2018年2月期第2四半期決算説明会
谷正人氏:みなさま、おはようございます。本日は、お足元が悪い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。株式会社TOKYO BASE代表取締役の谷と申します。本日はよろしくお願いします。
それではさっそく、私から第2四半期の決算実績及び2018年2月期の見通し、そして今後の事業戦略の説明をさせていただきます。
2018年2月期第2四半期PL実績①
2018年2月期第2四半期のPL実績です。
売上高55億5,000万円、売上総利益28億6,000万円、営業利益6億6,300万円、営業利益率は12パーセント、前期比で2.4ポイント上昇しております。主な要因としては、業容拡大により売上が拡大したことがポイントです。
前期と比べて、粗利率、売上総利益率が若干低下しているのですけれども、こちらに関しましてはセレクトショップ・STUDIOUS業態のブランド商品、要するに、オリジナルではなく他社から仕入れているデザイナーズブランドの商品比率とオリジナル商品の原価率を前向きに高めているためです。
また、STUDIOUS原宿本店・STUDIOUS名古屋店改装により、販管費が増額したものの、EC化率が上がったことによる生産性の向上により、結果的に全体の販管費率が下がって、実績としては過去最高益を更新しております。
2018年2月期第2四半期PL実績②
業態別売上高に関しましては、STUDIOUSが39億7,000万円、UNITED TOKYOが15億7,000万円、両業態ともEC含め大幅に増加しております。実店舗とEC売上の割合は、下に書いてある表どおりになります。
STUDIOUSにおけるブランドフランチャイズの開始や、実店舗とEC店舗の相乗効果により、EC化率は38.1パーセントへと上昇しております。
ポイントとしては、STUDIOUSのEC化率が41.6パーセント、前期の32.8パーセントから大幅に上昇しています。UNITED TOKYOのEC化率は29.4パーセント。全体のEC化率は38.1パーセントです。前期は(全体のEC化率が)31.7パーセントでした。
EC化率が上昇した要因としましては、ECにおけるフランチャイズ事業などを開始したのですけれども、一番はEC店舗における独自商品の開発、あるいはEC売り場内におけるMD精度が向上したことが大きな要因となっております。
2つ目のポイントとして、実店舗においては引き続きLINEやInstagramといったSNS及び自社のアプリによって営業活動を行った上で、今年から最高で年収1,000万円を可能にする「スーパースターセールス制度」という販売スタッフの評価制度を導入したことにより、モチベーションが向上したということです。そして、実店舗の売上拡大が大幅に上がったという結果になりました。
売上販管費率に関しては、スケールメリット、生産性の向上、EC化率増加、コスト管理の徹底等あり、引き続き減少しております。
2018年2月期第2四半期BS実績
続きまして、BS実績です。
資産合計は58億1,300万円です。秋冬商品の増加と機動的な資本支出に備えた借入金の増加により、拡大しております。
負債は1億8,000万円増加。こちらは主に長期借入金の借入によるものです。
純資産は、主に利益剰余金の増加によって、5億1,000万円の増加です。
上期末の自己資本比率は54.8パーセントとなりました。
2018年2月期第2四半期CF実績
続きまして、キャッシュフロー実績です。
現金及び現金同等物残高は27億5,700万円。期首残高より2億円の増加です。
営業活動によるキャッシュフローに関しましては、秋冬店舗拡大と秋冬商品おける仕入の前倒しによる棚卸資産増加と法人税等支払により、3,500万円の収入です。
投資活動によるキャッシュフローは、1億9,000万円の支出です。前年同期は出店による固定資産の支出、差入保証金の差入等が主だったのですけれども、今上期は、有限会社ロスチャイルドとの資本提携等、株式の取得等が主な支出となりました。
こちらの資本提携に関しましては、後ほどお話しさせていただきたいと思います。
TOKYO BASE トピックス
会社としての上期のトピックスをまとめました。大きなところでは、こちらはメディアにもたくさん掲載されましたけれども、人事評価制度として、「スーパースターセールス制度」を開始いたしました。
こちらはSTUDIOUS、UNITED TOKYO、CITY業態の実店舗がすべて該当するのですけれども、年間の個人売上の店舗アセットを目安として給与水準を支払うというものです。
ワンスター、ツースター、スリースターという3段階がありまして、ワンスターは、年間で7,000万円売った人が年収で700万円ベースになる。ツースターは、年間で8,500万円売った人が年収850万円ベースになる。スリースターは、年間で1億円売った人が年収1,000万円ベースになるということです。
こちらは半期ごとにどんどん更新をしていきますので、販売スタッフもいい緊張感を持ちながら半期ごとに売上を上げて、給与を再設定していくかたちです。
