。
市場環境/経営環境
3ページをご覧ください。2017年度上期の市場環境は、世界的には潜在的な地政学リスクを抱えながらも、世界経済は緩やかな拡大が続き、欧米市場においては金融緩和政策の転化に向けた動きが進みつつあります。
一方、国内では低金利環境が継続し、貸出や有価証券運用に対して影響を及ぼす難しい経営環境が続いています。
米ドル金利については、FRBの政策を受け、LIBORなど市場金利が上昇しました。米ドル調達に係る円投プレミアムについては、引き続き動向を注視していますあ、上期は落ち着いた動きとなっています。
また、日経平均株価はご承知のとおり、この夏以降基本的には上昇基調にありますが、足元では調整局面を迎える等、一部不安定な動きも出始めています。
2017年度中間期の総括
このような環境下、当行はリスクリターンを重視した規律あるバランスシート運営を継続するとともに、ビジネスモデルの6つの柱をさらに強化することにより、収益源の多様化を進めてまいりました。
結果、粗利益の内訳はグラフでご覧のとおり、国内外の資金利益および非資金利益のバランスの取れた構成となっています。
当行の単体ベースの非資金利益率は、約40パーセントを超える水準で、大手行の単体ベースの構成比平均と比較しても、やや高い水準となっています。
このような収益源の多様化の取組みの結果、本中間期の親会社株主純利益は、通期予想に対して54パーセントと順調な進捗となっています。
先々見通しづらい外部環境の中にあっても、まずは今期の収益目標をしっかり達成するとともに、今後とも継続的に安定的な収益計上を目指してまいります。
2017年度中間期の取組みと結果
2017年度中間期の取組みと成果をご説明いたします。
リテール業務については、引き続き影響担当者の増強と、質の向上を図るとともに、シニアのお客さまの資産状況、取引経験やニーズを踏まえた商品ラインナップの拡充を進め、お客さま本位の業務運営に努めています。こうした取組みの結果、投資性商品の預かり残高は着実に増加しています。
金融法人業務については、低金利環境下の運用ニーズから、デリバティブ内蔵商品の販売額については、とくに好調であった前年同期比で減少したものの、引き続き堅調に推移しています。
グラフでご覧のとおり、お取引いただく金融機関の裾野も着実に広がっています。加えて、当行は地域金融機関とのネットワークを生かし、幅広い分野で協同をしています。あおぞら債権回収の再生ファンドを活用した事業再生・地域創世への貢献もその1つです。
一例として、この10月には当行グループが設立した中小事業者パートナーファンドの東北銀行さまのご利用が決まり、同ファンドへの参加金融機関は8行となっています。
2017年度中間期の取組みと結果(2)
企業ファイナンスにおいては、アジアの有力銀行との提携ネットワークを活用したクロスボーダーM&A業務の拡充を図っています。
また事業法人の経営承継ニーズやヘッジニーズに対応した課題解決型営業の深掘りに努めています。本年8月には、M&Aを活用した事業承継支援のための子会社ABNアドバイザーズを開業し、地域金融機関と連携して地方の中小企業の事業承継問題等への取組みを開始しています。
スペシャルティファイナンス業務においても、クレジットサイクルを見極めた再生ファイナンス案件や、不良債権投資の推進により、引き続き安定的な収益確保を図っています。
国際業績は引き続き順調に推移しています。北米を中心とした良質なコーポレート、不動産ノンリコースローンを選択的に取り上げた結果、残高は3月末比、約700億円増加し、9,400億円となっています。
また、マーケット業務では資産効率を重視し、リスク分散が効いた投資ポートフォリオの構築により、安定的な利息収入の確保を図っています。今後ともマーケットの状況を見極めながら、慎重なポートフォリオ運営を行ってまいります。
2017年度中間期の取組みと結果(3)
左のグラフは、国債等債券損益を除くトップライン粗利益のビジネス部門別の推移をお示ししています。
ご覧のとおり、各ビジネス部門で若干の増減はあるものの、相互補完により銀行全体では、おおむね半期で410億円から420億円の水準で安定的に推移しています。
以上のビジネスモデルの6つの柱に加えて、当行は将来に向けた経営基盤強化に取り組んでいます。
本年5月には、四ツ谷の上智大学キャンパス内の新築ビルに本社を移転し、業務継続体制の強化を図るとともに、働き方改革、ビジネスプロセスの改革を推進しています。
また9月からは、上智大学との共同研究によるシニア層の消費動向指数の発表や、連携講座の開講などの取組みも開始しています。
FinTechへの取組みについては「GMOあおぞらネット銀行」の来年7月からの開業に向けて準備を進めています。eコマース市場における中小企業・小規模事業者にフォーカスをした利便性の高いサービス提供からのスタートを念頭においています。
加えて、行内に専門チームを立ち上げて、リテール事業の諸手続きに係るぺーパーレス化の推進等、お客さまの利便性向上を図る取組みを進めています。
株主・投資家層の裾野拡大
最後に当行を支える株主の状況についてご説明をさせていただきます。本年9月末の株主構成は、左上のパイチャートのとおりです。引き続き、個人株主・海外機関投資家・国内金融機関のバランスの取れた構成となっています。
また、株主・投資家の裾野の観点から、機関投資家向けに加えて、個人投資家向けIR活動も積極的に行っています。個人の株主数は約7万3,000人と、この2年半で1万5,000人ほど増加しています。
