業績サマリー 2017年1Q実績

田中稔三氏:お待たせいたしました。キヤノン株式会社の2017年12月期の第1四半期1-3月の連結決算がまとまりましたので、お配りした資料に基づきまして、概況を説明させていただきます。

第1四半期の業績のサマリーです。

2017年の第1四半期の世界経済は、日本や欧州が緩やかな回復にとどまってる一方、中国では政府の公共投資により景気のテコ入れをはかっておりまして、減速の動きに歯止めがかかっているという状況でした。

アメリカでは、雇用の改善に伴い、個人消費や企業投資が増加いたしまして、新興国経済も資源価格の安定化によって回復を見せており、全体としては緩やかな回復が続いています。

また、為替でございますが、この第1四半期は若干の円高となりましたが、昨年のような業績への大きなマイナスインパクトはございませんでした。

当社の事業におきましても、昨年調整局面にございましたレーザープリンターが、本体消耗品ともに対前年でプラスに転じまして、レンズ交換式カメラも前年の数字を上回るなど、昨年下期からの回復基調が続いております。

またFPDの録音装置は、公正な有機ELパネルへの需要を捉えまして販売を大きく伸ばしております。このように既存事業の着実な回復に加えまして、新規事業においてもネットワークカメラや有機EL蒸着装置が大きく販売を伸ばしまして、全体の売上増に貢献をしております。

さらに東芝メディカルシステム社の新規連結影響も加わりまして、当四半期の売上は対前年22.0パーセント増の9,728億円と大幅な増収となったわけです。

利益につきましても、その既存事業および新規事業の順調な販売増によります数量効果に加えまして、コストダウンの増加、あるいは経費率の改善等々によって営業利益は対前年で88.8パーセント増となる757億円となりました。

結果として、1、9ベースでは2014年の1、9以来、3年ぶりの増収増益となったわけです。

オフィス 2017年1Q実績

今申しました、第1四半期のビジネスユニット別の売上の状況です。

まずオフィスビジネスユニットでございますが、複写機はカラー機が新製品を中心に順調に販売を伸ばしております。一昨年の発売以来、好調を維持している中小オフィス向けモデルや、昨年の下期に導入いたしました、主力の中高速機が欧米で販売を伸ばしております。従って市場成長を上回る2桁増となるなど、販売台数全体の対前年でのプラスに大きく貢献をいたしました。

また、レーザープリンターはラインナップの拡充を続けてきた新製品が、本体販売を牽引してシェアを向上させただけではなく、この市場稼働ベースでの比率を徐々に高めることによって、この消耗品の販売も昨年の下期から回復傾向が続いております。

以上の結果、このオフィスビジネスユニットの売上高は対前年同期と比較いたしますと0.7パーセントの増収というふうになっております。

イメージングシステム 2017年1Q実績

続きまして、イメージングシステムビジネスユニットでございますが、レンズ交換式カメラは、先進国・新興国ともに、昨年の震災からの回復が続く中で、当社はラインナップの拡充を図っているミラーレス機の販売を強化したことによって、当四半期の販売台数は、対前年で6パーセント増の108万台となりました。

また、市場が昨年の震災の影響で供給不足からの改修に向かっているコンパクトカメラにおきましても、当社はプレミアムモデルでございますGシリーズのラインナップを強化しており、このカテゴリーの販売台数を大きく伸ばしまして、シェアと収益性の向上に大きく貢献をしたわけでございます。

インクジェットプリンターは、市場が縮小傾向にある中で、当社は新製品の拡販に取り組み、前年並みの販売台数を確保いたしました。昨年秋に日本市場に投入し、デザイン性や小型化などの特徴が非常に評価され、販売台数を伸ばしたホーム向けの新製品。これを世界展開するとともに、大容量インクモデルも順調に台数を伸ばしております。

以上の結果、イメージングシステムビジネスユニットの売上高は、前年同期と比較しまして3.1パーセントの増収でございました。

産業機器その他 2017年1Q実績

次に、産業機・その他ビジネスユニットでございますけれども、有機ELパネルへの積極的な設備投資需要が続く中で、当社のFPD露光装置や有機EL蒸着装置は、独自技術によって旺盛な需要を捉え、好調を維持しております。

ネットワークカメラも市場拡大を捉え、順調に販売を伸ばしておりまして、さらに東芝メディカルシステムズ社の売上として、この第1四半期で1,251億が新規に加わったことで、大幅な増収となっているわけでございます。

以上の結果、産業機器・その他ビジネスユニットの売上高は、前年同期と比較しますと2倍を上回る126パーセントという、大幅な増収になっているわけでございます。

業績サマリー 2017年年間最新見通し

続きまして、今年12月期の通期の業績の見通しでございます。

第2四半期以降の為替レートの前提につきましては、この数日でちょっと変わりましたが、数日前はやや円高傾向にございましたけれども、その後、米国を中心とした景気回復を勘案いたしまして、ドル・ユーロともに前回計画通りドル110円/ユーロ120円を据え置いております。

通期の業績のサマリーでございます。まず世界経済でございますけれども、米国では内示の拡大が続き、回復基調を強めていくと見ております。中国でも減速する個人消費、あるいは民間投資を政府投資が下支えする見込みでございます。さらに新興国でも、一部地域では資源価格の安定化に伴いまして回復が見込まれております。