上期の実績としましては、スーパースターセールスが23名誕生しました。こちらは引き続き強化していきたいと思っております。
トピックスの2つ目としましては、2017年4月にSTUDIOUSとして初めて海外店舗を出しました。STUDIOUS香港店ということで、香港の銅鑼湾(コーズウェイベイ)という地区に路面店で出しました。こちらに関しては、引き続き来月にUNITED TOKYOも同じエリアの斜め向かいにお店を出す予定です。
また、上期に資本・業務提携を行いました。まずは「FACTOTUM(ファクトタム)」等のブランドを手がける有限会社ロスチャイルドの株を49パーセント取得しました。
続いて「MIHARUYASUHIRO(ミハラヤスヒロ)」等のブランドを手がける株式会社ソスウに約12パーセントの出資をしました。出資先の商品力と弊社の営業力のシナジーを狙って資本提携に至りました。
「FACTOTUM」「MIHARAYASUHIRO」ともに、STUDIOUSの中でも非常に売れているブランドでして、今後もともに大きくしていこうというかたちでの提携に至りまして、今後もこのような提携を少しずつ増やしていきたいなと思っております。
こちらも後で説明しますが、ブランドのECフランチャイズ店を出店しました。こちらは何かというと、我々がそのブランドを買い取って、ZOZOTOWNにおけるフランチャイズ形態で出店・運営をしていくと。
前期においては、先ほど資本提携のお話をした「MIHARAYASUHIRO」や「ATTACHMENT(アタッチメント)」といったブランドをスタートしました。
STUDIOUS業態 上期新規出店実績(実店舗)
続きまして、出店実績になります。先ほどご説明したSTUDIOUS香港店は30坪の小型店で、まずはメンズからスタートしております。
そしてSTUDIOUS MENSなんば店・WOMENSなんば店は、大阪の難波地区のなんばパークスという商業施設の2階、いわゆるコンコース階に出店しました。
STUDIOUS業態 上期新規出店実績(EC)
先ほど触れた、フランチャイズ出店のスキーム図です。まず前提として、ZOZOTOWNとECでしっかりと手を取り合って組んでいるところから生まれたのですが、背景としては、今、ZOZOTOWNの規模がある程度拡大して、年商5億円以下のブランドはあまり自分たちでやらなくなりました。
そして基本的にはZOZOTOWNさんは委託で運営しているので、昔のように買取型のビジネスではなくなりました。
そうなった時に、ZOZOTOWNは最低限売れるけど、さすがに委託ではできないというブランドさんが非常に多くて、そういったブランドさんというのは、まさに我々がSTUDIOUSで扱っている年商1~5億円ぐらいのデザイナーズブランドさんが多かったんです。
とはいえ、やはりZOZOTOWNで売りたいということで、STUDIOUSとの相乗効果があるので、我々が代わりに買い取って、ZOZOTOWNの中で運営をしていくということをやっています。
もともとZOZOTOWNで出店をしていたブランドさんをそのまま引き継ぐケースもありますし、我々が扱っていたブランドを初めてZOZOTOWNで出店させるケースもあります。上期は2ブランドなのですけれども、引き続きブランドを増やしていきたいと思っています。
UNITED TOKYO業態 上期新規出店実績
UNITED TOKYOは引き続き都市部を中心に出店しております。まず、UNITED TOKYO 横浜店はルミネ横浜の3階にメンズ・レディースの複合店でオープンしました。
丸の内店はこの会場から非常に近いのですけれども、新丸ビルの2階の1等地をいただきまして、60坪でスタートしております。
とくに丸の内店に関しては順調に推移しておりまして、初めてこのようなビジネス街に出店したのですけれども、若いファッション好きなマーケットだけではなくて、ビジネスの方が使えるような洋服が提供できていると実感しておりまして、たかが1店舗ではあるのですが、新たなマーケットを開拓できたという感触であります。
2018年2月期通期見通し・下期事業計画
ここからは、2018年2月期の見通し及び今後の事業戦略の話をしたいと思います。
2018年2月期通期の決算見通しとして、売上高124億円・前期比33パーセント増、営業利益17.5億円・前期比36パーセント増、当期純利益12.1億円・前期比42パーセント増の計画をしております。EPS(1株当たり利益)は89.39円で、創業以来8期連続の増収増益の見込みです。
ポイントは何個かあるのですけれども、まずはSTUDIOUSにおいて新規の出店や改装・移転増床をしております。
実は9月に終わったのですけれども、我々の創業の場所であるSTUDIOUS原宿本店は5年ごとに前向きなリニューアルをしております。
私が株式会社TOKYO BASEの前身の株式会社STUDIOUSを起業する前の1事業部としてSTUDIOUS事業をスタートした時から換算すると、(STUDIOUS原宿本店は)ちょうど今年の7月で10周年でした。
