第一生命グループ業績 – 業績ハイライト
隅野俊亮氏:第一生命ホールディングスの隅野です。 本日は、第一生命グループの2018年3月期第1四半期決算報告の電話会議にご参加いただきまして、ありがとうございます。
第一生命グループの業績ハイライトをお示ししています。コメントは3ページにまとめていますので、次のページをご覧下さい。
決算の概況 – 決算のポイント
今回の決算のポイントを以下の3点にまとめました。
第1に、営業業績についてです。第一生命では4月の料率改定に合わせてお客さまニーズを反映した商品性の改定を行い、営業職の評価基準も調整を行った結果、保障性主力商品の販売が伸びました。
一方、根強い貯蓄ニーズに応えて、第一フロンティア生命でも商品改定を行い、外貨建て一時払商品の販売が増加に転じました。
海外ではオーストラリアの団体保険事業で複数の新契約を獲得し、新契約が大幅に増加するなど、各国で順調に推移しました。
第2に、連結業績についてです。経常収益は第一生命における保障性シフトの影響により減収となりました。
また、前年同期のヘッジに関わる資産運用益の剥落等により減益となりましたが、それを除外すれば、内外の金融環境の改善に伴い、第一生命を含め各社、想定を上回る順調な進捗となりました。
また、5月末に完了したジャナス・キャピタルとヘンダーソン・グループの合併に伴い株式交換益を計上した結果、連結純利益は前年同期比で大幅増となりました。
第3に、エンベディッド・バリューについてです。2017年6月末のグルー プ・エンベディッド・バリューは、主に株価等、経済条件の改善により約5.8兆円と前期末から増加しました。
新契約価値は前年度下半期のトレンドを引き継ぎ、各社営業業績を反映して、期初想定通りの進捗となっております。
第一生命グループ業績 – 連結主要業績(要約)
連結損益計算書・連結貸借対照表を掲載しています。
第一生命グループ業績 – 連結主要業績
連結及び主要子会社の業績概要について説明します。
連結経常収益は前年同期比約800億円減少しました。第一生命において貯蓄性商品の販売を抑制した結果、一時払終身保険や個人年金の保険料が減少したものですが、第一生命の保障性商品や第一フロンティア生命の貯蓄性商品が成長を見せており、全体としては想定通りの水準となりました。
連結経常利益は、同約200億円減少しました。第一生命が前年同期に計上したヘッジに関わる資産運用益が剥落したことが主な要因ですが、海外事業でも前年同期に発生した特殊要因による利益押し上げ効果の剥落等により、プロテクティブおよびTALは減益でした。これらを第一フ ロンティア生命の黒字回復によって一部相殺したかたちになっています。
親会社株主に帰属する四半期純利益。いわゆる連結純利益ですが、こちらは同約200億円の増加となりました。連結経常利益は減少しましたが、ジャナス・ヘンダーソン合併に係る株式交換益を計上したことや、第一生命で不動産に係る減損損失が少なかったことが、増益となった主な要因です。
第一生命グループ業績 – 連結主要業績
連結純利益の変動要因を主要項目別にまとめています。
第一生命のキャピタル損益が大きく減少していますが、前年同期はイギリスでEU離脱を問う国民投票を6月末に控え、金融市場で不透明感が高まった時期にあたります。
その対応としてのヘッジ取引が功を奏し、急速に進んだ円高の中で、前年同期に金融派生商品利益を計上していたことが主な要因です。
当四半期は株式市場が安定感を取り戻し、円安が進んだことから第一生命で順ざやが改善し、第一フロンティア生命では最低保証やMVAに係る損益が前年同期比で改善しています。
また、5月30日にジャナス・キャピタルとヘンダーソン・グループの合併が完了し、新会社に対する持分の時価評価額と、ジャナス持分の簿価との差額。こちらを株式交換益として税前で335億円を計上しています。
なお、この株式交換益について、当四半期では課税取引として処理していますが、税務上の取り扱いについては現在確認中です。
第一生命グループ業績 – グループ各社の業績
グループ企業主要各社の決算は、ご覧の通りです。
第一生命では、貯蓄性商品の販売を抑えたことで保険料収入が前年同期比で減少しました。責任準備金の繰入れ・戻入れで相殺される特別勘定資産運用収支が、前期の損失から利益に転じる一方、金融派生商品損益は前年同期の利益から損失に転じています。
これらを除くと金融環境の改善を背景に運用収支は大きく改善しています。一時払い終身保険の販売を停止したこともあり、責任準備金繰入額は減少しています。
第一フロンティア生命の経常収益が減少しているのは、内数であるその他経常収益の中で前年同期に責任準備金戻入額が計上されていたためです。
海外生命保険事業では、引き続き好調な保険販売や運用収益の増加等により前年同期比で増収となりましたが、昨年同期に計上された特殊な増益要因が剥落したことを主因に、前年同期比で減益となっています。
連結純利益には、ジャナス・ヘンダーソンの合併に伴う株式交換益335億円が特別利益として計上されています。
第一生命グループ業績 – 新契約動向
