2017年第2四半期
田中稔三氏:ただいまからキヤノン株式会社2017年12月期第2四半期連結決算、4月-6月、これがまとまりましたので、私から概況を説明させていただきます。
この第2四半期の業績のサマリーでございます。
世界経済は雇用環境や企業業績の改善が続いておりますが、アメリカが牽引役となりまして、全体としては緩やかな回復が続いております。
そのような中で当社は、既存事業の業績の回復を図りながら、新規事業の拡大に注力いたしまして、事業構造の転換を推し進めてまいりました。
その結果、この第2四半期は第1四半期に引き続きまして、対前年で大幅な増収増益を果たしました。第2四半期が増収増益になるのは、2013年以来4年ぶりでございます。
第1四半期も増収増益でございましたので、第1四半期、第2四半期が連続して増収増益になるのは、2010年以来7年ぶりの久しぶりの増収増益でございました。
既存事業につきましては、レーザープリンターが昨年後半からの力強い回復が続いておりまして、本体・消耗品ともに売上が前年を大きく上回っております。
また、露光装置につきましても、当社製品の性能の優位性によって市場の旺盛な需要を捉え、半導体の露光装置・フラットパネルディスプレイの露光装置ともに販売を大きく伸ばすなど、既存事業が着実に回復を示しております。
それに加えて新規事業でございますけれども、キヤノントッキが使っております有機ELの融着装置、あるいはネットワークカメラが順調に販売を拡大させるとともに、東芝メディカルシステムズの新規連結影響もございまして、新規事業全体では前年に比べますと倍増に近い売上となっております。
業績サマリー 2017年2Q実績
この結果、当四半期の全社の売上は対前年15.4パーセント増の9,925億円となりまして、大幅な増収を達成しております。
利益につきましては、既存事業および新規事業の順調な販売増によります数量効果に加えまして、主力製品の高付加価値シフトや経費率の改善によりまして、営業利益は対前年で40.4パーセント増となる963億円となっております。
対売上営業利益率もほぼ2桁目前の9.7パーセントという数字まで改善しております。
売上・営業利益変化 2017年2Q実績 対前年同期実績比較
第2四半期のビジネスユニット別の売上の状況でございます。なお、当四半期からメディカルシステムズビジネスユニットを新たに独立開示しております。
まずオフィスビジネスユニットでございますが、複写機のボリュームゾーンであります中低速セグメントからの新製品を投入したことで、これまで進めてまいりました次世代カラー機のラインナップが一応整ったということが言えます。
これらの次世代機は、メンテナンス頻度を圧倒的に少なくした業界最高水準の生産性が顧客から高い評価を得ておりまして、複写機全体の販売を牽引しております。
また、レーザープリンターでも、一昨年からラインナップ拡充に向けて投入しております新製品を中心に販売が伸びまして、上期累計の販売台数が2桁成長となったことに加えて、本体新製品が市場稼働ベースでの比率を高めていることで、消耗品の販売も大きく回復いたしました。
以上の結果、オフィスビジネスユニットの売上高は前年同期と比較いたしますと、3.1パーセントの増収となっております。
続きましてイメージングシステムビジネスユニットでございますが、レンズ交換式カメラはラインナップの拡充を進めているミラーレス機を中心に販売を強化したことによって、当四半期の販売台数は対前年で5パーセント減の143万台にとどまって、上期累計ベースでは前年並みの台数を確保することができました。
また、コンパクトカメラでは、高付加価値モデルでありますGシリーズがデザインや携帯性に優れた点が評価されて、新製品を中心に販売を伸ばしまして、上期累計でプラス成長となっております。
インクジェットプリンターは、昨年発売いたしましたホーム向けの戦略機種が好調に推移したことに加えまして、大容量インクモデルも積極的なプロモーションによって販売を伸ばしたことで、前年並みの販売台数を確保しております。
以上の結果、イメージングシステムビジネスユニットの売上高は、前年同期と比較しますと1.7パーセントと小幅な減収でとどめております。
続きましてメディカルシステムズビジネスユニットでございますが、国内販売シェア1位のCT装置に加えまして、X線あるいは超音波診断装置などの販売が牽引いたしまして、計画どおりの販売を達成しております。
続きまして産業機器その他ビジネスユニットでございますが、データサーバー向けのメモリー需要やスマートフォンの有機ELシフトを背景に、当社の半導体露光装置あるいは有機ELの製造装置が、製品競争力により顧客の設備投資需要を捉えて好調を持続しております。
以上の結果、産業機器その他ビジネスユニットの売上高は、前年同期と比較しますと25.0パーセントの増収でございました。
2017年最新見通し 前提条件
今年12月期の通期業績見通しでございます。前提条件であります為替レートでございますが、第3四半期以降足元の状況を勘案しながら、ドルは前回の110円から112円、ユーロは120円から125円に、ともに円安方向に見直しております。世界経済につきましては今後も緩やかな回復基調が続くと見ておりますけれども、アメリカドルは前回の110円から112円。
ユーロは120円から125円に、ともに円安方向に見直しております。世界経済につきましては今後も緩やかな回復基調が続くと見ておりますけれども、アメリカでのトランプ政権の先行きの不透明感。あるいは地政学的リスクの高まりもございまして、引き続き注視が必要だと考えております。