その10周年を機に、「次の10年を担う店」というテーマをもとにリニューアルをしました。内容としても次の10年を担っていくような、若くてこれから日本でメジャーになっていくようなブランドを取り揃えて、デザイナーなどもこれからの10年を担っていくような若いデザイナーに変えました。
おかげさまで、オープン初日には弊社の記録となる単店舗の日売り1,100万円を達成して、順調にスタートしております。
また同様に、STUDIOUS名古屋店をリニューアルしました。
STUDIOUS福岡店などもそうなのですけれども、今後のSTUDIOUSに関しましては、基本的には坪効率を落とさずに面積を増床させながら、なおかつ今まではメンズ・レディース複合での出店が多かったのですが、今後のSTUDIOUSに関してはなるべくセパレートで、メンズ単独店・レディース単独店を出していきます。
目的は何個かあるのですが、STUDIOUSの中でメンズ・レディースの客層・年齢の違いや買い方の違いがあります。出店場所というのは、メンズ・レディース複合店の場合、どうしてもどちらかに有利になるように偏ってしまうので、単独にしたほうがいいだろうということです。
そして、単独店のほうが非常に効率がいいです。例えばメンズ・レディース複合店の場合、人員配置なども常にメンズ・レディースどちらも販売員がいなければなりませんが、単独店であればどちらかでいい。
そのような意味で、生産性も上がっていくという見方から、なおかつSTUDIOUSはより個客性が高いので、カップルやファミリーで来るよりも、洋服が好きな方が1人で接客を受けに来ると。このようなことを狙って、STUDIOUSは今後、メンズ・レディースをセパレートして出していきたいと思っております。
2018年2月期通期見通し・下期事業計画
こちらは会社として、初めて執行役員制度を導入しました。今までは取締役3名のみだったのですが、その下に執行役員をつけました。業容拡大により幅広い業務経験を持たせて、より組織として強くするといった意味合いで9月から導入しております。
また、今までSTUDIOUSの大人なレディースの業態ということで「STUDIOUS CITY」という派生業態をやっていたのですけれども、9月からは派生業態ではなく「CITY」という単独ブランドへと業態転換をしました。
こちらの転換の意図としては、STUDIOUS CITYは決して売れていなかったわけではないのですけれども、社内外も含めて「いいブランドがあればどちらでもやろう」という方針になってしまっていたので、いまいちSTUDIOUSとの差別化ができていませんでした。
なので前向きに独立をさせて、1つのブランドとして成長させていこうということで、9月から3店舗、新宿店、名古屋店、大阪店がすべてCITYという名前に変わって、今まで同じだったショッピングバッグも変えて、ホームページもつくって、ECショップもつくって、単独ブランドとしてスタートしております。
そして、先ほどご説明した資本・業務提携の拡大やフランチャイズ店舗の受託拡大をスタートさせております。
2018年2月期通期予想
2018年2月期通期予想です。先ほど申し上げたとおり、計画どおりです。対通期予想では、前年同期の期初計画とおおむね同水準の進捗率です。
2018年2月期下期の新規出店(ST実店舗)
2018年2月期下期の新規出店(ST実店舗)です。実はほとんどがすでに出店しているものなのですが、STUDIOUS神南店は今まで、東京渋谷の神南エリアに1・2階建てで店舗を運営していたのですが、1階と2階の店舗を分けまして、1階をSTUDIOUS神南店、2階をアッパー業態のSTUDIOUS TOKYOにして運営をしています。
STUDIOUS WOMENS福岡店、そしてSTUDIOUS WOMENS名古屋店は先ほどのセパレート戦略により、今まで福岡エリアと名古屋エリアも同様に、メンズとレディースを複合でやっていたのですけれども、レディースだけ切り出して、よりレディースにとっていい場所に出店するということをしました。
STUDIOUS PLUS名古屋店は、今までSTUDIOUSの名古屋店が100坪で運営していたのですけれども、それを65坪にして、その空いたスペースで新しい派生業態をつくって、プラスオンの売上を狙っています。このようなことを行いました。
2018年2月期下期の新規出店(UT、EC)
UNITED TOKYOは二子玉川ライズに出店しました。そして来月(2017年11月)、香港の銅鑼灣(コーズウェイベイ)に初めてUNITED TOKYOの路面店ができる予定です。また、CITYが直営店のECをブランドページと統一したホームページデザインで(9月に)スタートしました。ECフランチャイズ店舗も今年の秋に3店舗、来年の2月に1店舗開店予定となっております。
UNITED TOKYO 東京コレクション参加
UNITED TOKYOのトピックに関しまして、つい先日、UNITED TOKYOとして初めて東京コレクションに参加しました。今までの東京コレクションというと、どちらかというとファッション業界人の内輪だけで盛り上がっているような印象があったのですけれども、私自身が初めて東京コレクションに参加したときに、すごく感動したんですね。