グループの契約業績について年換算保険料をベースにご説明いたします。
第一生命では、4月の料率改定に合わせてお客さまのニーズを踏まえた商品性の改定を実施し、また保障性商品への販売シフトを進めるため、営業職の評価基準の調整を行った効果が現れまして、ブライトWay、クレストWayといった保障性主力商品の販売が伸びたほか、前年度に続き、法人向け介護保障商品の販売が第三分野の伸びを牽引しています。
第一フロンティア生命の新契約年換算保険料の伸びは昨年7月より販売している据置き期間の短い年金商品によるものです。
この他、円建終身保険の一部の販売を再開したほか、今年4月に外貨建年金については運用期間満了時に終身保険に移行できる特約を付した商品改定を行ったことなどがお客さまニーズを捉え、販売を伸ばしています。ビッグデータを使ったネオファースト生命の新商品も第三分野の伸びにしっかり貢献しています。
海外生命保険事業では、オーストラリアのTALが団体保険事業で複数の契約を獲得したため、新契約は高い伸びを見せています。第一生命ベトナムも個人代理店の販売好調に加え、提携チャネルの貢献も高まり、 前年同期比7割増と好調が続いています。
米国プロテクティブは変額年金の販売が伸び悩んでいるものの、ユニバーサル保険等、生命保険商品の販売が堅調に推移しています。 これらの結果、グループ全体の新契約は前期比43.1パーセント増となりました。
第一生命グループ業績 - 保有契約動向
新契約の伸びを受け、グループ全体の保有契約年換算保険料は、前期末比0.8パーセント増となりました。
新契約の伸びに比べ、保有契約の伸びが低いのは、12月末から3月末にかけての円高進行により、プロテクティブの円貨換算額が減少したことや、第一生命の新契約額が既契約の減少額を下回ったためです。
第一生命 財務諸表(要約)
第一生命の要約財務諸表です。詳細は割愛します。
第一生命業績 – 基礎利益~当期純利益の状況
第一生命の業績動向を基礎利益から当期純利益への流れで説明しています。
基礎利益は最低保証に係る責任準備金の繰入れや戻入れを調整した後の数値です。なお、来年度から基礎利益の計算過程が新たな統一フォーマットに変更されることを受け、当四半期から基礎利益の計算過程を変更しています。その影響については35ページの参考資料を必要に応じてご覧下さい。
調整後基礎利益は前期に比べて順ざやが改善し、保険関係損益の減少を埋め合わせて基礎利益の増加につながっています。順ざやの改善は、主要通貨に対して円安が進んだことや、投資信託の分配金などの収入が一部前倒しで計上されたことが主な要因です。
保険関係損益の減少は、販売チャネル体制の強化に向け営業職数を増加させていることや、新料率に基づく新契約に係る標準責任準備金の繰入が増加しているためです。
追加責任準備金の新規繰入額は前年同期並みとなっています。危険準備金につきましてはこれまで、法定水準を上回る積み立てをしてきましたが、当四半期より繰り入れ額を減少させています。
当四半期における繰入は、昨年度より第三分野の新契約が高水準で伸びていることから積み立てることとなった、法定分の繰入としております。
キャピタル損益の減少はすでに説明した通りですが、これを順ざやの改善や、特別損失の減少で一部相殺したものの、当期利益は前年同期比で減少しております。
第一生命業績 – 解約失効高、営業職数および生産性
保有契約の質、営業チャネルの規模・効率性を示しております。
解約失効高の改善が続いています。 個人年金等の販売を抑制したため、1人あたりの新契約件数は減少していますが、1人あたりの営業収益価値は前期比で増加しています。
第一生命業績 – 一般勘定資産運用の状況(1)
資産運用の状況についてご説明いたします。
左のグラフは第一生命の一般勘定資産の構成比を示しています。 内外の金利・為替の趨勢を見ながら、機動的に配分を調整していますが、17年6月末ではオープン外債への配分を増やしました。 国内株式の構成比は、時価の変動を主な要因として増加しています。
右のグラフでは、子会社等の株式を除く国内株式の簿価残高を、特定投資株式とそれ以外に分けてお示ししています。6月末の株式残高は、リスク削減のための売却を新規分野への投資が上回り、前期末比で若干増 加しました。通年では売却額が積み上がる見通しです。
第一生命業績 – 一般勘定資産運用の状況(2)保有債券の状況
保有債券の状況についてもう少し詳しくご説明します。
外貨建債券は引き続き、信用格付けの高い債券を中心に運用しています。前期末との比較では国債への投資を高めました。
右下のグラフは外貨建債券の通貨別構成です。フランス大統領選を経て、欧州市場が落ち着きを取り戻したことから、ユーロ建て証券への投資を増やしています。
第一生命業績 – 健全性指標
第一生命の健全性についてご説明します。
左の表では一般勘定各資産の含み益の変化を示しています。海外では株価上昇の一方、金利が低下し、円安も進むという環境でしたので、外国証券の含みが増加しています。
国内株式の含み益も増加していますが、リバランスによる含み益の実現もあって国内債券の含み益は減少し、一般勘定資産全体で含み益は約2,500億円の増加となりました。