当行は、今後とも安定的な収益力と、健全な財務を維持しつつ、経営基盤の強化を図ることにより、企業価値の向上を目指し、株主のみなさまのご期待に答えてまいりたいと存じます。私からの発表は以上です。ありがとうございました。
決算ハイライト
関澤行雄氏:どうぞよろしくお願いいたします。それでは、2017年度の中間決算についてご説明いたします。まずは決算ハイライトです。今回の決算のポイントについては、こちらのページに記載のとおりです。さっそく内容の説明に入らせていただきたいと思います。
損益:概要
概要をご覧ください。金融機関にとっては大変難しい業務環境が続いているわけですけれども、当中間期のボトムラインの親会社株主純利益232億円、業績予想430億円に対して約54パーセントの進捗ということで、まずは堅調に推移しています。
トップラインの粗利益については、前年同期比23億円減少の440億円、経費はインターネット銀行事業プロジェクト、その他注力分野における人員増強等により、前年同期比5億円増加の227億円ということで、実質業務純益は213億円となっています。
与信関連費用については、当期も引き続き保守的な引当方針をとっていますけれども、第1四半期に大口の不良債権の回収等により、個別引当金の戻入益が計上されました。
上期トータルでは54億円の益となっているほか、株式等関連損益で41億円の利益を計上して、経常利益、税引前当期純利益は304億円となっています。
法人税等については、74億円の費用となりまして、冒頭でお話ししたとおり、ボトムラインの親会社株主純利益は前年同期比27億円減少の232億円、通期業績予想430億円に対する進捗率が53.9パーセントとなっています。
損益:連結粗利益
連結粗利益の内訳です。粗利益440億円のうち、資金利益については前年同期比26億円増加して250億円、非資金利益は特定取引利益および国債等債券損益が減少したことにより、前年同期比48億円減少の191億円となっています。
損益:連結粗利益 - 資金利益 -
資金利益の内訳をご説明いたします。
資金利益をグロースでご覧いただきますと、運用サイドの資金運用収益については、平均残高が増加したことに加えて、資金運用利回りも上昇しているということで、前年同期比69億円の増加となっています。
調達サイドについては、預金や債券等の円貨の調達に係る費用は減少する一方で、米ドルの市場金利上昇の影響もあり、資金調達費用全体では前年同期比43億円の増加となりました。ネットの資金利益は、前年同期比26億円増加の250億円です。
下段は資金粗利鞘の表ですけれども、運用サイドについては規律あるバランスシート運営を継続しており、貸出金利回り、有価証券利回りともに前年同期比上昇、資金運用利回りは前年同期比0.27パーセントの上昇ということです。
資金調達利回りについては、表には記載しておりませんけれども、円の調達に関する調達利回りは引き続き低下している一方で、米ドルの市場金利上昇の影響もあり、全体では前年同期比0.20パーセントの上昇となりました。資金粗利鞘は前年同期比0.07ポイントの改善で、1.34パーセントということです。
引き続き、私どもの中期KPI目標においている1.20パーセントを上回る水準を確保しています。
損益:連結粗利益 - 役務取引等利益・特例取引利益 -
非資金利益の内訳です。役務取引等利益については、貸出関連手数料および投信・保険の販売にかかわる手数料がともに増加したことなどにより、前年同期比9億円増加の58億円となっています。
特定取引利益は76億円、前年同期比では25億円の減少となっていますけれども、これは金融法人向けのデリバティブ内蔵商品の販売が、前年同期は極めて好調であったということで、そちらの反動で減少しているものです。先ほど馬場からも少し話がありましたけれども、金融法人向けのデリバティブ内蔵商品の販売は引き続き堅調に推移しています。
前年度に比べれば減少はしていますけれども、引き続き高い水準を維持しているということです。
また、右のグラフは個人のお客さまへの投資性商品の販売にかかわる収益の推移を示しているものですけれども、当中間期は投信、仕組債の販売が順調に推移したということで、全体では前年同期を9億円上回る36億円の実績となっています。
損益:連結粗利益 - その他業務利益-
その他の業務利益のうち、国債等債券損益については、この上期は外国債券や外貨ETFの売却益の計上等により、16億円の利益となっています。
国債等債券損益を除くその他の業務利益は41億円の利益ということで、このうち資料に記載している組合出資損益については、不動産関連が好調であったことに加えて、不良債権関連についても引き続き堅調に推移しており、前年同期並みの41億円の利益となっています。
以上の結果、粗利益は440億円です。
損益:経費
経費についてはこちらに記載のとおり、前年同期比5億円増の227億円ですけれども、インターネット銀行事業プロジェクト、その他注力分野における人員増強等により、人件費が前年同期比8億円増加したということが主な要因です。
ただ、経費そのものは増加していますけれども、引き続き厳格にコントロールしており、わたくしども今年度期初の予算は年間で460億円ということで設定していますので、予算に対する進捗率は49.3パーセント、おおむね計画どおりの進捗となっています。