業界人はすごく慣れているのですが、お客さまからするとすごく新鮮であるというギャップをどうにかできないかなという思いから、我々がやった東京コレクションというのは、だいたい500〜600人のお客さまが来たのですが、ほとんどが(TOKYO BASEの)顧客さまを呼んで、コレクションを見ていただいて、アメリカのほうでは主流になりつつある、「See now,Buy now(見てすぐ買う)」という(ことを行いました)。
今までのコレクションというのは、半年先の商品のお披露目をしていたのですけれども、その場ですぐ買えるコレクションというものを実現しました。そのコレクションの後に、顧客さまを招いた受注会をやりまして、受注会の実績も非常にいい結果に終わりました。
今後のコレクションに関しては、継続していくかどうかはわかりませんけれども、お客さまに対して前向きに感動を与えられるようなイベントをやっていきたいなと思っております。
今後の出店・業態拡充戦略
今後の出店・業態拡充戦略です。こちらは現在の下期における出店数の見込みとなっております。現在、STUDIOUSの実店舗が27店舗あるのですけれども、(メンズとレディースを)セパレートしたことによって、明確な店舗数は決めていないのですが、まだまだ増やしていけると思っております。UNITED TOKYOとCITYは、まだまだ出ていないエリアがありますので、積極的に出店していきたいと思っております。
また(スライドの)下のほうに書いてあるのですけれども、2019年2月期にSTUDIOUS、UNITED TOKYOに次ぐ、第3の柱となるカジュアル業態の準備をしております。こちらは来年(2018年)秋にスタートしていきたいと思っております。
今後の方向性
今後の方向性ということで、我々は常に言っているのですけれども、日本発のファッション・コングロマリッド企業へ向けて、考えられる手段はすべて実行し、成長の最大化を目指していきます。
当然、軸となっていくのはSTUDIOUS、UNITED TOKYO、CITY、あるいは今後やっていく新業態であったり、自社開発の業態、こういったものをしっかりと拡大させていきます。
また、ブランド・アパレル小売業との資本・業務提携もスタートしています。
東京ブランドにおけるEC店舗、こちらはZOZOTOWNのフランチャイズであったり、今後は実店舗のフランチャイズもやっていく可能性があります。
さらには派生として、今、さまざまなメーカーさんとの提携、例えば、高度な技術を有するメーカーとの提携拡大・技術導入促進というのはしているのですけれども、1つの実績としては、ある商社さんと組んで、青山にレザーの工場をつくって、「年間で何枚やります」ということで、そこに対して設備投資をしていただいて、ほぼ我々専用の工場をつくると。決して資本を投入しているわけではないのですけれども、このような提携をして、メイドインジャパンをより強くしていくような動きをしています。
また、最近でいうと、島精機(製作所)さんと組みまして、島精機さんがつくっている、そんなにサンプルをつくらなくても受注がとれるようなシステムを導入しました。このように、さまざまな外部のいい技術や機械を導入して、強くしていきたいと思っております。
また今後、ブランド等に投資するような、アパレルVCの立上げというのも考えております。
そして長期的には、ブランド・アパレル小売業だけではなくて、ファッションテック企業であったり、EC企業のM&Aというのも視野に入れています。
こちらの今後の方向性に関しては、まだ明確に決まっているものは少ないのですけれども、業容拡大を軸にさまざまな成長に対してできることはどんどん仕掛けていきたいと思っております。
長期的な売上構成イメージ
最後に、長期的な売上構成イメージです。我々としては、中長期的に(売上高)1,000億円を目指しています。もちろん1,000億円で終わりではないので、今後2,000億円、3,000億円と続いていくような(前提の)1,000億円であると。
なおかつ、ただ儲かる、ただ売上がとれるだけではなくて、企業理念の実現に向けた売上構成・利益構成ができるか。さらに、トップラインだけを狙っていくのではなくて、営業利益率10パーセント台をキープしながら、売上高1,000億円を狙っていきます。
これは1つのイメージなのですけれども、STUDIOUSで300億円ぐらい。UNITED TOKYOで300億円ぐらい。そして来年秋にスタートする予定のカジュアル業態で300億円ぐらい。このような売上イメージを持っております。
このようなことを通して、日本のファッションを世界に発信する、世界レベルのファッションコングロマリッド企業を目指していきたいと思っております。
引き続き、企業理念の実現に向けて、愚直に進んでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。