右のグラフで示した現第一生命のソルベンシー・マージン比率は、856パーセントと引き続き高い水準を維持しております。
第一フロンティア生命財務諸表(要約)
第一フロンティア生命の要約財務諸表です。
金融市場環境に応じて変動する最低保証リスクや市場価格調整に係る損益を記載しています。
第一フロンティア生命業績
第一フロンティア生命の状況についてご説明します。
営業業績については8ページでご説明した通りですが、左側のグラフでより詳細な商品別の販売動向を示しています。順調な販売により保有契約高は7兆円を突破しました。業績は黒字回復と好調です。
最低保証リスクに係る責任準備金は、株高の影響で運用収益が改善したことを受けて、前年同期の多額の繰り入れに対して小幅の戻入れとなりました。
ヘッジにつきましても大きなノイズは発生せず、最低保証収支も大きく改善しています。市場価格調整に係る損益は、当四半期も若干金利が低下したため、損失となりましたが、前年同期に比べれば、およそ半分の水準にとどまっています。
金融環境の改善を背景に変額年金の最低保証や、定額商品の市場価格調整に係る責任準備金負担が前年同期に比べ軽減されたことにより、前年同期の当期損失から黒字へ回復したという構図でございます。
次に海外生命保険事業について主要子会社の状況を説明いたします。
米プロテクティブ財務諸表(要約)
まずプロテクティブの要約財務諸表です。現地の会計方針に従って計算された勘定科目を、日本の会計基準に沿って並べ替えたものです。
米プロテクティブ業績(1)
プロテクティブの状況です。
今年度より、前年同期との比較が可能になっています。まず営業業績については、生保事業においてユニバーサル保険の販売が堅調に推移しています。
他方、年金事業では、金融商品の販売に係る規制強化を控えて独立代理人が販売に慎重になった影響で、変額年金の伸び悩みが続いていますが、定額年金は順調に推移しました。
好調な保険販売や運用収支の改善を背景に生保事業は前年同期比で増益を達成し、アセットプロテクション事業ではユナイテッド・ステーツ・ワランティ・コーポレーションの収益貢献が本格化しましたが、買収事業が死亡率の悪化により減益となり、これが主因となって税引前営業利益は前年同期比で小幅減益となりました。
また、前年同期に計上された修正再保険に係るキャピタル益が減少したことから当期利益は二桁の減少となりました。
米プロテクティブ業績(2)
セグメント別の業績については23ページをご参照下さい。
豪TAL財務諸表(要約)
次にオーストラリアのTALについて説明します。
こちらTALの要約財務諸表です。
豪TAL業績
TALも営業業績については8ページでご説明した通りです。
個人保険の販売が順調に推移、団体保険では、複数の契約を獲得したことで、保有契約年換算保険料は、前期末比で6.4パーセント増となりました。
オーストラリアの経済環境を背景に、所得保障保険などの請求は依然として想定に対して高水準で推移していますが、前年同期との比較で保険収支は改善しています。
加えて、コスト削減が進んだこともあり、基礎的収益力は1.4パーセントの増益を達成しました。しかしながら、当期純利益が約3割減益となったのは、前年同期における金利低下による会計的な利益押し上げ効果が大きかったことの反動でございます。
続いて連結業績ガイダンスについて説明いたします。
第一生命グループ業績予想 – 2018年3月期業績予想
18年3月期の連結業績予想ならびに配当予想は据え置きとします。連結純利益の通期予想に対する進捗率は40パーセントと高くなっていますが、ジャナス・ヘンダーソン合併に伴う株式交換益の計上タイミングは予想されていたものです。
これを含めて各事業の業績が想定を上回って推移していることは確かですが、まだ第1四半期を終えたばかりでございますので、内外の保険販売の持続性、金融環境の変化。こういったものを今後も見守る必要があると考えています。
次のページで連結純利益の増減分析、グループ修正利益のガイダンスを示していますが、こちらも据え置きといたします。
EEV – ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー (1)
2017年6月末の保有契約をベースに6月末の経済前提を使ったグループ・エンベディッド・バリューの試算を行っています。
2017年6月末のグループEVは約5兆8,000億円になりました。第一生命で保障性へのシフトが進んだことや、グループ各社で新契約が順調に伸びたことで、新契約価値が期初想定通りに推移しております。また、株価上昇等経済条件の改善によってグループEVが改善しています。
EEV – ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー (2)
グループ各社です。いずれも増加しています。プロテクティブのEVは減少していますが、これは対象となる3月末にかけて円高が進んだためで、現地通貨建てではご覧の通り増加しています。
以上で私からの説明を終了させていただきます。