ただし最近の世界情勢を見ますと、地政学的なリスクが高まってるということ、あるいはトランプ政権の先行きに依然として不透明感が高まってるということでございますので、引き続きこのへんは注視していきたいと考えております。

当社の事業におきましては、収益の基盤でございます既存事業は、市場の回復に伴い着実に改善しておりまして、今後の全社の成長を担う新規事業につきましても、大きく売上を伸ばす計画でございます。

既存事業のほうでは、カラーシフトが続くオフィス市場の中で、複写機、あるいはレーザープリンターの新製品が、引き続き販売を牽引していく見通しでございます。

カメラにつきましては、ハイアマ機やミラーレス機で高いシェアを維持しておりまして、FPD露光装置はスマートフォン向けの高い需要が続く中で、中・小型装置の競争優位性を発揮して、販売台数は倍増する見通しでございます。

一方、新規事業につきましても、ネットワークカメラや有機EL蒸着装置などが、計画通り販売を伸ばしておりまして、東芝メディカルシステムズ社を加えたヘルスケア事業も、顧客からの評価が高い画像診断装置の新製品を拡販することによって、年間を通じて好調を維持できる見込みでございます。

以上によりまして、売上高が対前年18.2パーセント増の4兆200億円、営業利益は対前年18.0パーセント増の2,700億円と、いずれも前回の発表から売上高で200億円、営業利益で150億円、それぞれ情報を修正しております。

結果といたしまして、これは年ベースで申しますと2013年以来4年ぶりの増収増益を見込んでいるということになります。

今年は当社5ヶ年計画・グローバル優良企業グループ構想フェーズ5の2年目にあたりますが、この第1四半期は既存事業の着実な回復に加えまして、新規事業も想定通り大きく拡大しており、たしかな手ごたえを感じているところでございます。

このモーメンタムを持続させまして、年間でも増収増益を果たしました。当社今年創立80周年でございますが、80周年という記念すべき年にふさわしい、飛躍の1年にしたいというふうに考えております。

オフィス 2017年年間見通し

続きまして、今年12月期の売上高、ビジネスユニット別の内容でございます。

まず、オフィスビジネスユニットでございますけども、複写機は好調な当社のカラー機販売をけん引しているモデルの後継機を投入いたしました。

昨年来進めてまいりました、このimageRUNNER ADVANCEシリーズの次世代ラインのラインナップが出そろいました。

その特徴であります、業界最高水準の高画質、サービスメンテナンスコストといった競争の優位性を活かして、引き続き市場を上回る成長を目指していきたいというふうに考えております。

レーザープリンターはプラットフォームを刷新して2年にわたってこの新製品のラインナップの拡充を図ってまいりました。昨年マイナス成長を続けておりました新興国市場も回復していることから販売を加速させていきたいと考えております。

本体販売から消耗品の販売につなげるにはタイムラグが生じるために、本格的な回復には時間を要しますが、当四半期の販売が計画を上回るなど好調に推移したことから、年間の販売計画を前回見通しからは引き上げております。

以上によりまして、オフィスビジネスユニットの売上高、前年と比較しますと1.5パーセントの増収となる見込みでございます。

次に、イメージングシステムビジネスユニットでございますが、レンズ交換式カメラは市場・当社販売ともに当四半期の実績がほぼ計画通りに推移したことから、いずれの年間見通しも据え置き、市場は対前年4パーセント減の1,100万台、当社販売は同じく7パーセント減の530万台になる見通しでございます。

このような中で、当社はこれまで一眼レフのハイアマ機にのみ採用しておりました、この高速のオートフォーカス技術をエントリー機やミラーレス機の新製品にも新たに採用して拡販を図るとともに、ハイアマ機へのステップアップ需要も取り込んでまいりたいと考えております。

コンパクトカメラも実績が想定通りであったことから、市場・当社販売とも年間の見通しは据え置きまして、いずれも対前年で13パーセント減として、市場では1,300万台、当社販売台数は350万台となる見通しでございます。

インクジェットプリンターにつきましても、昨年並みの販売台数を見込んでおりまして、大容量インクモデルの拡販に加えまして、BtoB製品も強化してまいりたいと考えております。

以上によりまして、イメージングシステムビジネスユニットの売上高、前年並みとなる見通しでございます。

次に、産業機器・その他ビジネスユニットでございますけれども、スマートフォンなどモバイル機器に高精細な有機ELパネルを搭載する動きが拡大しておりまして、FPD録音装置・有機EL蒸着装置ともに好調を維持する見通しでございます。

加えて、半導体録音装置につきましても、メモリやデータサーバ向けの需要が高まっていることから、年間見通しを引き上げております。

ネットワークカメラにつきましても、市場の拡大が続く中で、AXIS社あるいはマイルストーン社と連携をしながら、製品のラインナップの拡充や販路の拡大に取り組んで、ネットワークカメラシステムとしての販売増を目指してまいります。

さらに、東芝メディカルシステム社の売上が新規にそれに加わるわけでございます。

以上によって、産業機器・その他ビジネスユニットの売上高は前年から倍増する見通しでございます。

私からの説明は以上でございます。どうもご清聴ありがとうございました。