業績サマリー 2017年年間最新見通し
こうした中での通期の業績のサマリーでございますが、当社は既存事業の順調なる回復と、新規事業の拡大によりまして、事業ポートフォリオの転換をさらに進めて業績を改善し、4年ぶりとなります年間での増収増益を目指してまいります。
既存事業につきましては、カメラは、レンズ交換式カメラの販売台数が上期の累計で前年並となったことに加えて、コンパクトカメラも含めて、高付加価値シフトが進んでいることから、カメラとしては5年ぶりでございますが、5年ぶりとも増収を計画しております。
複写機やレーザープリンターは、新製品が牽引役となりまして、年間を通じて高い販売水準が続く見込みでありまして、また露光装置ではプラットパネルディスプレイ用装置の販売台数を2倍以上に高めると。全社の収益基盤であります、既存事業の回復を加速させてまいります。
一方、新規事業でございますけれども、高い成長を引き続き続けておりますネットワークカメラ。あるいは業界最高の性能を実現しております、有機ELの蒸着装置などが順調に販売を伸ばしております。
さらに東芝メディカルシステムズ社を加えたメディカルシステムズ事業も、CTあるいはX線などの画像診断装置の継続的な新製品の投入によりまして、年間を通じて好調を維持する見込みであり、新規事業の売上は前年比倍増となる見込みでございます。
売上・営業利益変化 2017年年間最新見通し 対前回見通し比較
このような状況を踏まえまして、前回見通しから売上で300億円。営業利益で600億円。いずれも上方修正をいたしました。この結果、売上高が対前年で19.1パーセント増の4兆500億円。営業利益は対前年44.2パーセント増の3,300億円となります。
下期につきましても、これまでの勢いを持続させることによって、年間での大幅な増収増益を果たすとともに、今年は当社創立80周年でございます。そういう記念すべき年にふさわしい飛躍の1年にしてまいりたいと考えております。
オフィス 2017年2Q実績
オフィス 2017年年間見通し
通期のビジネスユニット別の売上の状況でございます。まずオフィスビジネスユニットでございますが、複写機は上期に好調だった次世代カラー機の販売を、さらに伸ばしてシェアの拡大を図っていきたいと考えています。
加えて、5月に戦略機種として投入いたしました、コストパフォーマンスに優れたカラー新製品も、積極的に拡販をしまして、下期の販売を加速させてまいりたいと考えております。
レーザープリンターは、市場でのMFP化が進んでおりまして、当社のこうした市場の変化を捉えて、高付加価値シフトを進めて、さらなるシェア向上を図るとともに、消耗品の販売増にもつなげてまいりたいと考えております。
以上によりまして、オフィスビジネスユニットの売上高は、前年と比較いたしますと3.4パーセントの増収となる見通しでございます。
イメージングシステムビジネス 2017年2Q実績
イメージングシステムビジネス 2017年年間見通し
続きまして、イメージングシステムビジネスユニットでございますが、レンズ交換式カメラは市場・当社販売ともに上期の実績がほぼ計画通りに推移したことから、年間見通しも据え置きまして、市場は対前年4パーセント減の1,100万台。当社の販売は同じく7パーセント減の530万台と見ております。
当社はエントリーからハイアマまで、今年もすでに5機種の新製品を発表しておりますが、そのすべてに従来ハイアマモデルのみに搭載をしておりました高速AF技術を採用するなど、すべてに高付加価値化を図ってまいります。
こうした新製品の投入によりまして、シェアの拡大を図ってまいりたいと考えています。コンパクトカメラにつきましては、市場の年間見通しは1,300万台。これを据え置きましたが、当社販売は上期までの実績が計画を上回ったことから、前回から20万台引き上げまして、対前年で8パーセント減の370万台としております。
このようにカメラはプロダクトミックスを改善させながら、高付加価値化によって、差別化を図って値下げも抑制することで、年間の売上高見通しを前回から引き上げております。
インクジェットプリンターにつきましても、ホーム向けの戦略機種や大容量インクモデルが好調なことから、年間の販売台数を対前年2パーセント増に引き上げております。
以上によりまして、イメージングシステムビジネスユニットの売上高は前年と比較いたしますと、2.2パーセント増となる見通しでございます。
メディカルシステム
続きまして、メディカルシステムビジネスユニットでございますが、てい低被曝や画質の向上を図ったCTの新製品を投入するなど、ラインナップの拡充に努めて、市場を上回る成長を目指すとともに、原価低減の推進、あるいは経費効率の改善に取り組むことによって、収益性についても向上させてまいりたいと考えております。
産業機器その他 2017年2Q実績
産業機器・その他ビジネスユニットでございますが、スマートフォンの有機ELパネルシフトによりまして、顧客の投資需要が拡大しております中で、フラットパネルディスプレイの露光装置、有機ELの蒸着装置ともに生産体制の増強を進めながら、販売を伸ばしていく計画でございます。
また、ネットワークカメラにつきましても、引き続き製品ラインナップの拡充に加えて、映像解析ソリューションにも注力して、ネットワークカメラシステムとしての販売増を目指してまいりたいと考えております。
産業機器その他 2017年年間見通し
以上によりまして、産業機器・その他ビジネスユニットの売上高は、前年と比較いたしますと、21.4パーセント増となる見通しでございます。
私からの説明は以上でございます。どうもご静聴ありがとうございました。