OHR、経費率については、今年度計画では50パーセントを想定していたのですけれども、先ほどお話ししたように、粗利益の進捗が計画のラップ50パーセントに届いていませんので、上期のOHRについては目標の50パーセントを若干上回って、51.6パーセントとなっています。
損益:与信関連費用
与信関連費用です。引き続き保守的な引当方針をとっていますけれども、先ほども申し上げたとおり、第1四半期の大口不良債権の回収による個別引当金の取崩、戻入益の計上に加えて、第2四半期についても8億円と若干の利益となり、上期トータルでは54億円の利益となっています。
貸出金全体に対する貸倒引当金の比率は1.78パーセントということで、若干低下してきていますけれども、引き続き高い水準を維持しています。
金融再生法開示債権については、2017年の3月末から88億円減少して41億円、開示債権比率は0.35ポイント低下して、0.15パーセントと極めて低い水準となっています。
バランスシート:概要
バランスシートについてご説明いたします。資料18ページがバランスシート全体の概要です。
バランスシート:調達
まず調達の状況です。預金および債権、社債を合計したコア調達額については、3月末に比べて494億円増加して、約3兆1,500億円となっています。
このうち個人のお客さまからの調達のコア調達に占める割合については、60パーセントを若干下回る水準にはなっていますけれども、引き続き6割程度ということで安定して推移しています。
また、個人のお客さまからの調達に、法人のお客さまからの長期預金等を加えた安定調達比率についても、70パーセント程度の水準で安定的に推移しています。
運用にあわせて調達ボリュームを機動的にコントロールしており、預貸率は85~90パーセント程度の水準で推移しているということで、引き続き効率的な資金運用を行っています。
スライドにはとくに資料を記載しておりませんけれども、外貨の調達については、現状マーケットのアベイラビリティには特段問題のない状況ですけれども、継続的に長期の為替フォワードの取組み、通貨スワップの期間の長期化、あるいは3月に外債を発行していますけれども、一層の外貨調達の多様化および期間の長期化に努めているということです。
バランスシート:貸出 - 全体・国内業種別 -
運用サイド貸出金は、3月末から339億円増加して、約2兆5,600億円となっています。引き続き適切なリスク・リターンを重視した運営を継続しており、国内向け貸出が322億円の減少、海外向け貸出が660億円の増加となっています。9月末の海外向け貸出比率は3月末から若干上昇して、36.6パーセントとなっています。
バランスシート:貸出 - 海外向け -
海外向け貸出については、従前同様ですけれども、リスク管理体制の強化を図りつつ、リスク・リターンの良好な北米のコーポレートローンおよび不動産ノンリコースローンを中心に、選択的に取り上げているということです。繰り返しになりますけれども、3月末から660億円増加、9月末の残高が約9,400億円となっています。
地域別に見ると、法制度や開示がしっかりしており、市場に厚みのある北米の割合が81パーセントということで、こちらも従来からの傾向に大きな変動はございません。
右下の表で米国不動産ノンリコースローンの都市別の内訳をお示ししています。引き続きニューヨークを始めとして、米国の主要都市を中心とする構成に変化はありません。国内に比べてLTBも低い案件が選別できる市場であるということです。
バランスシート:貸出 - 国内不動産向け -
国内の不動産向け貸出については、こちらの資料のとおりです。
バランスシート:有価証券
有価証券は3月末から2,256億円増加して、9月末の残高は1兆1,635億円となっています。前年度第4四半期に削減した米国債等のポジションを、年度が明けて第1四半期に再構築することに伴い、米国債およびモーゲージ債等を中心に、外国債券を1,880億円積み増ししていることが主な要因です。
9月末の評価損益は、3月末に比べて192億円増加して、589億円の評価益となっています。
なお、株式の一部と日本株ETFのヘッジ手段の評価損益を含めたネットの評価損益は296億円、このうちヘッジにより確定させている評価益が約280億円となっています。
参考:自己資本比率(速報値)
自己資本比率については、私どもは最低10パーセントという中期目標をおいており、10.5パーセント程度を目処に運営しているわけですけれども、9月末の自己資本比率は、まだ速報値となりますが10.87パーセントということで、引き続き目標水準を維持しています。
私どもは国内基準行ですので、参考にはなりますけれども、国際基準に基づく普通株式等Tier1比率、いわゆるCET1比率の概算値は9.7パーセントとなっています。
配当の状況
最後に配当の状況です。第2四半期の1株当たり配当金については、こちらも引き続き期中の支払いですので、若干保守的に第1四半期と同額の1株当たり4円ということで決定しています。
みなさますでにご承知かと思いますけれども、私どもは10月1日付で株式の併合を実施しています。こちらの資料は株式併合後に引き直したかたちで配当金の推移を記載しています。
引き続き規律あるバランスシート運営を行うとともに、収益の多様化を図っていくことにより、業績目標の達成を目指してまいりたいと考えています。今後ともみなさまのご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。以上で私からのご説明を終了させていただきます。ありがとうございました。